幸せとは

 近頃私は度々幸せについて考える事がある。
 どんな時人間は幸せと言えるのだろうか?
 不幸があるから幸せが分かるのだろうか?
 出来れば一生幸福でいたい。
 そんな事は可能だろうか?
 可能でなければせめて今の幸せを永遠に・・・・・・・・・

 本当の愛とは?
 ただ愛していると言うだけで本当の愛だろうか?
 彼の心はこんな時も他にあるのではないだろうか?
 でも彼の優しい心が体温と共に私の全身を駆けめぐる。
 その温もりが私の疑問と傷を癒してくれる。
 以前と変わらぬ優しい笑顔!優しい言葉!
 そう彼も傷ついてるはずなのに・・・・・・
 
 出来れば時間を戻したい。
 ほんの一週間でいいから・・・・・・・・

 あの日私はクリスマスで賑わう繁華街を一人歩いていた。目的はたぶん彼へのプレゼントを買う為だったと思うんだけど実はよく憶えていない。
 きっとあの日の事はすべて忘れたいんだと思う・・・・・・・・・

「これで全部よね!え~と」

 その時急に私は交差点にあるアナログの大きな時計が気になった。なぜそうなったのか実は自分自身でも分からない。
 時計の針はたしか三時十分・・・・・・いや二十分?
 まるで記憶に膜がはりついてるように思い出せそうで思い出せない。そんなもどかしさが私を襲う。
 とにかく私の視線を釘付けにした時計。その時計の音だけがこの雑踏の中私の耳に入りこんできた。

チッ!チッ!チッ!チッ!チッ!・・・・・・・・・。

 単調な音は私の身体に入り込むと一方で安らぎを与えてくれ他方であらゆる思考を奪い去っていった。
 ただはっきりしない意識の中で時計の針を追う事だけはやめられなかった。

「三時十分、十五分・・・・・・」

 不思議な事に長針が秒針なみのスピードで移行し始めたがなぜか一向に気にならなかった。

「針が1を指す。針が2を指す。3を指す。4を指す。5を・・・・・・・・・・・・・・」

 賑やかな街のはずなのになぜか私には長針の事しか考えられなくなっていました。私と時計だけの単調な世界。静かに数字が増えていく1,2.3と・・・・・・・。

(後三つで身体から完全に力が抜けてとっても気持ち良くなれるんだわ)

 なぜそんな事を思ったのか今でも分かりません。そして時計というのは12まで数字があるはずなのになぜ10という数字に納得してたのだろう?

「針が8を指す。9・・・・・・・10」

 手、足、肩、お腹、私の全身からあらゆる力が抜けていった。しかしその脱力感は本当に気持ちの良いものだった。全てをゆだねたいような・・・・・・・
 何にゆだねる?・・・・・・・そんな事は分からない。ただ全てをゆだねたかったのです。

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 それからどれくらいたったのかしら?
 本当はごく短い時間だったと思うのですが心地よい眠気と共に瞼がまるで誰かの言いなりになっているかのように重くなりこのまま開けておく事は不可能になりました。
 そして私の目の前から光りが消えた・・・・・・・・・・。

(とっても気持ち良い。時間だけがゆっくり過ぎていくようだわ)

 おかしい事は自分でも分かっています。でもあの時まるで大きな何かに守られているようで私はそれに身をまかせていました。

「由美ちゃんの番だよ」

 不意に目の前に現れた少女はたしか小学校の卒業と同時に広島に引っ越していった知美ちゃんて名前の子だったと思う。
 特別仲が良かったわけではないが席が隣同士だったのでよく前夜見たテレビの事などたわいない話しをしたもんだった。
 この光景もまさにそんな一場面だったんではないでしょうか?
 すでに記憶の彼方に消えていったはずのものが今ひとつひとつ浮かび上がってきた。

(昔飼ってた猫、昔泊まった旅館、優しかったおばちゃん、毎週見てたテレビ、歌、映画・・・・・・・・)

