第2話 なぜかどうして同棲生活?
「……ん?」
ここは……俺の部屋だよな?
目が覚めると、床に寝ている自分に気づく。
うちのアパートはけっこうなボロだけど、昔の造りだから家賃が安いくせに部屋がふたつ付いてる。
俺が寝かされていたのはベッドを置いて寝室にしてる部屋だけど、ベッドの上じゃなくて床に寝かされて、枕と掛け布団だけ宛がわれていた。
えっと……俺は……?
寝ぼけた頭を掻きながら台所の方に行く。
……ん?
なんかいい匂いがするけど?
「あっ、目が覚めた!?」
聞き覚えのあるようなないような、元気のいい声が聞こえてきた。
そこにいたのは、茶色の長い髪を赤い大きなリボンでツインテールに結んだ女だった。
ていうかこいつっ!?
そいつを見て思い出した。
家の前で倒れていたそいつを助けようとしたら、そのまま逆レイプされたことを。
いや、そもそもこいつはっ!
「こっ、この妖怪変化がっ!」
「あっ、ひっどーい!」
俺の言葉に、そいつはあからさまに顔を顰める。
「そういう言い方、すっごく傷つくんだからね!」
「そんなこと言って、おまえ人間じゃないだろ!」
「んー、まあそれはそうなんだけどね」
「やっぱり!」
傷つくとか言ってたくせに、悪びれる素振りもなくあさっりと自分が人間でないことを認める。
と思ったら、そいつは急に神妙な顔つきになって頭を下げてきた。
「いや、あのね……今朝のことだったらごめんね。本当に悪気はなかったの。ただ、あたし、もう1ヶ月以上なにも食べてなかったから、自分で自分の抑えが効かなくなっちゃってたの。それで、あなたのことも考えないであんなことしちゃって……本当にごめんね」
「えっと、それは……その……」
いくら人間じゃないとはいえ、いきなりシュンとした表情になって謝られると逆にこっちの方が戸惑ってしまう。
こいつが人間じゃないのは確かみたいだけど、まあ、俺もいいか悪いかで言うと、いい思いをさせてもらったわけだし。
そりゃ、意識が遠のいていくときにはこのまま目が覚めないかもって思ったけど、こうして生きているわけだし。
「本当にお腹がペコペコだったから、あなたが意識を失うまでいっぱいもらっちゃって……。ホントにごめん」
「い、いや……よく考えたら、そんなにひどいことされたわけじゃないしよ……」
……て、なにやってんだ、俺は?
こいつ、人間じゃないんだぞ。
でも、こんなに申し訳なさそうに謝られたらあまりきついことは言えないよな。
「あの……それでね、お詫びと言っちゃなんだけど、あなたが眠ってる間にご飯作らせてもらったから、食べてくれる?」
「……へ?」
見たら、テーブルの上に置いた皿には野菜炒めと生姜焼きみたいなのが乗っかっていた。
それに、コンロの上の鍋からは湯気が立ち上っている。
そうか……このいい匂いのもとはこれだったのか。
「……やっぱり、あたしなんかが作った料理なんて食べる気しないよね?」
「いや、そんなことはないけど……」
さっきからずっとすまなそうにしてるのが可哀想でそう答えると、急にそいつの表情が明るくなる。
「そう!?じゃあ、こっち座って!ご飯も炊きたてだし、すぐお味噌汁も入れるから!」
いったいどういう展開なのかは自分でもよくわからないが、俺はそのまま妖怪変化の作った料理を食べることになった。
で……。
「どう?美味しい?」
「ああ、すごくうまいよ」
「よかった!口に合わなかったらどうしようかって思ってたんだよね!」
褒めてやると、そいつは本当に嬉しそうに表情を輝かせる。
でも、そいつの作った料理はたしかにうまかった。
「でも、やっぱり男の子のひとり暮らしだよね!冷蔵庫の中に飲み物以外ほとんどなにもなかったから、そこのスーパーまで走って行っちゃった」
「……お金はどうしたんだ?」
「あ、お金は持ってるんだよね、あたし」
「じゃあ、なんで行き倒れてたんだよ?」
「だって、あたしは人間の食べものじゃ生きていけないし……」
あ、そうか、こいつ人間じゃなかったんだよな。
ていうか、成り行きでこうなってるけど俺、妖怪の作った飯食って、普通に話をしてるよな。
「で、おまえはなんていう妖怪なんだ?」
「うーん……妖怪っていうか、あたしはシュトリーガなんだよね……」
「へ?なに?それ、日本語?」
「違うよ。あたしが生まれたところの言葉」
「おまえが生まれたところ?」
「うん。あたしたちの一族は、もともとイリュリアってところにいたみたいなの」
「へ?それ、どこ?」
「でも、あたしが育ったのはプリモルスカなんだけどね」
「だからどこ?」
「もうっ、いちいち訊かないでよね!それくらいググッたらすぐわかるわよ!」
いや、なに急に逆ギレしてんの?
ていうか、妖怪のくせになんでググるとか知ってんの?
