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「くらえ! サイコシュゥゥゥゥゥトッ!」
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
どぐわぁぁぁぁぁぁぁん!
そこは周囲を岩がむき出しの切り立った崖に囲まれた盆地であった。
ガマの姿をした怪人が、悶絶し、よろめき、盛大な火柱をあげて爆砕した。
赤、青、黄、三色のバトルスーツに身を包んだ戦士達の掲げたキャノン砲から放たれた光条が怪人を貫いた後のことであった。
「はっははは。やったぜ! 正義は勝つ!」
赤い戦士”サイレッド”が躍り上がって快哉を叫ぶ。
「それは違うぞ、モユル。本来戦いの勝敗に善悪との関連などない。そもそも正義などというものは相対的なもので……」
「わかった、わかったよタカジョウ。ちぇっ……燃え方の足りないヤツ」
冷静に諭す青き戦士”サイブルー”にそっぽを向いて、レッドが肩をすくめてみせる。
「ちょっとお二人さん。任務は完了したことだし、私は早く撤収したいんだけど……。それから……一応私達はバトルスーツで正体を隠してるんだから、互いに本名で呼び合うのはどうかと思うな」
黄色いバトルスーツの中身は女性のようだ。
「わりいわりいワカバ…じゃなかった。イエロー」
「了解…」
「よろしい。それじゃレッド、”サイブラスター”を超次元に格納してくれる?」
「OK。けどよ、そのサイブラスターってのやめねえか? せっかく超次元から飛んでくるバイク型のキャノン砲なんだぜ? やっぱ呼ぶときに『サイバリオ~~~ン!』って叫んだ方がはまらない? どうせコール時の音声認識コードはなんて登録してもいいんだろ?」
「何よそれ? またお得意の特撮ネタ? そんなの何でもいいじゃない……」
「か~っ! これだから女ってヤツぁ……。なんつーかこう、燃え方が違うんだよ。気合の入り方っていうかさ」
「はいはい。それは基地に帰還してから白永司令に相談して頂戴。さ、行きましょブルー」
「そうしますか」
ブルーとイエローがサイブラスターから手を離して、きびすを返す。いきおい一人で大型バイク並の大きさのキャノン砲を一人で支える事になったレッドは、あまりの重さに前につんのめる。
「おったた! おいおい、ちょっと待ってくれよ! 重いんだってば! お~い!」
▼
ばりん!
男の右手の中でブランデーグラスが輝く破片と化した。まず琥珀色の酒が、ついで紫紺の液体が床に滴る…どうやら男の血液であるらしい。
広間にある玉座に似た豪奢な椅子に尊大に腰掛けていた男の元に、慌てて瀟洒な白いドレスの女性が駆け寄る。
椅子の脇にひざまづいて血塗れた男の手を優しく開くと、グラスの破片をそっと取り除き、押し頂くように男の血液を舐めとり始めた。
たちまち女性の桃色の舌が紫に染まる……。
だが男の方はそんな女性の献身的とも言える行為にまるで頓着していなかった。
火を噴くような視線で正面にあるモニターを睨み付けている。
そこには最前までカラフルな3人の戦士達とガマ怪人との戦いが映し出されていた。
むろん戦士達が自らの手で為した戦果と、モニターに映し出された結果にいささかの違いもあろうはずもなく、ガマ怪人は戦士達のキャノン砲、サイコシュートの前に散っていたのだった。
「フルフェイスッ!」
男が自らのいる場所より一段低い場所に控える二人の男のうち向かって右の男を呼ばわった。
その声に含まれる怒気は広間の空気をびりびりと震え上がらせた。
「はっ!」
フルフェイスと呼ばれた男、ブラックメタルの中世風の甲冑に包んだ男は雷光に打たれたようにその場にひざまづいた。
均整の取れた巨躯を気の毒なほど小さく折って頭を垂れる。
「余の与えた洗脳獣が、二度までも”サイコマンダ-”と申す者どもに敗れ去った。これまであらゆる次元、あまねく星々の知的生命を支配してきた我が”洗脳帝国ブレインスト-ム”の先兵たる洗脳獣がだ。これは行動隊長たる貴官の責任ではないのか? ブレインストームの黒騎士と恐れられた貴官が、なんという失態だ!」
「…………」
黒騎士は黙して語らなかった。
代わりにフルフェイスの名の由来であるフルヘルムの面頬の奥で、二つの赤光がひときわ強く輝いた。
激情が眼窩からあふれ出したものだ。
畏れの故か、怒りの為か、その体は小刻みに震え、これも中世風の帯剣の剣環をかちかちと鳴らした。
