-1-
「絢さん、滝尾 絢さん、ゆっくりと目を開けて下さい」
その声に、わたしの意識が浮上するのを感じました。先生の声で目が覚めるなんて、本当に素敵。少しだけ茫としながら、嬉しさにわたしの顔が弛むのを感じました。
「はい、先生」
わたしのすぐ目の前に、先生の顔がありました。診察台に横たわったわたしの顔を、覗き込むように見ていたらしいです。先生の繊細な顔に掛かった丸眼鏡に、大きくわたしの顔が映っていて、嬉しいのに・・・恥ずかしさで顔が赤らんでしまいました。
「今日の治療はここまでだよ。疲れたかい?」
優しく問う先生に、わたしは素直に「いいえ」と答えます。聞かれた事に本当の事を答えるのも、治療の一部なのだそうです。
「じゃあ、後は自由に過ごして下さい」
先生はそう言うと、わたしが診察台を降りるのに手を貸してくれました。わたしはいつも、その手にどきどきしてしまいます。
「それでは先生、失礼致します」
ぺこりと頭を下げて、わたしは診察室を出ました。でも、何もする事がありません。少し考えてから、わたしに割り当てられた部屋に戻る事にしました。部屋には小鳥のピピもいますし、読みかけのご本もあります。
長い廊下を抜けて、娯楽室の前まで来ました。今は患者さんがいないので、誰の姿もありません。
あ、患者さんがいないというのは、この建物の中に、です。新しい患者さんが来ても、いつも数日から数週間で出て行くので、こういう誰もいない日もあるんです。誰かいれば、一緒に遊べるのに・・・ちょっと、残念です。
そのまま廊下を歩いていると、すごく爽やかな春の風が入り込む窓が開いていて、誘われるようにそこからお外を眺めました。
「あら・・・綺麗・・・」
そこは、この建物の裏庭でした。薄紅色の花が満開の、桜の木がたくさん植えられていました。ずっとわたしはここにいるのに、なんだか初めてこの桜を見た気がします。わたしは桜に見惚れて、ほう、と吐息をつきました。
難しいことは考えなくても良いと、先生は教えて下さいました。だから、わたしの記憶が曖昧な事とか、いつからわたしはここに居るのかとか、わたしは誰なんだろうとか、ぜぇんぶ気にしなくても良いんです。それはとても、楽なことです。
優しい風が、わたしの頬や首筋を撫でて行きます。腰まで伸ばした髪を、悪戯するように乱して行きます。それはまるで先生の手のようで、わたしの心に愛しい想いを満たしてくれました。
「あ・・・」
さきほど、先生が手を貸してくれた時の感触が、わたしの手に蘇りました。細いようでいて、力強い手です。繊細な動きで、わたしを魅了する手です。その感触を逃がしたくなくて、わたしの右手ごと胸に抱き締めました。
「ん・・・」
だめです。ますます切ない気持ちになってしまいました。右手を抱き締めた胸が、切なく、熱く疼きます。両手で胸を押さえるようにすると、熱気が胸から全身に広がってしまいました。こうなるともう、わたしは止まらなくなってしまうんです。
「あ・・・は・・・」
恥ずかしいけど、でも、いいんです。先生がそうおっしゃってくださったんですから。でも、どこでもしてしまうのは、いけない事だとも教えてくださいました。ですから、わたしは熱に浮かされたようにふらふらと、『個室』に向かって歩き始めました。普通に歩けば一分とかからないのに、今はひどく遠くにあって焦らされているように感じてしまいました。
-2-
「あぁ・・・あつぅ・・・い・・・」
身体中が燃え上がるようです。特に、頭と、お胸と、あそこがすごいんです。『あそこ』の呼び方は先生に教えて頂きましたけど、恥ずかしくて、一人の時でも言えないんです。もっとがんばらないといけませんね。
じゅぐ、じゅぷっとはしたない音を立てながら、わたしは歩きました。途中で何度も手があそこに伸びてしまいましたけど、必死に我慢しました。それは、いけない事だと先生に教わりましたから。
