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今日も学校は楽しかった。
あの日から太一の生活は一変した。
いや、表立っては変化は無い。
今やすっかり太一の愛奴隷となった3人には、人前では以前と同じ態度を取らせている。
急な変化は周りに変に思われるからだ。
目立つ事を極力避けるいじめられっ子気質が、涙ぐましくもここでも発揮されていた。
勿論全てを変えてしまうと言う選択肢もあったが、引っ込み思案の太一にはそこまでの度胸は無かった。
また、自分の力にそこまでの自信が無かったのだろう。
試してみて上手くいかなかった場合や、その結果今の状況を失ってしまう事が怖かった。
取りあえず、誰からも必要とされなかった自分を愛してくれる人間が出来た事で、太一の望みは一応叶った。
「……気持ちよくないですか?」
その声に太一は現実に引き戻された。
今は昼休みで、ここは空き教室だ。
星野が咥えていたチンポを離し、上目遣いに敬語で尋ねてくる。
星野は太一と自分達しかいない時は、太一の事を御主人様と呼び、敬語で話す様になっていた。
太一は照れ臭くて正直やめて欲しかったが、本人のやりたい様にさせていた。
太一を見上げた星野の顔は不安に満ちていた。
今までなら在り得なかった星野の弱気な目に、微笑みながら太一は優しく言った。
「大丈夫だよ。ちょっと思い出してただけ」
「思い出すって、何をですか?」
少し安心した表情で星野が尋ねる。
「星野さんに虐められた事」
冗談めかして太一が言う。
「……本当に済みませんでした……」
星野はきつく唇を噛み締めた。
余程力を込めたのだろう、唇から血が滲み出す。
それを見た太一が慌てて止めた。
「気にしなくていいよ。もう済んだ事だしね」
太一が笑顔で言い、滲んだ血を拭う。
「……ありがとうございます」
つられて星野もやや笑顔になった。
「ほら、続けて。昼休みが終わっちゃうよ。外の2人もお待ちかねだしね」
「はいっ!」
星野は再びチンポを咥え、嬉しそうにしゃぶりだした。
しかし、外の2人に譲る気は無いのか、じっくりねっとりとしたフェラだった。
「気持ち良いけど……これじゃあ時間いっぱい……かかりそうだよ……」
快感の中で太一が言うと、星野は上目遣いで悪戯っぽい表情を向けた。
チンポから口を離すと、人差し指を口の前に立てて、静かに立ち上がった。
星野の意図を悟った太一は、まぁいいか、と気持ち良い快感に身を任せた。
音を立てない様に下着を下ろすと、すでにずぶ濡れのマンコを指で開きながら太一に跨る。
そのまま太一にキスすると、一気に奥までチンポを咥え込んだ。
「っ――――――――――――――――!」
お互い深くキスをして、快感のあまり上げそうになる声を押し殺す。
暫くして星野が腰を動かし始めた。
ゆっくりと、激しく、深く、浅く。
その腰使いは巧みで、太一の気持ち良いポイントを的確に突いてくる。
太一はすぐにイキそうになったが、そこは男の意地もある。
反撃とばかり腰を動かし、星野を突き上げた。
「ひぃっ!」
塞いだ口から声が漏れるが、何とか我慢する。
その星野の我慢してる表情が堪らなくて、太一は突き上げ続ける。
星野はきつく目を閉じ、深くキスをして必死で喘ぎ声を殺す。
それがかえって倒錯した快感を生み、太一のチンポを締め上げた。
音を立てない様に、だが激しく腰を振り続ける2人だが、暫くすると星野はもう限界だった。
もうダメだ、と目を開けると、同じく目を開けた太一と目が合う。
2人は目で頷き合い、タイミングを合わせて最後に深く突き込むと、揃ってイッた。