「…………言い訳はせぬ…か。――――許せ、余が怒りにまかせて言い過ぎた。貴官ほどの有能な武人は得がたいもの。貴官に無理な作戦であったのなら、余の者を持ってしても同じ事であろう」
フルフェイスはいっそう深く頭を下げた。
その時――――。
「”皇子”恐れながら申し上げます」
それまで動きのなかったもう一人の男が、玉座の男の前に進み出た。
こちらはおとぎ話に登場する邪悪な魔法使いを彷彿とさせる出で立ちであった。
ぎらぎらと光る鋭い目、尖った耳の付け根まで裂けた口の中には、鋸の刃のような鋭い歯が並んでいる。
全身は黒いローブで覆われ、合わせ目がぴったり前で閉じているのでどんな体つきをしているかは分からない。
だがなんといっても目を引くのはその頭部であろう。
頭髪が一本もない、というより頭蓋そのものがないのだ。
人間の脳によく似たものが剥き出しになっているのである。
しかも人間に比するならその脳はあまりにも大きく、シルエット的には笠を被った人のように見えるのである。
その広間にいる4人の内、鎧の中をうかがい知ることの出来ないフルフェイスを除けば最も人間の姿から遠い生物であると言えた。
「鬼畜参謀デプスダークか……構わん、申して見よ」
皇子と呼ばれた壇上の男が鷹揚に応えた。
「はっ。確かにサイコマンダーが我々が今まで支配してきた者達より手強い相手であることは間違いないようです。しかし、最初の洗脳獣が破れて以来、私は人間の研究をして参りました。その結果、奴らには共通の弱点があることが判明したのです」
「何、弱点だと?」
「はい。次の作戦は私にお任せ下さい。必ずやサイコマンダーを一人一人血祭りに上げてご覧に入れます」
「その言や良し! では、次の作戦はデプスダークが直接指揮を取るがいい。では早速洗脳獣を”産ませる”としよう。さあ、”ラヴトラ姫”こちらへ――――」
皇子と呼ばれた男は、脇に控える白いドレスの女性を引き寄せた。
いや、正確には女性、ラヴトラ姫の着衣はドレスと呼べる代物ではない。
豊かな”エメラルド色”の長髪に黄金のティアラ、胸元に豪華なレースの入った白絹のドレスの上衣、薄絹の白い長手袋。
本人の上品な美貌も相まって、ここまではまるで高貴な王族の正装に見える。
だが下半身の景観がそれら全体の印象を大きく裏切っている。
確かにドレスのスカートには見える、両サイドから見れば……。
つまりドレスのスカートの前後の部分は全く無いのだ。
これも薄絹のガーターストッキングが丸見えである、さらにあろう事かラヴトラ姫は下着を着けてはいない。
エメラルド色の恥毛の下から、人類の女性のそれと変わるところのないクレバスが顔をのぞかせている。
可憐で品のある女性であるだけに、その下半身の有り様のギャップは淫靡さを引き立たせていた。
皇子は自らの膝の上にラヴトラ姫を座らせると、後ろから手を回して豊かな乳房をこねた。
ドレス越しにまろい半球が形をゆがめる。
「んん……」
たちまちラヴトラ姫が身をくねらせ、燃える吐息をついた。
「くくく、姫…。この間までの強気な振る舞いはどうされました? 非道な侵略者になど決して屈服しないのではなかったですか? 私はお隠れになった姫のご母堂、女王陛下の仇ですよ。ご母堂があなたの姿をご覧になったら嘆かれるのではないですか? 今のあなたはまるで私の奴隷だ」
「ご母堂…お母様……? んっ…分かりません……。どなたのことですか? あふ…姫は、姫は生まれたときから皇子様のものです…はっ、はあ。姫の全ては皇子様のもの、姫は皇子様の奴隷なのです。皇子様お願いでございます。んあっ、姫に、姫にお情けを下さい。皇子様のもので姫を突いて下さいまし」
「くくくく。何処を突くというのです? ここですか?」
皇子はラヴトラ姫の菊座、ココア色のつぼみを指でなぞった。
「はんっ。違います。お、おま○こ、おま○こを突いて下さい。皇子様の精を姫の中に注いで下さい」
「よろしい、よく言えました。ではご褒美を差し上げましょう」
皇子は器用にラヴトラ姫の体の下で己のズボンの中から長大な肉の凶器を引き出した。
「さ、どうぞ、姫」
「はぁん。 うれしいぃ」
ラヴトラ姫は腰を浮かせると屹立するものを後ろで両手に包み、うるみきった自らの秘唇に導いた。
そして痴呆のような顔を天井に向けながらゆっくりと腰を下ろす。
その表情からは高貴な王族の気品など消え去り、淫蕩なメスのそれでしかなかった。
だが、ラヴトラ姫が腰を使って肉棒から快感を絞り出そうとした刹那、後ろから皇子の両腕がラヴトラ姫の腰を固く抱きすくめた。