「んぅ・・・あ・・・はぁ・・・」
熱くて、視界まで歪んで見えます。頭もぼぅっとして、なんだかよく判りません。だから、なんとか『個室』に辿りついた時には、安堵の吐息を漏らしてしまいました。
『個室』とは、少し大きめのお手洗いの事です。ただ、随所についているビデオのレンズや脇に置かれている遊具、正面の扉に付けられた姿見などが普通と違うところです。ここは、淫らな行いを押さえきれない時用の場所なのです。
「あ・・・はしたないです・・・」
洋式の便座に座ると、正面の姿見にわたしの姿が映ります。涙が滲んだような潤んだ瞳、上気した肌、熱い呼吸・・・何度見ても、わたしのこの姿は恥ずかしいです。
わたしは以前先生に指示されたように、右手側の壁に付いているスイッチの一つを押しました。これで、わたしの恥ずかしい姿が全て、ビデオに録画されます。
「あぁ・・・はやくぅ・・・」
準備を終えると、わたしは右足を便座に乗せました。スカートが全部捲れて、汗ばんだ太腿と、濡れそぼったパンティが晒されます。ビデオのうち一つは、ここをアップで写しているはずです。そう思うと、ますます妖しく興奮してしまいました。
わたしはじれったく思いながら、左手でパンティの大事な場所をずらしました。右手を滑らせて、パンティをずらした所から中指をあそこに当てるようにすると、それだけで背筋がぞくぞくするほど気持ち良くなりました。でも、それだけじゃ、とても足りません。
「もっと・・・もっと・・・ん・・・」
ゆっくりと、中指を中に入れて行きます。爪を伸ばしていますから、逸る心を押さえて慎重に挿し込みます。そこは凄く濡れていて、指の腹の部分で擦るようにすると、とても気持ち良いのです。
「んっ、は・・・はぁっ、はぁっ」
指の付け根までを入れました。わたしのそこは、さっきまでよりも、ずっと濡れています。今度はその濡れた襞を擦りながら、ゆっくりと指を抜きます。そうすると、まるでここだけが別の生き物になってしまったように、きゅっ、きゅっと締まって、指を離すまいとするんです。それは一層の摩擦を生んで、頭がぼうっとするほど気持ち良いんです。
じゅぶっ。
「んっ!」
ぐちゅっ。
「は、はふっ!ひっ!」
何度も指を出し入れすると、湿った音がますます大きくなりました。もう、掌まで愛液にまみれています。指を抜くと、柔らかくこなれたあそこが、もの欲しげにひくついているのが見えます。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
わたしの荒い息が、個室に響いています。甘くてねっとりとした、いやらしい感じがします。
「あぁ・・・もっと・・・もっと欲しいです・・・」
焦点の合わない眼を脇に向けました。そこには、いくつか遊具が置いてあります。ピンク色のローター、ゴツゴツした形のバイブ、細長いアナル用のバイブなどです。どれにしようか迷いましたが、結局バイブにしました。先端が振動とともにうねって、クリトリスを同時に刺激できる形のものです。
わたしは腰を少し浮かすと、邪魔になったパンティを脱ぎました。立てた右足を抜いたところで面倒になって、左足の腿に引っ掛かったままにしました。わたしのあそこは、満たしてくれるものが欲しくて堪え切れなくなっています。
「あん・・・」
バイブを手にする前に、左足も便座に乗せました。M字に開いた足の付け根が・・・あそこもお尻の穴も、全部がまる見えになっています。身体もバイブを入れる事を期待しているのか、お尻がきゅっとすぼまるごとに、ぱぁく、ぱぁくとあそこが開きます。まるで、早く入れて欲しいと懇願されているみたいでした。
正面の鏡に目をやると、淫らにも全てをさらけ出している女性が映っています。潤んだ瞳、上気した肌、半開きの唇・・・わたしは、この淫らな自分の姿がとても好きです。恥ずかしくてたまらないのに、もっともっと淫らなことをしたくて、ときめいてしまいました。