熱い精液で子宮が満たされる悦びに、星野は更に立て続けにイッた。
イキ続けた。
あまりの快感に気が遠くなりそうだった。
それが治まると、2人は軽く笑い合い、優しくキスをした。
結局2人がイッたのは昼休み終了のチャイムギリギリだった。
外の2人は時間が無くなった事に、当然不満を口にしたが、「僕、遅漏なんだよね……」
と太一が済まなそうに言うと、渋々と言った様子で引き下がった。
自分を庇い、好きなようにさせてくれた太一に、星野は感謝と堪らない愛情を感じていた。
「ありがとう、私のご主人様」
2人に謝っている太一の背中に、そっと呟いた。
「へ~、桜井さん家ってお金持ちなんだね~」
初めて桜井が住んでいるマンションに行った太一は、その高級さや大きさに驚いた。
桜井の両親は仕事が忙しく海外勤務も多い為、この家には桜井が実質1人暮らし状態だった。
掃除や洗濯等は定期的に来るハウスキーパーがやってくれる。
その為ある程度は自由に使えた。
「そんな事ないですわ。太一さんも自由に使って下さいね」
桜井が媚びた笑みで言う。
その笑みは愛する人に自宅を見られる恥ずかしさや、自宅まで来てくれた嬉しさが混じっていた。
「じゃあ、早速シャワー借りようかな」
太一が笑いながら言うと、桜井は顔を真っ赤にした。
「もう、いやらしいですわ」
言いながら、太一を案内する。
浴室も驚くほど広かった。
「これなら全員入れそうだね」
「そうですわね。それも楽しそうですわ」
桜井が太一の服を脱がせながら言う。
その手付きはとても丁寧で、太一の服までも愛しているかの様だった。
その行為に太一は興奮してしまう。
「あら、もうこんなに……」
パンツを脱がすとすでに勃起したチンポを見て、桜井が愛しげな声を出す。
「少し待っていて下さいね」
軽くチンポにキスをして太一を先に浴室内に送り出すと、手早く衣服を脱ぎ去り桜井も入ってくる。
その見事なバランスの裸身と豊かな胸を見て、太一が堪らず抱き付いた。
「きゃっ」
急な事でバランスを崩し、2人揃って壁に寄りかかる形になった。
「そんな慌てないでも……」
桜井が嬉しそうな顔で言うと、太一もばつが悪そうな顔で答える。
「ごめんね、あんまり綺麗なんで、思わず飛びついちゃった」
その言葉に桜井の胸はキュンとなる。
「ありがとうございます。こんな身体で良かったら、じっくり味わって下さいね」
桜井は熱い吐息を吐きながら、太一に熱いキスをした。
太一も積極的に舌を絡ませる。
その行為に桜井は幸せを噛み締めていた。
「……もう、いいかな」
太一が済まなそうに言うと、桜井は嬉しそうに笑った。
愛しい人が自分の身体で我慢できないくらい興奮してくれている。
それは桜井を昂らせた。
「何時だって好きな時に入れていいんですよ」
桜井の秘部は準備万端だった。
だが何より、幸せに満ちた笑顔が太一を興奮させた。
「う、うん。入れるね」
「……はい」
桜井は頷いて、腰を突き出す。
その濡れたマンコに太一はゆっくりと、自分のチンポを突き入れていった。
「あぁっ!」
チンポが入ってくると、それだけで桜井は軽くイってしまう。
「す……てき……です……わ」
今まで言われた事の無い、自分を褒める言葉に更に太一は興奮する。
「……ありがと。もっと気持ち良くしてあげるね」
「はいっ!」
2人は幸せを感じながら、身体を重ねあった。
次第にペースが速くなり、2人に限界が来る。
「わ、私ぃ、もうっ!」
「うんっ! 出すよっ!」
「いいわっ! 来てぇぇぇっ!」
桜井の中で太一は放出した。
熱い液体が桜井の子宮と膣に、焼けるような快感をもたらした。
