逮捕するわよ!-爆走のプロローグ-
私、只野瞳には、不思議な力があった・・・相手がウソをついているかどうかが分かる力だった。ウソをついていると、直感で分かる。この力のせいか、私は人の汚い部分を沢山見てきた。そして、この力を生かすため、私は刑事になることに決めた。私は警察学校に入り(いわゆるノンキャリアだ)、そして・・・永遠のライバル、剣崎羅奈と出会ったのだ。
私と剣崎は偶然にも同じ教場になった。ぐんぐんと成長する剣崎を、私も必死で追いかけていた。
「剣崎。あなたは何故警察官になろうと思ったの?」
「・・・誰だ?お前・・・」
「!!私は只野瞳!!同じ教場でしょ!!」
「・・・居たか?」
「居たわよ!!ふざけないで!」
「私は・・・過去にトラウマがある・・・それでだ」
「トラウマ?」
「・・・言いたくない。聞くな」
そして私は刑事課、剣崎は生活安全課へと配属された・・・
私が担当したある事件。そして結城龍正・・・何が正義か、正義とは何か考えさせられた事件・・・それが私を変えるきっかけとなった・・・
私はその事件を調べ、結城龍正が鍵を握っていると確信した・・・そして私は結城龍正の動向を調査することにした・・・
当時、結城龍正は中学3年。
自宅は高級マンション・・・金銭はどうやって工面しているのか。それも疑問だ。しかも当時、女性と同棲していた・・・その女性のほうはデータになかった。戸籍のない女性・・・捜査は難航していた。
結城龍正を尾行していると、必ずといっていいほどその女性に振り向かれた。じ~っと私のほうを一点に睨んでくるのだ。
「・・・・・・・・・」
「ん?どうしたんだ。敬」
「・・・つけられてる・・・」
「??・・・誰に?」
「・・・わからない・・・殺気はないけど・・・味方でもない・・・」
「それが分かるお前が凄いな・・・」
「・・・もっとほめて」
「凄いぜ。敬は、天才だな」
「・・・それほどでも・・・ない・・・」
結果、私は尾行ができず、遠くから監視するほかなかった。
そして得た情報は・・・世直し屋の情報。すると上層部から捜査打ち切るよう告げられた。いわゆる触れてはいけない部分だった・・・
それでも私は・・・結城龍正がまだ幼かったこともあり、接触することにした。
冬・・・2月2日。
もうすぐ卒業してしまう。私は決意して結城龍正と接触した。車を結城龍正の横につけ、話しかける。
「結城龍正・・・君よね?」
「・・・あなたですか。ずっと俺をつけていたのは・・・」
「・・・あの女の子・・・亡くなったみたいね。もう止めなさい。こんなこと・・・あなただけではなく周りの人間まで巻き込むわよ・・・」
「・・・止めませんよ。食っていけなくなりますから・・・それに折角立ち直ったばかりなのに傷を抉らないでくださいよ」
「・・・少し、話をしましょう・・・」
私は結城龍正と共に車に乗り込んだ。と、そこに無線が入った。殺人事件が発生したので現場へ急行しろとのことだった。
「・・・ここから近いわね・・・」
私は迷わずにその方向へ向けて走り出していた。
私は現場の倉庫へとたどり着いた。
「ちょっと車内で待っててくれる?ごめんね、つきあわせちゃって」
「わかりました」
結城龍正を置いたまま、私は車を降りて倉庫へと向かった。
中の様子を伺うと犯人は一人。人質も居ない。簡単に終わる。私は銃口を向けた。
「そこまでよ!もう鬼ごっこは終わり。観念しなさい!撃つわよ!」
犯人は男、皮ジャンとジーパン。中肉中背・・・いや、肥満型。その犯人は私に対して笑みを浮かべていた。
「何だ・・・女が一人か・・・警戒して損したぜ」
「何ですって!!」
「・・・・・・『女、お前は今から俺の性奴隷だ』・・・」
「??何をバカな―――」
私の体をいやな感覚が走る・・・こいつ・・・私に何かしてる・・・私の心に何かを・・・私は咄嗟に引き金に手を引こうとした。
「『女・・・全力で奉仕しろ・・・』」
「あ・・・」
私が引き金を引くより早く、犯人がそれを口にした・・・そのとき、私は腕を下ろしていた・・・
私は・・・
私は奉仕しなければ・・・こんなことをしている場合ではない。早く奉仕・・・
ここから私の記憶は曖昧になっている・・・しかも、第三者のような感覚だった・・・
私はすぐに上着を脱ぎ捨て、拳銃も放り出し、素っ裸になっていた。
「ご奉仕させていただきます。ご主人様・・・」
犯人は私を待ちわびるかのように、すでにペニスを出していた。それは硬く反り立っていて、そのときの私の気分を駆り立てた。
