※このお話には、『黄金の日々』のネタバレがかなり含まれますのでご注意ください。 ――地上のはるか上空。 本来なら、人間の世界から見えない異空間に隠れているはずの天界の門が剥き出しにされていた。 そして、その手
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黄金の日々 第2部 第22話
第2部 エピローグ 審判の時 「あっ! シトリー様!」 「シトリー様! ご無事でしたか!?」 「よかった、戻って来られたのね……」 シトリーが目を開くと、メリッサとフィオナが造り上げた森の中の、本陣としている幕屋のなか
もっと読む黄金の日々 第2部 第21話
第2部 第21話 神聖王国の巫女姫 皆のいる天幕にシトリーが姿を見せたのは、それからさらに1日が経ってからだった。 「大丈夫ですか、シトリー様?」 「ああ、もう大丈夫だ。おまえたちにも迷惑をかけてすまなかったな」 「そ
もっと読む黄金の日々 第2部 第20話
第2部 第20話 神の怒り その後、シトリーたちはしばらくニップル城に留まり、捕らえていた天使たちを堕としてから侵攻を再開した。 イストリアに入ってからも各城塞は神聖魔法のバリアーと天界軍によって守られていたが、シト
もっと読む黄金の日々 第2部 第19話
第2部 第19話 饗宴 クラウディアの報告にもあったように、テオドーラは現在のイストリア王の妹にあたる。 成人の後にモイーシア王の妃となった彼女は、両国の同盟の象徴ともいえる存在だった。 クラウディアの報告によると
もっと読む黄金の日々 第2部 第18話
第2部 第18話 残党狩り アブディエルの部隊の壊滅後、アーヤたちがどうなったかというと……。 結局、追撃を振り切ってエリアナの分隊に合流できたのは、アーヤも含めて100名ほどだった。 「そんなっ……では、隊長も副隊
もっと読む黄金の日々 第2部 第17話
第2部 第17話 殺戮の天使 ――数日後。 「姉さまの囚われている場所がわかったというのは本当ですかっ、隊長!?」 どこで聞きつけたのか、アーヤが息せき切って駆け込んできたとき、幕屋の中ではアブディエルとイェキエルが
もっと読む黄金の日々 第2部 第16話
第2部 第16話 小休憩:ニーナのお食事 あの後、それまでの連日の責めによる肉体的、精神的疲労のためか完全に意識を失ったサラをベッドのある部屋まで運んで寝かせてから、シトリーも自室に戻って休息を取った。 悪魔ではある
もっと読む黄金の日々 第2部 第15話
第2部 第15話 砕けた希望 ――翌朝。 「どんな感じだ?」 「やっぱり……心の中に入れないですね……」 シトリーが首尾を訊くと、ニーナは力なく首を振る。 「でも……私が、中に入ろうとするのを弾く力は……確かに弱くな
もっと読む黄金の日々 第2部 第14話
第2部 第14話 破綻の予感 ――翌朝。 シトリーが牢に行くと、ニーナはまだ頑張っていた。 淡い光に包まれたサラを、真紅に輝く瞳で見つめている。 しかし、ただでさえ赤みを帯びた目が、真っ赤に充血しているように見え
もっと読む黄金の日々 第2部 第13話
第2部 第13話 護りの光と、折れない心 ――翌日。 「姉さま……」 あの森を見下ろして、アーヤは唇を噛む。 あの後、部隊に合流した彼女は、直ちに数人の仲間と共にあの森に引き返した。 だが、そこに姉はいなかった。
もっと読む黄金の日々 第2部 第12話
第2部 第12話 翼を得た者、そして、失われた翼 ――10日後。 ラドミール城塞を囲む天使たちは、攻略の糸口を掴めないでいた。 なにしろ、魔界の軍勢は砦に籠もったまま守りを固めて打って出てくることはない。 周囲を
もっと読む黄金の日々 第2部 第11話
第2部 第11話 天より襲い来る者 「あれが、イストリアの国境を守るニップルの城ですよ」 「あの光は……またあの障壁ね」 眼下に海を見渡す高台に現れた魔界の大軍勢。 その先頭に立ち、モイーシアとイストリアの国境に建つ
