2nd plane・「リファイス」と「シオン」と「先生」
登場人物:
レオン・・・天界から来た天使と悪魔のハーフの美男子。明日香に名づけられる。天界ではシオン。天使術『マスターオブスペース』で相手を支配する。
明日香・・・男の人(父親代わり)が欲しいと願った小3。マイペース。
美佳・・・明日香の母。天使術でレオンのセックスフレンドに。
≪「前編だよ~♪」by明日香≫
-ピピピピピッ-
目覚ましの鳴る音で美佳は慌てて目を覚ました。
「い、いっけない!!今日は会議があったんだった!!」
準備をしようとしていたら眠ってしまった。
一体いつの間に眠ってしまったのだろう・・・
起き上がろうとして下腹部の異変に気がついた。そして昨夜の記憶がよみがえる。
そう。美佳はレオンとの激しいセックスで失神したのだ。
「うっ・・・は、激しすぎたかな・・・」
腰をさすりながら起き上がり、さっそく仕事の書類をまとめる。
時計を見る。いつも余裕を持って起きている為、まだ時間はある。
美佳は身体を洗うために風呂場に向かった。
美佳が風呂場に向かうと、誰かが既に風呂場を使っていた。
「・・・レオン?」
シルエットにはレオンの大きな翼が見えていた。
(翼がある・・・やっぱり天使なのね)
美佳の気配に気付いたレオンは、翼を引っ込めてシャワーを止めた。
「借りている。使うか?」
「え、ええ・・・」
美佳がそう言うと、レオンはさっと身体を流して風呂場から出てきた。
自然と美佳の目が全裸の下半身に落ち、昨日の事を想像してしまう。その胸板・・・腕・・・指・・・腹筋・・・発散したばかりでなければ再び発情してしまうところだ。美佳はそんな感情をレオンに悟られないように、慌てて風呂場に入った。
「ふう・・・昨日のことがあってから意識しすぎちゃってる・・・あ、そういえば中に出しちゃったわね・・・大丈夫かしら・・・」
美佳はシャワーの蛇口を捻って下に目線を落とした。
「ん?・・・何かしら・・・」
排水溝のところに小さな黒い羽根が落ちていた。
「黒・・・そうか。だから隠してたのね・・・」
食卓では3人が並んで食事をしていた。パンとハムエッグだった。
明日香がパンをかじりながら喋った。
「ねえ。レオンも学校に行くよね?」
「何を言ってるの明日香!レオンは小学生じゃないのよ!迷惑でしょ!」
「・・・嫌!レオンのこと皆に自慢する!いいでしょ?レオン」
レオンは表情を変えずに答えた。
「分かった。俺も行こう。天使術があれば問題ない。家に居ても暇だからな」
こうしてレオンは学校に行くことになった。
通学路・・・
明日香のすぐ後ろをレオンが歩いている。
そこに女の子の集団が入ってくる。
「おはよう!明日ちゃん!!」
「おはよーっ」
「おはよ~」
楽しそうにお喋りしながら学校に向かう。
集団の1人がレオンを指差す。
「ところで・・・あの人誰?」
明日香はまだレオンの紹介をしていなかったことに気がついた。
「ああ。あの人はレオン。私の付き人なの」
「付き人って何~?」
「え~?意味わかんない~」
『マスターオブスペース!!』
レオンが術を使った。
みんなの身体が止まって虚ろな表情になる・・・
レオンは、手をかざして何かを呟いた。
『リリース!!』
はっと気がついた少女達は辺りを見渡し、レオンに気がついた。
「あ、レオンさん。おはようございます!!」
「レオンさん。おはようございます!!」
少女達が途端にレオンに親しくなる。
「いや~。レオンさんってカッコイイよね~」
「あんな人が付き人だなんて羨ましいぞ!明日ちゃん!」
「・・・私も毎日お願い事しようかしら・・・」
レオンは何食わぬ顔で少し後ろを歩いていた。
明日香はそんな様子を感心して見ていた。
「ふ~ん。さっすがレオンね~」
学校・・・
授業が始まると、レオンは校庭の木の陰に寝そべっていた。どうやら教室に居て明日香を見守るというわけではなさそうだ。明日香の担任も既にレオンの術で誤認している。
レオンは目を閉じ、天界の事を思い返していた。
――――――――――――――――――――
5年前の天界・・・
あたりに広がる雲の足場と大地。そして大地には草木が生い茂っている。
5年後にレオンと呼ばれる男は雲の上で寝そべっていた。
ここはルナ地区一の大きな大樹「カーラーン」のある場所。聖域とされ誰も近づかない。
その男の下に一人の影が近づき、男の側に立ってこう言った。
「君っていっつもここに1人で居るんだね」
男が顔を上げると、そこには美しい女性が立っていた。女らしい曲線を描いた・・・いわゆる黄金比の体型。整った顔。美しい茶髪が風になびいている。白い衣装をまとって翼を広げた、まさしく天使の中の天使だ。
「下界・・・」
男はまた目を閉じてボソッと呟いた。
「え?下界?」
女性は、興味深そうに男の側に座った。
「ここで目を閉じて魔力を使えば下界の事が見える・・・多分カーラーンのマナがそうさせているんだろうが・・・詳しくは知らない」
「ホント??」
男の横に女性が寝そべる。
「あ、ホントだ~。下界の様子が見える・・・不思議ね・・・へぇ~。しかも自分の意志でいろんなところが見れるんだ・・・」
静かな時間が流れる。
女性はおもむろに上半身を起こして男の顔を覗き込んだ。
「・・・ねえ。あなたの名前は何て言うの?」
「名前?俺に名前は無い。お前も聞いたことぐらいあるだろ?」
「でも、呼ぶときに困るじゃない」
男は少し嫌そうな顔をして呟いた。
「悪魔の子・・・とか呼ばれている」
女性はその言葉を聞いてすっと立ち上がった。
「ダメよそんなの!私が名前付けてあげる!・・・そうねぇ・・・・・・シオン!!シオンっていうのはどう?下界の限られた地方にまれに咲く花の名前よ。優雅な花を咲かせるらしいわ」
「どうもこうも勝手に決めるなよ。俺は認めない」
「じゃあ私だけの愛称にするわね!シオン!・・・あ、私そろそろ集会の時間だから行くわね」
女性がゆっくりとその場を離れる。
「名前・・・」
“シオン”はそのまま姿勢を変えずに呟いた。
その言葉で女性は振り返り、自分の名を告げてなかったことに気がついた。
「えっ?・・・あ、私の名前ね。私はリファイス。天使第5階級のリファイスよ」
「第5・・・エリートなんだな」
シオンは改めてリファイスをじっくりと観察した。
「あら、ありがとう!」
リファイスが笑顔を見せた。シオンはぷいっとリファイスと反対を向いた。
「また会いましょうね!」
リファイスは翼を広げ、そのままふわりと宙を飛んでいった。
これが『シオンにとって』のリファイスとの初めての出会いだった。
数日後・・・
シオンは人影の少ない場所で翼を開いていた。人知れず翼を動かして、感覚が鈍らないようにしているらしい。人に見られるとバカにされる・・・そういうトラウマがある。
「へぇ~。黒い翼か~・・・びっくりしちゃった。あの日からいつものカーラーンの場所に居ないから。もしかして私を避けてる?」