じゅぶ・・・ぐちゅうぅ・・・。
「あぁ、入る・・・ごりごりっ・・・ごりごりっって!・・・あ・・・ああッ!」
頭の中がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられるような、そんな気持ち良さが背中を走り抜けます。ぞくぞくと、全身が震えました。でも、もっと・・・もっと凄く気持ち良いコトがあるのを、わたしは知っています。だから、ここで満足しては駄目なんです。
わたしの中を広げながら、ごりごりと襞を掻き分けてバイブが進むのを、その感触で感じています。息が出来ないほどの圧迫感を感じるのに、頭の中を掻き混ぜられるように、気持ち良いんです。
「あ、あ、あ、あ、あ、ああっ、あああああっ!!」
快楽に耐え切れない身体が、自然に仰け反りました。目を開いているのに、神経を焼かれたように、何も見えません。それなのに・・・手が動いて、バイブを押し込むんです。わたしのあそこが、貪欲にバイブを飲み込んで行くんです。連続する快感に、気が狂ってしまいそうです。
「おくっ!おくが、ぐりっ・・・ぐりっ!って、くるのっ!!ひぁっ!!」
パチパチと、目の前で光が弾けました。
「ひぐっ!ひっ!!かっ・・・はっ・・・はふっ!・・・イクぅぅぅっ!!!」
バイブを押さえている右手に、ぴゅっと暖かい液体が掛かりましたが・・・深い絶頂に翻弄されたわたしは、気が付きませんでした。それどころでは無かったんです。動き続けるバイブが、何度も・・・何度も続けて、わたしを絶頂に導いたんです。
「ひぅ・・・あ・・・は・・・はぁ・・・はふ・・・」
少しずつ・・・絶頂の波が緩やかに凪いできました。バイブをゆっくり引き抜くと、驚く程の愛液にまみれて、白くてらてらと妖しく輝いていました。
「は・・・はぁ・・・ふぅ、ん・・・は・・・」
目の前にの鏡に、ひどく淫らなわたしの姿が映っています。さっきまでバイブが蹂躙していたあそこは、まるで今もバイブが入っているように開いて、ぐちゅぐちゅと蜜を分泌しています。その上の汗をかいている太腿も、いやらしく震えています。
そして・・・鏡に映るわたしの表情は、快楽に満たされた淫蕩な笑みを浮かべています。湯気が立ち上りそうな、熱く甘い呼吸を洩らしながら、半開きの唇からちろりと舌を見せています。満足しているのに、まだ相手を誘惑するような、そんな表情です。
「せんせいは・・・後でこのビデオを見て下さるんでしょうか・・・」
喜んで頂ければ嬉しいと、わたしはそう呟きました。
-3-
お空が燃えるような色に染まる頃、ここに新しい患者さんが見えられました。活発な雰囲気のある、ボブカットがお似合いの方です。まだ20歳ぐらいでしょうか、気が強そうで、何やら大きな声を出しているようですが、離れた部屋から見ているわたしには、声は届きませんでした。
拘束具に手足の自由を奪われ、屈強な黒服の3名の看護士さんに運ばれています。一瞬、わたしと目が合った気がしましたが・・・ここからでは表情も判りません。それでも一応、わたしは微笑みながら手を振りました。
患者さんを引き渡して、看護士さん達が車で帰られました。それだけでもう、ここから見える景色は変化の無い、いつも通りのものに戻ってしまいました。退屈なので、わたしは視線をピピに向けました。
「ねぇ、ピピ。新しいお友達が入ったみたいですわ。これでまた、ここが楽しくなりますわね」
わたしがそう話し掛けると、ピピは軽く首を傾げてから、力一杯同意するように囀りました。ピピは頭が良いので、わたしの言葉にいつも答えてくれるんです。
「ふふ、ピピも嬉しいわよね」
少しだけ指を鳥篭に入れると、ピピが嘴でつん、と突付きました。じゃれ付くように、顔を擦り付けてきます。その可愛い仕草に、わたしは声を上げて笑ってしまいました。
rrrrrn.
