花の帝国 2

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7月27日(日)
琴子 13日目

≪中略≫

 というわけで、なんとか琴子とエッチまですることが出来ました。琴子に召使いの宣言もさせることが出来ました。それでも、その後で、びっくりしたんですが、彼女の頭のてっぺんに小さく生えてた花が、急に色づきを増して膨らんだかと思うと、琴子が土下座してる前に、勢い良く、種を噴き出したんです。

 最初は、琴子に植えた種が押し出されて排出されたのかと思って、慌てました。でも種は全部で8つもありました。これって、琴子の花が種を撒いたっていうことなんでしょうか? でも、普通の花って、種を出す前に実を作りますよね? わからないので教えてください。種は大体琴子に植え付けた種と同じ色、形、大きさなんですが、1粒だけ、色がもうちょっと濃くて形が丸っこいものもありました。

。。。

≪≪ガーデナーさんからのアドバイス≫≫

 孝典君、ここ2日ばかり目をはなしている間に、ずいぶん進展させたんですね。正直、君が2週間足らずでセルウスの花を満開にさせて、種まで飛ばさせるとは思いませんでした。僕が急かしたことも、吉と出たみたいですね。とりあえず、童貞卒業おめでとう。魔道植物の多くは、土壌に完全に根を張って、成長しきった時点で種を作ります。孝典君は魔道植物に根や茎、花や種はあるけど、実があるのか質問しているね。良い質問です。果実は、土壌となって植物の成長を支えてきた、穂波琴子さんそのものです。しっかり味わって楽しむと良いと思います。

 ちなみに琴子さんが出した種。8つのうち、2つほど僕に送ってもらえませんか? 残りの6つは次に試したい人たちに植えてみると良いと思います。同じような種でも土壌に適応して様々な性質を持って成長するのが魔道植物の特徴です。色々な人に対して試して行くことで、君の知識や経験も増えて行くと思いますよ。

。。。

7月28日(月)
琴子14日目
千沙1日目
美冬さん1日目
両親1日目

 ガーデナーさんのアドバイスに従って、琴子の出した新しい種を、4人の人に新たに植えてみました。琴子の時と同じように、そっと頭に向けて投げてあげると、スポッとオデコや後頭部に吸い込まれていくみたいでした。

 いきなり4人も追加したのは急ぎ過ぎたでしょうか? これにはちょっとした理由があるんです。琴子は僕の彼女兼召使いになってくれたけど、8月からはバスケ部の夏合宿に入ってしまいます。その間に、他の種も出来るだけ多く活用して、夏休み中に集中的にこの魔道植物のことを勉強してみたいと思いました。

 そうなると存分にこの植物の特性を研究する上で、僕の障害になる要素は何か、考えてみたんです。1つめは夏休みの課題、宿題です。あともう1つ、自由に研究を進めるには、両親の目も気になるところでした。なので1つの種を、クラスでトップの優等生、香村千沙に植えつけることにしました。そして2つ、両親にも植えてみました。両親は簡単です。朝ご飯の時に2人にめがけて種を撒いてみました。緊張したのは、香村に植えることでした。

 香村の電話番号もわからなかったので、琴子に電話で香村の住所を聞いて、探しに行きました。家まで来ると、玄関先に自転車が置いていなかったので、学校も、それから市の図書館も探しに行きました。半日がかりの捜索だったけれど、香村を市の図書館で見つけることが出来ました。月曜日は休館日かと思っていて、最後に回ったのですが、夏休み期間中は月曜も開いているようでした。外国文学の棚の近くで、分厚い、難しそうな本を読んでる香村の後頭部を目がけて、そーっと種を投げました。うまくスルッと彼女の髪の分け目に吸い込まれていったのを見届けて、音を立てないようにそこを立ち去る。静かな場所だったので、思ったよりも緊張しました。

 うまく目的を達成できて、気分が大きくなっていたからでしょうか? 帰り道、夕飯の食材を買って帰る、ご近所さんとバッタリ出会った時、急に興味が沸いてきて、もう1粒、種を撒いてしまいました。隣の小松さんの家の美冬さん。若くて綺麗な奥さんなのですが、優しそうで、胸も大きくて、僕の憧れの1人だったんです。

 今日、1日で4個も新しく栽培を始めてしまいました。慌てすぎでしたでしょうか? 明日から成長の経過を観察していきます。

7月29日(火)
琴子15日目
千沙2日目
美冬さん2日目
両親2日目

 朝起きて一番に、両親の頭を確認してみると、どちらも琴子の時と同じように、小さな双葉がうっすら点滅していました。2人には見えないようで、いつも通り朝の支度をしています。僕は出来るだけさりげなく、牛乳を持ってきてもらったり、ドレッシングを手渡してもらったり、一瞬だけテレビ欄を見るために新聞を貸してもらったりと、色々と両親にお願いしてみました。これは普通に上手く行ったと思います。

 家を出ると、お隣の美冬さんがホースで庭の草木に水撒きをしていました。挨拶をして、今日が何曜日か教えてもらったり、何日か聞いたり、7月が30日までだったか31日まであったか聞いてみたりしました。

「どうしたの? 孝典君。もう夏休みボケかしら? うふふっ」

 美冬さんは優しく笑って、冗談めかして教えてくれました。Tシャツとチェックの七部丈ズボンというラフな格好ですが、シャツを押し上げる、2つの胸の大きさが際だって、僕はドキドキしました。ズボンも腰や足にピッタリする素材で、大き目のお尻と綺麗な足に目がいってしまいました。美冬さんは美人だけどオットリとした性格で、僕がドモったりせずに話しかけられる、数少ない大人の女性の一人です。

 この前、ガーデナーさんから注意を受けた、「要求のレベルアップが慎重すぎる」という点を反省して、勇気を出して美冬さんに、
「今度、お茶でも呼んでもらえませんか?」

 と聞いてみました。さすがに美冬さんは黙ってしまって、ちょっと考え込む様子だったのですが、しばらくするとニッコリ笑って、
「よろしい。ちゃんと勉強も運動も出来て、学生らしい青春な一日をすごせたら、お姉さんがご褒美にお茶をご馳走してあげよっかな?」

 と言ってくれました。どうも僕が暗い、引きこもりチックな生活をしていることを、うちの母から聞いていたみたいでした。。。

 図書館で香村千沙を見つけました。昨日とは違う本を読んでいます。凄い読書量なんだってなって、改めて感心しました。香村は成績はクラストップだけど、ガリ勉って雰囲気ではなくて、元からある教養で学校の勉強を余裕でカバーしてる感じです。冷めたような目で本を読んでる香村ですが、髪がちょっと顔にかかるのをかきあげる仕草は、知的な雰囲気で綺麗でした。顔の形は整っているし、ちょっと目が鋭くて、可愛いっていうよりは、日本的な美少女です。体はほっそりとしていて、琴子とも違うスレンダーさを想像しました。・・・というところまで考えて、琴子の裸のことを思い出しちゃって、図書館で密かに興奮してしまいました。

