髪射へび少女 第二話

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奈美「くくくく、くくくく」
良子「くくくく、くくくく」
きゃあーっ!
女学校のその教室の周辺が大パニックになっていた。周りの生徒たちは悲鳴をあげ続けた。
国語教師「もう、みんな逃げなさい」
女子生徒J「でも、奈美ちゃんが…」
女子生徒K「良子さんもどうなるんですか」
国語教師「あなたたちの友達思いの気持ちもわかるけど、いったん逃げておかないと、これ以上あの子たちの近くにい続けるとまただれかがつかまってあの子みたいになってしまうわ」
生物教師「そうよ。これ以上犠牲者がふえたらたいへんよ」
教師たちは、女子生徒たちをなだめながら階段のほうに誘導していた。
ただ、恐ろしい姿になった良子と奈美のふたりは、だれもほかにいなくなった教室の床に腹ばいになってしばらくはその場から離れず、つまりまだ別の者に対して攻撃をしようとはしていないようであった。
国語教師「いまのうちに、この教室の扉を閉めて開かないようにしておけばいいかしら」
生物教師「いえ、窓もあいているし、そっちから逃げ出すようなことが…」
ところが、そのまさかという事態が起こったのである。
良子「くくくく」
奈美「くくくく」
国語教師「きゃあー、ふたりが窓の外に…」
生物教師「たいへん、校庭でも体育の授業をやっているクラスがあるし…」
事実、校舎の壁をずるずるっとはって体操をしていたクラスの集団に向かってきたのである。
きゃーっ!
体育教師「みんな、あぶない。逃げて!」
気付いたのも早かったため、一目散に生徒たちは逃げはじめた。しかし、校庭のほぼ中央まではってきたふたりは急に動きを止めていた。どうやら、逃げ出した女子生徒たちの方向がばらばらに分かれたことで誰を狙おうかふたりとも迷っているようすであった。
女子生徒L「このままでもいられないわ。あのふたりをなんとかしないと」
女子生徒M「あっ、警察の車が来たわ」
騒ぎをききつけて当然、110番をしていた者がいたのであったが、警察の車のあとにはいささか見慣れないような車も入っていた。そして窓が開くとそのなかからはまるで戦車の大砲のようなものが現われていた。
女子生徒N「なに、また、あの車から出て来たのは」
すると、警察の車からマイクで拡声器を使った放送が行われた。
警察官「生徒のみなさん、校庭にいるのは危険です。プールの近くに立っている人はどちらかの校舎があるほうへすぐに走りなさい。いま、その方角に向かって大砲を発射します」
女子生徒O「大砲を、発射って、まさか、あの子たちを撃つの?」
女子生徒P「や、やだ、死んじゃったらどうするの?」
体育教師「とにかく、命が危ないのはあなたたちなのです。警察の方に言われたとおり、すぐに避難しなさい」
すると、すぐにズドンという音がその戦車のような車から発射されていった。校庭の中央にいるふたりを目がけていた。その弾丸が飛んで来ることにも気づいてなかったようで、また弾丸もすばやく飛ばされてきたため、おどろいたふたりはその場にのたうちまわっていた。しかも、身体をくねくねとさせながらまさしくへびのようなからだの動かし方をしていた。特に長い髪の毛の良子のほうは、髪の毛も大きく上下に揺れて何匹ものへびがからみあっているようなおぞましい光景だった。だが、しばらくするとふたりとも倒れていた。そして、うろこでおおわれていた顔もだんだんうろこが消えてきれいな肌に戻ってはいたが、決してへび女でなくなったわけではなかった。
女子生徒Q「まさか、ほんとうにふたりとも死んじゃったの?」
女子生徒R「やだあ」
警察官「みなさん、これで安心してください。麻酔銃で気絶させただけなのでふたりは死んでいません。これからふたりを特別病院に運びます。みなさんはこちらには近づかないで、教室に戻るなどして授業を続けてください」
戦車のような車の後に救急車も続いていた。ふたりの担架が用意されて、良子と奈美のふたりは運ばれていった。
その後、警察からも事情を聴くために良子のいたクラスの教室に訪れていた。良子の行動を女子生徒たちが説明して、取り調べの警官はまたどこかに携帯電話を使って連絡を取り合っているようであった。
警察官「いま、心当たりのある研究所の人に電話できいてみました。くわしいことも知りたいというので、恐れ入りますが、いっしょに病院のほうにみんな来ていただけませんか?タクシーを急遽用意しましたので各自乗ってください。もちろん、料金はすでにこちらで払ってます」
