第四話
「ははは!あいつら、完全にヒナトを可愛そうな生き物を見る目で見てたな。本名とかいろいろしゃべったから。あっという間に広まるな。どうするんだ?バカ犬ヒナト」
「はは!何の問題も無いさ!あるとすれば、雄介様と一緒に任務中に呼び出されることくらいかな?あの姿をいろんな人に見てもらえるなんてぞくぞくするよ!あ!」
公園の木陰で、蟹股で敬礼のポーズをしていたヒナトの股間から、又焼きそばが噴出した。
「それにしても汚い芸だな。命令を出したけど、ほんとにできるとは思わなかったぜ」
「ふふふ!みっともないだろ!研修でいろいろ学んだからな。今では、ラーメンすらオマンコで食べれる!こんな量の焼きそばを出し入れなんて簡単だよ。それより雄介様!せっかくオマンコそばができたんだ。一口食べてほしい!とってもおいしいから!」
「馬鹿。そんなもの食えるかよ」
「ええ~。なんでだ?おなか一杯なのか?大丈夫!別腹だから!オマンコ味の焼きそば!おいしいんだワン!この公園の名物なんだよ?」
そういってヒナトは、雄介の足にしがみついて、靴先にオマンコをこすり付けてきた。
「汚ねえ!又それか!いい加減にしろ!」
「アウうん!わうぅ!やっぱり、雄介様にマーキングがいい!柱とか便器よりいい!いいじゃないか。彼氏の臭いを私のおまんこに染み込ませたいんだよ」
蹴り上げようとしたが、ヒナトは雄介の足をしっかり握り締めて離そうとしない。
アヘ顔で、足に頬をこすりつけながら、靴先にオマンコを押し付けてる。
「(コイツ……前より、力強くなってねえか?やっぱりそれなりに改造はされてるんだな…)」
「あれ?そういえば、恭太はしゃべらなくなったな……?やっぱりヒナトの変態ぶりがショックだったか?」
「ん!チン太のことか?いや、あれはカメラを持ってるからだ。カメラの電源にパワーを回してるからな。人間形態ではな。自家発電ができないし。変身すればカメラを持ってもしゃべれるぞ!」
雄介は、真面目にカメラを回してる恭太を見てちょっと可哀相になった。
「二人そろって可哀相な生き物になったな……」
自分にちょっと原因があるからか、少し同情していると、持っていたポータブルパッドに、見覚えのない番号が表示された。
「(ん!なんだこれ?……もしかしてここにかけろってことなのかな?でもドクターからの番号でもない……なんだろ?)」
いつまでたっても、任務をしないから、ドクターが痺れを切らした?でもそれなら、前教えてもらった番号からくるはずだ。
とりあえず、雄介はこの番号にかけてみることにした。
「おや?雄介様。誰に電話なんだい?もしかして、女じゃないだろうね?ワンワン!やめておきたまえ。どんな女でも私より、惨めな女なんていないよ。なにせ、私は人をやめて……ひい!あ!ああ!」
携帯に電話をかけた瞬間、ヒナトの様子がおかしくなった。動きはさっきまでと同じ、靴先にマーキングをしているが、顔と台詞が違う。
まるで取り返しがつかないことをして、パニックになってる顔だ。
「ああ!私は!私!なんてことを!いやだ!違う!私はあんなことしない!オマンコ警備員なんてはしたないことしない!ヤダ!いやあぁ!どうしよう!あんなことしたの広まったらもう生きていけない!黒井!早く追いかけさせてくれ!あの人たちに説明しないと!」
この口調は、昔のヒナトだ。洗脳前の。ヒナトは雄介のことを、黒井を呼んでいた。だがどうして?洗脳が解けた様子はない。
その証拠に体は、バカ犬のマーキングを続けている。
(いったいなんだ?どうしたんだ?)
