ドアラっぽい何か 二話の3

二話の3

「これなんかどうかな?」
「あー、いいかもねー。ね、リナはどう思う?」
「そうだねぇ。はるちゃんのそれも良いけど、リナはこっちのほうがご主人様に似合うと思うの」
「リナー。それはないんじゃないかな?」
「そうかなぁ?」
「そうよ、いくら何でもそれは似合わないでしょ。もうちょっと付ける相手を考えなって」
「お前らいい加減にしろ」
「あんたは黙ってて」
「シュウは黙ってて」
「ご主人様は口を挟まないで下さい」
「はい……すいません」

 わいわいと言い合う女子三人に口を挟んだら、フルボッコにされました。
 この状況を受け入れる事を決めてから三日が経った。昨日、一昨日と学校周りの調整をババアとやって、ついに倉島54クラブ改め、KDJ54H(倉島のことが大好きな女子54名によるハーレム)が結成された。メンバーは三学年六クラスの女子達、各クラスの一位から三位までだ。その順位は各クラスの投票、各学年の学年投票による振り分けの後、俺との面接で決めた。お陰で一昨日昨日と授業が丸々潰れたし、死ぬほど疲れた。
 ちなみに俺の目の前で騒いでいる女子三人はKDJ54Hのトップスリーだ。いや、八百長とか、情が移ったとかじゃなくて普通にトップスリーだった。なんなんだよお前等。つーか、トップスリーがまとまってるとかうちのクラスが神過ぎるだろ。その他にもうちの女子連中にはKDJ54Hに入ってもおかしくない逸材がごろごろいる。ただ、同じクラスなのでいつでも見れるのと、一クラス三名までって決めたのとで、加入は目の前の三人だけにした。ぶっちゃけ、他の連中はクラスで見てるだけで十分だからな。
 今日は三人が買い物に行きたいって言うから仕方なしに参加したのに、何なの?
 三日前に藤沢から受けたメールが「買い物行くから来い(要約)」って命令口調だし、念のため三森にメールを送っといたにも関わらず、集合場所を間違えるし。まともなのは渡辺だけかよ。つーか、お前等が買い物行きたいって言ってたのに、何でお前等さっきから俺の服ばっか選んでんだよ!

「あれ? リナ、そろそろ美容室の予約の時間じゃない?」
「え、もうそんな時間?」
「仕方ないわね。じゃあ続きは美容室の後にしましょ。とりあえずこれとこれ、でいいよね?」
「うん。じゃあ、これくださいな」

 藤沢の指示で、てきぱきと会計を済ませる三森。って、カード!? そんなもの、俺達が持ってて良い物じゃねーだろっ!
 驚く俺の前でてきぱきと詰められる商品。渡された紙袋を受け取った三森達がこっちへとやってくる。

「おまたせしました。じゃあ、行きましょうか」
「行きましょうって、美容室の予約は? あるんだろ? 時間かかるんだったら俺どっかで時間潰してるけど?」
「何言ってんの? あんたの予約よ」
「は?」
「だから、シュウに格好良くなって貰おうって言う事」

 左に藤沢、右に渡辺と美少女達ががっしと俺を確保する。そして、MIBに捕獲された宇宙人の如く、美容室へと連行された。
 そして一時間、よくわかんないまま美容室に連行された俺は、よくわかんないまま美容室を後にした。
 ホント意味わかんねえ。渡辺と藤沢に連行された美容室で待ってたのは日本一のカリスマ美容師らしい。いや、俺全然美容師とかわかんねえし。普段は床屋だし。よくわかんないままにカットされ、よくわかんないままにシャンプーもされた。ついでによくわかんないままよくわかんない香水もかけられて、良い匂いはするんだけど、違和感がパネェ。
 つーか、ここも三森の奢りなんだけど。何で? 何で、俺の事なのに三森が払うの?

「リナ、いいよ。払うよ。リナのお金がなくなっちゃうだろ」
「リナはご主人様の財布ですから、これぐらい全然平気です」
「でも、もうかなり使ってるだろ……俺も少しは持ってきてるし、カット代だけでも払うって」
「やですー。奴隷の財布はご主人様の財布です。リナから財布を奪うということはご主人様の財布を奪うということです。つまり、ご主人様がもしも財布を落としたとしたら、怒られるのはリナの方なんですか?」
「知らねーよ」

 意味わかんねぇ。つーか、こんなところでご主人様とか言うんじゃねーよ。

「要するにね、リナは倉島にいっぱい貢いであげたーいって言いたいわけ。いいじゃん。どうせリナの財布は、このくらいの出費じゃ痛くも痒くもないんだし」
「しかもリナがシュウに一番買ってあげたいモノは、綾音にまだ早いって怒られてから我慢してるんだもんね?」

 藤沢、そして渡辺が三森のフォローをする。
 ってか、一番買ってあげたいモノ? 藤沢に怒られた? 何それ?

「俺に? 何買おうとしてたわけ?」
「リナはみんなで暮らせるマンションを買いたかったです」

 ……え?
 マンション? 今マンションって言った?

「じょ、冗談ですよね?」
「いや、この子ってば本気なの。不動産屋まで呼んでたから、私も必死で止めたんだよ。ホント、リナんちはすごいよねー」
「すごいってか……ああいうの、何千万とかするんじゃねーの……?」

 マンションとか、学生が軽く買える物じゃねーぞ。リカちゃんハウスじゃねーんだし。

「ていうか、もう不動産屋が私のとこまで電話かけてきてるんだけど」
「なんではるかのとこ?」
「はるちゃんが一番しっかりしてそうだから、管理人お願いしようと思って」
「マンション丸ごと買うのかよ!?」
「だって、54のメンバーみんなと住むんですよ?」

 みんなってそのみんな!?
 三森ェ……

「発想のスケールが違った……」
「仕方ないよ。リナだもん」
「管理人に選ばれなかったのが地味にショック」

 愕然とする俺の隣で渡辺が呆れている。いや、呆れてるって言うか諦めている感がひしひしと漂ってる。いちいち驚いてたら三森とは付き合っていられないってことか。でもって、反対側の隣では藤沢が微妙に沈んでた。藤沢はいつも完璧だったから新鮮だ。そんな藤沢に三森が慌てて弁解する。

「違うの。綾音ちゃんには社長をやってもらうの。将来みんなでご主人様を養っていくための会社。お金はわたしと美香センパイで出すから」
「あ、それ面白いかも。それじゃマンションも会社名義にしちゃえばいいよね。何の会社がいいかなー。倉島も考えといてよ?」
「……これ、冗談ですよね?」
「さあ? たぶん、この人たちは本気じゃないかなぁ。ふふっ」

 どんな会社にしようか考えてる藤沢が全く冗談には思えないんだけど。つか、藤沢の能力と三森家の財力があれば実現出来そうなのが怖すぎる。
 きっと青ざめてるであろう俺の顔を見て、渡辺はくすっと笑った。

「よし、これで完成」

 そう言って、一旦俺から離れるとじっと俺を確かめる。そして数秒、納得がいったのか、うんと頷いた。

「うん、凄くかっこいいよシュウ」
「そう? 全然わかんないんだけど」

 そう言われても、全くわかんない。つか、鏡を見ても普段とは全然違う服装に浮いてる気しかしないんだけど。本当に格好良くなってる?

「大丈夫、シュウ、すっごいかっこいいよ。ね、リナ」
「うん。ご主人様、すっごい素敵です」
「ふ、ふーん。べ、別に前と全然変わってないけど?」

 三者三様の返事をくれる藤沢達。渡辺や三森の言う事が信じられないって事じゃないんだけど、今まで全くもてなかったからかっこいいとか言われても全然実感がわかない。香水の匂いも違和感しかしねえし。

「本当にかっこいいってば……んっ」

 ちょ、ちょっと、渡辺っ!?

「あーっ、はるちゃんずるいっ。ご主人様、わたしにもキスしてくださいっ」

 三森までっ!?

「あ、あんた達何やってんの! こんな街中で! ちょっとは人目を気にしなさいよ」

 さっきの様に、しかし、今度は左に三森、右に渡辺が陣取り、交互にキスを繰り返す。そんな俺達の後ろで藤沢が叫んでいるが、全く耳に届かない。だってそうだろ。こんな誰もが振り返るような美少女達と代わる代わるキスをしながら街を歩くとか、エロゲの主人公だってそんな事しねーよ。いや、陵辱ゲーだったらあるかも知れないけど、ギャルゲとかその辺じゃ絶対ねー。リア充過ぎる。いや、もはやリア充なんか超越してる。最高だ。

 そして、次の店で事件は起こった。いや、事件って言うかなんていうか……何とも言いがたいけど。

「ちょ、ちょっと藤沢さん……?」

 突然乱入してきた藤沢に驚いて、狭い中で必死に距離を取る。藤沢は顔を赤らめながら後ろ手にカーテンを閉じた。

「ま、また私に変な命令したでしょ? エッチ!」

 そう言いながらも俺の目の前に跪く藤沢。対して俺はズボンのない間抜けな格好だ。仕方ないだろ、ジーンズの試着をしようとしたら藤沢が入って来たんだから。

「も、もう、本当スケベなんだから。チューばっかりしてるからよ、ヘンタイ!」
「え、な、なに? なんで?」

 言いながらも俺のパンツをずりおろしポロンと零れた俺のチンポをそっと手に取る。
 つか、なんなの? 俺何にもしてないんだけど? それに今日はまだババアも来てないよね? 一体何なの?

