1. 魔法のオチンチン
「姉ちゃん、姉ちゃん。僕ね、魔法使いになったんだよ」
「そうなんだ。良かったね」
「信じてないな」
「信じてる信じてる。コウタ君、すごーい」
私は高田奈々子。高校2年生なんですけど、帰宅するなり、待ち構えていたらしい弟耕太に捕まってしまいました。耕太は6歳下でまだ小学5年生。我が家は両親共働きで、帰りが遅くなる今日は、食事の支度など私が耕太の面倒を見ないといけません。まず夕食を作らないといけないので、妙な事を言い出した耕太を適当にやり過ごそうとしたのですが、いつになく耕太は頑固でした。
「姉ちゃん、やっぱり信じてないんだな。魔法の力でお仕置きするぞ」
「はいはい。お姉ちゃん、着替えたいんだけど」
「駄目だよ。ここは、通行禁止です」
「いい加減にしなさい! 晩御飯作ってあげないよ。今日はハンバーグなんだけどな」
両手を広げて通せんぼしてる耕太に、つい怒った声を出してしまいました。実はちょっと面白くない事があったからなんですけど、小さな弟に当たってしまうなんて大人気ないなとすぐに反省しました。耕太は少し根暗で、家でゲームばかりやってるような子ですが、大人しくてほとんど手を焼かせる事なんかないんです。親が遅くなる日が週に2、3回あり、もっと小さな頃から私と2人切りの事が多いので、姉ちゃん、姉ちゃんと慕って来る甘えん坊の耕太を、私もかわいがってあげてます。おかげで部活も出来ず、早く帰宅せねばならないのも、別段苦ではありませんでした。
――あっ! 耕太にスカートめくられた。別に黒いのはいてるからいいけど……
耕太を押し切ってブレザーの制服を着替えようとすると、物の弾みかも知れませんが耕太がスカートめくりなんか仕掛けて来たので、足が止まってしまいます。耕太にこんな事をされた覚えはないので、一寸ビックリしてしまいました。とても内気な子なのでそんなキャラじゃないのです。多分私だから、こんな事が出来たんでしょうけど、彼が妙に粘っこい視線を送って来てる気がして、変な気持ちになってしまいました。パンチラ防止の黒いハーフパンツをはいてたから、どうって事ないんですけど。
「じゃ、じゃあ、姉ちゃん。僕が魔法使いになった証拠を見せてあげるよ」
「わかった。見せて頂戴……ちょっと耕太!」
何と耕太がズボンを下ろして大事な物を出そうとしたので、つい慌ててしまいました。しかしまあ、子供のやる事だからと思った私は、ついチラ見してしまった異常な物体にギョッとなり、マジマジと見つめてしまいます。異常と言いましたが、子供にしては、と言う意味です。第一、弟のその部分を見たのは随分前の事でしたし、高校生の私に比較対象出来る程経験があるわけがありませんでした。
「姉ちゃん、凄いでしょ、僕のオチンチン」
「耕太君、発育がいいんだね。わかったからもう仕舞って」
「ヨシオ君とどっちが大きい?」
――何て事言い出すの、この子……
大人しい耕太のその言葉に、私は今度こそショックを受け愕然としていました。弟が悪いものに憑かれて、別人がしゃべってるようにすら感じてしまいます。耕太はまだ性に目覚めていない子供だとばかり思ってたんですから。「ヨシオ君」とは私が今付き合ってる彼氏の名前で、家にも何度か来た事があり耕太も知ってると思いますが、まさかそんな目で見ていたなんて夢にも思いませんでした。
そして私にとってもっとショックだったのは、耕太が豪語するオチンチンのサイズが彼氏よりずっと大きかった事でした。だってついこの間ヨシオ君と初エッチしちゃったばかりなんですから。ちなみに私がエッチまで許した彼氏はヨシオ君が二人目です。一人目と比べても耕太のペニスはずっと立派でした。いくら発育が良いと言っても、小学生としては規格外な気がします。今でこそオッパイやお尻が大きいと女友達にからかわれる私も、小学生の頃はツルペタでした。初潮があったのもちょうどコウタくらいの時で、まだ意味も良くわかっていませんでした。男の子の方がそう言う事にはニブイ筈ですし、内気で女の友達なんかいそうにないコウタが、立派過ぎるオチンチンを見せ付けて来るなんて、私はパニクってしまいそうでした。そして困った事に、私はソレをガン見したまま、固まってしまってたのです。
「僕ね、姉ちゃんとセックスしたいと思って、チンチンに魔法掛けて大人の大きさにしたんだ」
「……コウタ、それ意味わかってんの?」
私はいつの間にかカラカラに渇いてしまった喉から絞り出すように言いました。
「もちろん。男の人がオチンチンを女の人に入れてセーエキを出したら赤ちゃんが出来るんでしょ。学校で習ったよ」
「お姉ちゃんとそんな事しちゃいけないんだよ」
「どうして? セックスって一番好きな女の子とするもんだって聞いたけど」
「あのね、コウタ……」
私は困ってしまいました。コウタはトボけているのではなく、本当に知らないみたいでした。そして、素直に一番好きな女の子として私を指名し、セックスしたいと言うのです。正直言って、甘酸っぱいもので少し胸がキュンとなってしまいました。まだセックス出来る年齢じゃないと言えば良いのか、姉と弟でセックスしてはいけないと言えば良いのか迷っていると、コウタは何とシコシコおちんちんをしごき始めたんです。
