第2話 僕はぼんやりと、その建物を見上げた。 最近は、家にいてなんとなく落ち着かなかったり、考え事をしたかったりすると、よくここを訪れる。 『県立近代美術館』──10年ほど前に設立された、まだ比較的新しいと言っていい
もっと読む「洋館」
夢の続き2 幕間 1
幕間1 夢を、見た。 翠色の、夢だ。 夢の中、『彼』が私に会いに来てくれた。 ただそれだけで、夢の中の私は幸せだった。 「だけど……」 夢の内容を思い出し、私は憂鬱になる。 彼に、あんな姿を見せてしまった。
もっと読む夢の続き2 第1話
第1話 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗いていた
もっと読む夢の続き2 プロローグ
プロローグ ……人を好きになるということが、こんなに簡単に、自然に訪れるものだなんて、これまで知らなかった。 普通に、普通の人のことを好きになることなんて出来ないはずの、普通の人を好きになる『資格』なんて無いはずの、
もっと読む浮遊館 第一章
第一章 エレクトラ誕生 「ご主人様、こちらが今度新しく入ることになった・・・」 「エレクトラ君だね」 「は・・・?」 ご主人様と呼ばれた男の前で、少女は思わず不審げな声を発した。 ご主人様と呼ばれた男は、まだ若くい
もっと読む夢の続き ending
ending 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗い
もっと読む夢の続き 第五話
第五話 「……あ」 目を、覚ました。 東向きの窓のカーテン越しに、穏やかな光が部屋の中へと射し込んでいる。 どこか遠くで、小鳥の鳴き声がした。 「センパイ…?」 部屋の中を見回すが、誰もいない。 僕は裸のまま上
もっと読む夢の続き 第四話
第四話 昼休み、学校の食堂はいつも通り混み合っていた。 キツネうどんを乗せたトレイを手に、僕は空いている席を求めきょろきょろと辺りを見回す。 「あ……」 空いている席を発見。 しかも、そこには知っている顔が座って
もっと読む夢の続き 第三話
第三話 “ぺちゃ……、ぴちゃ……” 静かな部屋の中に、淫らさを感じさせる水音が響いている。 翠色の夢の中、洋館の2階にある図書室。 ここにはいくつもの本棚が並び、そこにはびっしりと古めかしい本がたくさん並べてある。
もっと読む夢の続き 第二話
第二話 ……何かの音で、はっと目を覚ました。 あわてて周りを見渡す。 自分の、部屋だ。 制服のまま、ベッドに横になっていたらしい。 それが当たり前と思いつつも、どこか『ほっ』とする自分を感じる。 それほど、リ
もっと読む夢の続き 第一話
第一話 「おはよう、倉田くん」 高校の門のところで、聞き覚えのある声をかけられた。 後ろを向くと、やっぱり、見知った女子生徒が立っていた。 「あ、おはようございます。高島センパイ」 彼女の名前は、高嶋 由香里(たか
もっと読む夢の続き プロローグ
プロローグ 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗いて
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