「どうしたんだよ藤沢。こんなところでいきなりっ」
「いいから、ん、静かにしてよ。ちゅぶっ、んっ、もう、ほんとにバカなんだから……」

 うぉっ、なんだ!?
 この間と比べて格段に上手くなってる。

「ちゅ、ん、もう……このスケベ。なんでこんな事が好きなのよっ。ヘンタイ」
「ちょ、藤沢っ、何言ってっ……くぅっ」

 何言ってんだ藤沢は? いや、確かに好きだけど。エロいのは誰だって好きだろ? 特に藤沢や渡辺、三森とか、こんな美少女達に奉仕されるとか世の男達全ての夢だろ? つか、藤沢うめーよっ。
 藤沢の口技は渡辺程とまでは行かないものの、既に三森と同等の上手さになっている。
 何なのこの上手さ。お前、処女無くしたの先週だろ? つか、初フェラも先週だろ? 何でこんなに上手くなってんだよっ。渡辺にでも習ったのか!?
 つか、何なのこの状況? 俺には何にも出来ないし、ババアだってまだ来てないよね? 何で藤沢が俺にフェラとかしてるわけ? 命令なんてしてないよ?

「んっ、ちゅぅっ、れろ……あむぅ、ん、ふぅ、ん」
「ふ、藤沢っ! くぅっ」

 ぞくぞくと体が震える。藤沢の口の中で大きくなった相棒はあっという間に限界に近くなる。
 それを感じ取った藤沢はあろう事か更に深く咥え込みやがった。ずずっと吸い込む音が藤沢の口から漏れる。

「じゅっ、んんぅ、ん。あむっ、ふっ、ん、ずずっ!」
「藤沢っ、で、出るっ!」
「ぢゅぅぅぅぅ」
「くぅぅっ!!」

 逃げるに逃げられず、俺は藤沢の口内に精液を吐き出した。口内に叩きつけられた精液を、藤沢はこくこくと飲み下していく。

「お、おい、藤沢……」
「ん……く、ん……ぅ」

 こくこくと喉が動く。そして、最後にゴクンと飲み干して、はあと溜息を吐く。藤沢は上目遣いに俺を見上げてきたかと思ったら、また俺の相棒に手を添え、ぺろぺろと舐めてくれる。今度はさっきのように感じさせる動きじゃない。丁寧に、舐め残しが無いように全体を舐めてくれる。お、お掃除フェラかっ!

「こ、これでいいんでしょ? まったく、こんなことさせるなんて。ホントスケベなんだから」
「いや、え?」

 藤沢は乱暴に吐き出された精液を一滴も零さず、ゴクンと呑み込んで見せ、あまつさえ、お掃除フェラまでしてくれた。お前本当に処女失って一週間か!? つか、結局なんで藤沢はフェラなんてしてくれたの?
 お掃除フェラを終えた藤沢が口元をハンカチで拭っている間に俺はズボンを履いて、二人で一緒に試着室を出る。そしたら、渡辺と三森が物凄く疲れた顔をしていた。

「……店の人を近づけないの大変だったんだけど」

と渡辺。

「綾音ちゃんのスケベ」

と三森。
 呆れたような視線を向けてくる二人はその実、半分くらい羨ましそうな感情も交じっている。

「ち、違うの、倉島がっ……そう、倉島がやれって」
「シュウが~? でも、私の眼にはシュウが入っていった後に綾音が自分から入ってったように見えたけどなぁ~。ねえ、リナ?」
「うん、リナの眼にも綾音ちゃんが辺りを気にしてから入って行ったように見えたよ~」
「ち、違うのーっ!」

 うわ、すげえものが目の前で繰り広げられてる。あの藤沢がからかわれて狼狽えてる。藤沢達にとっては日常の一部なのかもしんないけど、俺、初めて見たよ。やっべぇ、狼狽えてる藤沢とかすげえ可愛いんだけど。しかも、その話題が俺に関する事だぜ? マジかよ、惚れる。こんなの惚れるしかない。

「ねえ、シュウ。綾音の言ってる事ホント?」
「ホントですか? ご主人様」
「いや、藤沢がいきなり入って来てびびった」
「く、倉島ーっ」

 ……そんなこんなあって、俺たちは買い物を終えてスタバで休憩することにした。

「ずいぶん買ったよなあ」

 俺の服だけ。

「あんたが、普段だっさいのばっかり着てるからよ。うち帰ったら、古い服はタンスごと爆破しといてよね。またあんなの着てきたら絶交だから」

 正面に座ってる藤沢は、さっきから不機嫌らしく、俺の目も見てくれないようだ。
 隣に座ってる渡辺が、俺に体を近づけてくる。

「でも、今日は大成功って感じ。ね、明日もちゃんとこの髪にしてきてね?」
「いやぁ、俺、たぶんセット出来ねぇよ。こんなのしたことないし」
「簡単だって。ワックスとか持ってる?」
「たぶん親父のガレージにあるよ」
「あのね、シュウ。世の中には髪の毛につける用のワックスってのもあるんだよね?」

 あぁ、あれか。テレビで見たことあるわ。

「しょうがないなあ。あとで買いに行こ。そんで髪乾かしたら最後にそれをつけて整えるの。髪はぶわーって乾かして」
「ぶわー? ちょっと待って、はるか。もう俺には難しいわ」
「難しくないってばー。空気入れて、ふわってさせるだけ。あと、前髪はね……」

 渡辺が、俺の前髪をいじりながら顔を近づけてくる。
 目、可愛い。てか、息までかかってくる。唇がすげー柔らかそう。
 俺この唇に何回も咥えてもらってるわー。マジ俺この唇の気持ちよさ知りつくしてるわー。

「ッ!?」

 脛に強烈な痛みが走った。藤沢はさっきから不機嫌らしく、俺の脛につま先が刺さったことにも気づいてくれないようだ。

「でもやっぱり綾音ちゃんがいて良かった。リナだとご主人様に似合いそうなの、よくわかんないし」

 三森は甘ったるそうなラテ飲みながら、のほほんと微笑んだ。この藤沢の険悪な空気が読めているのか読めていないのか、あるいはどうせまたエロいことでも考えているのか、いつも調子で藤沢のセンスを持ち上げる。
 藤沢は、ぷいと横を向いて「知らない」と頬を赤くする。
 確かにいろいろ試着してるときも、髪をいろいろイジってるときも、結局は藤沢のセンスで決まってた。
 他の二人も最終的には藤沢のセンスをあてにしてるところがあって、カリスマ美容師にまであれこれ意見ぶつけてたのはさすがに引いたが、でも最後はやっぱり「藤沢の意見が正しい」って感じでまとまっていたっけ。
 俺? 俺はそのとき、カリスマのハサミで週刊誌の袋とじを片っ端から開いてた。
 三森は「ふふっ」とツンツンしてる藤沢に柔らかい笑顔を浮かべ、俺の方を向き直る。
 
「でもそのTシャツ、乳首のところに穴が開いてたらもっとご主人様に似合うし、便利だとリナは思うんですよ」
「藤沢、サンキュー。リナのセンスに任せなくて本当によかったよ」

 カップを持ち上げて、藤沢判断の確かさに乾杯をする。やはり三森はエロいことしか考えてなかったわ。
 藤沢は、さらに「いらっ」ていう擬音とともに、こめかみにハーケンクロイツを浮かべた。

「……綾音」
「はい?」
「藤沢、『綾音』っていうんだけど、私」
「んん?」
「……バカ!」

 何をこのタイミングで自己紹介なのか俺にはさっぱり分からず、ますます不機嫌になってテーブルをカツカツと爪で叩き始める藤沢に、焦りを感じ始めていた。
 俺、何もしてないよね? さっきの試着フェラのこと、まだ怒ってんのかなあ。

「なんかさー……」

 渡辺が、ニヤニヤしながらカップをかき回す。

「一番意外なのが、やっぱり綾音だなー。まさか、こんなに可愛くなっちゃうなんてね」
「な、何のことよ!?」
「綾音ちゃんだよねー。リナもそう思う」
「ちょ、やめてよ。意味わかんない!」