「つうか、いちいち調べなくてもおまえが説明したら済む話だろ!」
「ああもう面倒くさいわね!イリュリアはヨーロッパの、今だったらアルバニアからスロベニアにかけてのあたりの昔の呼び方で、プリモルスカはスロベニアの一番西にある地方よ!」
「……アルバニアとかスロベニアは聞いたことはあるような気はする。どこらへんかって言われるとよくわからんが」
「もう、最近の学生はものを知らないんだから!」
「悪かったな、ものを知らなくて。で、シュ、シュトラ……なんだっけ?」
「シュトリーガ」
「そうそう、それってどういう妖怪なんだ?」
「んー……こっちの言葉でいうと吸血鬼かなぁ……」
「なっ!?やっぱり血を吸うのか!?」
「違うわよ」
「でも、今おまえ、吸血鬼って……」
「だって、他に説明するいい言葉がないんだもん。あたしたちが吸うのは血じゃなくて人の精気なの」
「精気?」
「そうよ。生きている人のエネルギー、つまり精気を吸って私たちは生きてるのよ。それは、人の食べるものだって口にできるし、なんとなく味もわかるからこうやって料理もできるんだけど、それじゃ生きていけないの。やっぱり人間の精気を吸わないとね」
「で、それがさっきのあれだと?」
「うん。口から吸ったりもできるんだけど、やっぱりああやってセックスして吸うのが最高だわ。濃くて美味しいのをいっぱい吸うことができるし、なんたってあたしも気持ちいいし」
と、その吸血鬼はしれっとした顔で言う。
ていうか、かわいい顔してけっこうビッチなんだな。
「あっ!今、あたしのことビッチだって思ったでしょ!?」
な、なぜわかる!?
おまえ、人の心が読めるのか?
「なななっ、なにを言うか!そんなこと思ってるわけないって!」
「いーや、そう思ってるって顔してるもん!いい?あたしがセックスするのはね、いやらしいことをしたいからじゃなくて、生きていくためのエネルギー補給に必要だからなの。それは今あなたがそうやってご飯を食べてるのと全く同じ行為なのよ。ただ、あたしだってセックスするの気持ちいいし、ご飯食べながら気持ちよくなれたら一石二鳥じゃん、てことなの」
いや……だからそれをビッチと言わないか?
「……と、とにかく、それで俺がおまえの餌になったわけだな?」
「んー、なんかその言われ方は不本意だなー。それと、おまえじゃなくて、あたしだってちゃんと名前があるんだからね!」
「あ、すまん。そういや、まだ名前を聞いてなかったよな」
「じゃあ、自己紹介するね。あたしは”さくら”っていうの」
「って、なんだよ、その純和風の名前は!?おまえはヨーロッパの吸血鬼じゃなかったのかよ!?」
「あー、この名前はね、こっちに来て自分で付けた名前なのよ。……思い出すなぁ。90年前、初めてこの国に来たときちょうど4月でね、満開の桜の花に感動して、自分の名前にすることにしたのよねー」
と、彼女、さくらは遠くを見るような表情で昔を懐かしんでいる。
……て、90年前だと!?
「あのー、さくらさん?」
「え?なに?」
「あなた、いったい何歳なんですか?」
「やだっ、失礼ね!女の子の年なんか訊くもんじゃないわよ!」
「って、最低でも90年以上生きてる妖怪がなにをぬかすか!」
「妖怪だろうが人間じゃなかろうが女の子は女の子よ!」
「俺の基準じゃ妖怪変化は女の子の範疇には入らん!」
「だからっ、その言い方傷つくんだってば。あたしが吸血鬼だからって差別しないでよね!」
「いや、差別というか……俺の何倍も長生きしてるやつを女の子として扱えと?」
「だって、女の子は女の子だもん!」
と、さくらは頑として折れようとしない。
「まったく……。つうか、おまえって本当にヨーロッパの出身なのかよ?見た目もあんまりそんな感じしないし、話し方も普通だし」
「なに言ってるの?あたしが日本語ぺらぺらなのも、こうやってご飯を炊いてお味噌汁を作れるのも日本に住んで90年の経験がものをいってるのよ」
こいつ……女の子だと言い張ってるくせに開き直りやがって……。
と、さくらは明るい茶色の自分の髪を摘まんで目の前に持ってきて、また遠くを見るような表情を浮かべた。
「……まあ、あたしの生まれ育った東欧って、髪の色も目の色も濃い人が多いのよね。長い歴史の中で、アジアからもたくさん人が入ってきてるし。あたしたちシュトリーガも、純血種はほとんどいないのよ。男のシュトリーガが人間の女を孕ませることはけっこうあるし、ごくごく稀にだけど、女のシュトリーガが人間の男の精気を吸って孕んじゃうこともあるしね……」
「そうなのか?」
「うん。だから、きっとあたしにもどこかでアジア系の血が混じってるんじゃないのかな?たしかにあたしの顔立ちって、日本人でも通りそうなのよね。特に、最近はこの程度の茶髪の子なんかいくらでもいるし、顔立ちだって小ぶりで鼻の高い子が多いし。でもね、この国に来たばかりの頃はごまかすのが大変だったのよ。まだ外国人なんかそんなにいなかったし、髪の色で日本人じゃないってバレるから黒く染めたりしてね」
そう言ったさくらは、自分の生まれ故郷や日本に来たばかりの頃を懐かしんでいるように見えた。
「ところでさ、あなたの名前をまだ訊いてなかったよね?」
「ああ……俺は松井慎介(まつい しんすけ)ってんだ」
「そっか、慎介かぁ。……いい名前だね」
そう言って微笑んださくらの表情があまりに可愛らしくて、思わずドキッてしてしまった。
「でもね、慎介には本当に感謝してるんだよ。近頃はすっかり生きにくくなってね。……昔は良かったのよ。戦争が終わった頃なんか、この国の人たちもまだ素朴で外国人のことなんかよく知らなかったから、あたしがなにをしてもそういうものかと思ってくれたのよ。そうでなくても少し前まではちょっと誘ったらすぐ引っかかるようなぎらついた男とか、完全に酔っ払っててあたしとセックスして精気を吸われても朝になったらそのことすら覚えてないようなおじさんとかがけっこういたんだけどね。最近は景気が悪いせいかそんな酔っ払いもめっきり少なくなったし、若い子はなんか淡泊で誘っても引っかからないか、あたしの正体がばれそうで手を出せなかったりしてね……」
そう、しみじみした口調で話すさくら。
ていうか、現代日本が吸血鬼には生きにくい社会になっているとは寡聞にして知らなかった。
これも、失われた20年とか、草食男子とかいうやつの影響なのだろうか?
