1
「隼人君! なにやってるの!」
「あっ・・・ひろみせんせい・・・えっと、お医者さんごっこだよ・・・」
園の裏手にあるベンチにパンツを脱いだ美菜がしゃがんでいて隼人が局部を覗き込んでいた。
「そんなことしちゃダメ! いけないことなのよ。美菜ちゃん、パンツをはきなさい!」
水島宏美は美菜の方を向いて言った。
「は~い・・・」
美菜は渋々といった様子で立ち上がりキャラクターがプリントされたパンツをはく。
「隼人君、男の子と女の子は違うの。興味があっても、そんなことしちゃいけないの。わかる?」
「だって・・・」
「だってじゃありません。お母さんが迎えに来ているから美菜ちゃんはもう帰りなさい。隼人君は学童の子たちが来るまで教室で・・・ううん・・・先生とお話ししましょう」
焼津市のはずれにある小さな用地園。うららかな午後の日差しが園庭に差し込んでいた。親たちが迎えに来はじめて宏美は隼人と美菜がいないことに気がついたのだ。そして、花壇のある裏手のベンチにふたりがいるのを見つけた。
どちらかと言えば隼人はおとなしい控えめな子供で、女の子にイタズラをするようなタイプには見えない。それなのに、お医者さんごっこをしている二人の姿には子供の遊びとは思えない淫靡さがあって、宏美はあわてて制止したのだ。
「隼人君、明日は美菜ちゃんにあやまろうね」
園児たちを見送った後、宏美はひとり残った隼人に向かってそう言った。パン屋を営む隼人の父親は事故にあって入院した。母親が看護をしているので、隼人は暫定的に学童保育に行くことになった。園の終わりが早いので隼人は一時間ほど園に残ることになっている。
宏美の言葉に隼人は首を振って答えた。
「どうして? 女の子にとっては恥ずかしいことなのよ。男らしくあやまらなきゃ」
「だって、お医者さんごっこしようって言ったのは美菜ちゃんだもん」
「えっ?」
「にらめっこしてたら、美菜ちゃんがお医者さんごっこしようって言ったんだ」
「ほんと?」
「うん。きっと負けそうになったから。あっぷっぷって言って美菜ちゃんの眼を見たら・・・美菜ちゃんが男の子と女の子の違いを見せてくれるって言ったんだ」
「そんな・・・」
にわかには信じられない隼人の言葉に宏美は戸惑った。
「だって・・・ほんとなんだもん・・・」
「わかった。先生は隼人君を信用する。でも、もう美菜ちゃんにあんなことしちゃダメよ」
大学で資格を取ってから二年目、宏美は子供たちが性に興味を持つのを大人の感覚で判断してはいけないということを理解できるようになっていた。
「うん、わかった。でも、どうして美菜ちゃん、あんなになっちゃったんだろう?」
「あんなに・・・って?」
「あのね、にらめっこしてたら、急にヘンになっちゃったんだ」
隼人は本当に不思議そうな顔をして言った。
その言葉を聞いて宏美は少し興味を覚えた。どうやら誘ったのが美菜だということに嘘はなさそうだ。
「じゃあ、先生とにらめっこしてみようか」
「えっ・・・?」
「こっちよ」
宏美は隼人を園の一番奥にある部屋へ連れて行った。具合が悪くなったりした子供を寝かせるため、その部屋だけ畳敷きで、教員室の反対側にあり園児が帰った後はだれも来ない。どうして、その部屋へ行こうと思ったのか宏美自身にもわからなかった。
「さっ、先生とにらめっこしよ」
扉を閉めた宏美は隼人の手をとって微笑んだ。
「だ~るまさん、だ~るまさん、にらめっこしましょ。あっぷっぷ」
畳の上に座った宏美は、そう歌って、まだ立っている隼人の方を見た。
目が合った。
その瞬間、目の前にピンクの靄がかかったように思えた。
身体が熱くなり、下半身に蜜があふれたとき独特の感覚があった。
「あれ・・・せんせい・・・」
隼人の声が遠くの方で聞こえる。
「せんせい・・・せんせいったら・・・」
隼人の声が心地よく響く。
隼人はしゃがんで宏美の顔を覗き込んだ。
ふたたび目が合う。
どうしようもないほど身体が疼いた。
「はやと・・・くん・・・」
「せんせい、だいじょうぶ?」
心配そうな隼人の顔を見て、宏美はすべてを捧げたいという欲求に駆られた。しかし、子供相手になにができるのだろう。そう考えたとき、美菜の行動を思い出した。
「はやとくん・・・美菜ちゃんとお医者さんごっこして・・・楽しかった?」
「えっ・・・?」
戸惑う隼人の顔を見てますます愛おしさが募る。
「女の子のあそこを見て・・・どうだった・・・?」
「あ・・・ええと・・・びっくりした・・・」
「あのね。女の子のあそこはオシッコをするだけじゃないの」
「ええっ・・・あと、なにするの?」
「オシッコをするのとは別の穴があって、そこから赤ちゃんが生まれるの」
「うそだぁ・・・そんな穴なかったよ」
「まだ美菜ちゃんは子供だから見えないの・・・隼人君・・・赤ちゃんが出てくる穴・・・見たい?」
「う・・・うん・・・」
「だれにも言っちゃダメよ。先生と隼人君だけのヒミツにしてくれる?」
「うん!」
隼人の眼は好奇心でキラキラ輝いている。その表情を見るだけで宏美は疼きが増してくるのを感じていた。もう、下着ははっきりとわかるほど濡れている。
とろりとした甘い果汁に身を浸しているような気がした。そして、その果汁は理性を溶かして、いや、侵していくようだった。
宏美はジーンズのボタンを外し、プレーンなコットンのショーツと一緒に下ろして両足首から抜いた。
「ここよ」
エプロンを捲り上げた宏美は膝を立てて大きく脚を開いた。
頭の片隅で、なんでこんなことをしているんだろうと思う。しかし、両手で秘肉を広げて開いた蜜壺に空気が入る感覚に、そんな考えも吹き飛んでしまう。
「見える?」
隼人は無言でうなずいて、あそこへ顔を近づけた。
見られていると思うだけで疼きが増していく。
「ここから赤ちゃんが出てくるのよ」
宏美はさらに大きく秘肉を広げた。
「ここ濡れてるよ・・・おしっこみたいだけど・・・」
「ううん、おしっこじゃないの。女の人は興奮するとここが濡れて気持ちよくなるの」
