警察手帳 ファイル5

ファイル5:倉持 真美

「ひさしぶり。でも、大丈夫? ……んっ……そ……そっち今深夜じゃない?」

 画面の向こうに映った愛する妻の顔をみて、浩介は嬉しくなった。

 こちらを気遣ってくれる優しさに惚れてプロポーズをしたのは間違いではなかった事を再確認する。

 妻の真美がいる日本は今昼頃だが、浩介がいるブラジルは深夜だ。だが、愛する妻を深夜に自分と話をする為に夜遅く間で起きてもらうわけにはいかない。

 ただでさえ、新婚直後に自分の仕事の都合で、新居に一人で暮らしてもらっている身だ。

 倉持浩介は全国にコンビニを展開する食品チェーン会社の正社員だ。

 一流大学をでて入社し、社内で順調に出世していった。そして同じ職場の真美と結婚した。

 真美は寿退社し、これから新婚生活という矢先に、浩介の栄転が決まった。

 浩介はある地域のコンビニ事業マネージャーをしており、結婚後も続ける予定だったが、本社が立ち上げた一大ブロジェクトにより一変した。

 何と、上層部がプロジェクトの重要な役職に浩介を指名したのだ。今までの働きを評価しての事だったらしい。

 もし、このプロジェクトが成功したら、浩介は将来は安泰。重役にもなれる可能性がある。

 ただ問題があり、もしこの話を受けるなら、浩介はプロジェクト成功まで海外赴任しないといけない。

 浩介はアメリカ留学の経験もあり英語も堪能だ。このため、海外の生活に問題はない。

 ただ、真美は違う。そんな真美を連れて行く事もはばかるし、かといって新婚直前なのに一人日本に残しておくのも問題だ。

「なにいってるの? チャンスなんでしょう。絶対に成功して戻ってくるから楽しみに待っていてくれって言う所じゃない」

 浩介が悩んでいる所、真美の一言が決め手となった。

 こうして浩介は真美を残して、赴任地として決まったブラジルで過ごしている。日本の真裏とも言える国なため、気軽に帰国とはいかない。

 こうして、時間を合わせて、ネットを通じてしか、顔見て話す事ができない。

「大丈夫だよ。今日は仕事の都合で帰るのが遅かったからちょうど良かったよ。それに明日はその分遅く出勤してもいいからね」

 これは嘘だ。明日も朝早くから仕事だ。

 だが、そんな事を言って妻を心配させるわけにはいかない。

「そっちはどう? ちゃんと生活できてる? やせてはいないようだけど何か髪のつやが落ちてる気がするけど……」

 結婚した後もエリアマネージャーを続けるはずだったので担当地域で新居を探していた。

 ちょうど、担当店の一つであるコンビニが入っているマンションに空きがあったのでそこを新居に選んだのだ。

 しかし、結果的に自分の実家と真美の実家から遠くはなれる事になり、真美は知り合いもの少ない土地で一人で暮らす事になってしまった。

 このため、浩介はちゃんと生活できているかとても心配だった。

 自慢だった艶のある茶色がかったウェーブの髪が少し悪くなってるように見えた。

「うん。できてる。できてる。スーパーとか近いし。真下にコンビニがあるしね。浩介知ってる? あそこ大分かわってね。内装やサービスも他の店舗にないオリジナルのものにしてね。今では、エリアで一番の売り上げになってるんだ……んんんん!!!」

 画面の向こうで微笑んでいた真美の顔が一瞬驚いた。

「どうした?」

 画面の向こうの反応に浩介が一瞬慌てる。

「な……なんでもない! 何でもないの!! ぁ……ちょ……ちょっと椅子の上に物がのってるのにそのまま座っちゃったからちょっと驚いちゃって。あはは……」

 慌てたが、再びいつもの真美の顔になって浩介は安堵する。恥ずかしい姿を見られた為か少し真美の顔が赤らんでいた。

「そうか? それにしても、あの店長がねえ。俺が担当だったときは本部の指示以上の事はしないタイプだったのに……人は変わるものなんだね。今度帰国した時会ってみたいな」

 浩介は記憶の中から店長の顔を思い出す。中年太りの眼鏡のおっさんだ。

 浩介の評価としては長年店長を務めていたベテランだが言い方を変えれば店長より上には行けなかった能力の持ち主だ。

 だが、無能ではなく店長としては問題がない人だった。

 ただ、古くさい考えが残っており、見る人が見るとパワハラとも言える対応をする人だった。

 一番印象に残っているのはバイトリーダーと呼ばれていたおっさんに仕事の手際が悪いと怒鳴っている所だった。

「あ……それなんだけどね。んん……。浩介が思ってる人。不祥事を起こして降格して僻地に飛ばされちゃったの……。その後、店を盛り上げたのは新しく店長になった人なの。あぁ……た……たしか、店長になる前はその店でバイトリーダーだった人みたいだよ……ふひぃ!!」

 真美の話し方が少し変だが、浩介の頭は古巣での……しかも、愛する真美が住む家の真下で起こっていた事が気になっていた。

 浩介の知っている店長は不祥事を起こすような性格ではなかったと思える。

 それよりも、店長が問題を起こしたのに、後釜に入ったのが、本部の人間や他の店でばりばり働いていたベテランではなく、バイトであるバイトリーダーというのが信じられなかった。

「ごめん。ちょっと待って。ええっと……確かあの店のバイトリーダーって……あれ? どこかで聞いたことが……あ! そうだ。俺たちの結婚式直前だったときに電話があって!!」

 考えていた時、急に記憶がよみがえる。前店長からエリアマネージャーとして働いていた浩介に電話があって、本部から借りた資料と店長間の懇親会用の積立金をバイトマネージャーがなくしたということがあった。

 なんでも、前日にミスをして挽回のつもりで店長の代わりにと申し出たのでまかせたら、高速道路下にある公園でなくしたと連絡があったそうだ。

 資料は極秘資料というものでもなく、こうしたお使い程度なら他の店長もさせているので、行為に問題はない。だが、紛失は問題になる。資料は一応社外秘になっており、

 お金の紛失は警察にも連絡しないと行けない。

 店長はバイトリーダーには死ぬ気で探させ、こっぴどく叱るつもりだと話していた。

 ただ、その時は結婚式の準備で有給をとっていた為、とりあえず、本部に連絡させ、有給が終わった後対応するつもりだった。

 だが、有給開けに出社した所、本部からは休みの間にすぐ解決したとの連絡があったので浩介の中では終わった事だった。

「な……なんでも、そのバイトリーダーが、前店長の不祥事を明らかにして本部に連絡したみたいよ。ぉほ!! 私もびっくりしちゃった。店に行ったら、本部のお偉いさんが来て泣き崩れてる店長を叱りつけてたんだもの。逆にそのバイトリーダーの人。すっごく褒められていてね。その場で正社員に採用されてたわ……ぁん……♪」

 そう話す真美の顔が妙に色っぽい。その顔に浩介は興奮してしまった。

 普通に話しているつもりでも真美を求めてしまうのだろうか? 