「なんで!?なんで?今すぐ追いかけたいのに体が動かない!ねえ!恭太!助けてくれ!今すぐ追いかけて説明してくれ!いや!お母様やお父様にもう合わせる顔がない!いや!いやあぁ!」
そういうと、ヒナトの顔が泣き顔となった。涙や鼻水を垂れ流し始めた。
雄介は、見っとも無く泣くヒナトを見て、なくなっていた感情がよみがえってくるのを感じた。そう、昔、ヒナトに見下されていた時の悔しさだ。
「よう!ヒナト!久しぶり!さっきは笑えたぜ!いつの間に就職したんだ?それにお前の趣味が露出とSEXだなんて知らなかったぜ?」
「ひっく!な……ふざけるなぁぁ……!私はそんな変態じゃない!お前がやらせたんだろ!この不良が!!」
「ははは!親のお金で破廉恥行為するほうがよっぽど不良じゃないか?そんなに怒るなよ。おいしいパンでも食べておちつけって」
「おちつけれる……ハム!臭い!いやあ!こんな汚いもの食べたく!うぐ!あぁぁ……飲み込んじゃった……」
口では嫌がっても、身体は改造されたマゾロイドらしい。素直に命令を聞いて、おまんこに指をいれ、パンをちぎりとって、口に運び食べたのだ。
「臭いって、お前のマンコだろ。惨めなバカ犬!ほら!ワンワン鳴きながら、さっきやった焼きそば反芻!やれよ!○-E学級委員長のヒナト=グレゴリー!」
「ば!馬鹿にするな!だれがそんな……え!あ!ワン!いやあ!汚い!なんで!?こんなことしたくないのにぃ!!」
顔と口は以前の生意気なヒナトだが、身体は素直に命令を聞いて、股を広げた格好で、オマンコに仕込んだ、やきそばを出し入れし始めた。
「ははは!恭太。ヒナトの姿をしっかり録画しておけよ!ヒナトそのままで、みっともない自己紹介だ!思いっきり惨めにな」
「!!ふざける……ワンワン!ヒナトのマンコはゴミマンコ!バカ犬ヒナトは今日も親のお金で破廉恥三昧だワン!あ……ぁぁ……。もう……ゆるしてくれ……お願い……今までした事謝るからぁぁ!たすけてぇえ!恭太!お父様ぁあ!」
股間から汚い音を出して、焼きそばを出し入れしたまま、泣きながら許しを請うヒナトの姿は痛快だった。
さっきまで、あまりにかわいそうな姿にした同情など完全に消えていた。
(そうだ!こいつは、俺を散々馬鹿にしたヒナトじゃないか!同情とかする必要ないじゃねえか。俺はコイツを使い尽くして、洗脳を教えてもらう。こいつは道具なんだ)
それを再認識すると、さっきまで通話中だった携帯が、切れた。その瞬間、ヒナトにも変化が現れる。
「いや!ごめんなさい!ごめんなさぁ……はれ?!あれ?私は何をしているんだ?さっきまで大好きな雄介様にマーキングしていたと思ってたのだが……?」
「あれ……?どうしたんだ?ヒナト?」
「あ!雄介様!どうして、お前誰だ?って顔をしているんだい?いやだよ!私は雄介様の彼女のバカ犬ヒナト!趣味は破廉恥行為で好きなものはオマンコで食べるラーメンとおチンポさ!ビシ!」
そういって、さっきまで泣き顔が嘘のように、自信満々の顔で変態ポーズを決める。
「(!そうか……さっきの番号って、ヒナトの前の性格を呼び出すコードみたいなものなんだ!しかも、体の自由はきかない様にして。えげつないなあ)」
そんな推測をして、携帯を眺めていると、ヒナトが何かを思いついたように手を叩く。
「そうか!雄介様。私の秘密番号にかけたのだな。それは確かに人気だったが、私はその間の記憶がないから、あんまりしてほしくないんだが……」
どうやら、推測は当たっていたらしい。どうやら、見た目ではわからない機能がいろいろ使いされてるようだ。
(今後のために、全部知っておく必要があるな……)
「おい!バカ犬!お前、研修とか改造とかされて、できるようになったこと全部教えろ!」
「ワン!バカ犬ヒナトです!ぜひそうしてほしいな。ただ……そのために変身許可がほしい。機密とかいろいろあって変身しないと話せないんだ。人払いもできたことだし、許可してくれないか?実を言うとこの後するラブラブ秘密特訓が待ち遠しくて、子宮がうずっきぱなしなんだ……」
そういってヒナトは、手を後ろに組んで、股を閉じて、恥ずかしそうにもじもじし始めた。
しおらしい姿だが、言ってることは相変わらずキチガイだ。
(何で、そこで恥ずかしがるんだ?と言うかいつ特訓するって言った?お前の脳内設定だろ?すぐいやらしい方向に話を脱線させるし……。こいつ使えない?いやいや……きっと変身さえさせれば、変わるさ。そうさ。かりにもあの人が改造したんだから!)