もっと読む聖騎士王国の籠絡 第二話
第二話 聖騎士王国、第三王子シェムザールの部隊を陥落させたわたし――マリは、ヴィスに頼んで、魔国マリスマギアの人たちを呼び戻してもらった。 別に、あのまま、聖騎士王国まで進行してもよかったのかもしれないが、まずは自陣
もっと読む黄金の日々 第2部 第10話
第2部 第10話 新たなる影 翌々日、アナトの意識が戻ったと聞いてシトリーはその天幕を訪れた。 「倒れたと聞きましたけど、大丈夫ですか?」 この数日のことなど素知らぬ顔で挨拶すると、アナトは勢いよく起き上がってシトリ
もっと読む黄金の日々 第2部 第9話
第2部 第9話 リディアの決意と、エミリアの覚悟 ――そこは、天空遙かなる、さらにその上。 雲の端に立ち、下界を見つめるひとりの男。 黒髪を僅かに風に揺らし、その淡い色の瞳はじっと下の方を凝視していた。 白を基調
もっと読む黄金の日々 第2部 第8話
第2部 第8話 シトリー死す!? モイーシアとの決戦は、シンシアの立てた作戦通りとなった。 エネズの近郊にある平原で、ヘルウェティア・魔界軍とモイーシア軍は激突した。 実際、モイーシアの誇る重鉄騎兵の突撃は凄まじか
もっと読む黄金の日々 第2部 第7話
第2部 第7話 進撃開始 そして、ヘルウェティアの軍団を含めた魔界の軍勢がフローレンスを出立して10日後。 シトリーたちが世界樹の森の近くまで来ると、遠目に見てもそれとわかるほどに世界樹の葉は茶色く色褪せ、天地創造か
もっと読む黄金の日々 第2部 第6話
第2部 第6話 シトリーの帰還 ヘルウェティアの都、フローレンス。 久方ぶりに王宮に戻ってきたシトリーは、まずは報告と復命のためにアナトの前に参上した。 クラウディアを筆頭とする、その場に同席している面々も久しぶり
もっと読む黄金の日々 第2部 第5話
第2部 第5話 ”つまみ食い”/p> 「……なんでっ!?体がっ、動かない!?これって……どういうことなのっ!?おまえはいったい、何者なのっ!?」 世界樹の洞に、甲高い声が響く。 声の主は、エル
もっと読む黄金の日々 第2部 第4話
第2部 第4話 堕ちていく森 世界樹の森で、シトリーがフィオナを下僕にした、同じ頃。 ここ、ヘルウェティアの都フローレンスでは……。 「アナト様、飲み物をお持ちしました」 アナトの部屋に入っ
もっと読む聖騎士王国の籠絡 第一話
第一話 聖天使博士大学は、キリスト教系の宗教組織を母体とする、小規模の私立大学である。 総合大学ではなく、少々の学部がある程度だが、付属高校や中学を持っている。 宗教組織を母体とする、といっても、この大学自体には、
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第4話
-4- 森の中で一人、息を潜める。 おそらく何かの作業場か小屋のあった場所なのだろう。崩れた廃屋跡と、切り拓かれたスペースがあった。ノベル兵たちの集合場所にもなっているのか、大勢の屈強な兵士がウロウロしている。 場
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第3話
-3- 学院に戻ってきて、しばらくは平和な毎日が続いた。 「せーんぱいっ」 昼休みに廊下を歩いていたら、鈴の音とともに呼び止められる。振り返ると、『後輩↓』という文字を頭上に浮かべたモモがニコニコしていた。 うむ。
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第2話
-2- 「うっそでしょ、こんなところでもうへたれちゃうんですか? これっておそらく最短記録ですよね、きっと報告書を読んだ先生も失笑ですよね、恥ずかしいですねー」 わずか数マイメーター歩いただけで腰の痛みを訴えてへたれる
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第1話
