僕と、生徒会長と、 4話

4話 委員長 小宮山優子

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「明日は終業式だね。ゆう君。そういえばゆう君、あの歌が好きだったよねぇ。うちの中学校は終業式のたんびに歌わされてさあ」
「旅立ちの日に、のこと? 確かに好きだけど、どうして怜が僕の好きな歌知ってるの? 話したことあったっけ? っていうか怜と中学別なのによくそんな事知ってるね」

「ふふ。なでなで」
「ん……うん……どうでもよかったね……もっと……なでで」

 一瞬虚ろ目になるゆう君、可愛いなぁ、可愛いなあああ。今、私とゆう君はゆう君の自室で、ベットの上でイチャイチャしています。いわゆる対面座位に近いですね。ゆう君は私の太ももの上に座って私に抱きついてます。少し暑いですけど、風邪を引かない程度にクーラーはかけてます。

 私たちは全員裸で、ゆう君は私の首筋に顔を埋めて、私に頭を撫でられています。1カ月飽きずに、洗脳スマホでゆう君を洗脳した甲斐がありました。
 昨日からすっかりゆう君は私を『怜』だと思っています。
 いわゆる誤認、というものでしょうか。この洗脳スマホ、どんどんチートになっています。
 ただ、情報の齟齬はどうしても生じてしまうので、私がゆう君の頭を撫でると、ゆう君は少し前の会話に対して疑問が生じた場合、その疑念がなくなるようになりました。

 丁度ゆう君を、今、涙目になりながらオナニーしている『元』怜さんから寝取った時辺りからでしょうか、ハカセが鬼気迫る表情で開発を続けていて怖いです。正直近寄れません。
『現』優子は私たちがいちゃついてるベットの上ではなく、一段下のお隣のお布団の上でオナってます。一人でオナニーさみしそうですね。一人ぼっちだと涼しそうで良いです。

「ああっゆう君こっち見て。ああゆう君くんくんしたい。どうしたの? ゆう君の怜お姉ちゃんはこっちだよ。昨日からずっと私の事優子って間違えてるけど、私があなたの怜お姉ちゃんなんだよ。んんっ、私たちの愛の力で何十回も洗脳解いたじゃない。ねぇこっち見てよ。あんっ放置プレイ気持ちいいよぉ。」

「うるさいよ優子。俺はもうお前なんか信じない。お前を信じた俺が馬鹿だった。レイプするような奴なんか信じない」

「いい! イク! イッちゃううう!」

『現』優子、つまり生徒会長ですが、既に記憶を思い出させてあげています。
 いつ思い出させたか? 私がゆう君と初めてした日ですね。
 ゆう君が公園で目を覚ます前、生徒会長の行動規制を緩めたうえで、彼女の記憶を元に戻しました。

 ちなみにその時のゆう君には生徒会長の姿を認識させていません。ゆう君には、私と二人だけのセックスなんだって思って欲しかったから。ゆう君もあの時生徒会長のことを思い出したようです。

 それにしてもあの時の生徒会長は凄かったです。全然ゆう君とのことを思い出せていなかった自分を責めながら、ゆう君のすぐ近くでディルドを自身のアソコに突っ込んでオナニーしていましたからね。めちゃくちゃゆう君の匂いを嗅いでました。匂いフェチなのかな。

 そういえばセックスの最後辺りに、私のパンツを生徒会長の顔の上に置いた時も凄かったです。彼女からすれば、屈辱感って言うんでしょうか。
 彼女はあの時既にマゾに目覚めていたようですから、ものすごく感じていたようです。

 ゆう君と私と生徒会長は仲良く逝きました。二人とも気絶しちゃうから後始末が大変だったんですよ。

 あれは私自身やりすぎちゃったかな、と思ったんですけど富川さんには後で褒められました。あれぐらいやってもらわんと困る、だそうです。

 その際、洗脳スマホの支配権もいただきまして、実はゆう君と生徒会長だけでなく、このスマホで写真を撮った2000人以上の人間に指示を出すことができます。
 別に何かをやるつもりはないですけどね。あんまり過激なことやると富川さんの第8研究室が、ギャグ漫画風に言うと爆発落ちになってしまうらしいので。

「ゆうくぅぅぅん! こっち見てぇ。私の顔、怜の顔見て。あなたのお嫁さんを間違えるなんてひどいよぉ。あ! そうだ。…………。……悠、何浮気してるのよ。ほら悠、はやく私を思い出さないとあなたの事捨てるわよ。優子はまたあなたの事裏切るわ。思い出して、あなたが優子にリンチされたこと。一度悠の事を深く傷つけておいて、また優子はあなたを傷つけた。そんな酷い女にたぶらかされてんじゃないわよ。ほら悠、また足であなたのお馬鹿な頭とその半立ちの、汚いモノを撫でであげるからこっちに来なs」

 っていうか『現』優子うるさいですね。洗脳スマホで声のボリュームだけ下げてしまいますね。ゆう君の教育に悪いですから。

 生徒会長には私たちの過去を教えてあげました。この洗脳スマホって本当便利です。
 私とゆう君が結婚することの正当性を主張するために、あの時の黒歴史を生徒会長に教えたということです。
 私視点の思い出と、ゆう君視点の思い出をぶちこんであげました。流石に生徒会長は痛がってましたね。だって一気に二人分の記憶を詰め込まれたんですから。
 記憶のデータは、どちらも富川さんがコピーしてくれていました。記憶のコピーってそんな簡単にできるんでしょうか。

「最初っからこうしとけば良かったねぇ。ゆう君。なでなで」
「ふぁあああ。怜お姉ちゃん。大好きぃ」

 ああん。もっと撫でてあげます。ふふっ。こちらを睨みながら興奮している生徒会長を見ていると私も頑張った甲斐があります。今でこそ私のことを完全に生徒会長だと思い込んでいるとはいえ、そこに至るまでは決して平らな道ではなかったです。
 何度も洗脳が解けます。何度も洗脳掛けなおします。この繰り返しです。
 どうやら誤認機能は他の機能と違って少々効果が弱いようです。生徒会長とゆう君の、二人の間に愛の力?

