第2話
(遅いな……)
本の力は間違いないはずとしても返事を聞かなかったのはまずかったのだろうか?
そんなような事を考えながら校舎裏で翔は奈緒のことを待っていた。
最初は奈緒が来た後の事を色々考えてワクワクしていたが
流石に暇になってきたため翔は「本」を開きながら考える。
(言い方は大丈夫だったはずだよな……時間指定しなかったのがまずかったのかな? あ、もしかして本を10m以内にってのに引っかかってるのか!?うう・・・失敗したかも・・・)
そんな心配をよそに急ぐ様子も無くてくてくと奈緒がこちらに歩いてきていた。
「着たけど・・・なあに?」
遅れた事など気にとめる様子も無く奈緒は聞いてくる、正直翔は少しムスっとしたが時間指定をしなかった自分が悪いという事と
そのおかげでこれからの事を考える時間が充分にあったと思う事にした。
翔は早速用意していた言葉を言った。
「じゃあ次に僕が『さよなら』というまで帰ろうと思ったりしないでね、僕が考えたりしてる間は大人しく待ってるように。」
「うん、わかった」
(とりあえずこれで一々催促される事は無いだろう)
奈緒を大人しくさせた翔は少し疑問について考え込む。
(本を10m以内にってのは結局どうなったんだ? ちゃんと奈緒は来たし、嘘だったのか?いや、でも確か指示を出したときはすぐ側に居たんだよな……「言う通り」になる指示をだせるのが10m以内って事か?)
しばらく考えていたがやがて目の前の奈緒に目を移して翔は思いつく。
(やっぱりまずは「本」について出来る限り知っておかないとダメだよな・・・実験してみるか)
10m……遠くも無ければ近くも無い距離、翔は簡単な方法で試す事にした。
「ちょっとここで待ってて」
コクっとうなずく奈緒、それを確認して翔は奈緒から離れ始めた。少なくとも10m以上は離れた位置で翔は止まる。
「よし……じゃあ高崎さん、ちょっとジャンプしてみて」
「え? なんで?」
操り始めてから初めて奈緒から疑問の声が上がる。しかし翔はそれに答えないまま少し近づいて再び指示を出す。
「その場で一回くるっと回ってみて」
「さっきから何言ってるの?」
同じ事を何度も頼んだら押し切って「本」関係なく指示通りにしてしまうかもしれない、そう思ってさっきとは全く違う指示を出した。
その用心が関係あるかはわからないが、奈緒は続けて疑惑の目を向ける。
しかし翔はまったく気にせず、
(ここまではまあ予想通りだよな、次は微妙だ)
そう考えながら再び少し奈緒に近づいていく。傍から見たらかなり奇妙な光景だろう。
10mあるかないかの位置で翔は止まり、指示を出した。
「・・・座って」
「こう?」
ほぼ言い終わったと同時に、奈緒は屋外の地面にちょこんと座り込んだ。
(押し切った・・・わけないよな?今までの指示ならともかく言われただけで地べたに座り込んでるし)
ただ座らせただけなのだがもう翔の股間は硬くなっている、今の翔は性欲よりも支配欲でのほうが興奮するのだろう。
(とりあえず距離は大体覚えたかな・・・もう少し詳しく知っておきたいけど流石にメジャーを持ち歩きたくはないし必要もないだろ、多分)
そんな翔をよそに奈緒は座りながらも先ほどの疑惑の目を向けたままだ、しかしそこから動こうとは決してしない。
(範囲外から指示された記憶はそのままなんだから当然か、このあべこべ感が何とも言えないな……)
『本』の効果は10m以内ということと『本』の効果は強力ということを再確認した翔は奈緒の前まで戻り次の実験に移った。
「座るのはもういいよ、そしたらちょっとあそこにある木に手でタッチしてこの位置に戻ってきて」
「うん」
翔はやや遠くにある木を指差して指示を出した。奈緒は例のごとく即答し、立ち上がって木に向かって歩いていく。
奈緒が翔から少なくとも10m以上離れたところに差し掛かった時、翔が再び声をかける。
「やっぱりもう戻ってきて!」
少し離れているので無意識に声を大きくして指示を出した。しかし奈緒は見向きもせず少し歩を速め逃げるように木に向かっていく。
翔は少しだけ不安になった、言う事を聞かないのは予想通りだったが奈緒が歩を速めたため、もしかしたら本当に逃げるんじゃないか、そんな考えがよぎったからだ。しかしその不安もすぐに解消される。
奈緒歩みのスピードはそのままにそそくさと木にタッチしてこちらに戻ってきた。表情はやはり完全に翔を軽蔑している。
(やっぱり……指示を出した時が10m以内なら指示の内容が範囲外に行く事でも関係ないって事なのか)
一通りの実験を済ませ翔は一息ついた、奈緒は変わりなく黙ったまま待っている。
(さて・・・俺ももう限界だ、本の効果が強力なのは前例も含めて良くわかっている。やってやる、やってやるぞ!)