「良し!ヒナト!変身しろ!」
「!了解だ!チン太!変身だ!」
「うん!わかったよ!ヒナト!」
恭太は、構えていたビデオカメラを下ろすと、持っていた荷物から、犬の骨を取り出した。いや違う。
先の形状が、骨を模したバイブだ。それをヒナトに手渡すと、ヒナトはそれを受け取ると嬉しそうにスイッチを入れて、動くのを確認する。
「なんだよ?それ」
「ああ!私の変身アイテムだよ。本とは雄介様のチンポが良かったんだけど、データとお金がな……。何!任務が成功すれば新調するさ。コイツをオマンコに入れて変身なんだ。あ!今はご馳走がはいってたな。今すぐ食べるから待っててくれ。……雄介様?ほんとにいらない?今、焼きそばじゃなくて、ヒナトのマン汁つけそばになってるんだけど……」
「馬鹿いってないで早く処分しろ!ヒナト!誰がそんなゴミ食べるか!」
「ふむ!そうか!ぱく……もぐもぐ。雄介様は焼きそばが嫌いなのだな。わかった。これからは嫌いな焼きそばは全部私が処分してあげよう。どんどんオマンコに捨ててくれ。ハム!あ!紅しょうが……これ嫌いのだが……。チン太!これはお前にやろう。撮影をがんばったご褒美だ!」
そういって、紅しょうがを投げ捨てると、恭太はそれを口でキャッチして食べる。
「ありがと!ヒナト!とっても、臭くておいしいよ!」
「当たり前だ。ただ、いいか!お前が食べれるのはしょうがだけだ!本来なら私のオマンコに入れたご馳走など、チン太が食べていいものじゃないんだからな!」
そういって、一心不乱にオマンコから残飯を穿り出して、食べている。
(はあ……つかれた。これだけ疲れてるのに、まだ任務についてはなしてもらっていないんだよな……。いや!変身すれば治るはず!でなけりゃこいつら、役立たずの変態に改造されただけじゃないか!)
「良し!全部食べたぞ!それでは早速変身だ!雄介様!ヒナトの勇姿!特と見ていてくれ!マゾロイドチェンジ!」
そういって、ヒナトはバイブをオマンコに突っ込んだ。それと同時にLEDの電飾が輝き、電子音が響く。
(おお!もしかして、アニメみたいにほんとに変身!?ありえるかも!ヒナトの変態ぶりにあきれていたけど、あの人の技術は確かだしな!)
光り輝いて、空中に浮かんだり、何もないところから服が出たりと、アニメの光景が実際に見られるかもしれないとわくわくしてみていると、ヒナトはそのまま鼻歌を歌いながら、恭太に持たせていた荷物をあさり始める。
「……え?」
裏切られた気分に支配され、ただ眺めているしかない雄介の目の前でヒナトは、白いブーツと手袋をはめ、かぶっていたパンツをはずし、犬耳のカチューシャをはめ、再びパンツをかぶり、ケツ穴に尻尾のついたアナルビーズをケツ穴に押し込んでいる。
恭太にいたっては服を脱いでいる。おまけに穿いていたパンツ(しかも、女物でヒナトとでかでかと、かかれている)を顔にマスクみたいにかぶっていた。
「変身完了!宴会用マゾロイド!バカ犬ヒナト!ここに参上だワン!」
先ほどと対して変わらない姿に着替えて、変身完了とのたまうヒナトの後ろで、恭太が拍手をしていた。
「……」
光って、音を出していたバイブが静かになっても、雄介は何の反応もできなかった。
(いやいや……変身じゃないんじゃないか?そもそも、着替えじゃないのか?いや、元々裸の露出狂が着替えって言うのも変だけど!それに恭太!あいつ何のためにいるんだ?あいつにいたっては脱いだだけじゃねえか!あと!宴会用って何だよ!名前も変わってないし!)
