とある王国の悲劇 剣姫編

剣姫編

 とある国での出来事である。
 辺境から流れてきた戦士が、突如として城に攻め込んだ。
 単独だったにも関わらず多くの兵を切り伏せ、王まで少しの所まで迫った。
 親衛隊の決死の防御により、辛くも王は守りきった。
 戦士も深手を負い逃走した。
 王は国の威厳と自らの安全の為、討伐を命じた。
 すぐさま討伐隊が組織され、戦士を追って出発した。
 
 これが、更なる悲劇を呼ぶとは知らずに……。

 絶叫が廃墟と化した屋敷に響き渡った。
 それは、この国を恐怖のどん底に叩き落した戦士の断末魔だった。
「皆の恨み、思い知るがいい」
 身の毛もよだつ叫びをもたらした剣士が言い放つ。
 剣を引き抜き、一振りして血を払う。
 その姿は神々しくすらあった。
 怒りに燃えた瞳をしているが、顔立ちはまだ幼さが見える。
 おそらく少女と言っても過言ではない年齢だろう。
 鎧に身を包んでさえ尚華奢な体格は、とても剣士には見えない。
 しかし、戦士を倒したのは紛れもなく、この女剣士だった。
「姫様!」
 彼女が戦っていた部屋に屈強な戦士達が走りこんできた。
「姫様! 御無事ですか!」
 剣と盾を構え辺りを見回し、そこに立つ女剣士と倒れた男を見て安堵した。
「やりましたな。御見事です」
「私1人の力では無い。皆の働きがあってこそだ」
 姫と呼ばれた剣士は表情1つ変えずに言った。
 事実、ここに辿り着くまで多くの犠牲を払っている。
「そんな事より負傷者の手当てを。他の者は屋敷をくまなく探索し、仲間がいないか確認せよ」
「はっ!」
 戦士達が飛び出して行き、姫は1人になった。
 無用心とも思えるが、姫の剣の技は皆知っていた。
 この討伐隊で最も強いのは彼女だった。
 姫は改めて倒れている男を見た。
 立派な体格をしている。確か名の知れた戦士のはずだ。
 そんな男が突然大勢の命を奪い、王を狙った。
 何故そんな非道な行いをしたのか?
 姫はそれが不思議でならなかった。
 そんな想いに捕らわれていたからか、天井から伸びる細い触手のようなモノに気付かなかった。