「でも、あたしは人間じゃないから生命力もあるし、少しの間ならご飯にありつけなくても生きてはいられるんだけどね。それでも今回は1ヶ月もご飯にありつけなくて、本当に行き倒れちゃったんだよね。そこを慎介に助けてもらって、お腹いっぱい精気まで吸わせてもらって、慎介のこと、12時間以上も意識を失わせることになって。……本当にありがとうね」
「そんな、礼なんていいからよ。……って、はあっ!?12時間以上!?」
「うん。だって、慎介は自分が生きていくためのエネルギーをごっそりあたしに吸われたんだよ。意識を失って、そのくらい休まないと回復しないよ。ううん、まだ、このくらいじゃ充分には回復しきってないと思うよ」
「いやいやいやっ!じゃあ、今何時だよ!?」
「夜の9時だけど」
「9時!?やっべえ!バイト行く準備しねえと!」
「バイト?」
「ああ、俺、この近くのコンビニでバイトしてんだよ。それで今朝も夜勤明けで帰ってきたときに倒れていたおまえを見つけたんだから!」
「でも、大丈夫なの?たぶん、まだ体がしんどいんじゃないの?」
「この程度なら大丈夫だって。夜勤明けで学校行って、帰ってからまた夜勤行くときよりかは全然楽だし」
あたふたとバイトに出かける準備をしている俺を見て、さくらがふっと笑顔を浮かべた。
「そっか……。それじゃ、慎介ともさよならだね」
「……へ?」
「あたしも、いつまでもここにお邪魔になるわけにはいかないしね。もう行かないと」
「……別に、俺はかまわないからここにいろよ、さくら」
自分でも、どうしてそんなことを言ったのか、実のところよくわからない。
ただ、その時のさくらの笑顔がやたら寂しそうで、ほっとけないと思った。
それに、なんだかんだ言ってもさくらは俺の好みだったし、それに、初めてセックスした相手だし。
たとえ吸血鬼でも、かわいい奴だって思っちまったんだ。
そんな俺の言葉に、さくらは驚いてその大きな目をぱっちりと丸くさせた。
「……慎介?」
「だっておまえ、ここを出ていってどっか行くあてでもあんのかよ?」
「それは……ないけど……」
「それじゃまた行き倒れるかもしれないだろ。それくらいだったらここにいろよ。腹が減ったら俺の精気を吸わせてやるからよ」
「でも、これ以上慎介に迷惑かけられないよ」
「そんなの気にするなって。……それに、さくらの作ったご飯うまかったからな、俺の精気を吸わせる代わりに飯作ってくれたらいいからさ」
それに、またさくらとセックスしたいし。
……いや、まあ、さすがに俺でもそんな本音を口にするのはマズいというほどにはデリカシーはある。
と、俺が引き留める言葉を聞いて、さくらはクスクスと笑い出す。
「それって、どういう交換条件なの?」
「とっ、とにかくだな……あ、そうだ!」
俺は、部屋の鍵をさくらに向かって放り投げる。
「……これは?」
「それ、おまえに渡しとくから帰ってくるまでどこにも行くんじゃねえぞ!」
「でも、これ持ってあたしがどっか行っちゃったら大変だよ?」
「だからどこにも行かなけりゃいいんだよ!いいか、俺が帰ってくるまでどこにも行くんじゃねえぞ!」
部屋の鍵を渡して引き留めるなんて、自分でもヘンなことをしてると思う。
でも、その時の俺はさくらを引き留めるにはそれしかないって思ったんだ。
さくらは、俺と鍵を交互に見てまたクスッと笑う。
「わかった、ここにいる。……ありがとう、慎介」
「おう」
なんか気恥ずかしくてそうひと言だけ答えると、俺は部屋を出て行く。
さくらの言ったとおり、その日のバイトは死ぬほど体がだるくて、アクビばっかり出たけどどうにか乗り越えた。
そして、俺が帰ってくるのをさくらは朝飯を作って待っていてくれた
そうやって、この少し生意気で可愛らしい吸血鬼と俺との奇妙な同棲生活が始まったのだった。
* * *
しかし、ふたりの生活が始まったっていうのに、さくらはなかなか飯を食おうとしなかった。
つまり、俺の精気を吸おうとしなかった。
「どう?美味しい?」
「おう。……それにしても、さくらって自分では食わないくせにホント料理上手いよな」
「だから、味見くらいはできるんだって。美味しいとか、食べ物を食べてそう感じるのはきっと普通の人間とは全然感覚が違ってるんだろうとは思うよ。味の違いや、組み合わせはわかるけど、美味しいとも不味いとも思わないもの。それはそうよね、あたしたちにとって美味しいと感じるのは人間の精気だけなんだから。ただ、あたしが作った料理を美味しいって言ってくれた人がいて、その味は覚えてるから、だいたいどういう味付けにしたら食べた人が喜んでくれるかはわかるの」
そう言って、自分が作った料理を俺が食べてるのを嬉しそうに眺めているだけのさくら。
約束したとおり、さくらは俺のためにご飯を作ってくれてる。
だけど、初めてさくらと会ったとき以来、俺はまださくらとの約束を果たせていない。
ていうか、せっかくこうやって一緒に暮らしてるのにもったいないというか、なんか残念なんだけど……。
そして、夜。
さくらをベッドに寝かせて、俺は床に寝る。
さすがに、一緒に寝るのはさくらの方が嫌がるんじゃないかと思ってそうしていた。
まだそんなに寒い季節じゃないからいいけど、この生活がずっと続くんなら布団を買ってこないとだめだよな……。
毛布をかぶってそんなことを考えていたら、すっとすきま風が吹いたような気がしたかと思うと柔らかな感触が当たった。
「……ねえ、ベッドで寝ないと疲れが取れないよ、慎介」
耳許で囁くようなさくらの声が聞こえた。
「って、さくら!?」
「だって、あたしは居候なのに、慎介が床で寝て、あたしがベッドで寝させてもらってるのはやっぱり悪いよ。だから、ね、慎介がベッドで寝て」
「バカなやつだな、そんなの気にするなって」
実は、このやりとりは最初の晩から何度かやっている。
自分だけがベッドに寝て悪いとさくらは気にするけど、俺はずっと床で寝続けていた。
だって、そのくらいカッコつけたいじゃんか。
するとその日、さくらはクスッと笑うとそっと囁いてきた。
「だから、ベッドで一緒に寝よ」
「なっ!?」
驚いた俺の腕を、さくらがぎゅっと掴んでくる。
「あたしと一緒にベッドで寝ようよ、慎介」
「さくら?」
ひょっとして、これは誘ってるのか?
