家庭教師 フォーリンスチューデント

フォーリンスチューデント

 月曜日の朝、紀子は眠りながら洗濯物を片付けていた。正確には本人は朝まだ眠っているつもりだが催眠状態下での作業だった。洗濯物を取り込み何時ものように片付け終わるとまた何もなかったようにベッドに戻って眠った。
 やがて、目覚まし時計が鳴りいつもと同じ月曜が始まった。
 一方、涼子も目を覚ましていた。今日は朝一番でN○TにADSLの申し込みをする予定にしている。
 自宅の電話から116をダイアルした。
 サービス窓口でいろいろ質問しながら申し込みを続けて行った。
 一也からは電話局からの距離によって申し込みのできるサービスが変わって料金も多少変わると言うのは
 聞いていたので、その手も質問などにもスムーズに答えることができた。
「それでは、回線の新設を行います。工事が必要なので出来るだけ早くですと再来週の月曜日の午後になりますがよろしいですか?」
「はい、それで大丈夫です」
 N○Tの申し込みは涼子が思っていたより簡単に終わった。
 結局、一也の予想通り、電話回線を新設する方向になった。電話回線を新設するのであれば新規工事とADSLのタイプ1を同時に申し込んでプロバイダの申込は、今紀子が使っている所と同じにすれば問題ない。こちらの申し込みは新しい電話番号で申し込む必要があるので、学校に行ってから紀子に相談すればいい。
 一連の事務手続きが終わって電話で話していたメモと一也に教わったメモを持ち、涼子は学校に出かけた。
「紀子、おはよう」「あ、おはよう。涼子」「あのさ、昨日はありがとうね。それでね、今日N○Tに申し込んだんだ」
「どうだった?」「それがさ、思ったより簡単で、さすが一也君ね。N○Tの窓口の担当の人も『詳しいですね』ですって」
「それで、最終的にはどうなったの?」「やっぱり、新規で電話回線を引いたほうが良いってことで、これも一也君の読み通りだったわね。回線の工事が再来週の月曜日の午後。時間は分からないけど、工事日の朝に時間を連絡してくるって」
「それじゃぁ、一也君にメールした?」「いや、それがまだなのよ。今からコンピュータ室に行ってメールしようと思って。その前に紀子に会ったからって言う訳」
「ああ、そうなんだ。じゃあ私も一緒に行こうかしら」
「サンキュ、紀子。実は頼みがあって」二人はコンピュータ室に話しながら向かった。
「まずは、メールね」涼子はコンピュータのメールソフトを起動し、一也へメールをうった。
 それから紀子の契約しているプロバイダに申込用紙を自宅に送るように依頼した。
 届いた申込用紙に記入して事務手続きを行い後は工事を待つだけだわ。
 全ての段取りを終えて紀子と涼子は午後の授業に出席するためにコンピュータ室を出た。
「一也君にメール届いたかしら」涼子は呟いた。
「大丈夫だって、でも一也君も学校に行っているからまだメールは見てないと思う」
「そうね。彼、高校生だもんね。まだこの時間だったら学校に行っているからメールチェックとかしてないわね」
「大丈夫よ。そんなに心配だったら、今度の家庭教師の時に確認しておいてあげるから」
「うん、ありがとう。お願いしとくね。紀子」
 二人はいつもの様にしゃべりながら午後の講義の教室に向かった。
 教室で席につき喋っていると英語で話し掛けられた。
「ハーイ、ノリコ、リョコ」
「ハーイ、パティ」
 外人留学生のパトレシアだった。パトレシア・A・スミス、通称パティみんなはパティと呼んでいた。
 日本に留学してきて3ヶ月、この大学に留学してきている。紀子も涼子も英文科でゼミの教授がパティのホームスティのお隣で教授の研究室にも良く遊びに来ている。彼女の父親が教授の知り合いで教授がアメリカに留学していた頃大変世話になったということで何かと面倒を見ていた。紀子はゼミの中でもまじめで何かと教授の手伝いをしていてそんな関係でパティともすぐに仲良くなれた。
 もともと紀子は英語が好きで本気でニューヨークに留学したいと考えていた時期もあったが、両親の反対にあって断念して今の大学に入ったということもあった。そんなこんなで、パティと紀子は親友になり涼子もパティの気さくな所が気に入り仲良くしている。
「パティ、久しぶり、元気?」
「元気だよ」
「修学ビザの更新どうだった?」
「ノープロブレム」「そう良かったわ。これでまた1年間は日本に居られるわね」
「日本語忘れたんじゃない?」
「大丈夫。ステーツで日本語学校に通ったからね。上手になったでしょう」
「そういえば、今まで片言の日本語だったけどすごいね。イングリッシュもほとんど使わないで会話できる。ほんとすごい。ブリリアント」
「サンクス」
「ところで、さっきコンピュータの話をしてたじゃない。インターネットとかの」
「うん、そうだけど」
「実は、私の家にPCがあってそこでメールが使えるのね。それで向こうの友達に聞いたんだけどインターネットで画像のやりとりが出来るって聞いて」
「うん、聞いたことがある」
「それで誰かに相談したいと思っていたとこなんだ」
 そう話していると教授がやってきて講義が始まった。
「ああ、そうだったら後で相談に乗るよ」
 そう言って三人は講義を受け始めた。
 授業が終わってまたパティが聞いてきた。
