職員室に戻り、自分の席に着くと自然とため息が漏れた。
 教師になって一月ほども経つが、未だにミスなく授業を終えられたことがない。
 ため息をこぼすと、隣の席で書類を整理していた沙織が体を向けてきた。「どうしました辰巳先生。授業で何かありましたか?」