リファイスがまた人懐っこい笑顔を見せて現れた。
「な、何だよ・・・俺に近づくな」
「・・・どうして?」
「何?」
「どうして近づいちゃいけないの?」
「お前が天使で俺は天使では無いからだ」
「関係ないわ。そんな事・・・ねえ。もっと見せてよ。その翼」
シオンは何も言わずに翼を引っ込めた。
リファイスは少しがっかりして呟いた。
「あ!・・・あ~あ・・・そんなに嫌わなくてもいいじゃない・・・」
「五月蝿い!俺に話しかけるな!」
シオンはリファイスから離れるようにその場所を移動した。
「あ、ねえ!この羽根・・・貰ってもいい?」
リファイスは落ちた黒い羽根を拾ってひらひらと振って見せた。
「・・・好きにしろ」
シオンは即座にその場を離れた・・・
リファイスが話しかけるたび、シオンは面倒くさそうにあしらった。それでもリファイスは気にする様子も無くシオンに話しかけた。
シオンはいろいろな天使を抱いていた。一応シオンなりに相手は選んでいる。少しでも自分に気があれば抱く。嫌われていれば抱かない。ただ、シオン自体は悪魔の血があるとは言えかなりの美形なので、少し揺さぶればほとんどの天使が本能的にシオンに抱きつく。つまりは多くの天使がシオンと抱き合うということになる。
その頃、リファイスと数人の女天使が宮殿内を歩いていた。
「ねえリファイス。聞いた?あの悪魔の子、天使たちに手を出すんですって!」
1人がリファイスに話しかける。
「え?そうなの?」
リファイスは初耳の顔をしているが、実際はとっくに知っていた。
「少しでも抱かれていいかもって思ったら抱かれちゃうんだってさ~」
さらに別の天使は顔を赤くしてそのときのことを話し始めた。
「実は私も一回されたのよ・・・でもねえ・・・最初は嫌なんだけど、あの顔を間近で見てるとドキッてしちゃうのよ~・・・カッコイイもの~。罪な顔よね~」
「そうなの?わ、私も気をつけなきゃ」
「しかもさあ。これがすっごい上手なんだって!・・・ああ・・・あの身体・・・たまらないわぁ・・・」
遠くを見るような潤んだ瞳・・・
「ちょっとちょっと!相手はあの悪魔の子よ!?術で感情を変えられてるんじゃないの!?」
真面目そうな天使が間に入った。
「そんなこと言って・・・実はあなたも抱き合ったことがあるんでしょ?」
「ええっ!?そうだったの!?」
「・・・な、何で知ってるのよ・・・」
真面目そうな天使は顔を赤くして俯いてしまった。
「うっそ~!超意外~!」
「で、気持ちよかったんでしょ?」
抱かれた天使が茶化す。
「・・・そ、それは・・・」
真面目そうな天使はシオンとのセックスを思い返してしまった。
「あ、目が泳いでる~!!」
「でもリファイスほどの美人が何で狙われないのかしら」
ある天使がふと疑問に思った。確かに、この中では・・・いや、同期の中でも群を抜いて美しい。
リファイスとしてはシオンが自分に手を出さないのが不満だった。嫌われているような気がしていたからだ。
「あ、私嫌われてるから~」
リファイスはおどけてみせる。内心は嫌な汗を掻いていた。気まずくなったリファイスは小走りで走っていった。
その数時間後・・・
カーラーンの地で、シオンとリファイスが並んで寝そべっていた。
リファイスはシオンを見ながら核心に迫る質問をした。
「ねえシオン。他人とどう接していいか分からないんでしょ?・・・きっと今までシオンに接した人がいなかったから・・・」
シオンの眉がピクンと動いた。
「・・・そうだ・・・俺にとってはお前が初めてだ・・・初めて話しかけてきた天使だ」
子供の頃から拒否され続けたシオンにとって、リファイスのように相手から向かってくることは考えられなかった。
リファイスは少しほっとした様子で続けた。
「別に考える事なんて無いわよ。無視されるほうがよっぽど傷つくものなのよ?」
シオンは少し考え込むように呟いた。
「・・・何故得体の知れない俺に優しく出来る?・・・本当に本心から接してるのか?何か裏があるんじゃないか・・・そう思って仕方が無い・・・」
「そんなの関係ないわ。気になったから声をかけただけ。私はシオンが好きなの。天使とか悪魔とかじゃなくて、人として」
シオンが身体を起こしてリファイスを見た。
「リファイス、天使ってどんな仕事をしてるんだ?どうやったら天使になれるんだ?・・・教えてくれ・・・」
ぎこちないながらも初めて自分から話し始めたシオンに、リファイスは笑みを浮かべた。
「ええ。よろこんで」
シオンはリファイスから色々な話を聞いた。リファイスもシオンの事を知りたがった。
リファイスはシオンを連れていろんな場所を案内していった。
劇場・・・図書館・・・宮殿・・・
相変わらず周囲の目は冷たいものの、シオンはリファイスに何でも打ち明けるようになっていた。
だが・・・シオンは自分に階級が無いことを不満に思っていた。第5階級のリファイスは事務作業や下界の付き人をこなしている。リファイスと親しくなるほど、一人の時間が余計に辛くなってきた・・・
シオンは前にも増して他の女性を抱くようになった。そのことは、リファイスの耳にも届いた。
「ねえ・・・どうしてシオンは気持ちの無い人を抱けるの?」
ある日リファイスは、真剣な眼差しでシオンを問い詰めた。
「・・・ど、どうしてって・・・抱きたいと思ったから抱くんだよ」
「っ!!!・・・ひ、酷い・・・酷すぎるわ!!」
リファイスはシオンにビンタして飛び去ってしまった。
「・・・な、何なんだよ・・・」
シオンはそんなリファイスの行動が分からず唖然としていた。
その日からリファイスは、シオンを見てもそっぽ向くようになった・・・
リファイスがシオンを避けるようになってから数週間後・・・
シオンは再びカーラーンの地で寝そべっていた。
「シ・・・オン?・・・」
シオンが目を開けると、リファイスが悲しそうな目でシオンを見ていた。
「分かったよ。退くよ」
嫌われたと思っているシオンはそう言って立ち上がる。
「シオン!!」
リファイスがシオンに抱きついた。体を震わせてすすり泣いている。
「・・・何かあったのか?」
シオンはとりあえずリファイスを抱き寄せた。
「うわああぁぁぁん!!シオン~!!」
「・・・・・・んんっ!!」
シオンは力を入れてバサアッと黒い翼を出し、リファイスを包み込んだ。
(っ!!?・・・あ・・・あったかい・・・)
リファイスの心を安心感が包み込んだ。
リファイスが落ち着いたところで話を聞いた。やる気が空回りして任務に失敗してしまったらしい。願い主が言った一言・・・『あんたなんか要らない!!』という一言が胸に深く突き刺さったようだ。
「そうか・・・」
シオンはただただ聞き手に徹した。
リファイスは潤んだ目でシオンを見る。
・・・誘っている・・・
シオンがそれに対して湧き上がる自分の感情に戸惑う。今すぐ抱きしめたい。その顔、その身体を・・・
