家庭教師 トレスパス

トレスパス

 今日は学校が終わった後で紀子のマンションに行った。時間は丁度5時を過ぎていた。
 玄関のオートロックは合鍵で開けれるので合鍵で開けた。
 マンションの管理人はもう帰っているようで管理人室の小窓は閉じられていた。
 僕は、エレベータに乗り込み8階のボタンを押した。
 エレベータが8階に到着しドアが開いた。僕は紀子の部屋に向かって歩いた。
 紀子の部屋の前に立ちチャイムを押した。「ピンポーン」
 返事がなかった。もう一度僕は、チャイムを押した。「ピンポーン」しばらく待って返事がないので、
 僕は合鍵を使って部屋に入ろうとした。ドアに鍵を差込んで鍵をあけ、玄関のドアをゆっくりと開いた。
「おじゃましまーす」僕は小さな声でそっと玄関から入り、ドアのロックをし、チェーンロックをして部屋の中に入っていった。
 僕はまずベッドルーム以外の部屋を覗いて誰もいないことを確認し、最後にベッドルームに入った。
 ベッドルームには服を着たまま完全に脱力しきった紀子と涼子がよこたわっていた。
 僕は制服のままだったのでまず、制服を脱いだ。
 今日は、涼子の催眠深化を主眼において、涼子には涼子の衣装を用意してもらうことにする。
 僕は紀子と涼子の額に手をおいてこう言った。
「さぁ、二人とも良くお聞き、これから3つ数を数えるといつもの様に目が覚めて目覚めると二人とも僕の奴隷に成っています。1、2、3、はい」
 二人は眼をぱちぱちさせながら起き上がった。
「あ、ご主人様」まず紀子が気が付いた。涼子もその後すぐに気が付いて僕に言った。
「ご主人様」
「さぁ、涼子。これから君の訓練を行う。紀子はその間ちょっと書斎にいっていつもの様に勉強をしておきなさい」
「はい、ご主人様」そう言って紀子は書斎に行きパソコンを操作し始めた。
「さて、涼子。君は夜寝る前とかは一人っきりになれるよね?」
「はい、ご主人様。私は寝る前は自分の寝室で一人になって寝ています」
「そうか、それじゃぁこれから言う事をよおーくお聞き」そう言うと僕は涼子の額に手をあてて深い催眠状態に導いた。
「涼子、今日から君は夜寝る前に一人っきりになると必ず鏡を見るんだ。そして鏡に写る自分の顔をじっと見詰めてその鏡に写った自分の眼をよーく見るんだ。よーく見ていると段々と君の瞼は重くなって来てどうしても開けられなくなって自然に今のように深い催眠状態になるんだ。そして深い催眠状態になると自然と頭の中に言葉が浮かんでくる。いいね」
「はい、ご主人様。私は寝る前に一人になると鏡を見つめて今のように催眠状態になります」
「そうだ。そして、涼子、この言葉が頭の中に浮かんでくる。『涼子はご主人様の奴隷』この言葉を繰り返し頭の中で言うんだ。決して口に出して言う事はしない。そして、この『涼子はご主人様の奴隷』という言葉を頭の中で繰り返して言う時には必ずもう一つの言葉も自然と頭の中に浮かんでくる。『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。わかったか?」
「はい、ご主人様。私は寝る前に一人になると鏡を見つめて今のように催眠状態になります。そして、頭の中に浮かんでくる『涼子はご主人様の奴隷』という言葉を繰り返し頭の中で言います。そして、『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。と繰り返して頭の中で言います」
「よろしい。涼子、今言ったことはいつもの様に心の奥の無意識のうちに覚えておいて普段は忘れてしまうんだ」
「はい、ご主人様。涼子は一人っきりになって毎晩催眠状態になってご主人様が言われた『涼子はご主人様の奴隷』という言葉を繰り返し頭の中で言います。そして、『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。と繰り返して頭の中で言います。この事は、心の奥の無意識のうちに覚えておいて、普段は忘れてしまいます」