 そんな栄光の架け橋なんて最初から存在していません。ゆう君はただ恋する相手を間違えてしまっただけなんです。本当に橋が架かっているのは私です。

「ね? 本当は、最初に好きだったの、私だよね?」
「あたりまえだよ。大好きだよ怜」

 はぁぁ。今度は、今度こそあなたのことを守り切りますからね。ゆう君、私はもうあの頃の、恥や世間体にまみれて親とクズ達の言いなりになっていた、本当に大切なことに気付けなかった馬鹿な私ではないんです。私の心と身体なんてどうでもいい。全て私はあの日に、ゆう君に捧げるって決めたんです。

___

 あの日、つまりゆう君が人形状態になった日ですが、私は富川さんに呼ばれました。
 富川さんは私のことを見て、突然怒り出しました。儂の発明品は完璧なはずなのに、なぜ貴様は悠のそばにいるのかと。悠は貴様のせいで一年を棒に振ったんだ、と。

 その時の馬鹿な私は全く意味が分かりませんでした。私は生徒会長からゆう君を寝取りに来ただけなのに、なぜこんな怒られなければならないのかと、逆切れしたぐらいです。
 その様子を見た富川さんが、怒りを抑えようともせずに、ある機械を持ってきました。記憶改変装置です。私はいきなりそれで撮られました。
 そこで、私はようやく全てを思い出したんです。不思議とあまり痛みはありませんでした。

 富川さんは怒っていましたが、全てを思い出した私の話しを聞いて、一応は納得してくれたようでした。
 それに私が偽の記憶と本当の記憶の両方を有していたことにも満足したらしいです。実験成功らしいです。
 後日、記憶のデータから、私の話しが真実か解析できるのでは? と尋ねたのですが富川さんから、あの記憶改変装置は昔使ってから一度も触っていなかったようなんです。まあ富川さんからしても黒歴史なんでしょう。

 話しを戻しますが、実験成功で気を良くした富川さんでも、まだ私のことを許せないようです。
 当然ですよね、こんなビッチ。今の私だって、昔の私を許しません。
 次に富川さんは、洗脳スマホで私を撮りました。正直に話せと言われたうえで、私はゆう君に対する気持ちを語りました。私は、あの頃から彼のことが――。

 人はすぐには変われません。でも、富川さんの力があれば、簡単に変わることができます。洗脳スマホの詳しい話しを聞くと、私はすぐにお願いしました。泣きながら土下座をしました。私を変えてください、と。今度こそ、彼を守らせてください、と。
 でも富川さんは、すぐには私を認めてくれません。それも当然です。簡単にゆう君を裏切るような女、私だっていりません。

 何を思ったのか富川さんは私に、洗脳スマホの弱点を教えてくれました。

 例え話をします。市販のプリンやヨーグルトをイメージしてください。洗脳スマホとは、大きなスプーンでぐわーんとプリンやヨーグルト、つまり心や感覚、認識、記憶、感情などを掬ったり、逆に容器に入れたいのものを、入れるようなものなんだそうです。
 掬うものは機能によって違いますし、掬える量も機能によって違います。付与する方面も以下略。

 これの何が弱点かと言いますと、大きなスプーンで掬う為、容器の端っこにくっ付いている心のカケラを一回の洗脳では掬い取れないのです。

 そんなだから可哀そうなゆう君は何度も洗脳から目を覚ますのです。元々あった心のカケラが、誤認という私と生徒会長の認識を交換しただけの簡単な洗脳から目を覚ましてしまうのです、思い出してしまうのです。
 恐らく付与した分の偽の心は自然消滅するか、本当の心に塗りつぶされるのだろうと、私は予想しています。

 つまり、好意変換システムで言うと、危険度『小』では、隠された本能、性的趣向を『大体』露わにできるそうなのです。
 ハカセから生徒会長の色々な話を聞いたとき、私は素直に生徒会長に対して負けを認めました。その時点ですら生徒会長のレベルが高いからです。
 後から生徒会長の痴態や変態思考を聞く機会が、ゆう君の意識が戻る前から山のようにあったのですが、あの生徒会長どんだけ変態なんだよ。
 と珍しく私が突っ込んだほどです。

 当然こんな危険人物に、私のゆう君をあげるわけにはいきません。まだ、生徒会長がゆう君の正妻だと認める訳にはいきません。

 前置きが色々長くなりましたが、つまるところ、富川さんは、大きいスプーンで掬っても、本当に私が心からそのセリフを言っているか、無意識ではそんなことを思っていないんじゃないかと、富川さん自身の私に対する疑いを晴らすことができなかったそうなんです。
 そこで富川さんは私に提案しました。
 それは私が、そのスマホによって私の性欲が全開になった上で、常に私がゆう君と一緒にいてゆう君を守ること。私からゆう君に手を出さないこと。そして学園の生徒に加えてこの町にいるその家族、警察を洗脳スマホで洗脳する、というものでした。
 私はもちろんその提案を受け入れ、私が本当にゆう君の物になれる器の女なのかを、試してもらいました。

 最初の8日間、私は富川さんに認めてもらう為、生徒会長に負けないため、何よりゆう君に許してもらうため、必死でゆう君の為に働きました。
 学園の生徒や先生自体の洗脳はすぐに終わりました。だって、洗脳スマホでパシャパシャ撮っていけばいい話ですからね。別に洗脳と言っても写真で撮るだけです。

 4日経つと富川アンテナがうまい具合に起動したらしく、公共機関―町役場とか、警察とか―の人間も難なくパシャれました。いや、それまでは大変でしたよ。

 ところでこの町は田舎です。まぁ田舎って言うほど田んぼや野山が広がってる訳ではないんですが、だからと言って都会では絶対ない、そんな町です。
 この町の若者は遊びに行くなら一時間三〇分かけて東京に出て行きます。就職するなら東京に出て行きます。