授業はすでに数学にはいっていたが、担当の教師が警察のためであるからとクラス全員に病院に行くよう指示した。もちろん、生徒たちもみなクラスメートのことは当然気掛かりなので、すぐにその手配されたタクシーに校庭から分乗して病院へ向かっていった。良子のとなりにいた奈美のクラスでも英語の教師が全員に病院に行くよう指示をした。教師のほうも本来は行くべきではという生徒たちの意見もあったが、学校にもまた事情をききにくる父兄の方々もいるかもしれないからということで残ったのであった。
女学生たちの案内された病院は、市街地から離れたほとんど人の来ることのないへんぴな場所にあった。
警察官「みんな、ちょっと遠すぎる所でお疲れかもしれませんが、おともだちのことも気になるでしょうし、これからいらっしゃる先生にしっかり説明していただき、またよくきいてくださいね」
生徒たちはいっせいにハイと答えた。
まもなく、白衣を着た中年から初老とみられる男性が姿を現わしていた。
田崎博士「みなさん、こんにちは。私は妖怪について研究している田崎と申します。とつぜんのことで驚かれたかと思いますが、実は今日みなさんの学校で起こったことは決して珍しいことはないのです」
それを聞いた女子生徒たちは、みなえーっという奇声をあげた。
田崎博士「はい、驚くのも無理はないかもしれませんが、新聞やテレビのニュースとして取り上げようとしても、こんなこと誰も信じたりしないだろうということでまず相手にしてもらえません。もちろん、珍しくないといってもそんなにひんぱんにあるわけではありませんが、外国でたまに起きたりしています。日本だとちょっとまれですね」
女子生徒S「良子さんのような症状になった人が実際にほかにもいるんですか?」
女子生徒T「その人は生きているんですか、もとには戻らないんですか?」
女子生徒U「良子さんや奈美さんはどうなるんですか?」
田崎博士「はいはい、あせらずにと言っても無理かもしれませんが、ひとつずつ説明いたします。あなたたちのクラスのあの生徒さんは、まあその、ひとことで言ってしまえば、いわゆるへび女になってしまったわけですね」
へび女?なにそれ?女子生徒たちの間からはまた驚きの声がとんだ。
田崎博士「人間にとりつく妖怪の一種でまたいろいろなタイプがいます。へびというのはいわゆる、まあこういうことをここで生徒さんたちに言ったりすると教育上よくない話かもしれませんが、セックスの動物と言われています」
やだーという声がまた方々で起こっていた。
田崎博士「妖怪というものは、時として人間の欲望から生まれて形になっていることも多いものです。それが人の知らないところで潜伏していたりして突然現われたりします」
女子生徒V「だけど、良子さんて、そんないやらしいことに興味はぜんぜんない人だと思ったけど」
女子生徒W「奈美ちゃんもそうよ」
田崎博士「はい、そのへんはいわゆる無差別的に狙われるケースがあります。ただし、さきほどあなたたちの生徒さんの髪の毛にリトマス紙をさしてこちらが抱えている実験材料の液に加えたところ、あることがわかりました。ひとりの、髪の毛が短いほうの生徒さんの髪の毛には、女性のものとみられるへび女の精液がしみこんでいることがわかりました」
女子生徒X「たしか、良子さんが奈美ちゃんの身体にまたいで精液を頭にかけていたわね」
田崎博士「あっ、あなたの証言でまちがいないことがわかりました。へび女の精液を髪の毛にかけられた者もへび女になります。ところが、もうひとりの長い髪の毛の子のほうは、べつの反応を示しました。どうやら、男の精液がしみこんでいるようです」
女子生徒Y「ええーっ、まさか、良子さんにそんな男の相手がいたのかしら?」
また、いっせいに生徒たちはおどろき始めた。
田崎博士「いや、どうしてそうなったのかは私もこれ以上のことはよくわかりませんが、べつにふだんのつきあいでなくても突然痴漢に狙われたりした場合とか、いろいろあります」
女子生徒Z「良子さん、自分は狙われるようなほど美人じゃないから痴漢になんか一度もあったことがないって言ってたけど」
女子生徒AA「べつに、美人じゃない子だって襲う痴漢はいるわよ」
田崎博士「はいはい、とにかくへび女になる人もいろいろあります。これまで外国で起こったことも含めて、比較的多いのはかみつかれて血を吸われる、つまり吸血鬼のようなパターンです。それから、精液を飲まされたり、身体のうろこを飲まされるなどいろいろなことが起こっています。今回のような事実は外国でありましたが、日本では初めて聞きました」
女子生徒AB「それで、その外国の例でいえば、良子さんたちは助かるんですか?」