 画面越しでなかったら手を伸ばしていた所だ。少し、恥ずかしくなったので浩介は強引に話を進める。

「そ……そうなんだ!! それは凄いなあ。記憶だとそのバイトリーダーって見かけは店長よりちょっと若いくらいのおっさんだったはず。いい年してバイトで……おまけに仕事ができないって報告があったから……。将来やってけれるかなあと思ってたけど、やっぱり第一印象だけじゃあ人は判断できないもんなんだ。ははは」

 実際、浩介の中ではそう評価していた。バイトリーダーと言われているが能力がある訳でもなく、ただバイトの中で一番年長だからだ。

 リーダーの役目は更衣室の掃除やバイトや社員用の備品のメンテナンスでシフトの管理や仕事の割り振りと言った仕事はない。

 そういう仕事は店長か社員が行なう。もちろん、有能なバイトリーダーもいたが、あの店の場合は無能な奴と思っていた。

「そ……そうなんだ……あはは……。 え? あ? あ……あの!!? 浩介!! ちょっとごめん!!」

 少し変な笑みを浮かべていた真美が、あわててカメラの前からフェードアウトする。

 何かあったのかと思ったが、画面には数日しかいなかった部屋の壁しか映っていない。

 スピーカーからは真美のか細い声と物音がした。

 何かあったのかと声を出そうとしたとき、ぬっと真美の顔がアップでカメラの前にでてきた。

「ん……はぁ……あっっぁ……ご……ごめんね。急に……ぃぃ……」

 画面には真美の顔しか映っていない。顔を赤らめ、荒い息で画面が時々白くなっている。

「い……いや……何かあったのかい? それに顔が近いよ?」

 不審がる浩介に対し、真美が慌てる。

「はっ……あっ……べ……別に……。じっ……実はお鍋の火かけっぱなしだった事を思い出して……んん〜〜!! そっそれであわてて消しにいってたの!! その時ちょっとこぼしちゃって!! スカートとか脱いじゃったから!!! で……あぁ……見られたくないからぁあ ……」

 真美の言葉に浩介は慌てる。

「だ……大丈夫なのか?? やけどとかしていないか?」

 そんな浩介に真美は顔を赤らめながら落ち着くよう声をかける。

「だ……大丈夫……ふっぅ!! やけど……なんてないから!! たっ……ただ、台所と来ていた服がちょっと汚れちゃったの……せっ……折角、浩介も好きなビーフシチュー作ってたのに……あひぃん!!」

 いきなり飛び上がった真美にますます浩介は慌てる。

「おいおい……本当に大丈夫なのか? 見えない所にやけどがあるかもしれない。すぐに病院にいったほうがいい」

 そんなことを言うと、真美がひと際大きな声を上げる。

「だ!! 大丈夫だから! あっ! あっ!! あ……愛してる!! 愛してる!! だ……大好きぃい〜〜〜!! 世界でぇえ! 一番んん〜愛してるううぅう〜〜〜〜!!!」

絶叫とともに今まで見た事がないほど真っ赤な顔で真美が痙攣した。

その姿に浩介は固まる。つきあってる時、新婚旅行のときでさえもこんな事を言われた事がなかった。だから嬉しいよりも、混乱が強くでてしまった。

「あ……ああ……僕も……真美を愛してる……よ……」

 このため、陳腐な返答しかできなかった。一方、真美は絶叫告白をして、うつむきながら肩で息をしている。

「はぁ……はぁ……恥ずかしぃ……。ご……ごめんなさい……いきなりこんな事言っちゃって……んん!! ど……どうしても我慢できなくて…… 。あっ……ぁっ……あと……ごめんなさい。やっぱり、めちゃくちゃになっちゃったのをきちんとしたいから!! 今日はこれで切るわね!!」

 何やら必死の真美に浩介は頷くしかなかった。こんな風に叫ぶ真美を見た事がなく、勢いでやった事が恥ずかしくなったのだろうと感じだ。

「(やっぱり……新婚なのに一人で暮らして寂しいのかな? 忙しいけど年末ぐらいは帰るべきか? でもこっちは年末年始こそ忙しくて人でが欲しいって聞いてるからなあ……)」

 これは、今すぐ対応するのではなく真美が落ち着いてから話し合った方がいいと判断した浩介は、もっと話したい気持ちを抑えて切り上げる事にした。

「うん。わかったよ。今度は休みの日に連絡できるようにする。こっちはもう寝るから、真美は落ち着いて片付けて。それじゃあ……僕も愛してるよ」

 浩介がそういうと、接続を切る操作を行なう。真美は恥ずかしいのか顔をこちらに向けていなかった。

「わっ……私……あ!! ああ!! あぁぁ〜〜〜〜!! ……こんにゃにも……。ま……まだぁ……おっ!! おお!! おやすみなさぃいぃいい!!!」

 真美が慌ててたので、何かあったのか聞こうとした瞬間、接続が切れて画面が真っ暗になる。

 確認したいが切ったばかりなので再び、かけるのも申し訳ない。

 それに、長時間PCを占領できない理由もある。

 浩介は椅子から立ち上がると後ろにかかっていたカーテンを開く。

 カーテンの向こうには褐色のガタイのよい男性が、椅子に座ってヘッドホンをつけて身体を揺すっていた。

 カーテンから浩介がでてきたのに気付いた男はヘッドホンを外す。

「おう。コースケ。もういいのカ? 愛するワイフとの久々の語らいだったんダロ?」

 やや片言っぽい日本語を話すラテン系の男に浩介は頭を下げる。

「ああ! サンチョス。ありがとう。助かったよ。毎回君のパソコンを使わせてもらって悪いね」

 浩介が言うと、サンチョスと呼ばれた男は陽気に笑いながら答える。

「なにいってんだ。同居して同じ職場で働くナカーマだろ? 待ってる間ネットチェックしてたから退屈はしてないしな! それより、もう俺が使ってもいいカ?」

 浩介はうなずくと自分のベットに座る。かわりにサンチョスが喜んでPC前にすわった。

 ここは浩介のブラジルでの下宿先だ。サンチョスはプロジェクトの為に会社が雇った現地アドバイザーだ。

 現場において浩介が責任者で現地人のサンチョスがそれを補佐すると言った関係だ。

 浩介はサンチョスと同じ部屋をシェアしながら暮らしている。

 当初、この住宅環境に不満があったが、今ではこれで良かったと思う。

 まず、浩介はアメリカでの留学経験があったが、これが全く役に立たなかった。

 なぜなら、ブラジルは英語よりもスペイン語やポルトガルを使う人が多い。

 英語が全く通じない訳ではないが誰でも使えるわけではない。また、風習も日本、アメリカとも全く違う。

 このため、祖父が日本人で生まれたときからブラジルで生きてきたサンチョスの支えがないと生活も仕事もできない。

 また、日本から持ってきた電化製品など規格があっていなかったため使い物にならず、サンチョスから借りたり、購入してもらった物を使っている。

 パソコンなど仕事に使う物は職場にあるが、プライベート空間で使うことができないため、サンチョスにお願いして使わせてもらっている立場だ。

 正直しんどい。頑張ってはいるが現地の部下とはやり取りがしづらく、浩介がいなくても仕事は回るがサンチョスがいなければ無理になってしまっている。

 しかし、海外赴任するならなれるまでこの位は当たり前だと自分に言い聞かせた。

 何より、日本で成功して帰ってくるのを待ってくれてる真美に情けない姿を見せるわけにはいかない。

 ベットの上で弱音を振り切る為に、深呼吸をしていると、サンチョスがいつになく上機嫌でサイトを立ち上げた。

 画面にはピンクを基調としたフレームの中にたくさんの裸の女性が映し出されてる。

「おいおい……サンチョス……君も単身赴任で奥さんと子供がいるっていってなかったかい? それなのにそんなサイト見て……」

 浩介の言葉にサンチョスは全く気にせず振り返る。

「ハッハハ! 確かに、俺はワイフと子供達を愛しているがそれとこれとは話は別だぜ! ランチとデザートが別腹みたいなもんサ!! そんな事よりコースケもこれ見てみろよ。今このサイト。世界中から注目を集めてイルんだぜ。コースケと同じ日本人が原因で!!」

 こんなアダルトサイトで何がと思ったが、日本人という言葉に懐かしさを感じ、身体を起こして画面を見る。

「へえ……それはどういうことなんだい?」

 サイトの画面を見ると裸の女性達に日本人らしい顔立ちがほとんど占められていた。

「いや、以前はな日本人だけでなく、いろんな国から低レベルな女……たまに美女もいたガ……。そんな奴がAVもどきの映像をアップさせてるだけだったんだが、ある時からとんでもない物がアップされるようになったんダ」