 香村が読書を一服して、気分転換みたいに席をたって、他の本棚をチェックし始めたところで、僕も行動を起こしました。

「あ・・・、香村だよね? ・・・僕、同じクラスの平賀。って、わかるかな?」

「・・・・わかるよ。平賀孝典君。昨日も確か来てたよね? 珍しいなと思ってたの。」

 僕は、びっくりしました。香村は昨日、読書に没頭していたはずなのに、しっかり僕が図書館に来ていることに気がついていたみたいです。博学なだけじゃなくて、鋭いというか、頭の回転が速い子なんだって、改めて思い知らされました。

「う・・・うん。その、・・・・香村が、今、立ってるところ、僕が読みたい本があって、・・・その、ちょっとどいてくれる?」

「・・・うん。」

 香村千沙が右に移動してくれます。

「えぇっと・・・ツァラストラはかく語りき・・・これだったかな?」

「ツァラトゥストラ・・・。有名よ。」

「あ・・・、ごめん。・・・じゃ、これはなんて読むの? えつばしきちしき?」

「よろこばしき、ちしき。」

「あ・・・ありがと・・・。その、じゃ、ついでにこれの読み方も教えてよ。ぜんあくのかれがん?」

「ぜんあくのひがん。・・・平賀君、本当にニーチェを読みたいと思ってるの?」

「ご・・・ごめん。・・・その、僕は頭悪いから・・・。・・・もうちょっと簡単そうな本から、読んでみよっかな?」

 香村は、小首をかしてげて、僕を鋭い目で見通しています。なんだか、僕のたくらみを全部見透かされそうで、僕は怖くなって2、3歩、後ずさりしてしまいました。

 それでも、ここで彼女とコンタクトが途切れてしまったら、貴重な芽が育たないかもしれないと思って、勇気を振り絞りました。

「香村・・・本とか、色々詳しいよね。また、出来たら教えてもらいたいから・・、その、明日もここに来るかだけ、教えてくれる?」

 僕を射抜くように怪訝な目で見つめていた香村が、小さく溜息を漏らしました。

「・・・・うん。明日も多分来てると思うよ。」

「そっか・・・・ありがと。」

 僕は回れ右をして、すぐに退却しました。香村は琴子よりも鋭くて頭がいいから、気をつけなければいけないと思いました。

7月30日(水)
琴子16日目
千沙3日目
美冬さん3日目
両親3日目

 今日、父さんが、お小遣いの増額を許可してくれました。母さんは2日連続で、ハンバーグやカレーライスといった、僕の好物を、お願いどおり作ってくれています。朝10時にはお隣の美冬さんが家に上げてくれて、紅茶とスコーンを振舞ってくれました。スコーンって初めて食べたのですが、マーマレードを塗って、食べるとなかなか美味しかったです。美冬さんの、優雅で上品な生活ぶりを羨ましがったら、
「誉めたって、これ以上、何にも出ないわよ。」

 って笑っていました。ちょっと垂れ目の美冬さんが笑うと、とても優しそうな表情になります。僕はそのオットリとした雰囲気につけこんで、もうちょっとお願いをレベルアップさせてみました。

「美冬さん、いっつも綺麗だし、スタイルいいから、僕、美冬さんに会うのが楽しみなんです。もっと美冬さんを多く見られると、嬉しいな。」

「もう・・・、一人前の大人みたいなこと言って・・・。近所のオバサンからかっちゃ駄目よ。」

「オバサンだなんて・・・、美冬さん、とっても綺麗です。もっと良く見せて下さい。」

「・・・・ちょっと・・・だけ・・・、考えておこうかしら・・・・」

 美冬さんは恥ずかしそうに、笑ってくれしました。

 図書館に行くと、香村千沙が昨日と同じ席で、本を読んでいました。僕が隣に座っていいかと聞くと、一瞬眉をひそめたんですが、ちょっと考えた後で、
「・・・邪魔しないんなら、いいよ。」

 と言ってくれました。

 隣同士で本を読みます。ちょっとだけ、カップルの図書館デートみたいで、ドキドキしました。僕が難しめの本を持ってきて、
「ごめん、香村。これ読んでると、わかんない漢字が多いから、ちょっと音読してくれないかな?」

 と聞くと、香村は、怒ったように溜息をついて、ドンっと自分の本を机に置くと、僕に顔を近づけて、小さな声で音読してくれます。周りに気を使って、囁くように本を読んでくれる香村千沙。息が僕の手にかかって、くすぐったい感じでした。うまくセルウスの芽が育ってる。僕は嬉しくなって、もう少しだけ踏み込んでみます。

「香村、お願い。ちょっと聞き取れないから、もうちょっとハキハキと、大きめの声で読んでくれない?」

「もうっ・・・」

 香村は顔を赤くしながら、声を大きくして音読してくれます。周囲の人たちが僕と香村の方を振り返ります。香村は耳まで赤くなっていました。

「ごめんね、あんまり声が大きいと、みんなに迷惑か・・・、じゃ、もっと僕に密着して、耳元で読んでよ。」

「・・・・馬鹿・・・・・」

 香村千沙が、椅子をずらして、僕にもたれかかるように体をくっつけてくれます。内緒話みたいに僕の耳元で本を読み聞かせしてくれる香村。あまりにも心地よくて、30分近くも音読してもらったのですが、本の内容は全然頭に入ってきませんでした。

「明日は、僕の家で、勉強会しない? ここだと、大声で音読しても、今みたいに密着して音読してもらってても、結構目立っちゃうでしょ。」

「貴方の家で? ・・・やだ・・・けど・・・・、困ったなぁ・・・。」

 僕は琴子の時のことを思い出しながら、勇気を出して、千沙の両目をはっきり見据えて、力強くお願いします。

「お願いだよ。断られると、すっごい残念なんだ。僕のお願い聞いて欲しい。」

 千沙の目が泳ぎます。思案しながら、悲しそうになったり、ちょっと乗り気になったり、色んな表情が、理知的な彼女の顔に浮かんでは消えていきます。

「・・・・・・明日・・・だけだよ。・・・私も、色々、予定あるし・・・。」

 最後は困ったように、僕の言うことを聞いてくれました。

 もうすぐ夏合宿が始まってしまうと思って、夕方に琴子を家に呼びました。母さんは家にいたけれど、2階には上がってこないで欲しいとお願いすると、了解してくれました。初体験から4日過ぎて、もう傷も痛まないらしいので、琴子に服を脱いでもらって裸をじっくり拝ませてもらいました。全裸の琴子は、恥ずかしそうにしているけど、僕が指示を出すと、忠実に従って、色んなポーズをとってくれます。バンザイのポーズ、笑顔で胸を寄せて上げたポーズ。その他、水着でグラビアアイドルがするようなポーズは大体制覇しました。一枚ずつ写真に収めさせてもらって、琴子と会えない間のオカズを確保しました。

