黄金の日々 第1部 第4話 後編

第1部 第4話 後編

 目を閉じると、今でも母の眩しい笑顔がまぶたの裏に浮かんでくる。
 限りない愛情を自分に注いでくれた母。そんな母は、よく神に祈りを捧げていた。
 自分が聖職者になったのも、きっと、毎日神に向かって祈りを捧げていた母の影響なのだろう。
 胸の前で手を組み、敬虔に祈りを捧げる母の姿は、犯しがたいほどに神々しく、美しかった。自分にとって、母はずっと憧れだった。
 だから、自分は聖職者になる道を選んだ。神に仕える身になった自分には子供を産むことができない。
 しかし、ここには、自分の教えを受けた多くの「娘」がいる。
 彼女たちにとって、自分は母親の代わりであるとシンシアは堅く信じていた。

* * *

 アンナが都に戻って2週間が過ぎた。

 その間、教会では着々と邪教討伐の準備が進んでいた。
 アンナは、教会の幹部や王国騎士団への聴取で部屋を空けることが多かったが、そんな時はシンシアがシトレアに付き添ってあげていた。
 あの時にふたりの名を呼んだきり、また少女は黙ったままになってしまったが、もう、シンシアの前で怯えた様子は見せなくなっていた。

「早く元に戻るといいわね、シトレアちゃん」

 ベッドの上にふたり並んで座って話しかけると、少女はこちらを見上げてこくりと頷く。
 その胸には、相変わらずアンナの司祭帽が抱きしめられている。

「シトレアちゃんは本当にアンナのことが好きなのね」

 シンシアの言葉に、何度も大きく頷く少女。

「そうよね。アンナは優しい子ですものね」

 柔らかな笑みを浮かべて、感慨深げにシンシアが呟く。
 すると、少女が腕を伸ばしてシンシアに抱きついてきた。

「え?シトレアちゃん?」

 驚いたシンシアの顔を見上げて、少女がニッコリと微笑む。

 もしかして、私に気を遣ってくれているの?

 シトレアになつかれているアンナを羨んでいたように見えたのかと思うと、少し気恥ずかしいが、少女の心遣いは素直に嬉しかった。
 シンシアは、嬉しそうに目を細めて少女の頭を撫でてやる。
 すると、少女も嬉しげな表情を浮かべて、くりくりっとした黒い瞳でこちらを見上げてくる。

 そうやって、少女が自分になついてくれるのも、毎夜、彼女が少女にしてあげている行為の意味を少女が理解してくれているからだとシンシアは信じていた。

 そう。夜ごと、シンシアは少女の呪いを解くために、毒の浄化に務めていた。

「んふ、えろろ、んむ、あふ、じゅぽ、んちゅ」

 少女のものの先を口に含み、湿った音を立ててしゃぶるシンシア。
 もはや、彼女には少女の股間のものを舐めることへの躊躇いはない。

「むふう、んっ、れろ、しゅぼ、あふ、んむう」

 舌と唇を巧みに使って、それを刺激していく。
 今では、どうしたらそれが大きくなるのか、そのコツもすっかり掴んでいた。
 全ては、少女から邪教の毒を吸い出して浄化するため。

「あふう、えろ、れろっ、んむ、むむっ、んふう、ぴちゃ」

 その巧みな舌使いで、少女のそれはすぐに大きく固くなってくる。

 ああ、美味しい。それに、気持ちいいわ。

 もう、シンシアはなんの抵抗もなくそれをしゃぶり続けていた。その味と快感が、邪教の呪いに対抗できる主の加護のおかげだという実感が、さらに彼女の気持ちを高ぶらせる。

「んむっ、んふ、むっ、ちゅっ、れろっ」
「すごいわ。さすがです、シンシア様」

 シンシアの耳元でアンナが驚嘆の声をあげる。

 後は、この固くなったものから毒を吸い出すだけ。

「あむ、ちう、んむ、んちゅ、ちゅる」

 口の中にそれを咥えこむと、シンシアは口先をすぼめ、舌を使って刺激を与えていく。

「んむ、んふ、ちゅるる、んく、んん、ん?」

 これまでなら、そうしてあげるとすぐに先からヌルヌルとした毒が沁み出して来るのに、今日は全くその気配がない。

 どうしたのかしら?

「あむ、ちゅ、くちゅ、ふう、んく、んむ」」

 いつもと勝手が違うことに首を傾げながらも、シンシアは口の中のものをしゃぶり続ける。
 だが、いっこうに毒は出てこない。

 どうして?どうして出てこないの?

「んふうっ、んっ、むっ、んっ、んっ、んっ」

 シンシアはなんとか毒を絞り出そうと、口をすぼめて扱くように頭を前後に動かし始めた。

「んむっ、ちゅぽっ、んっ、くっ、んふっ、んむっ」

 そうやって頭を動かし続けるが、全く効果がない。

 お願い。出てきてちょうだい。毒を吸い出して浄化しないとこの子は……。

 上目遣いに少女の顔を窺うと、固く目を瞑っていて、いつもとそれ程変わらないように見える。

「んふ、んっんっんっ、あふ、んくっ、ちゅぽ、んむっ、んっんっんっ」

 もう、それはシンシアの口いっぱいにふくれ上がり、がちがちに固くなっていた。
 本当なら、とうの昔に毒が沁み出しているはずなのに。

 どうしてなの?いったい何がいけないの?

「んんっ、ちゅぽっ、んんんっ、むう、ふううっ、んくっ、あふっ、んむ!」

 うまくいかないことがシンシアに焦りを感じさせ、自然とそれを扱く動きが大きくなる。

「んっんっんっんっんっ!んむむっ、んふ!」

 お願いだから出てきて。
 それとも、自分ではもう、毒を浄化して少女にかけられた呪いを解くことはできないの?