「シオン・・・どうして私を抱いてくれないの?私・・・シオンを避けてたから嫌われちゃったのかな・・・ごめんね・・・嫉妬しちゃって・・・」
まだ涙ぐんでいるリファイスの声・・・
「お、俺はお前を傷つけたくない・・・お前は大事なんだ・・・だから・・・触れたくない・・・」
シオンはそういってリファイスから目を逸らした。
ここで手を出して失敗してしまったら、また孤独になってしまう。何より、相手の気落ちを配慮したセックスなど考えたことも無かった。このままの関係で居ることがシオンにとって一番無難だった。
「そうだったの・・・シオンの気持ちも分からないなんて・・・だから失敗するのね」
リファイスはその言葉で少しほっとしたような・・・少しがっかりしたような気分になった。
「俺だって・・・リファイスの気持ちは分からなかった・・・」
シオンはリファイスをしばらく抱きしめていた。
「私・・・シオンが好き・・・愛してる・・・」
リファイスがそう言うと、2人の視線が重なった・・・
しかし・・・シオンの視線には困惑の色も含まれていた。
「俺も・・・リファイスは好きだ・・・けど・・・悪い!!」
シオンはリファイスを抱いていた腕をほどき、慌てて黒い翼で飛び立った。
母は悪魔の自分を身篭ったから死んだ。そう思っているシオンにとって、悪魔の血は天使にとって毒物だと思っている。
「どうして!!?血なんて関係ない!!あなたはあなたなんだから!!血なんかで諦めないで!!シオンのお母さんが諦めずにあなたを産んだように!!」
シオンは叫んでいるリファイスに目もくれずに遠ざかった。
「・・・母さんは仕方なく俺を生んだだけだ・・・そして・・・俺のせいで・・・」
シオンの目から涙がこぼれた。
それから、今度はシオンがリファイスを避けるようになった。
リファイスが何を言っても追いかけても、シオンはどこかに逃げてしまった。
そして・・・
シオンは歩いている途中で足を止めた。
(・・・あの木の影にリファイスが居る・・・)
そう直感したシオンはくるりと反転して遠回りをしようと歩き始めた。
『マスターオブスペース!!』
「!!?」
シオンの身体が固まる。天使術だ・・・
「どうして?・・・どうして避けるの?・・・」
リファイスが姿を見せた。
「・・・何で悪魔の血があったら結ばれてはダメなの?私にはいくら考えても分からないわ」
固まったままのシオンを抱きしめる。
「・・・あなたのお母さんは、結ばれても良いって思っているはずよ・・・我が子に不幸になって欲しいなんて思わない・・・」
「や、やめろ・・・お前には・・・苦労させたくない・・・」
シオンは意思を保っていた。シオンのほうが魔力が大きいからである。
「また私の心配をする・・・それって言い訳よ。あなたは自分が傷つくのが怖いだけ・・・自分のせいで私が傷つくんじゃないかって思ってる・・・」
リファイスの翼がシオンを包み込む。
「あなたの翼だって、誰かを温められるじゃない・・・」
優しく語り掛けるリファイスの声がシオンの壁を少しずつ取り払っていく・・・
「・・・」
シオンの脳裏に今までの自分の人生が浮かぶ。虐げられてきた幼少時代・・・
「俺は・・・悪魔の子だ・・・俺は!悪魔の子なんだ!!」
シオンは自分にも言い聞かせるように声を荒げた。最後の壁を壊すことが怖かったのだ。
「・・・シオン・・・あなたはあなたなんだから・・・」
「!!・・・」
シオンの一歩も譲らない態度に、リファイスは恋人という選択肢を諦めた。
「もういいの・・・だったら今までどおり友達でいいから・・・それならいいでしょ?」
「ダメだ・・・俺は・・・お前を愛してる・・・だからダメなんだよ・・・もう友達には戻れない・・・」
シオンにとってもリファイスは既に愛するものであった。
「・・・私、あなたの力になりたい・・・」
「・・・俺はお前を・・・愛してる・・・だけど・・・」
「・・・お願い・・・これ以上自分自身を責めないで・・・」
リファイスの瞳から涙が零れ落ちる。
「お前に・・・」
シオンの身体がわなわなと震える。
「??」
「お前に俺の何が分かるって言うんだっ!!!恵まれたお前なんかに分かるものかっ!!!」
『マスターオブスペース!!』
リファイスの翼がほどけ、シオンが抜け出す。
(ま、まさか・・・支配された状況で更に大きな術を使うなんて・・・)
逆にリファイスの力が抜ける・・・ぎりぎり意思が保てたのはシオンが若干弱くしたからであった。
「リファイス・・・俺の目を見ろ・・・」
シオンの身体が黒く変色する。光沢のある黒・・・頬に赤いラインが入る。そして金色の目。シオンの・・・悪魔の血による悪魔化・・・
リファイスの心を金色の目が覆いつくす。強烈な威圧感。
-ドクン-
「あ・・・」
思わず声が漏れた・・・
「どうだ?これが悪魔だ!!恐怖だろ!?逃げたいだろ!!」
-ドクンッ!ドクンッ!-
リファイスの身体がぶるぶると震える。
「これでも、お前は俺を愛せるか!?悪魔の俺を!!」
シオンの最後になるかもしれない質問・・・
-ドクンッッ!!ドクンッッ!!-
「はあ・・・はあ・・・し、しおん・・・」
リファイスはぎりぎりの意識の中で、自分の思いを搾り出した。
「・・・すき・・・」
「!!・・・・・・」
シオンはその涙を指で拭った。そして元の姿に戻る・・・
「・・・リファイス・・・俺とお前は結ばれない・・・俺のことは諦めてくれ」
シオンが離れたところでリファイスの身体が自由になる。リファイスはその場に崩れ落ちた。
「シオン・・・あなたは・・・」
リファイスは過去を思い出していた・・・
幼きシオンは1人で座り込んで、皆が遊ぶのを寂しそうに見ていた・・・皆がボール遊びをしていた。空中サッカーのようなものよ。私はたまたまその近くでのんびりしていた。
ボールがシオンの足元に転がってきた。
「あ・・・」
シオンがそのボールを手に取る。
そしてそのボールを返そうとしたときだった・・・
「あ~っ!あいつ悪魔の子だぜ!」
「あ、ボールに触るな!返せよっ!」
「知ってる~!あいつ母親を殺して生まれたんだってさ」
「人殺しだ~!ひっとごっろし!ひっとごっろし!」
シオンはただ拳を握り締めてその場を去った・・・
私は・・・遠めにその子・・・シオンを眺めていた・・・何で彼は虐められているのだろう・・・何で誘ってあげないんだろう・・・私には分からなかった。
そして夜・・・
私は窓から星を見ていた。本当に理由も無く。ただ見ていただけ。
そうしたら遠くをあの子が歩いているのが分かった。顔を俯けたまま・・・
私はただなんとなくその子の後をつけた。
シオンはカーラーンの地にぼんやりと立っていた。顔を見上げて満月を眺めていた・・・とっても綺麗な満月・・・満月は人の心を昂らせると言うけれど・・・
私は木の影からその様子を見ていた。
「ぐ・・・うおおおおぉぉあああぁぁぁっっ!!!!」
突然だった。シオンは大きな叫び声を上げた。そして身体が黒く変化した。月明かりに怪しく輝く身体・・・