これでは、体を上下に揺することが出来ない。
「あ…何を……」
明らかに不満という表情でラヴトラ姫が背後の皇子を振り返る。
しかし、皇子はラヴトラ姫の問いには答えず、耳元で小さく囁いた――――。
「”セルピナ姫”」
「!!――――あっ! お離しなさい! 離して! 汚らわしいっ! わたくしの、わたくしの中からその汚らわしいものを抜き取りなさい!」
突如としてラヴトラ姫が身をよじって皇子のいましめから逃れようとあがいた。
心底皇子を嫌悪しているのが誰の目にも明かだった。
先ほど雀躍として皇子の肉棒を呑んだ姫とはまるで別人のようである。
いや、事実別人なのだ――――。
▼
姫は洗脳帝国ブレインストームに征服された王国の王女であった。
もちろんこの地球を含む次元の王国ではない。
異次元世界の王国”クインビィ”、そこに国母として君臨する女王の世継ぎとして生まれた王女セルピナ、それがラヴトラ姫の真の名であった。
クインビィは蜂や蟻に似た社会形態を持つ王国であり、全ての国民は女王の産む卵から誕生するのである。
その意味で女王はまさしく国母と言えた。
国民は女王の側に使える十人の男達の他は皆全て女性であり、争いのない平和な時代が続いていた。
だが永き平和は異次元より訪れた侵略者達により破られた。
洗脳帝国ブレインストーム、暗き空より空飛ぶ王城に乗って現れた憎むべき餓狼どもは、その超魔導の力を持って羊達の群に牙を剥いたのだ。
事の始めから手慣れた侵略者達は中央権力の掌握を狙ってきた。
元々外敵というものが存在せず、民衆に対しても開かれた王家であるクインビィの王城に抵抗の術はなく、易々と敵の侵入を許してしまった。
そして侵略者ブレインストームの実戦指揮官であるらしい黒い騎士が、女王の側に使える男達を操り滅茶苦茶に国母を陵辱させたのだ。
”ラヴ・トランスミューテーション”、それがクインビィの王族に備わる能力であった。
すなわち異性と健全で愛情深い性交を行い、”愛情を生命に変換”して精細胞によらず卵を生み出すことが出来る超能力だ。
だが、操り人形と化した男達の歪んだ欲望のみのSEXは、その心に相応しい醜い怪人を産みだした。
次々と生み出される怪人達は、無力な女達を毒牙や凶爪にかけ、次々に民衆を惨殺していった。
民衆が野火に巻かれるようにその数を減じていく行く様を、黒い騎士から皇子と呼ばれる侵略者の巨魁はクインビィ城のテラスから愉快そうに見物していた。
その傍らでセルピナは暗示によって体の自由を奪われ、文字通り阿鼻叫喚の地獄を見せ続けられていた。
ひとわたり殺戮の宴が終わると、皇子は従者に耳打ちして怪人どもに新たな指令を下知したようであった。
しばらくすると王宮前の広場に、いずこかに隠れて死の暴風を逃れていたらしい女達が三々五々集まって、あるもの達は笑いながら死ぬまで殴り合いをしたり、あるもの達は全裸で獣のように這いつくばって互いに命果てるまで咬み合いをして見せた。
それはさながら残酷ショーの御前公演であった。
その演者達は例外なく意志というものを喪失したようなうつろな表情で、何者かに操られているのは明白だった。
それは侵略とさえ呼べぬものであった、虐殺という呼び名が相応しい。
彼等は殺すのみならず”殺し合わせて”楽しんでさえいた。
その正視に耐えぬ情景を数日にわたって見せられている間、セルピナの肉体に許された唯一の自由は、そのこぼれ落ちそうなほど大きな瞳から滂沱の涙を滴らすことだけだったのである。
女王が己が産み落とした怪物が、やはり己が産んだ国民を殺戮していくことを憂えていたかは分からない。
十人の男達に休み無く陵辱され、嬌声を上げ、むせび泣き、嗚咽を漏らし、苦鳴を絞り出して、最後には無反応で男達に突きまくられ、力無く卵を産み落とすだけの肉柱と変じたからだ……。
そしてそのうち卵の内容物と思われるどろりとした粘液だけが秘所から垂れ流されるだけになり、程なく女王の命の灯火は尽きると思われた……。
▼
翌日、皇子は女王が衰弱死したという凶報を、黒い騎士から平然と受けた。
凶報を受けてすぐに、皇子はテラスで棒のように立ちつくすセルピナの前に立った。
勝者のおごった笑みを満面に浮かべて…。
「姫、たった今女王陛下がみまかられました。つきましては”女王を殺害したお付きの男ども”を処刑したいと存じますが姫のご裁可を…」
「………………」
「ああ、これは失敬。何処にも行かなければ”動いてもよろしい”ですよ」
ばちっ!