田崎博士「もとの人間に戻って、まるでなにごともなかったようになる場合と、気の毒にそうならない場合と両方あります。いま申し上げた外国人の例ですが、髪の毛を全部切って坊主にでもすればなおるのではと思って切らされた二十歳ぐらいの女性だったんですが、結局うろこが身体から消えず、牙も残ったままで自分の命より大切な髪の毛を失ったのですからよけいに狂い出して結局死んでしまいました。したがって、髪の毛を切らせることはしないほうがいいと思います」
女子生徒AC「それじゃ、助かるかどうかわからないわ」
もはや、みな放心状態の女子生徒たちであった。
女子生徒AD「いったい、このままずっとこの病院にいるしかないんですか?」
田崎博士「そうですね、しばらくようすを見るしかないと思います。心配でしょうが」
女子生徒AE「そういえばいま、良子さんがどうなっているのか、見ることってできないんですか?まだ、へびのうろこがついたままなんですか?」
女子生徒AF「奈美ちゃんも、どうなっているのか見たい」
田崎博士「いちおう、いまは落ち着いて眠り続けてきれいな肌になっていますが、あなたがたがどうしてもご覧になりたい、でないと帰れないということでしたら、お見せいたしましょう」
さていっぽう、姿を同じ日に見かけた相手が病院にその日に連れ去られていたことを夢にも思っていなかった、良子と同級生だった雅美也が通学先から自分の家に戻ってくると、さっそく妹の暁子のところに転校してきた少女である尾藤真里の姿があった。ツイン・テールのお尻まで届いている長い髪の毛を見た雅美也は、例によって下半身がうずき、性器がぴくっとなるのであった。すぐに自分の部屋へかけこんでいった。
雅美也「だめだ、どうしてもこうふんしてしまう…」
どうしたら、この症状をなおすことができるのだろうかとしばらく考えていた。
少したって、トイレに行きたくなっていた。
雅美也は、トイレに行く途中でそのかたわらにある洗面所に、なんと真里が鏡を見ながら自分の長い髪をブラッシングしている姿が目にはいってしまったのであった。さきほど遊んでいた暁子は自分の部屋にまた戻っているようであった。
雅美也「あ、あの子が、どうしよう…」
背中いっぱいに髪の毛を広げたかと思うと、こんどはその髪の毛のうち右側の前髪を持ち上げてきれいに三つ編みを結いはじめた。ただでさえ量が豊富にある真里の髪の毛だけにかたほうの前髪だけ編んでも太めの三つ編みになっていて、雅美也はその場で思わずたちどまってその姿をながめ始めた。
雅美也「あっ、ああ、なんてきれいな編み方に、いいなあ。女の子はああいうことができるから」
雅美也にとって女の子の三つ編みはもっともこうふんしてしまう憧れの髪形で、とうとうその場で性器がたちはじめた。
雅美也「ああ…、ああ…」
こうなったら、もう思いきり興奮してしまおうと雅美也は開き直って思うようになってしまった。毛先をちょうちょ結びにした黒いヘアゴムで結んで前髪を編み終えた真里が、もういっぽうの左側の前髪も三つ編みにまとめて毛先にもうかたほうの手首に巻いていたヘアゴムでとめ、手を離して背中に髪を垂らした瞬間に雅美也の性器から精液がふきだしていた。
ぐじゅぐじゅっ、じゅるじゅるじゅるっ、びちゃあーっ…。
ズボンをはきっぱなしだったので、下着ごとぬれてしまい、トイレにも行きたいと思っていたところだから大量に精液が出てその白いズボンにもくっきりとぬれた部分があらわれてひろがっていた。
雅美也「ああ、しまった、あっ」
雅美也はそのときまた驚く場面を見てしまった。いま三つ編みに結ったばかりの真里の両サイドにある髪の毛が背中に垂らしていた残りの後ろの髪の上で風もないのに舞いはじめた。もうかたほうの三つ編みの髪の毛もずるずるっと真里の肩の上を、まるでへびが身体をくねらせるような風体ではっていた。
雅美也「ええっ?三つ編みの髪の毛だけひとりでに…」
そして、いったん真里の背中におろしているほうの後ろの髪のなかにいったん両方の三つ編みの前髪が隠れたかと思うと、真里が首を上下に動かしたために身体の前に垂れた両サイドの三つ編みにしていた前髪を、真里はいちどに両手でそれぞれなかほどに指ですくって背中にはらっていた。そのとき、三つ編みの髪の毛先が、両方ともへびの顔になっていたのが雅美也に見えたのである。
雅美也「髪の毛がへ、へびに…」
そして、真里も手に口をあてながら不気味な笑いを浮かべていたのであった。
真里「うふふふ」

< つづく >

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