闇からの視線

　その日、東京は朝から霧の様な雨に包まれていた。
　只でさえ勤労意欲を削がれる鬱陶しい空を恨めしく睨みながら、四宮響子はタイトなスカートからすらりと伸びた脚を無造作に投げ出し、運転席から降り立った。

闇からの視線　6．闇からの視線

6. 闇からの視線「むぐぅぅっ．．．．．くっ、あぅぅっ．．．．ん、ふぁっ．．くぅぅ、ぐ、うぅ」　響子の感覚はもう意思から切り離されたかのように、女達の愛撫に翻弄され続けていた。　宏美のついばみが胸の穂先を熱く焦がし

5．リミット　クイッと動いた影一の顎を合図にケイトのナイフが首筋から離れ、彼女の脹ら脛に絡み付いているホルダーに納まった。「．．．で？私をどうしようっていうの」　心から憎む敵にいつもの強烈な視線を投げることすら叶わ

4．人形の館　カラン．．．．　心地よく流れるブルースに紛れ、溶け落ちた氷がグラスを鳴らすのを響子の意識がふと捉えた。　その僅か数秒、全ての嫌な事が頭から抜け落ちた刻が何にも増して心地よく感じられる瞬間．．．。「．

3．国家権力陥落「四宮課長ーっ、お電話でーす。外線４ばーん」　朝の喧噪に紛れるものかと、部屋の向こう端から受話器を掲げた署員が大きく声を張り上げた。　カチャッ「はい、四宮ですが」　強く耳に押し当てられた受話器か

2．飽食の微笑「あ、課長、ジュクのチンピラでそれらしいのが見つかったそうじゃないですか」　署内の食堂で食事中の響子を見つけた竹下がトレイを目の前に置くと無遠慮に席についてきた。　「ええ、午後の会議であなたにもそっ

1.夢幻の狂気　その日、東京は朝から霧の様な雨に包まれていた。　只でさえ勤労意欲を削がれる鬱陶しい空を恨めしく睨みながら、四宮響子はタイトなスカートからすらりと伸びた脚を無造作に投げ出し、運転席から降り立った。　新