「涼子、それでいい。後で紀子にピルの飲み方を聞いておきなさい。そして紀子に聞いて涼子もちゃんと毎日ピルを飲むようにしなさい。このピルのこともいつもの様に覚えておくんだ。いいね」
「はい、ご主人様。紀子お姉様にピルの事を聞いて毎日ピルを飲むようにします。そして、この事はいつもの様に、心の奥の無意識のうちに覚えておいて普段は忘れてしまいます」
「よし、じゃぁ、涼子。ちょっと催眠深度を深める練習をするからね。今から3つ数を数えると君は眼をさまします。でも、君がいるのは自分の部屋で今から眠ろうとしている所です。そして、君の部屋には誰もいません。僕が見ていますが僕の事はまったく見えません。さぁ、3つ数を数えます。1、2、3、はい」
 涼子は少しの間ぼーとしていたが、すぐにベッドから降りて紀子の寝室に置いてある鏡台の前に座って自分の顔をじっと見つめていた。やがて徐々に瞼が下がってきて、全身の力が抜け、イスにリラックスした様子で座っている。僕は、その様子を2,3分ほど観察し、涼子に声を掛けた。
「涼子さん聞こえますか?」
「はい」涼子は意志のない声でこう答えた。
「涼子さんの頭の中にある言葉を口に出して言う事ができます。私が3つ数を数えると頭の中に浮かんでいる言葉を口に出して言えるようになります。1、2、3、はい」
「涼子はご主人様の奴隷。『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。涼子はご主人様の奴隷。『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。・・・・・・」
 涼子はそう何度も繰り返し言い続けていた。
 僕は涼子の様子を見て自己暗示による催眠深度の深化はうまく行きそうだと確信した。
 僕は同じ言葉を繰り返して独り言を言い続けている涼子の額に手をあてた。
 涼子は、独り言をやめて体の力を抜いた。
「涼子、もういい。さっきの様に繰り返し頭の中で繰り返し言い続けるのは2,3分の間だけでいい。でも、毎日続けるんだ。毎日2,3分の間続けるんだ。そしてこの事はいつもの様に覚えておくんだ。いいね」
「はい、ご主人様。涼子は一人っきりになって毎晩催眠状態になってご主人様が言われた『涼子はご主人様の奴隷』という言葉を繰り返し頭の中で言います。そして、『涼子は僕の催眠のとりこ』という言葉を聞くと私はいつでもどんな時でもご主人様の奴隷になれる。ご主人様の奴隷に成ることは幸せでうれしい。と繰り返して頭の中で言います。これは毎日2,3分の間繰り返します。この事は、心の奥の無意識のうちに覚えておいて、普段は忘れてしまいます」
「よろしい、涼子。それじゃぁ、3つ数を数えると、君は奴隷の涼子になる。1、2、3、はい」
「涼子、さぁ、立って」
「はい、ご主人様」そう言うと涼子はイスから立ち上がった。
「さぁ、涼子、紀子の所に行こう」
 そう言って僕は、涼子を紀子がいる書斎へと導いた。
 書斎では紀子がパソコンの画面でインターネットに接続してネットサーフィンをしていた。
「紀子、どうだ?」
「はい、ご主人様。今日はこんなサイトを見つけました。ちょっと待ってください。ああ、ここです」
 そう言って紀子はアダルトサイトの一つであるURLを叩いてそのページを呼び出した。
「ご主人様、すごいですね。今度、紀子にもこんな風にしていただけますか?」
 そう言いながら紀子の顔の表情は淫靡な雰囲気をかもしだしていた。
「紀子、昨日も言っていたが、涼子の教育をしてあげる必要があるな。涼子もいいね」
「はい、ご主人様。涼子にはいろいろ覚えてもらうことがいっぱいあります」
「そうだな。涼子、紀子に聞くことがあったんじゃないのか?」
「はい、ご主人様。紀子お姉様、後でピルについて教えてください」
「いいわよ。涼子。後で詳しく教えてあげるわ」
「ご主人様。ピルについてですけれども、ピルを購入するには医師の処方箋がいるので、涼子の場合、ちょっとまずいんじゃないでしょうか?」
「何?どういう事だ、紀子?」
 僕は意味が分からず紀子に確認した。