 サンチョスは興奮しながら、サイトのページを操作する。

 そして、そこに投稿している女性のプロフィールらしき画面を見せた。

 普通のアダルトサイトに登録する際、顔を隠したりHNをつかったり、個人情報が特定できないようにしている。

 だが、画面にでている女性は顔を隠したりせず、それどころか秘所を丸出しした写真を載せている。

「こいつはHN「オマンコ婦警」って言うんだが、紹介文に本名のせてるゼ。元ポリスだったようだが、本当の自分がわかったってポルノ女優になったらしい。ただ、あんまり売れなくて事務所クビになったらしい」

 こういうサイトをあまり見ない浩介でもわかる。こんなのがネットにアップされたら普通に暮らしていけなくなる。

「こ……これ、本物なのか? 誰かが、この人を貶めるためにしてるんじゃ…写真も合成で……」

 浩介の言葉にサンチョスは指を振って否定する。

「そう思うだろ。お金を払わないと見れないが戸籍っていうのか? それを全裸で役所にとりにいく動画を合成で作れるはずないダロ。いや、俺も実際に見るまでそう思ってたけど。おまけにその理由が『小暮美緒って名前を、オマンコ婦警に解明する為』ってどこまでいかれてるんだって話だ」

 そういって、サンチョスはさらにページを操作する。今度は別の人物のページを見せようとしているみたいだ。

「こっちはもっとすげーゾ。HNは「肛門おばけ」で登録している」

 開かれたページには、中学生に見えるツインテールの金髪美少女ががに股ダブルピースで映っていた。

 その少女はだらしない笑顔な上、妊娠しているかのようにお腹が膨らんでいる。

 そのお腹には『公然猥褻』と書かれており、その背景がどう見ても野外だ。

「え?! おいおい……これってアダルト以前に少女ポルノってことでヤバくないか?」

 大抵の国で成長していない少年少女を現実で性対象にするのは重罪になる。データを持っていただけで逮捕もありえない話ではない。

「そう思うだろ? でもコイツ。成人してるんだぜ。なんせ自動車免許も下にのせてるんだぜ。本名は『白金クリス』って言うらしいゾ。なんでも、レイプされて妊娠した上げく、裸でうろつき回って警察に何度もつかまってるんだってさ。自己PR欄に自慢げに語ってる。おまけにすげーゾ。この無料動画みてミナ!」

 サンチョスが動画を再生すると写真の少女が日本の禁煙所らしき場所にニコニコ笑顔で立っている。

「はじめましてだ! 今日は私が何で肛門おばけと呼ばれているか教えてやるぞ!」

 そういうと、カメラに向かってお尻を突き出した。そこに映し出されたのは赤黒く腫れ上がった肉塊があった。

 人体の構造的に肛門があるはずだ。しかし、それは肛門としてあり得ない形をしていた。

「そいや! おっほぉおお!!」

 そう叫ぶと、肛門にタバコを突き刺しなんとそこに火をつけた。

 画面では金髪美少女が悶えている。やがて火が肛門付近まで迫るとさらに奇声を上げていった。

 火が肛門の奥深くに言えてしばらく立った後、下品な音と共に白い煙がアナルから吹き出た。

 それはまるで肉でできた火山の噴火にも見えた。

「あぎゃああ!!! おじりぃいがぁあ!!! ああぁ……ははは……。ご覧お通り私の特技はケツ穴での禁煙だ! やり過ぎて肛門がおばけのように腫れ上がってしまった! 医者からはもう手遅れといわれたぞ! なので、私の肛門が朽ち果てるまで徹底的にめちゃくちゃにしようと思う!! あわれなケツ穴ジャンキーの墓標に華を添えると思って閲覧してくれ!!」

そういって、動画が終わる。

「凄いを通り越してホラーだろ? 有料の動画なんかは親の前で脱糞して警察に追い回されたり、スーパーで魚の卵を突っ込んで悶えてる所を取り押さえたりと女どころか人間として終わってるって感想ダナ。性的興奮じゃなくて恐いもの見たさで見ちゃう感じで。日本人はこういうのが好みなノカ?」

 浩介はうすら笑いしかでなかった。日本人を誤解されたくないが、見た内容が内容なだけにどう答えた方がいいかわからなかった。

「あー。でも、この肛門おばけが気に入ったのなら残念ダナ。ついこの間の配信『魚卵に飽きたので両生類の卵を産卵してみた』って題でな。蛙の卵を手に入れる為に、ペットショップに突撃してたよ。卵が売ってなかったので怒って、でかい蛙をケツ穴に突っ込んだんだ。『卵を産みつけろ〜! 蛙とアナルセックスじゃ〜』ってな。さすがに店員にとり押さえられそうになった時、いきなり固まってお腹を押さえたと思ったら股間からドバーって液体を垂れ流してナ。『は……破水しちゃった……』ってそのままうずくまって終了だよ。さすがに筋金入りの変態でも出産直後じゃ動画投稿できないだろ。ははは……いや、すまん。しそうだわ。コイツなら」

 話を聞くだけで浩介は気分が悪くなった。

 そんな事をする女性がいる事も信じられないし、それが自分と同じ日本人だと言う事もだ。

 もしかしたら、気付かなかっただけで自分と愛する真美のそばにいたと思うとぞっとする。

「後、おすすめとしてはこいつダナ」

 サンチョスがまたサイトを操作すると、今度は別のページになった。

 そこに映っているのは着物とびしっと着こなした黒髪が美しい和服美人がでてきた。

 さっきまで、肛門おばけという汚らわしい物を見ていたため、故郷を思い出させる美人に思わず身を乗り出す。

 だがその下の写真を見て浩介はカウンターをくらった。

 お尻を丸出しにして、前屈をし、股の間から満面の笑みでピースをしている下品な写真だ。肛門も丸見えな上、股の間にはピンク色の芋虫のような物がぶら下がってる。

「顔を隠すどころか全部みせてるんダゼ。初めて見たぜ。子宮脱ってやつ。こんな美人なのになあ。そうだ。コースケ。こいつのHNなんて読むんだ? 見慣れない漢字なんで読めないんだよ。仲間内じゃブラブラジャップガールって呼ばれてるんだ。子宮をブラブラさせて喜んでる日本のバカ女って意味で」

 日本の女性をバカにされているが、これは言われても仕方がないと浩介は目を覆う。

 詳しく見たくもないがお世話になってるサンチョスの願いだ。

 浩介は仕方がなくページに書かれている内容を確認した。

「え〜と。ああ……これは『フジナダ アスカ にくおな……』。……『フジナダアスカ』って読むんだよ」

 HNの後半に書かれている文字を口に出して言いたくなかった浩介はぼかして伝える。それと同時に自己PRに書いてある所も見えてしまった。

「(おいおい……藤灘って超有名な呉服屋じゃなかったけ? 財政界やセレブしか入れないような……政界にも顔が利いて……って母親の名前は選挙報道で見た事あるぞ! まじか! これ、スキャンダルどころじゃないぞ!!!)」

 書いてある事が、本当でも偽証でも大騒ぎになる内容であるため、浩介は怖くなった。

 だが、そんな浩介をよそにサンチョスは笑いながら画面を指差す。

「そっか。フジナダアスカっていうのか。あとでみんなに教えてやろっと。こいつはある意味伝説なんだ。一番最初に投稿した動画なんだがな。キモノを着ていたんだがいろいろきられてて乳首や股間が丸見えなんだよ。そんな格好でいきなりジダイゲキ……? だっけな。そこにでてくるような台詞を叫んだんだ。控えオロ〜。このコーモンが目にはいらぬカ〜!って」

 サンチョスは思い出し笑いが止まらないようだ。

「その後、画面のまえで、日本の女性は昔は子宮をぶら下げてすごしてたなんて言い出してな。何でも外にだすことで鍛えて立派な子供を産めるようにって……。そんなことを真顔でいうんだぜ。ありえないダロ?」