言いたいことが多すぎて、頭の中でばかりで突っ込んでいると、ヒナトが、再び、バイブのスイッチを入れて、電子音を流し始めた。
「淫らに変身!みんな大好き破廉恥マンコ!宴会用マゾロイド!バカ犬ヒナトだワン!」
「聞こえてるよ!何だよ!変身て言うから期待したのに、何も変わってねえじゃねえか!」
そういうと、ヒナトは笑顔で、頭と腰に手を当て、ポーズを決める。
「おお!良かった!あまりのかっこよさに見とれて、決め台詞を聞いていないと思ったから!はは!ナにいってるんだ?雄介様?ちゃんと尻尾や耳が生えてるじゃないか?人には尻尾なんてはえてないだろ?」
すごいどや顔で、グラビア雑誌に載るようなポーズをとるヒナトに何も言い返せない。
「ちなみに、チン太は私の装備品だ。携帯型移動発電装置オナロイドだよ!いつでもどこでもオナニーして発電し、私のワンコバイブや携帯の充電が可能だ!」
「ハイ!僕はヒナトの装備品のオナロイドです。いつでもどこでも自家発電します!」
そういいながら、オナニーし続ける恭太。
「任務は……?」
絞り出すような声で雄介がしゃべる。
(まだだ!任務だ!ヒナトがまともじゃないってわかっていたじゃないか!このガラクタみたいな奴を使いこなせるかを試されてるんだ!任務はきっとまともに決まってる!)
「任務?ああ!そういえばいってなかったな!雄介様と一緒にする任務は『SEXをして、恥ずかしい目に会ってくる』ことだ!簡単だろ?いつもしていることだからな!ささ!まずは一発お願いしますワン!いつでもどこでも性交準備OK!」
そういって、マンコに刺さっていたバイブを抜き取り、又決めポーズをした。
変身前より、ハイテンションで馬鹿。どうしようという言葉しか頭に浮かばない。
(どうしよう。……もしかして厄介者をおしつけられた?この馬鹿で遊ぶのはOKだけど、パートナーみたいに扱われるのいやだ。マンコに喜んでゴミを突っ込む女だぞ。ヤル気も起きない。でも任務はしないと……!そうだ!さっきの状態にさせれば少しは!)
「ワンワン!雄介様~♪どうしたのだ?ヒナトは全環境型だからどこでもSEXできるぞ!そうか!せっかく人がいないんだし、公園のど真ん中でしたいんだな!嬉しい!ああん!ヒナトのマゾエネルギーがどんどん溜まってきちゃう!」
そう、ただれた笑顔で抜き取ったバイブをなめている。
この叩いても喜ぶ変態より、泣きながらわびるヒナトのほうがまだSEXできそうな気がしたので、雄介は再び携帯を操作しようとすると、後ろから声が聞こえてきた。
「やめておいたほうがいい。とんでもない料金が請求されるぞ」
女性の声。聞いたことがあるが誰かは思い出せない。振り返るとそこには見たことがない女が立っていた。
キャリアスーツをびしっと着こなし、凛とたっている。背中までかかるウェーブの髪。豊満な胸。美人しかも高レベルの美女だ。
「え!だれ?」
普通の人なら、ヒナトの姿を見て、声を出すはずだ。だが、目の前の女性はそんなことに気にせず、近づいてきている。
おまけに、今、雄介がしようとしていたことを看破していた。
「気持ちはわかるがな。そんな変態を抱く気になれないというな。だがやめておけ。それはお金をどぶに捨てる使い方だ」
明らかに上からの台詞。だが不快感はない。発する雰囲気が明らかに雄介より、格上を教えているからだ。だが、そんな雄介の前に、裸同然のヒナトが立ちふさがった。
「これはこれは!焔様……。こんなところで何してるんですか?一人で寂しいお散歩の帰りですか?いいですね。お暇な幹部は。まあ、便所仕事をしていても相手にされないんじゃあ散歩するしかないですけどね!」
ぴし!
何かがひび割れた音。そしてその後回りの木々がざわめき始めた。いや、震えている。
ヒナトに焔といわれた女性の周りの空気が揺らぎ、それに煽られているのだ。
「相変わらずだな。ヒナト。少しは目上の人への礼儀と言う者を覚えろ。ああ……それは無理な話か。胸と一緒で足りない頭では、礼儀を覚えるスペースもあるまい」
パシ!