翔は今までは例えるならボーダーラインの一歩手前でうろちょろしている状態だったが遂にその一線を越えようとしていた。
「これから色々聞くけど全て正直答えてね」
「ええ。」
翔はそう指示を出した。
「君の名前は?」
「高崎奈緒」
「身長と体重は?」
「160cmの45kg」
「スリーサイズは?」
「上から80、58、75」
「今、君は何してる?」
「質問に答えてるけど?」
(・・・そう答えるか)
ありえない質問はもとより、少し捻った質問にも即答する奈緒に翔は快感を覚えていた。
『聞かれた事には全て答える』ようになってるので質問自体は指示の形でなくてもちゃんと答えていく。
その後も暗い校舎裏で奇妙な問答が行われていく、誰も来ないという保証はなかったが、翔にそれを気にする余裕はなかった。
翔は少し過激な質問をしてみる事にした。流石に少し息を呑む。
「オナニーって知ってる?」
「うん、知ってるよ」
奈緒は聞かれたから答えた、といった感じだ。既に軽蔑の目はないが、受け入れたというよりは諦めたといった感じだ。
「したことはある?」
「あるよ」
「最近したのはいつ?」
「一昨日の夜かな」
「なぜしたの?
「ムラムラしたから……かな」
殆ど翔が言わせたようなものだが、本人の口から聞けて翔は感動していた。
(そろそろ質問はもういいかな、お約束な事でもさせてみよう)
翔は調子に乗りそんな事を考えて新たな指示を出す。
「スカートをまくってみせて」
「うん、はい」
言われてすぐに奈緒はスカートの裾を掴んだかと思うと一気に下着が丸見えになる位置まで捲り上げてしまった、澄ました顔で白のショーツを晒す。
翔はもう完全に興奮状態だ。
「こ、これが……女性の……」
そう言って翔は無意識にしゃがみ込み奈緒のショーツの前まで顔を近づける。
その瞬間、
「きゃあっ!!なにしてるの!!?」
「えええ!?」
奈緒は翔の行動に驚くがそれ以上にその反応に対して翔が驚き飛び退く。一瞬頭の中が真っ白になってしまった。
(な、何で今更!? まさか『本』の効果が……?)