「さっきの相談の件だけど・・・」
「ああ、インターネットの件ね。詳しい人を知っているんだけどその人に聞いてみてあげる」涼子は得意げに話した。
「え、ひょっとして一也君のこと?」「そうよ、あの子なら多分知っているわ。ものすごく詳しいから」
「でも、一也君に聞かないと・・・」「それもそうね。今度の家庭教師の日に聞いといてあげれば」
 パティはきょとんとした表情で涼子と紀子のやり取りを聞いていた。
 紀子はその様子に気がついて今までのやりとりと一也がパソコンに詳しくて涼子の家の回線の新設やプロバイダーの契約なんかの段取りをしたことなどを説明した。
「ブリリアント。ノリコ、そのボーイフレンドに聞いといてよ」
「ちょっと、パティ。一也君はボーイフレンドじゃなくてチューターのスチューデント」
「OK、OK。ユア スチューデントね。アイ アンダ スタン」
 途中から紀子は顔を真っ赤にして言った。
「あー完全に誤解している。アイ シンク オブ ヒム ライク リトルブラザー」
「シュアー。ノープロブレム」
「紀子、そんなに顔を真っ赤にしていたら、パティますます誤解しちゃうよ」
 涼子はさらっと言った。元はと言えば涼子が振ったことなのに涼子は完全にその事を忘れて紀子をからかった。
「もー、いい」紀子はぷいっと横を向いた。「ごめん、ごめん。紀子、冗談だって、一也君の事になるとむきに成るからつい」
 涼子はひたすら謝った。「今度ミマス屋のあんみつおごるから。ね」
 パティも「だいじょうぶ?ノリコ」
「あー、わかりました。ちゃんと聞いておきます。これでいいんでしょう」
「OK、ノリコ。サンクス」涼子も合わせて「サンクス、紀子」
「涼子、ミマス屋のあんみつ、忘れないでよ」
「わかったわよ。約束する」
「じゃあ、私これからサークルのミーティングがあるから先行くね」
 そう言うと涼子は教室から出て行った。
 涼子がいなくなりなんとなくその場に居づらくなったのかパティも席を外した。
「私もこれで失礼するね。シーユー」
「さてと、私も帰るとしますか」紀子も教室から出て行った。

 家庭教師の日、紀子はいつもの様に準備を行い、一也の家へと向かった。
「先生、いつもご苦労様です」一也の母が玄関に迎えに出た。
「いえ、こちらこそ。一也君にはパソコンでお世話になっています」
「まぁ、あの子の得意分野ですから、いつでも使ってやってください」
「ありがとうございます。では、2階に。お邪魔します」そう言うと紀子は一也の部屋へと上がっていった。
「一也君、こんばんわ」「ああ、先生。こんばんわ」
「早速だけど、ちょっと聞いていい?勉強と関係ない話なんだけど」
「ええ、いいですよ。で?」
「まずは、涼子の話なんだけど、一也君にメール届いた?」
「ええ、届いてます。再来週の月曜日が工事日だって書いてましたね」
「届いたって言う返事は出しておきましたから、たぶん開通後に通信環境のセットアップのお願いなんかあるんだろうなって想像つきますけど・・」
「そうね、涼子だったら、言ってくるかもね」
「いや、どうせこの前の日に回線を申請するってなって覚悟は出来てたんで別に問題はないですよ」
 そう言って俺は笑った。
「それから、一也君もう1つ有るんだけど」
「え?」
 紀子には、家庭教師に来てまず最初に俺に対する報告をするように暗示を与えてある。
 俺に対する要求や回りからのことなど紀子にとってあまり重要と思われない事でも、些細なことでも俺に関係が有ると思われるものは全て報告するようにしている。今日の涼子の事などは、概ね涼子が紀子に確認してくれって頼んだことだと思う。
 しかし、この2つ目の話はまるで検討がつかなかったので内心あせった。
「あのね、実はうちの大学にアメリカ人の留学生がいるんだけど、その子が一也君に聞きたいことがあるってそれで聞いていいか尋ねて欲しいって頼まれて、それでって訳なの」
「ああ、つまりパソコンで聞きたいことがあるから聞いてもいいか聞いといてくれって事?」
「そう、そうなの」紀子はぱっと明るい顔になり話を続けた。
 俺は安心して話を聞いた。
「僕は構いませんけど、いったい何を聞きたいって?」
「ああ、そうだわね。何を聞きたいかって内容がわからなきゃ返事のしようが無いものね」
「ええ、まぁ」
「どうも、彼女。ああ、名前はパティって言うんだけど、そのパティの自宅にパソコンがあってそれにインターネットがつなげられてて日本から連絡するのにメールだけでなく画像も送りたいって言うの」
「それじゃ、メールの添付ファイルに画像くっつけて送れば済むのに」
「いや、そうじゃなくってなんかTV会議みたいなのがしたいらしいの」
「ああ、カメラつけてテレビ電話みたいなことしたいわけだ」
「そう、それなのよ。一也君分かる?」
「うーん、正直、やったことないんで何とも・・・。でもやったことは無いけど興味あるので実験してみましょうか?」
「えー、実験?」
「そうです。実験。実際にカメラとインカムを2組買ってテストしてみるんです。大体どうやればも分かるし、インターネットで検索してみればやり方とかわかると思うし、ちょっと後で調べてみますね。とりあえず、僕の方で調査してみてこれくらいの費用が掛かるとか概算を出せばいいですね」