「っひぃ!」
 首筋に何かが刺さったような軽い感覚が走り、思わず悲鳴を上げてしまった。
 事が終わり、どこかで油断があったのだろうか?
 少女のような声を出してしまった事に、姫は苦笑した。
 ……が。
 ドクンッ!
「これは……ぅうっ……なんだ……」
 まるで体が縛られたような衝撃に、姫の体がビクッ、ビクッと震える。
 剣が手から滑り落ち、金属音が響く。
「いったい……なにが……」
 あまりに強い感覚だった為、姫はそれが何なのかすぐには理解できなかった。
 体を焼くような熱さ、痺れるような衝撃に翻弄されるばかりだった。
「まさか……これは……!?」
 そう、それは快感だった。
 姫とて年頃の娘である。恋に憧れ、胸を焦がした事もある。
 自慰も少しは経験があった。
 だが、この快感はそんなものの比ではなかった。
 体の中で何かが蠢き、今まで知らなかった感覚が生まれる。
 甘く蕩ける快感の波。
 その波が姫の中にどんどん広がっていく。
「ぁあ……あぁっぁぁ……」
 崩れ落ちそうな体を必死にこらえ、熱い疼きに耐えようとした。
「こん……なっこ……っ! とぉでえぇ……」
 精神を集中し、全身に力を込める。
 王族として、剣士としての誇りを思い出す。
 そうする事で、何とか流されそうになるのを堪えていた。
 だが、快感は治まるどころかどんどん増していく。
「……ほぅ、そこまで耐えるとは。流石この体を倒すだけの事はある」
「なぁ……ぁぁっにぃ?」
 声のした方を見ると、先ほど倒したはずの男が起き上がっていた。
「バァ……カな! 死……んだ……はぁずぅぅ……だぁぁ!」
「死にましたよ、体はね。だが、わたしは死んでいない」
「なぁ……んだぁ……とぉ?」
 見ると男の体から触手のようなモノが何本も生えている。
 触手によって支えられ、死体がズルズルと近付いていく。
「くっ、くぅるなっ! ぁあ……あぁ……くる……なぁあぁぁ!」
 おぞましい恐怖も、耐え難い快感に押し流されてしまう。
「んっ、あはぁ、ぅああぁあぁぁ!」
「苦しそうですね。手助けをしてあげましょうか」
 そう言うと男から触手が姫の体に殺到した。
「ひぃっ!」
 触手は姫に絡みつくと、器用に服と鎧を脱がした。
 おぞましい触手は姫を全裸にすると拘束し、その美しい肌を這い回った。
 胸、頬、腰、腹、脇、腕、髪、足、耳、背、肩、尻……。
 触手はその凶暴な外観に似合わない、優しげな動きで姫を愛撫した。
「やぁぁっめ……ろおぉおぉぉ! さ……わぁ……ぁるぅぅうっなぁぁ! いぃいやぁっぁぁああ!」
 最初は嫌悪感があったが、それもすぐに甘い快感に変わった。 
 全身を這い回る感触に腰がひとりでにくねり、声が漏れる。
 押し寄せる信じられない快感に、我を忘れそうになる。
「こぉんなっ! ことでぇぇ! ま……けぇ……るぅ……わけぇにぃぃぃ……わぁあ!」
 心が快楽に服従しそうになる。
 抗おうとも虜になっていく。
「う……うそだ! こ……こん……あぁ……なっ……あ、あぁぁ」
 そんな姫の抵抗を楽しむように男がすぐ傍まで這い寄ってきた。
「まだ耐えますか。すばらしい。では、これはどうですか?」
 男から1本の触手が伸び、姫の首筋に細い針を刺し何かを注射した。
「ああぁぁあああァアアァァッぁぁァァアァアぁぁぁぁあっァアアァァあっァァァあ」
 その瞬間、姫の中で何かが切り替わった。
「うぁごいてぇぇ……も……もっとぉぉ……もぉっ……とぉぉ!」
 表情が淫蕩に変わり、はしたない言葉と喘ぎが漏れる。
 もう抗えなかった。いや、抗おうとも思わなくなった。
 体を襲う感触が堪らなく心地良く、愛しく思えた。
 それを見た男が更ににじり寄り、股間から一際大きな触手を伸ばした。
「ぁあぁ……ちょ……っうだぁぁ……ぃいいぃ……」
 姫は自ら足を大きく開き、腰を揺らめかす。
 秘部はすでに潤いきり、求めるように口を開いている。
「はぁやぁ……っくぅ! じ……ぃらさっ……ぁなぁい……いぃ! でぇぇ!」 
 狂おしいまでにそれを求めた。
 そんな姫を嬲るかのように、触手はゆっくりと秘部へと入り込んだ。
「はぁぁい……っる! はぁい……って……っく……るぅうぅぅ……!」
 姫は淫らな表情で体をびくん、と仰け反らせた。
 自らの膣内をゆっくり押し入ってくる触手の感覚。
 それが頭が沸騰しそうな程の快感を生み出していた。