それだけ腹が減ったってことなんだろうか?
「ね、慎介、いいでしょ?」
「お、おう……」
さくらに腕を引っ張られて、一緒にベッドに潜り込む。
だけど、さくらはなにもしようとしなかった。
「……なあ、さくら?」
「ん?なに?」
「おまえ、腹減ってんじゃないのか?」
「大丈夫だよ。あたしたちは人間とは違って、毎日ご飯食べなくてもいいんだから」
「そうなのか?」
「そうだよ」
「じゃあ、なんで俺を誘ったんだよ?」
「え?誘ったって?」
「一緒に寝ようって言っただろ?」
暗い部屋の中、ベッドの上でさくらとの問答が続く。
「やだっ、もう、慎介ったらエッチなんだから!あたしとセックスしたいんだったらそう言えばいいのに」
「いやっ、そんなんじゃなくてだな!」
さくらがあんまりあからさまに言うもんだから、逆に慌ててしまう俺。
すると、さくらがクスクス笑いながら抱きついてきた。
「……あたしは本当に大丈夫だから。それよりも、毎日お布団もなしに床に寝てたんじゃ、慎介がしんどいんじゃないかって」
「だから、そんなん気にするなって」
「気にするよ。あたしのせいで慎介が体壊しちゃうの嫌だもの。それに、あたしは慎介と一緒に寝るの嫌じゃないから。だから……ね?」
そう言って、さくらが俺をぎゅっと抱きしめてくる。
俺の体に触れている、その、柔らかくて温かい感触。
こいつ……こんなに温かいんだな……。
勝手なイメージで、吸血鬼ってもっと体が冷たいもんだと思ってたけど……。
温かくて柔らかくて、本当にただの女の子と変わらないみたいに思える。
「ふふふっ……慎介、あったかい……」
抱きしめてやると、さくらの嬉しそうな声が聞こえる。
だけど、それは俺の台詞だ。
結局、そのままなにもすることなく俺たちは抱き合って眠ったのだった。
* * *
そして、さくらと一緒に暮らし始めて2週間経った。
相変わらず、さくらは飯を食おうとしない。
それはつまり、俺とセックスをしようとしないってことだ。
まさかだけど、俺とセックスしたくないとか?
ひょっとして、嫌われるようなことしたか、俺?
それに、昨日からさくらの元気がないような気がする。
いつもおしゃべりで賑やかなやつなのに、やけに口数が少ない。
「……なあ、さくら?」
「ん?どうしたの?」
「おまえ、腹減ってんじゃないのか?」
「なっ、なによ、もう……あたしは大丈夫だってば!」
心配した俺がそう尋ねると、さくらはそう言って笑顔を見せる。
だけど、どこか無理してる気がするんだけどな。
と、そのとき、さくらの腹がぐうぅうう、と鳴った。
「……吸血鬼でも腹減ると鳴るんだな」
「な、なに言ってんのよ!こ、これはねっ……」
「おまえなぁっ!無理してんじゃねえよ!そりゃ、俺は吸血鬼の体のことはわからないけどよ、2週間も飯食わないで大丈夫なわけねえじゃんかよ!なんでそんなになる前に言わなかったんだよ!?」
「慎介こそそんなに気軽に言わないでよ!わかってるの?慎介は自分が生きるためのエネルギーをあたしに吸われちゃうんだよ!?そんなの慎介の体にいいわけないじゃん!あたしが慎介の精気を吸っちゃったら、1日2日休んだくらいじゃ慎介の体は元に戻らないんだからね!」
と、ムキになって答えるさくら。
てか、そんなの気にしてたのかよ?