「え、えぇ、パティも喜ぶと思うわ」心なしか紀子の返事が上ずっていた。
「それじゃぁ、僕の方は調査して詳しく分かったら説明しますね」
「わかったわ。一也君、パティにはそう言っておくね」
「はい、OKです」
「それじゃぁ、お勉強始めましょうか」
「はい、分かりました。先生。勉強にとりかかりましょう。『紀子は僕の催眠のとりこ』」
 紀子は、一瞬「えっ」という表情をしたが、次の瞬間、眼を閉じそのままの姿勢で、「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言った。
「ところで紀子、その留学生ってどんな娘だ?」
「金髪で明るくかわいい娘ですよ。ああ、携帯に確か一緒に写した写真が、ちょっとお待ちください。ご主人様」
 そう言って紀子は、自分のバッグから携帯を取り出し写真を調べ始めた。
「ああ、あったこれだわ。ご主人様、これです」
「どれ、ああ、この娘かぁ。結構かわいいじゃないか。ふーん、この娘、日本語喋れるの?」
「はい、ご主人様。日本語は多少喋れますが、難しい言葉なんかは英語です」
「ふーん、それじゃぁ、この娘と会話する時はほとんど英語?」
「はい、半分英語、半分日本語です、ご主人様」
「ふーん、なるほどね」
 俺は、しばらく考え込んだ。外人もいいな。インターネットのテレビ電話は置いといてもパティには興味があるな。
 これも課題にしておいてインターネットと同じでいろいろ計画を立てよう。
「紀子、俺の息子にご奉仕しろ」
「はい、ご主人様」俺は紀子にいつもの様にフェラチ○させて色々計画を考えた。
「ぴちゃぴちゃぴちゃ」いやらしい音を立てながら懸命に俺のチ○ポに貪りつく紀子。
「ピピ」俺の仕掛けたセンサーが反応した。
「紀子、お袋が来た」俺は紀子に素早く囁いた。
 紀子は素早く俺のチ○ポを話すと服装の乱れを直し俺の横に座った。そして俺の勉強の続きを見た。
「コンコン」ノックの音が聞こえた。
「はーい」
「失礼します。お茶の時間ですよ。きりがいい所で休憩して下さい」お袋はそう言うとベッドの脇に置いてあるサイドテーブルに紅茶の入ったお盆を置いた。
「ああ、お母様、いつもすみません」「いえ、いいんですよ。どう勉強の方は?」
「まぁ、まぁだよ。サンキュウ、お袋」
「いえ、じゃぁ、下に居るから何かあったら呼んでね」
「わかったよ」
「それじゃ、先生。冷めないうちにどうぞ」
「ありがとうございます」
 そう言うとお袋は下に下りていった。センサーもお袋が階段を下りていったと同時に反応した。
「ふー、危ない。危ない。うーん、ちょっと休憩するか、紀子」
「はい、ご主人様」
 そう言うと紀子はお茶の用意を始めた。
「どうぞ、ご主人様」
「ありがとう」俺は紅茶を飲んだ。
「頂きます」紀子も紅茶を飲んだ。
 一服し、俺は紀子にさっきの続きを命令した。
「さぁ、さっきの続きを、紀子」
「はい、ご主人様」
 紀子は先程と同じように俺のチ○ポにフェラチ○しはじめた。
 しばらくして紀子の息が段々荒くなってきた。「あーん、ご主人様。そろそろ紀子にも下さい。ご主人様の太くて固いチ○ポで紀子のいやらしいオマ○コに入れて下さい。お願いします、ご主人様」
「どれ」俺は紀子のアソコに手をやった。紀子のアソコは十分に湿っており俺の息子を迎え入れる準備は出来ていた。
「じゃぁ、自分で入れなさい」
「はい、ご主人様」
 紀子はそう言うとパンティを脱ぎ俺のズボンとパンツを脱がし俺の座っているイスの上に座ってきた。
 片手で俺のチ○ポを持ち、もう片方の手で自分のアソコを広げて入れた。
「あぁーん、気持ちいい。ああ、気持ちいいです。ご主人様」
 そう言うと紀子は俺の手を持ち自分の手で自らの胸に手をあてた。
「ああ、ご主人様。よろしければ紀子のオッパイをお揉みください」
「紀子はエッチだな」
「はい、紀子は淫乱でエッチな奴隷です。ご主人様にいろいろ弄られるのが大好きなメス豚です。淫乱な紀子をどうぞお楽しみください、ご主人様」
 俺は紀子の誘導に従い紀子のオッパイを揉んだ。紀子はその間も自ら腰を上下に振り、上着のボタンを外し、ブラジャーが見えるように服を脱いだ。俺はブラジャーをずらし紀子のオッパイに直接触れた。紀子のオッパイの乳首は固くなっておりこりこりしていた。
 俺は紀子の乳首にそっとキスをした。
「ああ、ご主人様、気持ちいいです。ああ」
 俺は乳首に吸い付きちゅばちゅばと吸ったり舐めたり軽く噛んだりした。
 俺が乳首に刺激を与えると一瞬紀子の上下運動が小さくなるが、その反動でその次からは更に激しい動きになっていった。
「ああ、ご主人様。ああ、紀子はもうだめです。いく、いく、いっちゃう。いっちゃいます。ご主人様」
「よしいいよ。いっても」
 その言葉を合図に紀子は絶頂を迎えた。
 しかし、やはり家族がいると思いっきり楽しめないなぁ。このシチュエーションがいいと言う輩もいるんだろうけども俺には向かないなぁ。
 俺も紀子の中に思いっきり出してぼーっとそんな風に考えていた。
 用心の為に紀子の喘ぎ声やいく時の声のボリュームは普段の10分の1に抑えている。これも暗示の効果で俺の部屋に居る限り紀子はエッチの時には思いっきり叫んでも普段のしゃべり声より小さな声しか出せない。
 用心深い相変わらずの一也であった。
