「よし!解析できたぞ!」
僕は、コンピューターが弾き出した結果に躍り上がる。
「やっぱり、魂は実際に存在するんだ!」
僕が解析したのは、人間の魂の構造。半年かけて集めたデータをもとに、ようやくそれに成功したっていうわけ。
あ、つい興奮して自己紹介が遅れてしまった。
僕は、作泰三(つくり たいぞう)、15歳。自称、天才発明少年だ。
もちろん、天才を自称するのはダテじゃない。カリキュラムをスキップしまくって、すでに、機械工学、ロボット工学、心理学で学位を取っている。
で、今は、研究員の身分で、この大学で生物化学と生命工学の勉強中だ。
そんな僕がこのところ取り組んでいたのが、人間の魂に関する研究。
もちろん、僕だって魂なんてものを無邪気に信じていたわけじゃない。いちおうこれでも科学者の端くれなんだから。
きっかけは偶然だったんだ。
僕が、自作の計測機を使って感情の変化の体に与える影響に関して調べていたとき、見たことのない波長の電波を計測機が捉えているのに僕は気付いた。
その電波を詳しく分析してみると、一部分を除いて、ほとんど全ての人で波長が共通していることがわかった。そこで、もしやと思って集めた測定結果を数値化し、コンピューターに入力して解析する作業を続けたんだ。
その結果、全ての人に共通する、心や感情を左右するフレーム、つまり、魂とでもいうべきものの存在をたった今突き止めたっていうわけだ。
「ふーむ、この変数値の幅で個性が決まるわけだな」
その、魂の構造の大枠は全ての人で共通しているけど、何ヶ所か、それぞれで数値の異なる場所がある。その部分の数値の違いで、ひとりひとりの個性が決まるっていう仕組みらしい。
「よし、ここまできたらあと少しだ」
僕は、人間の魂に構造に関するデータを、手のひら大の機械に入力する作業に没頭する。
この機械は、最初に魂の波長を捉えた計測機を改造したものだ。
今、人間の魂のデータを打ち込んだことで、この機械を向けてスイッチを押せばこの魂のデータを持つ生き物、つまり人間の心を捉えることができるようになったはずなんだ。
その状態で機械の赤いボタンを押せば、捉えた相手の魂の変数、つまり個性の部分を読みとりはじめる。それが完了すればもうこっちのものだ。あとはこの機械で打ち込んだ通りにその相手は動いてくれる、はずなんだけど。
とりあえず、ちゃんと動くかどうか実験してみないとなぁ。
僕は、研究室の窓に近づいていく。
4階にあるこの研究室からは、下のベンチが見下ろせる。この研究棟はキャンパスのはずれにあるので、このベンチに人がいることもあまりないんだけど……。
あっ!
向こうから女の子がひとりでやってくるぞ!
僕は、周囲に人がいないのを確かめると、機械の照準を女の子に向ける。
スイッチを押すと、歩いていた女の子の足が止まった。
うん、うまく魂を捉えたみたいだ。じゃあ、次の段階だな。
僕は、無表情のままぼんやりと突っ立ている女の子に機械を向けたままで、赤いボタンを押す。
すると、機械の小型モニターにいくつかの数列が現れていく。
やがて、数列の表示が止まり、女の子の体がビクンと震える。
よし、完了だ。これで、あの子は機械の操作通りに動くはずだぞ。
僕は、機械にコマンドを入力していく。
すると、入力した通りに女の子がスカートをたくし上げた。
スカートの裾を持ち、ショーツをさらけ出したまま、女の子はフラフラとベンチに向かって歩いていくと、ベンチを跨ぐようにして座る。
そして、ショーツの隙間から自分の指を挿し入れる。
うーん、ここからだと声が聞こえないのが残念だなぁ。
自分の指を深々とアソコに突き入れ、大きく口を開いて体を仰け反らせている女の子の姿を見ながら僕はつくづくそう思った。
女の子は、体をビクンビクンと震わせながら指を出し入れしている。何か叫ぶように口許が動くのが見えるけど、その声は僕の所までは届かない。