部屋に備え付けの、アンティークな電話が鳴りました。わたしは高鳴る胸を押さえながら、急いで電話を取りました。何でこれほどに電話にどきどきするかと言いますと、この電話は、先生以外からは掛かってこないからです。
「はいっ、絢ですっ」
いけません、なんだか強い口調になってしまいました。先生がお気を悪くしないといいのですけど。
「絢さんですか?今晩お手伝いをお願いしたいんですが、時間はありますか?」
その理知的な声に、つい受話器を持ったままうっとりしてしまいました。目を閉じていると、先生に耳元で囁かれているように感じます。
「はい、大丈夫ですわ。何時くらいでしょうか?」
電話の向こうで、先生がくすっと笑うのが判りました。そう言えば、時間を確認する前に大丈夫と言い切ってるのですから、笑われても仕方ありません。
「今から前準備を行いますので、21時頃に診察室に来て下さい」
それは、まるでデートのお誘いのようです。ますます高鳴る胸の音が、先生に聞こえてしまわないか心配です。でも、それ以上にわたしは・・・。
「はいっ! 後で伺いますっ!」
喜びに声が跳ねました。
-4-
こんこん。
うるさくならないように、でも小さ過ぎないように、診察室のドアをノックしました。今は夜の9時になる直前です。早過ぎても遅過ぎても失礼になりそうで、どきどきしながらこのドアの前を何回か往復してしまいました。
「はい、どうぞ」
「失礼致します」
先生の声に従って、ドアを開けました。目の前には診察台と、椅子が2脚ありました。診察台の上には、先程見掛けた新しい患者さんが横たわっていました。
先生は診察台の傍らに置かれた椅子に、ゆったりと座っています。まるで一仕事終えた後のように、満足げな表情を浮かべています。
診察台の上の女性は、妙に色の無い表情をしています。目を開いているのに見えていなくて、唇を笑みの形に曲げているのに、笑っているように見えない、とても不思議な表情です。それなのに、まるでお人形さんのように、美しいと思います。
全身を弛緩させて、深く診察台に身体を預けていますが、それでもそのプロポーションの良さが判りました。特に、質素な寝間着の胸部を押し上げている稜線が、寝ているのに崩れていないのが素晴らしいです。なぜか下半身は何も身に着けていませんが、それが綺麗な脚のラインを引き立てているようです。
「あ、準備ってこのことだったんですね」
この表情は、知っています。先生に『治療』をして頂いた時の表情です。いつか、別の患者さんにも施していたのを見たことがあるます。でしたら、心配する事はありません。
「うん、結構時間を掛けて、かなり深いレベルで催眠を掛けてあるんだ」
意味は良く判りませんでしたが、きっとこれも『治療』の一環なんだと思います。わたしは微笑みながら、「はい」と頷きました。
「じゃあ、椅子に座って・・・そう、リラックスして・・・目を閉じて・・・」
先生の声が、耳を心地良くくすぐります。なんだかとってもふわふわした気分で、言われた通りに目を閉じました。ゆっくりと、わたしの身体から、ちからが抜けていきます。とても・・・とても気持ちいいです。
「・・・リラックスして・・・そう、『夢に舞う悦び』を思い出して・・・」
とても・・・とてもきもちいい・・・。
・・・。
・
・
・
「・・・さぁ、絢さん、目を覚まして・・・」
先生の声に、まどろんでいた意識が浮上しました。とても気持ちの良い目覚めで、身体中すっきりしています。椅子は背もたれが倒されいて、わたしはほとんど横になった状態で、今まで寝ていた事に気が付きました。
「せんせい・・・」
すぐ目の前に微笑んだ先生の顔があって、わたしは茫っとしてしまいました。いつも思うのですが、起きてすぐ目の前に先生がいるのは、とても幸せな事だと思います。
「絢さん、自分の身体を見下ろして見て下さい」
先生が興味深そうに、わたしを見ています。
「はい・・・えっ?」
