女がいる。
 聖母のような微笑で男、女をたぶらかす女。
 現世に残る、たった一人のあやかし。

Cordial 亜見智2

亜見智 2  夜も明けようとする時刻。  いまだ暗い森の中、樹に背もたれ、亜見智は優しく歌う。  何年か前、毎晩のようにこの森に木霊した歌。  誰が歌っていたかは興味は無く、ただ膝を抱え穏やかな気持ちで聴いていた歌。  

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Cordial 亜見智1

 女がいる。  聖母のような微笑で男、女をたぶらかす女。  現世に残る、たった一人のあやかし。  成人したての女子のような姿で、長い間人の”性”を受けは生き。  何を目的とするわけでもない。  何がしたいわけでもない。

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