「あぁぁああ……」
ズルズルと2人が壁伝いに崩れ落ちる。
息も絶え絶えの2人だが、目が合うとどちらかとも無く笑みがこぼれた。
そして自然とキスをした。
「もう一回、いい?」
恐る恐ると言った様子で尋ねる太一に、桜井は柔らかい微笑で答える。
「ええ、何回でも、太一さんが満足するまで付き合いますわ」
2人の幸せな時間はまだまだ終わりそうに無かった。
「ここなら邪魔は入らないね~」
宮下が連れて来たのはプール用の女子シャワー室だった。
「水泳部とか来ちゃうんじゃ……」
太一が心配そうに言う。
「大丈夫~。今日は休みだし~、もし誰か来ても~、鍵しちゃえば平気だよ~」
間延びした口調で言う。
そんなもんかな、と疑問に思いつつも、宮下に手を引かれズンズン中へと連れて行かれる。
「さて~、お待ちかねだよ~」
宮下がさっさと制服を脱ぐと、その下からはスクール水着が現れた。
「み、宮下さん、ど、どうしてスク水!?」
太一がうろたえると、それを見た宮下がクスクス笑う。
「え~男子は~、皆好きなんでしょ~」
「ま、嫌いじゃないけどさ……」
太一は見慣れない格好にドキドキしてしまう。
「さて、と~」
宮下がコックを捻ると、シャワーから水が噴出した。
たちまち宮下が全身ずぶ濡れになる。
「ほら~、太一くんも脱いでおいでよ~」
濡れたスク水少女に誘惑されると、理性を失いかけた太一は制服を脱ぎ捨て突撃した。
「きゃっ! 慌てすぎだよ~」
字面とは裏腹に、その表情は嬉しそうだった。
太一は宮下を抱きしめると、暫く感触を確かめるようにジッとしていた。
宮下も太一に手を回し、幸せそうな顔で目を閉じていた。
が、すぐに下腹部に異物感を感じた。
「もう~、エッチ~」
宮下がニマニマした顔で言う。
「ご、ごめん。気持ち良かったから、つい……」
照れ臭そうな太一。
その様子にキュンとなった宮下は、自分の股間の水着をずらした。
「実は~、私も~」
言われて太一がそこを見ると、明らかに水で無いもので濡れていた。
「このシャワーに負けない量って――」
言いかけた太一の唇を、宮下の唇が塞ぐ。
そのままディープなキスをする。
暫くキスを続けた後、宮下が唇を離した。
「もうっ! 好きな人といるんだから~、これくらいは当たり前なの~」
そんな事を照れ臭さが混じった膨れっ面で、恥ずかしそうに言った。
その言葉だけで太一は幸福感に包まれ、同時に堪らなく勃起した。
「宮下さんっ!」
太一は宮下を抱き抱えると、水着をずらし有無を言わさず挿入した。
「きゃっ……ひぃあぁぁぁぃぃんっ!」
いきなりの事に驚いた宮下だが、すぐに敏感に反応した。
自分に欲情してくれたんだと思うと、宮下は堪らなく幸せだった。
宮下は他の2人に比べると、女性としての魅力で劣っていると考えていた。
桜井の様なバランスの取れた身体や豊かな胸、星野のモデルの様な体型にスラリと長い手足も無い。
ただのチビな幼児体型だった。
そのコンプレックスが、今回のスク水コスプレになったのだ。
スク水のお蔭かも知れないが、優しい太一がいきなり突き込んでくる程興奮している。
その事実が宮下を幸せと快感に酔わせていた。
「宮下さんのアソコ、熱くてドロドロだよ」
「もう~、ぁあっ! そんなぁぁぁああ……こと、いわないぃぃっ! でぇええぇぇんっ!」
恥ずかしかったが、言われた通り自分でも信じられないくらい濡れていた。
それは宮下の快感に繋がり、結果太一の快感にも繋がった。
太一は一心不乱の腰を振り、宮下もそれに応える様に乱れた。
「も、もう、出るっ!」
「出してっ! 中に~、出してぇぇえええぇ~!」