 そんな不安が頭の中をよぎる。
 そして、それを振り払うように、シンシアは一心不乱に頭を振り続ける。

「んくっ、んむ、んっ、ちゅむむむむ!あっ!はあっ、はあっ」

 より大きく振ろうとした拍子に、勢い余ったのか、しゅぽんっ、と音を立てて口からそれが抜けてしまう。

「はあっ、はあっ、ああぁ」

 いまだ赤黒くふくらんだままのそれを恨めしげに見つめながら、シンシアは肩で大きく息をする。
 目の前でそそり立っているそれはヌラヌラと濡れて光っているが、それも彼女の唾液によるもので、毒が滲み出た形跡はない。

 床にへたり込んで肩を落とし、屹立した少女のものを見つめているシンシア。

「シンシア様!?」
「どうして、どうして毒を吸い出せないの?」
「え、シンシア様?」
「もう、私ではだめなの?私にはシトレアちゃんの呪いを解くことはできないの?」

 絶望に打ちひしがれた表情のシンシアの目から涙がこぼれ落ちる。
 そんな姿を見つめていたアンナが、思い詰めたように口を開いた。

「シンシア様……。これは、もうあの方法でやるしか」
「あの方法?」
「ええ。口からではなく、体の中に直接毒を取り込んで浄化するのです」
「体に、直接?」
「そうです。この方法は、浄化する側の体への負担が大きすぎて、できればやりたくはなかったのですが」
「やるわ!そのやり方を私にやらせて!どんなことでもするから!」
「でも、それではシンシア様のお体に負担が」
「かまわないわ。私の体はどうなってもいいの!」

 シトレアの体を元に戻すためならどんなことでもしよう。と、そうシンシアは決意していた。

「わかりました。シンシア様がそこまで仰るのなら」

 アンナはシンシアを立ち上がらせるとその服に手をかける。

「では、服を脱いで下さい」
「え?ええ」

 促されるままに、シンシアは身につけていた聖職者の衣装を脱いでいく。

「それではこちらへ」

 アンナは、裸になったシンシアの手を取ると、ベッドに腰掛けたままの少女の足を跨ぐようにして立たせる。
 そして、いまだに突き立ったままの少女のものが、シンシアの体のすぐ下に来るように立ち位置を合わせた。

「そこで体を沈めると、シンシア様の体の中にこれが収まります。そうしたら、シンシア様ご自身の体で毒を搾り取るのです」
「ええっ!でも、それは?」

 いくらシンシアに経験がないとはいえ、それがどういう行為なのかはさすがにわかる。

「そうですよ。シンシア様の体で直接毒を取り込んで浄化するのです」
「そう。そうよね。これは毒を浄化するためなのよね」

 アンナにそう言われると、それは毒を絞り出すための行為だったのだと思えてくる。

 それが、信頼する相手の魂の奥深くに言葉を刻み込ませるアンナの力。
 まるで、白い布にワインの染みが広がるように、アンナの言葉がシンシアの心の中に染み渡っていく。

 でも、この違和感はいったいなんなの?

 何かが、シンシアの心の奥深くで警鐘を鳴らしていた。

 少女の上に跨るような姿勢で、戸惑って立ちつくすシンシア。

 そこに、アンナがやっと得心したように頷く。

「ああ。シンシア様は勘違いをなさっておられるのですね。確かに、男を相手にこのようなことをするのは、神に仕える女はしてはならないことです。でも、シトレアちゃんは女の子なんですよ」

 少女がこのようなものを生えさせられたのは、それで女の相手をさせるためだと、確かアンナはそんなことをいっていたはずなのに。

 だが、その記憶すら書き換えるように、アンナの言葉が心の中に染み込んでいく。

「これは何らいかがわしい行為ではなくて、解呪、邪教の毒を浄化する行為なのですよ」
「ええ。そうよね」

 アンナの口から発せられる言葉のひとつひとつが、シンシアの魂を絡め取る。

「さっき、シンシア様ご自身が仰っていたではありませんか。シトレアちゃんを元に戻すためなら自分はどうなってもかまわない、どんなことでもする、って」
「う、うん」

 そうだわ。さっき、私はこの子を元に戻すためならどんなことでもするって言ったじゃないの。そのためなら自分の体はどうなってもいいって。いったい、さっきの決意はどこへ行ってしまったの?

 シンシアが自分で口にした言葉が、言霊のように自身の魂をさらにきつく縛り上げていた。

「この子を救うには、もう他に方法はないのです。ね、シトレアちゃん。シトレアちゃんも元に戻して欲しいわよね?」

 アンナの言葉に、少女がこくりと頷く。
 そして、シンシアを見つめる、その、すがるような目。

 いったい私は何をしているの?躊躇っている場合じゃないじゃないの。

 もう、シンシアの魂はがんじがらめに絡め取られていた。

「ごめんなさい。初めてのことで少し戸惑っていたのよ。そうよね、これはシトレアちゃんのためなのよね」
「わかっていただけましたか!シンシア様!」
「ええ。それでは、始めるわよ。……こうかしら?はうっ!くううああああああっ!」

 シンシアが、ゆっくりと体を沈めていく。すると、固く太い感触が当たったかと思うと、それが体の中に入り込んできた。
 まるで、みちみちと体を割くようにして、それが自分の中にめり込んでくる、その、あまりの苦しさと痛さに体がふらつく。

「シンシア様!」

 傍らで見ていたアンナが慌ててシンシアを支え、体を沈めるのを手助けする。

「くうううっ!あっ、あああっ!くうあああああっ!」

 自分の中に入ってきたそれが何かに突き当たる感触。それでも、痛みに耐えて体をより深く沈めると、さらなる激痛と共にそれを突き破った。

「くうううううっ!いああああああああっ!」

 激痛に襲われ、呻くシンシア。
 これが初めての経験であるうえに、ほとんど濡れていない状態で前戯も無しにいきなり挿入させられたのだから、それも無理のないことであったといえる。

 だが、それもアンナの計算の内であった。
 快感ではなく、苦痛を感じさせることによって、自分のしている行為がいかがわしいものではなく、邪教の呪いを解くためのものであると思わせるため。
 今のシンシアは、少女にかけられた邪教の呪詛を祓うために文字通り体を張って戦っているのだと認識させるため。
 だから敢えて痛みを感じさせたままにする。