 渡辺と三森が、揃って藤沢に優しい目を向ける。なんだかむきになってる藤沢は可愛く見えるけど、だけどなんかイライラしてて怖いぜ。

「あーやねー」
「綾音ちゃん、こっち見てー」
「なんなの、もう! 知らないわよ、三人で仲良くしてればいいじゃん!」
「ねえ、シュウも『綾音』を呼んであげて。なんか怒ってるみたいなの」
「そうそう、ご主人さまも一緒に、『綾音』ちゃんを誘ってあげてください」
「え、あぁ……うん」

 なんだかよく分からんノリだが、両手でほっぺを支える感じで俯く藤沢に、俺は咳払いして呼びかける。

「藤沢、何怒ってんだよ?」
「死ね!」

 丸めたナプキンが俺の顔に飛んできた。渡辺と三森は手を叩いて笑ってた。

「……それで、これからどうする?」

 そろそろみんなのドリンクも底が見えてきた頃、渡辺が切り出した。

「これから、ねぇ……」

 三人が、チラチラと俺の顔を見る。

「晩御飯には早いし」

 藤沢は、外を向いて呟いた。もう暗くなってきてるが、ちょっとした軽食もつまんだ俺たちに空腹はない。
 まあ、正直に言おう。俺はエロいことがしたい。他のことなどどうでもいいくらい、エロいことしたかった。

「じゃ、ホテル行きます?」

 三森がナプキンで口を拭いながら、「二次会行く?」みたいなノリで爆弾を落とした。

「ちょっと、リナ。こんなとこで……!」

 藤沢は顔を真っ赤にして、キョロキョロとあたりを見回す。
 渡辺は、顔を隠すように頬杖をつき、顔を背けた。

「でもせっかく四人でデートなんだし、リナは思い切ったことしたい。今日の目標だったの」

 三森きたわー。ここに来て三森が頼もしく見えたわー。

「だ、だからって、そんなこと……っ」

 藤沢はものすごいアタフタしていた。きっと、頭の中では物凄い想像しちゃってんだろう。俺にはわかる。

「あ、また変な命令した!? へ、ヘンタイ! 信じらんない! 私たちはテトリスじゃないのよ!」

 藤沢は他の二人にはわからないような動揺の仕方をして、俺を指差して罵ってるから。
 俺がどんな命令してるか、逆に教えて欲しいわ。

 ちなみに、今この場で一番エロいのは三森だという意見が多数を占めるだろうが、俺には言わせればそれは違うね。
 むこうを向いて頬杖ついて、恥ずかしいから黙ってますってフリしている渡辺だが、すでに俺の太ももにそっと手を乗せるというアピールを始めている。

「無理、だってば……私、二人と違って、こないだ初めてしたばかりだし……」

 藤沢は、急に縮こまったと思うと、ちらりと可愛らしい上目遣いで俺を見る。
 うわ、可愛い。なんだか藤沢がしおらしい仕草をすると、美少女力が二倍に上がる。俺はゴクリと息を飲んだ。
 初めてしたばかりとか、そんなことを言う藤沢が可愛いし、その初めての相手って俺のことだし、すげぇドキドキした。

「……私だって、シュウに初めてあげたもーん」

 そして、隣の渡辺がスネたような声で言う。そして、自分の言ったことに恥ずかしがるように更に顔を隠した。
 
「え、でも?」

 藤沢は、何か言いかけてやめた。さすがに露骨なことを俺の前で言ったりはしない。でも、不思議そうに首を傾げている。
 渡辺の言う意味がわかるのは、俺と渡辺だけ。
 こないだのアナルプレイを俺は思い出す。あぁ、あれは豪快にエロかった。俺の人生で三本の指に入るのは間違いないほどエロかった。
 まあ、指は一本しか入れなかったけどね(笑)

「……ずるい」

 リナは、ほっぺたをぷくーと膨らませていた。

「また、はるちゃんばっかり。ご主人様はいつもはるちゃんを贔屓してます! リナだってアナルくらいいつでも捧げたのに!」
「ちょ、リナ! お前、何を大声で!」

 天然のくせにエロに関してだけは高感度なセンサーを持つ三森が、このわずかなヒントだけで新一くん並に飛躍した推理力を発揮して俺たちの秘密を暴露する。
 いらないところで有能な女、三森。

「アナル? アナルって何? 倉島、ちょっとはるかとリナに何したのよ?」
「いやいや、そこに食いつかないでいいから! 周りの人たちは食事中だから!」

 そして肝心なところで子供のように純真な藤沢が、自分を除け者にするなとばかりに身を乗り出してくる。
 渡辺は、空いたカップを下げようとしてガタガタにこぼしていた。逃げんな。
 
「ご主人様! アナルを使いたいんだったら、リナにもそう言ってください!」
「倉島、アナルを使うって何なの? アナル使ったらどうなるの? 捗るの? 図にして説明してよ!」

 おそらく、スタバの創業者はこういう修羅場を想像してなかったんだろうな。
 俺だったら、こんなときのためにピー音ボタンぐらいは各テーブルに設置しとくわ。
 コーヒーくらい安心して飲みたいよね。

「もうリナは怒りました。絶対ホテルに行きましょう、ご主人様。リナはこのまま帰りたくありません」

 三森はプンプンほっぺた膨らませて、俺を睨む。無理して自分をいきり立たせているのか、白い肌が真っ赤になってる。
 渡辺は、「ごめんね。私も付き合うから――」と、きゅっと俺の太ももを触る。優しい手つきで俺の体をさすり、熱っぽい目で俺を見る。
 藤沢は、真っ赤な顔を横に向けたまま、小さい声で言う。

「もう知らないわよ……あんたがご主人様なんだから、好きに命令すればいいじゃん」

 奇妙な緊迫感が四人を包み込む。
 どっちにしろ、もうこの店にはいられねぇよ。
 俺は、からからの喉を振り絞る。

「……わかった。とりあえずここを出ようぜ」

 それが今の俺に言える精一杯だった。

「……」
「……」
「……」
「……」

 何とも言えない沈黙が辺りを覆う。互いにちらちらと見合って、美少女達は動こうとしない。そして、そんな彼女らの雰囲気に当てられて、俺も自分から動けない雰囲気になってる。
 おいおい、どういう事だよ。これ、どういう事だよ三森。
 お前が爆弾を投下したんじゃねーか。お前が行くって駄々捏ねたんだろーが。もう、行くしかない雰囲気を作り上げたんだろーが。だって言うのに来た途端に萎縮するってどういう事だよ?
 つーか、どうすんだよこの状況。お前、責任取れよ。そりゃ、俺だってエロい事したいよ? さっさとエロい事をしたかったよ? でも、俺はこんな雰囲気でエロい事をしたいわけじゃねーんだぞ。
 いや、三森だけじゃない。渡辺と藤沢もだ。お前等、何恥ずかしがってんだよ。そりゃ、友人に自分がエッチしてる姿なんて見せらんねーだろうけど、それを覚悟してきたんだろ? つーか、みんなでエロい事するつもりで来たんだろ?
 なに、この放置プレイ? このまま時間まで過ごすつもり? それは勘弁なんだけど。
 仕方ねえ、ここは俺が一肌脱ぐしかねーな。一肌っつーか、服だけどな!
 楽しい仲間がぽぽぽぽーんと今日一日で渡辺達にコーディネートして貰った服を一気に脱ぎ捨て裸になる。

「きゃっ」
「わっ」
「ちょ、ちょっと、倉島っ。いきなり何脱いでんのよ!」

 突然の俺の行動に三人は慌てて顔を背ける。いや、一人だけ、堂々と俺の相棒を見つめてる奴がいる。三森だ。他の二人が顔を背けつつもちらちらとこっちを見ている中、三森だけは爛々と眼を輝かせてじっと相棒を見つめていた。だけど、他の二人がちらちらと恥ずかしがっているのに気付いて、とってつけたように慌てて顔を背ける。おせーよ。
 まあいいや。どうせ三森はそんなもんだ。

「はるか、はるか」
「わ、私!?」
「そう、はるか。お前のフェラをこいつらに見せてやってくれよ」
「え、シュ、シュウ、な、何言ってるのっ。見せてやってって……あ、綾音とリナ……に? 私が? シュウに? フェラしてる所? そ、そんなこと、いきなり言われても……」