音高く皇子の頬が鳴った。セルピナの平手がしたたかに皇子の頬を打ち据えたのだ。
「畜人鬼っ! お母様はあなた方が殺したも同然ではないですか! 何処へも行くものですか、ここで貴方を害して母上と国民(くにたみ)の仇を討ちます!」
言うが早いかセルピナは皇子の腰にたばさまれていた装飾過多の短剣を引き抜いた。
およそ武器というものの存在しないクインビィにも刃物は生活の道具として存在したし、彼女は皇子がそれを使って、決死の覚悟で王城に忍び入り侵略者の頭目を討とうとした女性を返り討ちにするのを見ていた。
たぎる私憤と燃える公憤とを乗せて憎むべき侵略者の喉笛に向けて突き出された白刃は、しかし目的を果たす寸前で止まった――――。
皇子の大きな手がセルピナの手首を捕らえていたのだ。
「離しなさい! はなせっ! 母上と国民の仇! 死になさい! 死んでっ!!」
セルピナはちぎれそうなほどに腕を振るって皇子の手から逃れようともがくが、万力に挟まれたようにびくともしない。
そのうち手首を強くつかまれた手は痺れて短剣を取り落としてしまった。
短剣は床に落ち、硬い音をたてた。
「くっ…」
「――――美しい…。普段の取り澄ました貴方にも惹かれるが、そうして怒りに頬を染めた貴方は尚更だ…。参謀の進言で”生物兵器”として貴方を奪いに来たが、今は貴方に私の側にいて欲しい」
「!? 何を…何を戯れ言を! 誰が貴方の側になど! そんなことをするくらいなら自害します!」
ぷっ。
セルピナが吐きかけたつばきは、皇子の頬に張り付いて顎へと這った。
皇子は赤い舌でちろりとつばきを舐め取ると、おぞけを催すような恍惚の笑顔を浮かべた。
「……気もお強い。ますます気に入った。存分に私を憎んで下さい。貴方が私を憎んでくれればくれるほど貴方を堕とした時の私の悦びは大きいのですから。楽しみですよ、貴方が私にかしづいておねだりするのがね」
「誰が貴方になど! 汚らわしい侵略者などに誰が膝を折るものですか! どうしてもと言うなら私を殺して亡骸の膝を折りなさい!」
「おすわり」
急にセルピナの視界が低くなった。
床が崩れ落ちたのではない、自分の体が意に反してあっさりと侵略者の前に膝を屈しているのを知覚して彼女は愕然とした。
「こ、これは…?」
「くくくく、良くできました。まるで愛玩動物ですね、姫。さ、次は四つん這いになってこちらにお尻を向けて下さい」
「あ…い、いやあ! ど、どうして……」
またもセルピナの意志に関わらず手も膝も床に張り付いた。
物心ついたときから次代の女王としてレディーの教育を受けてきたセルピナにとって地に膝をつくなど経験のないことであった。
まして、獣の格好で男に尻を向けるなど……。
「くく、いい格好ですね、姫。私の能力があなたを金縛りにするだけだとでもお思いでしたか? 初めてお会いしたときにあなたの”こころ”に刻印を刻ませていただきました。あなたの心も体もすでに私の所有物なんですよ。あなたは私の言葉に逆らうことは出来ませんし、私の合図一つで私の愛玩奴隷となってしまうんです」
「嘘です! 例え体はあなたのような悪魔の手に堕ちようと、わたくしの心はわたくしのものです。あなたの自由になると思わないで!」
「なりますよ、”ラヴトラ姫”」
「えっ!? ……なに!?――――」
明らかにセルピナの名ではない呼びかけを聞いた瞬間、セルピナの心の中で大転換が起きた。
「クインビィの白百合」とうたわれた高貴な王女から、淫らで卑しい奴隷へと。
そして皇子はセルピナから全てを奪った憎むべき悪鬼から、命を懸けても仕えるべき主人へと…。
洗脳帝国の巨魁である皇子がセルピナ姫に植え付けた疑似人格”ラヴトラ姫”、それがセルピナの意識に取って代わった瞬間であった。
セルピナは、いやラヴトラ姫は獣の格好のまま、肩越しに後ろの皇子に淫猥な視線を投げよこした。
期待にうるむ雌の目だ。
「……………あ、あの……皇子様……わたくし…急にエッチな気分になってしまったんです。わたくしの、姫のアソコを触って下さい。お願いします」
ラヴトラ姫は自由にならない体をそれでも微妙にくねらせながら哀願した。
皇子がにやりと笑みを浮かべる。
「くくくく、おねだりですか? あまり上手とは言えませんね。でも私に体を許してよろしいのですか、姫? あなたは私を殺したいほど憎んでいたのでしょう?」
瞬間、ラヴトラ姫の顔に憂いの影がかすめたが、それは瞬時に雌の表情に取って代わった。
「ああ、わたくしどうしてあんな事を……。わたくしどうかしていたのです。お母様や民草のために皇子様を害してしまおうなどと馬鹿なことを……」
(くくくっ。 どうかしているのは今のあなたですよ、姫。国を滅ぼし、あまつさえ自分の母親を殺した男の情をほしがるとは……。もっともご自分では至極まっとうなこととお思いでしょうが……)
皇子にとってそれは至福の瞬間であった。
自分を殺したいほど憎んでいる美姫を自らの能力で屈服させる、これほどの悦びがあろうか?