「大丈夫ですか、シンシア様!?それ程苦しいのでしたらやはり止めた方が?」
「んぅううう。いえ。だ、大丈夫よ」
「でも、やはり体に無理がありすぎるのでは?」
「はううううっ!こっ、このくらい耐えないと、シトレアちゃんを救えないわっ!あううっ、くうううっ!」

 自分のことを気遣ってくるアンナを制止し、シンシアはさらに腰を沈めてそれを根元まで飲み込んでいく。

「くうううううぅ!うああああぁ!」

 めりめりと、自分の肉を割くような感覚と猛烈な痛みに、シンシアは、その体勢のままで顔を歪める。
 それに、この、息苦しいほどの異物感。自分の体内に、明らかに自分の体ではないものが入ってきている。

「んくうううう!はあっ、はあっ、これでっ、いいのっ!?」
「ええ、いちおうは。しかし、毒を浄化するためにはその体勢から体を動かして毒を絞り出さなければいけないのです」
「体をっ、動かすって!?」
「こうやってです」
「うああああっ、くふうううっ!」

 アンナが、支えていた手を使ってシンシアの体を揺らすように動かすと、それだけでズキズキする痛みと、息が詰まるほどの圧迫感が襲いかかってくる。

「はううううっ!くううぅ!んはああっ!あああっ!」

 くう、なんて痛みなの?この痛みが、いつまで続くというの?

 アンナに誘導されて体を動かしながら、唇を固く噛んで痛みに耐えるシンシア。
 間断なく襲いかかる苦痛に、意識が飛び、心が挫けそうになる。

「本当に大丈夫ですか、シンシア様?やはり、この方法でシトレアちゃんを元に戻すのは諦めた方が」
「なにをっ、言ってるの!」

 アンナの言葉が、シンシアの精神を燃え上がらせる。

「あなたがそんなことでは、シトレアちゃんはどうなるというの!この子を元に戻すのはこの方法しかないんでしょ!だったらっ、私は諦めないっ!んぐっ、くうううっ!」
「も、申しわけありません、シンシア様。私が間違っていました。シンシア様には主のご加護があるんですもの。きっと上手くいくはずですよね」
「そ、そうよっ!くうううっ、あああああっ!」

 そうよ、たとえどれだけ苦痛でも、耐えなければこの子を救えない。
 私は、諦めるわけにはいかない!こんな痛みに負けてたまるものですか!

 シンシアは、必死に痛みに耐えながら、それでもゆっくりと体を揺らしていく。

「そうですよね。主の祝福は、邪教の呪いすら心地よいものに変えてしまうのですから」
「くううっ、あうぅ!」

 そうよ。毒を口で吸い出したときも、主の祝福で心地よく感じて毒を浄化することができたんですもの。今度もきっと。

「シンシア様ほど徳のあるお方に主の祝福が無いはずはありませんもの。きっとシンシア様はこの呪いにうち勝つことができるはずです」
「はううううっ!はぁ、はあぁ!」

 私は邪教の呪いには負けない。ああ、主よ、私にご加護を。

 歯を食いしばって腰を動かすシンシア。
 その耳元で、アンナの言葉がまるで旋律のように流れ込んでくる。

「頑張って下さい、シンシア様。主のご加護があれば、痛みなど感じなくなるはずです」
「んふうっ、うぅ。ああぁ」

 いつしか、痛みがだいぶ弱くなっていることにシンシアは気付いた。
 いや、今はもうほとんど痛みは感じないといっていい。

 ああ、主よ。ありがとうございます。

 心の中で、主に感謝を述べるシンシア。
 自分が、すでにアンナの言葉に感覚まで支配されていることには気付くはずもない。

 そんな彼女に向かって、アンナが続けた言葉。

「痛みどころか、主の祝福で、とても気持ちよくなれるはずです、シンシア様」
「ああぁ?ふあっ!んふううううっ!」

 その瞬間、いきなり襲ってきた、体を貫くような衝撃。
 だが、それは痛みでも苦しみでもない。

「んはあぁ、ああんっ、あはああああぁ!」

 体を揺すると、痺れるような、ビリビリする感覚が全身を走る。
 しかし、それは不快な感じはしない。むしろ。

「ああああっ、気持ちいいっ、きもちいいいぃ!」

 シンシアが、はっきりと快感を感じていることを口にした。

 ああっ、主よっ、主よっ!

 シンシアは快感に身をよじり、主への感謝を捧げる。
 さっきまでの凄まじい痛みがあっただけに、今のこの心地よさは、まさに主の奇蹟であるとしか思えなかった。

「あふうううっ、ううん!あんっ、くふううっ!」
「さすがシンシア様ですわ。これで、毒を浄化することができます。さあ、早く毒を絞り出してあげて下さい」

 アンナが感嘆の声をあげる。
 その、芝居がかった大げさな口ぶり。
 だが、シンシアにはそんなことを気に留める余裕は、すでに無い。

「ふううっ、う、うん、わかったわ、アンナ」

 そう言ってアンナを見るシンシアの表情。目は潤み、頬を紅潮させ、早くも口許はだらしなく緩んでいる。

 ベッドの端に腰掛けた少女のふとももを跨ぐようにして太くいきり立ったものを咥え込んで体を揺するシンシア。
 少女の体が小さいので、床に足をつけていないと体を支えられない。

「あふうっ、ふわああああっ、はううっ、あああっ、気持ちいいっ、気持ちいいわっ!」
「そうです、主の祝福さえあれば、もっと気持ちよくなれます。そうしたら、邪教の呪いなど怖くはありません。さあ、頑張って下さい、シンシア様!」

 足がガクガクと震え、力が入らなくなってくる体を、アンナが支えてくれる。
 それでも、必死に自分の足で踏ん張って体を動かす。
 いつの間にか、シンシアと少女の繋がっている場所から、ジュボッ、グチャッ、と湿った音が立ち始めていた。
 シンシアのふともも伝いに、赤い色の混じった汁が滴り落ちていく。

「あんっ、はんっ、ふああ、ああっ、ああんっ!」

 シンシアの中いっぱいにふくらんだはずの少女のそれが、抵抗もなく滑らかに動き、強烈な快感をもたらしていく。
 それは、シンシアが濡れてきて抵抗が少なくなったためなのだが、彼女にとっては、それは神の祝福。
 いや、もう、彼女にはそんなことを考えることすらできなかったかもしれない。

「あううんっ、ああっ、はあんっ、んふううっ!」

 ああ、気持ちいい。なんて気持ちいいのっ!