「僕知ってるよ。大人のオチンチンを固くしてから女の人に入れるんでしょ。セーエキだって出せるんだから」
後から思えば、ここで叱り付けてでもコウタに射精なんかさせるのではありませんでした。だけど、情けない事に私自身男の人が精液を出すのを見るのは初めてだったんです。コウタが、ああ出ちゃう、と口走りながらビュッと出してしまうのを、茫然と見てしまってました。そして、姉ちゃんティッシュ、と言ったコウタにティッシュペーパーを渡して後始末まで手伝うと言うマヌケな事までしていたのです。コウタはとても気持ち良さそうな顔をして精液を拭き取ると、変な事を言いました。
「やったー! お姉ちゃんが僕のシャセーを見てくれた。これで魔法がよく掛かるって、先生が言ってた」
「先生?」
「うん。とても面白い男の先生なんだ」
耕太が名前で言わないので変だなと思ったら、担任の先生の産休代理で来た先生のようでした。とても面白い先生で、魔法に興味がある男子は残りなさいと言われ、コウタも含めた5、6人の男子が、このいかがわしい魔法を伝授されたらしいんです。男子だけ残してエッチな話で惹きつけ、この嫌らしい魔法を教えたんでしょう。射精を見たら掛かってしまう魔法だなんて、冗談にしても度が過ぎてると思いました。親が帰って来たら話して学校に抗議してもらおうかと思ったら、耕太が「魔法」を掛けて来ました。
「お姉ちゃんはコーフンして、アソコをイジっていっぱいイッテしまいます。はい、魔法掛けちゃったからね」
ふん、バカバカしい。これもそのエロ教師が教えたんでしょうか。ますます許してはおけない、と思った瞬間、私は衝撃を覚えました。急にアソコがカーッと熱くなり、ドクンと体の奥から込み上げて来るものが滴り押ちる音が聞こえたような気がするのです。バカな、と思った時にはホントにもう我慢出来なくなっていました。
私が無様にスカートの上からアソコを押さえながらトイレに行こうとすると、耕太が勝ち誇ったように言います。
「ほら、やっぱり。アソコをイジりたくなったんでしょ」
「違うわよ! オシッコ。そこどいて」
だけどもう私はコウタの魔法が本物だと認めざるを得ませんでした。だって、アソコを押さえただけで泣きたくなるくらい気持ち良くなってしまい、ヘネヘナと砕けそうになった脚をヨロヨロと何とか前に進める必要があったんですから。トイレに入って水をジャーッと流し、便座に腰を下ろしてすぐに露出させたアソコを触った時の感激と言ったら、もう言葉にならない程でした。エッチな声が出ちゃいそうな口を手で塞ぎ、夢中で初めてのオナニーに没頭します。アソコに指を入れてクチュクチュし、うろ覚えで一番感じる筈の尖りに触れてしまった瞬間に、頭の中が真っ白になりました。
――これがイクって事なんだ。気持ち良過ぎて、ヤバイわ……
そうです。私はまだイッタ事がなかったんです。でも意識が飛んで体がバラバラになりそうに強烈なこの感覚が「イク」と言う事なんだと、すぐ納得しました。大して時間も経ってないのに、余韻で下半身がジーンと甘く痺れており、体を動かすのも億劫なくらい気怠かったです。尿意を覚えたのでついでにシャーっとオシッコを出すといつになく爽快だったのですが、困った事にアソコを拭いていると又ウズウズとエッチな気持ちが込み上げて来てしまったんです。
――そう言えばあの子、「いっぱい」イクって魔法掛けたんだっけ……
でも多少冷静になった頭で考えると、私の思い過ごしだったようにも思えます。耕太のペニスの大きさだって、勃起してたのを割り引けばそんな小学生もいるでしょう。私が弟のペニスに動揺して変な気持ちになったのも理由がないわけではありません。実は今日の放課後、ヨシオ君に誘われたのに、早く帰らなければいけないと断ったら、他の男の子と会ってるんじゃないかと疑われてしまったのです。俺のエッチが下手だからか、と見当違いな事を言い出すヨシオ君と、気まずい雰囲気になって帰宅したので、余計耕太のペニスに刺激を受けてしまったんでしょう。正直言って私はセックスが気持ち良いと思った事は一度もありません。オナニーだってした事なかったのに。え? やっぱり魔法に掛かっちゃったんでしょうか。
モヤモヤした気持ちでしたが、あまり長くなると耕太に勘付かれ、ますます調子に乗って来るかも知れません。オシッコもすませた事ですし、ドアを開けると耕太が待ち構えていました。変な事を言い出す前に、私の方からわざと大声で言います。
「あー、オシッコしてスッキリしたわ」
「魔法効かなかったの?」
「当たり前でしょ! バカな事言ってないで宿題やってなさい。お姉ちゃん、ハンバーグ作ってるから」
「わかったよ」
耕太がしぶしぶランドセルを取って来て、リビングで宿題を広げたのを確認した私は、隣の部屋に制服を着替えに行きました。
< 続く >