「紀子、来週の家庭教師の日に詳細を指示するから留学生の誰だっけ?」
「パティです。ご主人様」
「そう、そのパティをお前のマンションに連れ出すんだ。その時、紀子にも手伝ってもらうよ」
「はい、ご主人様。喜んでお手伝いいたします」
 そろそろ家庭教師の時間も終わりが近づいてきた。
 俺はズボンを履き、紀子も元通り服を着させた。
「さぁ、紀子。3つ数を数えると普段の紀子に戻ります。1つ、2つ、3つ、はい」
「先生?」
「あら、もうこんな時間。時間の経つのって早いわね」
「そうですね。ところで、さっきのインターネットテレビ電話の件は調べておきますんで、今度の家庭教師の時間に教えられると思いますから。なんだったら、先生の所で話をしてもいいかもしれませんね。ま、でも一応調べて段取りを考えてからにしましょうね、先生」
「そうね。来てもらってやっぱり駄目ですじゃぁね。一也君、申し訳ないけどよろしくお願いします」
 そう言うとぺこりと頭を下げた。
「ええ、そんなまだやってないし、それ程感謝されると返って恐縮しちゃいますよ」そう言って僕は紀子先生に笑いかけた。
「下まで送ります」
「ありがとう、一也君」
 僕は先生の後を紅茶のお盆を持ち部屋を出て行った。
「おふくろーっ、先生、帰るって」
 玄関で俺はお袋を呼んだ。
 俺はお盆を台所に持っていきテーブルの上に置いた。
「お袋、先生が帰るって」
「ああ、そう」そう言うとお袋は食事の準備の手を休め、さっと手を洗い玄関に向かった。
「先生、いつもご苦労様です。もう少ししたらお夕飯の用意が出来ますから、良かったら食べてって下さいな」
「いえ、私も家で用意してきているもので」
「先生、遠慮しないで食べていけば?」
「でも」
「いいじゃん、先生。食べていってよ」
「そんな、いいんですか?」
「どうぞ、遠慮なさらずに、どうぞ」
「それじゃ、お言葉に甘えてご馳走になります」
「OK、お袋、あとどれくらいで用意出来る?」
「10分か15分くらいよ」
「ああ、私、手伝います」
「いえ、先生、リビングでくつろいでいてくださいな」
「それじゃ、さっきのインターネットでちょっと調べてみましょうか?」
「ちょっと2階に行って来ます」
「あ、一也君、先生も行っていいかな?」
「ええ、もちろんいいですよ。一緒に見てもらった方が説明する手間が省けますから」
「それじゃぁ、お袋、上でパソコンやってるから出来たら呼んでよ」
「先生、行こ」
 俺と紀子は2階の俺の部屋に上って行った。
 PCの電源を入れブラウザーを立ち上げた。みんなはヤフーとかで検索をするのが多いが、最近気に入っているサイトがグーグルだった。
「先生、検索でまず開くのは?」
「ヤフーじゃない?」
「いや僕も最近お気に入りのサイトがあって、グーグルって言って、このグーグルってキーワードの更新が頻繁で結構深い情報も検索にひっかかるから気に入っているんだ」
「へー、面白い名前ね」
「うん、変な名前だけど結構使えるんですよ」
 僕はそううんちくを話しながらテレビ電話について調べていった。
「あ、なるほどね。メッセンジャーを使えばいいのか。なるほどソフトもとりあえずならフリーもあるし、カメラとインカムは2、3万円って所か。秋葉で買えばもっと安いな」
「へー、ちゃんと絵まで載せて解説している所もあるのね。パソコンにカメラと音声を載せて送るんだ」
 紀子も横から画面を見て納得している。
「ま、原理はそうだよね。後はそのハードがこれ」インターネットで拾った画像や、URL、解説文などを次々にEXCELに貼り付けていった。
「こうしておけば一々また同じ内容を検索しないで済むし、URLがあるからまた詳しく調べたいときなんかも使えるでしょ」
「なるほどね。一也君、頭いい」
「後は、これを圧縮してメールに貼り付けて送信っと、これで先生のメールに送ったから、後は大学で印刷して見せればOKでしょう」
「さすが、一也君。たったこんだけの時間で一通り調べちゃうんだから」
「いや、それほどでも」
「一也、出来たわよ。先生もどうぞ」
 お袋の呼ぶ声が聞こえた。
「はーい」俺は返事をすると、先生と一緒に下に下りていった。
 夕飯は世間話と学校の成績の話で盛り上がるって程ではなかったが、それなりに楽しかった。
 食事が終わりしばらくして紀子は言った。
「すっかりお邪魔しちゃいました。お夕飯まで頂いて、そろそろ帰ります」
「あらやだ、もうこんな時間。すっかり遅くなったわね。一也、先生を駅までお送りしなさい」
「うん、そうだね。先生、送っていくよ」
「いえ、大丈夫です。ご心配なさらずに」
「一也、送ってきなさい」
「先生、遠慮しないで、お袋もああ言ってるし、送らないと僕がお袋にお小言言われるから」
「そう、悪いわね。一也君」
「いえ、それじゃ先生、行きましょう」
「ああ、じゃぁ、ご馳走様でした。おいしかったです」
 玄関で靴を履き、「お邪魔しました。お夕飯まで頂いて、ありがとうございました。失礼します」
「じゃぁ、先生を駅まで送ってくる。いってきます」
「気をつけて、いってらっしゃい。先生もお気をつけてお帰り下さい」
 俺たちは駅に向かった。
「それじゃ、先生、さようなら」
「ありがとう、一也君。気をつけて帰ってね」
「先生も、それじゃ」