 サンチョスの言葉に浩介は芯がない笑いしかでなかった。

「その後もいろいろ凄い事をしてたんだけど、そしたらいきなり父親らしき男が乱入して、ブラブラガール……じゃなかったフジナダアスカをみて固まってな。でも、フジナダアスカは慌てる事なく振り返って「どうかしましたか? お父様」って。親にあんな姿見られてそれはないだろ? 次の瞬間、親父が、真っ赤な顔になって、フジナダアスカをひっぱたいたんだ。全力で。人ってあんな風に吹っ飛ぶんだナ!」

 父親が娘のそんな姿を見たら、当然そうするだろうなと浩介はその父親に同情する。

「吹っ飛ばされたフジナダアスカはひっくり返ってカメラと一緒に倒れてナ。そしたら、ブラブラしてた子宮がカメラにべちょっとくっついたんだよ。子宮のドアップさ。その後、子宮がずり落ちると怒声を通り越して奇声で怒鳴る親父と、すすり泣いて崩れ落ちてる母親らしき女が映って終了だ。いや、マジで修羅場ってのを言葉ではなく頭で理解しタヨ。ははは!!!」

 サンチョスは大笑いだが、浩介は笑えなかった。

 そんな変態と国籍が同じな事を恥じたくなったが、冷静になり頭をふった。

 日本国民が変態ではない。変態がたまたま日本に生まれて住んでただけだと。

「まあ他にもいろいろいるんだけど、ここら辺は上級者って感じだナ。あまりにもキチガイすぎて!! 女じゃなくいかれた生物見てる感じだよ。こんな奴らが町中をうろついてるんだから日本ってほんとクレイジーだよ!」

 サンチョスは冷蔵庫から缶ビールを取り出し、飲み始める。

「あ! そうだ! コースケにもう一人見てほしい女がいるんだ。HNが日本語らしいんだが漢字が読めなくてさ」

 そういって再びサイトを操作する。サンチョスは日本語において会話がペラペラだが、読み書きにおいてはそこまで堪能していない。

 平仮名・カタカナくらいならいけるだろうが、漢字だと読めない物もあるだろう。正直、見たくはないが普段お世話になってるサンチョスの頼みだ。浩介は画面を覗き込む。

「え〜と。これは……『お下劣チンポ狂い人妻マ☆ミ』……だな。って、真美??」

 浩介は思わず目をこする。見間違いだろう。たまたま同名だろうと自分に言い聞かせる。

「(……ま……マミなんてよくある名前だ。同じ名前で結婚している人なんてそれこそ大勢いるじゃないか!!)」

 浩介の困惑のあまり固まってるのに気がつかず、サンチョスは頷く。

「へえ〜。そう読むのか……アリガトな」

 サンチョスはマ☆ミのページを開く。浩介はページを開いて一番にでてきた写真をついみてしまった。もし、マミだったらどうすればいいのか。

「……んん!!? これは……顔が隠れて……」

 映し出された写真にはメタリックブルーのマイクロビキニでセクシーポーズを着ている女性だ。

 スタイルはいいが、顔はサングラスとマスクで隠されている。

 髪はウェーブのかかったロングヘアだが明らかにありえないドピンクに染められている。

「(これは……真美……か? にたような体型……にも見える……髪型も似ているけど真美がこんな色に染めるか??)」

 全然違うなら安心したが中途半端ににており、顔が断言できないため、絶望もできない。

 あまりにも、もやもやしたのでつい浩介はサンチョスに訪ねてしまった。

「こ……これ……さっきまで進めてた女性と違って顔が見えないけど……」

 聞いておいてなんだが、この手のサイトで顔を隠しているのは当たり前だ。先ほど見た女性達の方が異常なのだ。

「ああ。それはどうやら外国に出稼ぎに行ってる夫にバレたくないらしい。ただ、有料の方では顔がわかる動画を出してるから意味ないと思うけどな。夫とSEXできなくて近所にいる男から犯してほしいならこのサイトに投稿シロと言われてしてるんだから……こんな女と結婚した男がかわいそうだぜ! あははは!!」

 

 もしかしたらそのかわいそうな男が目の前に存在している事をまったく気にせず、サンチョスは笑う。

「ん? なんだ? もしかしてコースケは行為のが好みなのか? わかる。わかる。愛する女とヤリタイ女は一緒じゃないって。そこら辺は理解できるゼ! よーし。折角だ。最新の動画がアップされてるから一緒に見るか? お代は半々ナ!」

 そういって、動画を再生しようとするサンチョス。

 浩介はいつもなら断る所だが、このお下劣チンポ狂いマ☆ミが自分の妻の真美か確かめたくなった。

 いや、確かめなければ仕事どころか寝る事もできない。

 そうして再生された動画は携帯で撮影された動画みたいだった。

 どうやら、中年の男がもっているらしく、階段を上がっている所だった。

 やがて男は廊下にでる。どうやらマンションらしく、いくつものドアが並んでいるのが見えた。

「(こ……これって家のマンションの廊下……だよな……? 似ているような、そうでないような……くそっ!! 向こうの新居には指で数えるほどしかいなかったから断定できない!!)」

 そんな事を考えていると、すぐそばのドアが空き、何かが飛び出してきた。

 それは、純白のパンティーをマスクのようにかぶり、メタリックブルーのマイクロビキニを着た痴女だった。

 レース付きの高級そうなパンティーを足の穴から瞳が見えるようにかぶっているため正体が分からない。

 髪の毛がドピンクのウェーブヘアーなため、これがマ☆ミなのだろう。

 写真より露出は増えているがまだ、真美なのか判断がつかない。

 真美であってほしくないという思いが強いのに、画面の中でお下劣にポーズをとるマ☆ミが真美の記憶とかぶる為、歯を思いっきり食いしばってしまう。

 サンチョスがいなかったら画面を揺さぶっていたかもしれない。

「とぅるるるぅう〜♪ 野生のお下劣チンポ狂い人妻が現れた〜♪ 野生のお下劣チンポ人妻は通行人を逆レイプすべく襲いかかってきた! とぅわ♪とぅわ♪とぅるるっる〜♪」

 画面の中のマ☆ミは昔のゲームのようなBGMを口ずさみながらがに股で万歳をしながら、通せんぼしている。

 声の方は口の前にパンティーの布があるせいでくぐもっている上、マイクが悪いのか、これもはっきりしない。

「(なんだ! これは! 入ってくる情報どれもがはっきりしない!! ねらっているのか!!)」

 意地悪いじらしをされてるようでさらに浩介のいらだちは募る。

「お下劣チンポ狂い人妻の攻撃! 人妻スラッシュ!! あひいいぃい!!」

 マ☆ミはマイクロビキニを食い込ませて、悶える。

 明らかに携帯を持っている男に見せているが反応がない。

「ああ〜ん! こんな恥ずかしい事してるのにぃ〜! 効果は全然ないようだ! とるるっる〜♪ お下劣おチンポ狂い人妻は慌てているぅ〜♪」

 身もだえながら叫ぶマ☆ミはどうやらゲームにでてくる雑魚敵に扮して男をさそっているようだ。

「あっ! あっ! お下劣チンポ狂い人妻のこうげ……え? 声が小さい? ひぃ……ひぃい……これ以上騒いだら、近所の人にばれちゃいますぅ……。え? あ? それならもういいって!! 待ってください!! もうお預けはいやです!! だします! だします! 声も大事な部分も出します!! 私の一番は貴方なんですうぅ!!」

 そういって、マ☆ミはマイクロビキニの下の部分をずりおろした。

「お! ……ぉお……お下劣ー! チンポぉー! 狂い人妻の攻撃きぃい!! お下劣チンポ狂い人妻はぁあー!! 腰振りダンスを始めたぁあ〜!! あは〜ん! うふぅ〜ん! もうがまんできなぁ〜いいぃ〜♪」

