四ヶ月後(後編) 「二人とも凄いいきっぷりね」 たま姉ちゃんが頭上で楽しそうに言う。その声に見上げると、みゃーがたま姉ちゃんの腕の中で気持ちよさそうにぐったりとしていた。その体は時折思い出したかのようにぴくっと震え、ひ
もっと読むカテゴリ:ねこのみゃー
「ほら、早くしなさいよっ! 間に合わないでしょ!」
「そんなに引っ張らないでよ。っていうか、まだ七時前じゃないか。何に遅刻するって言うんだよ」
ぐいぐいとネクタイを引っ張ってくるみゃーに僕は家から引きずり出された。まだ朝ご飯も食べていないのに……
ねこのみゃー 四ヶ月後(前編)
四ヶ月後(前編) 「・・・暇だなぁ」 僕はソファーでだらんと横になりながら零した。外からはやかましい蝉の声。今日も猛暑日で、クーラーがないせいでとんでもない状況になっている自分の部屋から逃げ出した僕は、居間でぐでーっと
もっと読むねこのみゃー 二年前
二年前 「ただいまー」 僕は一人で家に帰ってきた。いつもならみゃーが一緒にいるんだけど、今日はみゃーは自分のクラスの文化祭の準備が終わってないとかで残っているらしい。違うクラスの僕が手伝うのもどうかと思うし、うちのクラ
もっと読むねこのみゃー 前日
前日 「たま」 「ん?」 突然呼びかけられた玉緒が声の方向を見ると、今からそっと顔を出した母親――黒石志摩子がちょいちょいと手招きをしていた。 「なに?」 父親は撮影旅行に出かけ、妹も学校に行っている時間帯。家の中に
もっと読むねこのみゃー 半年前
半年前 黒石美弥は隣の明かりが消えるのを確認して、ごろんとベッドへ転がった。十月も半ばを過ぎたこの日。美弥の通っている学校では文化祭が行われ、ほんの数時間前まで後夜祭だとバカ騒ぎをしている生徒達の輪の中に美弥もその身を
もっと読むねこのみゃー 三日目
三日目 チュン、チュンチュン。 遠くに雀の鳴く声が聞こえる。 「ん・・・・・・」 いつもと違う寝心地に僕は寝ぼけた頭で目を開いた。 その瞬間、一瞬で僕の頭は覚醒する。目の前にみゃーの顔があったからだ。 叫びそう
もっと読むねこのみゃー 二日目
二日目 「・・・・・・!!」 ん・・・ 何か聞こえる。世界の外から聞こえてくる声は音という形を取らず振動として響いてくる。 「・・・・ケッ!!」 んん・・・ その声に音がつき始める。確かに僕を呼ぶ声が世界の外から
もっと読むねこのみゃー 一日目
一日目 「ほら、早くしなさいよっ! 間に合わないでしょ!」 「そんなに引っ張らないでよ。っていうか、まだ七時前じゃないか。何に遅刻するって言うんだよ」 ぐいぐいとネクタイを引っ張ってくるみゃーに僕は家から引きずり出され
もっと読む