「いきなり何て事するの!?」
奈緒は完全に頭に血が上っている、しかしなぜか逃げようとはしない、そして何より……その手はまだスカートを完全に捲り上げたままだった。
そのおかしな光景をみて翔は落ち着きを取り戻した、そしてすぐ自分のミスに気付く。
(ああそうか、『スカートをまくってみせて』と言ったんだっけ、スカートをまくってる格好を見せてるだけでパンツを見せてるつもりは全くないって事か。)
まだ奈緒は怒って何か言っているが、もはや翔の耳には届いていなかった、ただ怒りながらスカートを捲っているという倒錯した格好に見惚れていた。
「まあ落ち着いて、邪魔はしないでよ」
翔は暫く鑑賞してから、ただ一言そう言った。それだけで奈緒はおとなしくなる。
既に怖いものはなくなった翔は再び奈緒の股間に顔を近づける。
「また・・・! やっぱり村井君ってそういう人だったのね・・・!」
奈緒は怒ってはいるが先ほどの剣幕もなく、翔の行動を止めようともしない。
翔は気にせず鑑賞し、そして手を伸ばしだした。
「ううっ・・・もうやめて!」
(それにしても高崎って意外とはっきり言ってくるな。見た目からもう少しおとなしいかと思ってたけど……)
奈緒の罵倒は無視しショーツを触りながらそんなことを考えていた。
やがて翔は立ち上がり、新たな指示を出す。
「利き腕でパンツを下ろして、しゃがんだりしないで立ったまま、片手で下ろせるところまででいいよ。もう片方の腕はスカート掴んだままでよろしく。」
「わかったわ」
翔の余裕たっぷりの言い方に奈緒は睨んだまま答えつつ、言われたとおり立ったまま右腕でショーツを下ろし始める。
左手も言われたとおりスカートを掴んでしっかり捲っているので右手の状況は翔からは丸見えだった。
当然立ったままでは下ろすのにも限界があるためショーツは膝より少し上で止まったが、奈緒の秘部が完全に露出されるには充分だった。
下ろし終わった右手は再びスカートの裾に戻っていく。奈緒は怒った表情のままスカートを捲ってショーツを下ろし秘部を見せ付けるような格好をしている。
「これからまた色々見たり触ったりするけど、もう気にしないでね」
翔はそう言って返事も聞かずにしゃがみ込んでまだ毛の少ない秘部に手を伸ばし、人差し指でぷにぷにとつつくように触り始める。
奈緒はまだ怒ってはいるが、今の行為に対しては言われたとおり特に気にしていないようだ。ただ黙って秘部を触らせている。
「高崎さんって処女?」
「ええ、そうよ」
質問には正直に答える指示は残っているため奈緒は秘密を即答する。
翔はそれに満足したかのように秘部を触り続け、時々胸などにも手を伸ばした。触る事自体気にしないように言われてしまった奈緒はされるがままになっている。
暫く続けていると奈緒の息が多少荒れてくるが、声にだしたり乱れたりする気配は一向になかった。
翔は少し気になって聞いて見る。
「高崎さん、気持ちいい?」
「うん」
(あれ、一応ちゃんと感じてるのか……あ、もしかして『落ち着いて』るのか?)
翔は自分の指示を思い出し、納得する。奈緒は(本人の感覚では)長い間放置されていたため怒りも引いてまた澄ました顔で翔に身体をいじらせていた。
触るのにも飽きてきた翔は、奈緒から離れ再び考えこみ始める。
(なんだろう、何かつまらない……反応がないからか? 別に僕は泣き叫ぶとかそういうのは興味ないはずなんだけど……)
翔は先ほどまでの行為を思い出す。その中で一番興奮したのは───激怒しながらスカートを捲っている奈緒の姿だった。
翔はふと奈緒に目を移す。奈緒は暇なようで辺りを少しきょろきょろとしていた、もちろんスカートを両手で捲り上げて秘部は出したままだ。
その格好を見て翔の中に再びゾクゾクとした感覚が芽生えていく、それと同時に翔は何かを思いついたようだ。
「今更だけど高崎さんの家って、門限とかある?」
「気にした事ないからよくわからないけど、多分無いと思う」
奈緒の回答に翔はニヤリとし、ある指示を出すことにした。
