crystalrose 第十話

第十話

 保健室の扉が開く。
 律華が入ってきた音だわ。
 私はベッドのところのカーテンを閉めて、様子を窺う。
「あら? どうしたのかしら?」
 佐藤養護教諭の声がする。
 心なしか妖しさを含んでいるように聞こえるのは気のせいかしらね?
「あ、はい、少し保健室で休んできなさいって言われちゃいまして・・・」
 自信を喪失したような律華の声。
 もう何を信じていいのかわからずに、混乱しているに違いないわね。
 うふふ・・・
 上手くやりなさい。
「あらあら、風邪でも引いた? 熱はあるの?」
 ゴトゴト音がする。
 きっと椅子に座って愛子に向き合ったのね。
「いえ、熱はないです。風邪じゃ・・・ないと思います・・・」
「ふーん、それじゃお腹が痛い? あの日かしら?」
「ち、違います。違うんですけど・・・」
 いつになく歯切れの悪い律華。
 私は戸惑いを浮かべている律華に笑みを浮かべる。
「ああ、ごめんなさい。先生が悪かったわ。そこのベッドを使っていいわよ。オナニーするんでしょ」
「えっ?」
 愛子の申し出に息を飲む律華。
 きっと驚いた顔をしているに違いないわね。
「違うの? 教室でするのが恥ずかしくてここに来たんでしょ? まだまだ多いのよね、そういう娘」
「あ、そ、それって、ここへオ、オナニーしに来るんですか?」
「もちろんでしょ。女はいつでも淫らにいやらしく。授業中のオナニーは当たり前なのにね」
 うふふ・・・いずれそうなるかもしれないわね。
 我が地底帝国が地上を支配した暁には、地上人は家畜として管理してやらなくてはならないわ。
 そうなれば発情もコントロールしてやらないとね。
「で、でも、縁根先生はオナニーしていたら保健室で休んできなさいって・・・」
「本当? それは困ったものね。縁根先生はオナニーの大切さがわかっていないんだわ。私から教頭先生に言っておきますね」
「あ、はい、お願いします」
 異常な会話を当然のように行なっている二人。
 私は楽しくて仕方がない。
「それでどうするの? このまま教室へ戻る? せっかくだから気持ちよくなってからにしなさい」
「はい。ベッドを使わせてもらいます」
 何のためらいもなく言い切った律華。
 あとは最後の仕上げのみ。

 ぎしっと音がする。
 ベッドのスプリングが軋んだ音。
 隣のベッドに律華が躰を横たえたのだろう。
「カーテンはどうする? 先生としては早く慣れるためにも開けたままの方がいいと思うけど」
「あ、はい。開けたままでします」
 あらあら・・・律華ちゃんたら本当にいやらしい娘なんだから。
 私はそっと魔獣の核を用意して、そのまま気配を殺している。
 オナニーをすることに気を取られている律華なら気が付きはしないでしょう。
「ああ、よかったら使う?」
 何かをベッドに放り投げたのか、乾いた音が聞こえてくる。
「あ、えっ? これって・・・」
「ローターよ。使ったことない?」
 うふふ・・・用意がいいこと。
「な、ないです・・・」
 律華はきっと真っ赤になっているでしょうね。
「あそこに当てると気持ちいいわよ。使って御覧なさい。もちろん清潔よ」
「あ・・・はい。ありがとうございます」
 律華がローターを手にしたのだろう。
 ブーンと言う低い振動音が聞こえてきた。

