「――メールを確認させてください。……はい、OKです。では好きなクジを引いてください。……はい、17番ですね。それが席の番号になるんで、座ってお待ちください」 年の瀬も押し迫る冬のある日。 数年ぶりとなる喫茶ヒプノに
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旧い遊郭の外縁にひっそり佇む喫茶店、ヒプノ。
以前はイベントバーとして暗く賑わったが、流行病の中で業務転換。
マスターの朝霞は新しい事業に手を出した。
(※拙作『喫茶ヒプノ』の続編ですが、読まなくても問題ありません)
新装開店・喫茶ヒプノ4
「照明はこの辺でいいんです?」 「あー……もう少し右に……ストップ。いい感じです」 夏真っ盛り。朝霞とミナモは冷房の効いた店内でスタジオの構築をしていた。 冷房は効かせているけれど、備品をあれこれ動かしていると額
もっと読む新装開店・喫茶ヒプノ3
連日の酷暑が厳しい夏のある日。 喫茶店としては定休日。空調の効いた店内にミナモはおらず、朝霞ひとりだけ。 自分で淹れたコーヒーを飲みながら動画を編集してると、朝霞のスマホが通知で震える。 『お疲れ様です。無事合
もっと読む新装開店・喫茶ヒプノ2
暖かな日差しが差す、ある春の日の昼。 少し暖かすぎるくらいの、ポカポカ陽気の喫茶ヒプノの店内。 ミナモは心配そうに、何度も何度も同じことを朝霞に訊いていた。 「本当に、ほんっとうに、未成年じゃないんですね?」
もっと読む新装開店・喫茶ヒプノ1
新装開店・喫茶ヒプノ-1- とある大都市の郊外の、前時代から残る寂れたアーケード街。 街灯は錆びて変色し、地面にはカップ酒と吸い殻が転がる。 これが他の場所だったなら、とっくに消滅しててもおかしくない惨状。 生き
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