降魔ヶ刻 第二話

第二話

「ああっ、ぁぁあ!」

 女が、よがり狂う声。
 田舎の、安っぽいラブホテルの一室。男の上にまたがり、夢中で腰を振る姉の姿に、大島加奈子は部屋の隅に身を縮こませて怯えていた。

「はぁ……いいっ、気持ち良くて…っ!」

 彼女が腰を動かす度に、加奈子のものより大ぶりな乳房が揺れ、男女が繋がった部分からはいやらしいグチュグチュという音が溢れ出す。肌に浮かぶ汗が、薄暗い部屋の灯りを反射させている。
 清楚な美人として周囲からもてはやされる姉が、長い髪を振り乱し、スタイルの良い身体をくねらせ、耐えられぬかのように淫らな声を上げている。その姿は、慎ましやかな普段の彼女の姿からは、あまりにも逸脱したものだった。

(なんで……なんで、こんな事に)

 姉である理沙の嬌態を、呆然としながら見つめる、加奈子。姉と比べればまだ幼さが抜け切ってはいないが、小柄で可愛らしい少女だ。学校でも、男子にもてるだろう。
 大学に通うために家を出ている理沙が久しぶりに帰郷したので、今日は加奈子と二人、一緒にドライブに出かけた。もうすぐ受験を控えた加奈子の気分転換に、と。
 そして景色の良い山道で、姉妹は“彼”に出会った。

「や…ぁ、こんな格好……」

 不必要なほど広いベッドの上で、少年が身を起こしていた。上に乗っていた理沙の裸身を降ろし、四つん這いにさせる。そのまま、後ろから女性らしい曲線を描く腰を掴むと、乱暴な動作で貫いた。

「うぁ、ああ!」

 どう見ても歳下であろう少年に、犬の姿勢で責められる。それでも理沙は、必死に腰を蠢かせ、快感にむせび泣く。ねだるように腰を突き出し、甘いうめき声を上げる姉の姿は、加奈子から見ても浅ましいメス犬そのものだった。

「いい……コレ、いいのぉ」

 白くしなやかな背中に覆い被さるようにして、大きく腰を使う少年。理沙を犯しながら、彼は顔を上げると、壁際に座り込み震えている加奈子の方に目を向けた。

(ああ……)

 彼の視線から逃れようと、顔を横に向けようとした少女だったが、何故かそんな動作を行うことが出来なかった。少年の瞳を、正面から受け止めるしかない。

(あ、あ……この眼だ…っ)

 視線が、絡み合う。比喩ではなく、まるでそこに触覚でもあるかのように、そう感じるのだ。自分の瞳が、彼の視線に蹂躙され、そこから何かを注ぎ込まれている感覚。
 熱く、暗い、どろどろしたモノが、加奈子の魂を浸食する。

「はぁ、はぁ、はぁっ」

 目が、逸らせられない。躰が、どんどんと熱くなっていく。胸の中では、心臓の鼓動がうるさく響く。――そして、下半身からは力が抜け去り、代わりにじくじくとした疼きが、奥底から沸き出てくるのが、はっきりと分かった。

(いやだ、私……身体が、熱くなってる)

 秘めやかな隙間から、熱い粘液が溢れた。ショーツが濡れた感触が、気持ち悪い。下着の中で乳首がしこり、ブラに擦れ、それがまた甘い痺れとなって背筋を走り抜ける。

「ふぅ、うう……っ」

 自分でも、異常であることは分かる。それでも、抑えの効かない疼きが身体を支配し、それは耐えきれないほどになっていた。手が、自らを慰めるために、胸や股間へと行ってしまいそうになるのを、懸命に理性で押し止める。
 少年の、目。それが、加奈子をそうさせているのだ。

(この、眼……)

 ドライブの途中、姉が急ブレーキを踏んだ。何事かと自動車の正面を確認すると、そこには一人の少年が立っていた。
 彼の格好は、どう見てもまともなものではなかった。服はボロボロで、しかも明らかに血で染まっていた。
 恐怖を感じたのは、加奈子だけではなく、姉もまた同様であるようだった。迷った様子だったが、怪我人を方って逃げるわけにもいかない。車を少年に近づけると、窓を開けて『大丈夫か』と声をかける。