 腹の底からというよりひねり出すようにマ☆ミは叫びだす。がに股で腰を振りながら懇願する姿は必死すぎて興奮よりも引いてしまう。

「あっつははは! このヒトヅマ! 必死だな。 欲求不満にもほどがあるだろ? ダンナはなにしてるんだろうな? コースケ?」

 必死に媚びる女を笑うサンチョスに対し、コースケは笑えない。

 真美かもしれないという気持ちが頭の片隅にこびりついて興奮する事も軽蔑する事もできないのだ。

「ああ! 聞かれちゃう!! え?! 騒ぐから、ドアを開けてみてる奴がいる?!! いやっ!! ふえ……もっと騒がしく? あっ……ぁあ……あああぁ……。とぅるるっる〜♪ お下劣チンポ狂い人妻の攻撃は効果がないようだぁ〜♪ あうぅ……。お下劣チンポ狂い人妻はレベルが上がったー! 変態度が2あがった! 品格が10下がった! 評判が100下がったー! うぅう……ああぁ……違うんです! 違うんですうぅ〜」

 頭を振りながら、マ☆ミは腰を振りをやめない。そんな、マ☆ミの髪をカメラを持っていた男が掴み引っ張る。

 そして、マ☆ミの身体をドアに押し付けた。

「ひぃ!! あっあぁ……! ど……どうしたん……あひいぃい!! こ! こんなとこにょでえええ〜〜!!」

 ドアに顔と手をついてお尻を突き出した格好になったマ☆ミの後ろからカメラを持った男が襲いかかった。

 コースケは思わず、身を乗り出した。愛しい真美(かもしれない)がレイプされているようにしか見えなかったからだ。

 しかし、画面から聞こえていた声に動きが止まる。

「あん! あん! ああぁぉああ〜♪ 久々のチンポ〜♪ いいぃい! ひっぃん!! おっ! おぅ!! 奥まで届いてるうぅ〜!! もっと! もっとぉお〜〜♪」

 マ☆ミは嫌がるどころか、歓喜の声を上げて腰を突き出している。

「だ! だしてええ!! おチンポの先から!! 子宮でごくごく飲みたいのお!! ごめんなさぁいい!! ご近所の皆様ごめんなさいぃ!! あの人のチンポじゃあ全然物足りなくて欲求不満なののぉお!!!」

 そう叫んだ後、マ☆ミがのけぞり、激しく痙攣する。

「あっ!! あああああ〜〜!! ………おぉ……中に……どくどくぅって……たまんないぃ……」

 中出しをされたようで、動きが止まるが嫌がるどころか幸せそうに震えている。

 そんなマ☆ミに対し、犯した男はケツを叩いて正気に戻させる。

「ひぃっ! ……え? あ……ドアの開けて見ているお隣さんに説明しろ? あぁあ……た……田中さんの奥さん……あの……こっこれは……その……」

 バックの体勢で結合したままのマ☆ミが顔だけ横を向けると目が見開き慌て始める。

「あっ! あっ! 中でおおきくぅう……あの……これは……お……犯されてるのではなくてですね……ううぅう……。これは!! 私が夫とのSEXが全然物足りなくって!!  野生のモンスターごっこをして遊んでもらってただけです!! この人はわるくないんです!! 私はこんな変態プレイが大好きなのに! 夫は外国に行ったきりで戻らず、身体がおチンポをお求めちゃったんですうぅう!!」

 恥ずかしい宣言をした後、マ☆ミは終わったという顔で壊れた笑いをしている。

 そんな姿を見てカメラを持っておかしている男はゲラゲラと笑っていた。やがて、荒々しくドアを閉める音が聞こえた。

「うぅ……ああ……。どうしよう……。え……明日、この格好で菓子折りとお気に入りのバイブをもってあやまりにいってこい……ですか?!? ……そんなことしたら!! あひっん! はい! はい! わかりました!! だから、チンポを抜かないで!! ああ……」

 ひどい目に遭わされているのにマ☆ミはチンポを動かされただけで素直にしたがっている。

 まさに、名前どおりのチンポ狂いだ。やがて、すすり泣いていたマ☆ミの声が甘い喘ぎ声にかわっていった。

「んん……あぁはぁ……。はい……謝りにいく直前におなにぃですねぇ……。おお……気持ちいいぃ……あの人と全然……いい……。え? 中出ししてもよかったのか? はいぃ……この前、あの人が帰ってきていましたので、妊娠しても疑われないですぅう……。いままでコンドームがあって不満でしたけどぉ〜。これからは、いくらでもぉ……おぉお!!!」

 再び、悶えるマ☆ミの言葉に今まで不快で目を背けていたコースケは顔を上げる。

「(いま、この前帰ってきたっていったよな。俺はこっちに来てから一度も帰ってきてないし……。ということは、これは真美ではない?)」

 今まで、真美ではない確証が得られなかったが、先ほどの言葉でコースケは画像を見始めてから初めて安堵した。

 もちろん、いろいろ似ている所があり、完全にシロだとは言い切れない。ただ、浩介の中では限りなくクロから限りなくシロになった事でイヤな気分ではなくなった。

「いや〜。こいつはいかれてるって言うより、どうしようもないって感じダナ。妻や子供がいて遠くで働いてる男としては、できるだけヒドイ目にあってもらいたいな。コースケもそう思うだろ?」

 サンチョスの言葉にあわてて、浩介が答える。

「あ……ああ。そうだな。一生懸命働いてる旦那さんに同情するよ。まあ、動画から見る限り、これから近所から軽蔑の目でみられるはずだから……」

 下手をすればすんでいるマンションから追い出される事もありえる。

 そんな事になったら旦那さんにどう説明するのか。離婚されるだろうか。

 浩介はそんな事を思いながら見ず知らずのマ☆ミの旦那さんに同情した。

 同時に、優越感も感じていた。自分が愛した真美はマ☆ミと違うこと……いや、比べるのが申し訳ないほどの妻だということを。

 そんな事を考えてると画面に変化があった。

「ひぃ…ひぃ……あ……す……すいません!! もうすぐ夫とテレビ電話する時間なので……え? このままつながったままで? ば……ばれます! そんな事したらばれっ!! ああぉっうん!! ……うぅ……ひゃい……わかりましゅたぁ……。お下劣チンポ狂い人妻が取り繕ってしゅいましぇん……。あっ! あっ! ひゃい! おねがいしましゅ!! どうか、つながったまま電話しゃせてくだひゃい!! 夫の顔を見ながらまみのおまんこかき回してくだひゃいいいぃい」

 そう叫ぶと、悶えながらマ☆ミは玄関のドアを開ける。玄関のレイアウトは浩介がかったマンションと似ていた。

「(記憶が曖昧だから確証がないけど……これやっぱり家のマンションじゃないか? となると、真美のそばにこの変態女が住んでるってことか? メールで注意……いや、一度帰国したほうがいいかも。もし、本当なら引っ越しも検討しないと……)」

 そうこうしていると、マ☆ミとつながっている男は玄関に入る。

「あぁ……。ううぅ……。ど……動画をお楽しみの皆様。お下劣チンポ狂い人妻マ☆ミのチンポ乞食姿を楽しんでもらえたでしょうか? もし楽しんでいただけたら次回の動画も購入おねがいいたしますうぅ……。皆様から恵んでもらったお金を渡さないとおチンポを恵んでもらえないんですうぅ。そんな事になったら死んでしまいますうぅ」