「ひろみせんせい・・・気持ちいいの・・・?」
「ええ・・・隼人君が見ているだけで気持ちよくなっちゃった・・・」
「見ているだけで?」
「そうよ・・・ここはとっても感じる場所なの。赤ちゃんを作るにはどうしたらいいか知ってる?」
「ううん・・・」
「赤ちゃんを産むためには男の人がここへ種を蒔かなきゃならないの。男の人を受け入れるために濡れるのよ」
「たね・・・?」
「そう・・・男の人のおちんちんをここに入れるの。そうすると、とっても気持ちよくなるの」
「へえ・・・すごいね・・・」
「触ってごらんなさい」
「うん・・・」
隼人の指が秘肉に触れる。
「はぁんっ・・・」
思わず喘ぎが漏れてしまう。それほど宏美の欲望は熟していた。
「せんせい、だいじょうぶ?」
声に驚いた隼人は手を引っ込めてしまう。
「だ、大丈夫よ・・・・気持ちがいいから声が出ちゃうの・・・」
「よかった。びっくりしちゃった・・・」
「隼人君・・・やさしいのね・・・」
心配げな隼人の顔を見て、ますます欲望が膨らんでいく。
「隼人君、赤ちゃんが出てくる穴に指を入れてみて・・・」
「いいの?」
「うん。先生、そうしてもらうと気持ちよくなるから・・・」
「わかった」
ふたたび隼人は手を伸ばす。
「あうっ!」
小さな指が挿入されただけで宏美は激しく感じていた。
「あったかくて柔らかい・・・こんな狭いところから赤ちゃんが出てくるなんて・・・」
不思議そうに隼人は蜜壺の内壁に指を這わせる。
「あんっ! ああんっ!」
たどたどしい指の動きが、かえって宏美の快感を引き出していた。
「は、はやとくん・・・もっと・・・強く・・・うごかして・・・」
「こう?」
「ああっ! そう・・・そうよ・・・上手・・・あんっ!」
本能のなせる業か、隼人は指を挿送させていた。
そして、自分の行為が大好きな宏美先生をよろこばしているのがうれしかった。
「せんせい、気持ちいいの?」
「ああっ・・・すごく・・・気持ちいい・・・せんせい・・・いっちゃいそうよ・・・ああっ!」
「えっ? どこいっちゃうの?」
「ああ・・・違うの・・・すごく気持ちよくなって・・・たまらなくなるのを・・・いっちゃうって言うの・・・ああっ! もうすぐ・・・ああんっ!」
宏美は最後に大きく叫んで身体を震わせた。
痙攣を繰り返す宏美を隼人は見つめていた。幼い心にも、それが快感の頂点であることはなんとなく理解できた。
蜜でふやけかけた指先を鼻に近づけてみる。
かすかに酸味をともなった匂いがした。
それは嫌なものではなく、大好きな宏美先生の別の一面を知った証のような気がした。
「ひろみ・・・せんせい・・・」
「・・・な・・・に・・・?」
「また、にらめっこしようね」
にらめっこをすると、女の人の態度が変わって自分を求めるようになるんだと隼人は思った。
不思議な能力の芽生えだった。
「は~や~と君! 迎えに来たよ」
そのとき園庭の方から声が聞こえた。学童保育の子供が迎えに来たのだ。
「いま行くから待ってて~」
窓を開けた隼人は外に向かって言った。
「せんせい。ぼく、ヒミツは守るからね。だから、また赤ちゃんの穴、触らせてね」
隼人はそう言い残すとドアを開けた。
下半身が裸のまま立ち上がれない宏美を残して。
2
「隼人、遅くなってごめんね。お父さんが退院するまで我慢してね」
学童保育の場所になっている公民館に麻里が迎えに来た。
手をつないで家へ帰る途中、麻里はちょっとした違和感を覚えた。それが、なんであるのかはわからなかったが、母親の直感が隼人のなにかが変わったのだと告げていた。
「隼人、今日はなにして遊んだの?」
「えっと・・・幸広おにいちゃんが本を読んでくれた」
「それだけ?」
いつもは用地園のことを話すのに、隼人は学童保育であったことしか答えない。
「うん」
やはり、なにかを隠している。麻里はそう思った。そのせいか、妙に大人びた感じがする。
「お母さん、今日のごはんなに? お腹すいちゃった」
隼人のひと言で麻里は普段の母親に戻った。
「ごめんね。まだ作ってないの。チキンカツサンドなら残ってるけど」
「ぼく、あれ好きだよ」
ニッコリと笑う隼人を見て、気にしすぎたのだと麻里は思った。
家に帰り、無邪気にチキンカツサンドをパクつく隼人の姿に麻里は心を和ませた。夫はバイクで配達途中に信号無視の車と接触して入院している。さいわい命に別状はなかったが、パン屋の切り盛りと夫の看護で隼人の面倒を見ることができない。それを申し訳なく思いながら、なぜか隼人を生んだときのことを思い出していた。
いきなり破水して近所の病院に運ばれた。気が遠くなるような陣痛の中、産婦人科医の指示に従って息を吐きながら力むと、記憶にはないはずの感覚が蘇った。蜜壺を激しく蹂躙されるような快感だった。目が眩むようなオーガズムとともに隼人が産道を抜けていった。
分娩室の壁や医療器具が岩屋に見えた。
麻里は叫びにも似た喘ぎを漏らしていた。
「よく頑張りましたね。元気な男の子ですよ」
医師の声とともに元気な産声が聞こえた。
そのとき、なぜだかわからないが隼人と名付けなければならないと思ったのだ。
「お母さん、どうしたの?」
隼人の声で我に戻った。
おかしいのは自分なのだと思った。事故から二週間ほど、かなり疲れが溜まっているのだ。
「ごめんね。ちょっと疲れているのかも」
「お母さん、あやまってばかりだよ。ぼくは大丈夫だから」
そう言う隼人を見て、事故が隼人を成長させたのだと思った。
「そうね。お風呂に入ろうか?」
「うん!」
元気よく答える隼人。
ゆっくりと湯船に浸かって疲れを癒したかった。
バスルームで、いつになく隼人の視線を感じた。
脱衣場で服を脱いでいるときからだった。
「どうしたの? お母さんのことばかり見て」
ざっと汗を流して隼人と湯船に浸かったとき麻里は隼人に聞いた。
「うん。お母さん、きれいだなぁって思って」
隼人は明るく答える。
そういうことを感じる年頃になったのだ。あの違和感は隼人の成長のせいもあるのだろうと麻里は思う。そして、自分を賛美されることがくすぐったくも、うれしく感じた。