私は跪いてそのペニスを手に取ると、ゆっくりと口を近づけ・・・咥える寸前のそのときだった。
「何やってるんすか!!」
やってきたのは車で待っていたはずの結城龍正だった。
結城龍正が走ってくる・・・
私は・・・とっさに落ちていた銃を拾い・・・銃口を結城龍正に向けていた。
「・・・刑事さん?何の真似ですか」
「・・・邪魔を・・・しないで・・・」
私は引き金を引いた・・・
-パァン!-
乾いた音と共に、銃弾が結城龍正のわき腹に当たった・・・
「うぐ・・・く・・・」
結城龍正が膝をついた・・・
私は、再びフェラチオをしようと犯人のほうへ向きを変えた。
しかし、犯人の男が吹っ飛んだ・・・結城龍正が蹴り飛ばしたのだった。
私は奉仕しなければ・・・でもその相手が吹っ飛ばされた。結城龍正に・・・ふつふつと怒りが込み上げてきた。
「・・・邪魔を・・・するな・・・」
私は結城龍正を攻撃しようとした・・・しかし、その前に後ろから首を絞められた。
「お前の腕が震えていたから急所をはずしたんだ。残念だったな。お前は完全には操られていないらしい」
「何を・・・私は・・・正気よ・・・」
「少し寝てろ」
「く、はな・・・せ・・・・・・」
私は次第に意識が遠のき・・・
――――――――――――――――――――
只野瞳が気を失ったのを確認すると、龍正は犯人の男を捜した。
「ち・・・逃げやがったか・・・しかも刑事の拳銃を・・・」
2階に上がると、犯人が待ち構えていた。
「貴様のようなガキが!のこのこと死にに来るとはな!」
「うるせえ・・・おっさん・・・能力者だな」
「ああ。俺は60分間相手の『設定』を変更できる・・・言葉だけでな!『貴様は人質になれ!』」
「・・・」
龍正は身構える・・・そしてステップを踏んだ。
「やなこった!」
犯人は、龍正に力が通用しないことにあせり、慌てて射撃する。龍正はそれをすべて避けた。
「な、何故だ!何故貴様は変わらない!しかもその速さは何だ!何者だガキィっ!」
「俺も能力者・・・しかも万能型だ・・・貴様は俺に能力を使ったのか?それとも『使ったと思い込んでいる』のか・・・」
「く!ガキがっ!!」
そして龍正は犯人に強烈な蹴りを浴びせた・・・犯人はそのまま一階へと落ちた。
「やれやれ・・・戦闘とライブラリーの併用はきついな・・・ま、警察も二階までは調べに来ないだろ・・・」
龍正はそのまま気を失った・・・
・・・・・・・・・・
警察のサイレンの音で龍正は目が覚めた。とはいっても体はまだ満足に動かなかった。
「う・・・終わったのか・・・それにしても、ライブラリーは使ってないと鈍るんだな・・・」
「そう・・・ライブラリーって言うのね。あなたの力・・・」
「ああ・・・・・・ん?」
龍正が振り返ると、そこには全裸のまま服を持っている只野瞳が・・・
「っ!!け、刑事さ――」
「しっ!!」
龍正の口を瞳がふさぐ。
「サイレンの音で目が覚めたら裸だったからとりあえず二階に逃げてきたの。そしたらキミが居るじゃない。で、キミが犯人を倒したんでしょ?」
「え、ええ・・・まあ・・・」
「んで、お腹の傷は犯人とやりあったときの?」
「・・・ええ。まあ・・・」
それを聞くと、瞳は少し困った顔をした。
「そう・・・やっぱり私が撃ったのね・・・キミを・・・」
「え?」
「私ね・・・相手がウソをつくと絶対に分かってしまうのよ・・・」
「・・・刑事さんも能力者・・・」
「世の中にはそういう力もあるみたいね・・・」
「力の名前は何て言うんですか?」
「名前?別にないけど・・・キミなら何てつける?」
「そうですねぇ・・・ウソを見抜くという意味で・・・『ペネトレイト』とか・・・」
「へぇ・・・ペネトレイト・・・うん。いただくわ。今日からこの力の名はペネトレイトね」
瞳は龍正の隣に座った。手にした服で体を軽く覆い隠していた。
「・・・正直複雑よ。キミを逮捕するべきかどうか・・・キミは犯罪者を相手にしていて・・・『世直し屋』にしたって、極端な話『死刑執行人』にしたって・・・認めがなければただの殺人・・・世の中では、家族の了承があっても延命治療をやめることは殺人、となることもある。誰が迷惑を受けたの?被害者のための法律なのに、結局は犯人のための裁判なのよ。それにキミの事件を追う時間があれば、私が何人も他の犯人を逮捕できるかもしれない・・・」
「・・・俺は檻から出た人間ですよ・・・刑事さんはスピード違反を捕まえるときにスピード違反するでしょう?俺は公認でない・・・だから罪、なんですよね・・・」
