降魔ヶ刻 第三話

第三話

 欲望の滾りを、少女の胎内に打ち込む。ほっそりとした腰を抱え込み、柔らかくそれでいて窮屈な、温かい柔肉に包まれながら、章司はその奥に精液を吐き出した。

「ぁ、……くぁっっ!」

 もうこれで、何度射精したのだろうか。姉妹のそれぞれに、彼女等の口や膣の中に、合計で十回近くは出しているはずだ。なのに、変わらぬ射精感による快楽を十分に味わいながら、章司は大量の欲望のマグマを排泄する。
 同時に、少女の生命力を貪り喰う快感がそれに重なり、彼の全身を満たす。

「ふう……」

 僅かに力を失った強張りを、性交でグチャグチャになった柔襞から、ズルリと引き抜く。
 少女はただ、ため息のような呼吸をもらしただけで、そのままベッドの上に弛緩した身体を預けた。
 姉の方も同じような状態で、全身をぐったりとさせて横たわっている。柔らかな乳房を持つ胸が、静かに上下し、息をしているのが分かるだけだ。
 二人とも、疲れ果てているのか、最後の方は反応が小さかった。ただ性器だけが、少年の行為に呼応し、彼と姉妹とに快感を味合わせているのを伝えてきたが。

『そろそろ、考えどきね』

 ――“声”が言う。

『これ以上続けると、この二人、生命力を吸い取られ過ぎて支障が出るわ』

 やりすぎってことか?

 確かに、あまりに気持ち良さと好奇心に突き動かされ、歯止めも効かせずに好き勝手してしまった。二人が姉妹で、しかも章司の好みのタイプだったから、尚更だ。
 少年の心に、怯えが走る。自分はこの少女達を、フォローのしようもないほどに壊してしまったのだろうか。

『大丈夫よ。まだ、そこまでじゃあない。しばらくは体調の悪い日が続くでしょうけど、後遺症が残る程じゃあないわ』

 とりあえずは、ホッとする。
 でも、それだけしたからには、もう十分な生命力を吸い取れたんだろうか?

『足りてないわね。死んでいるはずの貴方が健康体になれる量と、長い間封印されて弱っていたわたしが甦る分。この二人を全て吸い尽くして、それでも追いつかないわよ』

 じゃあ、他の獲物を探さなければか。

『そうね。ただし、あまり目立ちたくない』

 目立ちたくないってのは、まあ、賛成だけれど……どういう意味で言ってるのか、説明してくれないだろうか。

『繰り返すけれども、わたしは“封印された”のよ。そういう類の連中に見つかるのは、出来る限り避けたいの』

 俺達がこういう事をしていると、捕まえようとする連中がいるってことか。

『少なくとも、昔はいたわ。時代も変わっているし、まだそいつらが残っているかどうかは、分からないけれど。でも、彼等に嗅ぎつけられたら、わたしも貴方も、ただでは済まないでしょうね』

 キミだけではなく、俺も?

『何を言っているの。わたしがやられたら、貴方も力を失い、死ぬに決まっているじゃない』

 聞いてないぞ、そんなこと。

 背筋が、ゾッとする。けれども考えてみれば、当たり前なのかも知れない。事故で死ぬはずだった自分がこうしているのは、全て彼女という、現実から外れた存在のおかげなのだ。その彼女が、再び封印でもされたら、章司が無事で済むわけもなかったのだ。

『獲物を少人数に絞って目立たなくするのも、一つの方法。でも生命力を奪いすぎて死なれでもしたら、かえって衆目を集めるかも知れない』

 それは、勘弁して欲しい。人を殺すのは、イヤだ。

『かといって、獲物の数を増やせば、一人から奪う生命力は少なくて済むけれど、それはそれで発見される可能性が高くなる』

 どっちも、どっちということか。しかし、どちらが最善といえないのであれば、彼としては人を壊したり、ましてや殺したりしないで済む方がいい。そんなこと、考えるまでもない。
 これから、忙しくなりそうだ。

 ――もちろんそれは、章司にとっては不安であると同時に、心が躍る明日でもあった。

 結局、章司は朝までホテルに留まった。食い疲れた、というのだろうか、休みたい気持ちもあったし、なによりボロボロの服で家に帰ったら、家族が騒ぐ。

「あ、もしもし、姉さん? 章司だけど……」

 携帯電話を使って、自宅にいる彼の姉に連絡を取る。章司の両親は海外に出張しており、妹は全寮制の女子校に通っている為、帰ってくるとしても週末だけ。家には、章司と姉の二人しか住んでいないのだ。友人の家に泊まることになったと嘘をついたが、たびたびある事なので、姉もさして疑いはしなかった。