最後に激しく腰を打ち付けると、太一は宮下の中に放出した。
「あぁ……ああぁぁぁ……」
それは宮下の子宮を満たし、その感覚が宮下を幸福のまま気絶させた。
……どの位気を失っていただろうか。
宮下が目を覚ますと、ベンチに寝かされていた。
やけに寝心地がいい思ったら、太一に膝枕されていた。
「え、え~~!」
慌てて飛び起きようとしたが、太一に手で止められた。
「まだ寝てていいよ。僕の太もも、柔らかくて良い気持ちでしょ?」
冗談ぽく太一が言う。
確かに太ももも気持ち良いが、好きな人の膝枕は何とも言えない幸福感だった。
自分がする立場なら良かったな~、と思うが、宮下は好意に甘えた。
ふと気になって宮下は自分の身体を見ると、綺麗に洗われて大きなタオルが掛けられている。
「あ、ごめんね。汚しちゃったから、水着脱がせて洗っちゃった」
申し訳無さそうに言う太一に、顔を赤くした宮下が小さく答えた。
「あ、ありがと~」
そしてタオルで顔を覆った。
太一は悪い事したかな~、と思ったが、当然そうではない。
堪えきれない満面を笑みを、こんな近くで見られるのは恥ずかしかったのだ。
宮下はこんなに嬉しくて笑顔になった経験を、他に思い付かなかった。
「太一くん、大好きだよ~」
宮下はそっと呟いた。
ある日の放課後。
太一は珍しく1人で街中を帰宅していた。
太一の家は学校からやや離れていた為、知り合いに会う可能性が低かった。
その為殆どの場合、人目に付かなくなると3人の誰かが、又は3人とも一緒に居た。
久々の1人の帰宅路を歩きながら、太一は今までの事を思い出してニヤニヤしていた。
夢の様な幸せな日々だった。
このままずっと続く事を、太一は信じた事の無い神に祈っていた。
そんな時、ふと小さな喫茶店が目に入った。
最近オープンしたんだっけ、とぼんやり中を見ながら通り過ぎようとする。
と、中にいた店員に目が留まった。
美人だった。
大人の女性の顔に薄化粧。
どこかスーツの様な店の制服が似合っていた。
それが太一には新鮮に映った。
愛しい3人娘は女子高生、まだまだ子供と言っていい歳だ。
あの3人もいずれああなるのかな~、と妄想していた時――
『見ろ』
あの声が頭に響いた。
「何を……」
『望め』
「僕は……もう……」
『もっとだ』
「あ……ぁあ……」
『もっともっと望み、もっともっと見ろ』
「あぁあぁあああぁぁぁあぁああぁぁっ!」
太一は店を見ると、真っ直ぐに歩き出した。
その顔はさっきまでの幸せそうな笑顔では無い。
どこか邪な物を感じさせる笑みだった。
すぐに店に着き、扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた、それでいてよく澄んだ声が太一を出迎えた。
さほど広くない店内を案内され、奥のテーブル席に座った。
メニューを開いて見る振りをしながら、店員の女性を舐める様に見る。
――さぁ、どうしてやろうか。
太一が右目に力を込めようとした時だ。
「はぁいっ! 菊池君」
元気な声がかかった。
慌てて声の方を見ると、そこには見知った人物が立っていた。
「合席してもいい?」
言いながら答えも待たずに向かいに座った人物に、太一は震える声で問うた。
「……委員長……何でここに……」
「ここ、私のお気に入りなんだよね。菊池君もよく来るの?」
委員長は屈託なく語りかけた。
「い、いや……たまたま……僕は今日……初めてで……」
太一はしどろもどろで答える。
太一は動揺していた。
確か委員長の家は全然方角が違う筈だった。
では何故この店に来たのか?
お気に入り?