「ん・・・は・・・あぁ・・・」
 艶めかしい声が流れ始める。
 私は静かに仕切っているカーテンを開け、隙間から律華の痴態をのぞき見る。
「んん・・・あん・・・ああん・・・」
 スカートを捲り上げた律華は静かな振動音を股間付近から奏でていた。
 机に向かって何かの作業をしている愛子は、できるだけ無関心を装っているものの、彼女の手も股間に伸びているのを私は見て取った。
「ああ・・・ん・・・きも・・・ち・・・いい・・・」
 律華の躰がじょじょにしなり、足がぴんと伸びて行く。
 手の動きが小刻みになって、振動音もくぐもったりはっきり聞こえたりと変化する。
「あ・・・あはぁ・・・イ・・・イッちゃう・・・よぉ・・・」
 そろそろ頃合いのようね。
 私はそっとベッドから抜け出すと、隣のベッドに近づいた。
 目を閉じて快感をむさぼっている律華は私にはまだ気付いていない。
 私はその柔らかそうな唇にそっとキスをする。
「えっ? ひえっ?」
 キスの感触に目を開けた律華は、目の前に私を認めて驚いていた。
「くすっ、気にしなくていいのよ。楽しみましょう」
 私はセーラー服の上から可愛らしい胸に両手を添える。
 そのまま優しく揉み解して更なる快感を高めてやるのだ。
「あ、はあん・・・はん・・・」
 そっと目を閉じてあえぎ声を発し始める律華。
 股間に伸びた手は休むことなく小刻みに揺れている。
 私は律華の首筋から耳のほうにかけて舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしてあげた。
「ひゃん」
 律華の躰がビクッと跳ねる。
 うふふ・・・可愛いわ。
 私はそのままセーラー服の上着を爪で切り裂き、白く可愛らしいブラジャーも真ん中で切り裂いた。
 プルンと言う擬音がそのまま当てはまりそうな形の良い律華の胸がはじけ出る。
 私はそのまま硬くしこった乳首を親指の腹で刺激する。
「はあぁぁん・・・せ、先生・・・」
「なあに、律華」
 私は律華の胸に口を付けて、乳首の先端を舌で転がす。
「は、ひゃん・・・はん・・・か、感じるよぅ」
「気持ちいいでしょ。いいのよ、遠慮なくイッちゃいなさい」
「は・・・はい・・・」
 律華の律儀な性格か、きちんと返事をすることに私は苦笑する。
 私は舌で舐りながらもう片方の胸を左手で愛撫する。
 もちろん右手は律華の股間に伸ばし、ローターを操る手に添えてあげることも忘れない。
「あ・・・ああ・・・イ、イッちゃうよぉ」
「うふふ・・・そう、それじゃいいものを上げるわね」
 私は用意していた魔獣の核を取り出して口に含む。
「いい・・・も・・・の?」
「ええ、そうよ。可愛い律華がうんと気持ちよくなれるお薬みたいなもの。さあ、口を開けて」
「あーん・・・」
 素直に可愛らしい口を開ける律華。
 目を閉じて口を開ける様はまるで雛鳥のよう。
 私はそっと律華の口に口付けをして、魔獣の核を押し込んでやる。
 そしてそのまま舌を絡めて唾液を流し込む。
「ん・・・んぐ・・・」
 律華ののどが上下して魔獣の核が滑り落ちて行く。
「うふふ・・・さあ、イッちゃいなさい」
 私は口を離すと、魔力をそっと流し込む。
 微弱な快楽をもたらすものだから、シールドは反応しない。
「ふ・・・ふあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
 すぐに律華は背中を浮かせてつま先を丸めて行く。
 躰がビクビクと震え、絶頂に達したようだった。

 ぐったりと力を失う律華。
 やがてどす黒いオーラが律華の周囲に巻き起こる。
 じわりと黒い染みが律華の胸に現れる。
 変化が始まったのだ。
 新たな妖女虫の誕生。
 私はその様子を高揚した気分で見つめていた。

 ベッドに横たわる妖女虫。
 額には触角が伸び、メガネの奥の目はアイシャドウが引かれたように黒く縁取られる。
 肩から胸にかけては赤いショルダーパットをつけたような形の外骨格が覆い、茶色のレオタードを着たような腹部には股間のところに光る発光器が組み込まれていた。
 背中には硬い翅、両手両脚は黒いロンググローブとブーツ。
 澤崎律華は新しい妖女虫ホタルナに生まれ変わったのだ。