 その後は、キスをして、オッパイを揉んだり吸ったりして、お尻を触ったり、大事なところを引っ張り開けて観察したりして、好き勝手させてもらったあとで、おチンチンを琴子の中に入れさせてもらいました。琴子は僕が指示をすると、恥ずかしそうにしながらも、僕の言うとおりにします。どんな要求でも受け入れてくれました。時々誉めてあげると、心底嬉しそうな顔をします。すっかり僕の、エッチな召使いになりきってくれていました。

「自分で腰を動かして、僕を気持ちよくさせて。」

「はい・・・こう・・・かな?」

「いいね。・・・もっと激しくして。」

「は・・・はい・・・。気持ちいいですか? ・・・もっとですか? ・・はっ・・・あんっ・・・」

 自分で髪を振り乱しながら、騎乗位で腰を振る琴子。以前の勝気な幼馴染みの顔はなくて、僕の性欲を自分の体で満足させる、忠実な召使いの顔になってくれていました。

 2人でバスタオルだけ持って、1階のお風呂に入ります。母さんに僕の着替えを準備してって、お願いしたら、凄く僕に何か言いたそうにしてたけど、結局言う通りにしてくれました。忙しかったけれど、とても楽しい一日でした。

。。。

≪≪ガーデナーさんからのアドバイス≫≫

 孝典君、お待たせしました。君の大事な琴子さんが出した種を、解析し終えました。ちゃんと魔道能力を備えた、立派な種になっています。

 命名しましょう。タカノリア・セルウス・ジャポニカ。

 最後の『ジャポニカ』は、海外に輸出するときだけ表記されるものなので、ここではタカノリア・セルウスと呼んでおきましょう。タカノリア・マザリアを持っている君の命令を聞く花だよ。実は、セルウスというのは「命令に忠実に従う」効果を持つ科の総称で、その効果の発現のしかたによって、さらに細かい細目にも分けられます。そしてタカノリアの中には、セルウス以外の科も出てくると思います。それらは、植えつけられる相手の特性、つまり土壌の特性にもよって変化するし、変種が生まれることもあるし、さらには意図的に掛け合わせや品種改良で、新しい科の種が生まれることもあります。君はとても研究熱心で、もう新たに4つの花の栽培を進めているようですが、とてもいい傾向だと思います。

 相手が異なったり、育て方が変わると、生まれる種も変わってくるので、出来るだけ色んなことを試してみて下さいね。

 琴子さんの合宿は8月中ずっと続くのでしょうか? 時々会えるのであれば、顔を合わせるように意識して下さい。君の命令はタカノリア・セルウスにとって、日光、あるいは水のような存在です。ずっと会わずにいると、せっかく育ったセルウスが弱くなってしまいますから。

 では、琴子さんとも時々会って、他の人たちへの要求をレベルアップしてと、色々と大変になりそうですが、頑張って栽培を進めて下さい。

。。。

7月31日(木)
琴子17日目
千沙4日目
美冬さん4日目
両親4日目

 昨日の夜、植村さんからアドバイスをもらいまして、何だかドキドキしました。タカノリア・セルウス。自分の名前がつけられた新しい種類の花が誕生したんだと思うと、なんだか自分が偉くなったような、強くなったような、誇らしい気持ちになったんです。調子に乗って、両親への要求を、その夜のうちにグッと上げてしまいました。

 晩御飯が終わっていたのに、母さんに急いで、おでんを煮てもらいました。アツアツのおでんを、父さんと母さんに、一気に食べてもらいました。お互いに食べさせあったりして、「熱い熱い」っていう2人のリアクションを見せてもらったあとで、熱湯風呂にもトライしてもらいます。火傷はしないくらいのアツアツのお風呂に、2人で入ってもらいます。困った顔をしながらも、僕の言葉に従って、2人は脱衣所でスルスルと服を脱いで、お風呂に足を入れます。キャアキャア騒ぐ母さん。顔まで真っ赤にしながらやせ我慢で湯船に体をつける父さん。2人で僕のお願いどおり、バラエティ番組みたいな熱湯風呂チャレンジを見せてくれました。冷水シャワーを浴びながらホッとしている両親に、
「お疲れ様。2人ともさすが僕の父さんと母さんだね。言うこときいてくれて嬉しいよ。」

 と誉めると、2人は晴れやかな顔をして、寝室に戻っていきました。2人とも、時々首をかしげながら、寝室の電気を消してベッドに入っていきました。

 翌日の今日は、もっと忙しくなりました。朝から琴子と香村千沙に家に来てもらいます。父さんは仕事、母さんには用事を作って一日外出してもらっていました。琴子は僕の部屋で、久しぶりに服を着たまま、座布団に正座しています。前髪を上げて、オデコをしっかり出してくれているのだけが、僕への忠誠のしるしのようでした。チャイムが鳴って、香村千沙がやってきました。下はチャコールのスカート。開襟シャツの上に明るい黄色の薄手のカーディガン。思ったよりも香村はプライベートではおしゃれな様子でした。こうやって私服で、図書館以外の場所で見ると、相当イケてる美少女です。

「あ、わざわざありがとう。上がってよ。スリッパ、これ履くいてね。階段上がって。」

 緊張していた僕は、少し慎重になって、小さなお願いを連発しました。

「うん。お邪魔します。」

 香村は小さく頭を下げると、スリッパを履いて、僕について階段を上がってくれました。

「えっ? ・・・琴子?」

「あ、千沙。おはようっ。」

 僕の部屋に入って、香村が驚いた声を出しました。部屋の中では琴子が、にこやかな表情で待っています。座布団の上で正座して、背筋を伸ばして、待っているというよりも、控えているという感じ。どことなく、香村が違和感を感じていたようでした。