この店はオープンしたばかりだ。
どうにも辻褄が合わない気がする。
太一は釈然としない気持ちで委員長を見た。
「菊池君は何飲むの?」
聞かれても、飲食が目的で無かった太一には答えようが無かった。
慌ててメニューを眺めて選ぶ。
「か、カフェオレかな」
「へ~、美味しそうね。なら私も」
言うなり店員を呼び、カフェオレを2つ注文する。
目的だった筈の店員の事も目に入らず、太一は委員長を凝視する。
その視線に気付き、委員長がにっこりと微笑んだ。
その笑顔にドギマギしてしまい、太一は慌てた。
そこに邪な気配は消えていた。
「……うん、その方が菊池君らしいね」
「えっ?」
太一は聞き返した。
「さっきの菊池君、菊池君じゃないみたいな顔してたから」
太一はドキッとした。
「菊池君、最近ときどき良い顔する様になったよね。良い事でもあった?」
「え、ええ~と……」
正直に言えない事ばかりなので、太一は言葉に詰まる。
「……あの3人とも上手にヤってるみたいじゃない? 菊池君もなかなか肉食系ね……」
委員長が子悪魔的な笑みを浮かべる。
「し、知ってるの?」
太一は驚いた。
学校でも街中でも十分気を付けていた筈なのに。
「たまたま見ちゃってね。でも心配しないで。誰にも言うつもり無いから」
言葉の終わりにウィンクを決めながら、委員長が言い切る。
「でも、良かったじゃない。あの3人と上手くいってるなら、虐めも終わるでしょうし」
ホッとした様子で委員長は言う。
「でもだからって、破目を外し過ぎちゃダメだからね」
委員長らしい真面目な表情で、太一に釘を刺すのも忘れなかった。
「う、うん、気をつけるよ」
「よろしい」
委員長が偉ぶった態度で言うと、2人は笑いあった。
「……委員長も明るくなったよね」
思い出した様に太一が言った。
「そう?」
「そうだよ。前よりずっとよく笑うしね。以前の委員長なら僕達の事を知ったら、たぶん軽蔑しそうだったし……」
「そうかもね……」
委員長が一瞬遠い目をした。
「……私、変わったの」
そう言った委員長の顔は大人びて見えた。
「少し前だけどね、すごく辛い事があったんだ……」
「辛い事?」
「うん、死んじゃいそうなくらい、辛い事……」
その時の事を思い出しているのか、委員長の表情が曇る。
が、すぐに笑顔になった。
「でもね、何とかそれを乗り越えたら、世界がすっごく広がったんだ。ぱぁぁぁぁぁっ、とね」
その笑顔はあまりにも晴れやかで、太一は言葉も忘れ見惚れた。
「その時から全てが楽しくて、嬉しくて、美しく感じたの」
いったいどんな経験をしたんだろうか。
太一には想像もつかなかった。
「だから、それをずっと守って行きたいし、邪魔する者は許さない」
笑顔から一転、親の敵でも見る様な厳しい表情になる。
その迫力に太一は気圧された。
「……なんてね」
冗談だと言わんばかりに微笑む。
その時、注文していたカフェオレが届いた。
委員長は自分のカップを手に取って持ち上げた。
「ほら、乾杯しましょ」
茶目っ気のある笑みで言った。
太一も釣られてカップを持ち上げる。
「……でも、何に乾杯するの?」
太一が尤もな疑問を口にする。
「そうね……私達の明るい未来に……かな?」
委員長は少し照れながら言った。
「それじゃ、まるで僕らが結婚するみたいだよ」
太一も照れながら言う。
委員長にプロポーズとも取れる事を言われて、ドキドキしない男はいないだろう。
「……残念。私、コブ付きには興味無いの」
「僕も4人は相手出来ないしね」
2人は笑い合うと、カップを合わせた。
「今日は楽しかったわ」
カフェオレと会話を楽しんだ後、2人は揃って店を出た。
勘定は割り勘だった。