 やがてホタルナはゆっくりと上半身を起こして起き上がる。
 彼女は顔にかかっていたメガネを煩わしそうに取ると、おもむろにそれを握りつぶした。
「うふふふ・・・気持ちいい。なんて素晴らしいのかしら。私は妖女虫ホタルナ。地底帝国に栄光あれ」
 立ち上がって自分の両手を見下ろすホタルナ。
 変化した両手に思わず笑みが浮かぶ。
「うふふ・・・おめでとうホタルナ。これからはあなたも地底帝国の一員よ」
「はい、ブラックローズ様。一刻も早くこの世界を地底帝国のものに」
 頭を下げて一礼するホタルナ。
「おめでとうございます、ホタルナ様」
 愛子も跪いてホタルナに頭を下げた。
 当然のこと奴隷人形は妖女虫などよりも下層の存在。
 下僕虫すら奴隷人形に比べれば上位の存在なのだ。
「ありがとう、佐藤先生。今度はあなたを可愛がってあげるわね」
 ホタルナが微笑む。
 その笑みは妖しく、美しかった。

 いつの間にかチャイムが鳴っていたのだろう。
 廊下が騒がしくなっている。
「どうやら授業が終わったようね。姿を変えた方がいいわ」
「はい、ブラックローズ様」
 律華はすぐに魔力を使い自らの躰を変化させる。
 すぐに今までの澤崎律華がそこに立っていた。
「ハア・・・こんな姿になるなんていやですね」
 思わずため息をつく律華。
 人間の姿などいやなのだ。
「大丈夫よ。もうすぐ世界は地底帝国の物になるわ。あなたたち三人が私とともに地上支配に手を化してくれればね」
「もちろんです、ブラックローズ様。早くくだらない人間どもを支配したいです」
 律華は胸に手を当てる。
 これで戦力は整ったわ。
 あとは・・・

 ノックの音がする。
「あ、はい?」
「失礼します」
 愛子が返事をすると、一人の女性教師が入ってきた。
「縁根先生」
「君嶋先生? ここで何を?」
 私も驚いたが、縁根先生はもっと驚いたようだ。
 メガネの奥の目が驚愕に見開かれている。
「私は佐藤先生にちょっと相談を・・・縁根先生は?」
「私は澤崎さんの様子を見に来たんですわ。まったく・・・」
 授業中の事を悪夢として振り払おうとしているのか、頭を振る縁根先生。
 ふん、くだらない女だわ。
「もう、すっかりよくなりました。縁根先生」
 私の影から姿を現す澤崎律子。
 もちろんその姿は先ほど変えられている。
「ふう・・・澤崎さん。あなたのような方があのような・・・あ・・・」
 私の顔を見る縁根先生。
 私は意地悪く黙って微笑んだ。
「あのような・・・何ですか?」
 律華もニヤニヤと笑いながら先を促す。
 どうせこんな女は生かしておいても意味が無いし・・・構わないか・・・
「それは・・・その・・・あのような・・・淫らな・・・」
 言っている本人が赤くなっている。
 お堅いオールドミスはセックスもオナニーも嫌いなのかしらね?
「淫らな・・・何ですか?」
 愛子に借りていたピンクローターをこれ見よがしにもてあそぶ律華。
 残虐な思いが浮かんでいるようね。
「あ、あなた、何を持っているの?」
 縁根先生は驚いてふるふると震える指先でローターを指差している。
「クスッ。これですか? 怨恨先生は使わないんですか?」
 律華はスイッチを入れてローターを振動させる。
 ブーンという低い振動音が保健室に広がった。
「つ、使うわけが・・・」
 怨恨などと呼ばれたことすらも気が付かないらしいわね。
 バカな女。
「うふふ・・・そんなことだからお堅い怨恨先生はいつまでも結婚できないんですね」
「な・・・」
 わなわなと震える縁根先生。
 私も笑いを禁じえないわね。
「あなたは何を言っているかわかっているの? 授業中にあんなことをして。恥知らずな!」
「あーあ・・・クスッ、ねえ、ブラックローズ様。この女、殺してもいいですか?」
 あきれたように律華が言う。
 私は黙ってうなずいた。
 いい加減この女ともおさらばしたいものよね。
「構わないわ。存分になさい」
「ありがとうございます。ブラックローズ様」
 にっこりと微笑む律華。
 もはや妖女虫としての思考に変化している彼女にとって、人間とは無価値な下等生物なのだ。
「あ、あなたたちは一体? 一体何の話をしているの?」
 じわっと恐怖がこみ上げてきたのだろう。
 いつもなら教師としての権威が彼女を保護し、こんな少女におくれを取るようなことは無いのだろうけど、妖しく微笑む律華は彼女をはっきりと見下しているのだ。
 そのことが彼女をして恐怖を感じさせている。
「うるさいわよ」
 ゆっくりと両腕を組んだ律華が前に進み出る。
「あ、あなた・・・一体・・・」
 じりじりと後ろに下がる縁根百合子。
 だが、いつの間にか入り口に立っていた愛子がかちゃりと鍵をかける。
「ヒッ」
 その音にすらビクッと躰を飛び上がらせる。
 哀れなものね。
 でも、くだらない人間らしいわ。
 生かしておく価値も無い。
「さ、佐藤先生、き、君嶋先生・・・」
 救いを求めるように私と愛子をきょろきょろと目で追う縁根。
 もっとも、ここであなたを救うものなど居はしない。
「うふふ・・・逃げられませんわ、縁根先生」
 ニコニコしながら入り口の扉にもたれかかる佐藤愛子。
 長い白衣が妙に色っぽい。
「ふふ・・・あなたには生まれ変わった私の姿を見せてあげるわ」
「生まれ変わった?」
 目の前の少女を恐る恐る見つめる縁根。
 その目が見る見るうちに見開かれていく。