しまった、双眼鏡も用意しておけば良かった。
アソコに出し入れする手の動きがどんどん大きくなっていき、女の子は首を大きく振りながら体を何度も跳ねさせている。
そのうち、体を大きく海老反りに反らせたかと思うと、がっくりとベンチに体を落とす。
よしよし、成功だ。
僕はベンチに仰向けになって、肩で大きく息をしている女の子の姿に満足すると、機械を使って操作を解除する。
すると、女の子は飛び上がるように立ちあがると、きょろきょろとあたりを見回す。そして、恥ずかしげに俯くと、そそくさと内股で立ち去っていった。
たぶん、あの子には何かされたっていう意識はない、はずだ。人気のない場所で突然ひとりエッチをしたくなった、と思ったことになるようにコマンドを入力したんだから。
よし、実験も成功したし、それではいよいよあの子を狙うことにするか。
そう、実は、この機械を使うターゲットはもう決まっている。
ただ、僕はその相手のことを全然知らないんだ。その子の名前さえも。
その女の子は、僕が学生の子たちと一緒に受けている生命分子工学特殊講義の教室にいた。
青みがかかったような長い黒髪で、前髪は眉の上で切りそろえた、睫毛の長いまるで人形かおとぎ話の中のお姫様のような女の子。
教室の隅っこの机に、物静かに座っている彼女に僕が気付いてからもう、2ヶ月近くになる。
僕好みの可愛らしい子だから、気になって話しかけようかとも思ったけど、講義が終わって彼女の座っていた方を見ると、いつも、知らない間にいなくなっているんだ。
だから、僕は一緒に講義を受けている他の学生の子に聞いてみることにしたんだ。僕が、このみんなと一緒に受けている講義はこれだけだし、みんななら、ふだん一緒に他の講義も受けているだろうから、きっと彼女のことを知ってるんじゃないかと思ってね。
「え?髪の長い女の子?」
「ほら、教室の隅の席にいつも座ってる、おとなしそうな子だよ」
「そんな子いたかな?」
「いや、気付かなかったなぁ」
そんな。あんなに可愛らしい子に誰も気付いてないなんて。
「うそでしょ。だって、毎週講義に出てるよ、あの子」
「ええ~、そんな子いなかったと思うけどなぁ」
「そうそう、うちの専攻女の子少ないから、そんな子いたら絶対気付くよなぁ」
「うんうん」
「寝惚けてたんじゃないの、泰三クン」
いや、僕は絶対に寝惚けてなんかいない。
結局、みんなに訊いても彼女のことはわからなかった。
そこで、僕が作ったこの機械の出番ってわけ。
僕は、実験の終わった機械をポケットにしまいこむ。
次週の講義の時に、こっそりと彼女に照準を当ててこの機械を使えばいいんだ。
しかし、それよりも早くチャンスはやってきたのだった。
* * *
その日、共同研究のデータ収集に手間取って、僕が実験棟から出た時には、外はだいぶ暗くなっていた。
「もう、こんなに暗くなってるじゃないか」
僕が、ひとりで文句を言いながら荷物を置いている研究棟に向かっている、その途中のこと。
何気なく講義棟の建物を見上げると、ぼんやりと灯りのついている部屋がひとつあった。
あれは?生命分子工学特殊講義の教室のあたりだ。
いつもなら、そんなことは気にしないはずなんだけど、その時は、そんな時間にあの教室から灯りが漏れているのが妙に気になった。
僕は、講義棟の中に入り、階段を上っていく。
やっぱり、生命分子工学特殊講義の教室だ。廊下の端からでも、灯りがついているのがわかる。
でも、なんだろう、あの光は?この建物の照明は、あんな質感のものではないはずなんだけど。
僕は、忍び足で教室に近づいていき、そっと中を覗いてみる。
あれは!?
ぼんやりと薄明るい教室の中で座っているのは、あの子だ!
いったい、こんな時間に、こんな所でなにをしているんだろう?僕には、彼女がここにいる理由はさっぱりわからなかった。
でも、これはチャンスじゃないか?