わたしは目を丸くしました。いつのまにか服を脱いでいて、パンティ一枚も身に着けていません。いえ、それはいいのですが、わたしのあそこから・・・その・・・おちん○んが生えていたのです。30センチ位でしょうか、ごつごつとして、逞しそうな印象です。時々ぴくぴくと動く様子は、先生のあれを思い出させます。
「先生・・・これ・・・」
先生は、にこりと優しく微笑みました。その、『心配しなくても大丈夫だよ』という視線に、わたしの動揺が収まって行きました。
「手伝って欲しいという内容だけどね、君のその男性器を使用して、あそこに横たわっている大沢・・・佳奈美さんを愛してあげて欲しいんだ」
あの患者さんは、佳奈美さんというらしいです。
「あの娘は男性恐怖症でね、今の絢さんは男性と女性の中間に位置する存在だから、君に愛される事で、男性に対する恐怖を和らげたいんだ。手伝って、くれるかい?」
わたしには良く判りませんが、先生がそうおっしゃるなら間違いはありません。もちろん、わたしがお手伝いを断るなんて、する訳がありません。それどころか、先生のお手伝いが出来るなんて、とても嬉しいです。わたしは「はい」とお返事しました。
「ありがとう。それじゃあまず、絢さん自身が男性器に慣れてみようか」
その言葉に、視線を下に向けました。手や唇や舌でのご奉仕や、あそこやお尻に受け入れた事はあるのですが、おちん○んが自分の下半身についていて、ビクっビクっと動くのは、とても違和感がありました。
「まずは、触ってごらん」
背後に回った先生が、わたしの耳元で囁きました。いつもの柔らかい口調から、少しかすれたような、まるで鼓膜を愛撫するような口調に変わっています。
「はい・・・んっ!な・・・なにこれっ・・・っ!!」
腰ががくがくと震えるような、圧倒的な快感が生まれました。わたしの手が先端部に触れているだけなのに、鋭敏な神経を直接触れているような、頭が焼き切れそうな程の快感を感じました。
「す、すごいです・・・せ・・・せんせっ・・・あくっ!あ、だめ・・・っ!!」
左手を、柔らかく付け根の方に撫で下ろします。右手で、先端部を包み込むように揉みます。たちまち頭が真っ白になって、腰を突き上げた形で絶頂に達しました。
それは、頭から背骨を通り、腰からおちん○んへと抜ける、熱い衝動そのものでした。今まで以上に太くなったおちん○んを通り、先端から噴出します。身体は痺れたように自由にならないのに、手だけが勝手に動いて、なんどもなんどもしごきました。その都度身体が絶頂に押し上げられ、もう死ぬまでこの手は止まらないのではと、甘美な恐怖すら感じました。
「あっ!あっ!あっ!あっ!ぅくっ!ふぅあ!あ!あああああっ!!」
一番大きな衝撃が噴き出して、わたしの身体は電池が切れた人形のように動かなくなりました。それなのに、まだ股間ではおちん○んがびくっ、びくっと震えています。
「良く出来たね。でも、自分の手よりも、佳奈美さんの中の方が、ずっとずっと気持ち良いよ」
先生の言葉で、わたしの頭の中にどろどろした熱い欲望が満ちて行くのが判りました。診察台の上で茫としている佳奈美さんに、目が引き寄せられます。しどけなく開いた脚の付け根の、大事な場所が気になって仕方ありません。
ぺろ・・・と舌で唇を湿らせました。まだ、心臓のどきどきが止まりません。わたしは熱い吐息を漏らしました。
-5-
「じゃあ、佳奈美さんの準備をするから、少し待っていて下さい」
先生はそう言うと、佳奈美さんの傍らに移動しました。相変わらず呆とした顔の佳奈美さんに顔を寄せて、言葉を紡ぎます。緩やかな旋律にも似た、耳に心地良い言葉の群れが、わたしの心をさわさわと触れて行きます。
「佳奈美さん・・・目を閉じて、僕の言葉を受け入れて下さい。そう・・・今から貴女はイヤらしい事がしたくて堪らなくなります。でも、自分で自分の身体に触れる事は出来ません。それは、はしたない事ですから。でも、身体はどんどん熱くなってきます。身体中が疼いて仕方ありません」
先生が何度も佳奈美さんの耳元で囁くと、だんだん佳奈美さんの顔が赤らんできました。何かを我慢するかのようにしかめた眉が、もどかしげに震えています。今まで力無く置かれていた四肢が、緊張を孕んでいるように見受けられます。それはきっと、先生の言葉が心に染みこんで行くからでしょう。