「うおおおおぉぉっっ!!!!があああぁぁぁぁっ!!!!」
それは叫び声にも唸っているようにも聞こえた。
「・・・え?」
私は異変を感じて自分の頬に指で触れた。
「・・・私・・・泣いてるの?・・・どうして?・・・」
そう・・・気がつかないうちに私は泣いていた。
その子の声は酷く迫力があって。そして何より・・・聞いていた私の胸が締め付けられるほど悲しくて・・・涙が自然と流れてきた・・・まるでその子の悲しみが私の中に流れ込んできたみたいで・・・
「何で・・・こんなに悲しいの・・・うう・・・ぐすっ・・・」
「っ!!?」
私の泣き声でシオンが気づいた。ゆっくりとこっちに振り返った。
私はとっさに気配を消した・・・
その一瞬の間だけ見えた彼の顔・・・金色の瞳が私を大きく威圧して、恐怖心がわいてきた・・・そしてそこから流れる涙が更に私の悲しみを煽った・・・
-ドキン!ドキン!ドキン!-
「はあ・・・はあ・・・な、何・・・今の・・・」
暫らく心臓の鼓動が収まらなかった。激しく襲い掛かる恐怖・・・そして痛いほどの悲しみ・・・
「ちくしょおぉっ!!こんな血が!この血が俺をぉっ!!」
シオンは自分の羽根で手首を切ろうとしていた・・・
そして・・・遠くからそれを悲しそうに見つめる人がいたの・・・とっても凛々しくて美しい人なんだけど・・・名前は知らない。その人物が私を見て・・・哀しそうに微笑んだ・・・まるで・・・そう、彼を止めて欲しい・・・そう言っているみたいだった。
私は彼を死なせたくなかった。だって悲しすぎるもの・・・私の感じた悲しみ・・・彼は悪魔なんかじゃない・・・ちゃんと心を持ってる証拠。
「ダメッ!!死んではダメ!死んだら何も始まらない!何も終わらないよ!」
私は見つかるのを覚悟でそう叫んだ。
「・・・・・・」
シオンはじっと黒い羽根を見た後で・・・その羽根を地面に叩きつけて帰っていった・・・いつかシオンには・・・自分自身を知ってほしい・・・
そして・・・私は彼のことを気にかけるようになった。
やっと分かり合えると思ったのに・・・諦めきれないよ・・・シオン・・・
――――――――――――――――――――
下界。学校・・・昼前・・・
レオンは人の気配を感じて目が覚めた。
「あら、あなたは誰?」
本を持って眼鏡をかけた女性がレオンの前に現れる。
レオンは無愛想に答えた。
「・・・俺に名前は無い。好きに呼べ。まあ下界では俺のことを・・・」
「そうですか・・・じゃあ・・・シオンなんてどうです?私の好きな花の名前です」
レオンは大きく目を見開いて女性を見た。
どこと無く雰囲気がリファイスに似ている。何となく・・・彼女のことを知りたいと思った。
「お前の名は?」
「え?私は星野歩美。23歳でまだ日の浅い教員です」
歩美と名乗る女性がレオンの側に座った。レオンはなんとなく話しかけてみた。
「・・・俺が何者か聞かないのか?」
「え?聞いて欲しいんですか?」
「いや、気にならないならいい・・・お前は何をしているんだ?」
「私は今の時間が暇な教師。で、いつもここで本を読んでるの」
「そうか、じゃあ退く・・・」
「あ、気にしないで下さい。この木は私のものじゃありませんから」
静かな時間が流れる。本を読んでいる歩美の目の前にだらーんと何かが落ちてきた。
「・・・・・・ひえぇぇぇっっ!!!」
歩美はとっさにレオンに抱きついた。
「な、何だ?」
レオンも驚いて起きる。
「く、蜘蛛~~」
「・・・ったく、そんなことで慌てるなよ・・・」
ふとレオンの目線が歩美の目線と重なる。
「・・・・・・・・・・・・」
歩美はレオンの瞳を見て質問した。
「不思議な目の色をしてますね。ハーフですか?」
「・・・まあ。ある意味正解だ・・・」
『マスターオブスペース!!』
レオンはつい力を使ってしまった。
「う・・・俺は何をしているんだ・・・バカか?」
そういいながらもレオンの目線は、虚ろな表情の歩美から離せない。
「・・・歩美。俺の事をどう思っている」
なんとなく。気になったから聞いてみる。
「・・・かわったひと。きょうみぶかい。おもしろそう・・・」
どうやら負のイメージは無いらしい。
「・・・歩美。お前は俺のことが好きなんだ」
「すき・・・しおんさん・・・」
「・・・俺の奴隷になるんだ。見も心もシオンに委ねろ。それでお前は幸せで居られる。俺がお前の幸せを保証してやる」
そしてレオンは歩美を奴隷にしたいと思った。これもなんとなくだった。
「しおんさんのどれい・・・みもこころもゆだねる・・・」
歩美はそれをあっさりと受け入れた・・・
『リリース!!』
歩美はハッとしてレオンを見る。
「あ、シオンさん・・・」
レオンは早速きわどい命令をしてみた。
「歩美。今この場で裸になって欲しい」
歩美の顔がぼっと赤くなる。
「い、今・・・この場で・・・ですか?・・・」
歩美はさすがに少し考え込んだ。
少しして立ち上がると、ゆっくりと服を脱いだ。
目を閉じ顔を背け、全裸になって腕で胸を隠している。
美佳ほど大きくは無いが形がいい。
レオンは意地悪そうに命令した。
「ブラとパンティをここに埋めろ」
「えええっ!?・・・・・・は、はい・・・」
美佳は身をかがめて両手で土を掘る。
そしてブラとパンティを入れ、土をかぶせた。
「服を着ていいぞ」
とりあえずレオンは今はするつもりは無いようだ。
「え?・・・こ、このまま・・・ですか?・・・」
「嫌なら裸でいるか?」
「い、いえ・・・」
歩美は汚れた手をよく掃って、服を着た。
スカートの長さをしきりに気にしている。
「放課後・・・逢いたい。ここに来てくれ」
レオンが不器用に命令した。
今の仕込みは放課後のお楽しみということらしい。
「な、何で私・・・あなたの言う事をすんなりと聞いてるんでしょう・・・こんなのおかしいですよね・・・変ですよね・・・」
歩美は鼻でふっと自虐的に笑い、ゆっくりと校舎に戻っていった。それを見送ってレオンは再び寝そべった。
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
≪「後編です~♪」by美佳≫
リファイスはシオンを見つけるたびに声をかけた。
「シオン!!どうして分かってくれないの!!愛してるのに我慢するのっておかしいよ!!」
シオンはそんなリファイスに目もくれずに通り過ぎる。
「・・・俺はリファイスを愛しているが、この恋は報われない・・・悪いな・・・」
そう言って立ち去った。
「・・・シオン・・・」
リファイスはシオンの後姿を見つめていた。
そしてその数ヵ月後・・・
シオンはリファイスの「血なんて関係ない!」という言葉を確かめるべく、格闘技大会への出場を決めた・・・
「天使になれればそれでよし、なれなければやはり報われないということだ・・・」
シオンはぼそっとそう呟いて会場に入った。
シオンの出場の噂を聞いたリファイスは、会場に応援に来ていた。
(シオン・・・何をするつもりなの?)