 もはや、熱い吐息を吐くことしかできず、アンナに誘導されるままに体を動かすシンシア。その視線は宙を見据え、どこか遠くを見つめているようだ。

「んんっ、はんっ、ああっ!ああんっ、んっ、むふうっ!」

 もう、自分の体を支えることができないシンシアを、アンナが背後から抱きかかえてその体を上下に動かしていた。
 少女の可愛らしい顔に似合わない、赤黒くふくれあがった太い棒がシンシアの体を出入りし続ける。

「気持ちいいですか、シンシア様?もっと気持ちよくなって下さいね」
「ううんっ、ああ、はああ、うふんっ」

 もう、アンナの問いに、シンシアはまともな返事を返すことができないでいた。
 その様子に、アンナがニヤリと笑みを浮かべる。
 シンシアは、その淫靡な笑みにも気付くことはない。

「さあ、シンシア様。もっとです」

 アンナがシンシアの両脇を抱えて、その体をさらに大きく上下させ始める。

「あうっ!あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」

 自分の体の中、奥深いところにゴツンゴツンと熱くて固いものが当たる感覚。それがさらなる快感をもたらす。
 ゴツッ、とそれが当たる衝撃で、意識が途切れ途切れになっていく。

「あ、ああっ……、はうっ、ううっ!うああ……」

 アンナのなすがままに体を上下させているシンシアの口から、鈍い呻き声があがる。
 大きく見開かれたその瞳は快感に濁り、もう何も映していない。

「う゛う゛っ!う゛あ゛あ゛っ!」

 自分の中にある熱くて固いものがビクビクと震え、シンシアの口からくぐもった声が漏れた。
 すると、背後からシンシアを抱きかかえていたアンナの口許が妖しく歪んだかと思うと、いったん抱き上げたその体を一息に落とす。

「あ゛う゛っ!あ゛っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」

 一気に奥深くまで貫かれたかと思うと、その先から熱いものが迸り、体内を満たしていく。そのショックで一瞬意識がはっきりとしたシンシアは、邪教の毒が自分の中に注がれているのだと気付く。

 ああ、やっと、やっと毒を絞り出すことができた。これで、シトレアちゃんを救うことができるわ。

 そうやって、安堵する余裕もあらばこそ、今度は燃えるような感覚を伴った、その日一番の快感に襲われる。

「ふああっ!はああああああああっ!」

 シンシアの体が仰け反り、何度も大きく跳ねる。

 毒の、浄化が、始まった、のね。

 そう考えるのがやっとだった。
 そのまま、シンシアの意識は丸ごと快感の波に飲み込まれていった。

「ふふふ。よくできまた、シンシア様」

 少女の小さな体に抱きつくようにしてベッドに突っ伏し、意識を失ったシンシアを見下ろしながらアンナが満足げに呟く。
 そして、シンシアの体越しに自分を見ている少女と視線が合う。
 妖しく、意味ありげな笑みを交わすふたりの少女。
 その間で、裸のままでぐったりとしたシンシアの体が、時々思い出したようにビクンと震えていた。

* * *

 その翌日もアンナは教会の幹部に呼び出され、その間、シンシアが少女に付き添っていた。

 昨日のことは、半分夢の中にいたようで、途中からほとんど覚えていない。
 ただ、邪教の毒を絞り出して浄化するのに成功したことだけはわかる。
 あの後、アンナに起こされて、少女の股間にまだそれが残っているのを見た時はさすがに落胆したが、諦めずに浄化を続けていれば、いつか必ず少女を元に戻すことができるとアンナに励まされ、改めて決意を新たにしたシンシアであった。

 ベッドに並んで座っていると、少女が自分に体をもたれかけさせてくる。
 少女の頭を撫でてやると、自分の方を見上げて少女が微笑んだ。
 愛おしげに少女の頭を撫で続けるシンシア。

「シンシア、さま」

 その時、少女がシンシアの名を呼んだ。
 それは、初めて毒を吸い出したときに聞いて以来の少女の声。

「シトレアちゃん?」
「シンシアさま。わたし、しんじています。シンシアさまなら、きっとわたしのからだを、なおしてくれるって」

 シンシアの方を見上げ、少し震える小さな声で、少女がゆっくりとそう言った。

「シ、シトレアちゃん」

 少女の名を呼んだきり、後の言葉が続かない。
 シンシアの視界が、ぼんやりと涙で霞んでくる。

「だから、わたしのからだを、もとにもどしてくださいね、シンシアさま」
「うん。きっと、きっと元に戻して上げるわ」

 ぎゅっと少女を抱きしめるシンシア。その目から涙が溢れ続けていた。

 5日後。

 いよいよ、キエーザの邪教を討伐する方針が決定した。
 エルフリーデが教会を訪ねてきたのはその翌日のことだった。
 その、表向きの理由は、幼なじみのアンナを見舞うため。だが、その実は。

「王国騎士団を中心とした討伐隊の派遣が決定しました」

 廊下に人がいないことを確認して、報告を始めるエルフリーデ。

「村全体を討伐するということなので、かなり規模の大きな部隊が派遣されることになります。それに、教会から治療班も同行することになります」
「それで、魔導院からは?」
「はい。邪教徒には強力な魔法を使う者はいないということになっていますので、魔導師の部隊の派遣は見送られることになりました。おそらく、数人の魔導師が同行する程度に止まるものかと」

 それは、シトリーの指示で、聴取に赴くアンナにそう言わせたためだ。
 魔導師の部隊を派遣されると、村人を生け捕りにされる確率が高くなる。村人には暗示を仕込んであるとはいえ、村人が捕獲されて証拠が残る可能性は避けたい。
 それに、邪教徒に強力な魔法を使う者がいないというアンナの報告内容自体は事実だから何の問題はないだろう。実際、今のキエーザには魔法を使える者などいないのだから。