 まるで今まで貯めていた記憶が一気に暴走しだしたよう。
 そして次の瞬間私は何か大きな力によって全くの別世界に連れて行かれたのでした。
 そこは今まで見た事のないようなとてつもなく大きな部屋。 17世紀のヨーロッパを思わせるような洋室。 大きな鏡台とソファー。遙か彼方にかすかに見える高い吹き抜けの天井。
 窓の無い部屋。しかしどこから入ってきたのか快適な風がかすかに頬をかすめていた。凄く寝心地の良いベッド。静かな音楽。

(とっても落ち着く。凄く落ち着く・・・・・・・・)

 当然そんな高い天井が実際あるわけないし窓の無い部屋なんて不自然なのは分かっています。
 でもその時はなんの疑問も持たずただそこに身をまかしている自分が居ました。

(身をまかしていると心が落ち着く。心落ち着ける事はとっても気持ちいい。いつまでもこうしていたい。)

 寝心地のいいベッドに仰向けに寝て果てしなく高い天井を意味もなく見上げていると私の中から思考というものが少しづつ消えていくのが分かりました。
 それからしばらくすると少しずつ身体が重さにまかせベッドの中へ中へと沈み込んでいったのですが不思議な事にそれすらもおかしいとは思いませんでした。

(身体が沈でいく。深く暗い所にしずんでいく。身体がどんどん深いところに沈んでいく・・・・・・・・)

 それと同時に私の身体から全ての感覚が消え失せ暗闇の中一人たたずんでいました。
 暗闇が怖く無いかって?
 それは怖いに決まっています。でもその時は私の中に全く怖さなんか無かったのです。安らぎだけが身体中を覆っていました。
 その原因の一つはあの声にあったかもしれません。時々私の頭の中でこだまする落ち着きがありそれでいて逆らいがたい力をもったあの声。

(そうね私は安らぎがほしい。満ち足りた気持ちになりたい。この声を聞くと安らぐ。この声を聞くと幸せな気分になれる。絶対この声で語りかけてくれる人は私を幸福にしてくれる。だから私はその人についていくべきだ。そうする事が一番ベストな方法である事を私は知っている。もうすぐ私の目が開く。するとその人が私に話しかけてくれる。その人が私が行くべきところを示してくれる)

 声はまるで私の事を全て理解してくれてるかのように決して指示する事なく無理なく私をエスコートしていました。
 やがて暗闇に一筋の光が差し瞬く間にその光は大きくなり暗闇をかき消していき私の瞳に光りが戻ったのです。

(あの声はどこ?あの人はどこに?)

 私が周囲をきょろきょろ見回していると隣に立っていた黒のサングラスをかけていた男が話しかけてきました。

「くっくっくっ!では頂くとするか。ついてきな」

 それは身体の芯まで寒くする不快な笑い声でその人が危険である事は十分に分かっています。でもその人についていきたいという欲求にはどうしても勝てませんでした。

(すごく安らぐ。どこまでもついて行く)

 やがて到着した所は裏通りにあるホテル街でした。いくつものネオンを見つめているうちにまた私の目から光りが消えていった・・・・・・

(私はここまで歩いたので足腰が疲れている。これ以上歩く事は出来ない。ホテルに入ると大きくて柔らかいベッドがある。ベッドは私から疲れを癒してくれる。だからホテルに入るのは当然だ。でもこの人はまだ歩くつもりだ。それを私の我が儘でホテルに誘うのだから心をこめて説得しなければ)

 再び私の目に光りが宿った。

「突然ですいませんがどうしてもあなたとホテルで休みたいんです。お願い出来ます」 

「嫌だね俺はまだまだ歩きたいんだ。休みたかったら一人で休みな」

 右の眉だけをつり上がて本当に冷たい視線でした。しかし私はその時どうしても離れる事は出来なかったのです。
 彼とはどこまでもついて行きたい。しかしどうしてももう歩く事は出来ない。私に残されたのは必死の懇願だけでした。