 懇願を通り越して、媚び諂う姿は文字通り乞食か中毒者にしか見えなかった。

 浩介はこんな女と結婚し、本性を知らされていない旦那に心底同情した。

「う……うごいてぇえ……はひ……。じ……次回の動画はぁ……あん!! お下劣チンポ狂い人妻マ☆ミの『ドキドキ! 旦那にばれずにテレフォンSEX』でっす! ばれたらそく離婚のチャレンジですがぁ……はぁん♪ 中出しを一杯してくれるというのでたのしみですうぅ!! ぜひ、ごらんくだしゃいいぃ」

 そう、叫ぶとマ☆ミは結合したまま身体を回しながら引き起こす。

 そしてカメラで撮影していた男性に抱きついた。マスクにしていたパンティーをずらし、唇にふしゃぶりつく。

「じゅる……んっは……んんうぅ……。愛してまじゅう……。ちゃんと言う通りにできましたでしょう……? これからも何でも言う事聞きますからおチンポをください……。もうこれがないの生きていけないんです……。店長……いいえ、旦那様ぁあ……。おチンポをお恵みいただけるなら、家にいくらでもいてくださぁいい♪ 家事は全部私がしますうぅ……。旦那様好みに作った得意料理のビーフシチューもできてましゅう♪ ATMとのテレフォンSEXが終わったら召し上がって……あひいいぃい!!」

 媚びるように抱きついていたマ☆ミが盛大にのけぞった所で動画が終わった。

 動画が終わった画面を見ながら浩介はため息をついた。

「(まったく……ビーフシチューが得意? そんな所まで似ているのか……世の中にはそっくりな奴が3人はいるというが、そのうち1人がこんな変態だと他の奴はとんだとばっちりだな。通報したほうがいいのだろうか?)」

 そんな事を考えていると、サンチョスが上機嫌に話しかけてきた。

「ひゅー。相変わらず、期待を裏切らなかったな。テンチョーの作品は」

 飲みかけの酒を口に含みながら、早速感想を書き込んでいる。

「テンチョー? どういう意味だ?」

 浩介の疑問にサンチョスは答える。

「ああ、このマ☆ミもそうだけど、肛門おばけやブラブラガール……じゃなかったフジナダアスカの動画の中に必ずでてくるんダヨ。テンチョーってやつ。実際に撮影シテたり、犯してたり、でてなくてもそいつが命令を出しているようだったり。スゲエよなあ。こんな変態達何人も飼ってるんだから。さすがサムライの末裔だぜ」

 感心しているサンチョスをそばに、浩介は又考え込む。テンチョー……店長。先ほど真美と話していた為、どうしても連想してしまう。

 真美の話では前任者から変わった後店をもり立てて優秀そうだが、もし店が入っているマンションの住民とこんなふしだらな行為をしているなら問題だ。

 本部に連絡しようと思ったが、確たる証拠もない。他の画像を見てみればわかるかもしれないが、あのキチガイ動画をお金を払ってみなければならない。

「(そこまでする必要はないか……。真美にメールで同じマンションで奇行をしている女がいないか、いても関わらないように注意するだけで……。……やっぱり、近々一度帰国しよう。それではっきりする。調整が必要だからすぐにとはできないけど一ヶ月後なら……)」

 そんな事を考えてると、サンチョスが笑いながら声をかけてきた。

「どうした? コースケ? さっきのマ☆ミが気に入ったのか? ズボンがパンパンじゃないか? パソコン貸そうか? 他人に見られながら処理は気になるだろうし。俺は明日は遅番だからあとでもいいぜ」

 サンチョスに言われて、浩介は視線を落とす。言われた通り、浩介のイチモツは今にも暴発しそうな位膨張していた。

「い……いや! いい。明日も早いから先に寝させてもらうよ……。動画の代金は明日払うから!!」

 そういって、浩介は素早くベットに戻る。変態だったとはいえ愛する真美にいている裸と痴態をみて勘違いしてしまったのだろうか? 

 後悔と罪悪感を晴らすため、布団をかぶりながら、帰国する為の手回しを考える。

「(ええっと。一ヶ月後とすると飛行機のチケット……じゃなく、業務調整が先かな。こっちでの月による人でのピークがわからないから、業務を開けれるかを確認して……あ! 本社にも連絡しないといけないな。さすがに駄目とは言われないよな……結婚してすぐ飛ばされたんだから経過報告もかねてしてもいいはずだし……)」

 そんな事を考えていると、パソコンの方に向き直したサンチョスが声を掛ける。

「わかった。それじゃあオヤスミ。ああ……あと日本のお土産ありがとな。みんな喜んでいタゼ。久々の帰国は楽しかったか?」

 サンチョスの言葉に、浩介は混乱し跳ね起きる。

「え? は? さ……サンチョス! 何を……俺、いつ帰国した?」

 浩介の言葉にサンチョスは首を傾げる。

「? どうした? 何を言ってるんだ? 一週間前に戻ってきたじゃないカ。経過報告もかねて。業務に穴を開ける事になるんダガ、新婚直後に派遣されたってことでみんな同情してなんとかやりくりシタんだぜ。上の方もそういう事情だから帰国しても出社するのも一日だけで後は奥さんとすごせるようにって。そのかわり、最低でもこっちが軌道にのるまで身内の不幸以外帰れナイって笑いながら言ってたろ?」

 サンチョスがふざけるのではなく心配な顔をして答えているのを見て嘘を言っている訳ではない。

「え? ……ええ?!?」

 だが、浩介にそんな記憶はない。ただ、一週間前に何をしていたかと言われると思い出せない。

「おいおい……本当に大丈夫か? 帰国ぼけ……じゃなくて奥さんの顔をみてちょっと気が緩んだか? 帰ってきた時に久々に奥さんの手料理を食べたとかオンセン?とか言う所に旅行にイッタって。ケータイの写真を見せてくれたじゃないか」

 サンチョスの言葉に浩介は慌てて携帯のフォルダを開く。確かにそこには温泉街や旅館、サービスエリアや観光地で真美と一緒に撮った写真が入っている。挙げ句の果てに自宅のリビングでビーフシチューを食べている写真もあった。

「(本当だ!! ある!! なんでだ? どうして!! ……いやいや……ちょっと待て!! 観光地なんかはまだしも、何で自宅のリビングで真美と一緒に食事をしている写真があるんだ? この構図は誰かが一緒にリビングにいないととれないだろ?)」

 写真のどれもが片隅に人の指らしき物が写っており、3脚などを使用した物ではない。

 しかし、そのどれも、浩介の記憶にない。写真に写っているのは間違いなく浩介と愛する真美だ。

 とたんに、ベットのマットがぐらつく。いや、世界がうごめいている。

 急に自分の周りにある物が本物なのか自身が無くなってきた。

 浩介は思わず布団をかぶり、瞳を閉じてうずくまる。怖い。怖い。怖い!!

「(真美! 真美!!!!)」

 恐怖から逃れる為に浩介がとった手段は愛するものの姿を思い浮かべる事だった。

 しかし、頭に浮かぶのは、真美ではなく、お下劣チンポ狂い人妻のマ☆ミだった。

 しかも、パンティーを外して丸見えになった顔は愛する真美。

 真美の顔で下品に喘ぐ姿は悪夢以外何者でもなかった。

**************

 所変わって、日本のマンションの一室で店長はビーフシチューに舌鼓をうっていた。

「お! この前よりおいしくなってるなあ。それにしても、ひと仕事終わった後のご飯は格別だね。ねえ? お下劣チンポ狂い人妻マ☆ミ」

 そういって店長は一口食べたビーフシチューが入っている皿を裸で喘いでいる真美の背中に載せる。

 キッチンの流しの上で真美の上半身を寝そべらせ、下半身は結合したままと言う、変則的な立ち食いスタイルだ。

 ちょっとお行儀が悪いが、ここは真美の家だし汚れても片付けるのは真美なのでかまわない。

「はひっ! う……うれしいですぅ……前作ったのは浩介の好みだったので……今日のは旦那様のお口に合わせるように作りましたぁ……♪」

 裸でキッチン台に押し付けられているような格好だが真美は嬉しそうだ。股間からは体液と精液が垂れてひどい事になっている。床にはごまかすために着ていたシャツと染める前の髪色と同じカツラが脱ぎ捨てられていた。