隼人は別のことを考えていた。母親の裸を見て宏美先生の裸を見たくなったのだ。宏美先生の胸はあんなに膨らんでいるのだろうか、お母さんと同じように、あんなにきれいなのだろうか、そんなことばかりが頭に浮かんで麻里の裸から目が離せなかったのだ。
「男の子が女の子に興味を持つのは自然なことよ。でも、そんなに見つめたらダメ。お母さんだからいいけど、ほかの女の人だったら恥ずかしがるか、怒っちゃうから」
「どうして?」
隼人の言葉には邪気がない。
「隼人は女の子から見られたらどう? 恥ずかしくない?」
「う~ん・・・わかんないや・・・」
考え込む隼人を見て、やっぱり子供なのだと麻里はおかしくなった。
隼人にしてみれば見慣れたはずの母親の裸が別のものに感じられた。もっと見たかったが、これ以上見ていると怒られそうだと思った。代わりに、明日は宏美先生に裸を見せて欲しいと頼むことにした。
夜は更け、隼人と麻里は普段の通りに眠りについた。
その夜、麻里は淫夢を見た。どこだかわからない洞窟の中で少年に抱かれている夢を。隼人を生んだときと同じくらい感じていた。この世のものではない声が響いていた。あまりの快感に目を覚ました麻里は夢の続きが見たくて眠ろうとしたがなかなか寝付けず、ひさしぶりに自分で慰めた。
気配を感じて横に寝ている隼人が目を覚ましたことなど気がつく余裕もなかった。
3
隼人はいつもよりウキウキした気分で園に向かった。
にらめっこの効果をもう一度確かめたかったし、宏美先生の裸も見たかった。
教室に入ると美菜が立ちふさがった。
「美菜ちゃん、おはよう」
隼人は笑顔で挨拶をする。しかし、美菜の表情は複雑だった。
「隼人くん、昨日のこと誰にもしゃべってないよね?」
「えっ・・・あ・・・うん」
正確に言えば宏美には話している。でも、現場を見られているのだから勘定には入らないので曖昧にしか答えられない。
「だれにもしゃべっちゃヤだよ」
「うん。しゃべらない」
「約束だよ」
「わかった。約束する」
「ほんとに?」
「うん」
「だったら、また見せてあげる」
美菜が見せたがっていることはすぐにわかった。なのに、見せてあげるなんて言うのはおかしいと思った。それより隼人は宏美の裸が見たかったから返事に困った。
「見たくないの?」
美菜の態度が変わる。
「だって、ひろみせんせいに怒られるから・・・」
「弱虫!」
美菜は泣きそうな顔になって向こうへ行ってしまう。
ちょっとホッとした。美菜が嫌いなわけじゃないが、宏美とあんなことをした後だから魅力に乏しい。美菜の裸が見たいという欲望は湧かなかった。
隼人にとって収穫だったのは、にらめっこの効果が持続しているということがわかった点だった。これなら宏美も要求を受け入れてくれるに違いないと思った。
しかし、教室がはじまっても宏美の態度はいつも通りで、隼人を特別扱いすることはなかった。大人には効果が続かないのかもしれないと、ちょっとガッカリもした。
「どうしたの? 隼人君」
給食を食べ終え、みんなが園庭で遊んでいるのをぼんやり見ていた隼人に宏美が声をかけた。
「あっ・・・ひろみせんせい・・・」
「みんなと遊ばないの?」
「だって・・・」
「元気ないの?」
「だって、せいせいが・・・冷たいから・・・」
「隼人君」
「なに?」
「約束したでしょ。秘密だって。だから、ここでは隼人君を特別扱いできないの。みんなに、おかしいって思われちゃうでしょ。わかるかな?」
「そっか」
隼人の顔が輝いた。
「そんなに落ち込んでたの?」
「だって、せんせいに会いたかったんだもん。なのに、ちっともぼくのことを見てくれないから嫌いになっちゃったのかもって・・・」
「大丈夫。先生は隼人君のこと大好きだから安心して。でも、ここで仲良くしているのをみんなに見られちゃったら秘密が守れないでしょ」
「そっか・・・だったら・・・」
「今日は学童へ行かないで先生の家にいらっしゃい。向こうには先生が電話しておくから」
「ほんとに?」
隼人の顔がほころんだ。園が終われば暗くなるまで宏美先生とふたりっきりになれると思うと気分が高揚してくる。それに宏美先生が自分のことを大好きだと言ってくれたのがなによりうれしかった。
「ほんとよ。だから園が終わるまではいつもの通りよ。わかった?」
「うん、わかった」
「わかったら、みんなと遊んでらっしゃい」
「は~い」
隼人は立ち上がって園庭に駆けていった。
4
「へえ~、ここがひろみせんせいのおうちなんだ」
園が終わり事務仕事を済ませた宏美は隼人の手を引いて自分が住むワンルームマンションまで連れて行った。
「ごめんね、狭いところで」
「ううん。とってもいい匂いがするよ。せんせいの匂いだ」
隼人がクンクンと鼻を鳴らす。それを見た宏美は恥ずかしいような、それでいて疼きを伴う甘い感覚を覚えていた。なにしろ、連れてくる途中、手をつないでいただけで昨日の隼人の指使いを思い出してしまい下着を濡らしてしまったのだ。隼人の手のひらから何かが伝わってくるようだった。
「先生の匂いって・・・どんな?」
「うん。なんか果物みたい」
その言葉を聞いて宏美はホッとした。今日はスカートをはいていて濡れた下着が気になってしょうがなかったのだ。
「それよりせんせい、お願いがあるんだ」
「なに?」
「あのね、せんせいの裸が見たいの」
「えっ・・・?」
「昨日ね、お母さんとお風呂に入って、女の人の裸ってきれいだなぁって思ったら、せんせいの裸も見たくなっちゃったんだ。ダメかなぁ・・・」
「ここで裸になるの?」
宏美の心が妖しくざわめいた。
「うん。見せて。お願いだよ」
隼人は宏美の手をとって言った。目が合った。その真剣な眼差しを見て宏美の理性は砕けた。
「先生パンツが汚れちゃったの。だから一緒にお風呂入りましょ。それなら隼人君も先生の裸が見れるでしょ」
「うん、いいよ! でも、どうしてパンツ汚れちゃったの?」
「だって隼人君といたら、あそこが濡れちゃったから」