「まあ、魔導師の方はピュラがうまいことやってくれるだろう」
「それと、私も討伐隊に参加することになりました」
「おまえが?そういえば、おまえには何の処分もなかったのか?」
「私に、ですか?」
「ああ。なにしろ、調査隊なのにも関わらず、突入して仲間を全滅させたんだぞ」
「それに関しては、譴責処分を受けました」
「譴責?随分と軽いな」
「確かに、調査任務に反して戦闘を行い、仲間を死なせたことは私の過失です。ただ、それとアンナを救出した功を相殺して譴責ということになりました。それに、討伐隊に先導役として同行し、功績を挙げることで、死んだ者への手向けにせよ、と」
「ふん、味な処分っていうやつか?」
「それで、あの……」
「ん?なんだ?」
「私に、何かできることはありませんか?」

 おずおずと、そう切り出すエルフリーデ。

「ない」

 少女の口から出た返答はいたって簡潔だった。

「し、しかし」
「いいか。おまえがキエーザの教会に突っ込んできたときの人数を考えて見ろ。たったの16人だぞ。いくら村人が戦闘の素人だといえ、男だけで200人、女も合わせると400人近くの人間を相手にできたと思うのか?おまえの任務は調査なんだから、邪教の存在が確認できた時点で、いったん都に帰って報告をするのが正解だったんだよ。それを、アンナのことが心配だからって考え無しに突っ込んできやがって。それで部下を15人死なせて、挙げ句の果てにおまえはこうやって悪魔の手に落ちてりゃ世話はないってもんだ。そんな無謀なやつに任せる仕事なんかない」

 可愛らしい顔をして、辛辣な言葉を女騎士に浴びせていく少女。
 いたく傷ついた表情でエルフリーデは立ちつくしている。
 そうやって、今にも泣きそうな表情で突っ立っている女騎士をしばらく眺めていた少女が口許を歪めて笑った。

「しかしまあ、おまえがそこまで言うのなら、任務を与えてやろう」
「えっ、なんですか!?」

 少女の言葉に、女騎士は期待に満ちた表情を浮かべる。

「村人には暗示を掛けてあるが、もしかしたら何かの拍子で暗示が解ける、もしくはパニックに陥って逃げ出す者がいるかもしれない。そいつらから僕たちのことが知られると面倒だ。だから、もし逃げ出す者がいたらかまわずに斬るんだ。たぶん、そんなにいないとは思うけどな」
「は、はい……」

 そう返事をしながらも、躊躇うような表情のエルフリーデ。

「ちょっとこっちに来て膝をつけ、エルフリーデ」

 ベッドに腰掛けた少女が手招きをする。

「はい」

 言われたとおりに、エルフリーデが少女に近づき、跪く。
 その額に指を当てると、少女は力を込めて、今までその中に放った自分の精気に意識を集中させる。

 すると、エルフリーデは目を見開いて、体を一度大きく震わせる。

「いいか。逃げ出そうとする村人は僕たちにとって障害になる。だいいち、そいつらは、僕やアンナの言うことに背いているんだからな」
「アンナの言うことに、背く」

 目を虚ろに見開いて、抑揚の無い口調で少女の言葉を反復する女騎士。

「アンナの言うことを守れない奴は許せないだろう?」
「はい。許せません」
「だから、そんな奴はかまわないから斬り捨てるんだ」
「……はい」
「それができたら、おまえを本当に僕の下僕にしてやる」
「はい」

 虚ろな目をしたまま、エルフリーデが笑みを浮かべて頷く。
 それを確認すると、少女はその額から指を離す。

「よし。それじゃあ、僕から言うことはそれだけだ」
「は、はい」

 憑き物が落ちたような表情でエルフリーデが立ち上がる。
 そして、部屋を出ようとしたところで少女の方に振り返った。

「あの、シトレア様……」
「なんだ?」
「邪教討伐から戻ってきたら、あの、そのお姿で私の相手をしていただけませんか?」

 その申し出に、思わず少女が吹き出した。

「わかったわかった。僕の言った任務をうまく果たしたら、褒美として相手をしてやる」
「ありがとうございます!それでは、失礼します!」

 喜色満面で頭を下げ、部屋を出ていくエルフリーデを、少女とアンナはにやつきながら見送っていた。

* * *

 魔導院のピュラから連絡が入ったのも、同じ日の夜のことだった。

(シトリー様。いや、シトレア様と呼んだ方がよろしいですか?)

 頭の中に、直接声が送り込まれてきた。

(ん?もしかしてピュラか?)
(はい)
(これは、いったい?)
(私はシトレア様の使い魔ですから、心で意志の疎通ができるのです)
(意志の疎通って、この距離でか?)
(まあ、今は念話の魔法を使っておりますけど)
(だったら最初からそう言え。回りくどい言い方をするんじゃない)
(も、申し訳ございません)
(で、用件は?やっぱり邪教討伐か?)
(はい。討伐隊に加える魔導師の人選なのですが、何か留意すべき点はございますでしょうか?)
(そうだな、できることなら村人を生かして捕らえるのは避けたい。麻痺や束縛系の魔法は困るな)
(わかりました。では、武器強化や肉体強化などの戦闘補助魔法と、破壊系の攻撃魔法が得意な者を派遣することにします)
(ああ、そうしてくれ。あ、それと)
(何でしょうか?)
(おまえの所に幻術の得意な若い魔導師がいただろう。たしか、名前をリディア、とか言ったか?)
(え?は、はい?)
(そいつが欲しい)
(リディアを、ですか?)
(どうした?何か問題でもあるのか?)
(はい。まず、あの子は魔力の強い子ですから、精神的な抵抗力がかなり強いことが挙げられます)
(それはおまえもそうだったが、今はこうして僕のものになっているじゃないか)
(それはそうですが、あの子は、なんと言いますか、自我が強いというか、殻が固くて。なにしろ、”取り替え子”ですから)
(”取り替え子”だと?)
(はい。あの子は、リディアは田舎の小さな村の出身です。そして、彼女は古の種族の血を引いているのです)
(どういうことだ?話してくれ)