「何が旦那様だ! お前には愛する夫がいるんだろ? さっきもテレビ電話で顔をみながら愛してるって叫んでたじゃないか?」

 店長が腰を突き出すと、真美は首を上げ舌を突き出し喘ぐ。

「おごおうぉおお!! ち……違いますうぅ……。愛してるのは旦那様ですぅ!! 画面に映っていたのは書類上の旦那……いいえ! ただの同居人ですう!! お許しになるならすぐにでも離婚しますうぅ」

 真美の言葉に店長は笑いながら腰を動かす。

「この最低! 一生懸命外国で働く夫をないがしろにして! このチンポ狂い! さっきの撮影もそうだが一時だけでもまともな風に取り繕って!! お前にそんな資格があるとおもうか?」

 喘いでいる真美の頭を再びキッチン台に押し付ける。

「ひぃいい! ありませんんぅ……。私はチンポ狂いですう。おチンポの為なら何でもしますうう。ごめんなさぃい。ごめんなさいぃい。ありがとうございますう!! 気持ちいいぃ!!」

 頭を押さえつけられてるのに腰は嬉しそうに動かしている。刺さっているチンポに対し、どこに当てると気持ちいいか探しているのだ。

 そんな真美の姿に店長は満足する。振り返ると肛門おばけや子宮脱お嬢様は壊しすぎてマニアック向けすぎた。

 動画の売り上げはいいが、そういう意見もあったので今回はちょっとマイルドにするべく仕上げてみた。

 うまく、チンポ狂い人妻にできたと思う。

「昔、見かけた時、美人だからキープしておいたけど、2〜3回やっただけで飽きちゃったんだよなあ。ショーウィンドウ効果っていうのかなあ。手に入れられない所から見ると実際よりすばらしい物に見えるって奴。まあ、こうやって再利用して楽しめてるからいいけど……」

 バイトリーダー時代、叱られてる横で真美を見かけた時、夫らしい男と並んでいた所はまさに美人妻って感じだった。

 それが今ではチンポ狂いのメス犬だ。そう思いながら、真美が作ったビーフシチューを食べる。

「うん。やっぱりうまいな。このシチューの味に免じて、マ☆ミがサイトの閲覧ランキング上位にはいったら、離婚させてやるぞ。ポー助か? あれ? ダメ助だっけ名前?」

 店長の台詞にお尻を押し付けながら真美は甘えて答える。

「ああん♪ ちがいますよ〜。こう……あれ? 何で呼んでたっけ?? そんな事より、本当ですか? 離婚を許してくれるって!!」

 真美の頭にはチンポと離婚できる事でいっぱいになり、外国で働いている浩介のことなど塗りつぶされていた。

「ああ。本当だぞ。そのためにこの前帰ってきてもらったんじゃないか? 一緒に温泉に行っただろ?」

 店長の言葉に、とろけ顏で真美は思い出す。

「おおおぉお……ああ! はい! 一緒にいきました! 旦那様と! そういえば一緒についてきてましたね。運転手や荷物持ちとして!! そいつと一緒に写真撮った後、カメラマンもしてくれました!!」

 普段は気が向いた時、それも数時間しか相手にしてもらえないのに、その時は二泊三日、丸で夫婦のように旅行したことを真美は覚えている。

 豪華な旅館に店長と夫婦という設定で止まり、新婚のように扱われるのはとてつもなく幸せだった。

 本当は二人っきりがよかったが、時々そいつとまるで夫婦のようにして写真を撮られた事が何より不満だった。

 旦那様である店長の命令でなければひっぱたいていた所だ。

「おいおい。ひどいなあ。一応、そいつと真美の夫婦旅行って建前だったんだぞ。まあ、アリバイ写真を撮る以外は雑用だったけど……。おかげでいい材料を手に入れたんだからそんな邪見に扱うな」

 そういって、店長はある写真を取り出す。そこには浩介と厚化粧のおばさんがラブホテルらしき場所にいちゃいちゃしながら入っていく所だった。

「折角の夫婦見ず知らずの旅行の夜、妻をほったらかして場末スナックのママをラブホテルに連れ込む夫。離婚するのに十分な材料だろ? いや〜いい感じのババアがいてよかった。ちゃんと一晩中子づくりをするように命令しておいたからね。単身赴任でたまっていたのをめちゃくちゃすっきりできたんじゃないかな? 2晩続けて!」

 そんなことを言う店長に真美はうっとりした視線を送る。これが本気で惚れるということなのかと実感する。

 この人の言う事を聞いてれば何も問題ない。どんな結果になってもなんとかしてくれる。

 命令を守りチンポを咥えていればいいのだ。

「ああぁ……愛していますぅ……世界中の誰よりもおぉ!! これからもよろしくお願いしますう!! あん! はぁん!! 離婚予定の旦那の私物は全部処分します。プレゼントされた物も売ります!! お下劣チンポ狂い人妻の真美を末永くよろしくおねがいしますうぅう!!」

 そんな事を叫ぶ真美を見ながらいつ、サイトに顔出し写真と本名を載せるか店長は考える。

 一度、本社にいって真美の旦那の仕事の状況を確認して戻って来れない時期にしないといけない。

「う〜ん。この前の報告ではうまく言ってなかったはずだよな。とりあえず、遠くにいかせる為にプロジェクトの内容を変更させたけど……やっぱ素人の浅知恵じゃあうまくいかないか……まあ、失敗すると思ったからあらかじめ予算を削減させたから経営は問題ないけど……」

 当初の予定では一大プロジェクトになるはずだったが、真美の夫が邪魔だったのでそいつを遠方に行かせる為に利用させてもらった。

 当初は北米に出店予定だったのを地球の反対側のブラジルに変更させた。

 流通網も整備すべく子会社を立ち上げるつもりで人材・資材も送る予定だったが、現地に出張所程度の物を作って責任者として一人行ってもらった。

 厳しい環境かもしれないがそのかわり、成長してあげた手柄は全部浩介の物になるようにしている。

 せめてものご褒美だ。まあ、うまくコンビニを作って運営できるならだ。

「あ〜やめやめ。こういう小難しい事は頭のいい奴にまかせるのに限る!」

 店長は頭を振って考えるのをやめた。適材適所。自分は自分がすべき事をするのが一番いいのだ。

「おい! お下劣チンポ狂い人妻! 温泉で買ってきたお土産の温泉まんじゅうがあるだろ? あれをマンション住民に一軒一軒くばってこい。マイクロビキニを着て、まんじゅう一個股間に入れてな。ちゃんと、好きな事は『雑魚モンスターなりきりごっこ』だって説明するんだぞ。部屋番号も」

 そういってケツを叩くと真美は跳ね上がり、背中に乗っていたビーフシチューの皿がキッチン台の上にひっくり返る。

「あひん!! ああぁ……そんなことしたらマンション中に真美の正体がばれちゃうう……。はい! はい! ばらしてこいっていうんですね。わかりましたぁ♪ もし、男性がでたらチンポ狂いモンスターとして襲っていいでしょうかぁ」

 チンポを咥え込んでいる真美のマンコの締め付けが強くなる。

「いいぞ。ただし、すぐにやられろよ。雑魚モンスターなんだからな。それにしてもなんだな。ただ、チンポがめちゃくちゃ気持ちよくなるってだけ仕込んだのに。それがここまで変態になるんだから。一体、今まで何を考えていきてきたんだか」