「ごめんね、先客入れてたんだ。香村も、僕なんかと2人っきりって嫌なんじゃないかと思って、穂波も一緒の勉強会にしたんだ。駄目だったかな?」

「い・・や、・・・嫌じゃないけど・・・。そうだね。琴子もいた方が、気は楽かな。・・・そっか、琴子と平賀君って、小学校も同じだったんだっけ?」

 琴子が香村と僕に視線を送りながら、ニッコリと頷く。僕の回答を待ってるみたいでした。

「そうなんだ。家も近くて、幼馴染みなんだ。・・・2人とも、楽にしてよ。」

「はい。」

 琴子が即座に返事をして、足を崩してお姉さん座りの体勢になります。

「う・・・うん。」

 香村も、ゆっくりと、僕が敷いた座布団の上に腰を降ろす。僕はベッドの上に腰かけてました。

「あ・・・あの、琴子、ちょっといつもと雰囲気、違わない? ・・・なんっていうか、いつももっと活発なのに、今日はお茶かお習字の教室に来てるみたい・・・。」

 香村千沙はやっぱり、ただ頭がいいだけじゃない。琴子の仕草、僕を見る視線。僕の言葉に即座に従おうとする姿勢・・・、ひょっとしたら、処女じゃなくなった雰囲気まで感じ取っていたのかもしれません。怪訝そうに僕と琴子を交互に見据える香村に、僕は少し緊張しながら、提案をしました。

「その、・・・穂波とも長い付き合いだから、2人だけでいる時は、他の時よりも違う感じになるのかな? ・・・香村はそういう意味ではほとんど始めてちゃんと話すんだし、緊張を解すために、勉強会の前に、皆で簡単なゲームでもしない?」

「はい、します。」

「えっ・・・ゲーム? ・・・どんなゲーム?」

 琴子と香村が違う反応を示しました。

「たいしたゲームじゃないよ。ジャンケンして、アッチ向いてホイするだけ。穂波と香村で勝負して、僕は審判するっていうのはどう? ちょっとだけ、5回戦くらいだけやってみようよ。お願い。」

「はい、喜んで!」

「う・・・5回だけね・・・。早く勉強会終わらせたら、私も他の用事あるから・・・。」

 香村も、琴子ほど乗り気ではないけれど、受け入れてくれます。あまりクラスでも皆でゲームとかお喋りとかに熱中するようなタイプではないから、僕はセルウスがちゃんと育ってくれてるんだと、密かに自信を持ちました。

 可愛い女の子2人が、座布団の上で向かい合って正座します。

「じゃあ2人とも、頑張って勝利を掴み取ってね。では、勝負始めっ。」

「ジャン、ケン、ポンっ。アッチむいてホイっ。」

「ジャンケンポンっ。アッチむいてホイっ。」

「ジャンケンポンっ。アッチむいてホイっ。」

 頭脳戦は香村有利。琴子のチョキを出しやすい癖をすぐ読み取って、ジャンケンでは連勝します。それでも運動神経は琴子の方が良いから、アッチ向いてホイでは負けない。クラスのなかでも上位の美少女2人が、真剣にアッチ向いてホイをしている姿は、何となく、ほのぼのする光景でした。

「えぇっと、3勝2敗で穂波の勝ち。よくやったね。」

「ヤッター。嬉しいですっ。」

「あっ・・・もうっ・・・。」

 香村が、ちょっとだけ悔しそうな顔をしたのが印象的でした。コブシをブンブン振って、天真爛漫に喜んでる琴子の前で、香村が悔しそうにしてる。ただ競争心から悔しがってるっていうよりも、自分を責めてるみたいにうなだれていました。無意識のうちに、僕の指示を達成できなかったことに強い不快感を感じていたのでしょうか? 僕はこの様子だったら、リターンマッチにものってくるかと思って、提案してみました。

「じゃ、盛り上がってきたところで、もう1セット、5回戦やろっか?」

「はい!」

「・・・うんっ。やろっかな。」

 今度は、琴子と香村千沙が、ほとんど同時に返事をします。そこは2セット目なんだからと、僕が1回勝負が決まる度に、負けた方が罰ゲームを受けることを提案します。琴子が笑顔で大きく頷きます。香村も、ちょっと困った顔をしながらも、心を決めるように、少しだけ間をおいて頷きました。

「じゃあ、次に負けた方は、洗濯バサミ3つの刑ね。ほらっ始め!」

「えぇっ・・・、そんなの・・」

「ほら、千沙。やるよっ。ジャン、ケン、ポンっ。アッチむいてホイっ。」

 罰ゲームの内容に不満があった様子の香村でしたが、僕が号令をかけて、琴子が勝負を始めると、思わず乗ってしまいます。多分、普段の冷静な香村だったら、反射的にジャンケンしちゃうなんてことはなかったと思います。慌ててジャンケンをして負けちゃって、まだ戸惑ってるうちに、反射的に琴子の指が指す方向を顔で追ってしまう。香村千沙は、早くも一発目の罰ゲームの犠牲者になってしまいました。

「やったー。勝ったーっ。」

 大喜びでバンザイする琴子は、昔ながらの天真爛漫な「じゃじゃ馬」に戻ったみたいです。床に手を突いてうなだれる香村は、僕が琴子に手渡したプラスチックの洗濯バサミを恨めしそうに見送っています。琴子が洗濯バサミを開いて、香村に近づけていくと、香村千沙は渋々と両目を閉じて、アゴを少し上げます。まるで好きな人からキッスを受け入れるみたいに。

「じゃ、千沙は私と同じく化粧っ気がないけど、顔は私より綺麗だから、お洒落がわりに、耳たぶに・・・、ほらっ、大き目のピアスみたいで、なかなか可愛いよ。」

 安っぽいピンクのプラスチックだったから、あまりお洒落には見えませんでしたが、香村は悔しそうに髪をかきあげて、琴子が自分の両方の耳たぶに洗濯バサミをぶら下げるのを手伝っていました。

「いっ・・・痛いよう・・・・。琴子、なんでこんなこと、・・・平賀に止めさせてくれないの?」

 香村千沙が、勇気を振り絞った様子で、琴子に弱々しく抗議する。僕が何か言おうとしたところを、琴子が静止しました。

「私が止めさせる? ・・・失礼なこと言わないで。私なんかにそんな権利、ある訳ないでしょ? ・・・お馬鹿な質問する子は・・・、ほらっ・・・鼻輪がわり。」

 琴子は、香村の発言を僕以上に気に入らなかったみたいで、お仕置きがわりに、最後の洗濯バサミを香村の左右の鼻の穴の間にハサミこんだ。香村千沙の端正な顔が、3つの洗濯バサミで滑稽に変形させられていました。特に、顔の中央にぶら下がる、鼻輪みたいな洗濯バサミが、いつも冷静沈着なクールビューティーを台無しにしちゃっています。それでも、香村は上目遣いで恨めしそうに僕をチラ見するだけでした。いつもだったら、僕みたいな男子、木っ端微塵に論破しちゃうほどの秀才なのに・・・。