「はい、ご主人様。涼子は一人暮らしではありません。当然、産婦人科にかかって処方箋を貰う場合には保険証が必要になります。保険証を使う時や使った後に涼子の他の家族にばれる場合があるのではと考えられます。私の場合は、ピルを買いに行く時や服用する際には催眠状態で行っているので、普段の私は全く気が付かずに済んでいますし、保険証自体は私自身が管理しているので、他人が見ることは心配することはありません。万が一産婦人科にかかっている事がばれても、生理痛で医者にかかったという風に普段は思っているので、心配には及びません。しかし、涼子の場合は保険証の持ち出し等で問題になる可能性が高いと思われます」
「なるほど、それもそうだな。紀子、よくそんな細かな点に気が付いたな。ありがとう、僕も見落としていたよ」
「はい、ご主人様。ありがとうございます。ピルの購入は涼子の代わりに私がやって私の分を涼子に分けてあげると言う事でいいんじゃないでしょうか?」
「そうだな。紀子、それがいい。涼子、紀子にお礼を言っておきなさい。それに紀子にピルを分けてもらうのは当然代金がかかる事だと言う事は分かっているね?涼子」
「はい、ご主人様。紀子お姉様、ありがとうございます。紀子お姉様の大切なピルを分けて頂けて涼子は感謝の気持ちでいっぱいです。紀子お姉様の診察料も薬代も私が払わせていただきます。それどころか手数料だって払わなければならないです。是非、涼子に払わせてください」
「手数料だなんて・・・。涼子、その気持ちだけ戴いておくわ。その感謝の気持ちの分だけご主人様にもっと尽くそうと思ってくれれば、私はいいの。それでいいですよね。ご主人様?」
「ああ、紀子がいいと言うのなら僕は構わない。涼子、それじゃぁ、紀子の診察代と薬代は涼子持ちだ。それでいいな?二人とも」
「はい、ご主人様。ご主人様が決めていただいたことで一向に構わないです。紀子は涼子が1日も早くご主人様の奴隷としてお仕えできる様になってくれればと思っているだけです。涼子もこの幸せは何物にも代え難いものだと言う事に気が付いていると思います」
 そう言って涼子に微笑みかけた。
「はい、ご主人様、紀子お姉様。涼子は、紀子お姉様の言う通りご主人様にお仕えできる幸せを感じています。それに1日も早く、ご主人様に気に入っていただけるようにがんばります。お金のことはご主人様のいわれる通りにいたします」
「よろしい、涼子、紀子。この事はいつもの様に覚えておきなさい」
「はい、ご主人様。私は涼子の分までピルを手に入れて涼子に分けてあげます。その事は、心の奥底の無意識のうちに覚えておいて普段は忘れてしまいます」
 そう、紀子は言った。そして、「はい、ご主人様。涼子は紀子お姉様の診察料と薬代を紀子お姉様に渡します。それにそのお金のことは忘れてしまいます。この事は、心の奥底の無意識のうちに覚えておいて普段は忘れてしまいます」「よし、涼子。それで、いい。もう一つ、言っておくことがある。紀子からピルを受け取る時もお金を渡す時も絶対に二人とも催眠状態の時だけにするんだ。分かっているとは思うが、どちらかが催眠状態でなかった場合は、その事は絶対にばれない様にするんだ。いいね。あと、涼子がピルを飲む時も必ず催眠状態で服用するんだ。これもいつもの様に覚えておきなさい。いいね?」「はい、ご主人様。涼子は紀子お姉様からピルを受け取る時もお金を渡す時も必ず二人とも催眠状態に成っている時にします。それ以外の時には絶対にばれない様にします。それに、ピルを服用する時は必ず催眠状態になります。この事は心の奥底の無意識のうちに覚えておいて普段は忘れてしまいます」そう言って涼子は頷いた。
「よろしい、それでだ。涼子、これから紀子にインターネットの巡回の仕方を教えてもらっていろいろな事を勉強するんだ。奴隷たるものご主人様に気に入っていただけるように日夜努力を怠ってはいけないね。わかるね?」
「はい、ご主人様。涼子、がんばっていっぱい勉強してご主人様に喜んでいただける様になります。紀子お姉様もご指導のほどをよろしくお願いします」
 そう言って涼子は紀子にぺこりと頭を下げた。
「そう、あと涼子。奴隷は服装にも気を使わなければいけないよ。そうだね、紀子」