今度は、両者の間で、火花が走った気がした。ふと見ると、いつもヒナトのそばにいる恭太が、近くの木の裏に隠れて、顔だけこちらを心配そうに見ている。
「お……おい。ヒナト……」
「あん!雄介様。すいません。ちょっといやな知り合いにあったので。ささ!早くあっちに言ってSEXしましょ!あんな男日照りのおばさんなんか無視して!いえ見せ付けてやりましょ!」
焔と呼ばれた女性は、確かに大人の女性だが、おばさんと言うほどではない。20代後半だと思う。困惑している雄介の腕をつかんで、離れようとする。
「だ・れ・が!おばさんだって!この!小娘!それに私は今任務でお前達の前にでてきたんだよ!」
ぴくぴく顔を引きつらせている。心なしか、さっきより、周りの空気の揺らぎが強い。
「……はあ。それではしかたがないな。まったく年増は気が効かない。雄介様とのSEXの後でくればいいのに……。雄介様。紹介したくないけど説明だけしておきます。このおばさんは『犬神焔』。一応、組織で私の先輩だ。先輩と言うより期限切れの中古品だけどな」
「おい……」
焔は、明らかにヒナトの説明に不快感を表してる。と言うか怒っている。
怖い。逃げたい。だが、ヒナトが離さない。と言うか、股間をこすり付けてくる。
「焔は、偽名だよ。変身後の名前もあったはずだけど取るに足らないことだからわすれたよ。だから、とりあえず、おばさんでいい。はう……ああ……気持ちいい。昔はそれなりに人気があったようだけど、今では飽きられて、汚れた便器と一緒にたたずむか、ああして、うろついて、粗末なチンポを探すのが日課の……」
「いい加減にしなさい!このあばずれ!!!!」
焔が激昂すると、火の玉になって、突っ込んできた。
そして、ヒナトと雄介たちがいた地点で火柱が上がる。
「ふう……やれやれ……。おばさんが本当の事を言われて、怒ったようだ。大丈夫かい?雄介様?」
あの場にいたら、黒こげだっただろう。だが、雄介はヒナトに抱えられて、元いた場所から5mの地点に着地した。
(え!?あ!?今俺飛んでた?ヒナトしていたのか?すっげえ。人間の動きじゃねえ!)
「いいかげん……そのふざけた口を閉じなさい。ヒナト……」
火柱が立った場所から炎をかき分けでてくる。だがその姿はキャリアスーツではなかった。
真っ赤な髪と、ピンとたった尻尾と耳。服装も、黒と赤のビキニアーマー。それが豊満な体を覆っている。
「マゾロイドに改造されたばかりの新入りが!幹部であるこの私!フレアウルフ様を馬鹿にする!ほんとにあんたは頭がこわれてるのかしらね!!!」
かなり、怒っているらしく、怒気に合わせて、轟々と炎が渦巻いている。昔、特撮で見た悪の幹部そのものだ。
だが、実際に目の前にすると迫力が違う。だが、ヒナトは、そんな炎を涼しげに受け流している。
「ふう……。いつもあんな感じなんだよ。フレアウルフ様は幹部でマゾロイドなんだ。ただ、30を過ぎて、いつもピリピリしてね。部下にも相手に……」
ガキン!
ヒナトの口を黙らせようと、フレアウルフは、メカニカルな手甲より、炎をまとった爪を突き出しきりかかった。
だがヒナトはそれを、持っていたバイブで受け止める。
「だ!ま!れ!……ぐぐ!この貧乳!嘘ばかりのたまわって!頭の中腐ってるのか?私はまだ29だ!もう一度調整を受けてもらったほうがいいんじゃないのか?」
「う……!何を!私は正常だ。でもいいのか?私に必要のない調整を受けさして。最近は、ドクターだけしか相手してもらえないのに。私の改造にドクターがかかりっきりのときは、机の角でオナニーばっかして慰めていたとか?ぷぷぷ!惨めすぎるな!!」
「は!お前こそ、研修中、体が貧相すぎて、相手にされず!便所ブラシの柄でオナニーしていたらしいな!雄介とか名前までつけて!おまけにやりすぎてその便所ブラシが折れて処分されたとき、大泣きしていた馬鹿はどこのどいつだったかな?」