しかも屈服した当人はそれを当然の事のように思っているのだ。
この悦びをえるために女王を害し、国を滅ぼしたかいがあるというものだった。
「よろしい。それでは姫、私によく見えるようにオナニーをして下さい。そうしたら私が抱いて差し上げます」
「あ…はいぃ!」
ラヴトラ姫は自由になった体で嬉々としてドレスを脱ぎ捨て、躊躇無くレースのブラジャーを引き剥いだ。
皇子の手に余るほどの双丘がぷるんとまろびでる。
さらに白絹のショーツをするりと脚から抜き取ると、淑女のたしなみとしてみだりに男の目に触れさせてはならない部分が全て明らかになった。
それは、例えようもない美しい曲線に上品な色香をまとった天女の立ち姿であった。
あまねく次元、あまたの星々を征服し、選りすぐりの美女達を支配し陵辱しつくしてきた皇子も思わず息を飲まずにいられなかった。
オナニーの邪魔にはならないとの判断か、純白のガーターと白いヒールはそのままだ。
全裸になるよう命じる事もできたが、それはそれでそそる眺めだったので、皇子は姫の為すに任せた。
「ん………」
床に座り込んで皇子に向けてM字に脚を開くと、ラヴトラ姫はエメラルド色の恥毛の下のスリットを中指でなぞりはじめた。
左手は胸に当てられて、揉むと言うより触るといった程度だ。
オナニーの経験はあっても習熟はしていないのだろう。
肉体は女性として完成している割に何とも稚拙な愛撫であった。
だがこれから性感を開発する身としてはその方が楽しみが多いというものだ、皇子はにやりとほくそ笑んだ。
「ん………あ……うぅん……」
ぎごちない愛撫ではあったが、それでも徐々に昂ってきたらしく、ラヴトラ姫は身を切なげにくねらせてスリットを擦る指を速め出した。
すでに秘唇からは愛液がにじみだして中指をぬれぬれと濡らしている。
「姫、大事なところがよく見えませんね。もっとよく見えるようにしてもらえませんか?」
「は、はい……皇子様…………これで…お見えになりますか?」
ラヴトラ姫は上半身を後ろに寝かせると、脚をそのままで腰をくいっと浮かせた。
そうすると自然に女性器が皇子に突き出される格好になり、皇子には会陰から肛門まで愛液が伝う様まではっきり観察できた。
皇子がセルピナに植え付けた淫乱な疑似人格ラヴトラ姫にとっては何でもないことであったが、セルピナであれば命と引き替えにでも取りたくない屈辱のポーズであったろう。
「くくく、よおく見えますよ姫。ほら、ピンクの宝石が顔をのぞかせている」
皇子は姫の手に触れないように充血した肉芽をつまんだ。
二本の指でうりうりといらってやる。
「あ、そこっ……いっ……やあっ…だめぇ……あ、いいっ……いいよぉ……皇子さまぁ……あは……やっ、ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
クリトリスへの刺激は初めてだったのだろう。
たちまち快感に身を震わせてラヴトラ姫は絶頂に達した。
くたりと腰から力が抜けて、汗ばんだ体が床に転がった。
「くく、素敵な乱れっぷりでしたよ、姫。今度は私が楽しませてもらいましょうか」
皇子が羽織っていたマントをばさりと振るって脱ぎ捨てると、先ほどまで身につけていた衣装は何処に消えたものか、たくましい裸体が姿を現した。
その股間にそそり立つものは、先ほど姫が抜いた短剣などよりよほど凶器と呼ぶに相応しい傑物であった。
「さあ、姫、起きて下さい。今度はフェラチオをしていただきましょうか」
「フェラ…チオ?」
快感の余韻に身を任せる暇もなく命令に従って上半身を起こしたラヴトラ姫は、ぼんやりと皇子の顔を見上げた。
性交と言えば卵を産むための実質的行為であるクインビィにおいては、性感開発のためのオナニーは存在しても、オーラルセックスやアナルセックスは存在しなかったのである。
「ご存じありませんか? 私のペニス、チンポをあなたの口でしゃぶって欲しいのです。そうすれば私も気持ちよくなるし、あなたも男に征服された悦びを感じることが出来るのですよ」
「はい! やります皇子様! 私に皇子様のチンポをしゃぶらせて下さい」
ラヴトラ姫は1も2もなく即答した。
皇子を心地よくするために奉仕することは当然のことであったが、皇子は同時に悦びを与えてくれるというのだ。
彼女の心は幸福で満たされた。
ラヴトラ姫は皇子ににじり寄ると、恐る恐る肉の凶器を両手でささげ持った。
異世界の住人とはいえ彼女にとって初めて触れる男性器であった。
(ああ、熱い……。 それに……力強く脈打ってる……)
「くくく。さ、姫、その先端を口に含んで下さい。歯は立てないようにね」
「はい。……あんむぅ」