僕は、ポケットの中に手を突っ込む。
うん、ちゃんとあの機械は入ってる。
僕は、機械を取り出すと、そっと彼女に向かって照準を合わせる。
スイッチを押すと、女の子の体が、ブルッと小さく震えた。そして、赤いボタンを押すと、小型モニターに数列が現れていく。
やがて、数列が止まり、それまで身じろぎもしなかった女の子の体が大きく震える。
よし、これであの子は僕の思いのままだ。
片思いっていうんだろうか。ずっと気になっていた子だから、それだけで僕の胸はバクバクと高鳴っている。
とりあえず、僕に対する彼女の好感度をMAXにしておこう。そして、エッチなことをしたい気持ちにして……。
そうだ!キーワードでも決めて、僕の言ったとおりに行動するようにもしておこうかな。うん、キーワードは、「さあ、ほら」で始まる言葉にしよう。
僕がコマンドを送信すると、彼女が僕の方に振り向く。
ぼんやりと僕の方を見ている彼女に、僕は手を振りながら声を掛ける。
「や、やあ、話をするのは初めてだよね。僕は作泰三。いつも、ここで一緒に生命分子工学特殊講義を受けているんだ。知ってたかな?」
「あなた、私が見えるの?」
彼女が、僕を見ながら目を丸くする。
ん?いったいなにを言ってるんだ、彼女は?
「見えるの、て、見えるに決まってるじゃないか」
「だって、幽霊なのよ、私」
幽霊?そんなものが存在するわけがない。きっと、彼女は僕をからかっているんだ。
「幽霊だなんて、そんなバカな。だって、キミは足もついてるし、こんなにはっきり見えるのに」
そういうと、僕は彼女に向かって手を伸ばす。
「って、え?」
彼女の手をつかもうとした僕の手は、そこに何もないかのように彼女の体をすり抜けてしまった。
じゃあ、この子は本当に、ゆ、幽霊なの!?
「足のある幽霊だっているのよ。幽霊には足がないなんて、固定観念にとらわれすぎだわ」
う、さすがにこの大学にいる幽霊だけあって理屈っぽい。
「それにしても、泰三クンって言ったっけ?私の姿が見えるなんて、泰三クンは霊感があるのか、よっぽど私と相性がいいのかどっちかなのね」
僕は今まで幽霊なんて見たことないから、霊感があるとは思えない。じゃあ、この子との相性の問題なんだろうか?
こんな可愛い子と相性がいいなんていうのは素直に嬉しいけど、幽霊と相性がいいっていうのは正直複雑な気持ちだな。
「それにしても、泰三クンって素敵ね。あっ、わかったわ!私が泰三クンのこと大好きだから、だから泰三クンに私の姿が見えるのね!」
いや、それは絶対に違うから。だって、それ、さっきこの機械を使って僕のことを好きにさせたからだし。そもそも、その前から僕には彼女の姿が見えてたんだし。
「あの、僕はまだキミの名前知らないんだけど」
「あ!ごめんごめん!私は、ハナコ。なんか、古くさい名前でしょ」
そう言うと、彼女は照れくさそうに微笑んだ。
「ふーん、じゃあ、ハナコちゃんは、卒業間近で事故に遭ったんだ」
「そうなのよ」
薄明るい教室の中、並んで座って話をする僕とハナコちゃん。
こうなったら、ポジティブシンキングだ。幽霊と話をするんじゃなくて、幽霊だけど可愛い女の子と楽しい時間をすごすんだと考えよう。
「それが思い残しで幽霊になっちゃったの?」
「うん、まあ、最初はそうだったんだけどね」
「最初は?」
「幽霊になって、この大学にずっといて、いろんな学生の子を見てるとね、私、なんてつまらない学生生活を送ってたんだろうって」
「そ、そうなの?」
「そうよ。真面目にコツコツ勉強して、卒業間近で事故で死んじゃって、それが心残りで幽霊になるなんて。もっと、楽しいキャンパスライフもあったはずなのにね。例えば……」
「例えば?」
「た、泰三クンみたいな素敵な男の子とつき合って、その、え、エッチなことするとか」
そう言うと、ハナコちゃんは顔を真っ赤にする。
ああ、そのコマンドもちゃんと効いてるんだ。それにしても、幽霊の顔が赤くなるメカニズムっていったいどうなってるんだろ?