「ええっ。だって、ぼくなんにもしてないよ」
「隼人君と手をつないでいたら昨日のこと思い出しちゃったの」
普通なら言えないことなのに隼人が相手だとついしゃべってしまう。
「ふーん・・・」
「そんなことより、お風呂入りましょ」
「うん!」
「先生が脱がしてあげようか?」
「いいよ。自分でできるもん」
「先生がしてあげたいの。いや?」
「だったらいいよ」
宏美は制服のボタンに手をかける。裸になった隼人は普通の子供だった。なにを期待していたのだろうと宏美は思ったが、そのときには自分の服も脱ぎはじめていた。ワンルームマンションだから脱衣場はない。部屋で服を脱ぐしかないのだが、隼人の視線が気になった。
「うわっ!」
すべてを脱ぎ終えたとき隼人が声を上げた。
「どうしたの?」
「すごいや・・・せんせい・・・きれい・・・」
隼人に褒められると身体が熱くなった。
「だめよ・・・そんな目で見ちゃ・・・」
視線が刺さるように感じる。無意識に右手で股間を、左手でバストを隠した。
「せんせい・・・」
「なあに?」
声までが甘くなる。
「あのさ・・・かくさないで・・・せんせいのおっぱい見たいんだ」
「だってお風呂入らなきゃ・・・」
「ちょっとだけ、おねがいだよ」
「もう・・・悪い子ね・・・」
そう言いながら宏美は腕を下げる。
「うわぁ・・・きれいだなぁ・・・色とか形とか・・・お母さんとはちがうけど・・・さわってもいい?」
「ちょっとだけよ・・・」
もう風呂などどうでもよかった。宏美は正座して隼人の目線に合わせる。
「すごい・・・スベスベで、柔らかいや・・・」
隼人は母親より色が薄く小さな乳首を見ながらバストに触れた。
「ああんっ!」
隼人が触れた瞬間、全身に電気が走った。
「せんせい」
「なあに?」
「ここも気持ちいいの?」
「そうよ・・・隼人君に触られると気持ちよくなって・・・声が出ちゃうの」
「だったら、もっとさわっていい?」
「いいわ・・・触って・・・」
「うん。ありがとう」
隼人は感触を楽しむように両手で宏美のバストを揉んだ。
どんどん宏美の息づかいが荒くなる。
「はぁん・・・もう・・・だめ・・・」
宏美は無意識に隼人を抱きしめていた。
「隼人君・・・」
「なに?」
「お願い・・・おっぱい吸って・・・」
「ぼく赤ちゃんじゃないよ」
「違うの・・・そうすると気持ちいいの・・・お願い・・・」
「わかった」
「ああんっ!」
まるで乳首が子宮とつながっているようだった。隼人にふくまれ吸われると秘肉が疼いた。
口の中で硬くなっていく乳首の感触がおもしろくて、隼人は舌で転がすように舐める。
「あっ! いやっ! ああんっ!」
宏美が跳ねるように震える。
「いたかった? ごめんね、せんせい」
「ああ・・・違うの・・・いいのよ。もっとして」
「だって・・・せんせい『いや』って言ったから・・・」
「そうじゃないの。女の人は気持ちいいときにも『いや』って言っちゃうの」
「へんなの」
「そうね。どうしてかしら。でもね、先生が『いや』って言うのは、もっとしてっていうことなの」
「じゃあ、もっとさわったりしてもいいんだね?」
隼人の顔が輝く。
「もちろんよ」
「わぁい!」
隼人は歓声を上げて宏美にむしゃぶりついた。
「はぁんっ! は、隼人君・・・上手・・・」
ふたたび乳首を口にふくまれて宏美は震えながら言った。
隼人は宏美の肌の感触に感激していた。手のひらだけでなく頬で、そして全身で、その柔らかさと滑らかさを堪能する。
「せんせい・・・ぼくも・・・気持ちいい・・・すごく・・・」
「隼人・・・くん・・・」
見れば隼人は勃起していた。宏美だって教員資格を持っているから子供の勃起が性的なものだけではないことを知っている。なのに、どうにかしてあげたかった。
「先生がもっと気持ちよくしてあげる」
そう言って宏美は隼人を抱き上げ出ベッドに座らせた。
まだ皮を被った小さな屹立を指でつまむ。
「せんせい・・・おちんちんヘンになっちゃった・・・」
「大丈夫。自然なことなのよ。こうすると気持ちいいんだから」
「あっ!」
隼人が驚きの声を上げたのは、宏美が屹立を口にふくんだからだった。
「せんせい・・・うわっ・・・ほんとだ・・・気持ちいい・・・」
宏美は舌を使って隼人のものを舐めまわしていた。皮の中の垢の匂いも気にならないくらい愛おしかった。唇で挟んでしごきながら舌先で先端を舐め続ける。
「あっ・・・せんせい・・・なんかヘンだよ・・・ああっ!」
隼人が腰を突き出して震えた。
「気持ちよかった?」
唇を離した宏美は隼人を見上げる。
「うん。こんなのはじめて」
「誰にも言っちゃダメよ。秘密にしてくれたら、またしてあげるから」
「うん、わかった! ヒミツだね」
隼人は元気よく答える。
「そう。先生と隼人君だけの秘密。そうしないと怒られちゃうの」
「だれに?」
「みんなによ。本当はいけないことなの。だから、先生が隼人君にこんなことしたのがわかったら、先生は辞めなきゃならないし、隼人君にも会えなくなっちゃう」
「そうなんだ・・・」
「だから秘密なの」
「わかった」
「いい子ね」
「ねえ、せんせい」
「なあに?」
「昨日、せんせい『いく』って言ってたでしょ?」
「ええ」
「ぼくもいったのかな?」
「そうよ」
「すごく気持ちいいね」
「よかった」
「ぼくがせんせいを舐めても気持ちよくなるのかな?」
「それは・・・」
「ぼく、せんせいが大好きだから、せんせいにも気持ちよくなって欲しいんだ」
「隼人君・・・」
胸がキュンとしてしまう。
「だめ?」
「ううん。うれしいわ」
「ほんとに?」
「ええ」
「だったら舐めさせて。こんどは、せんせいがここに座って。いくときのせんせいって、とってもきれいだから、また見たいんだ」
宏美は隼人に言われたとおりベッドに上がりM字に脚を開いた。それだけで疼きが増す。
「あ・・・でも・・・」
「どうしたの?」
「せんせいには、おちんちんないから・・・どうすればいいんだろう?」