 突然の指名に渡辺は慌ててる。ちらちらと横の二人を窺って困ったように髪の毛を弄ぶ姿が超可愛い。ごめん、渡辺。俺はお前を困らせたいわけじゃないんだ。俺はただ、お前の天使のフェラチオで俺を元気にして欲しいんだ。
 お前の口が、普段みんなと楽しくおしゃべりしてる口がどんなにエロい事をしてくれるのか見せつけてやりたいんだ。つーか、もう、俺の物はお前のフェラじゃないと勃たないんだよ。見てくれよ、俺の相棒を。お前と三森に交互にキスされてた時から既にギンギンだったのに、藤沢の襲撃にやられちまったからもう力がないんだ。返事がないただのしかばねなんだよ。だから、お前のフェラで俺の相棒にザオリクをかけてくれ。

「大丈夫、はるかのフェラは最高だよ(キリッ」
「そ、そうじゃなくて……」
「頼むよはるか。俺、お前にしゃぶって欲しいんだ……お前の最高のフェラでこの宴を始めたいんだよ(キリッ」
「もう……バカ。エッチ何だから」

 渡辺は観念したように苦笑すると、ゆっくりと俺の前に跪く。そして耳にかかった髪をかき上げると、潤んだ眼で俺を見上げた。やっぱり可愛い。渡辺、超可愛い。綺麗と可愛いの間ではやや綺麗に寄ってるけどすげえ可愛い。
 ギンギンに勃っている相棒を優しい動きでそっと手に取る。渡辺は「はぁ」と熱い吐息を漏らして、そのまま俺を上目遣いに見る。なんですかその眼は。やっぱり渡辺も期待してたんじゃねーか。さあ、早く咥えてくれ。俺に天国を見せてくれ。

「じゃ、するね」

 そう宣言して、目の前の美少女はあーんと俺の相棒を呑み込んだ。

「んぉぅっ」

 来た来たーっ。これだよこれ! 美結なんかとは比べものにならない。三森ではこの域に届かない。そして、藤沢ならその内この域にまで達する事が出来るだろうが、まだまだ経験が足りない。今はまだ渡辺しかこの気持ちよさを出す事が出来ない。マジ最高だ渡辺。
 ぺろぺろと咥えたまま舌先でカリを弄んだかと思ったら、すぐさま頬を窄めて吸い込む。

「ぢゅぅぅぅ、ん、ふっ、んぅ、ちゅぅ、れろ、んぅ、ぢゅぅぅ」
「は、はるちゃん……すごい」
「……ごく」

 渡辺の超絶技巧を目の当たりにして隣で三森が驚いてる。藤沢にしてもいつの間にか渡辺の超絶技巧にチラ見を忘れて魅入ってる。二人とも初めて見る友人の姿に驚きを隠せない。ってゆーか三森。見せてやれって言ったけど、お前、何でそんなガン見してんだよ。渡辺が動きづらそうじゃねーか。

「じゅっ、んっ、り、リナッ。は、んっ、恥ずかしいからっ、ちゅっ、あんま、見ないでっ、んんっ、ちゅっ」
「リナはまだまだはるちゃんほどフェラチオが上手じゃないの。だから、はるちゃんのを見習いたいの。ご主人様にもっともっと気持ちよくなって欲しいから」
「り、リナ……でも、その、ね?」

 おいおい、何止まってんの? 恥ずかしがってんの? まあ、そりゃそうか。友達に行為を観察されて続けられる度胸の持ち主なんてそうそういない。目の前にいる三森だってそうなんだ。

「おい、リナ。はるかが恥ずかしがってるだろ。せめてもう一メートル離れて見ろよ」
「えー、はるちゃんだけずるいです。リナもご主人様に気持ちよくなって欲しいです。だから、リナははるちゃんの技を盗みたいと思ってるです。だめですか?」
「いや、だめってんじゃなくて、そんなに近かったらはるかがやりにくいだろ。リナ、お前だってこの間他の人に見られるのは嫌だって泣いてたじゃねーか」
「確かにリナは他の人に見られるのは怖いです。でも、その相手がはるちゃんや綾音ちゃんだったら話は別です。もっとリナを見て下さい」

 え? 何それ? 知らない奴に見られるのは嫌で、知ってる奴ならいいの? じゃあ今度、藤沢や渡辺の前で羞恥プレイさせてみるか、って、そうじゃなくてっ。

「お前がよくてもはるかがいいとは限らないんだよ。いいからもうちょっと離れて見てろ。ほら、はるかも続けて続けて」
「う、うん……んっ、ちゅっ、ぅ」

 俺に促されて渡辺が続きを始める。だけど、じろじろと無遠慮に向けられる視線を気にしてかいつものキレがない。今にして思うと、さっきにしてもいつもの気持ちよさがなかった。やっぱり、友人に見られてるって恥ずかしいよなぁ。うん。そうだよなぁ。

「ね、ちゅぅ、ん、どう、んぅ……ぢゅぅ」
「あ、うん、気持ちいい」

 いつもはもっと気持ちいいけど。
 って、あれ? 何で止めるの? 今の伝わっちゃった?

「はるか?」
「うん、ごめん」

 いや、ごめんって何? この勃起した男の子をどうしてくれるの? 渡辺も藤沢も三森も貌を赤くしながら互いに見つめ合って俺放置? いつまで互いを気にしてんだよ。お前等のエロい姿を見せてくれよ。みんなで楽しもうぜ!

”しゅーごくんっ”

 ババア、ババアか! 来たぜ、俺のエンペラータイム! 三人まとめてエロエロのぐちょぐちょになーれっ!

”はーいっ♪”
「「「ああああぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

 ババアが返事をした瞬間、三人が色っぽい声を上げた。三人が三人とも股間を押さえてガクガクを足を震わせる。

「な、なにこれっ」
「す、すごいぃ」
「く、倉島っ、またぁっ」

 三者三様の言葉を漏らす。ハアハアと熱い吐息を零しながら溢れ出る快楽に耐えている。これだよこれ。世紀の美少女達が快感に悶える姿。俺はこれが見たかったんだ。
 グッジョブ、ババア!

「シュ、シュウ、シュウ……」
「んんぅっ」

 うるうると眼を潤ませた渡辺が縋り付いてきたかと思ったらいきなりキスをしてきた。しかも、濃厚なキスだ。舌がするりと入って来てねっとりと絡みついてくる。俺の口を蹂躙するように貪っている。
 すげえ気持ちいい。やっぱ渡辺のベロテクは半端じゃない。俺の感じる所を重点的に攻めてきて、あっという間に昂ぶらせてくれる。だけど、それは俺だけじゃなくて渡辺もみたいだ。きゅっと首に絡みつく腕の力が強くなり、たまにビクンと痙攣が伝わってくる。

「あむ、んぅ、ちゅぅ……」
「ん、ぅ、ふぅん。れろ」

 熱い吐息が口元で零れる。互いに吐息を交換しながら二人で抱きしめ合う。さっきのフェラとはキレが違う。口から精気が吸い取られるような熱いキスが俺と渡辺の間で繰り返される。やべ、キスだけで出しちまいそう。

「んんぅっ!?」

 くすぐったさが体を走る。突然の事に驚いて、足元を見ると、そこでは三森が俺の足をぺろぺろと舐めていた。

「はるちゃん、んっ、ずるい……ぺろ、リナも、ちゅ、ご主人様に、んぅ、ご奉仕、れろ、するの」

 飴でも舐めるかのようにぺろぺろと三森の舌が俺の足を舐めていく。足の指を一本一本、指の隙間にまで舌を這わせ、丁寧に俺の足を舐め上げていく。これがこそばゆくって思わず身を捩らせる。それがいけなかった。

「ん、んん? んんんっ!?」

 バランスを崩して、俺は抱きついている渡辺ごとベッドに倒れてしまった。だけど、渡辺は抱きついたまま離れない。上手い具合に倒れ込んで、歯もぶつける事もなく、ずっと濃厚なキスを続けている。三森も三森で足をしっかりと押さえてぺろぺろと足の指を舐めている。ちゅぷちゅぷぴちゃぴちゃと水っぽい音が部屋に響く中、ついに最後の山も動いた。

「も、もう、また変な事命令してっ、んんぅ」
「んんぅっ!?」

 頭を渡辺、足を三森と美少女達に占領している俺の体。その残された場所、ギンギンになっている俺の相棒を咥えだしたのは最後の美少女藤沢だ。さっきも味わったフェラをしてくれる。って、あれ? さっきよりも上手くなってね? 何その上達率。成長性? 日進月歩とかいうレベルじゃねーぞ。一分一秒、一回する毎にどんどん上手くなってる。すげえよ藤沢。やっぱり、お前最高だ。
 ぺろぺろと三人の美少女達は俺の体を舐め清めていく。美少女三人に甲斐甲斐しく奉仕されてるとか、信じらんないほど気持ちいいし、楽しい。もう、すぐにでも出しちまいそうな勢いだけど、ちゃんとお前達もイカせてやるよ。