「じゃ、次の勝負で香村が勝ったら、洗濯バサミはそーっと外してあげようか。琴子が勝ったら、洗濯バサミは思いっきり引っ張って外しちゃうね。」

「やだっ・・・琴子、平賀っ。もうやめよっ。」

「ほら、真剣勝負してっ。ジャンケンポンっ!」

「アッチ向いてホイッ・・・・ジャンケンポンっ」

「アッチ向いてホイッ!」

 僕が煽り立てるみたいに掛け声をかけると、香村も抵抗をやめて、琴子との勝負に戻ってくれました。勢いにまかせて琴子が連勝するかと思ったけれど、なんとか踏みとどまって、今度は香村の勝ち。キーキー言って悔しがる琴子の向かいで、香村千沙は洗濯バサミを挟まれたままの顔で、ホッと肩を下ろしていました。

「じゃあ・・・千沙。こっち向いて。そーっと優しく外してあげるね・・・。ほら、痛くないでしょ。」

 不満顔で、香村千沙が、赤くなった耳たぶと鼻の間を撫でています。僕の千沙への要求は、千沙の痛覚を超えた? ・・・魔道植物の成長ぶりをもっと確かめたくて、僕は強引にテストを次のレベルに進めることにしました。

「大丈夫? 香村・・・。でも、琴子も慎重に、痛くないところ選んでくれてたから。痛み、そんなにでもなかったでしょ?」

「痛かったわよっ! ・・・顔って神経が集まってるんだから・・・。平賀は、そんなところに座って、女の子に恥ずかしい勝負させて・・・あなた一体、何様のつもり?」

 香村が反論してきます。いままでの僕だったら、タジタジになっているところだったろ思うけど、今は香村の後ろに控える、正座をして僕の指示を忠実に待つ可愛い召使いの存在が、僕の自信を支えてくれました。僕は今まで以上に、無茶な論理で、痛くて嫌な指示を与えていきます。

「じゃあ、もっと痛いところに洗濯バサミつけてみる? ・・・僕らの思いやりをよーく理解できるはずだよ。」

「何を馬鹿なことばかり・・・私の言ってるのはそういうことじゃなくて。」

「香村千沙。洗濯バサミを拾って、ベロにつけてみて。」

「な・・・・バ・・・・・。・・・・・・・・ぅぅ・・・・・・・。」

 千沙の切れ長な両目が、びっくりしたように見開いて、ちょっとの間、止まります。視線を僕と、床に落ちてる洗濯バサミとの間で何度も往復させながら・・・、ちょっとずつ手を下に伸ばしていきました。

「こ・・・・こう・・? ・・これれいいの?」

 突き出したベロをに震える手で洗濯バサミを取り付けて、香村千沙が僕の確認をとります。プラスチックの先端に、透明な涎が光っていました。

「琴子はちょっとそこで、大人しく見ていてね。」

「はい。喜んで。」

 琴子は本当に嬉しそうに、正座したままピンッと背筋を伸ばします。香村は不可解な目で琴子と僕を見つめました。

「香村・・・、ちゃんと僕の言うことをきいてくれるね。偉いよ。僕はとても嬉しいな。」

「ふぅっ・・・」

 僕がみてる前で、香村千沙が肩をすくめて、一瞬だけ快感に悶えるみたいな顔をしました。すぐに強い精神力で自分を制するみたいに、ポーカーフェイスに戻します。でも顔は真っ赤になってる。口から垂れ下がる、赤いベロみたいに、耳まで真っ赤な顔をしています。

「もっと僕の言うことをきけたら、とても偉いよ。・・・上を脱いで、残った洗濯バサミを乳首にはさんじゃってみて。」

「ひ・・・・ひやっ・・・・やらっ・・・・。」

「香村千沙。や、って、み、て。」

 まるで僕の声じゃないみたいな、落ち着いた低い声が出ました。千沙が助けを求めるように振り返りますが、琴子は正座して両手を膝の間に重ねたまま、笑顔でブンブンと千沙に頷いていました。しばらく悩んだあとで、震える手で黄色いカーディガンのボタンを外していきます。立ち上がってカーディガンを脱いだあとで、僕の目の前で、クラス1の秀才美少女が、白いシャツのボタンを1つ1つ外すしています。ほっそりした白い体が少しずつ、開く裾から見えてきました。シャツの下には清純そうな白いブラジャー。少し色気のないくらいに飾りのない、シンプルなブラジャーが見えてきました。裾から腕を抜き取って、シャツを落とすと、上半身は白のブラジャーに守られただけの、無防備な姿。それは琴子のしなやかに筋肉のついたスレンダーとはまた違った、とにかく華奢で可憐な裸でした。

 両手を後ろに回すと、背中からプチンとホックの外れる音がします。ストラップが両肩を撫でるように落ちると、カップがパカっと上から外れました。微乳。まだ成熟していない、少女の体でした。首もとまで赤くなりながら、ベロに洗濯バサミをはさんだままの美少女は、床からおずおずと、残り2つの洗濯バサミを取り上げて、自分の胸の敏感な先端を、自分で苛めるような行為をしていきます。桃色の乳輪の真ん中にある小さなポッチに、プラスチックのハサミを取りつけて、痛みに耐えてモジモジと立ち尽くしました。

「こっ・・・これれいい?」

「お・・・オッケー。ありがとう。もういいよ。」

 僕も口を開いたときに、自分の声が凄くかすれていることに気がついて、思わず唾を飲み込みました。

 僕の了解を得たと理解したみたいで、香村千沙はすぐにベロから洗濯バサミを外して、しゃがみこんで服を拾って、自分の前を隠します。モゾモゾと、もう2つも服で隠しながら外していきました。手の甲で、涙を拭うような仕草。いつも皆を少し見下したような雰囲気をまとった優等生が、今は涙ぐんでいました。

「香村・・・、最高だったよ。ありがとう。泣かなくていいよ。すっごく良かった。」

 顔を伏せて、僕が一言褒めるたびに、肩をビクッと震わせる香村。顔を上げたときには、目がボンヤリしていました。

「それで・・・、次は・・・何をすればいいの・・・?」

 香村の声は、夢を見ているような、寝ぼけているような、いつもの鋭さのない、生気の抜けた声でした。

「つ・・・次? ・・・・そっか・・・うーんと、次は何をしてもらおうかな?」

 僕が慌てて考えようとしているうちに、香村千沙が自分の頭をブンブンと左右に振り始めました。

「だ、駄目っ! ・・・何にも言わないで! ・・・私に命令しないで!」

「・・・え? ・・・ちょっと待って、別に俺・・・」

「きいちゃうからっ! ・・・あなたに何か言われると、私なんでもきいちゃうから駄目なのっ!」

 香村がパニックみたいに暴れ出します。半裸のままで、立ち上がって部屋から飛び出そうとしました。僕もすっかり慌ててしまいます。

「ちょ・・・、琴子っ。香村を押さえて。」

「ラジャーッ!」

 運動神経抜群の琴子は、後ろから香村千沙に抱きついて、それほど体格の違わない香村を巧みに羽交い絞めにしてくれます。僕は急いで駆け寄って、香村の、イヤイヤって左右に振り回している顔を追っかけて視線をしっかり合わせました。