「高崎さん、君はこれから───」
(まだかかるのかしら……)
高崎奈緒は村井翔に何か言われている時もそんなことを考えていた。
「それじゃ、高崎さん『さよなら』」
「ええ」
(やっと委員の仕事が終わったわ・・・もうこんな時間じゃない、早く帰ろう)
翔に解放されてそんな事を考える、どうやら奈緒は今までのやりとりを忘れさせられ委員の仕事していたということにされてしまったらしい。
さっきまでの格好も既に元に戻っている奈緒はさっさと帰ろうとしているが、実はまだすぐ隣で翔がついてきている、というより奈緒が翔についていくような感じだ。
奈緒は隣にいる翔に関しては全く気に留めていない、むしろ認識できていないと言った方が正しいかもしれない。
しかし、翔が足を止めると奈緒もしっかり足を止めていた、奈緒はそれでも自分はただ『家に帰っている』と思い込んでいる。
奈緒はまだ翔に開放などされてはいなかった、翔はさっきのやり取りの最後に『言う通り』を駆使して催眠の暗示に近い指示をいくつか出していたのだ。
しばらく歩いていると完全に人の気配が無い道にさしかかる、翔はここには人が全く来ない事を把握していた。
それを見計らって翔が行動を始める。
ゆっくりと右手を奈緒の目の前まで持っていき人差し指を立ててくるっと廻しだした。
(あ、そうだ。)
その瞬間、奈緒に変化がおきる。
奈緒は鞄をそっと置き、特に周りも気にしないままいきなりスカートの中に手を突っ込んだかと思うと迷うことなくショーツをひき下ろす。
「よい……しょっと」
校舎裏の時と違い、今度は一気に脱いでしまう。そのままスルっと足から外され、自然な流れで鞄の中へと消えていってしまった。
その後スカートを直しつつ鞄を拾う。
当然一部始終見ていた翔はそれを確認してから再び歩き出す、そして何事も無かったかのように奈緒も歩き始める。
しかし確実にそのスカートの中には秘部を隠すものはなくなっていた。
また少し歩き、翔は人がいないのを確認すると再び行動に出る。
次は左手を先ほどと同じ様に奈緒の目の前まで持っていき人差し指を立ててくるっと廻した。
再び奈緒に変化がおきる。
(え……あれ? ここ、どこ!? 何で私こんなところに……)
奈緒はハッとし辺りを見渡す、ついさっきまで当たり前のように歩いていたのに(正確には翔についていっただけだが)急に迷子のように慌てだした。
その間に翔は奈緒より少し先を行くように歩き始めている、その姿が今の奈緒にはちゃんと認識できるようになっていた。
(あれは……村井君?この辺に住んでるのかな?とりあえずここがどこなのか聞かないと……)
さっきまでの事は忘れさせられている為、奈緒は翔に対して図書室で見た時と同じ様な感情しかなかった。
関わりたくは無いが、そんなこと言っていられる状況ではない。奈緒は何故か少しデジャビュを感じながら駆け足気味に翔に近づき声をかける。
「あの、村井君……だよね?」
「あれ、高崎さん? なにか用?」
張本人が白々しいが、奈緒は気付くわけもない。
「なんだかよくわからないのけれど、迷っちゃったみたいで……ここってどこだか分かる?」
「ここは商店街近くの裏道だよ。商店街にいきたいならあっち」
翔は指をさしながら答えた、もっとも本当かどうかは定かではない。
「そう……ありがとう」
そう言って奈緒は……なぜか鞄を開き、ある物を取り出して翔に突き出した。
「はい、よかったらどうぞ」
「これは?」
翔はその物が何なのか、すでに知っていながらも聞き返す。
「私の下着よ、道を教えてくれたお礼。」
奈緒はさも当たり前のように先ほど脱いだ白いショーツを翔に手渡した。翔はにやけながらもそれを受け取り答える。
「ああ、ありがとう」
「それじゃあ私はこれで……」
翔のにやけた顔を見て奈緒は逃げるように教えてもらった道を行こうとする。
(ぅぅ……教えてくれたのはいいけど、下着もらった位でニヤニヤしないで欲しいなあ……)