「な!ば!だまれ!雄介様!嘘だ!寂しかったとか、我慢できなかったと言うわけではないんだ!というかこのおばさんの言うことは嘘だ!このおばさんは、人に相手にされず、我慢できずに、研究用の犬を誘惑した挙句、おチンポ汁ではなく、おしっこをかけられたんだぞ!おまけにそれで逝ったんだ!」
「だまれー!!!」
互いの恥部を言いふらしながら、我慢できなくなったのか、二人ともその場で戦闘を始める。
激しい剣戟。二人の動きが早すぎて、つばぜり合いが起こる度に激しい火花が散る。ただしそれは爪とバイブ。
片方は特撮のコスチュームでもう片方はほぼ裸。シュールな光景だった。
「はあ……はあ……なんだんだ……あいつら……」
雄介は、地面を這い蹲りながら、近くの木の裏に逃げ込んだ。
格好はふざけているが、人を超えた者達のぶつかり合い。巻き込まれたら命がない。
必死で逃げ込んだ先には、裸でパンツかぶりながらオナニーをしている恭太がいた。ただ心配そうにヒナトをほうを見ている。
(こいつは……改造されてもかわらねえな。ヒナトが暴れてるときはこうやってしてたっけ。とりあえず、コイツに聞いてみるか。あいつらのこと)
「おい!恭太!あいつらいったい何なんだよ!」
「え!あ!えーと。見てのとおり。ヒナトとフレアウルフ様って仲が悪いんですよ……。止める人がいないといつもああなるんです」
雄介は少し安心した。格好は変態だが、返答はきちんとしている。恭太もヒナトみたいに、変態方面に脱線する話しかできなかったらどうしようかと思ったたからだ。
「もっと、詳しく話せ!」
「つまりですね。フレアウルフ様は最近入ってきたヒナトが気に入らないんです。フレアウルフ様は昔から、組織にいるんですけど、最近人気がないというか、マンネリ気味というかあまり使われていないんですよね。マゾロイドとして」
「ん?と言うことはヒナトのいってることが本当で、新参者のヒナトが自分より人気があるのが気に食わなくてからんでるってわけか?」
「いえ。それがそうでもないんです」
恭太は首を横に振る。
「ヒナトはヒナトであんまり人気がないんです。テクニックとかは問題ないんですが、ああいう性格なんで……はじめは、面白がって使われるんですけど、大抵最後は、『生意気』とか『なれなれしい』とかで……。返品されると言うか……」
言いにくそうに、うつむいている。本当のことを言いたいが、ヒナトの悪口になるようなことはいいたくないようだ。
「それは……なんとなくわかるな……」
「そういうわけで、製造元になるのかな?ドクターに返されて、そこでドクターが相手と言うか実験と称して使うんですけど、忙しい方ですし、一人で二人の相手は難しいですよね?と言うわけで、限られた相手をめぐって喧嘩に……」
「……。要するに役立たず同士のやっかみか?」
「まあ、簡単に言うと。後一番の理由として……二人ってキャラ的にかぶってるところがあるんですよね……。犬系で……」
「……あ!犬?もしかして、お前をさらった奴ってあの人か?ダメな牝犬っていってた!木の上にいて姿は見えなかったけど……!どっかで聞いた声だと!」
「はい。そうですよ」
耳、尻尾……男勝り。言われると似ている。違いとしてはスタイルと歳。同族嫌悪と言う奴だろうか……。
「あれ?でも、あの人自分のこと幹部っていってなかったか?幹部ってことは偉いんだろ?そんな奴がマゾロイド?」
「精確には、マゾロイドの原型みたいな者です。元々、フレアウルフ様って、うちの組織に敵対していたグループの幹部だったみたいですよ。それをドクターが洗脳して、組織の奴隷にしたとか聞いてます」
「?と言うことは、幹部ってのはあの人の脳内設定か?幹部と言う名の奴隷?」
「いえ。違います。元のスペックが高いので、幹部として十分使えるし、元部下とかうちに吸収したので、その人たちをまとめてますよ」
雄介の頭にはてなマークが浮かぶ。マゾロイドというのは、ヒナトを見る限り、最下層。そんな奴が、能力があっても幹部になれるのだろうか?