 朝になりチェックアウトした後、店が開くと同時に姉妹に服を買ってこさせ、着替える。
 別れ際、加奈子が縋るような眼差しを向けてきた。

「あの……また、声をかけてくれませんか?」

 彼女だけではない。姉の理沙も、運転席から媚びた目で少年を見ている。
 もちろん、彼はこの美人姉妹を手放す気は無かった。あまりにも勿体ないし、それに現時点では、エサとなる贄は少数に絞る必要もある。
 メールアドレスを訊ねると、二人は疲れにやつれた顔を輝かせて、彼に自分たちのアドレスを教えた。

 そのまま、学校に向かう。彼の通っている学園は、校則で私服も可となっているので、服のことは心配なかった。ただし時間的には、もちろん、遅刻だ。もう、三時限目が始まるところだ。
 しかし、それは今の章司にとっては都合のいいことだった。彼は教室には向かわず、生徒のいない廊下を、目的の場所目指して歩いていった。

「失礼します」

 ひと声かけてから、章司は扉を開けた。どことなく薬品臭い部屋の空気が、鼻腔をくすぐる。壁や床には気持ちを落ち着ける淡いグリーンが使われているが、カーテンやベッドに敷かれたシーツは、偏執的な清潔さを感じさせる白で統一されていた。
 保健室の持つ雰囲気というのは、一昨年まで通っていた中学でも同じだった。きっと、どこの学校に行っても、大して変わりばえはしないのだろう。

「どうしましたか?」

 養護教諭の一ノ瀬つかさが、椅子に座ったまま扉の方に振り向いた。シンプルなデザインの眼鏡越しに、涼しげな瞳が章司を見る。
 確か二十六歳になる彼女は、クールビューティーという言葉がぴったりの美人だ。生徒達にも人気がある。もちろん章司も、綺麗な顔や、白衣の胸元を押し上げる膨らみ、裾からすらりと伸びる細い脚に、普段から目を奪われていた。

 通勤時にはいつも、上品で高級そうなスーツを、背が高くスタイルの良い身体に格好良く着こなしている。乗っている車も、普通では買えないような値段の外国車。噂ではそうとう値が張る駅前の高層マンションに、一人暮らしをしているらしい。
 もちろん、卒業してまだ二年目にしかならない養護教諭の給料で、それらが賄えるはずもなかった。この美女は、お金持ちの家に生まれた、お嬢様なのだ。彼女の父親は、大学から小学校まで揃えている、この大きな学園の理事長である。

 美人で、金持ちの女教師。理事長の身内で、しかも彼女が任されている保健室は、カギもかかれば、ベッドもある。
 ――要するに、つかさは章司にとって、これ以上ないほどに都合のいい女だったのだ。

「どうしたの、授業中でしょう? 具合でも悪いのかしら」

 冷たい印象を与えるほどに整った顔が、少年に正面から向けられる。
 ざっと室内を見渡し、他に人間がいないことを確認すると、章司は彼女の視線に応える。長いまつげに縁取られた瞳を、彼の視線が捕らえた。

「あ……っ!?」

 視線で、女教師の視線を絡め取る。そのまま、自らの中にある欲望を――彼女の魅力に対して日頃から膨らませてきた淫欲を――つかさの瞳に注ぎ込む。
 女教師の身体が、速やかにそれに反応するのを感じる。つかさの内部に官能に対する欲求を伝染させ、全身に回った毒を、一気に引火させた。

「あぁ…はあっ、はぁ……なに、これ……?」

 見る間に、つかさの目元は上気していき、息遣いは熱を孕んだものへと変わっていく。それを確認しながら、章司は後ろ手にドアのカギを掛けた。掛け金の落ちるカチャリという音が、静かな室内にやけに大きく響く。
 自らの身体の変調に混乱し、椅子の上で震えている女教師に、章司はゆっくりと歩み寄った。

「あ、あなた……は?」

「二年二組の、坂下です。身体の調子が悪くて、直すのを手伝って欲しいんです」

「そ、そうなの。どこか、痛いのかしら」

 生徒に対していつも冷静な態度を崩さない彼女が、真っ赤な顔に怯えの表情を浮かべ、泣きそうな目つきで章司を見上げている。そんなつかさの姿は、少年に心地よい嗜虐感を覚えさせ、彼はますます昏い興奮を高めていった。
 舌なめずりでもしたい気分で、わざとらしく不思議そうな顔を作って、彼女に話しかける。