 シトリーが促すと、ピュラはリディアという魔導師の身の上を話し始めた。

(この国が魔法王国と呼ばれているのは、単に魔法が盛んだからというだけではありません。この国の民が、魔法に長けた古の種族の末裔だからです。もっとも、その血も今ではだいぶ薄れていますが)
(ふん、それで?)
(もちろん、古代の民の血を最も濃く受け継いでいるのはこの国の王家の家系なのですが、この国には、古の民の血を色濃く受け継ぐ地がいくつかあります。彼女の故郷もそのひとつでした。とはいえ、今では混血が進んでその血も薄まり、現地では過去の記憶もすっかり忘れ去られてしまっていますが。ただ、それでも一種の先祖帰りといいますか、リディアの故郷の村では、彼女のように古代の民の血を強く引いた子が稀に産まれることがあるのです)
(それは、つまり?)
(はい。彼女の村では、古の種族としての伝統や誇りはとうの昔に失われていて、あの子のように他と違う子は”取り替え子”、つまり、妖精や魔物に取り替えられた子と考えられて忌み嫌われていたのです)
(なるほど)
(リディアは、小さな頃から村人に差別され、迫害されてきたようでした。ですから、7歳の頃に魔導院に保護された時には、もう固く心を閉ざしてしまっていたのです。今でも、私を含む数人にしか心を開いてくれません)
(そういえば、アンナがそんなことを言っていたな)
(ああ。あの子は教会のシンシアの所で学問を学んでいたことがありますから、多少は打ち解けていたようですし。でも、あの子が本当に心を開く相手は、私と、そして、共に魔法を学んだクラウディア様くらいではないでしょうか)
(おまえを使って堕とすことはできないか?)
(それは一種の賭けですね。あの子は、ああいう環境で育った人間特有の繊細さと、いったん激するとどういう行動に出るかわからない気性の激しさがありますから、それがどう転ぶか……)
(そうか)
(それに、周囲に心を閉ざすあの頑なさに、持ち前の魔力と精神力の強さもありますから、あの子の心の殻を破るのは簡単ではないかと)
(なんかいい手はないのか?)
(ちょっとすぐには。少し考える時間を下さい)
(いいだろう。だが、なるべく早くしてくれ)
(かしこまりました。それでは失礼いたします)

 ピュラとの念話を終えて、シトリーは沈思する。

 さてと、どうしたものかな。

 ピュラの時でも、エミリアのラッキーパンチがあったから堕とせたようなものだ。
 ただでさえこの国の魔導師の精神力の強さは厄介だというのに、自分の殻に閉じこもるタイプとは。

 アンナの能力でも無理か。

 アンナの力の効果は、相手からの信頼の大きさに左右される。その、リディアとかいう魔導師と面識があり、仲も良いようなことを言ってはいたが、その程度の関係で仕掛けるにはリスクが大きすぎる。
 なにしろ、その師であり、心を開いてもらっているピュラですら難色を示すのだから。

「どうなされたのですか?」

 アンナに声をかけられて、我に返るシトリー。
 いつの間にか、腕を組んで考え込んでいた自分に気付く。

「いや、ちょっとな」
「もうすぐシンシア様が来る時間ですから、そんな姿を見られると怪しまれますよ」
「ああ、そうだな」

 とりあえず、今はピュラからの返答を待つか。

 シトリーは、組んでいた腕を解き、ちょこんとベッドの上に腰掛ける。
 すでに、その仕草、雰囲気のあどけなさは少女そのものになっていた。

 そして、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

* * *

「んむ、んふ、あふ、ちゅる、えろ、あむ」

 その晩も、ベッドの上で這うような体勢で、少女の股間のものをしゃぶるシンシア。その舌使いは、もうすっかり手慣れたものになっていた。
 どこをどういう風に刺激したらそれが大きくなるか、今の彼女には手に取るようにわかる。

 例えば、ここ。

「ぴちゃ、れろ、えろ、あふう、ぺろっ」

 先の方の少しふくらんだ部分。その裏側の筋に沿って舌を這わせると、それはむくむくと大きく、そして固くなってくる。

「はむっ、んむ、んふ、じゅるる、んふ、ちゅるっ」

 今度は、根元の方を握って手で扱きながら、先端近くを徹底してしゃぶる。すると、それがシンシアの手の中でビクビクと震えるのがわかる。

 もう、少女のものをしゃぶるシンシアには焦りはない。
 口で毒を吸い出すことだけが目的ではなく、体で毒を絞り取ることができるからだ。
 いずれにしても、自分には主の祝福がある。
 だから、初めてそうした時のように、それをしゃぶっているだけでとても気持ちよく感じられる。

「んむっ、んっ、んっ、くちゅ、ちゅるるる、んっ、んむっ」

 今度は、全体を口に含んで唇をすぼめ、頭を振って固く太いそれを扱いていく。

 ん、こんなに大きくなって。なんて美味しいの。それに、とっても気持ちいい……。

 ベッドの上で、大きく股を開いて膝をついたシンシアのふとももを、股間の裂け目からとろりとした蜜が滴っていく。

「んっ、んむっ、んんっ、んっ、んっ!あふう。ふう、こんな感じかしら?」

 いったん口を離すと、シンシアは手で軽く扱きながら、固くふくれ上がったそれを確かめるように眺める。
 それは赤黒くふくらみ、手で扱くと、透明な汁が少し出てきた。

 かつてのシンシアなら、それを見ただけで、いかがわしく不快なものと感じただろう。
 確かに、それはこの世にあってはならないもの。邪教の呪いによる毒であり、忌むべきものである。
 だが、自分には主の加護がある。その毒を浄化する力が。

 だから、今はそれを舐め取ることへの嫌悪感はない。

 シンシアは、舌を伸ばしてその汁をすくい取る。

「ぺろ。んっ!んんんっ!」

 その汁を舐め取った瞬間、体が火照り、強い快感が走った。
 それこそが、主の祝福。邪教の毒を浄化している証拠。
 いつか、その毒を完全に浄化して、この少女にかけられた呪いを解くまで、自分は諦めない。