「……。普段偉そうに命令している美人の上司を、自由に使えるって魅力ありません?もしそれが、褒賞として与えられたら、みんなやる気が出ると思いません?」
納得の理由である。
「はあ!はあ!いい加減にしなさい!この小娘!大体あんたみたいな、ペタンコ需要がないのよ!パイズリもできない!素直に謝れば可愛げがあるのに!」
「はあ?!冗談はオナニーの後にしてくれないか?こんな使い古した、黒マン……いや!こげマンコをつけた中古品に謝る義理などない!さっさと、リサイクルショップに行って千円払って引き取ってもらうがいい!」
ふと見ると、さっきまでの華麗な戦闘から一転、フレアウルフがヒナトの髪をつかんで引っ張り、ヒナトがフレアウルフのパンツをつかんで引っ張っりあっているという、互いのマンコを晒したみっともない、喧嘩にまでランクが下がっていた。
「組織の中でも、もう有名ですけどね。二人の喧嘩。互いにみっともない姿晒して、頼んでもいないのに恥部を見せ付けて、みんなそれを見て笑う。もちろん安全な場所からみてればの話ですけど……。よく、余興に使われます。止めないといつまでも続けますよ」
「止めるってたってどうするんだよ……あれ……。お前できないか?」
恭太は、全力で首を横に振る。
「あ……。もしかしたら、あれが使えるかも。いつも二人の喧嘩を止めるとき、ドクターがしてたことが……」
「なに!?それどうやるんだ?」
「でも、ドクターがするから効くかもしれないし……」
「いいから教えろ!」
このまま、二人の醜い争いを掘っておくわけにはいかない。何でもいいからやってみる価値はある。
「はなせ!無駄にでっかい胸をたらしたおばさん!この犬もどき!お前に尻尾と耳はもったいない。私のほうがふさわしいんだ!この賞味期限切れの腐れ穴!う~!私のほうが、尻尾も耳も似合うんだ!組織の犬は私だ!ワンワン!」
「このがキャ!大人しくしてれば言いたいことを!こら!服引っ張るな!伸びる!高いんだぞ!それに誰が、中古品だ!賞味期限切れだ!私はまだ現役だ!お前みたいな経験の浅い穴じゃない!熟成された名品と言え!ドクターだって、言ってた!私のはお前のより5倍の価値があるとな!」
「嘘言うな!ドクターはマゾロイドはみんな平等と言っていたぞ!全部組織の大切な備品だと!だから、私が、おばさんに礼儀を尽くす必要はない!はは!必死だな!だがみっともないぞ!潔く路地裏で、ダンボール箱にはいって鳴くといい。誰か拾ってくださいって描いてな!腐った古マンコでも誰か一人くらい優しい人がひろってくれるはずだよ!」
いつの間にか、喧嘩から取っ組み合いになっている。髪はぼろぼろ。体は泥だらけ。
フレアウルフの衣装にいたっては、パンツは完全にずり落ち、胸の部分は引っ張られ完全に紐になって、役に立たなくなっていた。
「きぃい!今日と言う今日はもう許さん!この洗濯板!ドクターの手前、手加減していたが、もう容赦はしない!ぼこぼこにして!お前の屑マンコ真っ黒に焼いて!保健所に捨ててやる!野良犬として処分されろ!」
もう二人とも完全にやる気だ。親の敵のように、息を上げて、血走った目でにらみ合っている。だが、そんな二人の前に雄介が立ちふさがった。
「駄目犬コンビ!仲良しマンコお座り!」
これが、恭太に教えてもらった、ドクターが止めるときに言う台詞だ。うまくいくかはわからないが今はこれにかけるしかない。
「「……」」
この台詞を聞くと二人は、ぴたりと動きを止め、じっと雄介を見る。
(う……やっぱ、ドクターじゃないとダメか?でもこんなとこでこいつらを戦わせるわけにはいかないし……)
そんなことを考えていると、二人が急に立ち上がった。襲われる!ととっさに身をかがめたが違った。
二人は、向かい合うと、互いにうなづいて、四つんばいになった後、片足を上げた。
犬のおしっこポーズをかがみ合わせのようにした格好だ。
「ワンワン!見せるの大好きゴミマンコ!とってもお馬鹿なバカ犬ヒナト!」
「ワンワン!おチンポ大好き古マンコ!とっても間抜けなアホ犬フレア!」
「「せ~の!」」
「「二匹は仲良し!ラブラブワンコ!!ワオ~ン!!」」