「もう、シュウったら、ちゅ、動かないでぇ」

 と言うわけで、まずは渡辺だ。俺の口内を蹂躙している舌を俺の舌で迎え撃つ。

「んんぅっ」

 ぺろりと渡辺の舌を絡ませ、逆に俺の舌を渡辺の口内へと進ませる。それと同時に片手を渡辺の股間へと伸ばす。

「ちょっ、シュッんんぅっ!?」

 突然の快感に渡辺が体を震わせる。ただでさえ、ババアの力でエロエロのぐちょぐちょになっているのに、渡辺は俺からの快感をかなり増幅して受け入れてしまう。そのため、渡辺のおまんこは凄い事になっていた。きっと、さっき俺にフェラをしてくれた時、いや、街で三森と交互にキスしていた時から濡らしていたに違いない。おまんこを隠すためのパンティはとっくにぐちょぐちょに濡れていて、ぴったりとおまんこに張り付いている。

「ああぁっ、んっ、やぁっ、はっ、だっ、めぇっ」

 指の動きに合わせて、渡辺の体がビクビクと踊る。体中を走り回る快感に耐える事が出来ずに悶えまくってる。そんな渡辺をぐいっと引き寄せて、再び唇を重ねる。

「んんんぅっ!?」

 突然の行動に眼を見開いて、体を震わせる。だけど、体を引き剥がす事はせず、むしろ逆に抱きしめてくる。間近で見つめる瞳は快感に蕩けてて、可愛いとか綺麗とか言うレベルを超越してる。エロい! もう渡辺と言ったらこれしかない。渡辺、エロい!
 その証拠に快感に蕩ける体で更なる快感を貪ってくる。俺から唾液をすくい上げて呑み込んでいくとかマジでエロい。それに、おまんこからは更に愛液が溢れてるらしく、もはやパンティに吸収出来なくなった愛液が俺の手や渡辺のスカートを濡らしていく。もしかすると、その下のベッドのシーツまでも濡れている可能性がある。
 すげーな渡辺。そんなに感じてくれてるのか。エロ可愛いよ。とりあえず一回イカせてあげるな。

「んんんんんぅっ!!」

 ビクビクと渡辺の体が震える。俺がパンティの中っつーか、渡辺の中に指を差し入れたからだ。渡辺からすれば信じらんないほどの気持ちよさのはずだが、俺ががっちりと頭を引き寄せているために悶えるにしても動く事が出来ず、ギュッと俺の強く抱き寄せるだけだった。いや、だけじゃない。渡辺のおまんこがきゅきゅっと指を締め付けている。その中に二本指を入れたまま、ジュブジュブと指を動かす。もちろん、渡辺は敏感に反応した。

「んんっ、ん、ちゅ、ふっ、うっ、ん、ふぅっ、ん、んんっ、うっ、んっ、ふうぅっ」

 俺と唇を重ねたままでぷるぷると頭を振る。しかし、腕は湧きあがる快感に耐えるように俺をきつく抱きしめるので頭を大きく振る事も出来ない。喉の奥から溢れ出る喘ぎ声は熱い吐息へと変わり、俺の肺へと満たされていく。凄く甘い。息なんだから空気なわけで、味なんてわからないはずなのに、甘さを感じる。

「んぅ!? んんっ、ふぅっ、んっ、んぅっ、ん、ちゅっ、ん、んんん!?」

 ぎゅうぎゅうと締め付けていたおまんこはその上、ぷっくりと膨らんでいたクリトリスを親指の腹で潰してやった瞬間にちぎれそうなくらいに締め付けてきた。っつーか、渡辺の体全体が収縮してる。もう全身でぎゅうぎゅうとしてくる。痛いようで本当に気持ちいい。相棒は渡辺じゃなく、藤沢が咥えているけど、下手すると出しちまう所だ。
 ぶるるっと最後に震えて一気に脱力すると、ガクンと渡辺は全身の力を抜く。抜くっていうか抜けるって言った方が正しいかもしんない。ハアハアと耳元で熱い吐息を漏らす渡辺の姿にそう思う。
 それはそれとして、とにかく、まずは渡辺をイカせることに成功した。ゆっくりと渡辺の体をずらし、今度は腰で相棒を一心不乱に舐めている美少女へとターゲットを変更する。

「んっ、ちゅぅ、んんっ、んくぅっ」

 ぺろぺろと舐めまくっている藤沢の頭を撫でてやると、嫌そうに頭をずらす。しかし、相棒を口から離す事はなく、ちゅうちゅうと俺の相棒を貪っている。藤沢のフェラ能力は一分一秒毎に進化している。さっきは渡辺にでも習ったのかと思ったけど、もしかして独学? 全部俺への体験から学習してる? つーかどんな学習能力してんだよ。ほんとすげーな藤沢。気持ちよすぎてもう出しそう。もう我慢出来ねえ、気持ちいいけど待ってられるか。
 がしっと藤沢の頭を掴み、ぐいぐいと無理矢理動かしていく。

「んんっ!? ちょっ、んっ、ふぅっ、やめっ、んんぅっ」

 藤沢は驚いたように眼を見開いたが、すぐにきゅっと眼を閉じる。きゅっと俺の腰を掴んだ腕をそのままに漏れ出す息と共に全身が震えていく。

「んんぅっ、んんっ、ふっ、ぅ、んぁっ、んっ、んんっ!」

 すげえ。美少女にフェラをさせるだけじゃ飽きたらず、イラマチオしてる。しかも相手はあの藤沢だ。藤沢にフェラして貰うだけでも全校男性の夢だって言うのに、イラマチオなんて誰も思いつかない。あの藤沢を好きにしてるという征服感。もうそれだけでいくらでも出せそう。マジ最高だ。
 それにしても、すげえな藤沢。イラマチオしてるって言うのに感じてる。いくら学習能力がとんでもねーとか言っても、イラマチオなんて初めてだったら気持ちいいどころじゃないだろ。それが何でそんな感じてんだよ。もしかして、お前。Mの要素も持ってるのか? 発見だ。完璧美少女藤沢綾音はMよりもSよりだと思ってたんだけど、まさかMよりだったなんて。今度、三森と一緒にMプレイでもさせてみるか? スパンキングとかどうだろう? お尻ペンペンされて悶えまくる藤沢とか……胸が熱くなるな!!

”んふ~。それはね。ボクが綾音の口の感度を上げて、膣並みに感じるようにしたからだよ”

 って、お前の仕業かよっ! 藤沢M説をいきなり否定すんじゃねーよ! グッジョブ、ババア!

「んふぅっ、んぅ、ぁんっ、くぅっ、んんっ、ふぅっ、んんぅ!」

 藤沢から漏れ出す呼吸音が耳に心地いい。もちろん息だけじゃなくて藤沢の口内の感覚がやばいくらいに気持ちいい。さっき渡辺にやって貰ったのもあるし、そもそもこんな美少女達に奉仕されて興奮しないわけがない。ゾクゾクと寒気にも似た感覚が背骨を走り、快感を伝えてくる。
 ぐいぐいと藤沢の頭を腰に押しつけ、無遠慮に快感を貪っていく。

「ふぅっ、んっ、ふっ、んぁっ、ぁっ、ぅぅっ、んっ、んぅ!」

 髪の毛を振り乱し、藤沢の頭が前後に動いていく。快感に染まり、耳まで赤く染めている藤沢。その口内にまたも精液を吐き出した。

「んんんんんぅっ!!」

 精液を受けて、藤沢の体がビクビクと震える。眼を白黒させながら精液を受け止めていた藤沢は数秒ビクビクと震えた後、ガクンと糸が切れたように崩れ落ちた。俺の相棒が刺さったままの口は力なく開かれ、そこから精液がとろりと涎のように垂れている。すげえエロい。

「ちゅぅ、はるちんに続いて、綾音ちんもイカせるなんて……ん、ご主人様流石です、ぺろ」
「おう、次はお前の番だ。楽しみにしてろよ」

 ぺろりと足の指を舐めて返事をする三森の頭を撫でて、藤沢をゆっくりとどかす。右に渡辺、左に藤沢と両隣に絶頂に打ち震える美少女達を寝かせて、最後に残った美少女を立たせた。そして驚愕の事実に気付いた。
 こいつ、舐めてただけで濡らしまくってやがる。つーか、足に垂れてるんだよっ!