「ハナコちゃん」
「バカよね、私。幽霊になった今さら、そんなこと後悔するなんて」
そう言ったときのハナコちゃんの寂しげな顔は、僕の心に突き刺さりそうなくらい綺麗に見えた。
「そ、そんなことないよ、ハナコちゃん」
僕は、彼女を慰めようと、無意識のうちに肩を抱こうとする。
しかし、そんな僕の手は、空気を掴もうとしているようで、スッ、と彼女の体をすり抜けてしまう。
「あ…」
かえって、自分が幽霊である現実を突きつけられて、ハナコちゃんが傷ついたような表情になる。
「ご、ごめんごめん、そんなつもりじゃ」
「いや、泰三クンは悪くないの。悪いのは幽霊の私なんだから」
ハナコちゃんは、それだけ言うと黙り込む。
そうして、少し気まずい沈黙の時間が流れた後。
「ねえ、泰三クン」
ハナコちゃんの方から口を開く。
「なに、ハナコちゃん?」
「私のこと、好き?」
「うん、好きだよ」
「ホントに?」
「うん、だって、ハナコちゃんは可愛いし、優しいし、素敵だと思うよ」
「そういってくれて嬉しいな。あーあ、私、泰三クンみたいな素敵な人とエッチしたかったなぁ」
ハナコちゃんは、ちょっとだだをこねるように嘆息する。
うん、僕もハナコちゃんみたいな可愛い子とエッチしたいよ。
「ああっ!そうだ!」
いきなり、ハナコちゃんが大声を上げて立ち上がった。
もちろん、体がすり抜けるから椅子を蹴飛ばしたりするわけでもなく、体が椅子を貫通して立ってるように見えるけど。
そうか、今までは座ってたんじゃなくて、椅子の上に浮いていたような感じだったんだな。
「ど、どうしたの、ハナコちゃん!?」
まあ、そんな、霊体と物理に関する考察はさておいて、僕も大声で聞き返す。
「ちょっとここで待っててね、泰三クン!体を調達してくるから!」
そう言うと、ハナコちゃんは大急ぎで教室を出ていく。
体を調達するって、どういうこと?
僕は、唖然としてハナコちゃんの後ろ姿を見送っていた。
それにしても、自分で作っておきながら、この機械って、幽霊にも効果があるんだ。
まあ、考えてみれば、幽霊って魂だけで存在しているようなものだから、魂を捉える事ができるこの機械ならそれも当然なのかな。
僕は、手に握った機械をまじまじと見つめる。
でも、ハナコちゃんはいったい何をするつもりなんだろう?
僕は、この後何が起こるのか少し不安になって、一瞬、逃げようかとも考えた。
でも、ハナコちゃんはずっとこの大学にいるみたいだし、逃げたら次に会った時が怖い気もしたので、とりあえず待つことにした。
バタバタバタ!
少しの間待っていると、こっちに向かって廊下を走ってくる音が聞こえた。
そういえば、ハナコちゃんが出ていった時は足音なんか聞こえなかったっけ。
「体を手に入れてきたよっ、泰三クン!」
息を切らして、教室に飛び込んでくると、ガタガタッと椅子につまずきかける。
「きゃあ!そうだぁっ、体があると椅子に引っ掛かるの忘れてたわ!」
そう言いながら椅子をどけると、ハナコちゃんは僕に抱きついてきた。
ホントだ。確かに、ハナコちゃんの体の感触がある。
「体を手に入れたって、どうやって?」
「もちろん、憑依してに決まってるじゃない!」
憑依って、あの、幽霊が人間にとり憑いてとかってやつ?
「でも、僕には、さっきと変わらないハナコちゃんの姿に見えるんだけど」
「それは、泰三クンにはちゃんとさっきまでの私の姿で見えて、私の体って感じられるようにしてるわ!」
「そ、そうなの?」
僕は、こんな時間まで学校に残ってて、ハナコちゃんに体を乗っ取られた女の子を少し可哀想に思った。
「ね、これで私も泰三クンとエッチなことができるね!」
そう言うと、ハナコちゃんは僕をぎゅうううっと抱きしめる。
おとなしそうな子だと思ったんだけど、ハナコちゃんってけっこう積極的なんだ。
抱きしめられる僕の顔に、フニャッとした柔らかい感触が当たる。
見た感じは細めだったのに、意外と胸があるんだなぁ。それとも、憑依した女の子のおっぱいが大きいのかな?