「先生の方こそ、どこか具合でも悪いんですか? 顔、真っ赤ですけど」

「そ…、そんなこと、ないわ。心配しないで」

 小さく首を横に振って否定する女教師に、章司はニヤリと嗤って見せた。

「嘘ですね」

 びくっと身体を強張らせ、つかさは椅子から立ち上がる。震える足で逃げ出そうとする女教師を、章司は易々と捕まえて、壁際に押しつけた。

「やだっ、離しなさい……離してっ!」

「先生、 『『 静かにして 』』 よ。誰か来たら、先生だって困るでしょうに」

 つかさの耳に、命令を注ぎ込む。この力の使い方も、大島姉妹を対象として大いに試し、楽しみ、そして学んだ。“力”を含ませた声は、耳から脳へと至り、彼女の意志を浸食する。
『視線』と『声』と、そして彼の『精液』。この三つをもって、彼は他人を――なにより女性を――操る力を得たのだ。

 息を飲んで言葉を失う彼女の前に、章司はしゃがみ込んだ。床に膝を付くと、膝上のスカートと、白衣の隙間から、黒いストッキングに包まれた魅惑的な脚線美を、ちょうど目の高さで鑑賞できる高さになる。
 細く長い脚の膝、その内側に手の平を添わせると、つかさの震えが伝わってきた。そのままじりじりと、掌で太股の内側を撫でながら、上方へと進めていく。滑らかな肌触りの高級なストッキングに包まれた、柔らかな内股の感触。これらを十分に堪能しながら、少年の指は、最後の目的地へとたどり着く。

「ひぅっ…さ、坂下君。お願い、……もう止めてっ」

 羞恥に唇を噛みしめながら、その隙間から絞り出された彼女の懇願の声を、章司は満足と共に無視する。壁を背にしている為それ以上逃げられないつかさの、最も秘やかな部分を、布越しに指先で弄ぶ。

「ふぅ……っ。い、…やぁ」

 形のいい眉を、今は情けなく歪め、涙を浮かべるつかさ。だが、すすり泣き混じりの彼女の息遣いに、更なる熱が籠もっていくのを、章司は見逃さない。
 たいした時間も経たず、少年の指先に、布地を染み通り滲んできた粘液の感触が絡みついた。ニチャリという濡れた音が、小さく、しかし確かに二人の耳に届いた。

「一ノ瀬先生、こんなに濡れてますよ。自分でも、分からないはずがないですよね」

「うう……っ、なんで、わたし…こんな……」

「良かったですね、先生。大声を上げたりしないで。こんな恥ずかしいところを誰かに見られたら、大変ですし」

 ふるふると力無く首を横に振る女教師だったが、それで何かが変わるわけでもない。執拗に秘所を嬲る章司の愛撫に、股間の染みは更に広がって行き、彼の指に絡みつく
 章司は彼女の腰に手をやると、ストッキングとショーツを引き下ろした。

「やだぁ…、やだよ……ぅ」

 少年の眼前に、よく手入れされた恥ずかしい陰毛と、濡れそぼった淫裂が姿を現す。男の本能に訴える香りを漂わせるその部分に、章司は引き寄せられるように顔を埋める。充血した敏感な部分に舌を押しつけると、つかさの内股にぎゅっと力が入るのが分かった。
 そのまま、湿ったスリットを舐め上げると、新たな熱液がじゅくりと隙間から滲み出てきた。男の根元的な本能をくすぐる香りを、鼻腔いっぱいに吸い込みながら、章司は指でその部分をかき乱し、舌先を更に奥へと進めていく。

「ふぐゥ……はぁっ」

 女教師の両手が、彼の頭を掴む。羞恥から少年を押しのけようとしているのか、それとも快感から抱きしめようとしているのか。どちらとも判断は付かなかったが、縋り付くような印象だけは感じられた。
 髪に感じる、女性らしい柔らかな掌の感触を心地よく感じながら、章司は更に先へと掻き進んで行く。