「抵抗しないで。香村千沙。力を抜いて、大人しくしなさい。」

「あっ・・・・あぁ・・・・駄目・・・だって・・・ば・・・」

 僕の目としっかり目があった香村は、がっくり頷くように首をかたげて、そのまま全身の力を抜いて、まるで空気が抜けた人形みたいに体を琴子に預けていきました。

。。。

 香村千沙は体を動かして、抵抗しようとした。せめて、ゆっくりとずり落ちていくシャツとカーディガンを握り締めて、自分の体を隠そうとしていた。それでも、体に力が入れられない。腕を指を引っ張り上げるために、力を入れようとする瞬間に、背筋に冷たいものが走るような気がして、身震いがする。

(抵抗したら・・・体から力を抜かなかったら、平賀君に逆らうことになる・・・。)

 そう考えただけで、ゾッとして全身の毛が逆立つようだった。

(このまま、大人しくしていたら、平賀君の言うとおりに出来るんだよね)

 逆にそう考えると、強張った神経が甘くトロけていく。柔らかな陽気に包まれるような、そして愛くるしい小動物に全身を優しくくすぐられているような、快い気持ち。脳の奥で快感のスポンジがギュッと絞られているようで、一瞬、気が遠くなる。その気持ちを引きずるように、ついつい平賀孝典の言葉に流されてしまう。香村千沙はそんな自分の状態を、どこか冷静に分析もしていた。

(この、妖しい快感が、私をどんどん押し流しちゃう・・・。私じゃなくなるみたいに・・・)

 勉強会のはずが、子供じみたゲームをさせられて、罰ゲームもさせられた。理不尽に嫌なことまでさせられて、その上、服まで脱がされて・・・。恥ずかしいことばかり求められるのに、抵抗しようとするたびに、その逆らう気持ちを少しだけ上回る、義務感と諦めのような重い気持ちが反抗心を萎えさせる。その萎える気持ちを、従順に従うことへの快感がズルズルと押し流していく。孝典に一言褒められた時には、まるで脳髄に快感の分泌物がジュパッと降り注ぐ、音まで聞こえる気がするほどだった。

 孝典の要求は一歩ずつ、階段を上がるように高まってきている。そしてその要求を拒絶しようとするたびに、義務感は一段ずつ上がる。従わざるを得ない。そして、高まる要求に従うたびに、目がくらむように快感が強まってくる。千沙の中には、もっと強い快感を、もっと激しい要求を待ち望んでいる自分もいる。賢い千沙はそのことも認めるしかなかった。

「香村、隠さないで。体を起こしてよく見せて。綺麗だよ。」

 千沙は孝典の言葉を聞いて、泣きそうになる。同年代の平均値と比べても、自分のバストがボリューム不足であることはよくわかっている。平均値のデータも暗記しているほどだ。コンプレックスでもある自分の小さな胸を、千沙は隠すことも出来ずに、孝典に見せる。体を起こして、じっくり見てもらわなければならない。

「乳首、まだちょっと洗濯バサミの痕が残っちゃってるね。ゴメンね。」

 孝典が千沙の胸を下から押し上げるみたいに掴んで、口に乳首を含んだ。包み込むように口で愛撫する。

「んんんっ。」

 千沙は反射的に身をくねらせようとするが、途中で思いついてしまう。

(まだ、体に力を入れても良いって言われてない・・・。大人しく、力を抜いて、抵抗しないでっていう平賀君の言葉に、逆らうことになっちゃう。)

 自分の気づきが恨めしい。千沙がそう意識した瞬間に、もう身をくねらせることがタブーになっている。体が半自動的に力を抜いていく。

「チュパッ。琴子も、こっちがわ、手伝ってくれる?」

「はい。もちろんです。」

 声をかけられるだけでも嬉しいといった表情で、琴子が四つん這いになって千沙に近づいてくる。何の躊躇もせずに、クラスメイトの女子の右胸に、琴子が吸いつく。孝典と琴子、2人に乳首を吸われて、舌で愛撫されて、千沙は恥ずかしそうに溜息を漏らした。

「気持ちいい?」

「ん・・・知らないっ・・・。」

 そっぽを向こうとする千沙のあごを孝典がつかまえて、ゆっくり孝典の真正面に向かせる。

「正直に、感想を言ってね。」

「ふぅんっ・・・・・・・・気持ちいい。」

 潤んだ目で、率直な感想を口にしてしまう千沙。まるで自白剤か何かを射たれたかのように、自分の口がスラスラと答えてしまった。

「今は右の方が気持ちいいんじゃない? ・・ほらっ」

 悪戯っぽい目をした琴子が、舌を小刻みに左右に動かして、千沙の右の乳首を苛める。

「はぁああっ。右が気持ちいいっ。」

 千沙は、まるで歯止めを失ったように素直な感想を垂れ流している、自分の口を恨む。負けじと孝典も、千沙の左の乳首を同じように小刻みに左右に舐める。

「あっ・・・左も、気持ちよくなった。今、両方気持ちいいの。両方っ同じくらい。あっ、・・・今は左の方が、ちょっと痛いけど気持ちいいっ・・・・。イタ気持ちいい・・・・。」

 孝典がタコの吸盤みたいに千沙の左乳首を吸い上げる。琴子もすぐに対抗して、吸いながら舌を動かす。この時間、まるでさっきの立場とはうってかわって、孝典と琴子が勝負を、そして千沙が審判を務めているような状態だった。

「ああんっ・・・気持ちいい・・・。右も・・・左も・・・・、乳首・・・・気持ちいいようっ・・・こんなことっ・・・知られたくないけど・・・・・、全部言っちゃうっ・・・・、悔しいっ・・・・。気持ちいいいいいいっ」

 隠そうという思いとは裏腹に、脳裏に浮かんだ感想がダラダラとだらしなく口から流れ出てしまう。千沙は自分の口を縫いつけて黙りたいくらい恥ずかしかったが、それを上回る快感が両胸から溢れ出て、足の付け根のあたりを妖しく締めつける。むず痒いような快感。頭も締めつけられる。

(これって、・・・・もうすぐイッちゃう?)