「ハナコちゃんのおっぱい、大きいね」
「やん!もう、泰三クンったら!これはね、増・量・中!」
「ぞ、増量って、そんなことできるの!?」
「顔や身長を変えるのと一緒。憑依した相手の体を多少は変えることができるのよ」
すごい、すごいよ憑依。これは研究してみる価値があるかもしれない。
「ホント、すごいや」
僕は、指先で、ハナコちゃんのおっぱいを、プニ、と突っつく。
「きゃっ!もっとしっかり触っていいのよ!泰三クンって、ほんっと可愛くて素敵!」
いや、ハナコちゃんの方が可愛らしいと思うんだけど。まあ、普通の大学生から見たら、僕なんかまだまだ子どもに見えるんだろうな。
「ね、泰三クン」
そう言って目を閉じたハナコちゃんの顔が、僕の顔に近づいてくる。僕も目を閉じて、ハナコちゃんとキスをする。
「んふ、ん、ぷふぁ」
結構長い時間唇を重ねた後、ようやく、どちらからともなく口を離し、大きく息を吸う。
「まるで、恋人同士みたいだね、泰三クン」
口づけの後、切なげに甘い吐息を吐くと、ハナコちゃんが服のボタンを外していくと、そのたわわな胸が露わになる。
って、ノーブラ!?
「ねぇ、いっぱい触っていいのよ、泰三クン」
いや、仮にも体は他人のものなんだからそれもどうかと思うけどなぁ。
とかいうことを考えつつも、やっぱりハナコちゃんのおっぱいに手が伸びてしまう。
「ああんっ、泰三クン!」
うん、この柔らかい感触、錯覚や幻覚じゃなさそうだ。
「やっ、そんなぁ!泰三クンったら!」
僕がハナコちゃんの胸に顔を埋めると、ハナコちゃんはよろめいて机にもたれるような格好になる。
「んっ、うふんっ、ひゃああああっ!」
舌先で乳首を弄られながら、もう片方の乳首を指先でつままれて、ハナコちゃんが大きく首を振って喘ぐ。
勢いで跳ね上がったハナコちゃんの足が椅子を、ガタンッ、と蹴飛ばす。
「ああっ、なんでええっ、そんなに巧いのっ、泰三クン!」
なんでって、言われても、まあ、女の子のおっぱいは、もっと小さいときにさんざん弄ってたからね。
「ああんっ!んっ、んぷっ、んふ」
手で胸を弄りながらもう一度ハナコちゃんの唇を塞ぐ。僕のすぐ目の前で、大きく開いたハナコちゃんの目がウルウルと揺れている。
「んむ、んっ、ん、んふう、ふああぁ」
キスを終えると、机にもたれ掛かっていたハナコちゃんの体がズルズルと落ちていき、ペタンと床にへたり込む。
「んん、あ、泰三クンのここ……」
ちょうど目の前に僕の股間がくる姿勢になったハナコちゃんがおずおずとふくらんだズボンの先に手を伸ばすと、僕のおちんちんに鈍い刺激が走る。
「ううっ、そこはっ!」
「ねぇ、見せてちょうだい、泰三クン」
そう言うと、ハナコちゃんは僕のズボンをずらし始める。
「ああっ、ハナコちゃん!?」
ハナコちゃんが、僕のパンツごとズボンをずらすと、すっかり元気になった僕のおちんちんが姿を現す。
「すごい、泰三クンみたいな可愛い子でもこんなになるんだ」
いや、まあ、男だったら、僕くらいの年齢になれば誰でもこれくらいにはなるだろうけど。
「泰三クンの、私が死ぬ前につき合った人のよりも大きいかもしれないよ」
あ、なんだ、そういう経験がないわけじゃないんだ。あんなこと言ってたからてっきり初体験だと思ったんだけど。
僕は、なんだか残念なような、でも、ちょっとホッとしたような気分になる。
ハナコちゃんがまじまじと僕のおちんちんを見ているもんだから、なんだか少し恥ずかしい。
あ!そういえば、キーワードをいえば、僕が言ったとおりになるようにしていたんだっけ。
ハナコちゃんが幽霊だったショックですっかり忘れてたよ。
霊体だったさっきまでなら、たとえキーワードを言っても体がすり抜けて何もできなかったけど、今ならチャンスじゃないか。
「さあ、ほら、口でやってよ、ハナコちゃん」
僕がキーワードと一緒にそう言うと、ハナコちゃんは僕の顔を見上げて首を傾げる。
「口で、やるって?」