「ん・・・ふ、あ・・・」
とうとう、佳奈美さんのその艶やかな唇から、甘い蜜が滴りそうな喘ぎが漏れました。余りにえっちな声に、わたしの身体が震えました。わたしのおちん○んを、その中に入れたくて仕方がありません。視線は先生と佳奈美さんから外せないまま、そっと両手でおちん○んを包みました。
「身体がどんどん熱く、えっちになっていきます。もう、我慢出来ません。まるで、砂漠の中で水を欲しがるように、えっちな事しか考えられません」
「んぅふ・・・あ・・・あぁ・・・あっんん・・・」
くねくねと、佳奈美さんの身体が悶えています。骨の無い軟体動物のような動きは、とてもえっちなものに思えました。開いた脚の間で、パンティが濡れた場所を広げて行く様子に、わたしはご馳走を前にした子供のように、はしたなくも喉を鳴らしてしまいました。わたしの中で、1秒毎に”入れたい”という気持ちが高まって行くようです。きっと、これが男性の感じ方なのでしょうね。
「佳奈美さん、さぁ・・・目を開けて・・・」
先生の声に、佳奈美さんはうっすらと目を開きました。泣いているように潤んだ瞳が、まっすぐにわたしを見詰めています。
「あ・・・」
わたしと佳奈美さん、どちらが呟いたものか、衣擦れにも紛れてしまうほど小さな声がもれました。
「佳奈美さん、目の前に居るのは絢さんという女性です。男性の性器が付いていますが、紛れも無く女性です。安心して、身を任せてしまいましょう。そうすれば、気が狂うほどの快感を感じることが出来ますよ」
その言葉に、佳奈美さんの目に狂おしいほどの欲情の色が浮かんだようでした。佳奈美さんの半開きの唇からは、湯気さえ立ち上りそうな、熱い吐息が洩れています。
「彼女は、あなたを強姦した男とは違います。彼女の男性器は、触れただけでもあなたに快感を与えてくれます。さあ・・・絢さんに、何をして欲しいのかを言ってごらんなさい・・・それだけで、快楽はあなたの物になります・・・さぁ、佳奈美さん」
佳奈美さんが、わたしを見上げながら、おずおずと四つん這いになりました。そうすると、どろどろになって開いたあそこも、滴った愛液でてらてらと濡れたお尻も、全てがわたしに晒されます。あまりにいやらしい光景に、わたしは目を離せなくなりました。
「・・・お・・・お願いします・・・愛して下さい・・・もう・・・もう、欲しくて気が狂いそうなんです・・・」
初めて聞いた佳奈美さんの声は、小さくて、震えていて、とても愛しく感じました。わたしが動かないでいると、佳奈美さんは胸で身体を支えて、両手を後に回しました。羞恥に涙を浮かべながら、あそこの入り口を指で広げました。それだけで新しい愛液が中から溢れてきます。
「・・・お願いです・・・して・・・してっ!」
佳奈美さんは、何度も堪え切れないように『してっ』と言いながら、お尻をふるふると揺すりました。もう、わたしも限界です。椅子から立ち上がると、佳奈美さんのお尻を両手で押さえました。
間近で見る女性器は、びらびらした部分や、その奥に息づくサーモンピンクの入り口など、見れば見るほどいやらしい形をしています。見られているだけでも感じるのか、佳奈美さんのそこからは、淫猥な蜜がどんどん溢れてきます。
ピンクに艶々と輝くクリトリスは、わたしのものよりも小さく感じられました。包皮から顔を出しているのですが、そのままでは摘めないくらいです。
「ひぁあああっ!」
わたしがクリトリスを優しく舐めると、佳奈美さんが一際高い悲鳴を上げました。でも、嫌がっていないことは、わたしの顔に押し付けるように腰を動かしていることからも判ります。なんだか嬉しくなって、わたしはもっと激しく舐めました。
「くぅっ!あ、それっ!いいの、いいのぉっ!!」
佳奈美さんの香りが、一層強くなったようです。愛液の量も増えて、わたしの顔を汚して行きます。とろとろとして白濁したそれは、不思議と甘く感じられました。
「佳奈美さん・・・こっちも舐めて上げますね」
「きゃふっ!あ、あああっ!・・・ひっ!!だめぇ・・・そこはっ・・・ひっん!!」
