第六話 夜の学校に忍び込むというのは、存外にたやすい。 もっとも、それは、部室棟に限定すれば、の話だが。旧館を再利用した部室棟は、新しく作られた教室棟本館よりも段違いに警備が薄い。運動部の部室がグラウンドに面している
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思えば薬局などという場所に赴いたのは随分に久しぶりだった。
果たして。
薬局屋の店員とは。
その頭に、黄金色に輝く尖った耳を生やし。
その尻に、ふさりと柔らかな尻尾を、いち、にい、さん、九本も、生やしていただろうか。
きつねの眷属 第五話
第五話 翌日には、もう早桐は学校に登校すらしていなかった。 俺の命令を違えた以上、あいつとしてはなるだけ早急に俺に謝罪なり何なりの形で誠意を見せておきたいはず。だのに、学校にも登校せず、どころかメールの一つも寄越さな
もっと読むきつねの眷属 第四話
第四話 「あら」 その、狐は。 ソラと共に店内に足を踏み入れた俺の姿を見て。意外、とも、予測済み、とも取れるような、なんともいえない笑みを浮かべ、会釈する。 俺は、その、人を小馬鹿にしたような態度に、内心のどこかで
もっと読むきつねの眷属 第三話
第三話 「ねぇ」 「何だ」 「お風呂、どこ?」 「ああ、階段下りて左……、っていうか、案内してやるよ」 結局その後、行為は本番には及ばなかった。 現実的には早桐は病み上がりの身体だし、ただでさえ体力消耗の激しい中、あ
もっと読むきつねの眷属 第二話
第二話 翌日学校に行くと、早桐の様子が少しおかしかった。 ほんのりと頬が薄ら赤い。といっても別に淫猥な意味ではなく、というか、まあ単刀直入に言うと、風邪をひいているようだった。 普段から、授業前の休み時間などを友達
もっと読むきつねの眷属 第一話
第一話 「はあ!? 昨日、あんだけ言ったのに、アンタ、また忘れたの!?」 「……仕方がないだろ、昨日は忙しかったんだ」 「忙しかった、じゃないわよ。アンタねぇ……、自分が、どういう立場にあるかわかってる? 一組の副委員長
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