「はい、ご主人様。奴隷はご主人様の気に入るように下着に気を付けるようにしなければなりません。だから、こうやってインターネットや通販とかで下着なんかを探して気をつけているのよ。涼子」
「そうなんですか、紀子お姉様。分かりました。それじゃ一緒に下着とかも買いに行きましょう」
「ちょっと待て、涼子」僕はそういいながら涼子の額に手をあてた。
「紀子は普段から目立たない様にお洒落に気を使っているんだ。だから涼子君も普段は忘れていて、僕と会う時だけそういう下着を身に付けるんだ。それに、そういう下着を持っていること自体も普段の自分や他の家族のものにも分からない様にするんだ。いいかい、このことは、いつもの様に覚えておくんだ。いいね?」
「はい、ご主人様。ご主人様に会う時は下着に気をつけるようにします。それにこの事は普段は忘れていて心の奥底の無意識のうちに覚えておきます。それに、回りや普段の自分にも分からない様にします」
「よし、それに、奴隷は自分の衣装や下着は自分で買うんだ。ご主人様の命令で買う場合でも、自分の物は自分で払うのが常識だね。涼子は、これまで紀子の衣装を借りたりしてたんだから紀子にもお返ししなきゃいけないよね。わかるよね。涼子」
「はい、ご主人様。涼子は紀子お姉様にいろいろ借りがあるので、お返ししたいです」
「そうだ、涼子。これから3人でコスチュームや下着を選ぼう。それは涼子はお返しに気持ち良く代金を出すんだ。いいよね。それにこの事は催眠から醒めるとすっかり忘れてしまう。お金を使った事もすっかり忘れる。それに、もともとそんなお金は持っていなかった。わかったかい、涼子?」
「はい、ご主人様。涼子は紀子お姉様にお返しします。でももともとそんなお金は持っていないので全然覚えていません」
「いい子だ。じゃぁ、涼子。みんなで選ぼう」
「はい、ご主人様」そう紀子と涼子は声を合わせて返事をした。

 それから、いろいろなサイトで衣装を選んで注文した。ただし、涼子の分も紀子のマンションに届くように手配した。万が一の事を考えてそうしておいた。
 それに、紀子には、コスチュームとかを整理したり、管理したりするのでこの部屋の方がなにかと都合が良かった。涼子は代金の方をすべて面倒見ると約束し、財政面では今までよりかなり大幅にUPしたので今までちょっと控えていたものなども買うことにした。

 衣装選びも終わり、下着もいろいろと注文したら時間は7時を回っていた。
 僕はあまり遅くなるとまずいので、紀子のマンションから引き上げることにした。
「涼子は門限は大丈夫なのか?」
「はい、ご主人様。10時までに帰れば大丈夫なので9時過ぎまでは平気です」
「よし、分かった」
 そういうと、僕は二人の額に手を当てた。とたんに二人は深い催眠状態に陥り脱力して、イスにもたれた。
「二人とも良くお聞き、今日二人は夕方からずっと二人でいた。このマンションで二人でインターネットに接続していろいろなサイトを回って見ていた。二人っきりでだ。僕が来ていたことや、僕の言ったことで、いつものように心の奥底の無意識のうちに覚えておくように言ったこと以外はすべて忘れる。涼子は、それから9時まで紀子にいろいろ教えてもらいなさい。そして、9時にアラームがなって鳴り終えたら紀子は涼子にこう言うんだ。『3つ数を数えると涼子と私は催眠から目覚めます。1、2、3、はい』こう言って紀子も、涼子も紀子が言った通りに目が覚める。そして、さっき言った通り、二人っきりでパソコンをやっていたことを思い出すんだ。いいね」
「はい、ご主人様。紀子は9時のアラームが鳴り終えたら、涼子と自分自身の催眠を解きます。そして、二人でパソコンをやっていたことを思い出します」
 紀子は、そう答えた。
「はい、ご主人様。涼子は紀子お姉様が『3つ数を数えると涼子と私は催眠から目覚めます。1、2、3、はい』と言うと涼子は言われた通りに目が覚めて、二人っきりでパソコンをやっていたことを思い出します」
「よろしい、二人とも」
「紀子、3つ数を数えるといつものように奴隷の紀子になるよ。1、2、3、はい」