シオンが舞台に立つと周囲からブーイングが沸きあがる。
(ふん。見ろ。これが悪魔の血を引く俺に対する答えだ)
シオンは真っ直ぐに対戦相手を見据える。
リファイスはそのブーイングで胸を痛めていた。自分で言った言葉・・・『血は関係ない』・・・だが、観客達は間違いなく偏見でシオンを見ていた。
(ま、まさかシオン・・・これを確かめる為にわざわざ・・・)
「遅いっ!!」
-ガッ-
シオンは目にも留まらぬ速さで相手を殴り倒した。会場からどよめきが起こる。
「ぐあっ・・・ま、参った・・・」
対戦相手がシオンの前に降参した。
「・・・弱いな。もっと強い奴は居ないのか!!これが天使の実力なのか!?」
シオンは連勝し続けた。あっというまに準決勝になった。会場がさらにどよめく。
その状況に大会関係者が慌て始めた。まさか勝てるとは思っていなかったからだ。
会場のとある部屋では、緊急の会議が行われていた・・・
「ま、まずいですぞ!!このままでは奴が優勝してしまう・・・」
「ええいっ!!だから大会参加の規定を定めておけと言ったではないか!!悪魔の血を引くものは参加できないと!」
「も、もう遅いです。早く別の手を・・・」
「・・・奴を呼べ。堕天使の・・・」
「た、対戦相手を代えてしまうんですか!!」
「それしかあるまい・・・」
会場から「早くしろ」と声が沸きあがる。
リファイスはそんな状況に、自らとシオンの仲にも希望を持ち始めた。
(見てシオン・・・この瞬間だけでもあなたは一人の選手になってる・・・)
数十分後・・・
「お待たせ~」
ようやく対戦相手が現れる。黒い衣をまとった女性だ。
「あ、あれは・・・堕天使のフィリシーン!?な、何でこの大会に・・・」
リファイスは驚きを隠せなかった。彼女は天使としては最悪の堕天使で、天界から追放されて魔界に住んでいた。
「ふふ~ん。あなたが噂の悪魔くんね・・・」
対戦相手のフィリシーンは妖艶に腰をくねらせて歩いてくる。肌はシオンと同じ小麦色で、身体は豊満ではあるが腕も脚も引き締まっている。
シオンを見てぺろっと舌を出した。彼女にとってシオンは獲物。対戦などどうでもよかった。
フィリシーンは余裕たっぷりに喋り始めた。
「さすがに美人のお母さんだけあるわね・・・それにあいつの息子でもある・・・かなり可愛いわよ。キミ」
「・・・」
シオンは気に留めずに殴りかかる。
-ブンッ、ブンッ、シュッ・・・-
フィリシーンはひらひらと攻撃をかわす。
「なかなか速いけど・・・」
フィリシーンはシオンの後ろを取った。
「私には敵わないわね」
余裕・・・フィリシーンは油断していた。
-ドフッ-
シオンの素早い後ろ蹴りがフィリシーンの腹に入った。
「う、嘘・・・な、何で?・・・」
フィリシーンが腹を押さえて膝をついた。
「動きなど目で追わずとも気配で分かるんだよ・・・折角の登場で悪いが一気にやらせてもらうぞ!」
シオンがフィリシーンに突っ込む。
フィリシーンが血を吐きながらニヤリと笑った。
『マスターオブスペース!!』
「うっ!!?」
シオンの動きが止まった。
思わずリファイスが叫んだ。
「そ、そんな!!大会での術の発動は認められていないはず・・・こんなの反則よ!何で止めないの!!」
そんな中、何とかシオンは意識を保っていた。
(う・・・うぐ・・・こ、こいつの力は強力だ・・・)
フィリシーンは息を整えると、腹を押さえながらシオンに歩み寄った。
「ふ、ふふふ・・・ウフフフフ・・・あはははははっ!!」
シオンの頬をさすりながら高らかに笑う。
「私が何故こんな仕事を受けたと思う?・・・悪魔の子・・・君を貰っても良いってお偉いさんたちが約束してくれたからよ・・・」
愛おしそうに自分の頬を摺り寄せ、ゆっくりと指をシオンの頬から胸板に這わせた。
「私の力を受けて目の光を失わないなんて・・・天使じゃ初めてよ・・・そうね。あなたの母親なら耐えたかもね・・・あの人の援助が無かったら私は処刑されてたし・・」
「き、貴様・・・母の・・・事を?」
「ええ。若くして天使第8階級の地位に着いたエンカーブレイスさま。女なら誰もが憧れ、男なら誰もが惹かれる人物。だったわ・・・弱い天使を庇ってキミの父親と死闘を繰り広げ・・・人質を取られて負けたのよ。あの犯され方は無残だったわね。そんなわけでキミが皆から恨まれるのも当然よね」
シオンは身動きが取れないものの、自我は失っていなかった。
「その血・・・私に頂戴・・・」
フィリシーンはシオンにキスをした。無抵抗なシオンに舌を絡めていく。
会場からフィリシーンへの侮辱の声が沸きあがる。それを聞いたフィリシーンは次の作戦に移った。シオンの耳元で甘く囁く。
「聞いて?私ね・・・悪魔を愛して駆け落ちしたの・・・でも捕まって私は天界から追放・・・彼は王の手によって処刑・・・私もう失うものは何も無い・・・堕天使になって力は上がったけれど、皆は仲間としてみてくれない・・・私は逸れ者・・・似てるでしょ?私達・・・孤独・・・辛かったわ・・・血が違うってだけで・・・辛くて辛くて・・・いっつも一人ぼっち・・・ね?この苦しみは経験したものしか分からないわよね?幸せな人にはわからないわよね?」
フィリシーンがシオンの耳元で囁く。フィリシーンの目に涙が浮かんでいる。演技か本物か・・・シオンが激しく動揺する。
そして、虐げられてきたシオンにとって致命的な一言だった。
「ねえ。私の子供には悪魔の血が欲しいの・・・私は君の血が必要なの・・・そして何より君自体が・・・私の生きた証が欲しい・・・私は君を必要としてるわ・・・少なくとも天使よりね」
シオンの目から意思の光が消える・・・口元からさっきのキスの証が伝う。
その瞬間、シオンは最後の抵抗をやめた。
「シオーーーンッッ!!!!」
リファイスは迷っていた。どうやったらシオンを助けられるのか。
「ふふっ・・・単純ね。ちょろいもんよ。堕天使なんだから、そのぐらい覚悟してるって言うのに・・・」
フィリシーンはシオンを抱きかかえ、虚ろな目を見て満足そうに立ち上がった。
フィリシーンは天使の翼の代わりに悪魔の翼を生やしていた。
「私は天使の羽根を失ってしまったけど・・・あなたの翼、見せて?」
シオンは言われるままにバサアッと翼を広げた。フィリシーンは自分のおもちゃを手に入れたようにその羽根の感触を確かめる。そして黒い羽根の一枚を手に取った。
「うふふふっ。天使の羽根に悪魔の黒・・・面白いわ・・・」
-シュッ-
フィリシーンの足元に白い羽根が突き刺さった。
「!!?」
フィリシーンの見上げた先には、羽根を両手に持ったリファイスが飛んでいた。
その目には強い意志が感じ取れた。
(絶対させない!!『マスターオブスペース!!』羽根の「硬度」を操作する!!)