太一は全額払おうとしたのだが、ここは学生らしく、と言うよく分からない理由で割り勘にされたのだ。
「委員長も気を付けて帰ってね」
「ええ、また明日」
委員長が手を軽く振り、歩き出した。
その後姿を暫く見送ってから、太一も振り返り帰路に着こうとした。
「菊池君」
やや遠くから委員長の声が、太一を呼び止めた。
太一が振り返ると、委員長と目が合った。
「私の邪魔にならないでね」
その目は漆黒の闇に満ちていて、底知れない威圧感を放っていた。
太一が絶句し立ち尽くしていると、委員長は踵を返して歩き去る。
「委員長は僕の秘密を知っている……?」
そうとしか思えなかった。
それならば全ての辻褄が合う。
つまり委員長は……太一に警告しに来たのだ。
太一の背中に冷や汗が流れた。
去っていく委員長から、目が離せなかった。
委員長の姿が見えなくなると、呪縛が解けたかの様に体が動いた。
太一は縺れそうになる足を何とか動かし、自宅へと急いだ。
委員長が追ってくる気配は無い。
が、振り返るとそこに委員長が立っている気がして、怯える様に足を進める。
何よりあの目が、太一の頭から離れなかった。
一体彼女は何者なんだ。
考えても答えは出る筈無かった。
しかし、考えずにはいられない。
太一は委員長の言う邪魔になる気は無かった。
今の状況には満足している。
あの3人が居てくれさえすれば、他には何もいらなかった。
委員長も3人の事は見逃してくれるみたいだし、問題無い筈だった。
……気掛かりが有るとすれば……。
あの喫茶店で聞いた”声”だ。
あの”声”は、太一にもっと見ろと訴えた。
そして、委員長が現われなければ、きっとあの店員を襲っていただろう。
危ない所だった。
太一は委員長に感謝した。
――が。
『もっと見ろ』
再び声が頭に響いた。
「う……うぁぁぁぁっ!」
太一は激しい頭痛に襲われた。
『もっと望め。欲望を解き放て』
声が響く度に頭が割れる様に痛む。
「黙れっ! 僕はそんな事、望んでないっ!」
精一杯の力を振り絞り、何とか抵抗しようとする。
『もっと、もっとだ。望め。見ろ』
「いや……だ……ぼ……くは……」
声の圧力が高まり、次第に意識が薄れていく。
『抵抗は無意味だ』
声が急に人間味を帯びた。
『これを望んで見ているのは、お前自身なのだから』
声が嘲笑するかの様に響いた。
『自身の望みを見るがいい』
「はっ!」
太一は目が覚めた気分だった。
頭がすっきりした気がする。
ふと見ると、前からスーツ姿の女性が歩いてきた。
なかなかのスタイルだ。
太一の顔に、全く太一らしくないニンマリとした表情が浮かんだ。
「ちょっといい?」
太一が女性に話しかけた。
「はい?」
女性が反射的に太一を見ると、太一の右目と目が合った。
が、女性にはそれが右目だとは認識出来なかっただろう。
それ程その目は、人間とは掛け離れていた。
「おいで」
太一が言うと女性は無言で従い、まるで夢遊病者の様に後に付いて行く。
道路沿いのバス停にあったベンチに座ると、太一は虚ろな目で傍に立つ女性に言った。
「しゃぶれ」
「……はい」
女性は頷いてしゃがみこみ、太一のズボンを下ろしてチンポを取り出した。
それを躊躇わず口に咥える。
――異常な光景だった。
まだ夕方の通りには人が大勢歩いている。
だが、誰一人として太一と女性の事を気に止めない。
バスを待つ為に、太一の横に腰掛ける人までいるくらいだ。
「いいぞ、もっと激しくやれ」
太一が言うと、女性はペースを速めた。
舌や手も使い、しごき上げていく。
太一が的確にポイントを攻めさせてる為、速くも一回目の射精感が来た。
「出すぞ。飲め」
言うなり太一は発射した。