瞳は複雑そうな表情で、しかし、自分の意志を曲げない、といった様子で答えた。
「私たちは正義のためにやっているからね・・・」
「俺はライトとは違う・・・新世界なんて規模に興味は無いし、目に付くところだけで手一杯・・・それにゼロとも違う・・・駒を使うんじゃなく、俺自身が真っ先に戦う。それが俺の信念だから。ですが・・・なんとなく、放っておけないこともあるんです」
「でも、そういうことは私たち警察や検察に――」
「きれいごとで済むなら俺は用無しですよ・・・刑事さんも沢山見たでしょう?その力、ペネトレイトを以ってすれば確信は得られる。でも証拠にはならない・・・分かっているのに罰せられない。そのもどかしさを・・・理想と現実の違いを」
ずばり自分の悩みを言い当てられ、瞳は笑ってごまかした。
「・・・キミは不思議な子ね・・・こんな危ないことをしなくても、普通に暮らしていきたいとは思わないの?」
「このライブラリーがそうさせてくれなかった・・・捨てられたときも・・・弟を失ったときも・・・最愛の女(ひと)を失ったときも・・・俺自身は平凡に暮らしたかった。両親と・・・弟とだって過酷な虐めにも耐えた・・・彼女の心も闇から救えると思っていた・・・結果は知っての通りです」
「そう・・・ごめん・・・」
「謝らないでください。自分で決めた道です・・・決めたんです。これから俺は絶対に負けないと」
二人は黙り込んだ・・・そして、瞳は大きく息を吐き出すと、決意した表情で龍正に話しかけた。
「・・・決めたわ。私、この事件はもう追わない・・・もっと他の事件を追うわ」
「え?」
と、瞳が龍正を抱きよせた。ちょうど龍正の顔が瞳の胸にうずまる。瞳は結構胸が大きかった。
「け、刑事さん?」
「・・・瞳さん、でいいわよ・・・」
龍正の耳にドクン、ドクンと瞳の鼓動が聞こえていた。次第にその鼓動は早くなり、ドクッドクッと龍正に伝わっていた・・・
龍正が顔を上げて瞳の顔を見る。瞳の顔は高揚して、目は潤んでいた。瞳がつぶやく。
「・・・かわいい・・・」
「え?」
「・・・たべちゃいたい・・・」
「ちょ・・・どうしたんですか?」
だんだんと瞳の様子が異様になっていく・・・
「違うわ・・・私、こういうことしないもの・・・オナニーもしないの・・・禁欲してたの・・・」
「今まで抑えてた反動?(ライブラリーを使いたいが・・・今使ったら確実に意識を失う・・・そんなことになったら・・・俺は犯されつくした後で、誤解を受けて逮捕?おいおい・・・)」
瞳は、龍正の唇に貪りついた。舌を入れ、唾液をすすり、舌を絡ませ・・・まるで獣のようにディープキスを続けていた。
「んん・・・」
涎が瞳ののどを伝う。そして胸元を伝っていく・・・
瞳は犬のような呼吸をしながら、龍正のズボンのファスナーを下げる・・・そして強引にずり下ろし、龍正のペニスを取り出した。
「ひ、瞳さんっ!!正気に戻って!!」
「ふふ・・・剥いちゃうわよ・・・」
ミルクを舐める猫のように、ぺろぺろとペニスを舐める。それにつられ、龍正のペニスもむくむくと巨大化してきた。
「あはっ♪何これっ、いいもの持ってるわね」
「ひ、瞳さ・・・」
あまりの瞳の変貌振りに、龍正は次第に追い込まれていった。
「う・・・で、出るっ・・・んっ・・・」
瞳がペニスを口から離すと、おびただしい量の精液が瞳の顔に飛び散った。
髪にも飛び散り、あまりの量を被ったため、龍正はなんとなく謝ってしまった。
「す、すみません・・・」
瞳は相変わらずぼ~っとした目をしたまま、厭らしい笑みを見せた。
「んふふふふ・・・すんごい量・・・かわいい・・・」
「へ?」
「この歳でこの硬さ、この太さ、この大きさ・・・それに形、この量・・・成人するのが楽しみだわ・・・さっさと私の印を刻まないとね・・・んふふふふっ」
「こ、これは・・・暗示の性格が復活しているのか?消したはず・・・」
「なぁに言ってるの?さあ、今度はこっちへ出して・・・んふふふふっ」
瞳は龍正にお尻を向けると、指で恥部を広げた。まだ使い込まれていないため凄く綺麗だった。勿論、龍正にとっては敬のほうが良かったわけだが・・・その敬ももう居ない。
「ん?そっか・・・セックスなんて慣れてないのね・・・心配しないで。私も初めてだから・・・」
見かねた瞳は、騎乗位の体制になると龍正のペニスの上に腰を下ろした。
(と、とても初めてには見えないが・・・これも暗示の影響か?)