 魔力が律華の周囲にわだかまる。
 それが晴れた時、そこには一体の美しくも妖しい妖女虫が立っていた。
「あ、あああ・・・」
「うふふ・・・これが私。妖女虫ホタルナよ」
「ば、化け物・・・」
 ヒュッという風を切る音がして、縁根の言葉を妨げた。
「ひあっ」
 頬を張られて床に転げる縁根百合子。
 スカートがまくれ上がり、ストッキングに包まれた太ももがあらわになる。
「お黙り。下衆が」
 腰に手を当てて立ちはだかるホタルナ。
 私はベッドに腰を下ろして成り行きを見守ることにした。
 どうせ殺すなら楽しみたいものだわね。
「あ、あああ・・・た、助けて・・・」
 張られた頬を押さえつつ、哀れっぽくホタルナを見上げている縁根。
 その股間から恐怖のあまり湯気が立つ。
「うふっ、あはははは・・・ぶざまなものねぇ。あなたそれでも教師なの?」
 ホタルナの右足が縁根の脇腹を蹴りつける。
「ゴホッ」
 体をくの字に折り曲げ苦しむ縁根。
「あはははは・・・」
 口元に手を当ててホタルナは高笑いした。

「佐藤先生? 開けてくれませんか?」
 ノックの音と同時に声がする。
 あの声は・・・
「あ、た、助けてー!」
 死に物狂いの縁根が大声を出し、ドアに向かう。
 結界を張ったのが逆効果になったみたいね。
 私はすっと立ち上がる。
「佐藤先生? 佐藤先生?」
 どんどんとドアがノックされる。
「助けて、助けてー」
 這いずりながら大声を上げる縁根。
 だが、ホタルナがつかつかと近寄り、その足を踏みつける。
「おとなしくしなさい」
「グギャッ」
 ゴキッと言う音がして縁根の左足が折れる。
「どうしますか? ブラックローズ様」
 愛子が困惑した表情で私を見る。
 だが、私は何も言う必要はなかった。
 保健室の扉が打ち破られ、一人の人影が入ってきたのだ。

