雑木林に、かくれんぼをする声が響く。
「もういいかい?」「もういいよ」
 帰ってきた返事はひとつだけ。
 それは、たったふたりだけのかくれんぼ。
 それでも、ふたりは幸せだった。
 それは、ふたりを繋ぐ夏の間だけの淡い想い出だったのだから。

かくれんぼ

「りゅーたクン、みぃつけた!」  頭上から降ってくるように、聞き慣れた、透明感のある声が聞こえた。植え込みの陰にしゃがんでいた龍太が見上げると、律子の顔が龍太の方を覗きこんでいた。 「みぃつかった」  龍太がそう答えると

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