あ、そうか、意味がわからなかったのかな。じゃあ、言い方を変えないと。
と、そんなことを考えていると、何か思いだしたようにハナコちゃんが大きく頷く。
「ああっ。そういえば、この学校の構内でそういうことしてるカップルを見たことあるわ!」
まぁ、学生の人数も多いし、そういうことを構内でするカップルもいるだろうけど。
それにしてもハナコちゃん、幽霊でほとんどの人に見えないからって、そんな覗き見みたいなこともしてたんだな。
「あれは、たしか、そう、こんな感じで」
そう言うと、ハナコちゃんは舌を伸ばして僕のおちんちんの先を舐める。
「あふっ、あっ、泰三クンのピクン、って」
驚いたように舌を引っ込めて、また僕の顔を見上げるハナコちゃん。
「う、うん、気持ちよかったから」
「あれで気持ちいいの?」
「そうだよ、さあ、ほら、続けて」
「うん」
キーワードがバッチリ効いているから、僕の言葉にハナコちゃんは素直に頷いて、また僕のおちんちんに舌を伸ばす。
「ん、ぺろ、ぴちゃ、んふ、ちゅ」
僕のおちんちんを舐めるハナコちゃんの舌が、先っぽの方から竿の方まで降りてくる。
「ちゅる、ぴちゃ、あ、泰三クンの、ブルブル震えて、すごい、もっと大きくなるんだね」
いったん舌を離すと、ハナコちゃんは感心したように僕のおちんちんを見つめる。
「えーと、あの時のカップルは、この後こういう風にしてたんだっけ」
そう言うと、ハナコちゃんは僕のおちんちんを口にくわえた。口の中で、おずおずといった感じで舌先が動いて僕のおちんちんを刺激する。
「あふ、な、なんひゃひゃ、変なひゃんじ。んふ、ん」
僕のおちんちんを口にくわえたまま、ハナコちゃんは僕の方を上目遣いに見上げてくる。
「うん、気持ちいいよ、ハナコちゃん。さあ、ほら、そうしてると、ハナコちゃんもどんどん気持ちよくなってくるよ」
「ほ、ほうなの?あふ、んっ!ほっ、ほんほうにっ!ひもひよふなっひぇ!んんんっ、ちゅる!」
キーワードに合わせて、ハナコちゃんがビクンと体を震わせる。
「んっ、んっ、んふうっ、ちゅる、ふう、んっ、じゅっ」
僕のおちんちんをしゃぶるハナコちゃんの動きに急激に熱がこもっていき、ハナコちゃんの舌がまんべんなく僕のおちんちんを舐め回していく。
「さあ、ほら、もっと喉の奥の方まで入れると、もっと気持ちよくなるよ」
「んっ、んぐっ、ぐっ、んふっ、ぐぐっ!」
ハナコちゃんが、一気に喉の奥まで僕のおちんちんをくわえ込む。そして、苦しそうに涙を流しながら、それでも止めようとしない。
すごいなぁ、この機械の暗示、完璧じゃないか。
「ぐくっ、ぐふっ、んぐっ、んっ!」
涙と鼻水で顔をグチャグチャにしながらも、僕のおちんちんの先が喉の奥に当たるくらい深くくわえ込んでいくハナコちゃん。
ハナコちゃんが頭を振って僕のおちんちんを喉の奥深くに入れるたびに、ズポッ、ヌポッ、といやらしい音を立てる。
「んっ!はあっ、はあっ、はあっ!んっ、んぐっ、ぐうっ!」
苦しくなったのか、いったん口を離して息継ぎするように大きく喘ぐと、僕は何も言っていないのにハナコちゃんはもう一度僕のおちんちんを喉の奥まで飲み込んでいく。
「ぐふっ、んくっ、んっ、ぐっ、んぐぅ!」
ハナコちゃんが、また激しく首を振って僕のおちんちんを扱いていく。その刺激の強さに、さすがに僕ももう我慢できなくなってきた。
「ああっ、もう出そうだよっ、ハナコちゃん!受けとめてね!」
「んぐっ、んんっ!?んんんんっ、んぐぐぐっ、ぐぐぅ、んっ!ゴホッ、ゲホッ」
喉の奥にいきなり射精されて、ハナコちゃんの目が大きく開く。さすがに受けとめきれずに、僕のおちんちんから口を離すと、床に手をついて喘ぎながら激しくむせる。
「ゲホッ、ゲホッ!はぁはぁ、ぐっ、ゴホッ!はぁはぁ」
むせ続けるハナコちゃんの顔から、涙やら鼻水やら涎やら、いろんなものが混じった液体が床に垂れる。
さすがにちょっとやりすぎたかな?