「だめ……それ以上、は…っ」

「そんなこと言っても、説得力がないですよ。『もっと素直に感じなよ』、先生」

 つかさの最も敏感な肉芽を探りながら、言霊を送り込む。その直後に、章司は彼女のその部分を、唇で強く含んでやった。

「ひっ…っっ!」

 白い顎を逸らし、つかさの喉から悲鳴にも似た声が発せられる。全身を小さく痙攣させたかと思うと、そのままズルズルと、背中を壁に預けながら、床へと座り込んでしまった。
 全力で走った後のように、はあはあと肩で息をするつかさ。

「あれ、そんなに気持ちよかったんだ。でも、生徒に舐められて、こんな簡単にイクなんて。先生もエッチだね」

「ああ、そんな……」

 ふるふると首を横に振るが、その否定の仕草にはまったく力が感じられたかった。
 顔を真っ赤に染め、耐えきれずに溢れた涙が、頬と、眼鏡のレンズの内側に滴を作っている。

 美しい年上の女性が見せる、そんな乱れきった表情に、章司は自分の中の興奮が一気に高まるのを自覚した。ズボンの中で、少年のペニスは痛いほどに膨張し、その存在を彼自身に認めさせようと喚き立てている。

「ほら、先生。せっかくベッドがあるんだから、そっちに行くよ」

 ストッキングとショーツを中途半端に下げられているのもあるだろうが、それ以上に、脚に力が入らないのだろう。足元が怪しい女教師を半ば抱え上げながら、章司は彼女をベッドの上に横たわらせた。
 手をもどかしげに動かし、ベルトとズボンのボタンを外す。窮屈な服の中から解放された彼の肉槍は、己を誇示するかのようにそそり立っていた。

「だめ……ダメよっ。そんな、先生と生徒なのに……」

 白いシーツの上を這って逃げようとする彼女を、章司はやすやすと抑え込む。足首を掴んでベッドの中央に引きずり込むと、そのまま両脚をまとめて抱えるようにして、腰の一を合わせる。
 彼の自制心も、限界に近づいていた。おおよそ、ほとんどの男子生徒達が憧れと欲望とをもって見上げ続けてきた、年上の美女。その彼女が抵抗も出来ずに、少年にねじ伏せられる為に、股間を濡らしているのだ。

「白衣の先生とヤルって、なんか興奮するね」

 女教師の羞恥を煽る発言を聞かせた後、少年はつかさの中に侵入した。

「やだ、やだ…っ、……あああっ!」

 熱く濡れていて、柔らかいくせに窮屈な、心地よい場所。突き込まれた章司の分身がそんな快感に包まれた瞬間、柔壺がぎゅうっと締まり、女教師は身体を震わせた。

「あ、ああ……あ」

 吐息が漏れ、その後で緊張がくたりと解ける。「はぁ、はぁっ」と荒い息をつく彼女を、章司は見下ろしながら訊ねた。

「先生、入れただけで、またイッちゃったの?」

「ううっ、……いやぁ」

 両手で顔を覆ってすすり泣く、つかさ。

「いいよ、先生。嬉しいなあ、そんなに感じてくれて」

 羞恥にむせぶ美女の表情を心から堪能しながら、章司はゆっくりと腰を動かす。ぬかるんだ肉筒の中で強直を油送させるたびに、にちゃにぎゃという厭らしい音と、つかさの口から漏れる喘ぎ声が、保健室の中に広がって溶けていく。

「でも今度イクときは、ちゃんと『イク』って口に出して言ってね」

 余り高級とは言い難いベッドのスプリングが、二人の動きにギシギシと音を立てる。外からは、体育の授業中なのだろう、男子生徒達が騒ぐ声が、遠く聞こえてきた。
 そんな学園の保健室で、こんな行為が行われているとは。しかも、理事長の娘が、男子生徒と繋がっているなどと、誰が想像するだろうか。

「先生の中、すごく気持ちいいよ……こんなに濡れてる」

「ああ、いや……そんなこと、言わないで……んんっ」

 言葉でも女教師を責め立てながら、お互いの敏感な部分を擦り合わせる。彼の動きひとつひとつに敏感に反応するつかさを、章司は恍惚とした思いで観察していた。
 もちろん、彼女がこれほど感じているのは、妖魔の力がそうさせているからである。それでも、自分の行為がつかさを快楽で啼かせていることそのものに、彼はますます心を猛らせた。

「分かるよね。俺のに、先生のが絡みついてくるよ」

 肉棒にまとわりつく熱い膣壁が、ペニスの凹凸に優しく引っかかり、腰が溶けるほどの快感を生み出す。つい一昨日までは自分の手の感触しか知らなかった、その部分。この愉楽に比べれば、なんとつまらない日々だったのだろう。
 腰の動きを大きくしながら、章司は夢中になって、つかさを犯す。その彼を、女教師の膣は、ぎゅっと抱きしめるように締め付けてくる。