「だったら大丈夫だ。今日と明日はバイト入ってねえし、週末だから学校もねえし。1日2日寝てたって大丈夫だからよ」
「……でも」
「それに、約束じゃねえか。さくらが飯作ってくれる代わりに、おまえの腹が減ったら俺の精気を吸わせてやるって」
「……慎介」
「このままじゃ、俺が甲斐性なしみたいじゃねえか」
「だって、慎介はまだ学生じゃない。甲斐性なんてあるわけないよ……」
「バカ言え。若くて体力があるのだけが取り柄だからな。さくらに精気を吸わせてやるくらいの甲斐性くらいあるって。だから、無理すんなよ」
「……うん」
少しの沈黙の後で小さく頷くさくら。
「じゃあ……ごめんね、慎介」
そう言って抱きついてくると、俺に顔を近づける。
近くに迫ってきたさくらの口からは、鋭く尖った牙が飛び出ていた。
「ん……ちゅっ……ちゅう……」
さくらの唇が当たる柔らかい感触がして、俺の唇を吸う。
「んむっ、ちゅむっ……ちゅっ、ちゅうぅ……」
ちゅうちゅうと音を立てて、さくらが俺の唇を吸っている。
すると、クラッと頭がふらつく感じがした。
目を開けると、すぐ目の前にさくらの顔があった。
俺の唇を吸いながら、さくらは軽く目を閉じて頬をピンクに染めて、心なしかうっとりとしているように見えた。
そんなさくらの表情に、思わずドキドキしてしまう。
でも、これって俺の精気を吸われてるんだよな……。
キスをされているだけなのに、ふらつくような目眩と軽い脱力感に襲われる。
たぶん、俺の精気をさくらに吸われてるせいなんだろう。
「ちゅっ、んちゅ、ちゅう……ん、ぷは……」
けっこう長い間キスしていた後で、ようやくさくらが唇を離す。
「うまいか?」
「……うん」
俺が尋ねると、さくらは少し恥ずかしそうに頷いた。
その口許から、尖った牙の先が覗いている。
「おまえのその牙、普段はないよな?」
「うん。あたしたちシュトリーガは、いつもは普通の人間と見た目は全く変わらないんだけど、ご飯を食べるときだけ、吸精モードになったときだけ牙が伸びてくるの」
「でも、おまえらって別に血は吸わないんだろ?そんな牙あっても役に立たないじゃんか」
「そんなこと言ってもあたしにもわからないよ。生まれたときからこうだったんだし、あたしたちの一族の特徴としか言いようがないもん」
「ふーん。……そういえばさ、あのとき、おまえの目が妙にギラギラしてたような気がするんだけど」
「ああ、それはね、”吸血鬼の眼”ってやつかな……」
「吸血鬼の眼?」
「うん。慎介は聞いたことない?吸血鬼は、相手の目を見て、その相手を自分の思うように操ることができるって。実際、あたしたちシュトリーガの瞳にはそういう力があってね、あのときはお腹が減りすぎてあたしもおかしくなっちゃってたからとにかく早く精気を吸いたくて、無意識のうちに力を使って慎介に金縛りをかけて、その……おちんちんが大きくなるように興奮させたの」
「へえぇ。じゃあ、さくらはその気になったら俺を思い通りにすることができるってことか?」
さくらの説明を聞いても、怖いとか、そんなことは全然思わなかった。
たぶん、さくらはそんなことはしないだろうって思った。
もしそういうことを本気でするつもりだったら、今までいくらでも機会があったわけだし。
「あたしは、慎介にそんなことしたくないな……」
そう答えて、さくらは複雑な表情を浮かべた。
俺が思ったとおりだけど、でも、よく考えたらそれって答えになってないよな。
したくないって言っただけで、できるともできないとも言ってないし。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
さくらに、俺の精気を食わせてやらないと。
「ベッド行こうか、さくら?」
「……うん」
俺が誘うと、頬を赤くしてさくらは頷く。
そのまま、ベッドに上がるとさくらは服を脱いでいく。
俺の目の前で、思った以上に大きくて形のいいおっぱいがぷるるんと揺れていた。
「おまえ……けっこう胸でかいんだな……」
見たままの感想が、思わず口から出てしまう。
そういえば、この間は服を着たままで襲われたから、さくらの裸を見るのは初めてかもしれない。
「へへへっ。まあ、金髪ってわけにはいかないけど、これでもいちおうヨーロッパ育ちだからね。それなりにいい体してるでしょ?」
そう答えながら、さくらは嬉しいのか恥ずかしいのかよくわからない顔をする。
でも、かわいい顔に似合わず、体の方はちょっと日本人離れしたプロポーションだ。
いつもはゆったりめの服を着てるから、こんなにいい体をしてるなんて気づかなかった。
「ねえ、慎介……」
さくらが、もじもじと恥ずかしそうに俺の方を見る。
「ん?」
「慎介の精気もらうんだから、その代わりに、あたしの体は慎介の好きにしてもいいからね……」
顔を真っ赤にして羞じらいながらそう言ったさくらの表情だけで、股間のあたりがビクッと震えた気がした。
裸の女の子が、体も顔もほのかに紅潮させて、大きな目を潤ませて恥ずかしそうに伏し目がちに俺を見ているんだから、興奮しない方がどうかしてる。
「さくらっ」