瞳の中にペニスが入っていく・・・
「ん・・・ん・・・・・・入ったぁ・・・ぴったりね・・・」
「くぅ・・・あ、熱い・・・」
瞳はさっそく激しく上下に動き始めた。
「んっ、ふっ、んっ・・・」
まだ性技が豊富でない龍正は、ただただ射精をこらえていた。
「うう・・・き、きつ・・・」
瞳は激しく髪を振り動かす。すでにさきほどの精液は固まりつつあった。だが、龍正の反応を見ながら、うれしそうな顔を見せていた。
「ああん!だめよ!いいっ!だめっ!いいっ!!」
何故か駄目と良いを繰り返す瞳・・・これにはちゃんとした意味があった。
(駄目ぇ・・・私をそんな目で見ないでぇ・・・私、こんな猥らな女じゃない・・・違うのに・・・違う・・・はず・・・駄目なのぉっ!!でもやめられないのぉぉっ!!)
そしてもうひとつの感情。
(ああっ、なんて初々しくてかわいいのっ!!その表情!!たまんないっ!!見てるだけでぞくぞくする!イッちゃいそう!!)
「あはっ、キミは絶対テクニシャンになれる!!私がその一歩目!!いいっ!!イッちゃう!!イッちゃううううっ!!!!」
瞳のあえぎ声は、誰も居なくなった倉庫でひときわ響いていた。
そして、瞳は何度も何度も絶頂に達した。それは自らの意識がなくなるまで・・・
・・・・・・・・・・
その5時間後・・・
二人は瞳の車でくたびれたまま休んでいた・・・
龍正が文句を漏らした。
「どうするんですか・・・服・・・ぐちゃぐちゃじゃないですか・・・」
「・・・ごめん・・・私、どうしてあんなこと・・・」
瞳は顔についた精液を取ったが、髪についたものはすぐには取れそうになかった。
「・・・・・・んふふっ」
瞳はときどき思い出し笑いをしていた。全ての負の要素を踏まえた上で、さっきの快感があまりにも良かったのだ。
その姿を見た龍正が警告する。
「もう二度としないでくださいよ!」
「・・・うん。しない」
あまりにもあっけない瞳の返事に、龍正は別の意味の危機感を感じ取った。
「・・・じゃなくてですね・・・え~と、今度からはこまめに性欲を発散してください」
「えっ!?」
瞳の顔がみるみる赤くなる・・・
「いやいやいやいやいや、そうじゃなくて!自慰とか。溜め込むとダメなんですよ瞳さんは。きっとあのときの暗示で変な風に分離してしまったんじゃないですか?」
「・・・分離?・・・溜め込んだら・・・また、あんな風になっちゃうのかしら・・・」
瞳の目が潤み始めた。
「・・・もう何を言っても泥沼か・・・」
「心配しないで。もう私微塵も男性に対して性欲が湧かないから。たとえ今日のことを思い出しても変な気にならないし」
「い、いや・・・だからそれが問題なんで・・・こまめに発散を――」
「今だってね、気持ちよかったとは思うけどもう一回したいとは絶対思わないもの。心配しすぎよ」
龍正がぼそっと呟いた。
「・・・さすがペネトレイトの女だな・・・」
「え?何?」
「何でもありませんよ・・・」
それからの龍正は、高校、大学、そしてDEOPETと、何かから逃げるかのように転々と位置を変えた・・・
――――――――――――――――――――
・・・そしてその後、熱血タイプになった私は、上層部に生意気だと目をつけられた・・・ある一人の検事に協力したとき、その検事は私を目の敵にした。そして・・・特殊能力犯罪捜査員、PACIDが設けられた・・・
私ともう一人、松坂舞が特殊能力犯罪対策室に配属された・・・この松坂舞というのは恐ろしいほどトラブルメーカーらしい。いわゆる厄介者を排除した、ということなのだろう。
「ねえ松坂・・・ペネトレイトってどういう意味?」
「え?な、なんですかぁ先輩・・・マジで言ってますぅ?」
「ええ・・・まじめに言ってるわよ」
「えと、貫くって言う意味から・・・挿入のことですよ」
「!!!!あ、あのガキ~っ!!」
まだあきらめない!私たちの特権、能力犯罪者を現行犯逮捕できる。これがあればまだ戦える!!そして・・・ぺ、ペネトレイトがあれば・・・(く~っ、意識しちゃう)
さっそく情報が入った・・・DEOPET。間違いない。あの子だ。あの子は確かに今でも戦い続けている・・・
私はDEOPETへと向かうことにした・・・
< END >