 俺は駅の改札で先生と別れた。

「紀子、どうだった」
「一也君、ちゃんと涼子に返事出したって、涼子あなたちゃんとメール確認した?」
「ああ、あれっきり忙しくって」
「ちゃんと見なきゃ。話はそれからでしょ」
「ごめん。今日の午後は空いてる?紀子」
「空いてるわよ」
「それじゃ、ミマス屋、行こう」
「ああ、こないだのあんみつ、忘れてなかったな。お主」
「もちろん、忘れてなんかなかったわよ」
「オッケー、今日授業が終わったら」「ミマス屋へGO!」
「了解。で、今日、パティ見た?」紀子は涼子に尋ねた。
「いえ、まだ見てないわね。そのうち現れるよ。どうしたの?」
「一也君にこないだの件、調べてもらってその資料持ってきたんだけど」
「ちょうどいいわ。私もメール確認があるから今からPC教室に行きましょう」
「そうね。講義までちょっと時間が有るし、パティの資料もプリントアウトして渡せばいいか」
 そう言うと二人はパソコンルームへと向かった。
「えーと、あ、来てる、来てる。確かに出したその日の夜に返事が届いてたわ」
「私の方も受け取って、これを印刷っと」
 遠くの方でレーザープリンタの印刷音が聞こえた。
「出た、出た」紀子はプリンタに近づき、印刷が終わるのを待った。
「えーっと、全部出てるわね」
 紀子はプリントアウトした紙を確認すると自分のPCに戻った。そしてPCを操作すると電源を落とした。
 一方涼子は、メールで一也に質問を出していた。
「ありがとうございました。後は何をすればいいんですか?」
「ってちょっと涼子」紀子は涼子の文面を覗いて声を出した。
「ちょっと涼子、それ意味わかんないし、第一、失礼でしょ」
「何よ、メール勝手に除かないでよ」
「覗いたのは謝るけど、涼子のメール見て私だったら、『は、何?』って思っちゃう」
「でもどうすればいいのかわかんないし」
「だったら、『工事日までの間、することや準備しておいた方がよいと言う事がございましたら、お教え願いますか?』とか何とか書きようがあるでしょう」
「ああ、そうだわよね。さすが、紀子」
 涼子は、メールの文面を紀子が言っているように修正した。
 紀子は呆れ顔でその様子を見ていた。
「はぁ、疲れた」紀子はぽつっと呟いた。

 結局その日はパティに会えなかった。
 授業が終わってミマス屋に着いた。
「あんみつ、2つお願いします」
 涼子は注文した。
「で、パティに言われてた奴ってちょっと見せてよ」
「いいわよ。これ、えー、これだけもあるの。これ一也君ひとりで調べたの。そうよ私横で見てたもん。すごいわよ。一也君、それを15分くらいでちゃーっと調べて、大体分かったって」
「ふーん、何々、テレビ電話になるの?」「そうなの、これってパティにぴったりじゃない。だってアメリカの実家に帰るのって大変だけどこれだったら姿を見ながら会話できるでしょう。電話より断然いいわよ」
「そうよね。固定の料金だとただで掛けられるし。よし、決めたわ。これする」
「え、涼子、これはパティの為にやるからあなた関係ないじゃない」
「まぁ、そうだけど、一也君もテストする必要あるっていってるんでしょ。だったら近くに実験する人が必要でしょう。だって一人じゃ会話できないじゃん」
「ええ、そうだけど。じゃぁ、一也君に言っといて、私もテレビ電話やりたいって言ってたって」
「はぁ、わかったわよ。言っとくわよ。でも、うまくいくって限らないわよ。一也君も実際にやってみないと分からないって言ってたから」
「OK、それでもいいわ」
「おまちどうさまあんみつです。以上でご注文の方おそろいですか?」店員があんみつを持ってきて伝票をテーブルに置いた。
「さ、食べよ」紀子は釈然としない様子だったが、涼子にごまかされたようにうやむやになった。
「ま、いいか一也君に聞いてもて一也君が良いって言ったらOKだし、駄目っていったらその時はその時」紀子は心の中でそう考えていた。

 翌日、紀子はようやくパティに会えた。
「パティ、ハーイ」「ハーイ、ノリコ」
「これ、頼まれていたもの、一也君に言ったら調べてくれたの」
「オー、サンキュー。バットディフィカルト漢字キャラクターズ」
 ああ、一也君調べてくれたけど彼女難しい漢字とか読めないんだった。
「仕方ない、説明するわ。OK、パティ、アイ トランスファー ジーズ 漢字キャラクターズ」
「オー、サンキュー、ノリコ」
「OK、パティ。アト ファースト、ジェア ミーンズ アー イントロダクション オブ インターネット TV フォーン」
 紀子は、そこに書かれている事を説明していった。
 一通りの説明が終わってパティが言った。
「ソー、ヒー ニーズ サム テスト フォー TV フォーン」
「シュアー。ソー イフ ゼア テスト ワズ パスド ユー キャン ユーズ TV フォーン」
「アンド、一也セッド。イフ ユー ウオント モア ディテール アバウト TV フォーン、ヒー ウイル インストラクト アバウト イット」「リアリィー?」
「オブコース」
「サンキュー、ノリコ。アンド ミスターカズ」
「そー、アイ アスク ツー ヒム。フェン インストラクト ツー ユー。OK?」
「OK、OK、ノープロブレム。アイム ルッキング フォーワード ツー インストラクト TV フォーン」