術によって鋭利な凶器に変化した羽根。天使たちの戦闘での得意技だ。そしてその羽根をフィリシーンに投げつける。フィリシーンは一旦シオンを放してその羽根を避ける。
一定距離を離れさせたリファイスは倒れているシオンを抱き起こした。
相変わらず虚ろなまま・・・
一度支配されてしまえば、術者のフィリシーンが解除するか、リファイスがより強い力で支配権を奪うか、シオンがフィリシーンを逆支配する以外に解く方法はない。
「シオン!!聞こえる?シオン!!しっかりして!!」
リファイスはシオンに術を使ってみるが、フィリシーンにかけられた力の方が大きく、フィリシーンの術を押し退けられなかった。
「ねえシオン!!あなたなら勝てるから!!」
必死で呼びかける。シオンがやる気になれば勝てるはず・・・
「あはははは!彼女気取り?無反応じゃない!シオンという名までつけちゃって・・・」
フィリシーンがケラケラと笑う。
リファイスがキッとフィリシーンを睨みつける。
「悪魔クン!キミの血は天使と結ばれる事は無いのよ!!私の元に来なさい・・・」
シオンがすっと起きて翼をはためかせる。
「待って!!ダメよ!!あなたは利用されるだけなの!!」
リファイスは力いっぱいシオンの腕を引っ張って引き止める。シオンがかすかに聞き取れるほどの声で喋った。
「・・・それでも・・・俺の居場所があるなら・・・」
「っ!!?」
今のシオンは天界に・・・天使に嫌気がさしている・・・彼を引き止めるには・・・
「シオン・・・」
-スッ-
リファイスはシオンの唇にキスをした。
観客席からどよめきが起こる。が、リファイスはキスをやめようとはしない。シオンの唾液がリファイスのものと混ざってリファイスの喉を通り過ぎた。そしてリファイスはシオンを見つめる。
「どう!?私は世間の目なんて気にしない!!少なくとも世界中の誰よりも!私はシオンを必要としてるっ!!私が誰よりもシオンを愛してる!!」
リファイスはなんとかシオンに勇気を持たせたかった。自分の血と向き合う勇気を。
リファイスの胸元にシオンの黒い羽根があった。
そしてそこには糸がつけられ、硬度を高めてネックレスにされていた。
『あ、ねえ!この羽根・・・貰ってもいい?』
『・・・好きにしろ』
シオンはあの時を思い出した。
「・・・リファイス・・・」
リファイスは涙を一杯に溜めてシオンに微笑んだ。
「シオン・・・私じゃ・・・シオンの力になれないかな?・・・」
悲しそうなリファイスの表情を見たとき、シオンの胸がズキンと痛んだ。
(・・・そうだ・・・俺の見たいリファイスは・・・こんな顔じゃない・・・)
シオンは・・・
力を使った。
『マスターオブスペース!!』
「っ!!?ぅ・・・」
フィリシーンの目が虚ろになった。
(そんな・・・私の力を・・・破るなん、て・・・)
対してシオンの目は光を取り戻していた。
シオンはリファイスを抱えて地面に降り、支配したフィリシーンに命令した。
「・・・お前は1人で魔界に帰れ・・・」
『リリース!!』
やはりシオンはフィリシーンに同情していた。フィリシーンを傷つけるような命令はどうしてもできなかった。フィリシーンはそんなシオンを寂しそうな目で見た後、無言のまま帰って行った。
それとすれ違うように、大会関係者がシオンの元に来る。
「悪魔の子。他人の手を借りた上に術まで使ったお前には失格を言い渡す」
ここぞとばかりにシオンを失格にするようだ。
「・・・そうかよ」
シオンは妙に納得した表情を見せた。
リファイスは納得していない。抗議の声を上げる・
「な・・・そ、そんな――」
「そんなのってねえぞーっ!!」「何考えてんだー!!」「悪いのはお前らだろー!!」
リファイスより先に声を上げたのは観客だった。関係者達に不満の声を上げる。
「俺はこんな思いまでして天使になる気は無い・・・」
シオンが会場を去ろうとする。観客から最大のブーイングが大会主催者に飛ぶ。
そんなブーイングに対して、主催者側は大会を続行することを決めた。
「ま、待ちなさい・・・では、決勝の相手を用意しよう・・・」
罵声が歓声に変わった。
奥から現れたのはすらっとした男だった。
「天使第8階級、ミトスだ。命によりここで倒させてもらう」
シオンの目が獲物を狩る目に変わる。
リファイスが抗議する。
「そ、そんな・・・階級の無いシオンに第8階級の天使なんて・・・勝てるわけ―――」
シオンはリファイスを制した。
「大丈夫だ。俺は負けない。俺を信じてくれ」
「!!・・・うん!」
リファイスは照れ笑いを見せて選手入場口のそばに向かった。というのも今この状況では観客席に戻ると大騒ぎになるからである。何せシオンと堂々とキスし、愛の告白までして見せたのだから。
「はああぁぁぁっ・・・・・・」
シオンの身体が黒く変化する。
「俺は敢えて悪魔の力を使う・・・これが『俺』だ!!」
シオンの悪魔化に会場が更にどよめいた。
「ふんっ!!」「はっ!!」
-ドガァッ-
シオンとミトスが激しくぶつかり合う。
「はあっ!!」
-ドッ-
シオンが攻撃を受けて飛ばされる。
翼を広げてブレーキをかけて止まると、そのまま飛んで突っ込む。
リファイスは遠目にシオンの様子を見ていた。
「す、凄い・・・悪魔は力を解放すると我を失うって聞いたけど・・・シオンは心を失っていない・・・」
ちなみにシオンの現在の状態は悪魔化であり、悪魔の力の解放は更にもう一段階上である――と言うことは今のリファイスには知る由も無かった。
シオンはちらっとリファイスを見ると一気に猛攻撃を仕掛けた。
「うおおおっ!!」
-ドガガガッガガッ-
空中でのしなやかな身体の動き、反射神経のよさ、動体視力のよさ、それを支える爆発的な筋力と魔力。休む間も無くパンチとキックの連打がミトスに降り注ぐ。ミトスはなんとかその連打を防ぐ。
「くたばれぇっ!!」
シオンは脚に力をこめた。
^-ドフッ!ドゴッ!-
シオンはガード体勢のミトスに渾身の蹴りを2発打ち込む。一撃目はガードを崩し、二撃目でミトスを捉えた。
ミトスがシオンの攻撃を受けて飛ばされる。
この一撃が効き、ミトスはそのまま降参した。
リファイスの目の前でシオンは勝利をもぎ取った。
元の姿に戻ったシオンは、控え室に向かった。入口では照れながらリファイスが待っていた。リファイスはシオンが変わったことを実感した。
「凄いわ!シオン!!」
リファイスがシオンに抱きつく。
「・・・ありがとう。お前のおかげで分かった。やっぱり俺にはお前が必要で・・・お前を愛してる・・・結婚してくれるか?こんな半分悪魔の血を引く俺と・・・」
シオンはリファイスを暖かい笑顔で見つめた。
「シオン・・・うん」
2人は再び熱い口付けを交わした。
「行こう!」
シオンはリファイスを連れて外へと飛び出した。そしてリファイスを抱えて翼を広げて飛んだ。
「え?ど、どこへ・・・ちょ、ちょっと!表彰式はどうするのよ!!」
シオンがリファイスを連れてきた場所。カーラーンの地。
それはシオンのお気に入りの場所。2人の出会いの場所。シオンは翼を引っ込めた。
シオンは自分の思いを語り始めた。
「・・・ずっと思ってた。天使にも悪魔にもなれない・・・天界でも魔界でも必要とされない・・・もしかして下界になら俺の居場所があるのかも・・・って」
「そう、それでいっつもこの場所に・・・」
「・・・俺はお前と共に生きる!!」
シオンはリファイスを抱き寄せた。リファイスはシオンの身体を抱き返した。
「・・・シオン・・・して・・・」
リファイスはシオンを誘う。今のシオンなら・・・
シオンはリファイスの白い服をゆっくりと脱がしていく。
「ずっと我慢してた・・・」