女性は喉を鳴らしながら精液を全て飲み干した。
「いいぞ。次は跨れ」
「……はい」
女性は立ち上がると太一に跨り、下着をずらすと腰を落とした。
女性にチンポが押し込まれていく。
まだ膣内がろくに濡れてもいない為、ギリギリと軋みなかなか入っていかない。
凄まじい苦痛が発生している筈だが、女性は無表情に腰を落として咥え込もうとする。
「つまらんな」
太一が言った瞬間――。
「ひぃぁぎぃああぁぁぁあああぁぁぁいぁいあいぁぃぃっ!」
女性の悲鳴が上がった。
自分の股間から伝わる激痛に、頭を振って涙を流す。
が、身体はチンポを呑み込もうと、更に腰を落としていく。
それが更なる苦痛を生む。
女性は泣き叫び、身体の動きを止めようとするが、身体はどうしても止まらない。
「なにっ! これっ! わたぁぁぁっ! しぃぃっ! なんでっ!」
切れ切れに叫び、助けを求める様に周りを見るが、街行く人は誰も気付かなかった。
こんなに叫んでいて気付かない筈は無い。
女性は激痛を一瞬忘れる程の恐怖を感じた。
「叫んでも無駄だよ」
目の前から声がした。
太一がニヤニヤしながら女性を見ていた。
「あな……た……が?」
「そうだよ。ここは僕の世界だ。何でも思った通りになるんだ。例えば……」
太一が言うと――。
「ひぃぃぎゃぁぁぁいいぃぃぁぁあああぃぃひぃぁいああぃぁいあぃぃいぃっ!」
女性が再び絶叫した。
身体は一気に腰を落とし、チンポを奥深くまで咥え込んだ。
が、今度は痛みからではない。
快感からだ。
女性の顔が淫蕩に惚けている。
口から涎を垂らし、涙は快感による物に変わっていた。
「やっぱ女はこっちの方が似合うよね」
イキ続ける女性を見て、太一が満足気に頷いた。
「さ、楽しもうよ」
太一が言うと、女性が媚びた表情で答えた。
「はいぃぃぃっ! 存分にぃぃぃっ! お楽しみ下さぁぁぁいぃぃっ!」
女性はずぶ濡れになった腰を激しく振り、溢れた愛液で大きな水音を立てた。
太一はその感触を楽しみながら、これからを考えていた。
委員長は邪魔になるなと言った。
が、邪魔なのは寧ろ委員長だ。
この僕の世界なら、僕は無敵だ。
恐れる必要は無い。
ならば、委員長と楽しむのも一興だな。
「ふふふふふっ」
知らずに笑い声が漏れていた。
「気持ちっ! いいぃぃぃっ! でしょうぉぉかぁぁぁぁぁぁっ!」
女性が尋ねるが、そんな言葉は太一の耳に届かない。
今の太一にとって女性は、自分の性欲を満たす為の穴でしかない。
「ひぃぃぎぃぃぁぁあぁあぁああっ! ひぃぃぁぁんっ!」
女性はただ腰を振り続け、快感のあまりイキ続ける。
暫くして太一は唐突にイッた。
「があぁぁあぁぁいぁいぁあいぁいぁいひあぁいぁあぁぁっ!」
子宮を満たした熱い精液の感触に、女性も今まで以上に激しくイッた。
が、女性の腰は止まらない。
女性の意思とは関係無く、太一に動かされているのだ。
ただのオナホと化した女性は、自分の知らない卑猥な腰の動きで動き続けた。
周りの人間は誰も気にしない。
異常な光景が、日常に同化していた。
「ぁぎぁやぁぁぁいぁいあぃあいあいいっ!」
女性が高く嬌声を上げた。
太一が再びイッたのだ。
だが腰は止まらない。
止まってくれない。
途方もない快感。
女性の目は虚ろとなり、何も映していなかった。
まだまだ太一に性欲に終わりは見えない。
女性は肉体的に限界に来ている様に見えるが、太一にそんな事は関係無かった。
委員長との事を考えると、チンポが滾って仕方なかった。
女性を動かし、湧き上がる性欲を満たしていった。
「ははははははははははははははははははははっ!」
太一の笑い声が辺りに響いた。
『そうだ、望め、もっと、もっと』
< 続く >