「OK、BYE」「シー ユー」

 家庭教師の日、紀子は一也の部屋に来ていた。
「それでね、一也君、パティに話したら是非説明して欲しいって。後、涼子も気に入ったらしくTV電話やりたいって」
「へー涼子さんが、いいですよ。でもうまくいくかどうか実験してからですがね」
「それがね、一也君、涼子、その実験で使いたいって。つまり実験するのに機械が2台必要でしょう。それでそのテストの時からやるって」
「うーん、まだうまくいくって決まっていないのに、涼子さん、それって分かってますよね?」
「うん、私も言ったのよ。うまくいくかどうか分からないって、そしたら、テストするのに2台必要でしょうって」
「まぁ、先生、好意的に考えて僕達の実験に協力してくれるって事ですよ。」
「そうね。涼子がテストに協力してくれるって事ね」
「そうですって」紀子は安易に俺に同意した。
「それで、他には何か言っていましたか?」「そうね。後は、特に無いわ。それじゃ、お勉強を始めましょう」
「そうですね。先生。『紀子は僕の催眠のとりこ』」
 紀子は、いつもの様に催眠状態になり、眼を閉じそのままの姿勢で、「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言った。
「紀子、テストに使うカメラとインカムを買ってこないといけないね。涼子にも協力してもらわないと」
「はい、ご主人様、どのようにいたしましょうか?」
「涼子を今度の日曜日に連れ出して秋葉に買い物をしに行こう。その前に話したいことがあるから涼子を紀子のマンションに呼び出して。
 この事は、催眠が解けても覚えておくこと」
「はい、ご主人様。日曜日に涼子を私のマンションに呼び出します。この事は催眠から覚めても覚えておきます」
「時間は、10時でどうだ?」
「はい、10時に涼子を私のマンションに呼び出します」
「この事も催眠から覚めても覚えておくんだよ。いいね」
「はい、ご主人様。日曜日の10時に涼子を私のマンションに呼び出します。この事も催眠から覚めても覚えておきます」
「よろしい、紀子。日曜日は買い物が終わってからたっぷりとかわいがってあげるよ。うれしいかい?紀子」
「はい、ご主人様。紀子をかわいがってください。日曜日が楽しみです」
「それから、パティを呼び出せるかい?」
「はい、ご主人様。パティも日曜日でいいですか?」
「いや、パティは土曜日がいい。今度の土曜日に紀子のマンションに呼び出してくれ。時間はそうだな2時ごろがいいな」
「はい、分かりました、ご主人様。パティを今度の土曜日の2時に私のマンションに呼び出します」
「よし、この事は催眠から覚めても覚えておくんだよ」
「はい、ご主人様。この事は催眠から覚めても覚えておきます」
「それじゃぁ、土曜日の作戦を教えるよ。今からパティに催眠を掛ける手順を説明するよ。この事は、心の奥底に覚えていて普段は忘れていますが、必ずそうなります。無意識のうちに覚えていて僕の指示通りに行動します」
「はい、無意識のうちに覚えていて普段は忘れていますが、指示通りに行動します」
「パティを仲間にするのはうれしいよね」
「はい、ご主人様。ご主人様にご奉仕できるのは至上の喜びです。本当に幸せです」
 それから俺は土曜日の詳細を紀子に指示した。
 これで紀子が土曜日にパティをマンションまで誘い出せれば問題ないのだが。
 俺は、紀子に与えた暗示を確認し、ひとりほくそえんだ。

 次の日、紀子は学校の廊下でパティと会った。
「ハイ、パティ」
「ハイ、ノリコ」
「インターネットTV電話の件だけれども、今度の土曜日予定空いてる?」
「土曜日、OKだよ。フリーだよ」
「それじゃ、詳しい話や説明を一也君がしてくれるんで土曜日の2時に私のマンションに来てよ」
「一也君も来てくれるって言ってたから」
「OK、じゃぁ、土曜日のPM2:00に、シーユー」
「シーユー、バイバーイ」
 二人は土曜日の約束をしそのまま別れた。

 土曜日、一也は早起きをした。と、言っても何時もとあまり変わらない時間だったが、休みの日となるとついつい寝坊をして10時、11時は当たり前と言う一也にとっては珍しいことだった。
 パジャマのままでしばらくベッドに腰をかけていたが、おもむろにメモを取り出し明日購入するもののリストを見直した。
 それから1階に下りていった。
 お袋と親父はもう朝食を取り終えようとしていた。
「あら、めずらしい。おはよう一也、もう朝ご飯食べる?」
「おはよう。うん、食べる」
「父さんと母さんは今日お店忙しいからもう少ししたら出かけるから、洗い物お願いね」
「うん、了解」
「はい、どうぞ」
「ありがとう。いただきます」
「お父さん、そろそろ時間ですよ」
「ああ、そうだな、じゃぁ、母さん行くか」
「うん行ってらっしゃい。気をつけて」
「いってきます」
 親父とお袋はあわただしく出かけていった。
 俺は朝食を済ませ洗い物を片付け2階の自分の部屋に戻った。
 紀子もそろそろ起きている頃だろう。俺は紀子の携帯に電話を掛けた。
「もしもし、一也です。先生、今大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。私はマンションで一人でいます」