 そして少年と目が合い――そのあとは、気が付いたらこの部屋にいた。

 姉と自分がとった行動は、覚えている。加奈子と同世代、おそらくは高校生くらいと思われるこの少年を車に乗せ、彼の求めに応じてこのラブホテルに着たのだ。しかし、何故自分たちがそういう行動を取ったのか、それが思い出せない。まるで催眠術でもかけられたようだ。

「お姉ちゃん……」

 処女である彼女にはどう扱って良いのか分からない、身体の疼き。助けを求め、縋り付くように、弱々しい声で理沙に呼びかけるが、伝わった様子は無かった。

「もっと…ああっ、気持ちいい……もっと、お願い」

 妹のことなど頭から消え失せでもしたかのように、恥じらいもなく少年に求め、快楽を訴える理沙。
 彼女の望みを叶えるかのように、少年の動きが、それまで以上に大きなものへと変わった。

「ああっ、イクっ、……いっちゃ、う…っ!」

 ひときわ大きな声を上げると、理沙はシーツに顔を埋め、全身をビクビクと震わせた。
 同時に、彼女と繋がっていた少年が『うっ』と小さなうめき声を上げ、やはり身体を硬直させた。ひくつく腰の仕草で、加奈子は彼が姉の胎内に射精しているのを悟る。避妊など、していないのに。

「あ、あ、ああ……」

 呆けたような声を洩らし、理沙の身体がベッドの上に崩れ落ちた。力が抜け落ちてしまったかのように、ぐったりとベッドに横たわる。
 一方の少年は、しばらくは身動きひとつせず、何故か戸惑ったようにしていたが、やがてベッドから降りると立ち上がった。真っ直ぐに、部屋の隅にうずくまっている加奈子に歩み寄る。

「ひ…っ」

 少女の喉から、小さな悲鳴が漏れる。彼女は、三重の恐怖を感じていた。

 一つには、もちろん、自分の姉を犯し、そしてそのまま彼女に向かってくる、むき出しにされた少年の性欲に対する恐怖。股間のモノを隠そうともしない彼の様子を見れば、加奈子のことをも犯そうとしている事は、容易に想像が付いた。

 二つには、彼女が置かれた、あまりに現実離れした状況に対する恐怖。何もかもが説明の付かない異常な空間に、自分は投げ込まれている。

 そして三つ。彼女は、自分の身体を蝕む痺れに、恐怖していたのだ。
 さっきから下半身を内から燻らせる暗い炎は、弱まるどころかむしろ強まっていた。股間を隠す下着はすっかり濡れてしまい、その外にまで粘液が漏れだしてしまっている。
 こんな状態で、もし少年に身体を触られでもしたら、いったい自分はどうなってしまうのか。つい先ほどまで目の前で繰り広げられていた、姉と少年との生々しい行為の光景が、頭の中をぐるぐると回っていた。

(やだ……私の身体、絶対に…おかしくなっちゃってるよ)

 涙で滲んだ視野の中で、少年が彼女の前に立った。
 床にお尻をついて座り込んだ彼女の視線の高さは、ちょうど彼の腰と同じ位置にある。

「や……いやだよぅ…」

 加奈子の眼前に、少年の猛りきったモノが突きつけられていた。姉の胎内にもぐり込んでいたその表面は、てらてらと厭らしく濡れ、異臭を放っていた。
 彼が放った精液と、理沙の愛液で汚れたソレを見せつけながら、少年は加奈子に信じられないことを言った。

「これ、舐めてよ」

「え……?」

「キミの姉さんの所為で、こんなに汚れてるんだ。舐めて、綺麗にするんだ」

 嫌だ、と反射的に思ったが、口には出せなかった。
 耳から侵入した、少年の声。それは彼の視線と同様に、加奈子の身体を縛り付けた。脳が彼女のコントロールを離れ、勝手に彼に従い、身体を動かしているかのようだ。突き動かされるかのように、少女は彼の股間に首を伸ばしていた。