わたしが唇にも似たそこを舌で舐め上げて、それからお尻のすぼまりに舌を這わせました。佳奈美さんは口では嫌がっていましたが、相変わらず逃げる様子は見せません。嘘を言った罰に、舌先を尖らせて中に挿し込みました。
「ぁうあ・・・あ、はぁああ・・・へんなの・・・あん・・・ああぁ・・・」
顔を振って少しでも舌を奥に入れようとすると、佳奈美さんの喘ぎ方が変わってきました。どうも、激しく感じるというよりも、深く陶酔しているという感じです。
「あぁん・・・へん・・・へんよぉ・・・なんで・・・こんなに・・・お・・・おしり・・・なのにぃ・・・はぁん・・・」
わたしももう我慢できずに、診察台に上りました。わたしのおちん○んが、早く佳奈美さんを愛したくてピクピクと震えています。根元を握って、先端を佳奈美さんの濡れそぼったそこに当てました。
「あああっ!!」
くちゅ、と音を立てて、わたしのおちん○んの先端が、濡れた粘膜に触れました。それだけで、腰が砕けるほどの快感を感じました。わたしの身体は餓え続けているのに、こころのどこかで恐くなってしまいました。
「いいんですよ。もっと・・・もっと気持ち良くなってもね。僕が見ていてあげますから、続けて下さい」
先生の声に顔を向けると、快楽に朦朧とした目に先生の姿が映りました。ビデオカメラで、わたし達を撮影しています。その顔は微笑んでいて、わたしの感じた不安を、取り除いて下さいました。
「はい・・・んっ・・・佳奈美さん、いきますよ・・・ああっ!!」
「あああんっ!!」
ずりゅっ!
そういやらしい音を立てて、わたしのおちん○んが佳奈美さんのあそこに潜り込みました。濡れた襞が、痛いほどに締め付けてくるのが判ります。しかも、それは絶えず蠢いていて、まるで小さい舌で舐め回されているような気持ち良さです。
「あくぅっ!!おくっ!おくに届くのっ!ああっ、あっ、あっ!!」
もう、佳奈美さんは全身が快楽で薄紅色に染まっています。浮かんだ汗が、照明の光に照らされて輝いています。きっと、わたしも同じようになっていると思います。
ぐちゃっ、ぐちゅっ。
佳奈美さんの腰を手で押さえて、わたしの腰を前後に動かしました。おちん○んが佳奈美さんの膣内を擦るたびに、頭の中が真っ白になって行くみたいでした。
「きゃぅっ!・・・あぁ、あああ・・・」
何度か抽送しているうちに、わたしのおちん○んは佳奈美さんの中から抜けてしまいました。佳奈美さんは気だるげに姿勢を変えて、わたしと向き合いました。泣き腫らしたような目が、わたしを誘惑しています。もっとしてと、そう言っているようでした。
「あん・・・ふむん・・・くぁ・・・あ・・・」
わたしは佳奈美さんに覆い被さると、その半分開いた唇にキスしました。でも、嬉しそうに喉を鳴らせて、舌を挿し込んできたのは佳奈美さんです。その独特のぬめぬめした感触が、わたしの舌を吸い、擦り、絡まり・・・頭の中を、どろどろに蕩かせて行きました。
「はぁっ!」
暫くキスを味わうと、息苦しくなったのを機に、唇を離しました。荒い息を繰り返していると、わたしの胸に固いものが当たっているのに気が付きました。
それは、ピンク色で、つん、と上向きに固くなった、佳奈美さんの乳首でした。薄い布地の寝間着を押し上げいて、綺麗で、いやらしくて、見ているだけで舐めたり、吸ったりしたくなりました。わたしは身体の位置を少しずらして佳奈美さんの寝間着をはだけると、欲望のままに右の乳首を咥えました。
「きゃぅっ!あ!いいっ!!」
ビクン、と佳奈美さんの身体が弓なりに反って、どれくらい気持ち良いかをわたしに知らせます。腰に右手を回して固定すると、わたしはもっと愛撫を続けました。しかも、左手も使ってです。
左のお胸を下から押し上げるように揉んで、親指と人差し指で乳輪を広げるように弄ると、今まで以上に固くしこるのが判りました。右の乳首を口から離すと、舌の裏側を使って、左の乳首を舐めました。思いきり出した舌の先端から唇の端まで、そこからまた戻って舌の先端で押し潰したり、突ついたり。まるで楽器のように、佳奈美さんの喘ぎが高まりました。