「女の人にも、おちんちんみたいなところがあるの」
「えっ、どこ?」
隼人の視線が股間に注がれ、さらに疼きが増す。
「隼人君に女の人の秘密を教えてあげる」
宏美は両手で秘肉を開いた。花びらが糸を引いて蜜壺が露わになる。
「ここよ。クリトリスって言うの」
合わせ目の上端にあるピンク色をした小さな真珠を指さす。
「へえ・・・かわいいね」
「一番敏感な場所なの。だから、やさしくしなきゃならないの」
「ふーん、ちょっとさわってもいい?」
「ええ、やさしくね」
「うん」
隼人が手を伸ばす。
「あぁぁんっ!」
指先が触れただけで声が漏れてしまう。宏美の身体は隼人を求めて熟しきっていた。
よろこびの声を上げる宏美に気をよくした隼人は、コリコリとした肉芽の感触を確かめるように指を動かす。
「ああっ! いやっ! そんなにしたら・・・もう・・・」
隼人の指は魔法のようだった。経験したことのない快感が全身を駆け巡る。
「ほんとうは、いやじゃないんだよね?」
「そうよ・・・ああっ! どうして・・・こんなに感じるなんて・・・」
宏美は絶頂寸前だった。
「あうぅぅぅっ!!!」
隼人がクリトリスを口にふくんだとき最初の絶頂がやってきた。
「いやっ! いやぁっ!」
痙攣しながら宏美が叫ぶ。
隼人は宏美がやったように舌先でクリトリスを転がしていた。
「あうっ! こわれ・・・ちゃう・・・あぁぁぁぁっ!!」
連続してやってくるオーガズムに意識が飛びそうだった。
隼人もさっきの経験から宏美が深いよろこびを感じていることを理解していた。
「ああっ! またよ! いく・・・いくぅっ!!!」
目の前が真っ白になっていく。下半身が蕩けていくようだった。
痙攣が止まらない。
隼人の唇が離れた。それでも余韻で動けない。
なにかで蜜壺が満たされた。鳥肌が立つときのような、それでいて熱い感覚が全身を支配した。
「ああっ・・・なに・・・気持ちいい・・・」
宏美は目を開いて隼人の方を見る。
「ああっ! だめっ! 隼人君・・・ああっ!」
隼人が屹立を挿入していた。ちょうどベッドの高さが隼人の腰の位置だった。
「だって、せんせい教えてくれたよ。おちんちんを入れると気持ちよくなるって」
「あああっ!」
望んでいたことだったが同時に罪深さを感じて宏美の心はざわめく。
「うわっ、こうすると気持ちいいや」
本能的に隼人は挿送を開始していた。
「ああっ、だめぇ! ああんっ!」
もう隼人は否定の言葉に動じない。それに声を聞けば宏美がよろこんでいるのがわかる。
「こっちもさわってあげる」
そう言うと隼人は親指でクリトリスを愛撫しはじめる。
「はうっ! あぁぁぁぁっ!!!」
恐ろしいほどの快感だった。隼人が悪魔に見える。そう、感覚が異常なのだ。まるで隼人の屹立が超自然的な力を発しているようだった。
「あうぅぅぅぅっ!!!」
これまでにないくらいの波がやってきて全身が硬直した。
遠のいていく意識の中で宏美は身体を震わせている隼人を見た。
5
けだるい、でも満たされた温かさの中で宏美は目を覚ました。
気がつけば隼人が宏美の腕に抱きついて眠っていた。
股間に残る痺れたような感覚に、あれが現実の出来事だったことを知る。
とんでもないことをしてしまった。そう思っても後悔より喜びを感じていた。
隼人は神の子なのだと思うことにした。
そうでなければ納得ができない。
宏美は隼人の最初のしもべとなった。
6
「隼人くん!」
「あっ、美菜ちゃん・・・なに?」
「こっち」
「えっ?」
「こっち来て」
夏休みに入ったある日。公園で遊んでいた隼人に美菜が声をかけた。
美菜は隼人の腕をつかんでズンズンと歩く。
「だめだよ。せんせいに怒られちゃうよ」
着いたのは用地園だった。
「だいじょうぶ。だれもいないから入って」
美菜は壊れた金網をめくった。
「う、うん」
美菜の声には有無を言わさない決意のようなものが感じられて隼人は言うとおりにした。
「こっち」
鍵のない小屋の扉を開ける。体育用品の倉庫だ。運動会に使う大きな白玉や紅玉が目に入る。
「あっ!」
隼人が驚きの声を上げる。
美菜が服を脱ぎはじめていた。
「美菜・・・ちゃん・・・」
「ずっと待ってたの。お医者さんごっこしたくて」
「えっ・・・?」
「ここなら、だれにも見えないからだいじょうぶ。隼人くんに女の子と男の子のちがいを教えてあげたいの」
そう言った美菜は生まれたままの姿になっていた。
「だ・・・め・・・だよ・・・」
「見て!」
躊躇する隼人を尻目に美菜はマットレスに横になった。
「美菜ちゃん・・・」
「どうして? 見てくれないの?」
美菜が涙ぐむ。
「だって・・・」
「わたしは隼人くんに見て欲しいの。どうしても・・・どうしても・・・隼人くん・・・わたしのこときらいなの?」
「好き・・・だけど・・・」
「だったら見て。おねがい」
「わかった」
美菜はかわいくてクラスの人気者だ。その子に「見て欲しい」と言われれば悪い気はしない。
「ほら、女の子にはおちんちんがなくて、こうなってるの」
美菜が脚を開く。
「ほんとだ・・・すごいね・・・」
宏美とのことは秘密だ。知っているなんて口が裂けても言えない。それは宏美との別れを意味していた。
「ほら」
美菜は両手で秘肉を開いた。
最初、宏美のものとはまるで違うと感じたのはヘアーだけで、小さいけど、ほぼ造作は同じなんだと思った。しかし触りたいとかいう欲望は起きない。あまりにも幼すぎて、その気になれないのだ。
ふと、あの夜のことを思い出す。隣に寝ている母親が自分を慰めていた。
「美菜ちゃん」
「なに?」
「僕に見られてるとうれしいの?」
「う、うん・・・」
急に恥ずかしそうな顔をする美菜。
「だったら、おねがいがあるんだ」
「なに?」
「美菜ちゃんが気持ちいいとこ、ぼくに見せて」
「えっ?」
「お母さんがやってたんだ。ぼくが寝てると思って」
「どうすればいいの?」
「指をこうして」
隼人は中指を立ててみせる。
「うん」
「で、おしっこが出るとこわかる?」
「うん」
「その、ちょっと上をこうやってこすってみて」