「ん…、ちゅ……」

 舌を出し、小さく舐め上げる。舌先が幹の部分に触れた瞬間、剛直がびくりと跳ね上がった。同時に、少年が小さくうめき声を上げる。
 少女は戸惑いながら、伺うように彼を見上げる。なにか、痛い思いでもさせてしまったのだろうか?
 しかし少年は、唇を引き結んだような表情で、彼女を促す仕草をする。それに従って、加奈子はもう一度、彼の起立したモノに舌を這わせはじめた。

“ぴちゃ……ちゅ…”

 フェラチオ、という愛撫があることは、当然彼女も知っていた。耳年増な友人から解説を受けたこともあったし、女性雑誌に載っていた露骨な説明を読んだこともあった。
 だが、そんなことを自分が現実に行うとは――しかも、出会ったばかりで名前も知らない少年に対してだ――想像もしなかった。

(私、なんで、こんなことをしちゃってるんだろう?)

 脳裏に浮かぶ疑問は、しかしすぐに霧散してしまう。
 肉槍にこびりつく体液を舐め取る。舌の表面に広がるエグい味と、鼻腔を突く異臭。だが本来であれば吐き気を覚えるだろうそれらを感じた瞬間、加奈子の体内を、電流のような痺れが走った。

「ん……んんんっ!」

 背筋をブルブルと震わせながら、加奈子は舌を動かし続ける。少年と姉の、性欲の排泄物。それを口にして、先ほどから疼き続けていた躯に、正しく火がついたかのようだった。

(嫌……わたし、イヤな…はずなのに。どうして……?)

 熱に浮かされたように、夢中になって、何度も何度も舌を這わせる。血管の浮き出た幹の部分を、舌をべっとりとまとわりつかせながら舐め上げる。あるいは、亀頭の下、段差になった部分を、舌先で綺麗にしていく。
 口の中に広がるいやらしい味を、少女は何度も何度も、唾液と一緒に嚥下した。胃の腑に落ちた性臭は、身体にじんわりと吸収されていき、加奈子を内面から温めていくように感じる。

「んく……はぁ、あ」

 しばらくして、先の性交で付いた汚れは、おおかたぬぐい去られた。だが、高まりきった少年のペニスの先端からは、今では少女の行為により更なる粘液が滲み出ていて、新たに先端周囲をねめつかせていた。
 気づいて加奈子は、目元を赤らめながら、潤んだ瞳で少年を見上げる。彼もまた、熱の籠もった視線で見下ろしながら、彼女に告げた。

「いいよ。口に咥えても」

「ああ……っ」

 その少年の言葉は、今の加奈子にとっては命令などではなく、許可であった。
 少女らしい可憐な唇で、男根の先端についばむように口づけする。

(わたし……まだ、キスだってしたことがないのに)

 そんな自分が、跪き、男性の性欲の象徴そのものに、口で奉仕している。自分がいかに倒錯的で屈辱的な、淫猥な行為をしているのか。
 じゅくりと、また柔襞の間から、熱い蜜がこぼれ落ちる。加奈子はついに耐えきれず、片手をスカートの中へともぐり込ませた。指先で、ショーツの上からその部分に触れる。

「ふんっ、んんん!」

 たったそれだけで、あえぎ声が溢れ出しそうになる。恥ずかしい声を洩らすまいと、加奈子は肉棒をいっそう深く咥える。

「すっごい気持ちいいよ。……口の中で、舌で、舐めてよ」

 自分の行為が、少年を悦ばせている。それを確認できたことが彼女の淫らを、更に煽りたてていく。片手で根本の当たりを押さえながら、言われた通りに舌をできるだけ擦り付けるようにして、顔を上下させて肉幹を刺激した。
 そうしながらも、自らの股間に延ばした手は、ショーツの中にもぐり込んでいた。恐る恐る最も敏感な肉芽を、指の腹で軽くさすると、下半身を溶かすような快感が生まれ、今にも絶頂を迎えてしまいそうになった。

「ふん……ぅう」

 鼻で懸命に息をつきながら、必死になって口での奉仕を行う。最初に感じていた男性器に対する嫌悪感や恐怖など、既に頭の片隅にすら存在しなかった。
 ぬかるんだショーツの中で指先を蠢かし、快楽を汲み上げつつ、口の中をいっぱいにした性槍を頬や舌、上顎に擦り付ける。そうしていると、自分の身体全てが快感の“道具”になってしまった気持ちに満たされる。