 人口減少で消滅都市待ったなしな私たちの町で、誇れるものがあるならば舞専学園と葉入家でしょう。
 なぜかこの町は、偏差値70越えの名門私立学園を擁していまして、うちの県のブルジョワインテリな人や、場合によっては頭の良いお嬢様な東京の人間も、遠出をしてこの私立に押しかけてきます。

 何が言いたいのかというと、うちの学園の生徒は寮生活の人が圧倒的に多いのです。
 だからまあ大抵の生徒の家族はこの町にいないので、洗脳スマホをかけられないんですよね。
 それでも3校ある地元の中学からは毎年数人程度うちの学園に合格します。かくいう私も実力で入りました。えっへん。…………ゆう君どうやって入ったんだろう。まぁどうせあの親馬鹿ならぬ、爺馬鹿がなんかやらかしたんでしょうけどね。

 で、葉入家はこの町一番の御屋敷なんです。この町どころかこの県一番と言ってもいいかもしれません。残念ながら私達の学区とは違っていて生徒会長と私たちは中学校が違かったのですが、中学校でも生徒会長は生徒会長だったらしいです。
 人気もめちゃくちゃあったらしく、男子が告白して、見事に振られるのが毎日の恒例行事だったそうです。それで葉入家は日本有数の名門な家柄らしく、本家は別にあるそうな。本家はもっとでかいらしいです。
 なぜ私がそこまで知ってるかって? そりゃ暇つぶしに生徒会長から直接お話聞けますし、誰かさん達とは違ってコミュニケーションは得意なので、色々な人から色々なお話は聞いてるんですよ。

 あーそうそう勘違いして欲しくないのは、私は生徒会長の事は嫌いではありません。いや、こんだけ生徒会長に対してハードなことやっといて今更何を、と思われるかもしれませんが、それはゆう君に関してだけです。
 それはそれ、これはこれです。
 どちらがゆう君の女にふさわしいか、ゆう君の正妻はどちらがふさわしいのかをずっとやっているだけです。
 無論私は負けるつもりはありませんので全力で当たらせてもらっています。こっちには洗脳スマホという大きなアドバンテージがありますが、あっちだってゆう君が記憶を取り戻していないというアドバンテージがありますし、イーブンです。

 私は生徒会長の事を一人の女性として、人間として、そして何よりも変態として深く尊敬していますし、やるだけやってゆう君が生徒会長を選んだなら、潔く負けを認めます。

 まー私の身体は汚れていますからねー。私が何人もの人間を抱き、抱かれて、こんなにも醜いというのに、ゆう君だけ一人の女を愛せ! だなんてキチガイ染みたこと言うつもりないんです。
 むしろ、いっぱいたくさんの女性を幸せにしてあげて欲しいです。ただ私はゆう君を、今度こそ、私の安っぽい命に代えてでも守り抜きたいだけなんです。

 それで、生徒会長の心に聞いてみますと、生徒会長的にもハーレムは容認してるっぽいです。まぁ私とゆう君の濃厚なえっちシーンを何度も見せつけられて、NTRに目覚めたんでしょうね。流石です。
 ……かくいう私も、何度もゆう君と生徒会長がまぐわってる姿を見せつけられたので、私も目覚めたんですけども。二人そろって変態です。ゆう君には是非責任を取ってもらわねばなりません。

 ああ、もう一点よろしいですか? 責任で思い出しました。妊娠ですが多分ないです。富川さんは医学にも明るいらしく、私と生徒会長は富川さん特製の避妊薬を飲みましたから。
 危ないとしたら初回の生徒会長とゆう君のですが、あれから一カ月以上も経ってますし、問題ないでしょうね。
 避妊薬の効果ですか? 飲んでから一カ月は妊娠しないらしいです。副作用はちょっと性欲が爆発しちゃうらしいです。
 でもゆう君は少し絶倫なので問題なしです。一日中セックスしてもゆう君死んでませんから、大丈夫大丈夫。
 避妊薬は8日前にまた飲ませてもらいました。
 いくら生でシても妊娠しないって素晴らしいですね。私の黒歴史を思い出すとコンドームにはかなり気を使っていました。ピル飲んでなかったですし。
 様々な人とヤって妊娠しなかったのは奇跡ですね。

 むぅ。長くなってしまいました。細かいことが気になるのが私の悪い癖。その話は置いといて、とにかくその数十人の生徒の親を洗脳して、一つ目のミッションコンプリートでございます。
 ああ、私の親も洗脳しましたよ。私の旦那様ですと、ゆう君を紹介したら、二人ともすごく喜んで貰えるように洗脳しました。
 それと生徒会長のご両親にはかなり気を使いました。
 外部から有名人とか本家の人間が会いに来ることがたまにあるらしいので、上手く誤魔化すような洗脳をかけておきました。偏差値70越えの学園で委員長を務めているだけのことはありますよ、ふふん。

 さて、二つ目のミッションです。ゆう君を守って手を出さないという奴ですね。こちらは私、頑張りました。洗脳スマホと避妊薬のダブルパンチで、しかもゆう君が可愛すぎて仕方ないので何度も襲いそうになりましたが、まぁゆう君自身が私を拒否したことも手伝ってゆう君の貞操を守り切りました。条件を達成しました。ちょっとズルっぽいですが、まぁ目標達成には変わりありません。

 こうして私は見事富川さんからの信頼を勝ち取り助手にしてくれました。それ以来、今のところ助手らしいことは何もやってません。ヤってるだけです。

 富川さんはゆう君の意識が戻る前に、私を洗脳スマホで洗脳してくれました。

『須藤悠の忠実な僕になること、須藤悠の幸せが小宮山優子の幸せであること。須藤悠の幸せの為に全てを捧げること。須藤悠を小宮山優子の命に代えても守ること。小宮山優子は須藤悠の女として相応しい女になること。須藤悠に対して丁寧に接すること』