-1- 落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート。 当然、俺の本名は後半の部分だけなんだけど、学校のみんなには、わざわざ長ったらしくこう呼ばれることが多い。 省略したいときは、ただの「落ちこぼれ」と呼ぶ。本名が一部た
もっと読む黄金の日々 第2部 第3話
第2部 第3話 そして、悪魔の巫女へ 薄暗い世界樹の洞の中で、フィオナは力なく壁に凭れていた。 私は、何日の間こうしているんだろう? 3日?……いや、4日? そんなの、もう、どうでもいいわ……。 だって、私には
もっと読む黄金の日々 第2部 第2話 後編
第2部 第2話 後編 絶望の狂宴 それから、次の日も、またその次の日も、フィオナは悪魔の相手をし続けた。 彼女の思った通り、何度犯され、どれだけ快感を感じさせられても、それが悪魔への憎しみを和らげることはなかった。
もっと読む黄金の日々 第2部 第2話 中編
第2部 第2話 中編 囚われの巫女 「ん……んん……んふ……ん……」 演説を終えて、世界樹の洞に戻ったフィオナを出迎えたのは、くぐもった呻き声だった。 もちろん、あの悪魔の声ではない。 もっとか細く、高い声。 「ち
もっと読む黄金の日々 第2部 第2話 前編
第2部 第2話 前編 世界樹の森 ヘルウェティア、西の国境付近、世界樹の森。 それが世界樹の森であることは、遠目にここを眺めた時に見えた巨木の偉容からすぐにわかった。森の中央に聳えるその樹は他のどの樹木よりも高く、森
もっと読む黄金の日々 第2部 第1話
第2部 第1話 動乱の始まり ヘルウェティアの都、フローレンス。 市街の西門広場に、大勢の人が集まっていた。 その民衆を前に、市壁の上に立っている、どこかまだあどけなさの残る顔立ちの若い女。 聖職者の正装をして黄
もっと読む黄金の日々 第2部 プロローグ
第2部 プロローグ それは、突然のことだった。 北と南、西の辺境から妖魔の大軍が突如現れて周辺の国々を蹂躙したのだ。 それだけではない、北と南の蛮族もそれに呼応するように攻め込んできた。 もちろん、妖魔に攻め込ま
もっと読む黄金の日々 第2部の前に
第2部の前に 第1部のあらすじ 魔界で、退屈を持て余しながらも下僕の女悪魔たちを相手にだらだらと日常を過ごしていたシトリーは、ある日、魔界の上層部からの呼び出しを受けた。宮殿に赴いたシトリーは、その場で人間界への潜入工作
もっと読むサイの血族 25
51 「あんたバッカじゃないの? 自分が言ってることわかってる?」 絵実が呆れた声で言った。 あれから隼人も気を失うように眠ってしまい、夜が明けて目を覚ました由美の悲鳴が全員を起こしたのだった。あわてて隼人は由美に「
もっと読むサイの血族 24
50 一陣の旋風のようだった。 気がついたときには「ドサッ」と音を立てて絵実が倒れていた。 蒲郡の夜から五日目。桑名市を通り過ぎて、なにもない田舎道を歩いているときのことだった。 保奈美の快感を送り込まれた亜実と
もっと読むサイの血族 23
49 「すごい一日だったなぁ・・・」 ふかふかのベッドに座って隼人は心底疲れたように言った。 蒲郡にあるテーマパークに併設されたホテルに三人はチェックインした。いや、チェックインという言葉は正確じゃない。フロントで亜
もっと読むサイの血族 22
48 「ほんっとムカつく!」 絵実は早足で歩きながらそう言った。 隼人はそのプリプリと動くヒップを後ろから眺めながらついて行く。 「絵実、そんなに急いだら結界が・・・」 亜実がそれを制すように言う。 「だって・・・
もっと読む黄金の日々 第1部 エピローグ
第1部 エピローグ ヘルウェティアの王宮、広間。 意識を失って床に倒れているシトリーと、クラウディア、リディア、ピュラ、シンシア、フレデガンドの5人の女たち。 それを護衛するように取り囲んでいるのは、エルフリーデと
もっと読む黄金の日々 第1部 第9話 後編