「ごめんなさい。我が儘なのは分かっているんですがあなたと一緒じゃなきゃ駄目なんです。お願いします」

「今日会ったばかりの男をいきなりホテルに連れ込むのかよ。とんでもない淫乱女だな」

「違います。本当に私もう一歩も歩けないんです。いやらしい事なんか考えていません。お願いですから一緒に休んでください」

「おいおい!ラブホテルに誘っておいていやらし事は考えてないだって。嘘をつくにほどがあるな。つき合ってらんねえや!じゃあな」

「待ってください。お願いですから待ってください。こんな我が儘な女軽蔑されるのは当然ですがどうか私を助けてください」

「でもな俺金ねえぞ」

「それは迷惑をおかけしている私が当然お払いします。一生のお願いですから私とホテルに入ってください」

「そこまで言われると俺も人がいいから嫌とは言えないけどだいたいあんたの名前も知らないんだぜ」

「あっ!すいません。言い忘れまして大石由美と言います」

「淫乱な由美ちゃんか。おめえにぴったりな名前だな」

 私には反論する気持ちはありませんでした。ここで否定してまたこの人の気持ちが変わるのが怖かったからです。

「ええ!早く入りましょ」

 フロントで鍵をもらい彼と部屋に入った時私の心は充実感に満ちあふれていました。

(ああ助かったわ。彼と一緒にホテルに入れたんだわ。後はベッドで疲れを癒すだけ)

 私の前には鏡ばりの部屋に大きなベッドが広がっていまして迷う事なく飛び込みました。
 横になった私から疲れと共に身体全体の力が抜けていき再び闇の世界に引き込まれていったのです。

(深く。深く。どこまでも深く)

 そして再びあの声が私に語りかけてきたのです。

(ええ!力が抜けてとっても気持ち良い。私は気持ち良い事が好き。SEXが気持ち良い事はよくよく知っているわ。当然私はSEXが大好き。このホテルに彼を誘ったのは当然SEXしてもらう為よ。今日の私はさかりがついて我慢出来ないの。だから淫乱な由美なんて言われるとますます感度が上がるわ)

 目を覚ますと私は彼に飛びつき夢中で抱きついていました。

「お願い!私を抱いて。どうしてもどうしてもあなたとSEXしたいの。身体が火照ってしょうがないの。SEXして!SEXして!お願いSEXして~」

「くっくっくっ!やっぱりそれが目的じゃねえか。淫乱な由美ちゃんよ」

 その時『淫乱な由美』と言う言葉に反応するかのように私の下半身は更に火がついたように熱くなりSEXへの欲求がとてつもなく大きなものになっていました。

「ああっ!おおお願い早く!早くして~」

「『して』だと!俺に指図するのかよ」

「すすいません。お願いですから淫乱な私にSEXしてください」

「う~ん!どうしようかな。よし!俺が気にいったらやってやるよ」

「えっ?どうすれば」

「決まってんじゃねか。いつも一人でやってる事をして俺様に品定めしてもらうんだろ」

 まさかという気持ちでいっぱいになりましたがまたあの声が私をある方向へと導いていきました。

(私がオナニーするのはそれが気持ち良い事を知っているからよ。当然私はオナニーが大好き。だから彼の前でオナニーするのは当然の事だわ。彼に見られてオナニーするのはとっても気持ち良い。はずかしい気持ちをもちながらも我慢出来ないのは当然よ)

 私は彼に見せつけるように一枚一枚出来る限り淫靡に脱いでいき股を大きくひらげるとクリストリスとお○○こを愛撫し始めた。

ぴちゃ!ぴちゃ!ぴちゃ!くちゅ!くちゅ!

「見てください!私のおま○こまちきれなくてびちょびちょです。ああん!とってもとっても気持ち良い」

(恥ずかしい!もう嫌!でも気持ち良くてやめられない)

「綺麗な顔しててもあそこは汚ね~な。淫乱な由美ちゃんよ」

 私の全身に気絶するほどの快感という名の電気が走りました。

「ああああああああああ!いい!いい!凄く気持ち良い!もっともっと私のやらしいところを見てください」

 死にそうなほどの恥ずかしさも圧倒的な快感の前にはなす術もありませんでした。

「くっくっくっ!凄い早さでおま○こ掻き回しやがって。よっぽどオナニーが好きなんだな」

(嫌!言わないで)

「こんな大量の汁見た事ないぜ。男の前でオナニーするなんて変態だな」

(嫌!嫌!嫌!お願いだからもう許して)

「おまけに誘惑するようなその目はなんだ!本当にどうしようもないやつだな淫乱な由美ちゃんよ」

「あ~ん!いっちゃうよ!いっちゃうよ!もう駄目~」

びくびくびく!びくっ!びくっ!びくっ!