「おっまえーっ」
「すっ、すみませんっ」

 三森は俺の声にビクッと体を竦ませる。その身体の中心、体を縮み込ませたくらいじゃ隠せない最終兵器を掴む。他の追随を許さない二つの最終兵器は柔らかさも半端無い。面白いように指が埋もれ、俺の指の動くように形を変えていく。それが気持ちいいのか、三森はピクッと体をくねらせる。そのまま三森のおまんこへと指を這わせ、くちゅくちゅと音を立てて弄くってやる。そこはさっきの渡辺に勝るとも劣らない量の愛液に溢れている。当然の如くパンティはぐじゅぐじゅになっていて、もはや何の役にも立っていない。

「どうした? こんなに濡らして。まさか、足を舐めているだけで感じたのか? 淫乱だなリナは」
「は、はいっ、すみません! リナはご主人様の足を舐めているだけで感じちゃう淫乱な雌奴隷なんですっ!」
「はるかや藤沢がイッてるのを見て期待していたんだろ?」
「はいっ、はるちゃんや綾音ちゃんがイッてるのを見て、私もあんな風にして貰えるといいなあと思ってましたっ」
「それで触ってもいないのにこんなに濡らしてるのか?」
「……す、すみません。リナ、我慢出来ませんでした」

 よく見ると三森の右手が何かに濡れて、てらてらと光を反射している。
 触ってんじゃねーかっ!?

「おっまえーっ」
「すっ、すみませんっ」
「我慢しろよっ、この淫乱なメス豚がっ」
「そうですっ、リナは我慢も出来ない淫乱なメス豚なんですっ。こんな淫乱なリナにどうかおしおきをして下さいっ」
「よし、良い答えだっ。お仕置きとして、お尻ペンペンしてやるっ! ケツをこっちに向けろ!」
「はいっ、リナのお尻をペンペンしてくださいっ」

 三森は嬉しそうに答えるといそいそと尻を向けてくる。
 ……俺、ケツをこっちに向けろと入ったが、スカートを捲れともパンティを脱げとも言ってないんだが。しかも、ふりふりとお尻を振って期待しまくりだろ。

「さあ、ご主人様。お願いします、リナのお尻をペンペンしてくださいっ!」
「お、おう」

 三森に乞われるがまま、お尻をペンペンする。叩かれる度に尻をふりふりして、さらに愛液を滴らせる。

「あっ、あんっ、いいっ、いいですっ、ご主人様っ。もっと、ペンペンしてくださいっ」

 ……これ、お仕置きって言えるのか? むしろ、三森喜んでるし。なんか俺がお仕置きさせられてるって感じなんですけど。

「あぁっ! んぅっ、いいですっ。はぁっ、ひっ、んぁぁっ!」

 でも、ま、いっか。お尻ペンペン楽しいし。ペンペンとお尻を叩く度に三森の爆乳がぶるんぶるん動くし、赤く染まっていくお尻もふりふりと続きを求める。大迫力だ。すげえ、もう3D映画にして何度でも再生したい。
 って、バカか俺は。そんな事しなくても何度でも三森をペンペンすればいいだけじゃん。もちろんいつでも見たいけど、三森だったらいつでもしてくれる。好きな時に呼び出して、好きな時にペンペンしても問題ない。っていうか、自分からお尻を突き出してくるからな。

「リナ! お仕置きどころか濡れているぞ! 足を舐めているだけで感じて、ケツ叩かれて感じて、どうしようもないマゾ豚だな!」
「ああっ、はいっ! そうですっ、リナはマゾでメス豚な淫乱雌奴隷ですっ! お願いします、ご主人様! こんなリナをもっと叩いて、もっとおしおきしてくださいっ!」
「まかせろ、お前は俺の雌奴隷だ。お前のケツは俺のもんだ。いや、お前の全ては俺のもんだ! 俺のもんは俺が好きなようにする。お前にお願いされなくても、いくらでも叩いてやる!」
「ひぁっ、あぁっ! んぅぁっ! すごっ、すごいですっ! ご主人様っ! ご主人様に叩かれた所が熱くなって、真っ白になってしまいますっ」

 つーか、これホントに楽しい。叩けば叩くほど、三森の体が震える。白いお尻が赤く染まっていくのに比例して、三森の声が甘く熱くなっていく。もちろん、爆乳はぶるんぶるん震えるし、目にも耳にも手にも気持ちいい。何度でも叩いてしまいたくなる魅力が三森の尻にはある。もちろん、三森の最大の魅力は二つの最終兵器の異名すらあるおっぱいだが、ふりふりと向けられるお尻も酷く魅力的だ。まるで俺の興奮のスイッチが入っているかのように叩くだけで興奮してくる。すげえ楽しい。お尻をもっと叩きたくなる。
 って、あれ? これはお尻が魅力的なの? それとも叩くのが魅力的なの? 三森が叩く事が魅力的なんだったら、お尻じゃなくて、胸に付いてる最終兵器を叩いたらどうなんの? 待て、それは凄く魅力的じゃないか? ペンペンと俺が叩くのに合わせてぶるんぶるんと動き回る三森の爆乳。その迫力はもはや核兵器を上回るだろう。まさに最終兵器だ。渡辺にも藤沢にも真似出来ない、三森だけが持つ最終兵器。おっぱい星人達の追い求める桃源郷は世にも恐ろしい破壊兵器にもなり得る。
 しかし、お尻ペンペンはお尻をペンペンするからお尻ペンペンであって、おっぱいを叩いてもそれはお尻ペンペンじゃない。ペンペンという言葉を使うのもおこがましい気がする。つーか、おっぱいをペンペンするなんて、おっぱい保護団体に訴えられそう。おっぱいはペンペンするものじゃない、吸い付くものだと声高に叫ぶ原理主義者達がテロを仕掛けてきそうだ。
 やっぱ、ペンペンはお尻でするもんだな! 三森、存分に感じていいぞ! まあ、俺が好き放題ペンペンするんだけどな!

「あっ! ひっ! んっ! あぁっ! いぃっ! あぁっ! すごっ、いぃっ!」

 俺の手がペンペンどころか、パンパンといい音を鳴らす。もはや真っ赤になっているお尻をそれでもふりふりとして、三森は叩かれる度に体を震わせた。口から零れる声はもう甘いものしかなく、溢れ出る愛液が床にでかい水たまりを作っている。そして、汗に塗れてぶるぶると震える体は三森の限界が近い事を如実に語っていた。

「イクのか? イクのかリナ? お尻ペンペンされてイッちまうのか」
「はいっ、イキますっ、イッちゃいます! リナ、お尻ペンペンされてイッちゃいますぅっ!」
「お尻ペンペンされてイクだと! なんて淫乱な雌奴隷なんだお前は! いや、お前は雌奴隷なんて上等なもんじゃない、お前はメス豚だ!」
「はいっ、そうですっ! リナはメス豚なんですっ! どうかこのメス豚にご主人様の慈悲を与えて下さいっ」
「ようし、イッちまえ! ケツ叩かれてイッちまえ、このメス豚っ!」
「はいッ! はいぃっ! イクッ! イッちゃいますぅッ! ああああぁぁぁぁぁっ!!」

 すぱぁんっ!
 いい音が部屋に響き、同時に三森がビクビクと震える。汗を散らし、潮を吹き、涎を零して、三森が崩れ落ちた。壮絶なイキッぷりだ。しかし流石だな三森、ケツ叩いただけでイッちゃったよ。しかも全身ぐちゃぐちゃにして。すげえ、マジでエロエロでぐちょぐちょだな。
 それにしてもすげえ。俺の周りに三人の美少女達がぶっ倒れてる。しかも、三人が三人とも、誰もが振り向く超絶美少女で、さらに俺にイカされて喘いでいるとか、俺すげえ。感動的すぎる。つーか、もう思い残す事もない。これでいつ死んでも本望だ。ごめん、嘘。俺嘘付いた。もっともっと楽しみたい、渡辺や藤沢、三森やKDJ54Hのみんなともっともっとエロい事したい。この最高の世界をもっともっと楽しみたい。

 そんな訳で、三人をまっぱで横並びに並べてみた。

「んぅ……シュウ……」
「ご、ご主人様ぁ……」
「バカァ……ヘンタイ」

 三者三様に声を上げる少女達は一様に四つん這いで俺に向かってお尻を突き出している。中央には藤沢の白く綺麗なお尻、左には渡辺の肉付きのいいお尻、右にはまだ赤く染まっている三森のお尻となっていて、そのどれもがふりふりと俺を誘惑してくる。
 壮観だ……壮観すぎる。こんな光景、未だかつて誰も辿り着いていない。三森派の人間も渡辺派の人間も藤沢派の人間も誰も妄想すら出来ない。学校の誰もが一人一人を妄想する事で精一杯だ。渡辺と付き合ってた寺田も、三森と付き合ってた青フレームも、誰一人としてこんな盛大な光景を考える事すら出来ない。当然だ。一人一人が超絶美少女なんだから、一人いれば満足してしまう。一人いれば桃源郷なんだ。だから、三人まとめてなんて言う天国もエデンの園もアヴァロンをも突き抜けてしまった場所には誰一人として辿り着けない。
 唯一辿り着いたのは俺なんだ。ここを倉島郷と名付けよう。美少女達の、美少女達による、俺のための理想郷。それがここ、倉島郷だ。ここではどんな美少女も全て俺のためにエロを尽くす。渡辺も三森も藤沢も、KDJ54Hのメンバーも、そしてまだ見ぬ美少女達も全て俺に奉仕してくれる。この倉島郷を形而上の上、あのとんでもない世界の更に上にでも入れておこう。ババアの話ではそこは快楽と絶望の世界なんだ。そこに俺の倉島郷があっても良いだろ?