先端を頬ばっただけでラヴトラ姫の口腔は一杯になった。
ペニスをはじめて見る彼女にとってはそういうものと受け止めるしかなかったが、尋常のサイズではない。
「そうそう、顔を前後に動かして、舌を使って上手に舐めて下さい。のどの奥の方まで呑み込むのもいいですね。……うん、なかなかにお上手でいらっしゃる。あなたには性奴の才能がお有りですね」
ラヴトラ姫はよだれでべとべとの笑顔を皇子に向けた。
皇子に褒めてもらえることが嬉しくてたまらないという風であった。
皇子もまたラヴトラ姫に笑顔を返した。
拙いながらも心を込めて、彼女から愛する者全てを奪った男の肉棒に奉仕をする哀れな王女をあざ笑っていた。
(ああ……ああ。たまりませんよ、姫。今あなたを正気に戻したら、気の強いあなたはどんな顔を見せてくれるでしょうね? 悔しさに泣くのですか? 誇りを守るために怒りますか? 絶望におのが命を断つのでしょうか。ああ、想像しただけで……)
「……ううっ! ひ、姫。 もういい! もう結構です」
皇子はラヴトラ姫の小さな肩を押して、彼女を引き離した。
そしてラヴトラ姫の小さな口から自由になった肉棒を右手で素早くしごく。
「さあ、姫。これから私がペニスから精液を放ちます。それはあなたの大好物です。一滴残らずおあがりなさい。よろしいですね?」
「は、はい、飲みます。大好きですぅ。皇子様、早く、早く飲ませて下さい!」
ラヴトラ姫の口が限界まで開けられ、”初めて飲む大好物”を受けるための用意を調えた。
期待にうるむ瞳には皇子の先端しか写っておらず、突き出された舌は精を待ちかまえてうねくっていた。
どんなに淫猥な娼婦でも、男の前でこんなに明け透けにはしないだろうというほどの、それは雌の表情であった。
「いきますよ! そら!」
ジョッキの中身をぶちまけた様な大量の白濁液が皇子のペニスから噴出した。
だがそれはラヴトラ姫に一しずくもかかることなく床面を打った。
発射の寸前、皇子は腰をひねって何もない空間へと精を放ったのだ。
「あ、何を!」
まるでそうすることが当然であるかのように「クインビィの白百合」は這いつくばって磨き石の床に落ちた彼女の大好物をずるずると口ですすった。
皇子の言うことに間違いはなかった。
”それ”は顔を背けたくなるほど青臭くて、眉をひそめたくなるほど苦くて、吐き気を催すほど喉にからみつく彼女の”大好物”だった。
とうとう口ですするのがもどかしくなって、王女は両手で”それ”をかき集めて飲み始めた。
それを見ていた皇子は、とうとう一旦は抑えた衝動を押さえきれなくなった。
”セルピナ”とことんまで辱めてみたいという衝動が……。
「美味しいですか? ”セルピナ姫”」
「!!――――ひっ。 いっ、いやぁ! かっ! かはっ! うぇ!」
セルピナ姫とラヴトラ姫は別人格ではあるが記憶を共有していた。
したがってラヴトラ姫の行動は全てセルピナ姫も”覚えている”。
皇子に呼び戻されたセルピナは、両手にすくっていた白濁液を投げ捨て、胃に落ちた汚液を吐き戻そうとえづいた。
どうした拍子か口中にあった汚液を吐こうとして、鼻腔の方に流れ込ませてしまっていた。 すする気にもなれず、さりとてハンカチーフも身につけてはいなかったので、どうしようもなく彼女は鼻孔から流れ出たそれを手の甲で拭った。
その間も常に憎むべき男の視線を感じている。
世界がにじんで見えた。
決してこの男の前では涙を見せまいと誓ったが、どうしてもせくり上がる嗚咽の衝動を押さえ込む事が出来なかった。
それを誰が責めることが出来よう、セルピナは女なのだ…。
「くくく…ははははっ…あっははははははは! いかがなさいました、姫? 私の”聖液”はあなたの大好物でしょう? どうぞ遠慮なく召し上がって下さい」
「う……く、ひど…い…何故こんな事をするのですか……私を辱めるならもう充分でしょう。私を殺しなさい! 母上は亡くなり、国は亡びました。あなたの命を取ることもしくじった…。この上あなたの慰み者になって長らえる気はありません。私を母上のところに送って下さい! うっ、うぁぁぁぁん」
セルピナの言葉の後半は涙声だったが、最後はとうとうこらえられなくなったのか、精液だらけの床に突っ伏して号泣をはじめた。
「ああ、姫。どうか顔をあげて下さい。顔を隠さずによく見せて。私は気の強いあなたの泣き顔こそが見たいのです」
抵抗しようもなくセルピナは面を上げた。
目の周りを泣きはらし、涙と鼻汁でぐしゃぐしゃになったその顔を、皇子は例えようもなく嬉しげに鑑賞した。
可愛いと思う女性には笑顔よりも、憤怒の表情よりも、泣き顔こそがよく似合う……それが皇子の信念であった。