「じゃあ、そろそろいくわね、シトレアちゃん」

 上目遣いに見上げると、少女はこくん、と頷く。
 シンシアも笑顔で頷き返して体を起こすと、少女と抱き合う格好になる。
 その体勢から、シンシアは少し腰を浮かすと、突き立った少女のものを自分の裂け目に宛う。

「うっ!ううっ!」

 ゆっくりと腰を沈めたシンシアの口から呻くような声が漏れた。
 この、自分の中に入ってくる息が詰まるほどの圧迫感。しかし、痛みや苦しみはない。
 むしろ、自分の中が満たされていくように思えて心地良い。

 そうよ。私の体の中で浄化されてしまいなさい。

 快感と高揚感に浸り、そう念じながらシンシアは腰を動かし始める。

「ああっ!はあああっ!あっ、うふんっ!」

 腰を上下させるたびに、頭のてっぺんからつま先まで、蕩けるような感覚が貫いていく。

「あっ、あんっ、うんっ、あうっ、あんっ、ああっ!」

 快感のために、思わず体をよじらせながら、次第に腰の動きが大きくなる。
 その激しい動きで小さな体が倒れないように、アンナが背後から少女を抱くようにしてその体を支えてあげていた。

「気持ちいいのですか、シンシア様?」
「あうんっ、ああっ、気持ちっ、いいっ!ああんっ、はああああっ!」

 アンナの問いに、あっさりと快感を認めるシンシア。
 気持ちいいと認めることは別に悪いことでも恥ずかしいことでもない。浄化を進めている証なのだ。

「さすがシンシア様ですわ。では、もっと気持ちよくなって下さいね」
「うんっ!あああっ!んああああああっ!」

 アンナにそう言われると、ますます快感が高まる。
 いや、これは、神の祝福なのだ。浄化が進めば進むほど気持ちよくなる。そのはずなのだから。

「あんっ、んんっ!んっ、ううん、あん、んふう」

 今度は、腰を沈めたまま、揺らすように動かしていく。こうしていると、じっくり浄化を進めることができるような気がして、体の芯から熱くなってくる。

「んん、ううん。え?」

 その時、少女がシンシアに抱きついてきた。

「ん、シトレア、ちゃん?」

 首を傾げながら、潤んだ瞳でシンシアが少女を見つめる。
 すると、シンシアの顔を見上げて、少女の口がゆっくりと開いた。

「シトレアの、おかあさんになってください、シンシアさま」

 そして、少女がシンシアの乳首に吸いついた。

「あああっ!シトレアっ、ちゃんっ!あああーっ!」

 今まで感じていたのとは違う場所に、これまた強烈な快感が走る。

「ああっ!シトレアちゃん!んんんっ!」

 少女は、シンシアの乳首をひとしきりちゅうちゅうと吸うと、いったん口を離し、再び見上げてきた。

「おねがいします、シンシアさま。シトレアの、おかあさんになってください」

 じっと、可愛らしい瞳でシンシアの顔を見つめる少女。

「どうなされたのです、シンシア様?シトレアちゃんに答えてあげて下さい」
「え、ええ」

 アンナに促され、シンシアも少女の目を見つめる。

「さあ、シンシア様」
「もちろん、私は喜んでシトレアちゃんのお母さんになってあげるわ」

 それは、シンシアにとってはごく当然の返答。
 今、目の前にいるアンナも、自分にとっては娘も同然。
 ましてや、こんないたいけな少女、それも、このような可哀想な身の上の少女は、自分が守って上げなければならない。
 そのために、今まで毎日毒の浄化を行ってきたのだから。

「ありがとうございます、シンシアさま!」

 少女は、弾けるような笑みを浮かべると、再びシンシアの乳首を吸い、もう片方の乳首を指でつまんできた。

「ああああっ!しっ、シトレアちゃん!はうっ、あああああっ!」

 胸への刺激に、シンシアは声をうわずらせる。
 乳首の先が吸われる感触と、小さな指がコリコリと弄る感触。それがもたらす快感に、体がビクビクと打ち震えていた。

「あふうっ!ふあああああぁ」

 乳首への愛撫に完全に身を委ね始めるシンシア。
 そこへ、アンナの言葉が染み込んでくる。

「さあ、シトレアちゃんのお母さんになった証を見せてあげて下さい、シンシア様」

 証?お母さんになった証って?んんっ!ああっ!?

 その意味がわからず、一瞬、頭の中が空白になる。
 だが、次の瞬間、少女に弄られ、吸われている胸が熱くふくらむような感覚が襲う。

「んんんっ!ああっ!」

 ぱんぱんに胸が張って、痛みに近い感覚がどんどんふくれ上がっていく。
 それでも少女はシンシアの乳首を吸うのを止めない。

「ああっ!やっ、何か、何か来るっ!」

 張り詰めた胸が、腫れあがったようにジンジンと疼く。
 自分の中から、乳首の先に何か熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
 そして、シンシアの乳首から、白いものが勢いよく噴き出す。

「あっ!ふあああああああああっ!」

 首を反り返らせて喘ぐシンシア。
 熱いものが、びくびくと乳首の先から迸る、その、痛いほどの快感。

「ああっ!出てる!おっぱい出てるううっ!熱いっ!熱いのおおおっ!」

 シンシアの乳首に吸いついた少女は、後から後から出てくる母乳をこくこくと喉を鳴らして飲んでいく。
 まるで、搾り取られるといった感のある強制的な授乳。しかし、当のシンシアはその快感に体を悶えさせていた。

 そして、少女が指先で弄っているもう片方の乳房からは、少女とアンナの体に、勢い良く噴き出てきた乳が降りかかる。

「すごいですわ、シンシア様。本当にシトレアちゃんのお母さんになったのですね」

 感動したようにシンシアを称えるアンナ。

 あ、ああ、私、シトレアちゃんのお母さんになることができたのね。

 放乳の快感に、少女の母になれたという喜びも相俟って、シンシアは恍惚とした表情で乳を吸われている。

「ああっ、ふああああああっ!」

 少女が体を動かした拍子に、体の中に咥え込んだままの少女のものがごつん、と子宮の入り口に当たった。
 その衝撃にシンシアの体が仰け反り、乳首から乳が噴き出す。

 そっ、そうよっ、毒をっ、絞り出して、浄化しなくては!