隼人は宏美に教わった円を描くようにクリトリスのまわりを撫でる方法を自分でやって見せた。
「こう?」
美菜が言うとおりにする。
「うん、そう。気持ちよくない?」
「わかんない・・・あっ・・・ここ・・・なんかヘン・・・」
美菜がクリトリスを探り当てた。
「ヘンだよ・・・ヘン・・・」
美菜の顔がどんどん赤くなっていく。
「うっ・・・うんっ!」
もう言葉にならない。
「どうしよう・・・とまらない・・・」
なにかを求めるように隼人を見つめる美菜。その指は動き続けている。
「気持ちいい?」
「うん・・・すごく・・・」
美菜を見ていたら隼人は宏美の言葉を思い出していた。隼人の手のひらには特別な力があるというのだ。触られただけで感度が上がってしまうらしい。
「美菜ちゃん・・・もっと見せて・・・」
隼人は美菜の膝を持って脚をもっと大きく開いた。
「やんっ! ああっ!」
思った通りだった。美菜は全身を朱に染めてオーガズムを迎えていた。冷房などない倉庫の中で汗びっしょりになって弛緩してしまう。
「美菜ちゃん、ありがと」
隼人はニッコリと微笑む。
「隼人・・・くん・・・」
「なに?」
「だれにも言わないで・・・」
「えっ?」
「言っちゃヤだからね」
「うん。ヒミツにするよ。また見せてね。ぼく行かなくっちゃ」
美菜を見ていたら宏美に会いたくなった。
隼人は裸の美菜を残して体育倉庫を出て行った。
7
隼人、笑学5年の夏。宏美との蜜月は続いていた。身体は大きくなり、あそこも宏美がムキムキケアと称して手入れをしていたので、皮が剥けて大人顔負けの偉容を誇っている。
美菜との関係も相変わらずだ。最近は第二次性徴がはじまり乳首がふくらみ、うっすらとヘアーも生えてきた。それを見るのは楽しみだったが、隼人は、あのとき以上のことはしていない。オナニーを鑑賞するだけだ。宏美のように扱ってはいけないと本能が告げていた。
なぜか、隼人はこの二人以外に力を使うことをしなかった。
いつものように隼人は宏美の身体を楽しんでいた。宏美は隼人との逢い引きを楽しむため広めのマンションに越していた。あのときの声が外に漏れないよう隣接する部屋がない最上階の角部屋を選んだ。二人の関係は世間に許されるものではないからだ。
この日、大きな変化が訪れた。宏美を組み敷いて奥深くまで挿入して蜜壺の感触と悶える宏美の姿態を楽しんでいると陰嚢の奥に膨れ上がるような衝動が生じたのだ。
「せ、先生!」
宏美を抱きしめて隼人が叫ぶ。
「来て! 隼人君・・・ああっ! すごい!」
蜜壺の中で限界まで膨れ上がる屹立に宏美はそう答えた。
「うわっ! あああっ!!!」
下半身が爆発したような感覚に隼人が叫ぶ。
屹立の芯を熱い奔流が通り過ぎていった。
「いやぁぁぁっ!!!」
尋常ではない熱さを感じて宏美も叫んだ。その熱さは激しいオーガズムを誘発して宏美は硬直する。
まるで魂が屹立の先端からほとばしっていくような快感に隼人は震えた。そして力が入らなくなり宏美に覆い被さったまま弛緩してしまう。
「あ・・・隼人君・・・もしかして・・・」
余韻でまだヒクヒクと痙攣しながら宏美が切れ切れに言う。
「先生・・・」
隼人はまだ宏美のことを先生と呼んでいる。深い意味はないが名前を呼び捨てにできないのだ。
「隼人君・・・もしかして・・・出ちゃった?」
「えっ?」
「すごかった・・・あんなの初めて・・・」
「僕も・・・」
「ちょっと」
宏美が身を起こす。
「やっぱり・・・」
宏美は股間から溢れた汁を指ですくい匂いを嗅いで言った。
「なに?」
「隼人君。あなた、大人になったのよ」
「ええっ?」
「ほら、これがあなたの精液。わたしたち、どうなっちゃうのかしら?」
「どういうこと?」
「妊娠してしまったらって考えると怖いの。でも、あなたの子なら生みたい」
「それって・・・僕と結婚するってこと?」
「無理よ。法律で男は18にならないと結婚できないの。それに、私たちの関係は許されるものじゃない・・・」
宏美の瞳から涙がひとしずくこぼれた。
「そんな・・・僕、宏美先生のこと好きなんだ・・・」
「うれしい・・・でも年が違いすぎる・・・考えて。あなたが18になったとき私はいくつ? あなたは神の子、私より素晴らしい女性に出会えるわ」
「宏美先生より素晴らしい女性なんていないよ!」
「あなたの精を受けたとき、私には声が聞こえたの」
「えっ?」
「ずっと・・・隼人君とこういう関係になってから・・・あなたを神の子だと思ってた。それが・・・本当だってわかったの・・・」
隼人には窓からの逆光で浮かび上がる宏美の裸体の方が女神に見えた。
その瞬間、衝撃があって部屋の温度が下がった。鳥肌が立つ。
「よく聞いて。いつか、あなたは旅に出る。そう遠くない将来。それがあなたの運命。あなたを必要として待っている人がいるの。旅に出るのはそのためよ。でも、その前に修行が必要」
「修行?」
「そう。あなたはたくさんの女性を知らなければならないの」
そう言う宏美の目は焦点が合っていなかった。
「わかっているでしょ? あなたには特別の力があるって」
「うん・・・」
「それを鍛えるために、たくさんの女性と交わらなきゃいけないの」
「そんな・・・僕は先生だけで・・・」
「ほんと? 私以外の女性に手を出したことはない?」
「あ・・・」
「そうでしょ。これからは力を解放しなさい」
宏美には美菜とのことを話していた。
「でも先生が・・・先生に・・・」
「私のことは気にしないでいいの。だって、私はあなたの初めての女性なんだもん。私はあなたの永遠の巫女になれた。それだけで幸せ」
そう言って宏美はベッドの上に倒れた。
「先生! 宏美先生!」
身体を揺すっても宏美は目を覚まさない。
隼人は途方に暮れて、いつまでも宏美の傍らに座っていた。
8
気がつくと隼人は自転車に乗って自宅の近くにある虚空蔵さんに来ていた。
幼いころは母親に散歩に連れて行ってもらった場所だ。
なぜ宏美を置いてこんなところに来てしまったんだろう?