「三崎・・・聖夜」
 私は現れた人影を凝視する。
 予想通りと言って差し支えない。
「ああ・・・が、学園長・・・」
 顔を涙でくしゃくしゃにしながら、すがるような目で三崎聖夜を見上げている縁根。
 まったくぶざまなもの。
「縁根先生・・・これは・・・」
 保健室に入り込む三崎聖夜。
 その身ごなしに隙は無い。
「新たな地底帝国の魔獣ですか・・・」
「魔獣? 違いますわ、学園長。彼女は魔獣をはるかに超えた存在。妖女虫ホタルナですわ」
 私はまっすぐ三崎聖夜を見据える。
 いまさら君嶋麻里子で通すつもりも無いし、クリスタルレモンは排除すべき存在だ。
 私は思念を送り、すでにドクガナもムカデナもこちらに向かっている。
 クモーナには遊撃の位置にいてもらおう。
 万が一の時には退路を確保しておかなければならないのだ。
 もっとも、その心配は必要無いでしょうけど。
「妖女虫ホタルナ・・・なるほどね。あなたが悪に魂を売り渡したのは仲間を増やすためだったというわけ?」
 すっと身構える三崎学園長。
 さすがにクリスタルレモンとしての躰の記憶は確かというわけか。
「うふふ・・・仲間を増やしたのは目的達成のためですわ。地上支配という目的のためのね」
「正義のクリスタルローズも地に落ちたものね。あなたをクリスタルの戦士に選んだのは失敗だったということか・・・」
 じりじりとホタルナと私を牽制しつつ縁根のカバーに入る学園長。
「早く逃げなさい、縁根先生」
「は、はい・・・」
 ひいひいと這いずりながら保健室を出て行く縁根。
 まあいいでしょう。
 どうせ長いことは無いわ。

「ブラックローズ様・・・」
 足元の獲物に逃げられたホタルナが指示を請う。
 私は黙って手で制した。
 あんな女はいつでも始末できるのだ。
「ブラックローズ? それが地に落ちたあなたの名前というわけね?」
「ええ、私はブラックローズ。地底帝国の女戦士」
 私は魔力を解放する。
 黒と赤のボンデージ状の外骨格が私の躰を覆って行く。
 素晴らしい私の躰。
 いつもこの姿で居ることができるようになるのも、そう遠くは無いだろう。
「クリスタルパワー!」
 三崎聖夜がペンダントを取り出し、高く掲げる。
 ペンダントの魔力が解放され、それが巻きつくように聖夜の躰を覆って行く。
 やがて魔力の渦の中から、パープルのミニスカート型のコスチュームとヘルメットに身を包んだクリスタルレモンが姿を現した。