「あんっ……慎介っ!」
さくらに抱きついて、そのおっぱいに顔を埋める。
まるで、ふにふにとしたでっかいマシュマロみたいな感触が顔を包み込む。
ひとしきりその柔らかな感触を味わうと、おそるおそるそのおっぱいに手を伸ばしてみる。
初めて触る女の子のおっぱいは、不思議な感触がした。
すべすべしてて、ふにっと柔らかくて、それでいてこっちに押し返してくるような弾力がある。
初めてだけど、なんだか触っているだけで楽しくなるような心地よくなる感触だった。
「ん……ふふっ!……ねえ、慎介、優しくしようとしてくれてるのはわかるけど、そんなにそっと触ってると、気持ちいいってよりかくすぐったいんだよね。もっと力を入れても大丈夫だよ」
おっかなびっくりおっぱいを触っている俺を見て、さくらがおかしそうに笑う。
でも、さくらがそう言うんだからそうなのかもしれない。
なにしろ、こっちは初めての経験だけどさくらにとってはセックスは食事と一緒なんだから、今まで山ほどやってきたに違いない。
そう思うと少し複雑な気持ちになるけど、それは仕方がない。
さくらは吸血鬼で人間じゃないんだから、そうしないと生きてこれなかったはずだもんな。
「んっ!そうそう、そんな感じ。……あんっ!」
ぎゅっと力を込めておっぱいを掴むと、さくらが鼻にかかったような声を上げた。
さくらの白いおっぱいに、俺の指がめり込んでいく。
ぎゅっぎゅっと力を入れたり抜いたりして揉むと、マシュマロのような柔らかいおっぱいが形を変えていく。
「……けっこう力入れてるけど、これでいいのか?」
「うっ、うんっ、いいよっ!おっぱいがビリってきてっ、いい感じっ!……ねえ、乳首も……乳首も触ってよ」
「うん。……こうか?」
「はんっ!……もっ、もっと強くしていいよ!」
「こう?」
「んんっ!そうっ……あんっ、それいいっ!」
さくらにリードされて、俺はさくらのおっぱいを揉み、乳首を指先で抑え込む。
俺としてはおっぱいの柔らかい感触が気持ちいいんだが、さくらは乳首の方が感じるみたいだ。
乳首を摘まむとさくらの体がびくって震えて、甘い喘ぎ声が洩れる。
なんだか、さくらの乳首が固くコリッとしてくる。
感じると女の乳首は勃起してくるって聞いたことあるけど、あれ、本当だったんだ。
「はんんっ!んんっ、じょっ、上手だよっ、慎介!ふふふっ、男の子って、みんなおっぱい好きだよね!?……あんっ!」
頬を上気させて、潤んだ目を嬉しそうに細めてさくらが微笑む。
うん、たしかにおっぱいには甘い幻想を持ってたけど、この良さは実際に触ってみないとわからない。
こうやってじっくり揉んだからこそ断言できる。
俺はおっぱいが好きだ。
ぎゅっと握ったおっぱいの先にある、ポチッとピンク色の豆みたいな突起に口をつけてチュッと吸う。
もちろん、もう片方の乳首も指先で弄りながら。
「やぁああんっ!もうっ、慎介ったらえっちだよぉおおっ!はうっ、あふぅううん!」
舌先と指先で両方の乳首をコリコリと刺激されて、さくらは派手に喘ぎながら体をよじらせる。
そんなさくらの反応がすごく新鮮だった。
「はうぅううん!ねっ、ねえ、慎介ぇ……そろそろ、おっぱいだけじゃなくて、あ、アソコも気持ちよくして欲しいな……」
そう言うと、さくらが俺の頭を押し返す。
そして、恥ずかしそうに下を向いた。
その視線の先は、立て膝になって少し開いた自分の股間を見ていた。
僕も、そこをじっと見てみる。
でも、これじゃちょっと見づらいな……。
「ちょっといいか、さくら?」
「……えっ?やんっ!」
両手でさくらの膝をぐいっと広げさせると、さくらは、とんっ、と両手を後ろ手に突いた。
へえぇ……これが、女の子のおまんこか……。
おへそのずっと下、さくらの髪よりももっと淡い色のアンダーヘアは量も少なくてその下側にあるアソコがはっきりと見える。
初めて見る女の子のそこ……ぷっくりと膨らんだ真ん中を縦に走った裂け目はぱっくりと心持ち開いていて、その奥がサーモンピンクに染まっていた。
「やだ……恥ずかしいからそんなに見ないでよ……」
じっくりと観察していると、さくらがガラにもなく小さく震える声を上げる。
おっ、今、裂け目の奥の方がヒクッて震えたような気がしたけど……。
「なるほどな……ここに俺のが入って、そんで、さくらはここで飯を食うんだな……」
「やだっ、慎介ったら!……でも、そうなんだけどね」
俺にじっと見つめられて、さくらはもじもじと恥ずかしそうにしている。
男とセックスをするアソコで、吸血鬼のさくらは飯も食うってことになる。
そう言われれば、奥の方がほの赤くなったワレメは口みたいに見えないこともない。
たしか、AVなんかだとこんなことやってるよな……。
手を伸ばして、指先で目の前のワレメをなぞってみる。
「ひゃうぅううんっ!」
ワレメの肉が、いや、さくらの体全体がブルッて震えた。
「……感じるのか?」
「もうっ!恥ずかしいこといちいち確認しないでよね!」
「でも、感じてるんだろ?」
「……うん」
顔を真っ赤にしてさくらが頷く。
ていうか、経験豊富なはずなのにそのウブな反応はなに?