第1部 第9話 後編 「お初にお目にかかります、女王様。僕の名はシトリー。しがない悪魔です。本日はこの国をいただきに参上しました」 自らシトリーと名乗り、大仰に頭を下げる黒髪の悪魔。 しかし、慇懃無礼とでも言うのだろ
もっと読む黄金の日々 第1部 第9話 前編
第1部 第9話 前編 数日後。 王宮、クラウディアの私室。 「よろしいですか、クラウディア様?」 ノックの音と共に、ドアの外から声が聞こえた。 その声の主を彼女が誤るはずがない。彼女の魔術の師、魔導長のピュラだ。
もっと読む夢を叶えるディギトゥス・マヌス 第2話
第2話 転落 あれはまだ小学校に入学したての頃――光希はジャマイカ・モンテゴベイのホテルビーチで羽を伸ばしていた。 自分をバカンスに連れだしたのは、もちろん爺ちゃん。 光希はバカンス中の爺ちゃんのことを思いかえす。
もっと読むサイの血族 21
45 「あれまあ、どうしたんだい?」 泥だらけの服を着ている隼人を見て饅頭屋のお婆さんが言った。 「あっ、境内で足を滑らせちゃって。ちょっと休ませてください」 総門を出てホッとした隼人は疲れを感じてそう言った。「サイ
もっと読むサイの血族 20
44 二日間歩き続けた。 毒気が抜けたというか、すべてを亜希子に注ぎ込んでしまったというか、街行く女に心を奪われることなく隼人は吉野を目指した。単に疲れて欲望が起きなかったと言えばそれまでだが。 その間、隼人は「サ
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 5
第1部 第8話 5 翌日。 「それでは、私はこれで護衛の任務を交替させていただきます、クラウディア様」 「ええ。お疲れさま、フレダ」 「はっ!」 直立不動の姿勢で敬礼をすると、フレデガンドはクラウディアの前を辞す。
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 4
第1部 第8話 4 また……あの夢だ……。 気がつけば、フレデガンドはまたあの空間にいた。 目の前でマクシミリアンとエルフリーデが抱き合って口づけを交わしていた。 そればかりではない。この日はエルフリーデの服が大
もっと読むサイの血族 19
41 新しいアイテムを手に入れたと頭の中の声が告げていた。 しかし、どのようなものかは教えてくれない。そのときになったらわかると言うのだ。 どんな能力か楽しみになった隼人は歩を早める。梨花がくれたリストの中にあった
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 3
第1部 第8話 3 フローレンスの街、フラウデンブルグ伯爵の屋敷。 「お父様、ただいま戻りました」 「おかえり、ジュスティーナ」 読んでいた本から視線を上げ、屋敷に戻ってきた愛娘を見て、現在の当主であるオットーは目を
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 2
第1部 第8話 2 「何かあったの、フレダ?」 その日、護衛の任に就くために参上したフレデガンドの様子がおかしいことにクラウディアはすぐ気付いた。 心なしか表情が暗く沈んでいるし、その周囲の空気までもがぴりぴりと張り
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 1
第1部 第8話 1 2週間後。 シトリーが予想していたのより数日遅れて、騎士団がようやく邪教討伐から王都に戻ってきた。 討伐に成功した旨は、一足早く早馬で知らされていたため、凱旋ムードの中、騎士団は都に迎え入れられ
もっと読むサイの血族 18
39 空腹に気づいた隼人は後悔した。 行き当たりばったりで美香と彩を抱いてしまい前後のことを考えていなかった。もう時刻は夕方に近い。今夜の宿を確保しなければならないし、食事もしなければならない。でも疲れのせいか「サイ
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