他人で性欲を発散しなかったシオンにとっては久しぶりの裸体だ。しかも唯一愛せる者の。
「私もよ・・・」
リファイスの白い肌が見える。形のよい豊満な胸が露になる。
シオンはリファイスの首筋に舌を這わせる。
「・・・美しい・・・とっても」
「ん・・・シオン・・・」
『マスターオブスペース!!』
術を使ったのは・・・リファイス。
シオンの瞳が濁る。リファイスを信頼しているからかかりやすかったのだ。
「?・・・りふぁ、いす?」
リファイスは優しくささやく。
「大丈夫よシオン・・・変なことはしないから・・・あなたの理性が消える・・・私を気遣うことはないわ。やりたいように犯して・・・私は貴方の物よ・・・」
リファイスの唯一の心配事は、シオンが自分のことばかり気にして気持ちよくならないことだった。
『マスターオブスペース!!』
次に術を使ったのはシオン。
リファイスの暗示が効き始めたのか、顔を赤くしながらリファイスを見つめる。
「リファイス・・・お前の『感度』を支配する・・・お前は俺とセックスすると全身が性感帯になったかのように激しく感じることができる・・・嫌なら拒否してもいい・・・」
シオンの心配事はリファイスが自分とのセックスで気持ちよくなってくれるのかどうかだった。
『リリース!!』
シオンはリファイスを押し倒した。強めに胸を揉んでいる。ときおり乳首を軽く刺激しながら。
「うん・・・あっ・・・はぁ・・・し・・・シオン・・・」
リファイスの身体がときおり激しく反応する。痙攣している。
「リファイスっ!!」
シオンはズボンを脱いでリファイスの脚を持ち上げた。
あまり使われていない綺麗なラインが露になる。
「・・・綺麗だ・・・」
リファイスの脚を広げ、ペニスをゆっくりと挿入していく。
「ぅんっ・・・あっ・・・い、痛・・・」
リファイスが痛がった。シオンにも違和感が伝わった。
「??お、お前・・・は、初めてなのか?」
シオンはとっくに初体験を済ませていたと思っていた。リファイスは恥ずかしそうにこくんと頷いた。シオンは自分が初めての男だと知ってかなり気分を高めた。
(シオン・・・ようやく・・・)
リファイスは涙を流した。
「!!?い、痛かったか?大丈夫か?」
シオンが慌てる。リファイスはそんなシオンをクスッと笑って言った。
「違うの・・・嬉しかったから」
「り、リファイス・・・好きだっ!!」
シオンが激しくペニスを前後させる。
「い、痛い!!」
リファイスが痛がり、シオンの動きが止まる。
「あ、悪い・・・」
どうやらリファイスの入れた暗示が変な風に働いているようだ。心配しては激しく動かしている。そしてリファイスは痛がりながらも、シオンの暗示で気持ちが昂っていく。
「うおおぉっ!!」
シオンが再び激しくペニスを前後させる。
「あん!!あ!!あん!!はんっ!!!!・・・・」
リファイスが急激な快感で絶頂に達する。
それでもシオンの動きは止まらない。
^-ぱんぱんぱんぱん-
「ん!、ん!、はっ!、うっ!、あっ!、はんっ!!」
リファイスの顔が次第に蕩けてくる。どうやら慣れてきたようだ。
シオンもリファイスを犯すことしか考えていない。
シオンがぐっと堪える。そろそろ限界のようだ。
「リファイス!!で、出る!!」
それを聞いたリファイスも声を一層大きくする。
「い、一緒に!!私もイクっ!!」
^-ドクンッ!!ドクンッ!-
シオンがリファイスの胎内に精を放った。
「ふああぁぁぁっっ!!!!」
リファイスは身体を大きく反らした。辺りにリファイスの叫び声が響き渡った。ビクビクと身体が痙攣している。
「ふぁ・・・シオン・・・」
リファイスはシオンの温もりを感じながら失神した。
この日2人は初めて肌を重ねた・・・
2人は毎日毎日、何度も何度も肌を重ねていた。
その間、大会関係者は協議の末、シオンを試してみることにした。目的は・・・任務を与えて天使にするかどうかの議論を先延ばしにすること。そして与えた任務・・・明日香の願いを叶えること・・・それはまさしく関係者側にとってグッドタイミングの願いだった。
シオンは激しく抵抗していた。
「ふ、ふざけるな!!そんな不定期な長期任務!!5階級以上じゃなければ任されないはずだ!!何故試験でそこまでやる必要がある!!」
「う、煩いっ!!お前の実力を見込んだからじゃ!!」
お爺さんがシオンと言い争っていた。
「大体お前が下界で遊んでいたのが原因だろうが!!」
「お、お前だと??わしに向かって・・・お前呼ばわりとは!!」
「話をすりかえるな!!お前の責任を俺に押し付けるなって言ってるんだよ!!」
「む・・・むむう・・・しかし・・・満場一致で決定したことじゃ・・・それに、強く逞しく魔力の大きい男といったらお前が一番ふさわしい!!」
「な、何で俺が行かなきゃいけないんだよ!!」
「煩い!これも修行のうちだと思え!」
「単なる厄介払いだろ!!おい、ま、待ってくれ!!俺は・・・」
「シオン!!そ、そんな!!ま、待ってください!!彼は!!」
リファイスが噂を聞いて駆けつけた。関係者以外立ち入り禁止だったが、強引に入ってきた。
「彼は私の婚約者なんです!!長期任務なんてそんな!!」
取り押さえられながら叫ぶ。
シオンがリファイスに視線を送る。
「リファイス・・・畜生っ!!リファ・・・あ――」
そこまで言って彼は空間転移してしまった。
「シオーーンッ!!」
――――――――――――――――――――
「レオン!!・・・レーオーン!!」
レオンは飛び起きた。目の前には明日香が居た。
「もうお昼だよ。レオンも給食一緒に食べようよ」
「・・・い、いや・・・今はそんな気になれない」
レオンは汗だくで青ざめた顔をしている。
「ふ~ん・・・具合が悪かったら保健室に行くんだよ?」
明日香はそういって校舎に戻っていった。
「シオンさ~ん!!」
2階から女性が手を振っている。つい先ほど奴隷化した歩美だ。
「受け取ってください!!」
歩美はパンと牛乳を落とした。レオンがキャッチする。
「それではまた~」
そういって嬉しそうに奥に消えていった。
レオンはパンをかじりながら空を見上げてた。牛乳を飲み終えたところで術でパックを消した。
「・・・マズイ。と言うんだろうな。この感情は」
そして放課後・・・
「シオンさん・・・」
歩美が約束の場所に現れる。脚には愛液が伝っていた。
レオンはそんな歩美に素で驚いていた。
「よく我慢してたな」
「あ・・・こ、これ・・・来る前に拭いたんですけど・・・その・・・拭いたら余計・・・で、時間が来ちゃって・・・」
歩美の言葉を聞かないうちにレオンがスカートをめくる。歩美は目を閉じて我慢している。待ちわびているようにひくひくと蠢いているのが分かった。恐らく、ノーパンなのを誰かに見られるかもしれないとかなり意識していたのだろう。
「その木のところにもたれるといい」
レオンに言われて歩美はふらふらと木にもたれかかった。
レオンは上の服をスカートから出し、手を入れて胸元に触れる。
「んんんっっ!!」
歩美がビクッと震える。
「ほう。乳首もコリコリだ。こりゃあ収まらないわけだぜ」
歩美が期待に満ちた目でレオンを見る。
「ふ・・・いい目だ」
レオンは歩美にやや強めにキスをした。
歩美は一瞬驚愕の表情をするが、すぐに蕩けた顔になった。
明日香は友達と帰らず、校舎をうろうろしていた。
「ねえ!!レオン~っ!!どこに居るの~!?帰るよ~っ!!」
明日香はとある教室の入り口で立ち止まった。
窓からレオンの姿が見える。
「んもう!こんなところに居た~」
明日香が近づいた時、レオンが横にずれ、裸同然の歩美の姿が見えた。
(え?・・・な、何をしてるの?)