「はあっ、はあっ……先生は、どう? 気持ちいいでしょ」

「んっ……ふあ、ぁあっ……いっぱい、……私の中、いっぱいで……はうっ」

 もはや、意識も朦朧としているのか。うわごとのように呟く、つかさ。
 そんな彼女の様子に気を良くし、章司は彼の突き込みに会わせて目の前で揺れる、ブラウスに包まれた胸の膨らみに手を伸ばした。

「あ……、ああっ!?」

 布越しに触れても、十分なボリュームと柔らかさを感じさせる乳房を、無遠慮に揉みし抱く。昨日の理沙も胸のある方だったが、つかさは間違いなくそれ以上の大きさだった。
手の平にあまる柔丘が指を押し返す感触は、男の征服欲をそそる。

「だめ……っそんな、胸までされたら、わた……しっ」

 膣だけでなく、新たに乳房への刺激まで加えられたつかさの躰は、主人の頭を焼き尽くすほどの快感を、勝手に脊髄に送り込む。それは、本来ヒトがヒトの手で与え合う快感など遙かに超えた、妖魔の力が成す淫楽だった。
 逆らいようもない圧倒的な愉悦の波に、つかさは引き裂かれ、呑み込まれてしまう。

「やぁ…やだ、わたし……いく…イッちゃう……っ」

「もうかよ。三回目だよ? でも、まあ……俺もそろそろ出したいし、いいか」

 腰ごと叩きつけるような激しさで、女教師を突きやる。
 つかさはシーツをギュッと握りしめ、歯を食いしばりながら、その激しい攻めを受け止めていた。秀麗な眉をきりきりと歪め、眦には涙の粒を浮かべている。

「いく、よ……先生の中で、出してやるっ!」

 自分を犯す生徒が洩らした言葉に、つかさはぎょっとしたような表情を浮かべた。

「ダ…だめ、外に……お願いだから、外に出してっ!」

 しかし、懸命に油送を続ける章司の耳には、彼女の懇願など届きはしなかった。それどころか、更に奥まで突き入ろうとするかのように、力ずくの動作で彼女の中を蹂躙する。
 胎内で荒れ狂う肉槍の暴虐に、つかさの妊娠への恐怖はあっけなく押し流され、快感に焼き尽くされてしまう。

「また…、いくっ、ダメ……ああ、ああぁぁっっ!」

「イケよ、く……ぅっっ!!」

 保健室のパイプベッドの上で、繋がった二人の体が、同時に硬直する。痙攣でも起こしたかのように腰を震わせ、章司は女教師の胎内に、ありったけの精液を放出した。ドクドクと脈打ちながら注ぎ込まれるそれとは逆に、つかさからも少年に、熱が流れ込む。

「ふう……」

 肺から大きく息を吐き、章司は秘裂から肉棒を抜き取った。後を追うように、ヒクヒクと動く隠唇の隙間から、彼の放った精液がとぷりと垂れ流れ出る。
 その刺激を感じたのか、ぐったりとベッドに身を横たわらせたつかさの唇から「ああ……」とため息のような声が漏れた。

 絶頂を迎えた後の脱力感を湛えた女教師の表情を、しばらくは満足そうに見ていた少年だったが、やがて呼吸が安定してくるのを待って、再び覆い被さるようにして彼女の頬に手を伸ばした。
 つかさの顔を上に向かせて、正面から、彼女の瞳を見つめる。

「一ノ瀬先生。今から先生は、俺の奴隷だからね」

「どれい……」

 呆然とその言葉を口からこぼれ落とした女教師に、章司は重ねて言葉を投げる。

「そう。俺の言うことは何でも聞く、俺が抱きたいときにはいつでも抱ける。そんな奴隷になるんだ」

「あ、あ……」

 ぽろぽろと、頬を伝わり流れる涙が、彼女の内部での葛藤を示していた。
 だが、終着点は決まっていた。“力”を乗せた、視線と言霊。そしてなにより、胎内に打ち込まれた章司の精子は、内部より彼女を穿ち、支配する。それに、ただの女性が最後まで反抗できるはずもなかったのだ。