 真美は店長に始めておかされた事を思い出す。

 無理矢理犯されてるのに周りは助けてくれない状況の中で、警察手帳らしき物を見せられた後今まで一番の快感に溺れた。

 その後は、その快感が忘れられず、こんな所まで堕ちてしまった。

 現在、夫を捨て、全てを貢いでいる状況なのに、便利な性処理穴……いや玩具程度にしか思われていない。

 この部屋にくるのも店長のコンビニの真上にこの部屋があって便利だからだ。

 鍵や権利書は既に渡してあり、ここは真美と啓介の家というより店長のやり部屋になっている。

 真美が夜ベットで寝ていても、店長がつれてきた女とやる為にベットから蹴りだされる事もある。

 そんな時でも、真美はすぐに寝室からでて、店長の為に風呂を沸かしておいたり、夜食などを用意する。

 そして、店長が変える時必ずチンポをねだる。

 これは店長がしつけた訳ではない。真美は最初の一回しか手帳を使ってない。それなのにこうなった。

「何をですかぁ〜♪ そんなのおチンポですうぅ……なんせ真美はお下劣チンポ狂い人妻ですからぁ〜♪ 人妻を名乗るために結婚しただけなんですうぅ」

 そう、にやけながらキッチン台にこぼれたビーフシチューに舌を伸ばし、舐めた。旦那様である店長の部屋のキッチンを汚したままにしておけない。

「れろぉ……。そう……そうよぉ……。もう結婚して人妻になったんだからいつ離婚しても問題ないですう。それなのに、ばれたくないからってカツラや顔を隠して……恥ずかしいぃ!! お願いします! 写真やHNを変えさせてくださいぃ!! 世界中に真美は旦那様のものだってみせたいんですう!!」

 身体をくねらせ、おねだりする真美を見て店長はこんな女と結婚はしたくないなと思った。

 オマンコ婦警は肉体的に結婚する価値もない。

 肛門おばけや子宮脱お嬢様は生理的に無理だがかわいげがあった。

 しかし、このチンポ狂いは精神的に嫌悪感がある。

「はあ……最近ははずれが多いなあ……。昔に戻れたら美人だからって全員気持ちいい訳じゃないぞって自分に教えてあげたいよ」

 風俗に行ってパネルマジックに騙された気分になった店長はチンポを引き抜き、無言で新しい皿を取り出しビーフシチューを盛りつけ直す。

 いろいろ仕込んだ割には満足に行く結果を得る事ができなかった。

 得た物はこのビーフシチューくらいだ。ため息をつきながらテーブルに座って食べ始める。

 いきなり、チンポを引き抜かれて放置された真美は混乱し、こぼれたシチューを舌で全部奇麗に舐めとると、テーブルのすぐそばの床に正座した。

 だが、店長がいつまでも無反応なので困惑する。

 やがて、何か気付いたかのように立ち上がり、奥の部屋に駆け込んでいく。

 しばらくして、両手に温泉まんじゅうが入った紙袋をもち、メタリックピンクのマイクロビキニをきた真美がでてきた。

 下半身のマイクロビキニにはまんじゅうが入っているのか膨らんでいる。

「あ……あのっ! この格好でよろしいでしょうか!! 今から、マンション全部の部屋にいってお土産を配ってきます!!」

 真美は腰を前後にふって、股間にまんじゅうを仕込んでいる事をアピールする。

 だが、店長はビーフシチューを食べながら、テレビをつけた。真美の事は眼中にないようだ。

「ひっ……あっ……。これじゃあ、足りないでしょうか?? それなら!!」

 そういってビキニの上の部分を脱ぎ捨てた。おっぱい丸出しだ。

「お……おっぱいモンスターが二匹現れた〜♪ ぷるっるぷるう〜♪ ……え……あ……あのぉ……」

 丸出しのおっぱいをモンスターに見立ててアピールしても、店長は反応しない。

 真美は何が悪いのか全くわからずおろおろしている。やがて意を決して大声で叫んだ。

「お下劣! チンポ狂い! 人妻! 真美が〜!! おっぱいぶるぶるさせてあらわれたぁ〜!! あは〜ん!! うふ〜ん! おまんじゅうおいしいわよ〜ん♪」

 真美はまだ恥じらいが残っていてそれが気に入らないのだと判断し、全てを投げ捨ててアピールした。

 だが、店長はそんな真美をぎろりと睨みつけ、テーブルを叩く。

「うるさい!! とっといってこい! 後、服なんて着ていくな! まんじゅうはお前のチンポ入れるしか使えない穴にいれてくばってこい! 次くるときまで、まんじゅうを配り終えていなかったらここから追い出すからな!!」

 テーブルを叩く音に腰を抜かした真美は涙目になりながらへたり込む。

 何か言おうとしたが再びにらむと、飛び上がり、マイクロビキニの下を脱ぎ捨た。

 そのまま、ドタバタしながら、まんじゅうをマンコに押し込みながら掛けていく。

 やっと静かになったと安心した所で店長はビーフシチューを味わった。

 しっかり堪能した後、店に戻るべく席を立ち部屋をでる。

 いつもなら玄関のドアに鍵をかけないのだが、ふと視線を横にむけると、全裸の真美が他の部屋のドアにへばりついていた。

「あ〜ん!! お願いしますぅう!! 開けてくださいい!! 殴って追い返してもいいからこのおまんじゅうをうけとってくださいいい!!」

 床には温泉まんじゅうが散らばっている。

「汚いのはわかってますう!! 投げ捨てても踏みつけてもいいです! 私が食べてきれいにしますからぁあ!! 受け取ってくださぁああいい!!」

 ひっぱたかれたのか、左の頬が真っ赤になってる真美がドアにへばりついて懇願している姿はみっともなさすぎたので、写真に撮っておこうと持ったがメモリーの無駄と思いやめた。

 代わりに、真美の部屋のドアの鍵を閉める。真美が持っている鍵は玄関のボードに引っ掛けてあったので、これで入る事はできない。

「……よしっ!」

 変な奴が部屋に入るのは困るためしっかりと施錠を確認した。

 あの調子では全部は配れないだろう。万が一配り終わっても大分汚れているだろうから部屋に入れて汚れては困る。

 だから、鍵をかけた。店に来たら警察に通報して檻の中にいれてもらうと店長は考えながら階段を下りていった。

3件のコメント

  1. 今回も楽しく拝読させていただきました。
    名前を奪うのって興奮しますよね。
    これまで歩んできたであろう人生の全否定と、これから歩むであろう下品で下らない人生の対比がそれだけではっきりするので。
    側から見て下品で下らない人生でしかないのに、それを至上の喜びとして人間を失格していく様なんかおぞましいエロさがあります。
    真美さんはこのままだと離婚もできずにただブタ箱にぶち込まれるだけの哀しい存在ですが、浮気女には当然の報いなのかもしれません。

    あと、サンチョスが普通にいい奴なのが何となく好きです。

    1. 感想ありがとうございます。

      名前を奪う・変えるっていうのは相手を完全に支配している証拠というつもりで書いています。
      なので、私の作品ではそうなったら逆らったり、支配からにげるってことはおきません。
      意図しない方向に自分で転がり落ちることはありますが……。
      後、真美はそんな生易しい目に合うだけなんてありませんので……ご期待ください。

      サンチョスはいいやつですよ。おまけにできるやつです。上層部が半年足らずでつぶれると思っているこの事案。
      曲がりなりにも少しの赤字で続けていけてるのは全部彼の手腕です。
      浩介? 彼は現在のところ日本語の書類翻訳要員です。ただ、サンチョスは英語なら読み書きはばっちりなので、本社が報告書など英語対応OKにするならいらなくなりますね。サンチョス、マジ優秀。

  2. 読ませていただきましたでよ~。

    今までの人たちの末路が動画でアップされて更に社会的に終わっているのがなかなかきついのでぅ。
    しかも、本人たちはそれを喜んでやっているところに恐ろしさを感じますでよ。
    そんなことをさせても動じない店長が真美さんには引いているのがこれからの所業の転機になればいいなぁとか思ったり思わなかったりw

    であ

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