                 ******

「ふん、それでどうしたというのだ?」
 ソファーにもたれてグラスを傾けているゲドラー様。
 私は床に腰を下ろし、うっとりとゲドラー様の股間の屹立を眺めている。
 天を突き刺すようなその姿は、私の心をわしづかみにして離さない。
「うふふ・・・クリスタルレモンなど、私たちの敵ではありませんわ」
 私はそっとゲドラー様の肉棒に指を這わせる。
 じわっと熱が伝わって、指先が熱いわ。
「私が手を下さずとも、ホタルナ、ムカデナ、ドクガナの三人で充分楽しませていただきました」
「ふん、そうだろうな・・・お前たちは魔獣とは比べ物にならない力を持っているからな」
 からんとグラスの氷が音を立てる。
 ゲドラー様も私に触れられてお喜びのよう。
 私はそっと顔を近づけ、硬くなっている先端にそっと口付けをする。
「ええ、散々いたぶらせていただいたのですが・・・」
「最後の最後で逃げられた・・・そういうことだな」
 私は黙ってうなずいた。
 ゲドラー様のおっしゃる通りなのだ。
 クリスタルレモンは確かに戦士としての力は侮れない。
 しかし、私たち妖女虫の三体が力を合わせれば、クリスタルレモンには勝ち目など無かった。
 それを私たちは過信しすぎたのだ。
「傷だらけになり、ぼろぼろのクリスタルレモンは最後にクリスタルの力を全て解放するつもりだったようです」
「キチク将軍と相討ちしたあのパワーの解放か・・・」
「はい・・・」
 私はゲドラー様と皇帝陛下に対する申し訳なさでいっぱいになる。
 それと同時に、ゲドラー様のこの肉棒を味わいたくてたまらない。
「ゲドラー様・・・その・・・味わっても・・・よろしいですか?」
 私は多分おびえたような目をしているのだろう。
 事実私は恐れていた。
 不手際を責められ、この素敵な肉棒を味わうことができないのではないかということを・・・
「ふん、いいだろう」
「ああ・・・ありがとうございます」
 私はすぐに一礼して感謝の意を表わした。
 嬉しい・・・
 とても嬉しいわ。
 私はゲドラー様の肉棒をすぐにその口でくわえ込む。
 舌を絡めて唾液をまぶし、その熱い肉棒を味わうのだ。
「おうっ、むう・・・だが、クリスタルレモンがパワーを解放する前に、離脱したというのか?」
「んちゅ・・・ちゅるっ・・・は、はい。ぼろぼろになったクリスタルレモンの躰を光が包み込み・・・んちゅ」
 私は舌を這わせ、サオを舐めまわしつつ答える。
 その不自由さが従属を感じさせ、私の官能に火をつけて行く。
「ふん、クリスタルの光か・・・」
「ちゅるっ・・・ぴちゅ・・・はい・・・彼女は自ら意図してではないようでしたが・・・彼女はクリスタルの聖女の代理だったのです・・・ああん・・・」
 私は右手でゲドラー様の肉棒を持ちながら、左手が股間をいじり始めるのを止められなかった。
 すでにじっとりと濡れたそこは、外骨格のカバーの隙間からも愛液が滴り落ちており、床にはしたない染みが広がっている。
「クリスタルの聖女の・・・おおうっ・・・代理だと?」
「はいぃ・・・先の戦いでクリスタルの戦士たちは・・・クリスタルポピーにその力を集約し、パワーを解放することでキチク将軍と相打ちになったあと・・・はあん・・・どうやらクリスタルポピーは消滅しアップル、ストロベリー、レモンの三人は力を失いました」
 これは多分に推測が含まれている。
 でも、戦闘の最中に彼女が言っていたことからも、この推測はほぼ正しいはず。
「クリスタルの聖女は・・・比較的力を残していたクリスタルレモンを通じ、新たな戦士を探し出したのですわ・・・ひゃあん」
 私の躰がびくんと跳ねる。
 ゲドラー様のつま先が、私の股間に入り込んできたのだ。
 私のあそこはもうグチョグチョで、指を出し入れするごとに水音すら立てている。
「ふん、それがお前たちということか・・・」
 ゲドラー様がニヤニヤしながら私を見下ろしている。
 それだけで私はもうたまらない。
 ゲドラー様ぁ。
 私はゲドラー様の肉棒を思いっきり頬張った。
「ふぁい・・・ほうれふぅ・・・」
 ジュプジュプと頭を上下させ、のどの奥まで突き通す。
 にじみ出た先走りが、唾液と絡まり口中に広がって行く。
 美味しい・・・
 私は夢中で頭を上下させた。
「おおうっ・・・いいぞ、でるっ! ううっ」
 私の口の中でゲドラー様がはじけ飛ぶ。
 のどの奥を貫くようなほとばしりに私の躰は震え、めくるめく快感が私の躰を走り抜けて行く。
「ふぁあ・・・あ・・・イ・・・っくぅ」
 私の指が敏感なところを擦りあげ、私は頭が真っ白になるほどの絶頂にその身を任せていた。

「ふん、奴らは再度新たな戦士を結集するつもりか・・・」
「はい、そう思われます」
 ゲドラー様の隣に座らせられ、肩を抱いてもらっている。
 この瞬間の幸福は何物にも代えがたい。
「全てを失うわけには行かないクリスタルの聖女が、最後にクリスタルレモンを連れ去った・・・そういうことだな」
 氷の解けてしまったグラスを空にするゲドラー様。
 私は寄り添うようにゲドラー様の肩に身を任せる。
「はい・・・奴らは再び新たな戦士を投入してくるはずです。私がさっさととどめを刺さなかったばかりに・・・申し訳ありません」
「ふん、気にするな。そう簡単には行かないことは皇帝陛下もご承知だ」
 ゲドラー様の手が私の髪の毛を梳いていく。
「これでクリスタルが一揃い手に入ったのだ。このやり方が効果を持つこともはっきりした。クリスタルなど恐れることは無い」
「はい・・・」
「これからも我が片腕として働いてもらうぞ、ブラックローズ。我と皇帝陛下のためにな」
 ゲドラー様が私を抱く腕に力を込めた。
「はい。ブラックローズは未来永劫皇帝陛下とゲドラー様に忠誠を誓い、地底帝国のために尽くしますわ」
 私は笑みを浮かべると全てを捧げそう誓った。

< END >

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