「あっ!あ~っ!!だめっ!いれてっ!もう、だめなのっ!お、おねがいっ!!」
そう懇願する佳奈美さんにキスすると、わたしはおちん○んを握って、正常位で挿入しました。また、頭が真っ白になるような快感がわたしを包み、腰が震えてしまいました。
これ以上すると、どうにかなってしまいそうな怖さがありましたが・・・先生が見ていて下さるのですから、きっと大丈夫です。わたしは歯を噛み締めながら、抽送を始めました。
「うぁあっ!すごいのっ!なかっ、なかがぐちょぐちょに掻き回されてっ!おかしくなっちゃ・・・んっ!」
佳奈美さんの身体が、まるで骨の無いかのようにうねり、お胸がたぷたぷと揺れ動きます。あそこは痛いほどわたしのおちん○んを頬張って、抜き差しするのも大変です。
「ああんっ!あ、あはっ!こんなの・・・こんなのはじめてっ!ん、ぁあっ!!」
佳奈美さんが、快楽に蕩けた瞳でわたしを見上げて、悦びの声を上げています。熱病にかかったような熱っぽい表情に、とても淫らな印象を受けました。
「ああっ!だめっ、だめぇっ!!きちゃうの!かはっ!きちゃうのぉっ!!」
泣きそうな表情で、佳奈美さんは絶頂が近い事を告げました。小さい波が何度も突き上げているようで、意味を成さない喘ぎが漏れつづけています。わたしももう限界で、何度も目の前で光が弾けるような、身体中がばらばらになりそうな感覚を味わっていました。
「かなみさんっ!わ・・・わたしも・・・わたしもなのっ!ね・・・い、いっしょにっ!!」
「うんっ!きてっ!はあぁっ!きてぇぇっ!!!」
「あああぁあああっ!!!」
佳奈美さんの中が、きゅっと締まりました。わたしのおちん○んが、強く優しく包み込まれます。まるで、わたしの身体中の性感が全てそこに集中したみたいに、信じられないほどの快感が伝わってきます。
佳奈美さんの手が背中にまわされて、ぎゅっ!と抱き締められた途端、頭が焼きつくような絶頂感に襲われました。
どこか遠くで、快楽に泣き叫ぶような佳奈美さんの声を聞いた気がしましたが・・・わたしの意識は真っ白い闇の中に飲みこまれて行きました。
-Ending-
わたしにあてがわれた部屋の中で、わたしは中庭を見下ろしていました。暖かい日差しの中、少し離れた大きな木の下で、佳奈美さんが先生にお口でご奉仕しています。佳奈美さんの表情は悦びに輝いているのが、ここからでも判りました。きっと、あの甘い声を洩らしながら、あそこを濡らしているんだと思います。
佳奈美さんとは、初めての夜から、何度も愛し合いました。わたしにおちん○んが無い時もありましたし、途中から先生が参加されることもありました。最初は先生に慣れていなかったご様子でしたけど、今ではああして二人で愛し合えるほどに仲良くなれました。それは、わたしにとってもすごく嬉しいことです。
「ね、ピピもそう思うでしょ?」
籠の中で、ピピがこちらを見上げました。ふと思い付いて、そっとピピの鳥篭の入り口を開けました。先生からピピを頂いた時、羽を切っていないからしてはいけないと言われた事です。
「今まで閉じ込めていて、ごめんなさい」
何を言われたのか判らないと、ピピは首を傾げました。突然開かれた扉に、ピピはどうしていいか判らないのだと思います。わたしはピピに微笑みました。
「わたし達はもう、鳥篭が開いていても逃げられないの」
そう、佳奈美さんももう逃げられない・・・逃げたくないと思う事でしょう。あんな悦びを知ってしまったから。
「身体ではなくて、心が甘い鎖に繋がれているから」
何よりも脆い鎖は、わたし達が自分からすすんで纏っているもの。手放したくなくて、手放せなくて。それは、先生を愛する悦び。先生に愛される悦び。
「だから、あなただけでも自由におなりなさい」
わたしがピピを鳥篭からそっと出して、窓から空に差し出すように手を伸ばしました。優しく手を上下させると、ピピは羽ばたいて手から浮かびました。
ピピは戸惑ったようにわたしの上で2,3回輪を描いてから、大空に向かって力強く羽ばたきました。
自由へ。
< 終わり >