もっとも気丈なセルピナにとって、それは全裸を見られるよりも屈辱的な行為であったが。
「うぅぅ……やめて…ぇ……ひどい…ひどいわ……う……うぅ……もう、もうやめて……お願いです…お願いですから……」
「………そうですね。姫は大事な体だ。これ以上お心を傷められるのもお気の毒、もうお休みして頂きましょうか」
「え……?」
セルピナは泣きはらした目で皇子を見上げた。
表情が明るくなるのはどうしても隠せない。
情けを乞いはしたが、まさか冷血な侵略者がこうも簡単に慈悲をたれるとは思ってもみなかったのである。
だがそれは甘い期待であった。
次の皇子の言葉は、セルピナを再び奈落の底に突き落とすに十分なものだったのだ。
「行為そのものを楽しむのなら、もう一人の”あなた”の方がよろしいでしょう。さあ”ラヴトラ姫”」
(! いや……――――)
セルピナの認識は闇に沈んだ……。
▼
「いやあっ! 放して! 放せ! 汚らわしい!」
セルピナが自分の認識を回復したとき、玉座の上で自分の中心を憎むべき男に貫かれた状態であった。
いや、正確には自ら皇子の汚らわしい肉棒に腰を下ろしたのだ。それは覚えている。
だが、自分の中にあって自分でない人格”ラヴトラ姫”のせいだとしても、セルピナがそれを受け入れる義務はない。
今彼女に出来ることは精一杯のあらがいをする事だけであった。
もっとも、あらがうと言っても皇子の両腕で後ろから腰を抱きとめられた状態では手足をばたつかせることくらいしか出来ないのだが…。
「くくく、姫。照れることはありませんよ、いつもやっていることではありませんか。本番だってこれで3度目ですよ」
「あ、あれは…あれは私ではありません。あなたの植え付けた淫らな別人格ではありませんか。 私は決してあなたに屈服したりはしません!」
「そうですか?」
ちゅ。
皇子はセルピナのうなじに唇を付けた。
「あんっ!」
セルピナの背筋に甘いしびれが走る。
隠しようのない官能の声が漏れた。
いかにセルピナの心が処女性を保っていても、その肉体はラヴトラ姫の支配下にあるうちに官能の鉱脈を皇子によって掘り尽くされていた。
全てを失ったあの日、皇子はラヴトラ姫の、即ちセルピナの処女を奪い卵を産ませた。
その後も皇子の居城に連れ帰られ、セルピナはラヴトラ姫として様々なプレイを教え込まれた。
オーラルセックスのテクニックは向上し、奉仕することに快感すら覚えた。
また、後ろの不浄の穴も責められ別次元の快楽を教え込まれた。
ラヴトラ姫がその全てを嬉々として受け入れている間、セルピナのパーソナリティは失われたままだった。
即ち、セルピナの精神は王族の高貴さを失わぬ内に、肉体は娼婦の淫猥さを備えてしまったのだ。
皇子の舌がぬらぬらと首筋をなぞり上げる。
逆にぞくぞくと快感の小虫が背筋を這い降りた。
「あ……ああっ。やん」
「どうです、姫? 感じているのでしょう?」
「ち、違います! 感じてなど……」
「そうですか?」
今度は皇子が耳たぶを甘噛みした。
「ひゃうぅ!」
そこは皇子がラヴトラ姫を相手に発見した彼女の急所であった。
じんとセルピナの体の深奥から熱いものが湧きおこる。
秘唇からはじくじくとうるみが吐き出された。
セルピナの意志とは関わりなく、ラヴトラ姫として皇子に弄ばれた肉体は蹂躙されることに慣れきっていた。
「だ…だめ……」
溶け崩れそうになる理性を必死にかき集めて拒否の言葉を口にするも、セルピナの腰は皇子をより深く飲み込もうと妖しくくねりはじめた。
「どうしました、姫。お逃げにならないのですか? 私を受け入れる気になって下さったのですね」
「ちがっ、違います! 誰があなたなどに!」
官能に火照った顔をさらに赤らめてセルピナは否定した。
しかし体はいっかな皇子を離れようとしない。
それどころか手も足も甘く痺れて力が入らないのだ。
「くくく。姫、本当は気持ちいいのでしょう? 嘘をついてはいけません。思っていることを隠さずに言いなさい」
「いや! 嫌です!」
「セルピナ……これは”命令”です」
「あ…ああ……いや……き、気持ちいい! 人前で感じているところ見られるの恥ずかしいよう! でも感じちゃう。見られるの気持ちいい! 嫌! 見ないで! もっと気持ちよくさせて! 私に触れないでぇ! 口惜しい、あなたみたいなケダモノに! もっと、もっと気持ちよくしてぇ!」
気高い王女としての誇りと、淫乱なメスとしての本能の間で揺れるセルピナの言葉は支離滅裂だった。
「くくくっ。女心は複雑ですね。まあ、姫がお望みなら突いて差し上げてもよろしいですよ」
