響ワタルが「他人の思考を操る」という嗜好に目覚めたのは、記憶を辿ることができる限り6歳の頃であった。
 小児向けアニメのワンシーンでヒロインが不思議なアイテムによって操られて、嫌がるそぶりを見せつつも主人公にスカートをめくられることを許容してしまったり、裸は美の象徴だと思い込まされて一糸まとわぬ姿で空地を駆けまわったり、童話の筋書きに従って道行く旅人に衣服を一枚ずつ脱いで与えたりするシーンを食い入るように見つめていたものだ。