(あたし……恥ずかしい、変態だ…)

 そんな想いから逃れようと、ますます強く、脈打つ肉塊を吸い上げる。

「うあ…もう、……出るっ!」

 呻くと同時に、少年が加奈子の頭を手で掴み、腰に押しつけた。

「ん……んぐぅっ!?」

 喉の奥を突かれ、苦しいと感じた瞬間、口の中で少年が射精していた。喉奥に熱い塊が叩きつけられたと思うと、あっという間に口内が性臭で満たされる。頭が真っ白になり、背筋に電撃が走る――と同時に、さすがに耐えきれず、加奈子はせき込んでしまった。

「グッ……かはっ、げほっ、げほ……っ」

 気管に入りそうになった精液が、口だけでなく、鼻の方にも回ってしまう。鼻腔も、口も、精液の匂いと味で溢れかえる。

「加奈ちゃん、大丈夫?」

 なんとか咳が収まった少女の顔を、姉の理沙がのぞき込んだ。一糸纏わぬ裸体を、座り込んだ加奈子の隣に寄せる。そのまま、精液と唾液、鼻汁で汚れきった妹の顔に、整った顔を近づけた。

「私にも、分けて。お願い」

「ああ、お姉ちゃん……」

 口の周りから顎にかけて、妹の顔に飛び散った精液を、姉が優しく舐め取る。くすぐったさと恥ずかしさで顔を引こうとする加奈子だったが、理沙はそれを許さず、頬を両手に挟むようにして妹が顔を逸らすのを封じてしまう。
 ピチャピチャと、仔猫がミルクを舐めるような音が、静かな部屋の中の空気に溶けていった。

 加奈子の顔があらかた綺麗にされると、力の全く入らない脚をガクガクさせながら、彼女は少年と姉とに支えられながら、ベッドの上に横たえられた。
 着ていた服が、順番に脱がされる。女物の服を扱うのに慣れていないのか、不器用な手つきで脱がそうとする少年を、理沙が手伝った。四本の手が動き回り、加奈子はあっというまに生まれたときのままの姿になっていた。

「加奈ちゃん、綺麗よ」

 妹を安心させようというのだろう。理沙が少女の髪を、やさしく撫でてくれる。なんの愛撫をも受けていなくても、加奈子の秘所はすでにぐすぐすに濡れ、熱く疼いていた。太股を擦り合わせ、なんとか我慢しようとする彼女の両脚を、少年が割って身体を入れてくる。
 少年の股間のモノは、何度も射精したにもかかわらず、これからそれを受け入れようと言う処女の加奈子にとって、凶器としか見えない猛りに満ちていた。

「怖がらないで。きっと加奈ちゃんも、すぐに気持ちよくなれるから」

 耳元で理沙が励ましてくれるが、それでも不安は拭いきれない。未知の行為と体験に対する怯えと、どうしようもないほどに高まった躰の疼き。その両方に責め立てられ、板挟みとなった加奈子は、泣き出しそうな顔で少年を見る。
 彼女に覆い被さろうとしている彼の目と視線が合い、再び、不思議な見えない力が、彼女の瞳を通して魂に指先を差し込んできた。

「は、ぁ……ううっ」

 少年の視線は、彼の両腕以上に、少女の心を捻り伏せる。加奈子は手探りで姉の手を掴むと、ぎゅっと力を込めて握りしめる。理沙の手が、応えるように彼女の手を握り返してくれるのが分かった。
 同時に、少女の疼きの中心に先端が丸い、熱い塊が触れ、それが一気に彼女の体内に押し入ってきた。

「あっ、あああ!」

 破瓜の痛みは、聞いていたほどのものではなかった。純粋に、個人差からか。あるいは、既にあまりにも発情し、快楽漬けになった今の加奈子にとっては、肉の悦びの方が勝ったのか。
 感じるのは、体内にもぐり込んだ肉塊による大きな圧迫感。まるで熱した鉄棒を突き入れられたような重圧に、加奈子は細い背中を反らして耐える。その鉄の槍は、脈打ちながら、彼女の信じられないほど奥まで串刺しにした。