 以上が私の洗脳内容です。

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 ……そして今に至るわけですが、ぶっちゃけ私の性格自体はそんな変わってない、と思いますです。敬語使ってるぐらいです。
 え? 忠実なシモベなのに逆レイプするのはアリなのかって? 正直ギリギリッス。正直興奮するッス。でもゆう君をこの人から守るためには仕方ないんです。私が妻になることがゆう君にとっての幸せなんです。
 ゆう君が洗脳されまくってるのを見ると私も辛いです。でも私はまだ生徒会長を認めてませんから。私だって負けません。

 にしても私から見ても、富川さんのゆう君愛には舌を巻きますね。あのじいさん、ゆう君がいないところではいつもゆう君の話しをしています。デレっデレです。
 むしろ、ゆう君の意識が戻ってからのゆう君への接し方を見て内心驚いたぐらいです。あんなんだから友人いないんでしょうね。素直じゃないんですから。

 またどうでもいいことを話してしまいました。とにかく私は、私の寝取り計画の最終段階まで来ています。
 ていうか元はと言えば私が先に寝取られたようなものなんですけどね。最初に愛し合っていたのは間違いなく私の方が先なんですから。
 ……ゆう君は忘れているけど。あの記憶改変装置は洗脳スマホとは理論が違うらしく、完璧らしいです。富川さんは自信を持っているようでした。

 だから、記憶改変装置を使われて、私がゆう君を思い出せなかったのも、ゆう君が私を思い出せないのも仕方ないんです。生徒会長はそれより性能が劣る、洗脳スマホでの記憶操作ですら、ゆう君との甘々な日々を思い出せませんでした。
 私だったら自力で思い出して見せます。
 ……って改変装置を使われて結局思い出せなかった私が、偉そうに言える話ではありませんでしたね。はぁ。

 私はゆう君にお願いします。これで上手くいけば、私の勝ちです。

「ねえゆう君、おねがいがあるんだけど、いいかな?」
「なに? 何でも言って。僕に出来ることがあれば何でもするから」

 ああもう嬉しすぎて涙が出てきます。我慢できずキスしてしまいました。

「んふふ。ありがとう。お礼にちゅーしてあげる。……ん、ちゅ……ふ……じゅ……じゅるるっ」

 思わず深い方まで。思いっきり私のベロでゆう君を支配します。ゆう君はいきなりキスされたので戸惑っているようでした。
 元々大きくなっていて、あえてあまり触らないでいたゆう君のチンポもかなり大きくなりました。
 ゆう君はさっきから耐えられなかったようで、私の太ももとか、股間とか、お腹に擦り付けてきてましたけど、気付かない振りをしていました。
 ここまで興奮していたら、私の提案を快く受け入れてくれるでしょう。

「ぷはぁー。……それじゃあお願い。優子とセックスして欲しいの」

「……えっ、また? い、いやでも」

「何でも聞くって言ったでしょ。私はゆう君のせいで、寝取られに、目覚めたの。あなたが何度も何度も私を優子って間違えるから、私は本当に優子なんじゃないのかなって……。それで私は、怜でもあって優子でもあるっていう気持ちになっちゃって、あなたが優子としてる時でも興奮するようになっちゃったの。ぅぐっ……だから、私以外の女とも、して、欲しく、って……うぅぅ……」

「わかったよ、ごめんね怜。泣かないで……」

 勿論嘘泣きです。それっぽいこと言ってますが、まぁあながち間違いではないですし。ゆう君のせいで目覚めましたし。ゆう君が私たち以外の女を抱く良い建前になりそうです。ぐふふ。

 私はスマホを操作して、生徒会長への規制を全て外しました。さしもの生徒会長も私を本気で殺すつもりはないようですね。私たちの過去を知ったからでしょうか。

 私と生徒会長の位置を入れ替えまして、ゆう君は嫌そうに生徒会長を押し倒します。二人の身長差は大体15センチほどあるでしょうか。生徒会長背が高いなー。私だって高い方なのにゆう君とは8センチほどしか差がありません。

 そうは言っても生徒会長は足長いですからゆう君が生徒会長に覆いかぶさったら、大体上半身の身長は大体同じになっちゃいます。私も同じ感じで身長差が0になる感じですけど、生徒会長はどんだけ足長いんですか、羨ま嫉妬です。私も割と足長いのにー。

「ゆう君ゆう君ゆう君ゆう君」

 生徒会長の鼻息が荒いです。あのクールビューティーはどこへ行ったのやら。それだけゆう君に心を許してるんですかねぇ。

「……ねえ。優子、毎回言うけどさ、勘違いしないでほしいんだけど。怜がお願いするからするんだからな」

「分かってる。昨日はダメだったけど今日はちゃんと思い出させてあげるからね。んっ」

 いいなー。私もゆう君に押し倒されてキスしたいです。二日連続で思い出せないようなら二人の愛とやらはその程度ということです。ここまで来るのに一月かかりましたが、私もしつこいんですよ。2,3日で心が折れるほど柔な神経してないんです。勝ちましたね。

 おお、二人のキスがどんどん激しくなってます。私としては正直複雑です。
 ゆう君が優子だと思って興奮してディープなキスしてくれてますから、肉体的には嫌いじゃないというのが分かりますから、それは嬉しいんですけど、やっぱりこの光景は見ていると辛いです。

 いくら興奮するって言ったって、泣きたくなる気持ちが薄れる訳ではないですから。
 でも興奮しちゃう。悔しい。ビクンビクン。

「んっ、んっ。……ぷは。ゆう君、気持ちいい?」
「まあ、うん」

 ゆう君が困ったようにこちらをちらっと見ます。私が興奮していることに気付いたようです。

「ゆう君、私の事は気にしないで、もっと気持ちよくなっていいよ」

 私は助け船を出してあげます。ゆう君は覚悟を決めたようで、生徒会長の性感帯を責め始めました。

「んぁぁ、ゆう君、いいよ。気持ちいい。んっ。ちゅっ……んっんんぅ」
「んっ、優子、気持ちいい? 俺も気持ちいいよ。もう、入れるね」

 ゆう君はまだ私のことを怜だと思っているようです。これはもう、私の勝利確定ですね。生徒会長には悪いですが、夏休みに入ったら、生徒会長を家に返して、しばらく私とゆう君で愛し合いましょうか。それで、バカンスは……。