宙に浮いたようで現実感がない。夢を見ているんじゃないかと思いながら鳥居をくぐる。
本殿の裏に洞窟が見える。こんなものがあったのだろうかと思いながら隼人は吸い込まれるように中へ入っていった。
「来たな。『サヒ』の気を受けし者よ」
太い声が洞窟全体に響いた。
「だ・・・だれ・・・?」
隼人はうろたえる。
「儂か? 儂は精霊」
「せいれい?」
「そうだ。お前は運命に導かれてここへ来た。だから儂も蘇った」
不思議と恐怖は感じない。
「お前の母親は、お前を妊っているときに『サヒ』の気を受けた。だから、お前は力を得た」
「ぼ、僕のこと知ってるの?」
「うむ。今日、精通を迎えたな」
「せいつうって・・・」
「女と交わり初めて精を出したであろう?」
「はい・・・」
「それが精通じゃ。お前は資格を得た」
「資格って・・・わからないよ・・・」
「お前がまだ母の胎内にいるとき、母はここで『サヒ』と交わり、お前は運命の子になった。お前は修行ののち、『サヒ』の眷属として働くことになる」
「『サヒ』ってなんですか?」
「いにしえよりの一族『サイ』の長じゃ。お前が得た力は『サイ』の一部分にすぎないが、『ミ』や『ム』の胤としての役割も果たさねばならん」
「よけい、わからなくなっちゃった」
「よい。お前は心の赴くままに女を抱けばよいのじゃ。いずれ、わかるときがくる」
「それって・・・宏美先生みたいにするってこと?」
「そうじゃ」
「子供を作るの?」
「いや、お前は『サヒ』の気を受けているから一人前になるまで女を孕ませることができない。それに力を使った女は一晩経てばお前に抱かれたことを忘れてしまう。好意だけを残してな」
「じゃあ、先生も僕のことを・・・」
目を覚まさない宏美が心配になった。
「うむ、巫女になった女のことだな?」
「そう・・・先生は倒れる前に永遠の巫女って言ってた・・・」
「巫女は特別じゃ。お前を目覚めさせ、お前を庇護する永遠の女じゃ」
「なら・・・」
「うむ。巫女はお前の魂の故郷でもある。お前が一人前になるまで浄化してくれるであろう」
「じゃあ、先生とは一緒にいられるんだね?」
「そうじゃ。しかし、そのためには多くの女を抱かねばならん。そうしないと巫女は命を失う」
「ええっ!」
「わかったら行け。もう二度と会うことはないだろう。覚えておくがよい。お前は世俗を超えた身じゃ。くれぐれも、くだらぬ常識などに囚われぬよう注意することじゃ。さらば!」
気配が消えて潮騒の音が聞こえてきた。
隼人は現実に戻った。
エピローグ
洞窟を出るとお参りに来た女と出会った。パン屋によく来る客だった。
「こんにちは」
挨拶をすると驚いたように隼人を見る。
「あら、パン屋さんの・・・こんなところで・・・」
女は会釈しながら言った。
「ええ。ちょっと神社に用があって」
隼人はニッコリと微笑む。
「そうですか。誰もいないと思っていたからビックリしちゃった」
そう言う女は二十歳を過ぎたくらいだろうか。花柄のワンピースに身を包み、長い黒髪に麦わら帽をかぶっていた。よく見ればかなりの美人だ。
「えっと・・・お姉さんは、なにしに来たんですか?」
「ちょっとね・・・願い事があったの・・・」
「ここの神様は霊験あらたかですからね」
「そうなんだ・・・」
ふと女がさみしそうな顔をした。
「お姉さん、なんだか悲しそうだ」
「うん・・・彼氏に振られちゃったの・・・」
ここまで話して隼人はおかしいと思った。普通、顔を知っているくらいの子供に、そんなことを話すだろうか?
もしかしたら力が働いているのかもしれない。
そう思った隼人は試してみることにした。
「お姉さん。きっと願いはかないますよ。裏手にある洞窟がほんとうの本殿なんだ。案内してあげるよ」
「そうなの?」
「うん。こっち」
隼人は手招きして歩き出す。
女は、ちょっと迷った様子を見せたがついて来た。
隼人はドキドキした。友だちと釣りに行ったとき魚信を待つあの気分に似ていた。
「こっち、足元が悪いから気をつけて」
洞窟へ続く裏手の小径は岩だらけだ。
「そっか、そんなサンダルはいてちゃ危ないね。僕の手をとって」
隼人が差し出す手を女が握った。
「ほら」
隼人は思いを込めて女の目を見つめる。
女の表情が変わった。
「お姉さん」
「はい・・・」
答える声にも抑揚がない。
「こっちへ来て」
握った手を引くと黙ってついて来る。
力が働いたのだと思った。
「ここだよ。すてきでしょ?」
「はい・・・」
「お姉さんの名前は?」
「竹内・・・裕美・・・です・・・」
「ひろみさんなんだ」
「はい・・・余裕の裕に美しいって書きます・・・」
「僕は隼人。よろしくね」
縁があるらしい。隼人は最初の生贄としてふさわしい名前だと思った。
「はやと・・・さん・・・」
「うん。彼氏に振られちゃったんでしょ。僕が慰めてあげる。きっと一発で忘れられるよ」
「はい・・・」
「僕の目を見て」
「はい・・・」
「なにか感じる?」
「身体が・・・熱くなってきました・・・」
「だったら服を脱ぐといいよ。誰も来ないから安心して。それに、裕美さんの裸見たいな」
「わかりました」
裕美は帽子を脱ぎ傍らにある岩に置いた。そして手を背中へまわしワンピースのジッパーを下ろしはじめる。
パサリとワンピースが足元に落ちた。その下はワンピースによく似た花がレースであしらわれたハニーベージュのブラジャー、同じ色のペチコートを着ていた。
「脱いで、ぜんぶ。僕に見せて」
「はい」
裕美はペチコートを下ろして足踏みをするような仕草でワンピースと一緒に取り去る。そしてブラジャーのホックに手をかけた。
ふるんっ、という感じで豊かなバストが露わになる。
「すごい。おっぱい大きいね。すごくステキだ」
「ありがとう・・・ございます・・・」
暗い洞窟の中でもピンクがかった乳首の色は蠱惑的だった。
小さなリボンがついただけ、薄紫のシンプルなショーツは裕美によく似合っている。
「あと一枚だね。ついでにサンダルも脱いじゃいなよ」
「はい」
裕美は先にサンダルを脱ぐと、ちょっと屈んでお尻の方からショーツを脱いだ。燃えるように生えるヘアーは宏美より濃く縮れていた。
「きれいだね。こっちに来て、もっとよく見せて」
隼人はベッドのように上が平らな岩に座って言う。洞窟の入り口を背にしたのは裕美の姿がよく見えるようにと考えてのことだった。
「そう・・・後ろも見せて」
「はい・・・どうぞ・・・見てください・・・」
抑揚のなかった口調に変化が現れた。
宏美に比べて裕美はふくよかというかボリュームがあった。バストはグレープフルーツのようだし、ヒップもボールを二つ並べたように丸く突き出している。そのくせウエストはキュッと締まって艶めかしい。
「僕に見られていると、どんな感じ?」
自分の視線には力があるらしいことを隼人は感じていた。美菜などは見られているだけで喘ぎだしてしまうのだ。
「すごく・・・熱いの・・・あそこが・・・」