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・」

 今から思うとあの耐え難い恥ずかしさも私の身体の中では快感に変化していたかもしれません。
 それは今までの自慰行為では経験した事のない快感でした。
 手足の先まで快感が行き渡り身体がのけぞり容赦なく狂わんばかりの快感が襲ってきた時確かに狂喜している私がそこにいました。

「くっくっくっ!いきやがったか。さ~てどうしようか?SEXやってやるべきかどうか」

 彼は半失神状態の私の耳元で何かつぶやき始めました。

(ええ!凄く気持ち良かったわ。彼に見つめられてオナニーするといつもとは比較出来ないくらい気持ち良かった。彼にSEXしてもらうともっと気持ち良くなれるのは当然ね。私は気持ち良い事が大好き。だから彼にどうしてもSEXをしてもらいたい。SEXしてもらうと淫乱な気持ちでいっぱいになるの。必ずそうなるの)

 自慰行為により果てていた私がようやく目を覚ますと彼は傍らでにっこり微笑んでいました。

「くっくっくっ!今日会った男の目の前でオナニーして失神するなんてとんでもない淫乱な女だな」

「そんな事言わないでください。いつもはこんな事絶対しないんです」

「そうかい!今日は特別か。それじゃなんか悪いから俺帰るわ」

「ま、待ってください」

 私に選択の余地はありませんでした。

「そう、そうです・・・・・・・・・」

「んん?」

「そのとおりです。私はとんでもない淫乱女です」

「やっぱりな。お前は凄く淫乱な女なんだ。淫乱!淫乱!淫乱!淫乱!淫乱!淫乱な由美」

 その時正常な思考回路は完全に崩壊してしまいただひたすら彼に抱きつき口づけを交わし舌を絡ませ始めました。

「んふ!んふ!・・・ちゅるちゅる・・あはん!んん・・ちろちろ」

 普通キスであれだけ感じる事はないでしょう。キスであそこまでいやらしい気持ちになる事もないでしょ。
 私の心臓は破裂寸前まで鼓動を打ち、膝に達するかのごとく愛液がしたたり落ち淫靡な気持ちは高まる一方でした。

「はふぅ!・・・・・・ああん!もっとください」

「しょうがねえ女だな。まっ!でも俺も頼まれると断れねえ性分だからよ特別に抱いてやるよ」

 その時の私は喜びで胸がはちきれそうになってました。今日の為に生きてきたんだと確信までもあったのです。
 彼は私に再びキスをすると左手で服を脱ぎ右手で私の髪を愛撫するのでした。
 もちろんそれで感じる事が出来たのは頭皮を刺激されているからなのですがその時は髪の毛一本一本の先までに神経が行き届いているかのようでした。

(凄く気持ち良い!頭の中が真っ白になっていくわ。私はやっぱりSEXが好きなんだわ。とっても淫乱な女なのよ)

 やがて彼は上半身のカッターシャツのボタンを全部外し下半身は何もつけていない姿になっていました。
 左手で私の頭を押さえつけ右手で胸を愛撫されると私の身体はますます火がついたように熱くなるのでした。

(ああん!焦らさないで。思い切り乳首つねって、嘗めて、歯をたてて、いじくりまくって~)

 その間も彼の舌は私の口の中で縦横無尽に動き回り続けていました。まるで身体の中まで侵入するかのごとく。

「はあぁ!とろけちゃいそう」

 次に彼はそのまま唇をうなじに移動させ二、三日は消えないだろう強いキスマークをしるしていきました。

「あはん!・・・あっあっあっ!・・・・・んん」

 私の胸、腕、脇腹、足などいたるところにまるで縄張りをはるかのようにしるしを残していきました。

ちゅうっ・・ぺちゃぺちゃ・・・・ちっちっ

 狂ったように私の胸を責め続ける彼!それに対して歓喜の声を上げている私!いつまでも執拗な彼の前戯は続きました。
 4回目の絶頂を迎えた時だったでしょうか再びあの声が私を導き始めたのです。