 私が採らぬ狸の皮算用をしていると、突然生徒会長の雰囲気が変わります。

「待って、悠。昨日あなたが思い出せなかった原因が分かったの」
「はあ? いきなり何言って」
「んふふ。私にそんな口聞く悠も新鮮で良かったけど、もう明日から夏休みに入るし、優子と遊んでらんないわ。生徒会のお仕事も溜りにたまってるし」

 えっ?

「誤認で私たちの3週間は覆せないわ。悠、私の太もも舐めなさい」

「え、どうして、体が……ん、んっんっ」

 ゆう君自身もよく分からない様子で生徒会長のムチムチな太ももを舐めます。

「やっぱりね。脳が私を優子と錯覚しても、鍛え抜かれた体は私を怜だと認識する。私が悠を調教し続けた日々を甘く見ないで欲しいわね。身体と心は不可分一体よ。より強い方に認識は揺れる。誤認一本で私に勝負を挑んできたのは、それがあなたなりの正々堂々の勝負なのかしら? 優子」

 嘘でしょ?

「悠、そろそろ私が怜に見えて来た? もう太もも舐めなくていいわよ」
「んっ、違う! お前は優子だ。た、多分……」

「む……強情ね。いいわ。本気出す。悠、仰向けに寝っころがりなさい」
「っ、体が、勝手に動く……」

「ねぇ。一か月前のあなたの初体験を思い出して。あの時も全く同じ体位だったわね。ふふ、すっかり興奮しちゃって。あの時とは違って、今度は一緒に行こうね。あなた」
「え……嘘だ……怜? ……そんな」
「んふ、私に見えてきた? じゃあ思い出させてあげる。んんっ……ああ、いい。最高よ、ゆう君」

 どうして? 私、負けた? あんなに苦しい思いをして、洗脳掛けなおし続けて。

「ゆう君っ! 好きっ。ああ、気持ちいい。突いてっもっと突いて! いい、もう逝っちゃう。んあっ……ゆう君、覚えてる? んっ、あの時の、言葉」
「あ……怜、れい? ああっ。あっ、そんなっごめん。ごめんなさい! んぁぁ、動き、激しくしたら、僕!」
「あはは、大丈夫大丈夫。ゆう君がいっぱい気持ちよくしてくれたから」
「れい、れいっ」
「んんっ、ゆう君のおちんちん、すごいビクビクしてる。もう出ちゃうの? 今までずっと我慢してたもんね、いいよ。出して。ほら、出して。気持ちよくなって。それで、全部、責任、取って。あなた、あいしてる」

 アハハ。上げて落とされると本当にきついんですね。今までの胸の痛みと次元が違います。私ではゆう君を奪えないって、はっきり生徒会長に教え込まれた気がします。

 エクスタシーの過ぎた生徒会長が一瞬こちらを見て、笑いました。

 ……ああ。そういうことですか。生徒会長はゆう君の痛みを教えてくれたんですね。復讐のつもりですか? 確かに、あの時のゆう君の気持ちが少しだけ分かった気がします。

『やるだけやってゆう君が生徒会長を選んだなら、潔く負けを認めます』。さっきまではそう思ってました。でもそんな簡単に割り切れるなら、私は一月も愛する人をずっと洗脳し続けたりはしないんですよね。

 ゆう君は私の物だって思ったのに。手に入れたって思ったのに。

 私は目の前が真っ暗になりました。
 もういいです。疲れました。私はスマホを使い、二人の認識に私が入らないようにセットしておきました。
 私はぼーっとした頭でゆう君部屋を出ると、階段を下りました。台所へ向かいます。包丁を取りました。ゆう君の部屋に戻ります。
 ゆう君と生徒会長は仲睦まじくセックスしています。2回戦ですか? 体力あっていいですね。今度は正常位ですかー。あんなに体くっつけちゃって。興奮しますねー。

 私、ゆう君の無防備な背中を見て舌なめずりしています。
 切り取ったらおいしいかな。やいたほうがいいのかな。
 私の物にならないなら、いらないです。
 死んじゃえばいいんです。それで、2人で仲良く死にましょう。一緒に来世は邪魔の入らない世界でいちゃつきましょうね。ゆう君。

 ゆっくりと私はゆう君に乗っかります。生徒会長さんは大変そうですね。私とゆう君の体重がかかっているんですから。
 私はゆう君の綺麗な肌に包丁を立てます。
 一思いに、あまり苦しませずにシテしまった方がいいでしょうか。
 それとも、私を最後まで思い出せなかったお馬鹿さんの為にじわじわとシタ方がいいのでしょうか。

 すると、絶対に気づかないはずのゆう君がこちらを見ました。生徒会長とのエッチに夢中だったじゃないですか。シテテいいですよ。
 とっても辛いですけど、とっても興奮しますから。ほら、ゆう君のお尻に愛液垂れ流しになっちゃってますよね。私、興奮してるんです。あなた達を見ていると、興奮するんですよ。

 やめてくださいよ。なんで私を見て微笑んいるんですか。何も思い出してないくせに。何も知らないくせに。

 ゆう君の笑顔を見ていたら、なぜか私の洗脳内容を思い出しました。

『ゆう君の忠実な僕になること、ゆう君の幸せが私の幸せであること。ゆう君の幸せの為に全てを捧げること。ゆう君を私の命に代えても守ること。ゆう君の女として相応しい女になること。ゆう君に対して丁寧に接すること』

