美容室を経営する大和田は、その優しさと人望ゆえ陰口を叩くものは1人としていない人物である。
 しかし、インターンの恵美に声を掛ける彼の口元は、妖しい笑みで歪んでいたのだった。
「今夜、客に対する美容師の仕事を一通り経験してもらいたいんだが……」

美容室 第三章

第三章  1通の招待状。それを見たとき、亜貴は2ヶ月前の出来事を鮮明に思い出した。  凄い体験をしたと言うのに、どういうわけか今の今まですっかり失念していた。  あの時、亜貴は童貞を捨てた。  男としての人生に一生残る体

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美容室 第二章

第二章 「なんだ、これ。招待時間が深夜!?」  いつも利用している美容室から見慣れない手紙が届いた。  彼の名は加茂宮亜貴。去年の春、進学の為に上京してきた大学生だ。  それまで美容室なんて利用した事などなかったが駅前で

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美容室 第一章

第一章 「宮原くん。君はここにきてそろそろ半月だったね。雰囲気には慣れたかな?」  伝票整理をしていた大和田は休憩の為に事務所に入ってきた恵美に声を掛けた。  大和田はとあるビルの1フロアを借り切って結構大きな美容室を経

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