じゃ、もう少し……。
「んふぅううううう!」
裂け目に少し指を潜らせてなぞると、さくらの甘い悲鳴が響いた。
ぷにっとした膨らみと、ばくっと開いた内側の赤い襞が、唇みたいにヒクヒク震えている。
「やんっ!もうっ、慎介ったら!」
「いや……さくらってさ、こういうのいっぱい経験してるんだろ?それでそんなに初々しい反応されてもな」
「だって!それでも感じるものは感じちゃうんだもん!」
「へえ……さくらって、感じやすいの?」
「そんなのっ!他の子と比べたことなんかないからわからないもん!……んっ、ひゃうううううううううっ!」
しゃべってる途中なのに、ワレメに指先を潜り込ませたら、ぬぷっと中まで入っていく。
すると、さくらは悲鳴をあげて腰を浮かせた。
さくらの中は、ヌルヌルしててすごく熱かった。
「ひゃうっ!はうううううんっ!」
回転させるように指先でさくらの中をかき混ぜると、さくらが体をよじって喘ぐ。
指が潜り込んだ隙間から、涎のようにトロトロした汁が溢れてくるのが見える。
「すげえ……さくらのここ、涎垂らしてるぞ」
「もうっ!そんな風に言わないでよ!」
「でも、食べたいんだろ?」
「やんっ……んふうううううっ!そっ、そんなにかき混ぜたらっ、ホントに食べたくなっちゃう!んっ……あんっ!……ねっ、ねえ、お願い……もう来て、慎介……」
アソコの中を指先でかき混ぜたり引っかけたり、そうするたびにさくらは腰を浮かせて喘いでいる。
いやらしく悶えているさくらの姿に、俺の股間ももうはち切れそうになっていた。
俺は急いでベルトを緩めると、ズボンを脱いでガチガチに勃起している息子を引っ張り出す。
「……すごい。そんなに大きくなってたら、あたしが力を使う必要もないね」
涙で潤んだ瞳でいきり立つ俺のチンポを見つめて、さくらが物欲しそうな表情を浮かべる。
「そんな大っきいの見たら、本当にお腹が減ってきちゃった……」
「だったら、今食わせてやるよ」
「……うん」
息子をワレメに宛がうのを、期待に満ちた視線で見つめながらさくらが頷く。
俺はそのまま、ガチガチの息子をさくらの中に押し込んでいく。
「くぅううううっ……入ってっ、くるぅうううううっ!」
「くうっ!きつっ!」
俺のチンポがズブズブとワレメの中に沈み込んでいき、さくらはぐっと頭を仰け反らせる。
これが2度目のさくらのそこは、やっぱりきつきつだった。
だけど、きついわりにはすごくスムーズに入っていく。
「んっ……あたしの中、慎介のでいっぱいになってる。……やっぱり、慎介のすごく固くて、こうしてるだけでっ、気持ちいいよ!……やんっ、いまっ、中でビクッて!」
頬を上気させたさくらが目尻を緩めて微笑むだけで、股間に血液が集まって行くみたいにドクンドクンしてくる。
「そんなに俺のって固いのか?」
「うん。……日本に来てからも、あっちにいたときも、こんなに固い人ってあまりいなかったかな」
「でも、なんか複雑だな、それ……」
「もしかして、慎介ったらヤキモチ妬いてんの?」
「いやっ、それはだな……」
「ごめんね、ビッチみたいなこと言って。でも、あたしはそうしないと生きていけないから……」
そう言って、さくらは寂しそうな表情を浮かべる。
そりゃ、さくらは生きていくためにセックスして精気を吸わなきゃいけないんだし、今まで何人もの男とやってきたんだろうと思うと複雑な気持ちにもなる。
他の男と比べられるのは嫌だけど、でも、さくらに今みたいな顔をされるのはもっと嫌だ。
「うん、わかってるよ、さくら」
「ありがと。……ねえ、慎介」
俺の言葉に静かに微笑むと、さくらはこっちに向かって片手を伸ばしてきた。
「……さくら?」
「んっ……あんっ!」
何気なくその手を取ると、さくらは体を起こして俺に抱きついてくる。
「今は慎介が好きにしていいから、だから、いっぱい気持ちよくなって……んっ、はんっ……」
さくらがそう言って、俺に抱きついたまま腰を動かしはじめる。
「あんっ、んんっ……どう?気持ちいい?」
「うん、すっげぇ気持ちいい」
ゆっくりと腰をくねらせながら訊いてくるさくらを抱きしめて、素直な返事を返す。
実際、さくらのそこはすごく気持ちよかった。
すごく温かくて、ヌメッて滑るような感触があって、俺のチンポに絡みついてくる。
こんなにきつきつなのに柔らかく包みこんでくる感じがするなんて、女の子のアソコってすごく不思議だって思う。
それに、さくらが腰をくねらせるたびにチンポをぐいって締めつけて扱くみたいに動く。
その刺激が、本当に気持ちいい。
それになにより、裸のさくらが俺に胸を押しつけるように抱きついてきて、うっすらと目を閉じて一心不乱に腰を動かしている。
そのビジュアルだけで興奮する。
「ん……はんっ!?あんっ、慎介ぇっ!!」
さくらの体を抱きしめて俺の方からも腰を動かすと、さくらの喘ぎ声が急に甲高くなる。
「やっ、はぅうんっ!それぇっ、すごいっ!おっ、奥まで来てっ!んっ、あぁああんっ!」
俺のふとももにその体を乗っけるようにして下からズンズン突き上げると、さくらは顔を仰け反らせて喘ぐ。
これって、対面座位っていうやつかな?
この体勢だと、チンポがより奥まで届くんだろうか?
俺としても、こうしてると体が密着してる感じがするのがすごくいい。
「ああっ!気持ちいいっ、気持ちいいよっ、慎介っ!」
「俺もっ、気持ちいいぞっ、さくらっ!」
「ホントにっ!?嬉しいっ……もっともっと気持ちよくなって、慎介ぇっ!」
「ああっ、さくらっ!」
互いの名前を呼びながら、俺とさくらは夢中になって腰をぶつけ合う。
そしてそれは、チンポの先がさくらの中の真ん中より少し左側を擦ったときだったろうか。
「ひぐぅっ!そこっ、すごいぃいいいいっ!」
喉を震わせるような喘ぎ声をあげて、さくらが俺にしがみついてくる。
同時に、さくらのアソコの締めつけがきつくなったような気がした。
そして、もう一度。
「あうっ!はうぅうううううんっ!」
やっぱりだ。
さくらの喘ぎ方がさっきよりも格段に激しい。
ひょっとして、Gスポットってやつ?