 男性経験の無い千沙も、知識は豊富に持っていた。自分の体の状況をそれなりに正確に把握できていた。悔やまれるのは、それをいちいち垂れ流す、正直で軽薄な口だった。

「いいっ・・・・イッちゃう・・・・気持ちよくて、・・・イッちゃうっ」

 切羽詰ったような声を出す千沙を見て、孝典が舌の動きを止めた。左手を上げて、琴子の動きも止める。口を千沙の胸から離した。

「千沙・・・イキそうなくらい気持ちいい? ・・・正直に答えて。」

「・・・うん。・・・もうちょっとで・・・、イキそうだったんだと思う。」

 赤面しながら、小さく頷く香村千沙。孝典はさらに意地悪なことを口にした。

「じゃ、口で言うだけじゃなくて、僕たちに、その証拠を見せてくれる? ・・・言ってること、わかるよね?」

 耳まで真っ赤になった千沙が、口をパクパクさせる。クラスの中でもどこか大人びた雰囲気を保っていたクールビューティーが、これほど逃げ場の無い、無防備な状態になっているのは、初めてだった。

「もう一度言うよ。香村千沙、イキそうに気持ちよかった証拠を、今ここで見せなさい。」

「・・・は・・・・・はい・・・。」

 蚊の鳴くような小さな声で返事をした千沙は、唾液がべっとりとついた微乳を隠すこともせずにそろそろと立ち上がって、スカートの3つのボタンを外していった。厚手のチャコールスカートを床に落とすと、ストライプ柄のパンツと、華奢な両足が露わになる。両手でゴムの部分に指をかけて、パンツも下ろしていく。淡いアンダーヘアが空気に触れる。股間の部分が一瞬、肌に貼りついたような抵抗を見せて、素肌から離れる。両足を抜き取ると、千沙は完全に生まれたままの無防備な裸になって、孝典の70センチほど前に、立っていた。小さく震える右手でが、足の付け根のあたりを彷徨う。アンダーヘアの中に指を入れて、モゾモゾと動く。孝典の前に突き出したその指には、少しだけ粘り気のある、恥ずかしい液がはっきりと付いていた。わざわざ親指と人差し指を付けたり離したりして、その液のベタベタぶりを見せる。香村千沙にとっては、今、自分がしていることが現実離れしすぎていて、夢を見ているようなボンヤリとした気分だった。

「千沙、初めてのエッチを僕として。処女を僕に頂戴。」

 潤んだ目で、小さく頷く千沙。コンプレックスだった裸も、誰にも見せたことの無い痴態も全て曝け出してしまった彼女には、もう孝典の言葉に抗うような拠り所は残されていなかった。この瞬間、彼女に残されている拠り所は、孝典の言葉、一言一句に忠実に従うと得られる、熱い快感と力強い自己肯定感。これにすがっていないと、千沙は恥ずかしさと情けなさで消えてしまいそうだった。

「処女だけじゃない。千沙の体も心も、全部僕に頂戴。」

「も・・もう・・・全部あげる・・・。こんな、はしたない私でいいなら・・・、何でもするから・・・。千沙を平賀君のものにして。」

 抱きついてきた平賀の背中をギュッと抱きしめる。ファーストキス。唇を荒っぽく奪われたけれど、必死で千沙も応えた。お尻も胸も、お腹も足も弄られて舐められる。孝典の求めに応じているのだと思うと、体が温かく、解きほぐされて開放されていくような気がした。頭の奥で、また快感のスポンジがギュウギュウと絞られていくような感覚。一回一回が、香村千沙のこれまでの人生と交換しても良いと思えるほどの、獰猛な多幸感だった。気がつくと、琴子も服を脱いで、千沙と孝典のヘビーペッティングに参加し始めている。チラッと孝典の様子を伺う千沙。孝典が目で頷く。賢い千沙は瞬時に孝典の意図を理解して、琴子の愛撫も受け入れる。精一杯お返しもする。孝典の要求にちゃんと応えられている。それだけで、生きてる実感と意味が天から降り注いでくるほど嬉しかった。どんな小説からもどんな詩からも与えられたことの無いような、純度100%の喜びだった。

。。。

(中略)

 香村千沙は、ベッドの上で、僕に処女を捧げてくれました。初めての経験が、琴子との3Pになるとは思ってなかったみたいですが、僕が一言言うと、ベッドに乗り込んで、壁に寄りかかって足を大きく開けてくれます。琴子に股間を舐められると、さっきの指示をまだ忠実に守っているのか、正直に一番気持ちのいい部分、舐められ方を、真っ赤になりながらも全部クラスメイトの琴子に詳細に伝えてくれました。十分準備が出来たと思ったところで僕がのしかかります。手を繋ぎあって、僕のモノを挿入していきます。まだ僕もそれほど慣れているわけじゃないので、入れる場所や角度などは、琴子が丁寧に手を添えて手伝ってくれました。

 僕のおチンチンを半分くらい入れたところで、抵抗が限界まできました。
 僕が、
「いいね?」

 って千沙に言うと、クラス一番の秀才は、ウルウルした目で

「お願いします」

 って言いました。
 グッと下半身に力を入れて、押しつけると、抵抗が破れて、千沙の綺麗な顔が歪みます。そこで僕がすかさず。

「千沙、最高だよ。とってもいいよ。」

 と褒めると、千沙は苦しそうな表情のまま、胸を高く突き出して、あごも上げて体を弓なりにしちゃいました。温かい血がまとわりついている僕のおチンチンを、千沙の膣がギュッと締めつけます。破瓜の直後なのに、千沙はイッちゃったみたいでした。

 嬉しくなった僕は、琴子に千沙のちっちゃくて可愛いオッパイを舐めさせながら、千沙と繋がったまま、もっと腰を振ります。僕が褒める度に、千沙は小さくイっていました。4回目くらいに千沙がイッた時、振り乱された頭から、パラパラと、種がベッドにこぼれてきました。

 千沙の頭のツムジのあたりを良く見てみると、琴子の花とよく似た、小さな青い花がしっかり咲いてくれていました。琴子の時よりもずいぶん早く、千沙の花を開花させることが出来ました。

 琴子の時と同じように、千沙が出した種を2粒、植村さんに送りますね。

 あと、僕が一戦終えて、気だるい気持ちで窓のカーテンを開けたら、隣の小松さんの家が窓から見えました。いつもと違って、薄手のカーテンも開けている小松さんの家は、中の様子が丸見えになっていました。そこで、掃除をしている美冬さんが見えたんです。