「ぃ……ぃいいくぅぅっ! ぃいぃぃっ……っちゃあぁぁうぅぅぅっ!」
 虚ろなを泳がせ、快感に揺さぶられるかのように頭を激しく振る。  
 その拍子に結い上げてあった髪が解け、広がる。
 頭が振られるに合わせ、美しい髪も淫らに舞い踊る。
「ぃ……いいぃ……いぃいのぉぉ! すぅぅ……ってぇ……きぃ!」
 最も奥まで押し入った触手は、今度は入り口付近まで戻り、また突き込んだ。
「ぁああぁぁ……ぁ! あぁああぁ……ァァ! ぁアアァァアァァアアァアアァ!」
 ゆっくりとした動きだった触手が徐々に速度を増していく。
 それに比例するかのように姫の快感も増していった。
 姫は圧倒され、快楽に啜り泣いていた。
 姫を内側から押し広げるように、触手の圧迫感が大きくなる。
「なぁぁっ! かぁ……でぇ……ぇおぉ! おきぃぃ……くぅぅぅ!」
 それはどんどん大きくなり、姫のお腹が膨らんでいく。
 まるで、それは妊婦のようだった。
「すうぅぅ……ってきぃぃぃい! さぁぁいぃ……っこぉぉぉ!」
 あまりに強烈な快感を与えられ続けた姫は、もはや自分が誰かさえわからなくなっていた。
 ただ、目の前にいる愛しい人に抱かれる女の悦びに浸っていた。
 いや、それは雌の本能か。 
「ああぁ……ぁっ! し……あぁ……ぁわ……せぇ……」
「もういいでしょう」
 ひくひくと体を震わせ、喘ぎ声を漏らす姫を見て、男が満足そうに言う。
「仕上げといきますか」
 そう言うと、更に大きく触手が膨らみ、激しく動き出す。
「あぁっが! ひぃぃ! おあぉぉっああぁぁぁああォオアォオォああアアアァァッァア!」
 今までの快感に引き出された喘ぎとはとは違う、獣の如き叫びが上がる。
 目を見開き、悲鳴を上げるかのように口を大きく開き、叫ぶ。 
 姫は感じているのは、人間が許容できる快感を遥かに超えたものだった。
 まるで感じている者を壊そうとするような、暴力的な快感。
 全身ががくがくと有り得ない動きをする。
 姫が限界に達しようとした瞬間、触手が姫の中に大量の液体を吐き出した。
 熱い液体は姫の子宮だけでは収まりきらず、逆流して体外に溢れ出す。
「あぁあっ! ぁぁああぁ! しぬぅっ! しっんっじゃあぁ! うぅうっ!」
 それは今までの快感を、さらに凌駕する快感だった。
 体が粉々になったように感じ、精神もまたそうだった。
 姫は意識を失い、体から一切の力が抜ける。
 もはや凛とした雰囲気は微塵も無い。
 顔は淫らに呆け、だらしなく開いた口からは涎が垂れている。
「そろそろ、わたしもお前になろう……」
 そう言うと男の口が冗談のように大きく開いた。
 そこから何か黝い、液体とも固体とも見えるモノが蠢いている。
 男が開いた口を姫の口に近付ける。
「ふぇ?」
 姫が意識を取り戻しかけたが、すでに手遅れだった。
 触手が器用に姫の口を大きく開く。
 男の口から溢れ出したモノが、姫の口へ入り込んでいく。
 唇、舌、口内、喉、その奥へと。
 まるで感触を楽しむかのようにゆっくりと。
「あぁ……うぅあぁうぇぇあぁ…が……ごぁ…ぁぁあ……えぉ……」
 本能的に抵抗しようとするが、触手に拘束されてしまう。
 姫の喉が嘘の様に大きく動く。
 モノが姫に入り込む度に、姫の体がびくりと揺れる。

 実にゆっくりと時間をかけて、モノは姫の中に入り終わる。
 すると男の体と触手が砂になったかのように崩れ落ちた。
 仰向けに倒れた状態の姫の体が激しく痙攣する。
 四肢もがくがくと痙攣を繰り返し、顔は苦悶に歪んでいた。
 しばらくして一際大きく痙攣すると、落ち着いたかのように静かになった。

 姫がゆっくり起き上がった。
 無表情で周りを見渡す。
 男の服だったボロ布で体を拭くと、脱がされたままの服と鎧を身に着けた。
 落ちている剣を拾い上げ、軽く一振りする。
 そこに立っているのは紛れも無い、凛とした剣姫の姿だった。
「姫様!」
 戦士の1人が報告に帰ってきた。
「怪我人の搬出、及び探索は終了しました! もはや誰も居りません」
「ご苦労だった」
 姫は微笑しながら答える。
「長居は無用だ。準備が出来次第帰還する。皆にもそう伝えよ」
「はっ!」
 戦士は勢い良く飛び出していく。

 姫はそれを見送り、ニヤリ、と笑った。

< つづく >

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