「はうんっ!あんぅ、んふぅううんっ!んっ、いいっ、そこいいのぉおおおおおっ!」
たまたま見つけたさくらの感じやすい場所を重点的に突いてやると、さくらはツインテールの髪を振り乱して喘ぎまくる。
それを聞いているだけでこっちの頭も蕩けそうなほどの甘い声だ。
だけど、この角度って真っ直ぐじゃないから俺の方もかなりくるよな。
少し角度を付けてるから、俺のチンポもきつく擦れて頭の奥が痛いくらいに熱くなってくる。
こうして、いっぱいに腰を突き上げてると、ビリビリくるくらいに気持ちよくて、あっという間に射精しそうになる。
それにしても……。
「あんっ、すごいっ!そこっ、すごく気持ちいいのっ!」
「ううっ……吸血鬼でも、そんなに感じるんだなっ」
「それはぁっ!あたしたちの体の造りは人間とそんなに変わらないはずだもん!気持ちいいものは気持ちいいよぉっ!」
「そんなに気持ちいいのか?」
「うんっ、気持ちいいよっ!……だって、あたしたちはセックスして相手の精気を吸うのが食事だもん!だからっ、相手にいっぱい精気を出してもらえるようにっ、感じやすい体になってるんじゃないかなっ!?」
「そうなんだ?」
「うんっ……だけど、こんなに気持ちいいのはそれだけじゃないかも……」
「……えっ?どういうことだ?」
「あたしがこんなに気持ちいいのはっ、きっと……それだけあたしが慎介のこと好きだからっ」
そう言って俺に見せた、さくらのその表情。
すっかり吸精モードになっていて鋭い牙が見えてるけど、トロンと瞳を蕩けさせた、幸せそうで、すごくいやらしい笑顔。
「……くうううっ!」
ゾクゾクするくらいにきれいなその笑顔を見た瞬間、俺はもう射精感を抑えることができなかった。
「ふあああああっ!きてるぅっ……慎介の熱いのがいっぱいきてるうううううううっ!んふうぅうう……ああっ、熱くて、美味しいのが、いっぱいっ!」
さくらの中に思い切り射精すると、さくらもぎゅっとしがみついてきた。
そのまま、絶頂の余韻と俺の精気を味わうようにブルブルと体を震わせている。
「ぐああああああっ!」
「あんっ、まだ出てるっ!あんっ、慎介の精気っ、すごく気持ちよくてっ、美味しいぃっ!」
どくっ、どくっとまだ射精が続く。
精気を吸われているせいなのか、やっぱりさくらとのセックスのときは多めに出てるような気がする。
それに、目眩のような気怠さと共に急速に体から力が抜けていくのがわかる。
「くううううう……」
「んふぅうううううう……」
ようやく射精が止まり、抱き合ったまま大きく息をする。
「ふぁああ……すごく気持ちよくて、すごく美味しかったよ、慎介……」
さくらが潤んだ瞳で俺を見つめて微笑む。
その笑顔を見たら、またムラムラとしてきて息子が元気になるのを感じた。
「さくらっ!」
「……ふえっ!?あんっ、しっ、慎介!?」
ぎゅっとさくらを抱きしめて、まだ繋がったままのアソコをチンポで突き上げる。
「ちょっ、ちょっと、慎介っ!あんっ、はうっ!」
「もう1回するぞっ、さくら!」
「そんなっ!無茶だって、2回もしたら慎介の体に負担がかかりすぎるって!」
「それでもっ、俺はさくらとこうしていたいんだ!」
「あっ、ううんっ!ちょっ、慎介っ!」
戸惑うさくらにはかまわず、俺はズンズンと腰を突き上げる。
たしかに、体はものすごくしんどくて異様に重たく感じるけど、それでもまださくらとセックスしたかった。
「ちょっ!ダメだって!」
「いいだろっ!おまえの体を好きにしていいって、さくらがはじめに言ったじゃんか!」
「それはそうだけどぉっ!んっ、はううううっ!」
「だからっ、俺の好きなようにセックスしたいんだ!」
「あぅうんっ!しっ、慎介っ!……やっ、そんなに激しくしたらっ!また欲しくなっちゃうよぉっ!」
「欲しかったらいくらでもやるよっ!だからっ、さくらっ!」
「あんっ、慎介っ!しんすけぇえええっ!」
俺を抱く腕に力が入ったかと思うと、さくらの方からも腰を動かしはじめる。
そのまま、俺たちは互いの体を貪るように腰を振り続けた。
それは、本当に欲望に突き動かされたようなセックスで、俺に抱きついたさくらのおっぱいも、アソコの中も、俺のチンポも頭の中も熱くて、全部が真っ白になったみたいで、ただ快感しか感じなかった。
そして、ひたすら快感だけを味わう時間は、あっという間に過ぎていく。
「くううううっ!でっ、出る!」
「うんっ、出して!いっぱいあたしに食べさせて!」
「ううううううっ!さくらぁああああっ!」
体を密着させるようにぎゅっと抱き合って、俺は2度目の射精を迎える。
そのまま、俺は気持ちよく意識を失ってしまったのだった。
< 続く >