 いつもよりも小ぶりのTシャツをピタピタに着ている美冬さんは、胸がはちきれそうになっていました。シャツの裾を上げて、オヘソの上で結んでいるので、お腹も腰も、窓からでも見えちゃっていました。下に履いているスパッツは、ムッチリとしたお尻と太腿の線をはっきり出しちゃっています。いつもより大胆な格好をして掃除を続ける美冬さんを覗き見てしまって、つい今までクラスメイトとセックスしていた僕なのに、しばらく釘づけになってしまいました。

 食い入るように凝視していると、美冬さんは視線を感じたのか、窓から僕を見上げます。距離があったので確実に言うことは出来ないのですが、美冬さんは恥ずかしそうに、僕にウインクをした気がしました。

 色々あったので、長くなってしまいました。今日はこんなところです。

。。。

≪≪ガーデナーさんからのアドバイス≫≫

 孝典君、君の進捗に僕も少し驚きました。最初の琴子さんの時には少し慎重すぎるかと思ったのですが、千沙さんについてはずいぶん早い開花と種撒きになりましたね。種の到着を楽しみに待っています。同じタカノリア・セルウスのなかにも色々な細目ができると説明したと思うけれど、おそらく琴子さんと千沙さんの場合も、かなり違う資質に根ざしているようだから、微妙に異なる成分と作用の花になっているのではないかと想像します。

 あとは、孝典君のお隣さん。美冬さんの花の成長も早そうだね。まだそれほど要求レベルを上げていないと思うけれど、美冬さん自ら生活態度を変化させているとすると、これはタカノリア・セルウスとは違う科の花かもしれません。先日君が、一つ、大きさも色も他とは違う種があったといっていたけれど、美冬さんに植えたのは、それではないかな? こちらも開花が楽しみですね。

 それでは、取り急ぎ、君の2人目の召使いの確保と、魔道植物栽培の順調な進捗を祝して。おめでとう。

。。。

8月1日(金)
琴子18日目
千沙5日目
美冬さん5日目
両親5日目

 今日から、琴子はバスケの夏合宿です。朝から千沙を呼んで、僕の夏休みの宿題をやってもらいました。さすがは優等生、僕には考えられないスピードで、次々と問題を解いていってくれます。時々オッパイにタッチしたり、シャツの襟もとから手を入れて直接オッパイを揉んだり、お尻の割れ目のあたりに指を入れても、ちょっと体をモゾモゾとするだけで、我慢してくれます。さすがの集中力。両手でオッパイを5分くらい揉み続けたらさすがに字がヨレヨレになっていましたが、それでも真っ赤な顔で、僕の宿題を消化してくれていきます。

 1時間くらいたったので、ちょっと休憩。千沙のちっちゃなオッパイを揉んだり、横でゲームをしたりしていたせいで、僕の手が少し疲れていたので、休憩時間は千沙にマッサージをしてもらいます。肩を揉んでもらったり、腕をさすってもらったり。そしてお昼が近くなったら、千沙持参のお弁当を食べさせてもらいます。焼きソバとピラフと春巻きのお弁当。一口ずつ食べさせてもらっていたら、ほっぺたにご飯粒がついてしまいました。

「千沙、・・・これこれ。」

「あ・・・、ごめんっ。」

 僕が自分の頬っぺたを指差すと、千沙は気が利かない自分のことを謝りながら、可愛い口を近づけてきて、ペロッと僕の頬のご飯粒を舐めとっていきます。お腹一杯になると、眠くなった僕は、千沙のほっそりした太腿に頭を乗っけて、膝枕でお昼寝。千沙はそんな僕を起こさないように、細心の注意を払いながら、僕の英文法の問題集を一問ずつ、片付けていきます。

 僕が目が覚めた頃には、千沙は2つも単元を終えていました。僕が想定していた1日ぶんのペースよりもずっと早いです。このままだと、1週間で僕の夏休みの宿題、課題、自由課題、すべて終わってしまいそうでした。

 昼寝から覚めて、僕のおチンチンが元気になっていたので、千沙に処理してもらうことにしました。まだ千沙のアソコは破瓜の傷が治っていないみたいなので、とりあえず裸にさせて、何をしてもらうか考えようとということになりました。返事一つで服をスルスル脱ぎ始める千沙。僕はその間、何気なく窓の外を見てみました。

 昨日と同じように、薄手のカーテンも開け切って、丸見えになっている小松さんの家では、2階のベランダ付近を、美冬さんがウロウロと歩き回っていました。真っ白のレオタード姿です。僕は美冬さんがレオタードを持っていることすら知りませんでした。僕と目が合うと、待ちわびたかのように駆け去って、何かしてから駆け戻ってくる美冬さん。僕から良く見える場所で、窓も開け放つと、流れ出した陽気なBGMに合わせてエアロビクスを始めました。サポーターも何もつけていないんでしょうか? 豊満な胸が、お尻が、ブルンブルンと震えています。美冬さんはウェーブのかかった髪を振り乱して、優しい笑顔のまま、オッパイをボインボイン揺らしてエアロビクスダンスを披露してくれます。僕はそれを覗き見しながら、千沙にフェラチオをしてもらうことにしました。壁際に全裸でひざまずく香村千沙。ぎこちなく舌を動かしたり、口で含んだりしながら、僕のおチンチン相手に奮闘しています。窓の向こうには、大人しくてお上品な美冬奥様。今日はレオタードでハッスルしています。なんだか、とてもいい気分になれる昼下がりでした。

< つづく >

2件のコメント

  1. 「壁際に全裸でひざまずく香村千沙。」

    すごいシチュエーションですね。
    最初の頃の千紗先輩と比べると隔世の感があります。
    でも、これが孝典先輩と千紗先輩の新しい日常なのですね。

    ※※※※※※※※
    上記の文章は永慶氏の創作に刺激を受けた私が
    「花の帝国」のラストに登場した「加藤ツトム」君に扮して文章を書いたものです。シチュエーションとしては加藤君を育てようとしている孝典君がこれまでの植村さんとのやり取りを加藤君に示した上で、その感想を述べるように課題を出したとものとして、その課題に加藤君が答えたという状況を想定しています。
    永慶氏ご本人とは一切関わりのない二次創作です。

  2. 「以前の勝気な幼馴染みの顔はなくて、僕の性欲を自分の体で満足させる、忠実な召使いの顔になってくれていました。」

    琴子先輩を見事に陥落させたのですね。
    流石です。

    ※※※※※※※※
    上記の文章は永慶氏の創作に刺激を受けた私が
    「花の帝国」のラストに登場した「加藤ツトム」君に扮して文章を書いたものです。シチュエーションとしては加藤君を育てようとしている孝典君がこれまでの植村さんとのやり取りを加藤君に示した上で、その感想を述べるように課題を出したとものとして、その課題に加藤君が答えたという状況を想定しています。
    永慶氏ご本人とは一切関わりのない二次創作です。

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