そんな事を考えながら歩こうとすると後ろから翔が声をかけてきた。
「高崎さん」
「え、どうしたの?」
気は進まないが声を掛けられた以上無視するわけにもいかず奈緒は振り向きながら答える。
翔はまだにやけながら言った。
「これ忘れてるよ」
「これ?」
意味ありげに言われたが、奈緒には思い当たる節が無かった。
翔を見るとにやけながらも右手を握手を求めるかのように出している、しかし握手にしては少し位置が低い。
(あれは……? って、私ったら「別れの握手」を忘れてるじゃない)
奈緒は思い出したように翔の前まで移動する。
「あはは……ごめんね、今するから。」
初めて翔に笑顔を見せながら(ごまかし笑いだが)そう言って、ガバッとスカートを捲る。
下着は履いてないので再び秘部が完全に晒される。
「いいよ、別に。気にしてないからどうぞ」
翔はまだにやけ笑いと右手を出す事を続けながら言い、目の前で秘部を丸出しにしている女の子に何かを促した。
「うん、じゃあするね。」
奈緒はスカートを捲ったまま股間を翔の右手に近づけ、乗るようにしながら秘部を翔の右手にあてがう。
それだけでは終わらず、位置を確認すると今度はそのまま白い腿で翔の右手を挟み込むように包んでしまった。
翔の右手は親指以外完全に隠れてしまっている。
「んっ・・・」
翔が唯一動かせる親指で陰核に触れた時少し奈緒の声が漏れた、しかし躊躇せずに奈緒は挟んだままの状態で腰を動かし翔の右手を擦り始める。
いわゆる素股というものだろうか、だがあくまで翔は親指で陰核を弄ぶだけで自分から手を動かそうとはしない。
「なんか滑りが悪いね」
翔は自分で動かさないどころか軽く不満を言い出す。
「ごめんね、まだあんまり濡れてなくて……よかったらもう少し強くクリトリスいじってくれないかな?」
そんな不満に対して奈緒はなぜか素直に謝り、あろうことか自分から翔の行為を薦めだした。
翔は返事こそしないものの、言われた通りに奈緒の陰核をグリグリと言わんばかりに弄り倒す。
「ああん! んんっ……」
特に声を抑える素振りもなく奈緒が喘ぐ。それと同時に秘部から液が溢れ、腰の動きがスムーズになっていった。
奈緒は快感で力が抜け、翔の差し出した右手にしがみつくようになるが腰をとめようとはしない。
もはや翔の右手でオナニーをしているようにしか見えなくなっている。
「ぁ……! い、イク……いっちゃうぅ!」
絶頂を迎えようとしている奈緒に対して翔は何も言わずにただにやけながら右手を貸している。
「……っうぅ!!」
一瞬全身を痙攣させ奈緒は絶頂に達した。やがて完全に翔にしなだれかかる。
しかし、翔はその光景を見て股から右手を抜き取るとまだ肩で息をしている奈緒を揺さぶり始めた。
「ほら、握手ぐらいでそんな疲れないでよ。」
「え、ええ……ごめんなさい……。」
無理やり起こされた奈緒はだるそうにしつつも身なりを整え始めた。取り出したハンカチで体についた愛液を丁寧に拭き取っていく。
やがて拭き終わり、スカートを直して今度こそ翔に別れを告げた。
「それじゃあね、私そろそろ帰らないとまずいから……」
校舎裏の質問で門限がない事を既に教えてるのだが、その事を忘れさせられている奈緒は嘘をつき、逃げるように歩き出した。
翔は嘘だと分かっていたが特に咎める事はせず、離れていく奈緒にただ一言こう言った。
「ああ、帰ってもパンツは履かないようにね。」
そう言われても奈緒は答えず、聞こえていないかのように無視して歩いていく。
(また変な事言ってる・・・私が下着を履かないのは当然の事なのに・・・)
そんな事を考えながら奈緒は翔が教えた方向へと消えていった・・・
「く……くっくっく……はっはっはっはっは!」
人の気配のない道に翔の笑い声が響く。
(これさえあれば……もう俺に怖いものはない!)
しばらくして歩き出した翔は笑いながら暗い道へと消えていく。
完全に『本』の力に魅入られていた翔は、自分の一人称が変わっている事に気付いてはいなかった。
< つづく >