 あれ? どうして私、ゆう君を殺せるんだろう。私がゆう君を守らないといけないはずなのに。

 スマホを見ます。もう一度同じ内容で私は私自身を洗脳しました。

「あ……え? ……い、いやっ!?」

 思わず私は悠さんの背中からずり落ちて、ベットの下に落ちました。急いで包丁を手放します。
 急に思考がクリアになりました。

「な、なんで私……悠さんを殺すだなんて、そんな、ありえない」

 自分で気づきました。私は今までゆう君、と呼んでいたはずです。いつから悠さんになったのか、
「違う。私は洗脳されてから、ずっと悠さん、って呼んでた」

 そうです、私は最初に悠さんと呼んでいました。正確にはいつからゆう君と呼ぶようになったのか、です。

「……悠さんを逆レイプする前だ……あの時に自力で洗脳を解いちゃったんだ」

 その事実に気づいたとき、改めて洗脳を解いてからの、自分がやったこと、を振り返ると血の気が引きました。あまりの衝撃に身体が動きません。悠さんに顔向けができません。私はうつむき、呟きはじめます。

「わたし……わたしはいままで何を……ああ悠さん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 最悪です。これ以上の地獄はありません。よりにもよって未来の悠さんの、奥様に嫉妬して、奪おうとして、あろうことか大切な人を、守らなければいけない方を殺しかけました。
 ありえません。自分が情けないでは済まされない。私がこの世に存在しているというだけで吐き気がします。

 視界の端に包丁が映りました。こんな女、いりません。思えば悠さんの足枷になっていたのは私でした。私が、悠さんをずっと苦しめていました。
 何がゆう君を守る、だ。悠さんの足を引っ張るだけの能無し女は現世にいるだけで有害です。毒はさっさと消しましょう。

「……優子?」

 死を覚悟した、その時でした。今の私にとっては、神様のような方から自分の名前を呼ばれたことに気づきます。

「あ……は、はい悠さん」

 恐る恐る言葉を返します。悠さんは生徒会長をなだめて、行為を中止すると、足を延ばして座り直します。生徒会長が悠さんの背中に抱きつきました。
 そして、悠さんは手を広げ、私にこう言って下さいました。

「おいで、優子」

 私は、主の命令に従います。私に話しかけてくれたことが嬉しくてしょうがないです。さっきまで死のうとしていた女が、現金ですね。でも、来いと言われたら、行かざるを得ません。

「はい、悠さん……んっ」

 私は悠さんに抱きつきます。少し強めに抱きしめて下さったので、吐息が漏れます。

「ねえ、俺を殺そうとしたでしょ? どうして?」

 この人はどうして自分が殺されそうになったのに、こんなに平然としているのでしょうか。こんなに優しく笑顔で接してくれるのでしょうか。普通恐がって私をどうにかしようとするはずです。どうして、はこちらの台詞です。

 けど、悠さんは私にとって絶対です。質問には答えなけれななりません。
 私は悠さんの問いに、中学生時代の話しと洗脳改変装置の事を伏せて、それ以外の事を洗いざらい話しました。

「うぉぉ。な、な、なるほど。予想以上にディープな話で驚いた。色々突っ込みたいところだけれど、とりあえず、その、ありがとね」

 驚いたのは私です。どこにもお礼を言われる筋合いなどないからです。

「悠さん。私にそのような御言葉いただく資格などありません。私はあなた方を引っ掻き回しただけです」

「そんなことないよ。僕の事ずっと守ってくれたじゃん。そこまで優子に愛されてたなんてね。実は僕、優子がこんなになったのはハカセの所為だ、って思ってたんだ。だって優子がこんなことするわけないから」

「あああ、そんな、もったいないです。私は本当にダメな嘘つき女なんです。悠さん、私を捨ててください。一月もあなたの大切な時間を取ってしまいました。私はお二人を傷つけただけなんです」

「いやそんな自分を卑下せんでも。俺からしたら、優子と、そういうことしてる時間は口では嫌がってたけど内心喜んでたから。怜もまさかのNTRに目覚めてたし、怜以外の女の子としなきゃいけないなぁって思ってたんだ。その最初の相手が優子で良かったよ。気が合うし可愛いし。怜がいなかったら君が一番だったよ。まあ最初の強姦は本当に嫌だったけどね。怜はどう思う?」

 悠さんマジ天使です。私、生きてて良かった。
 悠さんの首筋に顔を埋めて強くゆう君を抱きしめていた生徒会長が、ゆうっくりと顔を上げて、私に微笑みながら答えます。

「私は初回のNTRから気持ちよかったわよ。めちゃくちゃ傷ついたけど。優子ぐらいガッツがある子じゃないと悠の愛人で、常にそばにいてもいい人間とは認められないなあ。だからそんなに死に急がないで。紛いなりにも私とずっと張り合えたんだしね。あ、これから私の事はお姉様って呼んでね。私、あなたのこと気に入ったの。これからも悠をよろしく守ってね」

 ……あれ? なんだこれ。なんでこんなアットホームな感じというか、私だけ雰囲気が違うというか、私だけシリアスやってるみたいな風になってるんですか??
 やばい、つっこみが追いつかない。どういうことだ。

「生徒会長、私はあなたの夫を殺そうとしたんですよ。なのにどうしてそんな発言ができるんですか」
「お姉様」
「せいとk」
「お姉様」

「……お姉様、教えてください」

「だってあなた強いじゃない。私が悠をストーカーしてた時、優子が警察官3人とガチで戦っているのを高性能双眼鏡で見たわ。無傷で勝ってたじゃない。それにあなたのルックスとプロポーションは私にないモノを持っている。悠を満足させること間違いなしね。あなたほどの女性と悠がセックスしてる姿をみると興奮するの。それにあなた、悠以外に100人以上の男女と寝たんでしょ? その性技、私もこの一月盗んでいたけど、その底は計り知れない。直接指導して欲しいの。その代わり格闘技を、私が教えてあげるから。そして私も悠やハカセと同じでぼっちだから私たちに足りない、あなたのコミュ力と情報網、あなたに惚れている女から悠に相応しい女をあてがうことも考えているの。一緒にNTR楽しみましょう。他にも、この期に及んであの時の話しを隠そうとする腹黒っぷりと面の皮の厚さもいいわね。ちゃっかり無意識のうちに、悠に捨てられまいとする必死さも好印象よ。後は」