「シュウ……お願い」
「ご主人様ぁ……」
「や、やるなら、はやくしなさいよぉ」

 羞恥からか官能からか、美少女達の肌がどんどん赤く染まり、呼吸も速くなっていく。このまま見てるのも楽しそうだが、渡辺達もだろうが、何より俺が我慢出来ない。
 もう全部脱ぎ捨ててるけど、ルパンダイブばりに勢い込んで、横並びに並んだ肉の壁、その中でも一番慣れ親しんだ渡辺へと飛び込んでいく。

「あぁぁぁっ! シュウのッ、シュウのが入ってくるっ!」

 うねうねと俺の相棒を呑み込んで、渡辺が喘ぎ声を上げている。俺からの快感を増幅して感じてくれる渡辺は一突き毎に跳ね上がるほどに体を震わせ、だらだらと愛液を溢れさせていく。

「あっ、あんっ! すごっ、すごいよっ、シュウッ、シュウッ!」

 渡辺。思えばお前から始まった。俺の初めての女。力を手に入れる前から、フォローを入れてくれていた優しい渡辺。母親の事で悩んでいた真面目な渡辺。俺からの快楽で面白いように喘いでくれるエロい渡辺。心の中のはるかちゃん。その全てが可愛くて、大好きだ。
 ごめんね、はるかちゃん。はるかちゃんにはもう会えなくなったけど、お兄ちゃんははるかちゃんの事を忘れないよ。だから、はるかちゃんもお兄ちゃんの事を忘れないでね。

「あっ、イクッ、イクッ! お兄ちゃんっ、はるか、おかしくなっちゃぅっ! ああああぁぁぁぁぁっ!!」

 焦らされ続けたからか、ババアの力でエロエロのぐちょぐちょにされたからか、はたまたはるかちゃんが真面目に俺からの快感を増幅してくれたからか、あっという間に渡辺がイッた。まだ五回も腰振ってないんだけど。渡辺ってこんなに早くイッちゃうっけ? まあいいや。じゃあ、今度は三森だ。
 ぐったりと崩れ落ちた渡辺の中から相棒を引き抜き、藤沢を挟んで反対側、もうお尻ペンペンのせいなのか、それとも興奮しているからわからないくらいに全身真っ赤に染めている三森の中へと差し込んだ。

「あっ、あぁっ、ご主人様っ、ご主人様ぁっ!」

 柔らかく、吸い付くような肌がすげえ気持ちいい。腰を動かす度に全身の柔らかな肉が、ゆるふわヘアーが面白いように動いていく。中でも圧巻なのが背中からでもちらちらと見える二つの最終兵器だ。
 って、なんだよ。すげーぶるんぶるんいってるぞ。背中越しなのにこれなんだ、もしこのプレイを前から見ていたら物凄い事になっているに違いない。ここに中継カメラがない事が真に悔やまれる。今ならおっぱい星人はおろか、全人類の半分は夢中になれそうな光景が繰り広げられているはずなのに。

「すご、すごいですっ、ご主人様ッ! あぁっ、んっ、ご主人様のが、リナの中に入ってますっ! ぞくぞくするっ、おかしくなりますっ!!」

 三森。お前はすげーよ。信じらんないほどミモロい。こんな言葉を作らないとお前のすごさを表せないくらいにすげーよ。断言出来る。お前は天才だ。奴隷という名の天才。その才能は隷属する事。どんな相手でもその溢れんばかりの才能でご主人様遺伝子を活性化させてくれる。いや、俺はそんな事されなくても、ちゃんとご主人様だかんな。そこんとこ勘違いするなよ。お前に遺伝子を活性化させて貰わなくても、ちゃんとお前を奴隷として満足させてやれるんだからな。調子に乗るなよ?
 それはそれとして、お前の天才っぷりはその才能に於いて藤沢すらも凌駕する。奴隷の天才だ。しかも、更に凶悪な兵器まで装備しているお前は最強の奴隷だと思う。これからも俺のためにその最終兵器を使ってくれ。
 そのかわり、俺は俺に出来る事でお前を満足させてやる。お前の中で絶賛建設中のサグラダ・ファミリアの完成を絶対に見届けてやる。だから、絶対に完成させろよ。そして、ずっと俺のために尽くせ。

「ひぅっ、んぁっ、あぁっ! あっ、んんぅっ、はぁんっ! ご主人さまっ、ご主人さまっ! リナ、リナァッ、アアアアァァァァァッ!!」

 渡辺に続いて、三森も数回の出し入れで絶頂を迎える。こりゃ、やっぱりババアの力のお陰かな? も、もちろん、俺の素晴らしいテクニックがあっての事だけどな! まだ童貞を失ってから一月と経ってないけど。いや、こう言うのは時間ではなく密度がモノを言うんだ。どんなに長い間練習しても内容がすかすかだったら意味がない。逆にどんなに短時間でも濃密に練習すれば上手くなって当然だ。童貞を失ったあの日から、俺がどれだけ濃密な時間を過ごしてきたと思ってるんだ。上手くなって当然だろ? 当然だよな? ……当然だと思いたい。
 そうして、俺は藤沢をもイカせ、美少女達を何度もイカせた。渡辺も三森も藤沢も面白いようにイキまくって、部屋中に喘ぎ声を響かせる。三人のおまんこから溢れ出た愛液はその下のシーツにまるでお漏らしでもしたかのように、いや、お漏らし以上に大きな染みを作る。どう見ても下のマットレスにまで染みてる。弁償とか言われたらどうしよ。スッゲー恥ずかしいんだけど。でもま、そん時はそん時、三森に弁償させればいいか。どうせ、三森にとってははした金なんだろうし。それにババアもいるし、やばくなっても大丈夫だろ。
 そう結論づけると今、相棒が入っている藤沢への腰の動きを強くする。ちなみに両隣の二人にはそれぞれに俺の指をプレゼントしてある。

「ああぁぁっ! こんなっ、こんなにっ! ダメェッ! 倉島のすごいぃっ! ダメなのに、変な力で人の事弄くってるヘンタイなのに、口で舐めさせるとかお尻ペンペンとか変な事が好きなスケベなのにっ、もう私、逆らえないぃっ」

 藤沢。お前は最高だ。いや、もう、最高とか言う言葉じゃ全く言い表せない。藤沢、お前は神だ。神の子だ。もはや人類という枠組みの中では藤沢綾音という美少女を表せない。他の誰にも追いつけない、究極の美少女。人類史上にたった一人しか現れない神の子だ。そんなお前を抱いてるとか本当にすげえ。
 絶対にないって思ってたもんな、こんな事。渡辺や三森もだけど、藤沢とこんな関係になるなんて百パーないと思ってた。形而上の力に目覚めた後でも、一度こてんぱんにのされたし。あん時は本当に死んじまおうかと思った。ババアに叩き潰されて、ダニ以下の生活をするもんだと本気で思った。だけど、今こうしてる。美結星で修行した俺は界王拳10倍のパワーアップをして、藤沢に勝った。それでも、ババアのパワーはとんでもなかったが、結局最初っから、ババアにも勝ってたらしい。そして、その結果がこれだ。

「あんっ、ふぅっ、んんぅっ! だめ、だめえっ! イッ、イッちゃうっ! 気持ちよすぎるっ! んっ! あぁっ! ぅん! はぁっ! あんぅっ!」
「あっ、ああっ、あああっ! っ、ぁっ! はぁっ! んんぅっ!」
「んぅ、ふぅっ! ひぃぅっ! はぁんっ! んぅっ! あんぅ!」