そういって二人は嬉しそうに鳴いた。下半身で不ぞろいなハートマークを表現してだ。
「ふああ!あん!あぁあ!雄介様!!見て!ヒナトのゴミマンコ見て!このポーズすると、おまんこ見られる快感が数倍になるんだ!!もっと!もっと!ヒナトの子宮が焼けちゃう!見られて焼けちゃうう!!ワン!あぁ!ワンワン!」
ヒナトは、おしっこポーズのまま体を痙攣させて逝っている。
「ひゃ嗚呼!やめろ!私にこんなかっこうさせるな!私を誰だと思って!!あひゃああ!見るな!アホになっちゃう!駄目!オマンコみないで!いろんなものがでちゃうのおお!!!こんな格好したくないぃ!!」
フレアウルフも、同じように見られることに関して、快感を覚えているのだろう。痙攣し、口や下半身の穴から、いろんな物 が吹き出している。
「ふう……うまくいったみたいですね」
「ああ……。やっぱ安全装置くらいはつけるよな。よかった……」
最初幹部だと偉ぶっていたが、今のフレアウルフは完全に間抜けなアホ犬に成り下がっている。
これが最初見た、威圧感を放つ女性と同一人物とは信じられない。
(ふう……。それにしてもやっぱすげえな。これもあの人が洗脳したんだろ?改造されたヒナトを見て一瞬考え直したけど、やっぱ技術は本物だ)
「あぁぁ……みられてるぅ……。視線がおチンポみたいにつき刺さってくるのぉ……。わう……。ゆるしゅえ。言うこと聞きますからぁ。もうえらぶりましぇん。フレアは素直なアホ犬なんでしゅう」
(……でもなんでドクターは、このアホ犬……フレアウルフだっけ?フレアウルフを寄こしたんだろ?こんなアホでも幹部なんだろ?もう飽きられているとは……は!もしかして、厄介者を押し付けるつもりなのか!?)
こんな混ぜるな危険同士を渡す意図がそれしかない。そうとしか思えない。
(いやいや!いくらなんでもそれはないだろ?停止ワードだって、恭太に教えてもらわなければわからなかったし!それがなかったら、偉い騒ぎだぞ!処分するにも、あの人ならもっといい手段があるはず!!)
「おい!アホ犬!お前、なん……ひ!」
何で、ここに来たと、聞こうとした瞬間、おしっこのポーズをしていたフレアウルフがすばやく立ち上がり、爪を雄介の顔の横に突き出した。
「はあ……はあ……。何であのコードを知っているかは知らないが……。動きを支配できるのは数十秒だけと言うのは知らなかったようだな……さて、覚悟はいいかな?」
髪の毛がまるで燃え盛る炎のように蠢いている。相当怒ってるのは間違いない。
ぼろぼろになった衣装以外、先ほどのアホ犬の雰囲気はまるでない。
「停止ワードを言おうとしても無駄だぞ……。この距離なら、言い切る前にお前の喉を引き裂くことができるからな……」
本気だ。雄介がゴクリとつばを飲み込むと、にゅっと、ヒナトが目の前に現れ、抱きついてきた。いや、オマンコをこすり付けてきた。
「ワゥン!雄介さまぁ!ヒナトとっても気持ちよかったぁ!もう一回!がまんできないぃ!今度はあの格好でおちんぽつっこんでほしいぃ!!」
「どけ!この色ボケバカ犬!」
「は!そうだよ!ヒナトは雄介様のバカ犬なのさ!ん!ああ……そうか雄介様!このアホ犬が怖くていってくれないんだね。安心してくれ!私はSEXしながらでもアホ犬なんか軽くあしらえるよ」
アホ犬ことフレアウルフは、ぴくぴくを肩を震わせている。
「ナ!だから早く!あのアホ犬がよだれとマン汁をたらしてる横ではめてくれ!なに!干からび寸前の年増マンコがそんなの見せられたら、襲い掛かるより、オナニーに夢中になるさ!」
洗脳前と変わらない、ヒナトの空気の読めなさに血の気が引き、とっさに恭太を探す。
(俺一人じゃ無理だ!恭太じゃ頼りないけど、いないよりましだ!)
だが、さっきまで恭太が隠れていた木の後ろにはすでに姿がなく、はるか遠くにかけていく裸(頭に女のパンツを装着)の変態の後姿が見えた。
「逃げたー!!」
「死ね!!」
「やらせるか!!」」
(絶対!絶対あの人!厄介ごと押し付けたんだ!絶対そうだ!くそ!くそ!!!たすけてー!!)
ひとまず、雄介は停止コードを早口でしゃべり、うまくいったら、恭太のように逃げる!そう決めた。
< 続く >