 長い。3行でまとめてください。

「いいですありがとうございました。っていうかあなたは私を認識できないはずなんですが。それにどうして私が自殺をしようと分かったんですか」

「この子最後の部分スルーしたわね。ますます気に入ったわ」
「あー優子さん、それについては俺から。っていうかあの時のことって?」
「悠は気にしなくていいの。説明」

「はい。まず、優子がぶつぶつ言ってる間に洗脳スマホを奪いました。操作して、僕たちにかかってる洗脳を全て解除しました。それに優子の、あの様子と目が座って目線の先に包丁があったら誰だって自殺だって思います。アーユーおk?」

「……おkです。落ち着いてきました。でもどうして私が悠さんの背中に乗ってると分かったんですか?」

「えーわかんない。まぁ怜程じゃないけど、優子も大好きだから……かな。……あんまり恥ずかしい台詞言わせんな! じゃ、じゃあもう自殺をしようだなんて思わないでね。この洗脳スマホだって完璧じゃないって優子はここ一月でよく分かったでしょ。ま、ご主人様である俺をずっと玩具にしたんだからお仕置きはするからね。ふっ、ようやく俺のターンが」

 悠さんズキューンですよ! ズキューン! 一生ついていきます!!

「じゃあ優子、お仕置きは私たちがいちゃラブセックスをしてるところをオナニーしないで見てること。分かったわね」

 なんかこの人から何とも言えない威圧感が出ているような気がします。浮かれモードが一気に沈まりました。

「はい、お姉様。今まで大変申し訳ありませんでした。これからはあなた方をしっかりサポート、お守り出来るように心を入れ替えて働かせていただきます」

「あら、私も守ってくれるの? 嬉しいわね。精々頑張りなさい」
「はい!!」
「じゃあ悠から降りて。布団の上で正座して、私たちの行為をみてなさい」
「かしこまりました」

 私は悠さんから離れ、ベットから降りると正座をしました。なんかしらの罰は食らうと思ってましたけど、まぁ悠さんの手前、そんな酷いことはしないとも思ってましたよ。次のお姉様のセリフを聞くまでは。

「悠、ちょっと優子を視姦してあげて。……うん、よし。じゃ、優子がオナニー出来ないようにしておくから。私たちが逝ったら全部解除するように設定しておきます。ついでにどれだけ興奮しても逝けないようにしてー、ついでに興奮しやすくしときましょうか。アザギ風に言うと感度3000倍ぐらい。邪魔されないように声のボリュームを下げておきましょうかねー。それと、気絶できないようにしておかないと。2、3分逝かせ続けても面白いかも。この洗脳スマホを触れないようにもして、と。ラスト3つは解除できないようにしとこ。うふふ。流石にやりすぎかしらね。よし、特別に逝きっぱなし状態のときは悠に抱かれるイメージを挿入させてあげましょう」

 私は自分の耳を疑いました。このドS生徒会長め。まさか、本気ではないですよね。

 すると私の身体が急に動かなくなりました。さっき言ってたのが全部本当なら、お仕置きだからって、いくら何でもやりすぎです。
 今の私は瞬きぐらいならできますが、腕なんかはピクリとも動きません。オナニー禁止ぐらいかとタカをくくっていたら、こんな強力な罰。もしかしてお姉様、実はかなり怒ってた?

 ああ、お姉様の目が本気です。全く笑ってません。これは不味いです。え、嘘、何も始まってないのに、悠さんに裸の私を見られているという事実だけで、体中火照ってきました。

「あぅ……あっ」

 声が出ません。これはまずいです。こんなの、気がくるってしまいます。

「……えっ、怜、僕のセリフ……えっ、スルー? っていうか、今の暗示は流石に」
「いいのよ、脅しも入ってるから。ああでも言わないとお仕置きにならないでしょ」

「ち……んぁ……ゆ……ぁぅぁ……た……ぇ」

 絶対脅しじゃないです。絶対全部マジです。
 悠さん視点では、角度上お姉様の目を見ることはできませんが、彼女の目をもし見ることが出来ていれば、あるいは洗脳スマホの画面を見ていれば、優しい悠さんなら全力で止めたはずです。

「さてと、あなた? 良いところで寸止めさせられたんだからその分楽しませてくれるわよね」

 お姉様はこちらをちらりと見て、ゆっくりと悠さんを押し倒します。お姉様は悠さんを仰向けに寝かせると、自身は上に乗りいやらしい手つきで悠さんの乳首を触ります。

「ずるいぞ怜。いい所だけ持って行って……ああっダメ、いきなりそこ触るなって」
「悠、そこじゃなくて、はっきりと言いなさい」

 悠さんの身体が震えました。私もゾクっとしました。もう完全にMに目覚めた悠さんの身体は、お姉様がSになっていることに喜びを感じているようです。
 私は、早くもアソコに触りたくてしょうがないほど体が熱く火照ってきました。乳首もいやらしく、ツンと立っています。というかもう逝きそうです。助けてください悠さん。

「ぅぇ……ゅぅ……ぁ」

「ち、乳首です……。ああもう結局こうなるのかぁ」
「くす。折角だからあなたを洗脳してあげましょうか。どんな風にされたい? 特別にお願いを聞いてあげるわ」
「じゃあ僕が攻めたいから」
「ダメ。じゃあ更にマゾにしてあげましょう。ぽちっとな」

