第4話 《 1 》 朝、登校する生徒達の間に『彼女』の姿を見かけたときには、思わず笑ってしまいそうになった。 あんなことがあった翌日なのに、きちんと学校に来るとは。 愉快な気持ちで、教室に入る。 だけどそんな気分
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ガツン(?)
(『ガツン』は、ジジさんの作品です) ──『ガツン』。 数年前から認知され、世間を騒がせている現象の通り名だ。 何の前触れもなく、町の住民の後頭部から鳴り響く、“ガツンッ”という音。それとともに、彼らは突然おかしな
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ またまた、そのいち
またまた、そのいち 《 1 》 (あ……っ!?) 高校からの帰宅途中、いつもの電車に乗る詩央(しお)の腰に、誰かの手の平がぺたりと触れた。 夕方の帰宅ラッシュアワー、ぎゅうぎゅうの満員電車の中だ。なにかの弾みでも起き
もっと読む指人形 3
第3話 《 1 》 少しだけドキドキしてしまっているのを隠しながら、僕は扉をくぐる。女の子の部屋にはいるのは、正直これが初めてだった。 「ふーん。やっぱり、ちゃんと片づいてるんだ」 麻美さんの部屋の中は、本人のイメー
もっと読む指人形 2
第2話 《 1 》 僕は待ち合わせ場所で、ぼんやりと空を眺めていた。 先にここについて、もう15分ほど経っただろうか。その間、あまり広くはないこの裏通りを通り過ぎる人や車は、ほとんど無かった。 普通、待ち合わせ場所
もっと読む指人形 1
第1話 《 1 》 「いってきます」 僕は、そう言って家を出た。 誰も居ない家の奥に向かってそう声をかけることが、あまり意味のないことだというくらい、もむろん分かっていた。 だがそれでも、つい口にしてしまう。習性な
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ その後の、さん
その後の、さん 《 7 》 ―――― そして『私』は、夢と現実とを重ねる。 「ふうっ、は……あ、ああ……あっ…」 ベッドの上、舞華は二人に責められていた。 「舞華ちゃん、やっぱり、きれ~だねえ」 そう言いながら、里
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ その後の、に
その後の、に 《 4 》 ―――― そして『私』は、今日も夢を見る。 夢の中、舞華はひとり、公園のベンチに座って、本を読んでいた。 豊かな木々の緑の合間からのぞく空は晴れ渡り、葉をゆらしながら通り過ぎる風が、気持ち
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ その後の、いち
その後の、いち 《 1 》 ──―― 夜。『私』は、奴隷になる。 『うんっ、ん……んぁ、……んんっ』 口の中いっぱいに占める生臭い感じのするそれを、舞華は夢中になって唇で吸い、舌でなぞりあげ、頬の内側でこすりあげた。
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ 後編
後編 《6》 「ああ、が……っ、うううっ……!」 思いの外、痛みはなかった。それでも自分の下半身が収縮し、その侵入者に対して反応をしていることが分かった。 ギリギリと引きつるその中を、熱を持った杭が脈打ちながら突き刺
もっと読むふらっぴんぐ・すり~ぱ~ 前編
前編 《1》 放課後、カバンを背に下駄箱に向かう正田 春人(しょうだ はるひと)に、後ろから声がかけられた。 「ハ~ルく~ん! ちょっと待ってよ~」 ちょっと舌っ足らずな、子供っぽい声だ。 制服の裾を揺らしながら、
もっと読む碧色の黄昏 第四話(下)
第四話(下) 《4》 “シャリン、シャリン……” 板張りの部屋の中、涼やかな鈴の音が響き渡る。 “シャリン、シャリン” それらは部屋の中央で舞う、一人の少女が左手に持つ採物(えりもの)が奏でる音だ。 短い柄に、いく
もっと読む碧色の黄昏 第四話(上)
第四話(上) 《1》 プルルルル……… 電子音が鳴り渡る中、ホームに着いた電車から人々が降り立つ。 足早に改札へと向かう人の流れ。 その中に一人だけ、ホームの中程に立ち止まる人影があった。 「ふう……」 大きな
もっと読む碧色の黄昏 第三話
第三話 《1》 「練習、終わります!」 「「ありがとうございましたっ!!」」 早朝の日が射し込む板張りの剣道場の中に、女生徒達の凛としたかけ声が唱和する。 木観塚 弥生(きみづか やよい)は剣道の面の上にかけてあった