「んくっ、はぁはぁ。ああ、これ、すごい苦しいけど、なんて気持ちいいのかしら。どうりでみんなやってるわけよね」
ようやく呼吸を整えると、そう言ってトロンとした目で僕を見上げるハナコちゃん。
いや、他の子は知らないけど、ハナコちゃんがそうなのは暗示のせいだから。
この機械さえあればなんでもやり放題だな。だって、幽霊のハナコちゃんでもこんなになるんだもん。
さあ、じゃあ次はいよいよ。って、ん?
突然、僕の目の前にお尻が突き出される。
「ハナコちゃん?」
見ると、ハナコちゃんが机に手をついて、僕の方にお尻を向けている。
「はあっ、はあっ。泰三クン、お願い、お尻の穴でやってちょうだい」
肩で大きく息をしながら、顔を僕の方に向けて潤んだ目で訴えてくるハナコちゃん。
「お尻の穴で、って?」
「だって、そこですることもあるんでしょ?私、幽霊だから、そういうことしてるカップルも見たことあるもん」
いや、まあ大学生だし、そんなことしてる子もいるかもしれないけど。
「でも、それでいいの、ハナコちゃん?」
「それは、やっぱり……ね」
そう言うと、ハナコちゃんは少し悲しげな表情を見せる。
ひょっとして、憑依してる子の体のことを気遣ってるのかな?
「お願い、泰三クン。ちゃんとお尻の穴でも気持ちいいようにしておくから」
て、それって、おっぱいを大きくしたのと同じように、お尻の穴もそういう風に変えるってこと?
「ダメ?泰三クン?」
「うん、わかったよ、ハナコちゃん」
涙目で訴えるハナコちゃんに気圧されて僕は思わず頷く。
「ありがとう!泰三クン!」
すると、さっきまで少し沈んでいたハナコちゃんの表情がパッと明るくなる。
「じゃあ、いくよ、ハナコちゃん」
僕は、ハナコちゃんの腰に手を当てて声をかける。
「うん、いいよ、泰三クン」
ハナコちゃんも僕に顔を向けて頷く。
「あっ、んんっ、んんんっ!」
僕が、おちんちんをお尻の穴に挿れると、呻くような声と一緒にハナコちゃんの体がビクッと震える。
「どっ、どうっ!?気持ちいい、泰三クンッ!?」
「うんっ、とても気持ちいいよっ、ハナコちゃん!」
ハナコちゃんの言ったとおりだ。少し締め付けがきつい気もするけど、思ったよりもスムーズにおちんちんを出し入れできる。
それに、中も想像以上にヌメッとして、僕のおちんちんにまとわりつく感じで、すごく気持ちいい。
「あふうっ!よっ、良かったあ!あうんっ!」
ハナコちゃんが喘ぎながら僕の方を見て、安心したような笑顔を見せる。
じゃあ、ハナコちゃんにももっと気持ちよくなってもらおう。
「さあ、ほら、僕が奥まで突くと、ハナコちゃんもすごく気持ちよくなるよ」
「えっ、あああああっ!すごいっ、すごすぎるのっ、泰三クン!んはあああああっ!」
僕が、キーワードと一緒に一気に奥まで突くと、ハナコちゃんの頭が引っ張られたように反り返る。
「んんっ、ひああっ、あああっ、あんっ!」
僕が腰をハナコちゃんに打ち付けるたびに、パンッパンッ、という乾いた音が響き、ハナコちゃんが甲高い声をあげる。
「もっと、もっとだよ、ハナコちゃん!さあ、ほら、こうしてると、もっともっと気持ちよくなってくるよ!今まで感じたことがないくらい気持ちよくなるんだ、ハナコちゃん!」