「紀子、時計のアラームを9時にセットしておきなさい」
「はい、ご主人様。時計のアラームを9時にセットしておきます」
「よし、僕はもう帰るから、涼子の教育を頼むよ」
「はい、ご主人様」
「涼子、3つ数えるといつもの様に奴隷の涼子になるよ。1、2、3、はい」涼子も眼をあけた。
「さぁふたりで勉強していなさい。僕は帰るから、僕が出ていったら紀子、ちゃんと戸締まりをして誰の邪魔もされないでちゃんと勉強するんだ。いいね」
「はい、ご主人様。ちゃんと涼子の教育をします。お任せくださいませ」
 僕は、自分の持ち物を持って忘れ物の確認をして紀子のマンションから出た。

 僕が出ていくと紀子は、マンションの玄関を閉めた。
 そして、紀子は書斎に戻ってくると、時計のタイマーのセットをした。それから涼子に言った。
「さぁ、涼子。ご主人様に言われた様にあなたに色々教えなくっちゃいけないの。まずは、何から始めればいいかしら?」
「紀子お姉様、まず、ピルに付いて教えていただけませんか?」
 そう涼子は紀子に尋ねた。
「そうね。それじゃ私のピルを涼子に分けてあげるね。それから、飲み方の注意は・・・・」
 紀子はインターネットで仕入れた知識や、自ら産婦人科にかかって得た知識を涼子に教えた。
 涼子は、紀子から聞いた諸注意を心の奥底の無意識のうちに覚える様にした。
 一也の暗示通りにピルを服用する際には催眠状態にならなければならないと言う暗示により、涼子は無意識のうちに心の奥底の無意識のうちに覚えておくことにしていた。
 これは、暗示の補完効果で、通常の薬物等の意識を殺して暗示を埋め込むやり方と違い、一也の場合の暗示は催眠術で被暗示性を高めて、相手の人格をコントロールしてから相手の心理状態を一也の都合のいい様に変更しておいてから行う暗示なので、通常の催眠術の後暗示というより、一種のマインドコントロールなので、暗示を受けた側がより積極的に暗示を解釈し、当てはまらないケースが出てきても補完して暗示を実行する場合がある。ロボトミーでなく、マインドコントロールの良さの部分でもあり、あくまで暗示を受けた人間がその暗示を自ら進んで実行するという気持ちがよりその暗示を実行する際のあいまいな部分も補完し、暗示を実行する結果をもたらすのであった。
 涼子は紀子にお金を渡した。紀子はそのお金を受け取り、普段使う財布とは別の財布にしまいこんだ。

 涼子は紀子のレクチャーを受けながら熱心に紀子の話に耳を傾けていた。
 紀子は涼子にご主人様、つまり一也の性癖や嗜好など、紀子なりの経験の中で掴んだ一也の調教の内容を涼子に教えて行った。涼子もとりあえず、一也が言わんとする事や一也の癖等を中心に一也が何を求めその時にはどういう風にすればいいのかを紀子から聞いていた。
 やがて、9時のアラームが鳴った。そして、アラームが鳴り終えて紀子は涼子にこう言った。
「3つ数を数えると涼子と私は催眠から目覚めます。1、2、3、はい」
 二人はしばらく眼をぱちぱちさせると、パソコンをやっていたことを思い出した。
 紀子は、時計に気が付いてこう言った。
「あら、もう、こんな時間。涼子そろそろ帰らなきゃ門限やばいんじゃない?」
「え、もう9時なの。やばーい。そろそろ帰らなきゃほんとやばいわ。この続きはまた今度ね。やっぱり一也君がいた方が早いかなぁ」
「そうね。私が分かる範囲っていったってたかが知れてるし、一也君だったら良く分かっているから話は早いわね。でも、もう少しやってみる?」
「分かったわ。紀子、じゃぁ学校で相談しましょう。とりあえず、今日は帰るわ」
 そう言って涼子は身支度を済ませると玄関に向かった。
「じゃぁ。今日はお邪魔様。また明日、学校で」
「うん、じゃあ、気を付けて帰ってね。また明日学校で、バイバイ」
「バイバイ」涼子はそう言ってマンションの玄関のドアを閉めた。
 紀子は、涼子が出ていった後に玄関のドアを閉めて台所に行き、遅くなった夕食の準備を始めた。

< 続く >

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