 シンシアは、自分が邪教の毒を浄化している途中だったことを思い出し、腰を動かし始める。

「ああんっ、んはああっ、あっ、ふわああっ!」

 再び、自分の中を固く太いものが出入りする感覚が蕩けるほどの快感をもたらす。
 そして、相変わらず少女に吸いつかれ、指先で弄られ続けている乳首から母乳が溢れ出す快感。

「ああっ、はあんっ、んふうっ、あっ、あああっ!」

 シンシアが体を上下させる動きに合わせるように、乳房から白い液体が噴き出していく。
 下から体を貫かれ、それに押し出されるように迸り出る母乳。その、双方の快感がシンシアを飲み込んでいく。

「あふうっ、はああんっ、あんっ、ふああっ、あんっ!」

 甘い喘ぎ声を漏らしながら、少女に抱きつくようにして腰をくねらせるシンシア。
 だらしなく半開きになった口からは涎が垂れ、その瞳は快楽に濁り、焦点が合わなくなっていた。

「あんっ、あっ、はあっ、んふうっ、ああっ、あふうううっ!」

 もう、完全に理性を失ったシンシアは、乳房から乳を垂れ流しながら腰を揺らし、少女と体を絡め合う。
 ふたりとも、流れ出た乳で体がべとべとに濡れていた。

「あうっ!ふあああああっ!」

 体の中で、少女のものが大きく震え、シンシアの声が裏返った。

「あ゛っ、あ゛っ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーっ!」

 少女のそれから、熱いものが注がれて、シンシアの中を満たしていく。
 その体が弓なりに反り、乳首から盛大に乳が噴き出す。

「あ゛っ、あ゛う゛っ、あ゛あ゛っ、あ゛あ゛あ゛ぁ……」

 虚ろな瞳を泳がせながら、体をビクンビクンと震わせるシンシア。
 やがて、ぐったりとその体がベッドの上に倒れる。
 開いた口からだらしなく舌を垂らして失神したシンシア。その体が小さく震えるたびに、乳首からはなおも少しずつ乳が零れだしては、その肌を白く汚していた。

「シンシア様。起きてくださいシンシア様」

 自分の体を揺するアンナの声に、シンシアは目を開く。
 すぐ目の前には、少女の顔があった。
 疲れ果てたのか、シンシアの腕の中ですやすやと寝息を立てている。

 穏やかに微笑み、その頭を優しく撫でるシンシア。

 あまりの快感に、途中からの記憶は途切れ途切れだが、今日も毒を絞り出して浄化することができたのはわかった。

 それに、今夜、自分はこの少女の母親になったのだ。
 そう思うと、自分の腕の中で眠っている少女が無性に愛おしく思えてくる。

 シンシアは、起こさないようにそっと少女をベッドの上に寝かせる。

「さあ、これで体をお拭き下さい、シンシア様」

 アンナが湿らせた布を差し出す。
 気付けば、裸のままのシンシアの体は、自分の母乳でべとべとだった。

「ありがとう、アンナ」

 布を受け取って体を拭うと、シンシアは聖職者の衣装を身につけていく。
 もう、夜もだいぶ更けようとしていた。

「こんなに遅くまでお邪魔したわね、アンナ」
「いいえ、これも全てはシトレアちゃんのためですから」
「そうね。では、おやすみなさい」
「おやすみなさい、シンシア様」

 おやすみの挨拶をして、シンシアはアンナの部屋を出ていく。

 アンナとふたりきりになると、寝ていたはずの少女がぱっちりと目を開いた。
 そして、ふたりの少女は目を合わせて笑みを浮かべる。

「ああいうタイプは、ちょっと母性を刺激してやればすぐにこうなるもんだ」
「母性、ですか?」
「ああ。人間の女に備わった本能のひとつだな。それに、親になると、女は多かれ少なかれ子供にばかり目がいって、周囲が見えなくなる。こちらにとっても好都合だ」
「そうなのですか?では、私もシトレアちゃんのお母さんになれるんですか?」

 アンナが、よくわからないという風に首を傾げる。

「まあ、おまえは無理だな」
「え?どうしてですか?」
「おまえは、僕の母親になることよりも、シンシアが快楽に溺れ、淫らに堕ちていく姿を見る方が楽しいと思っているだろう?」
「はい。とっても」
「その時点でおまえは、母親よりも悪魔の下僕の方が向いているのさ」
「ふうん。そんなものなのですか」

 いまいち理解していない様子のアンナ。
 本人は自覚していないが、シトリーに一番最初に堕とされ、その精を受け続けて、さらには力を与えられてその力を使って親しい人間を狂わせ、堕としてきたアンナは、すでに思考や感情の方向性が、人間よりも魔に近くなっている。
 そんな彼女に、母性という人間らしい感情が入り込む余地などあるわけがなかった。

「とにかく、今はシンシアに快楽を刷り込むことを楽しめばいいんだ」
「そうですね。では、いよいよシンシア様も下僕になさるのですね?」
「いや、それはもう少し先だ。その前にこの教会をあいつのものにさせたいんだが」
「この教会をシンシア様のものに、ですか?」
「ああ。その後でシンシアを下僕にしたら教会を丸ごと手に入れることができる」

 そのために、早くピュラからの連絡が欲しいんだがな。

「とにかく、シンシアの方は、もう少し今の調子で続けるぞ。快楽から逃れられなくなるくらいにな」
「はい」

 素直に返事をするとアンナもベッドに上がり、少女を抱いて眠る体勢に入る。

* * *

 ピュラから返答があったのは、それから3日ほどしてからだった。

「明日、外出するぞ。適当な理由を付けてシンシアに言い繕っておいてくれ」
「どちらへ行かれるのですか」
「とりあえず、魔導院に行く。ピュラに用があるからな」

 そう言って、可愛らしい外見に似合わない不敵な笑みを浮かべる少女。
 アンナは、意味がわからずに、きょとんとした表情を浮かべるばかりだった。

< 続く >

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