「いやぁ…うう…お母様……ごめんなさい。突いて…やめて! 口惜しい…あなたなどに………滅茶苦茶にして……。私を消して……こんなに苦しむくらいなら……消して下さい…うう…うううっ…お母様ぁ…」
「おやおや、また泣かせてしまいましたねえ。でも交代はまだ早いですよ。さぁ、気持ちよくなりたかったら腰を動かしなさい」
「うぅ……」
セルピナの意志とも皇子の命令とも不分明なまま、細腰が上下に動き出す。
皇子がリズムをあわせて下から突き上げた。
皇子の両腕はもうセルピナの腰を抱きとめてはいない。
大きく切れ込みの入ったドレスの背中から両手を入れ、乳房を掌で強く揉みしだきながらいやらしく充血した乳首を指でいらっていた。
「ん……うああっ! おっぱいとけちゃうぅ……おま○こ気持ちいいよぅ。ああ、こんな恥ずかしいこと言うのいや! でも、気持ちいい!」
「くくく。さっき泣いたカラスが何とやら、ですね。ほら、下の口はもうぐちょぐちょですよ」
「いやぁ、言わないでぇ。恥ずかしい…みんな見てぇ。恥ずかしいけど気持ちいいのぉ」
参謀や黒騎士の見守る前で、憎むべき男に犯されているというのにセルピナは昂ぶる一方だった。
肉体が淫らに開発されているということもあるが、むしろ衆人の環視の中忌み嫌っている男に犯されるという状況がセルピナをマゾヒスティックに興奮させていた。
我知らず左手が皇子の手を自分の感じる場所へと導き、右手が充血した股間の肉芽をつまみ上げていた。
腰を揺すりながら快感にとろけきった表情は、性に奔放なラヴトラ姫のそれと変わるところが無い。
「あっ…あっ…ああっ! イッちゃう! イッちゃうよぅ! 見ないで! 恥ずかしい! 口惜しい! でも、いいの! あっ、イッちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「うっ! 私もです。さあ、行きますよ”ラヴトラ姫”!」
「!!――――」
次の瞬間、皇子の精がラヴトラ姫の体内で爆発した。
「あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 熱い。皇子様の熱いのが私の中に流れ込んできます! 皇子様! もっと! もっと私の中に注ぎ込んで下さい! あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
ひときわ高い嬌声を上げてがっくりと脱力したラヴトラ姫は、後ろの皇子に背をもたれさせた。
さしもの皇子も疲労の色が濃い。
やがて、参謀達の見つめる前でラヴトラ姫の下腹に変化が現れた。
ドレスの上から判別がつくほどに膨れ上がったのである。
そしてそれは見る見るうちに一抱えもある漬け物石大に成長した。
「くく。起きて下さいラヴトラ姫。あなたと私の”愛”の結晶が誕生の時を迎えましたよ」
「ん……んぅ……」
忘我の境地を彷徨っていたラヴトラ姫が目を開けた。
すぐに三度目となる肉体の変化に気づき、嬉しそうに大きな腹をなでさする。
それは彼女にとってもっとも愛しい男性との愛の結晶であった。
「さあ、立って下さい。私によく見えるようにそれを産んで下さい」
「はい、皇子様…」
ゆっくりとラヴトラ姫が立ち上がると、その股間からずるりと皇子の肉棒が抜き出された。
秘唇からうるみと精液の混合液を垂らしながら階(きざはし)を降りると、玉座の皇子に向かいしゃがんでみせる。
その造作の何処にもセルピナ姫の時に見せていた羞恥はない、むしろ皇子の言葉に身を任せることに快感を覚えているようであった。
「んん……っ」
ラヴトラ姫が汗みずくの顔を真っ赤にさせていきんだ。
下腹の膨らみが生き物のように下へと動いた。
注ぎ込まれたばかりの精と愛液を逆流させながら”卵”の下端が顔をのぞかせる。
そしてすぐに信じられないくらいに広がった秘所から大ぶりのメロン大の白球がむりむりと押し出された。
「皇子様ぁ、見てください。タマゴぉ、タマゴ産まれます! んっ……んあああああああああっ!」
ごろり。
床の上に卵が転がると、精魂を使い果たしたラヴトラ姫がその上に折り重なって倒れた。
十分もたたずにその中から地球環境に適合した生物の形をとって凶悪な怪人が産まれるとしても、卵を守るように覆い被さったラヴトラ姫の慈母の表情を浮かべて気死していた……。
「よし! デプスダークよ! 洗脳獣が生まれ次第、作戦の実行を命ずる! 今度こそサイコマンダーの首級を上げて見せよ!」
「ははっ!」
「待っていろサイコマンダー! 今度こそ余の洗脳獣が貴様らを討ち滅ぼしてくれる! くくく、ははは、はーっはっはっは――――」
皇子の哄笑は闇の広間の空気を長く振るわせ続けた……。
< 続く >