「あっ、ひゃああああああっ!なにこれっ、すごすぎるのおおおおっ!」
絶叫するようなハナコちゃんの声が響くと、机について体を支えていたハナコちゃんの腕の力が抜けて、机の上に伏せる格好になる。それでも、突き出したお尻を動かし続けるハナコちゃん。
「あひいいいいいっ!おっ、お尻の穴がっ、こんなに気持ちイイなんてっ、わたしっ、知らなかった!んんっ、んはああああっ!」
だからそれは暗示のせいなんだけどね。
それにしても、ハナコちゃんのお尻の穴もどんどん気持ちよくなってくる気がする。ぎゅうぎゅうと締め付けてきて、これはちょっと……。
「すごいすごいすごいいいいっ!わたしっ、こんなのはじめてっ!あああああっ、泰三クンンンン!」
うわ、もう我慢できそうにない。
「ああああっ、もう僕出そうだよっ、ハナコちゃん!」
「きてっ、お願いっ、泰三クン!こんなに気持ちイイのっ、わたしっ、もう堪えられない!はあああああああんっ!」
ハナコちゃんの体が、ビクッビクッと何度も跳ね、膝がガクガクと震えている。
「ああっ、出るっ!」
「ひゃあっ、いまっ、泰三クンのおちんちんがビクンッて!あああっ、くるっ、きてるっ!ひああああああああああああっ!」
僕が射精すると、ハナコちゃんの手が机の縁を掴んで、体を硬直させる。
「あああっ、んあっ、あっ、ふああああぁ……」
体を硬直させたまま、何度か体を震わせると、体の力が抜けたのか、ハナコちゃんの体が机の上から落ちて、床の上に俯せになる。
「はああぁ、すごかったよぉ、泰三クン。こんなに気持ちいいの、わたし、初めて」
床に這うようにして、荒く息をしながら喘ぐハナコちゃん。
すると、突然、ハナコちゃんの体が輝きはじめる。
「どっ、どうしたの、ハナコちゃん!?」
「え?ああっ、あ、そうかぁ、たぶん私、成仏しちゃうんだぁ」
「じょ、成仏って!?」
「泰三クンとエッチして満足して、きっとこの世に未練がなくなっちゃったんだね、私」
そう言っている間にも、ハナコちゃんの体はどんどん輝きを増していく。
「そ、そんな、ハナコちゃん、まだ知り合ったばかりなのに!」
それに、ハナコちゃんがいてくれたら、まだまだ憑依プレイとかできるのに。
「ごめんね、泰三クン。私、泰三クンに会えて本当によかった」
「そんなぁ、ハナコちゃん」
「すぐに生まれ変われたら、大人になった泰三クンにまた会うことができるかな?」
全身を光に包まれて、ハナコちゃんが優しく微笑む。
「ハナコちゃん……」
「じゃあ、お別れだよ、泰三クン。最後にエッチしてくれてありがとう」
もう、ハナコちゃんの体が見えないくらいに光が強くなって、ハナコちゃんの声しか聞こえない。
「ハナコちゃん!」
「バイバイ、泰三クン」
その言葉を最後に、ハナコちゃんがいたところから光が溢れ出すと、スーッ、と光が窓から空に向かって飛んでいく。
そして、ハナコちゃんが成仏した後、僕は苦い思いとともに、ハナコちゃんがお尻の穴でするのをせがんだ理由を知ることになった。
そうか、胸はふくらませることができても、さすがに穴は後ろにしかなかったのか。
「でも、やっぱりひどいよ、ハナコちゃん」
さっきまでハナコちゃんがいた場所で、裸で気を失っていたのは、女の子じゃなくて警備員のおじさんだった。
< 終 >