「あそこって?」
「あ・・・あの・・・オチョコ・・・です・・・」
それだけ言うと裕美は頬を朱に染めた。オチョコは女性器をさす方言だが若い世代は使わない。まだ恥じらいが残っているんだと隼人は思った。それが、かわいらしいとも。
「どんなふうに?」
「ジンジンして・・・たまらないの・・・」
すぐに抱いてしまうより、力がどの程度のものなのか確かめたかった。
「彼氏とはエッチしてたんでしょ?」
「はい」
「裕美さんは、こんなにステキなのに、どうして振られちゃったの?」
「彼は・・・仕事で・・・東京に行って・・・そこで新しい彼女ができたって」
「もったいないなぁ。そんな男忘れちゃいなよ。僕が気持ちよくしてあげるから。いいね?」
「はい・・・もう・・・欲しいんです・・・おねがい・・・」
「その前にして欲しいことがあるんだ」
「なんでしょう? 隼人さんの言うことならなんでも・・・」
裕美の声はどんどん甘さを含んだものになっていく。
「まずはオナニーを見せて欲しいんだ。したことあるよね?」
「そんな・・・恥ずかしいこと・・・」
「嫌なんだったら、もうお終いにしようか」
「待って・・・待ってください・・・」
隼人が立ち上がると裕美は泣き出しそうな声で言った。
「見たいん・・・ですね・・・?」
「うん」
「ここで・・・ですか・・・?」
「うん」
「立った・・・まま・・・?」
そこまでは考えていなかったが、それもおもしろそうだと思う。
「うん。まずは立ったままやって。見てるから」
「わか・・・り・・・ました・・・」
裕美は一瞬、天を仰ぐように上を向いて、やがて決心したように両手でバストを揉みはじめた。
「あっ・・・くっ・・・」
ため息のような喘ぎが漏れる。
「おっぱいが感じるんだ?」
「は・・・はい・・・ああっ・・・」
裕美は右手で乳首をつまむと軽くねじった。
太ももをこすり合わせるようにして身体をくねらせる。
「いつも、そうやっているの?」
「はい・・・でも・・・」
「でも?」
「横になって・・・ああっ・・・立ってするのは・・・ああんっ・・・」
「僕が見ていると、いつもより感じるでしょ?」
「どうして・・・わかるの? こんなの・・・はじめて・・・」
「まだまだ序の口だよ。しっかり見てるからね」
「ああっ! ど・・・どこまで・・・?」
「うん。一回いくまでかな。いくところが見たいんだ」
この若さで隼人は女の扱いや焦らし方を心得ていた。宏美の教育の賜だった。
「そんな・・・恥ずかしい・・・のに・・・」
裕美は隼人の言葉に刺激されてか手の動きが激しくなる。
「そろそろじゃない?」
「なに・・・が・・・ですか・・・?」
「下の方も触りたくなっちゃったでしょ? おちょこ」
「ああっ・・・言わないで・・・」
「触っていいよ。その代わり、よく見えるようにお尻の方から手を入れてね」
「いや・・・恥ずかしい・・・そんなふうに・・・したこと・・・」
「だめ。僕の言うことを聞くんだ」
「わか・・・りまし・・・た・・・ああんっ!」
裕美は少し前屈みになって隼人の言うとおりヒップの方へ手をまわした。指先が秘肉に触れたとき大きく喘いだ。
「いやぁっ! こんな・・・恥ずかしい・・・あああっ!」
そう言いながらも裕美は自らを慰め続けた。
クチュクチュと蜜と秘肉が音を奏でる。
「はんっ! あっ! あんっ!」
左手でバストを搾るように揉みながら裕美は絶頂を迎えた。痙攣するたびに豊かなバストが揺れる。
「ひどい・・・こんなにして・・・」
裕美は恨めしげな目で隼人を睨んだ。
「裕美さん、彼氏にオナニー見せたことある?」
「あ、ありません・・・」
「ほかの男にも?」
「ないです・・・」
「じゃあ、僕が初めての観客だね。すごく、うれしいよ。とってもきれいだった」
隼人は裕美の視線を微笑みで返す。
「どうして・・・ひどいことされたのに・・・また・・・」
「欲しくなっちゃったんだね?」
「は・・・い・・・」
裕美は返事をするとうつむいてしまった。
「オッケー、僕がたっぷりかわいがってあげる。そしたら彼氏のことなんか忘れちゃうよ。僕は服を脱ぐから、ここに横になって」
隼人はいままで座っていた岩を指さした。
「はい」
裕美は言われたとおりにして服を脱ぐ隼人を見つめていた。
「ええっ・・・うそ・・・」
パンツを脱いだ隼人を見て裕美は大きく目を見開いた。
少年の顔とはあまりにもアンバランスな屹立。大きいというのではなく、禍々しささえ感じるオーラを放っている。
「いくよ」
全裸になった隼人は裕美に微笑む。
その顔を見て裕美は目眩を感じていた。
隼人は音もなく岩の上に乗り、横になった裕美にキスをした。
「んっ! んんんっ!」
早業だった。言葉を発する暇もなく唇とふさがれた。舌が絡められ、手のひらがバストを彷徨う。裕美は身をくねらせながら悶えるしかなかった。
隼人の左腕が枕のように首の後ろにまわされ引き寄せられる。口の中では隼人の舌がうごめき官能をそそる。バストを揉んでいた手が徐々に位置を下げて秘肉へと到達した。
「んぐっ! ううっ!」
裕美の身体が跳ねる。
容赦ない隼人の責めを裕美は腰を浮かせて受け入れている。
蜜壺からクリトリスまでを的確に行き交う指先が裕美を夢中にさせる。
隼人の唇がバストへ移動し、乳首を舌先で転がされたとき、さっきとは比べものにならないオーガズムがやって来た。
「いやぁぁぁぁっ!!!」
絶叫が洞窟にこだまする。
それでも隼人は愛撫を止めない。
波が続けざまにやって来る。
「だめぇっ!! もう! だめぇぇぇっ!!!」
絶叫しながら裕美は激しく痙攣した。
「これからだよ」
隼人が脚の間に割って入る。
「はうぅぅぅぅぅぅっ!!!」
いきなり根本まで挿入されて裕美はあらん限りの声を上げる。
「ああっ! あんっ! あんっ!」
挿送がはじまる。
「裕美さんは柔らかくてあったかくて最高だよ」
隼人が耳に唇を触れさせながらささやく。
「はぁんっ!」
もう裕美は言葉を出せる状態じゃなかった。
「すごく気持ちいいよ。裕美さんももっと感じて」
隼人はGスポットに狙いを定めてカリの部分でこすり上げる。宏美に習ったテクニックだ。
「やぁっ! あ・・・くぅっ!!」
「いく」と言いたかったのが隼人にはわかった。
じっさい裕美は絶頂に持ち上げられたまま降りられない状態だった。
身体全体が溶けていくように感じていた。
挿送が続き、このまま死んでしまうのではないかと思えるほどの快感だった。
そして最後のときがやって来た。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
裕美は息が続く限り叫んだ。
熱い奔流が身体の中を駆け巡っていた。
そして意識を失ってしまう。
「ふぅ~・・・」
二三度身体を震わせた隼人は裕美から離れて、その弛緩した肢体を見下ろす。
どこかで精霊がニヤリと笑った気がした。
このときから修行という名の狩りの日々がはじまった。
< 終 >