日は傾き、空は茜色に染まっていた。
 複雑な陰影を刻む雲の隙間からは、気の早い星々がうっすら光っているのが見える。
 雑居ビルの屋上に立っている詩穂は、移ろい行く空を眺め、じっとその時を待っていた。