もっと読む夢の続き2 第2話
第2話 僕はぼんやりと、その建物を見上げた。 最近は、家にいてなんとなく落ち着かなかったり、考え事をしたかったりすると、よくここを訪れる。 『県立近代美術館』──10年ほど前に設立された、まだ比較的新しいと言っていい
もっと読む夢の続き2 幕間 1
幕間1 夢を、見た。 翠色の、夢だ。 夢の中、『彼』が私に会いに来てくれた。 ただそれだけで、夢の中の私は幸せだった。 「だけど……」 夢の内容を思い出し、私は憂鬱になる。 彼に、あんな姿を見せてしまった。
もっと読む夢の続き2 第1話
第1話 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗いていた
もっと読む夢の続き2 プロローグ
プロローグ ……人を好きになるということが、こんなに簡単に、自然に訪れるものだなんて、これまで知らなかった。 普通に、普通の人のことを好きになることなんて出来ないはずの、普通の人を好きになる『資格』なんて無いはずの、
もっと読むMy Sweet Sweet Witch
……毎日が、面白くなかった。 繰り返される似たような、学校での日々。大学受験のことしか言わない、母親。ろくに眼を合わそうともしない、父親。判ったような口をききながら、結局他人の悪口でしか盛り上がれない、クラスの連中…
もっと読む碧色の黄昏 第二話
第二話 《1》 …目の前の視野が、すうっと狭まるように感じた。 膝から力が抜け落ち、彼は崩れ落ちるように床に膝をついた。 “ガタ…ッ!”/p> 「きゃっ!」 「先生っ!!」 生徒達が悲鳴を上
もっと読む碧色の黄昏 第一話 後編
第一話 後編 《5》 裕美は、一糸もまとってはいなかった。 服の上からでもはっきりとわかる、その均整のとれた26歳の成熟した肉体が、惜しげもなくさらされている。 仰向けに寝ていてもその存在を主張する、豊かな、形のい
もっと読む碧色の黄昏 第一話 前編
第一話 前編 《1》 “キーンコーン…”/p> 「ああ、時間みたいだな。 じゃあ、今日の授業は、これまで」 教卓の上の資料をまとめながら、和人はそう言って授業を終えた。 「注目~、礼っ」 日
もっと読む夢の続き ending
ending 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗い
もっと読む夢の続き 第五話
第五話 「……あ」 目を、覚ました。 東向きの窓のカーテン越しに、穏やかな光が部屋の中へと射し込んでいる。 どこか遠くで、小鳥の鳴き声がした。 「センパイ…?」 部屋の中を見回すが、誰もいない。 僕は裸のまま上
もっと読む夢の続き 第四話
第四話 昼休み、学校の食堂はいつも通り混み合っていた。 キツネうどんを乗せたトレイを手に、僕は空いている席を求めきょろきょろと辺りを見回す。 「あ……」 空いている席を発見。 しかも、そこには知っている顔が座って
もっと読む胸の中の、ちいさな…
《序》 お母さんがいなくなって、黒い服をきたおとなの人が、たくさんウチにやってきた。 「ですから、皐月(さつき)は、私が引き取ります……」 「ふざけないでっ。いまさら出てきて、父親ヅラするんじゃあないわよっ。だいたいあ
もっと読む夢の続き 第三話
第三話 “ぺちゃ……、ぴちゃ……” 静かな部屋の中に、淫らさを感じさせる水音が響いている。 翠色の夢の中、洋館の2階にある図書室。 ここにはいくつもの本棚が並び、そこにはびっしりと古めかしい本がたくさん並べてある。
もっと読む夢の続き 第二話
第二話 ……何かの音で、はっと目を覚ました。 あわてて周りを見渡す。 自分の、部屋だ。 制服のまま、ベッドに横になっていたらしい。 それが当たり前と思いつつも、どこか『ほっ』とする自分を感じる。 それほど、リ
もっと読む夢の続き 第一話
第一話 「おはよう、倉田くん」 高校の門のところで、聞き覚えのある声をかけられた。 後ろを向くと、やっぱり、見知った女子生徒が立っていた。 「あ、おはようございます。高島センパイ」 彼女の名前は、高嶋 由香里(たか
もっと読む夢の続き プロローグ
プロローグ 夢を、見た。 翠色の、夢。 物心ついた頃から何度も何度も見てきた、同じ景色。 どこかの森の中。高い壁に囲まれた、古い2階建ての大きな洋館。 僕は鉄柵でできた大きな門の外側から、いつもその建物を覗いて
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