(そう今私は凄く気持ち良いSEXをしていてとっても幸せだわ。絶頂を迎える事はとっても気持ち良い。でも私ばかり何回も絶頂に達して彼にもうしわけないわ。だから次は彼の許しがないうちは絶対いってはいけないわ。私は淫乱だからとってもおちんちんが大好きよ。彼のおちんちんはとっても気持ち良い。だから凄く入れてほしいの。絶対入れてもらうわ)

「ねえ!お願い頂戴!頂戴」

「これ以上何がほしいんだ?はっきり言ってみな」

「お・・・ち・・・・ん・・・・」

「ん?全然聞こえないぞはっきり言えと言ったろ」

「あん!意地悪しないで」

 あの時私の中のどこかにり最後の一線に対する抵抗がありました。

「お前の言いたい事は分かってるがな」

「あぁん」

「どうせこれがほしんだろ淫乱な由美ちゃんよ」

 私の中で何かが弾け飛びました。

「ああん!そうよ気持ち良いおちんちん私の中に入れて~」

 私は夢中で彼のものを握りしめると強引に中に入れました。
 それは考えられないような快感でした。手足の先まで痺れるというのはあの事を言うのでしょうか。
 一回一回突かれる度に私の意識は遥か遠くに飛びそうになっていました。

「くつくっくっ!こんな乱れやがってお前はやっぱり淫乱な由美だ!今日から名前は淫乱な由美だ」

「あああああぁぁぁぁん!あっ!あっ!あっ!んん!んん!ああん」

 度重なる強烈な快感が襲ってきましたが私は彼への思いから絶頂を迎える事は出来ませんでした。
 すでに限界に達し震えが止まらなくなった私の身体は絶頂を迎える事が許されない事で今にも崩壊しようとしていました。

「あぁん!もう駄目!来て!来てお願い」

「淫乱な由美」

「ああん!子宮が壊れる~」

「淫乱な由美」

「あぐうっ!いくぅぅぅぅぅぅ」

「よしいきな!うっうっ」

「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 彼から発射されたものはまるで意志をもってるかのように私の子宮のみならず身体全体を支配しているかのようでした。

「なかなか良かったぜ淫乱な由美ちゃんよ。くっくっくっ」

 そして私の中で微かに残っていた意識というものが消えた・・・・・・・・。

 失神してからどれくらいの時間がたったのだろう。ホテルの従業人の通報で数人の警察官と両親が駆けつけてきたのを朦朧とする意識の中で私は他人事のように見ていた。
 しかし知らせを聞いて駆けつけてきた彼氏を見た時は私の中で堰き止められていた感情が一気に溢れだしました。
 私は何時間も彼の胸の中で泣くしかなかったのです。
 あれから一週間両親や友人の妙に優しい態度も私を苦しめるだけになっていますが救いは今私を抱きしめてくれている彼です。
 以前と変わらぬ態度で接してくれる彼が私の傷を癒してくれます。
 いやひょっとしたら一番傷ついてるのは彼かもしれません。
 だから私が完全に立ち直った時彼の傷を癒さなければならないでしょう。
 今でも時々考えます。あれは催眠術?・・・・いいえ!催眠術で出来ることはたかがしれてます。あれはもっと巨大な力をもった何かでした。
 でも一番大切な事はそんな事じゃありません。
 今私達は傷を負って再び歩きだしました。
 これからもつらい事悲しい事はあるでしょうが本当の幸せを二人で見つけていきます。

「あら?いつのまにか寝てたみたい。んん!今日も良い天気みたいよ」

「んん?もうこんな時間か。これじゃまた朝ご飯は抜きだな」

 彼が微笑みかける。

「身体のあっちこっちが痛~い」

「それは昨晩やりすぎたからだろう淫乱な由美ちゃんよ・・・・・くっくっくっ」

    幸せとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

< 終 >

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