 お姉様がスマホを取ると、華麗にスマホをタップしました。どうやらお姉様好みの悠さんにされたようです。悠さんは露骨に恍惚とした表情で怜を見上げます。
 そんな顔しないでください。私の頭が沸騰します。逝きたいのに、手を思いっきり動かしたいのに。
 ああ、でもまだ悠さんの口は素直じゃないようです。

「ぁぅぁ……ぁっ……ゅ、ゅ」

「ああっ、怜、怜。ばか、ばか」
「そうねー悩むけど怜様って呼んでもらいましょうか。ああ、もう洗脳しなくても立派なマゾ犬になってるわね。鳴きなさい悠。上手くできたら私の指を舐めさせてあげるわよ」

 半泣きになりながら悠さんはお姉様の命令に従います。ああ可愛い。お姉様も既に逝きそうになってるはずです。顔を見ればわかります。
 私の意識が真っ白になり出します。全身痙攣しだしました。

「がぁ……あっ……ああっ……ぃぁぁ」

「うぅ……わん……んむっ」

 掠れた声で鳴く悠さん。私たちの興奮は最高潮です。思いっきり右手人差し指を悠さんの口に入れて舐めさせるお姉様。悠さんもすっかり準備が整ったようです。

「あら、手の指舐めさせられて興奮してるの? とんだ駄犬ね。ほら、ほら、どうされたいの? おねだりのやり方は覚えているでしょう?」

 指を次々と舐めさせられて、悠さんの目が蕩けています。本当にマゾになってしまったんですね。悠さん、がっかりです。私に罵られても感じちゃうんじゃないですか?
 と、私からも言葉攻めをしたいと思考できるほどの余裕が私にはありませんでした。逝きたいのに、気絶したいのに、体が全然動きません。
 体中が快楽に支配されているようです。悠さん、悠さん。助けて助けて。

「た……しゅ………て……ゆぅさ……」

「ふぁい……怜様ぁ。僕は怜様のオマンコのことしか考えられないダメな雄犬です。どうか素敵な怜様とエッチなオマンコ様のお情けを下さいぃ。怜様、大好きです。もう我慢できません……あっ、あああっ」

「くふふ。おねだりはまだまだだけど、1ヶ月頑張ったからご褒美よ。気持ちよくなりなさい」

 そう言うと、怜様……じゃなくてお姉様は、悠さんのそそり立った肉棒を下の口で飲み込みます。
 かなりの大きさですが、すっかり私たちの膣にぴったりのサイズになってしまったので、易々とお姉様は挿れていきます。
 お姉様の顔も蒸気していて、嗜虐的な笑みを浮かべながら言葉責めを続けます。同時にゆっくりと体を上下に動かし始めました。
 私は、もうイキタクテ、イキタクテ、私の目からは大粒の涙がいくつもこぼれています。

「がぁ……んぁぁ……ぁっあっ…ぁっ」

「悠、どうしたの。あなたの熱いの、もうぴくぴくしてるわよ。んっ、入れただけで逝っちゃうの? 駄目よ。我慢しなさい。あっ、ああっ」
「はい、怜様、がまん、します。んっ」

 お互い完全に入れた時点でもうエクスタシーに達しかけていましたが、二人はまだ我慢するようです。お姉様の腰が更に淫らに動きます。動きが徐々に激しくなっていきます。

「悠、悠、悠。気持ちいい。もっと、あなたからも、突きなさい……あっああっ、そう、いい、いい!」

 綺麗な長い黒髪を振り回しながらお姉様は激しく上下運動を繰り返します。時にグラインド、時に最奥を擦り付けるように腰を回します。
 更に、恐らく内部の膣内もウネウネ動かしながら悠さんを攻めたてています。
 悠さんの表情からもう限界が近いようです。ああ可愛すぎます。悠さん……。死ぬ。私死んじゃいます。

「ぃぎぃぃぃ……ぁぁぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁっ」

「あっあっ怜様、イっちゃいます。怜様、怜様ぁ!」

 上下運動を更に激しくしながら、お姉様も体を震わせます。身体を曲げて、両腕を悠さんの首の後ろに回すと、狂ったように悠さんの唇にむしゃぶり、味わい尽くします。

「ああああっっ! 悠、好き、愛してる!! 思い切り出して! ……んっ、れろ、じゅるる……んむうぅぅううう!!!」

 お互い、同時に達したようです。深いキスをしながら、二人とも仲良く気を失ったようです。
 少し遅れた後私も逝きました。

 お姉様と繋がっているはずの悠さんが、なぜか私に抱きつきます。悠さんは勢いよく、私のびしょ濡れになっている股間に自慢の肉棒を突きたてました。

 幻覚だってわかっているのに、目の前の光景とそこから伝わる感触があまりにもリアルで。
 私は全身が性感帯になったかのように、大きく体を痙攣させて、情けないアへ顔を晒しながら顎を真上に上げ、白目を剥いて逝きました。

「んぎいいぃいいぃいいい!!! おおあぁあ゛あ゛あ゛!! ……あっあっあっあっあっ、またぁ、ああぁあっっいぐぅっぅうううう!!!」

 数分かけて、逝きつづけました。
 気づいたら当初の正座の原型がなく、逝きすぎたせいか私は布団を強く握りしめ、軽いブリッジのような体勢になっていました。
 お姉様にはもう絶対逆らいません、と決めた記念すべき日です。

 ……明日は終業式です。何事もなく夏休みに入れればいいのですが。はあ、また私が後処理するんですね。

 ああもう、まだ私の身体が火照ってます。頭も、体中も、もの凄く痛いです。優子の身体を冷ましてください、悠さん……。

 私は体が自由になったので、気が狂ったかのように秘部をまさぐります。
 犬のように悠さんに駆け寄り、悠さんの手を取り、舐めるとまた達しました。

「悠さん悠さん悠さん……ちゅ、れろ……んぁぁあああっ! 優子も、気絶しちゃいそうなほど気持ちいいですぅぅぅ! いくぅぅ! 悠さん助けてぇぇぇ!! 気絶させてえええ!!」

< 続 >

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