「奴隷……なります。坂下君の、どれい……」

「じゃあ、さっそく、コレを綺麗にしてもらおうかな。先生のいやらしい液で、汚れちゃってるし」

 性交のなごりでドロドロに汚れた陰茎を、彼女の前に突き出す。彼が何を求めているのか、奴隷に堕ちたつかさは、正確に理解した。ほっそりとした首を伸ばすと、少年の股間に顔を埋めていく。

「ああ……はい、分かりました。失礼、します……」

 綺麗に口紅が引かれた唇が、彼の肉茎を咥える。
 出したばかりで敏感になった亀頭の部分を、口で弄ばれるくすぐったい感じが気持ちよくて、章司は昨日も大島姉妹に、なんども同じ事をさせていた。

 だが、つかさの口に含まれた彼に与えられた刺激は、姉妹のそれとはまったく違っていた。

「んぅ、……んん、れぁ……」

 口の中で、まるで別の生き物のように舌が蠢き、男性器の敏感な場所を撫でさする。唇も、それに連動するように、幹の部分をやわやわと締め付けて、刺激してきた。
 姉妹に舐めさせたときも気持ちいいと思ったが、つかさの口の中は、明かに違う。あまりの気持ちよさに、萎みかけていた彼の肉槍は、あっというまに元の亢奮を取り戻し、女教師の口の中いっぱいに膨張していく。

「うわっ」

 思わず声をあげてしまった章司に、女教師は驚いて顔を上げ、彼の方を見た。

「あの、……何か、失礼を?」

 目元を赤らめながら、上目遣いに問いかけてくる、つかさ。

「いや、なんか、あんまり気持ちよかったから。……やっぱり、誰かに教えられたの? 昔つき合っていた、彼氏とか」

 彼女の愛撫に翻弄された自分が恥ずかしくて、反射的にそれを誤魔化そうと、つい、そんな質問をしてしまう。

「そんな……」

 恥ずかしげに顔を俯かせようとする彼女の仕草が、妙に色っぽく感じ、章司はつい意地悪したくなって、つかさの顎に手をやる。顔を上げさせ、彼女の目を見ながら、もう一度質問した。

「命令だよ、先生。誰に教えられたのか、答えるんだ」

 背筋を震わせながら、命令を受けるつかさ。少年の目に抗うことも出来ずに、彼の問いに答える。

「すみません、坂下君の言う通りです。以前お付き合いしていた人に……」

「へえ、それって、どのくらい前のことなの?」

 執拗に訊ねる章司に、つかさは消え入りそうな声で口にした。

「……じゅう、…さ……」

「はあぁ?」

 驚きの余り、章司は間抜けた声を出してしまった。

「なに、先生。そんな頃から、男のチンポをしゃぶってるのかよ。――みんなに、聞かせてやりたいよな。学校中が憧れるつかさ先生の正体は、もう十年以上、ペニスをしゃぶり続けている変態です、って」

「イヤ……お願いします。そんなこと、しないで……っ」

 本当に泣きそうな顔で、ズボンにしがみつき、哀願するつかさ。歳上の美教師が自分に縋っている姿に征服感を満され、章司は手を伸ばすと、満足げに彼女の髪を撫でてやった。

「まあ、いいや。今はもう、先生は俺の奴隷だからね。口に出してやるから、頑張って舐めてよ」

「はい、ご主人様……ぅん、っ」

(“ご主人様”――ね)

 女教師の口から出てきた言葉に、内心呆れる。いったい、その男にどれほど仕込まれたのだか。なにしろ、まだそんなに若かった(幼かった?)彼女相手に、こうした行為に及んだ変態だ。いろいろと、他にも教え込んでいるのだろう。

 お嬢様育ちのクール系美女だと思っていたのが、思わぬ雌犬っぷりだ。

(今夜にでも、先生のマンションで、ゆっくりと確認させてもらうさ)

 だが、腰から力が抜けてしまうほどの気持ちよさは、本物だった。
 多少、気持ちは醒めてしまったが、章司の股間を痺れさせる快感は、それを補ってあまりあるものだ。男を悦ばすことを教え込まれた愛撫に、急速に、射精欲が沸き上がってくるのを感じる。もう長くは保たない。

「出すよ、先生……飲めっ!」

「ふぐっ!? ……んくぅ、んっ……コクっ」

 白い喉が何度か上下し、性欲の排泄物を嚥下しているのが伝わってくる。その感触をうっとりと味わいながら、章司は一滴残らず、精子を彼女の喉に流し込んだのだった。

< 続く >

感想を書く

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。