明日香は窓からそっと顔を出して2人を見ることにした。
レオンが歩美の片脚を持ち上げる。明日香の視線が歩美のひだひだに向く。
(あ、嘘・・・見えてるよ・・・大人の女の人って、あんなになるんだ・・・)
レオンがペニスを取り出す。
(あ、あれがおち○ち○?・・・おっきい・・・あんなにおっきいんだ・・・)
そしてそれを歩美の恥部に押し当てる。
(え?そ、それを入れるの?・・・そ、そんな所に・・・入るの?)
ゆっくりとペニスが入っていく。
レオンが腰を動かす。
歩美が大きな喘ぎ声を出す。
(な、何?・・・それが気持ち良いの?・・・あんな大声出して・・・)
歩美がレオンにしがみ付く。
(し、知らなかった・・・大人の人ってあんなことするんだ・・・)
歩美がちらりと明日香に目線を向ける。
(う、うわっ!!気付かれた!!)
明日香は不思議と金縛りにあったようにそこから動けなかった。
歩美は色っぽい表情でニヤリと笑うと、レオンにキスをした。まるで明日香に見せ付けるようだった。
「はあ・・・はあ・・・」
明日香はそんな2人を見ていて興奮していた。
(な、何で?・・・身体が熱いよぉ・・・心臓が凄くドキドキするよぉ・・・なんだか胸もぴりぴりする・・・)
明日香は乳首を指で触ってみた。
「ん・・・」
(や、やだぁっ・・・硬くなってる・・・どうしてぇ・・・)
そしてパンツを触ってみる。
「な、なにこれぇ・・・お漏らししちゃったの?・・・」
指で触れてみる。
「うわぁ。変な臭い・・・なにこれぇ・・・」
明日香はクリトリスをつまんでみた。
「んんっ!!」
身体がビクンと跳ね上がった。
どうやら軽くイッたようだ。
「はあ・・・はあ・・・何?今の・・・ビリビリって・・・」
しばらく息を整えて、明日香はそそくさと教室を後にした。
歩美がレオンに犯されて喘いでいた。
「んあああっっ!!!」
歩美の絶頂の声を、耳を塞いで聞かないようにしていた。
レオンは歩美をそのままにして、家へと帰宅した。
今野家・・・
「ただいま~」
明日香は服を脱いで風呂場に向かった。
「遅かったな」
後ろからレオンが声をかける。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
明日香はレオンを見て顔を強張らせると、急いで部屋に駆け込んだ。
「??・・・」
夜・・・風呂場・・・
明日香と美佳が入っていた。
明日香は自然と美佳の性器を意識して見ていた。
(・・・お母さんもひだひだしてる・・・)
「あら、どうしたの?明日香もそろそろ興味が出てきた?」
美佳が冗談のつもりでからかうと、明日香は顔を真っ赤にして口までお湯に浸かった。
深夜・・・
レオンは押入れから出て、階段をゆっくりと下りた。そして美佳の部屋をノックする。
「あ・・・レオン・・・」
扉を開けてレオンを見た美佳は、瞬時に色っぽい顔になった。
「昨日の事が忘れられなくって・・・」
美佳は下腹部をさすりながらレオンを見る。
レオンは美佳が中出しされたことを気にしているのだと思った.
「心配しなくても、天使の種子は相手が望まなければ孕むことは無い」
「そう・・・ちょっと残念・・・」
「だから存分に中出しが出来る」
「それは嬉しいけど・・・」
レオンは美佳にキスをする。
「レオン・・・欲しい・・・」
全裸になった美佳は、レオンの胸板に寄りかかりながらペニスをさする。
「いいだろう」
レオンはズボンを下ろして美佳を押し倒した。
全身をゆっくりと愛撫していく。
「あ・・・ん・・・レオン・・・上手・・・」
明日香は扉に耳を当てて声を聞いていた。
「お、お母さん・・・」
扉を勢いよく開ける。
「お、お母さん!!ダメだよ!!そんなことしちゃ!!」
明日香が顔を真っ赤にして怒る。
美佳は明日香に見られてもキョトンとした顔をしていた。
「・・・どうしてダメなの?」
「え?・・・だ、だって!!そういうのは愛し合う2人が・・・」
「・・・愛し合ってるけど。ダメなの?」
「だ、だってレオンは別の女の人・・・」
そこまで言って明日香はしまったという顔で慌てて口を両手で塞いだ。
『マスターオブスペース!!』
明日香の瞳から意思の光が失われる。
レオンは先ほどの明日香の言葉を気にしていた。
「ふむ・・・見てしまったか・・・それで性に目覚めた・・・」
レオンは明日香のパジャマをめくる。乳首がぷっくりとしこり、愛液が染みているのが分かる。顔が赤く、息が荒い。興奮しているのは怒りが原因ではない。発情だ。
「この時期でこんだけ濡れるとは末恐ろしい淫乱だな・・・お前の『記憶』と『感覚』を支配する」
レオンは明日香の胸に手を置いた。ドクドクと早い鼓動が感じられた。まだ興奮している。美佳は心配そうに見守っている。
「・・・今お前の記憶を消した。お前は何も見ていない・・・だから理由がわからないその感情は収まる・・・ほら、落ち着く」
次第に心臓の鼓動がゆっくりになる。
「・・・もうこの感情が起こることは無い。次に意識するまではな」
明日香がリラックスした表情になる。
それを確認すると、レオンは明日香をベッドに寝かせた。
「あ、レオン~早く続きをして~」
美佳が身体をくねらせる。レオンは美佳の脚を持ち上げ、一気に突き上げる。
「ああっ!レオン!!いいわっ!!あっやだっ!も、もうっ!イクッ!」
「出すぞ!」
-ドクン!ドクン!-
「んんーーーーっ!!!」
美佳はその日、再び激しいセックスをした。
翌朝・・・
「ふああぁ~・・・」
明日香がいつもと同じ様に起きてくる。
「ん~・・・なんかレオンを見るとムカッと来る~。なんか私にした?」
レオンを見ていらっとしている。
「!!そ、そうか?気のせいだろ」(う~ん。もっとしっかりとやっておくべきだったか?まあいいか。どうせガキだし・・・)
ともあれレオンは今日も歩美と美佳を抱く。
< つづく >