「何をしてたんです?」
「はい、掃除と洗濯をしていました」
「そうですか、今日午前中の予定は?」
「はい、特にありません」
「それじゃぁ、後1時間くらいで行くから。良いですか?」
「はい、問題ありません。お待ちしています」
 俺は出かける用意をして紀子のマンションに向かった。

 俺はマンションの近くで電話を掛けた。
「もしもし、一也です。先生、今大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。今は、掃除がやっと終わって洗濯物を干そうかと思っている所です」
「僕も、先生の家の近くまで来ていて、後、50mでマンションの入り口です」
「ああ、じゃぁ、今入り口を開けますから」
 俺は電話をしながらマンションの入り口に着いた。紀子はモニタで俺の姿を確認しドアを開けた。
「ありがとう。開いたよ」「今からエレベータに乗るからこのまま電話を切らずにいてくださいね」
「はい、分かりました」
「先生、一也です。玄関を開けて下さい」
「はい、いらっしゃいませ。ご主人様」
 紀子は扉を開けると玄関先で指をついて俺を迎えた。
 俺は、玄関の鍵を閉めドアロックをした。
「電話を切るけどお前は催眠状態のままだ。いいな紀子」
「はい、ご主人様。紀子はご主人様の奴隷のままでいます」
 俺は携帯を切り紀子に言った。「紀子、ご奉仕の時間だよ。準備は出来ているかい?」
「はい、ご主人様」
 俺は紀子で昼まで楽しんだ。昼食を済ませ、片付けが終わると紀子がリビングにやってきた。
「ご主人様、お待たせいたしました」
「うん、紀子、この前の段取りのことを確認しよう」
「はい、ご主人様。まず今回、このソフトを使って催眠誘導を行います」
 そう言いながらソフトを見せた。単純なソフトで画面にいろいろな数字や文字が表示したり、消えたりするだけのソフトで特にこれと言った技術ではない。ただ単純にランダムに表示される文字を読もうとし、目を集中して疲れさせるのが目的だけのソフトである。
 その他、凝視法として紀子の時に使ったペンダントも用意している。
「そう、初期誘導は、紀子がやるんだ。紀子は催眠に掛かるのが大好きだから、掛けるのも上手だよ。気持ち良くなる方法を良く知っている。大丈夫。僕も付いてるよ」
「はい、ご主人様。初期誘導は紀子がやります。ご主人様に催眠を掛けていただいているので掛けられます。大丈夫です。ご主人様も付いていただけるので安心です」
「そう、自信を持って、紀子なら必ず出来る」
「はい、ご主人様。私はパティに催眠をかけます。そして絶対に成功します」
「そうだよ。自信を持ってやれば大丈夫だ。さぁ、練習だ。紀子今からまた君に催眠を掛ける。僕のお手本を催眠に掛かりながら覚えるんだ。さぁ、練習するよ。3つ数を数えると君は深い催眠のまま目が覚めます。そして、僕の催眠誘導に従って手順を覚えるんだ。そしてそれは日本語と同時に英語でも覚えることができる。英語での催眠誘導もできるようになる。今から3つ数を数えます。そうすると今言ったことが出来るようになります。1つ、2つ、3つ、はい」
「それじゃ、紀子さん。今からこの画面を見てください。これは集中力を高められるソフトです。今からこの画面に出てくる文字をよく見て読み上げてください。それじゃ、スタートします」
 ソフトをスタートし2、3分はそのまま何も言わずに続けていたが、その後、目の瞬きが多くなった頃合を見て暗示を与えていった。
「見ていると段々瞼が重くなって来て目が閉じてしまいます。段々、瞼が重くなる。重くなる」
 やがて紀子は完全に瞼を閉じてしまった。
「今から3つ数を数えると目が覚めますが、催眠状態のままです。1つ、2つ、3つ、はい」
「さぁ、紀子、気持ち良かっただろう」「はい、ご主人様。気持ち良かったです」
「今の中で画面を見ているときに目が疲れて来て瞬きが多くなったのが分かるね」
「はい、なんとなく分かります、ご主人様」
「それで、瞬きが多くなった時から僕が喋り出したことを思い出してごらん。そのタイミングで暗示を与えるんだ。僕が紀子の肩をそっと触るからその合図で暗示を与えればいい」
「はい、ご主人様。紀子はご主人様の合図で暗示を与えます」
「そうだ、じゃぁもう一度、同じように催眠誘導を行うから、今言ったことに注意しながらもう一度やるよ」
「はい、ご主人様。よろしくお願いします」
「さぁ、始めるよ。紀子さん、今からこの画面を見てください。これは集中力を高められるソフトです。今からこの画面に出てくる文字をよく見て読み上げてください。それじゃ、スタートします」
 俺は再び催眠誘導を行った。
 今度は、さっきより30秒ほど早く瞬きが起こったので早めに暗示を与えた。
「今から3つ数を数えると目が覚めますが、催眠状態のままです。1つ、2つ、3つ、はい」
「さぁ、紀子、今のタイミング大体分かったか?」「はい、ご主人様。分かりました」
「今は、2回目だったんで瞬きのタイミングが少し早かったが、これは相手の様子を見ながらでないと分からない。このタイミングが難しいので気をつけるようにするんだよ。どちらにせよ、タイミングは合図するから」
「はい、分かりました、ご主人様」
「今度は、ペンダントによる凝視法の確認だ」