 中央の藤沢を筆頭に左右の渡辺や三森も嬌声を上げ続ける。さっきから休む間もなくイカせ続けて、三人ともずっと下りてこられないほどに感じ続けている。おまんこはぎゅうぎゅうと締め付けて、全身はまるで電気を流しているかのようにずっと痙攣を続けている。渡辺も三森も体を支える事が出来ずに突っ伏し、唯一藤沢だけが四つん這いの体勢を維持している。しかし、その藤沢も全身がガタガタ震え、今にも崩れかねない状況だ。室内は藤沢達によって醸し出された淫靡な匂いが充満し、視覚、聴覚、嗅覚、触覚と五感のうち四つまでがこのエロい情報を脳に送ってくる。
 エロい、エロ過ぎる。送られてきたエロい情報は俺の中で興奮に置き換えられ、相棒へと充填されていく。そして、相棒はその興奮を極限まで圧縮し、発射の時を今か今かと待ち構えている。
 ゾクゾクと背骨に悪寒が走る。来た、充填完了だ。エネルギー120%だ。照準は最初から合っている。後は発射するだけだ。

「っ、イクッ、イクぞっ。藤沢ッ!」
「わたっ、私もっ、私もイクッ!」
「シュウッ、私もっ」
「リ、リナも、イキますっ、ご主人様ッ!」
「よしっ、みんな、イッちまえっ!」

”そーれっ”

 瞬間、目の前が真っ白になり、閃光防御を忘れた事に気がついた。

「「「「…………ぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!」」」」

 ドクドクと波動砲が藤沢に向けて発射され、藤沢も渡辺も三森も今までで最大の絶頂に体を震わせる。全身を硬直させ、ぎゅうっと筋肉を収縮させる。同時におまんこはうねうねと自身が咥えているモノを中へ中へと導き、鋭角な刺激を与えてくれる。
 波動砲の発射は未だに続いていた。今日は二回既に出しているにも関わらず、信じられないほどの放出が続いている。やべーよ、これ。すげえ気持ちいい。気持ちよすぎて変なモノまで出しちまいそう。つーか、ババア。俺まで変な命令出してないよな?
 そして、絶頂を迎えてから数秒、充填したエネルギーは一滴も残さずに藤沢ブラックホールの中へと消えていった。それと同時に藤沢達の体が弛緩し、ガクンと崩れ落ちる。体力を使い切った俺も藤沢の中から力を失った相棒を引き抜き、藤沢達の間に倒れ込む
 最高だ。あまりの気持ちよさに頭がどうにかなりそうだ。頭だけじゃない、全身に力が入らない。もう完全に出し切った。最高のセックスだった。
 渡辺、三森、藤沢、そしてババア。ありがとう、お前達がいなかったらこんな最高のセックスは出来なかった。こんな最高の気分にはなれなかった。半ヒキだった俺がこんな最高に気持ちよくなれたのはお前達のお陰だ。本当にありがとう。

「くら、しまぁ……」
「ちょ、藤沢?」

 なんか、もぞもぞと動き出した藤沢はきゅっと俺に抱きついてきた。耳元で「はぁっ」と熱い吐息を漏らす。すげえ甘い声。藤沢のアニメ声と相まってすげえエロさを俺の耳に届ける。

「すっごい気持ちよかった。はるかもリナも倉島の前だとあんな風になるんだね。初めて知った。二人とも気絶するくらい気持ちよかったもんね」

 そう言った藤沢につられて、左右の二人へと目をやる。渡辺と三森は蕩けた貌を見せ、幸せそうに涎を垂らしている。ただ一人、藤沢だけが俺へと抱きつき甘い吐息を耳元で漏らす。そればかりか、「また変な命令したでしょ」とか言って、藤沢は胸を押しつけてきてる。

「もう、こんな変な命令ばっかなんだから。ヘンタイ」

 いや、だから、俺は命令してないじゃん。藤沢だってこんな風になってるじゃん。これってババアのサービス? それとも藤沢の本心? さっぱりわかんね。まあ、可愛いからいいけどな!

「俺もすげえ気持ちよかったよ。まさかこんな気持ちいい事ができるなんて思っても見なかった」
「嘘ばっかり。倉島が命令したんじゃない。エッチな命令を。そうじゃなきゃ、私があなたにこんな事するわけないもん。でも、どんなに嫌でも私はあなたの命令に逆らえないもんね。ちゅ、忘れないでよ。私はこんな事して喜ぶような女じゃないんですからねっ、んんぅ……」

 なんか、負け惜しみのような事をいいながら、藤沢は俺の唇にキスをしてくる。流石にこれ以上する気力はないんだろう。軽いキスだ。いや、俺ももう、そんな気力はないから助かるんだけどさ。もしかして、これもババアが命令してるんだろうか? 俺とババアでの会話は出来るけど、ババアから他の、例えば藤沢への命令は聞こえない。多分、あのウサギがそれぞれの意識とババアの形而上を繋いでいるからなんだろうけど。だから、藤沢の行動がババアの命令によるものなのか、藤沢が自分からやってる事なのかは正直わかんない。まあ、でも、あの藤沢が自分からやってるなんて考えにくいから、ババアがやらせてるっていうのが妥当なんだろうけどさ。ちょっと聞いてみよっかな。

「……ところで、藤沢の母さんって家でどう? どんな感じ?」
「あれ以来、全然大人しくなったよ。お母さんが負けたんでしょ? もうあの変な力はないって、お母さん言ってた」

 あれ? おとなしくなったのはいいけど、何かおかしな事になってないか? だって、形而上の力を持っているのは俺じゃなくてババアだよ? なんで持ってないなんて言ってるんだ?

「んー、いや、負けは負けなんだけど……いいや、何でもない」

 もしかすると、俺のためだけに使うって意味なのかもな。自分のために使う力はもってないって。でも、ババアにはババアの考えがあるし、変な事言ってこじれるのもめんどくさいから、追求するのは止めよう。

「おかげで、もうお母さんは怖くないよ。そういえば、ちゃんとお礼言ってなかったよね……私を助けてくれて、ありがと」

 こてん、と藤沢は頭を俺の胸に乗せる。そして、顔を赤らめて、にこっと華やいだ笑顔を俺に向ける。やべえ、なにその天使の笑顔。そんなん今まで見た事ねーよ? 藤沢は結構笑顔をみんなに見せてるけど、こんな可愛すぎる笑顔なんてただの一度もなかったよ? この笑顔に比べたら、今まで藤沢の見せてくれていた笑顔が全て霞んで見える。こんな笑顔を向けられたら誰が相手でも絶対堕ちる。もう惚れた。絶対惚れた。死ぬほど惚れた。やっぱり藤沢は超絶美少女だ。

「え、いや、別に……」

 あまりにも藤沢の笑顔が可愛いだけじゃなく、半ヒキだった俺には元から、話術なんて全然無い。だから、貌を赤くしてこんな風にしどろもどろになるのが精一杯だ。

「あれからね、お母さんは家事もするし、ご近所にも迷惑かけないし、私にも何も言わなくなったよ。ていうか、普通のお母さんになった。家のことして、テレビ観て、お父さんと私と三人でご飯食べて、日中はときどきお昼寝してる。ソファとかで、夢を見て笑ってるんだよ。ふふっ、あのお母さんが」

 そんなババアの姿を思い返しているんだろうか。藤沢は上の方を窺うようにして、柔らかい笑みを点す。今度は普段、みんなに見せるような笑顔だ。この笑顔も確かに可愛いが、さっきの笑顔を見てしまうと、やっぱり霞んで見える。あの笑顔は破壊力抜群だ。
 それはそうと、藤沢の言葉に気になる所があった。昼寝。きっとその時、ババアは形而上を散歩しているんだろう。あの長閑な河原。傷つける人間のいない河原をボーイッシュな少女は穏やかな貌でのんびりとウサギたちと散歩しているんだろう。
 そして、たまには俺の所に来てエッチなイタズラしたり、俺のリクエストに応えたりして遊んでいるんだろう。いや、力は俺のために使うって言ってたから、本人は遊んでいるんじゃなくて真剣にご奉仕しているのかも知れないな。
 そう、今のように。

”ん? どうしたの、しゅーごくん?”

 いや、なんでもねーよ。
 と、俺の妙な表情に気がついたのか、藤沢がにまにまと意地悪そうな貌をしてる。なにがおかしいんだか。

「あ、ひょっとして心配してる? ふふっ、大丈夫だって。今日は女の子だけで買い物って言ったきたから。私たちが付き合ってること、お母さんにはバレてないから安心して。ちゅっ」

”だってさ、しゅーごくん♪”

 いや、バレてるけどな。てかお前、四つん這いになってエッチしてるとこ母親に見られてるんだけどな。そして、今ここで抱き合ってるのも、嘘付いたって言ってるのも見られてるんだけどな。そもそも、俺が力を使ってるって言う解釈が間違ってるんだよっ。
 まあ、どっちにしろババア公認の仲ってゆーか、ババアが藤沢を俺に捧げてくれたんだし、何の問題もないんだけどな。

 俺たちの戦いはまだまだ始まったばかりだ。
 倉島修吾先生の次回作にご期待下さい。

< 続くかもしれないけど終わり >

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