「はい、分かりました、ご主人様」
「これもさっきと同じようにタイミングが重要だ。でも、さっきのソフトが駄目だったときの代替手段だから、どっちも使うんじゃないよ。まずはソフト、それが駄目だったらこのペンダントだ」
「ペンダントは誘導がソフトに比べてちょっと難しいので、出来れば使いたくないが万が一のことも有るからちゃんと覚えておくんだ。いいね」「はい、ご主人様。しっかり覚えますのでよろしくお願いします」
「じゃぁ、始めるよ。このペンダントを持って目の前に持っていきます。そうです。そしてそのペンダントの先をしっかり見つめて、そうしっかり見つめます。集中して。ここでペンダントの先を見つめるようにさせるんだよ」
「はい、ご主人様。ペンダントの先に集中するように持っていきます」
「OKだ、紀子。そうするとペンダントの先が揺れてくる。だんだん揺れてくる。不思議だ。見つめれば見つめるほど揺れがどんどん大きくなる。大きくなる。こう暗示を与えつづけると不思議なことに本当にペンダントが揺れてくるんだ。不思議だろう。でも揺れる。揺れる」
「揺れてきたら、紀子この様に暗示を与えてペンダントの動きと暗示を同期させるんだ」
「はい、ご主人様。ペンダントの動きと暗示を同期させます」
「そうだ。そして頃合を見計らって、続いての暗示を与える。こうだ。さぁ、ペンダントが揺れるのを見ていると何故かあなたの体も揺れてきます。ほら少しずつ揺れてきた。揺れる。ペンダントと同じように揺れる」
「ペンダントの動きと同時に体が揺れるという暗示を与えて、揺れを大きくし、催眠の深度を深くしていく」
「いいか、紀子。分かったか?」
「はい、ご主人様。ペンダントの動きと同期させて体が揺れると暗示を与えて、催眠深度を深くしていきます」
「そうだ。そして催眠深度を深くする際に、横揺れ、縦揺れ、回転と体を弛緩させるように持って行くんだ。今からやるから良く覚えておきなさい」
「はい、ご主人様。横揺れ、縦揺れ、回転で体を弛緩させます。今からご主人様が、やられることを良く覚えておきます」
「よし、じゃぁ、いくよ。体の揺れがどんどん小さくなっていくと同時にペンダントの揺れもどんどん小さくなっていきますが、今度はペンダントが前後に揺れてくる。前、後ろ、前、後ろ。そうするとペンダントに合わせてあなたの体も揺れてくる。前、後ろ、前、後ろ。段々大きく揺れる。前、後ろ、前、後ろ。体が揺れる度に何だかすごく安らいだ気持ちになってくる。すごく気持ちいい。揺れる度に気持ち良さが広がってくる。前、後ろ、前、後ろ。揺れる。揺れる。こんどは、さっきの横揺れが加わって体がぐるぐる回ってしまいますよ。ぐるぐる回る。回る。体が回れば回るほど気持ち良さが広がっていきます。ものすごくいい気持ちです。それと同時に頭の中が真っ白になっていきます。何も考えられない、ただこの気持ちいい感じに使っていましょう。さぁ、私が3つ数を数えます。そうするとあなたの体は自然と止まり深い所に落ちていきます。でも心配ありません。ものすごく気持ちがいい。安心して深い眠りに落ちていきましょう。1つ、2つ、3つ、はい」
「さぁ、あなたは今、深い催眠状態です。3つ数を数えると目が覚めます。ただし、催眠状態のままです。1つ、2つ、3つ、はい」
「どうだった?紀子。今のタイミングとかわかったか?」
「すみません、ご主人様。最後の方は何も考えられなくて良く分からなかったです」
「そうだな、頭の中を真っ白にする暗示を入れているから何も考えられなくなるのは仕方がないな。でも、テンポやタイミングとかは僕が合図してあげるから問題ないよ。最悪は僕が施術して紀子が通訳してくれてもいいから」
「はい、ご主人様。よろしくお願いいたします」
「よし、とりあえずOKだ。後は本番でしっかりね。大丈夫、僕がついてるから」
「はい、ご主人様。ご主人様が付いててくださるので安心です」
 俺は時計に目をやった。時計は2時10分前を指していた。
「そろそろ来るな。所でパティは紀子のマンションの場所って知っているのか?」
「いいえ、ご主人様。知らないので駅に着いたら迎えに行くって連絡してもらえる手はずになっています」
「そうか、電話が掛かってくるのか。それから出かけてそれじゃぁ、一緒に迎えに行くか」
「はい、ご主人様。一緒にいきましょう」
 それからしばらくしてパティから連絡が入った。駅の改札に着いたので迎えにきて欲しいと。
「それじゃ、10分ぐらいで着くから改札の出た所で待っててね。じゃぁ、後でバーイ」
「それじゃぁ、ご主人様行きましょう」
「OK。行こう」
 俺と紀子は一緒にマンションを出てパティを迎えに駅まで向かった。

 作者注記
 本作は、公開当時(書き始めた頃)は、ちょうどADSLが一般的に成った頃で、現在の様に光が当たり前の時代ではありませんでした。
 物語の時間軸が当時は一致しておりましたが、作者の怠慢で物語りの時間と現実社会の進んだ時間がずれてしまった為、この様に違和感が生じました。現在より少し前の時代設定という事でご了承願います。
 後、ミカカ(古い)も東と西に分かれていませんでした。

< 続く >

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