「くぅっ……ぅぅぅ」

 他者が、体の中に侵入してきた違和感と、その存在感に、眉をぎゅっと寄せる。唇を噛んで耐える彼女の内部を、少年は腰を振って、蹂躙し始めた。じゅくじゅくと音を立てながら、傷つき、引きつるように収縮する膣内を、肉塊が行き来する。

(ああ、ヤダ……わたしっ)

 少年のモノを口にしながら、自分の指で慰めていても、決して届かなかった場所。そこを、突き立てられた肉棒が、何度も何度も擦り立てる。その度にグチュグチュとした音が溢れ、少女の耳に届き、それがまた彼女の官能を煽った。
 これが、男に抱かれるということなのか。女が、貫かれる存在なのだということを、加奈子は理解した。

「んくっ、……はっ、はぁっ」

 与えられた刺激はいつの間にか、加奈子の体内で暴れ狂っていた熱い疼きと同調していく。少年が動き、彼のいきり立ったモノの凹凸が彼女の胎内を引っ掻く度に、少女の膣壁はますます強く、肉槍に絡みつく。
 身体が自分の意志を離れ、勝手に際限なく甘い痺れを汲み上げ、それが背骨を伝わって脳髄を灼く。

「やだぁ……ヤダ、こんなの、わたし…知らないよう……っ!」

 しかし少年は、そんな彼女の混乱になどまるで頓着せずに、荒々しく腰を揺すり、油送を続ける。加奈子は、自分の初体験の相手が、彼女のことになど全く気を使うつもりもない男だということを、はっきりと悟った。
 少年にとっては、彼女は唯の、性を発散するための道具なのだと。

 にも関わらず、少女は自分の躰が、逆らいようもなく彼の行為に反応しているのを、認めざるを得なかった。欲棒の出っ張りが、体内の、自分でも知らなかった敏感な部分を刺激したとき、加奈子は思わず「ああっ!」と声を上げてしまった。自分で聞いてさえ、淫猥な悦びを湛えた、いやらしい声。

「あん…あ、ああ……っ!」

 一度でも零り落ちてしまえば、あとはとはもう、押し止めることなど出来なかった。否定のしようもない肉の快感が、波のように彼女を襲い、翻弄する。加奈子は、甘いすすり泣きを洩らし、何度も何度も喘ぎ声が喉からこぼれ出た。

「ひっ、ぐすっ……ぁぁあっ」

 少年によってもたらされた悦楽の渦が、加奈子を巻き上げ、どこか彼女のまだ知らない場所へと連れ去ろうとする。未知なる悦楽への怯えから、少女はこの場にいる、唯一彼女に助け求められる相手に縋った。

「イヤ……ぁ、助けて…おねえ、ちゃん……お姉ちゃんッ!」

 つないだ手をギュッと握りしめながら、うわごとのように繰り返す。そんな妹に対し、理沙は、綺麗な顔に微笑みを浮かべながら耳元に口を寄せた。

「いいのよ、加奈ちゃん。イッちゃいなさい」

 そのまま舌で、愛おしそうに、加奈子の首筋を舐める。そうしながら、空いた片手を少女の未だ大きくなりきっていない乳房に伸ばした。やわやわと手応えを確かめるようにさすり上げてから、先端で赤くしこる乳首を、指先でつまむように転がした。

「ひうっ…ああ!」

 鋭敏な刺激が加奈子を貫き、少女は背を反らしながら硬直する。
 一瞬、頭が真っ白になった。姉の手により、軽い絶頂を迎えてしまった加奈子だったが、しかしゆっくりと浸る暇など与えられはしなかった。僅かな時間遠のいた意識が戻ってくると、すぐさま今度は下半身を責める少年の剛直が、彼女を嬲りあげる。

(わたし……壊れちゃうよぅ!)

 胸を姉に、柔肉を少年にいたぶられ、加奈子は再び、あっというまに更なる絶頂へと押し上げられる。口から漏れる声は、もはや言葉になどなってはおらず、意味のない音の羅列でしかない。だが、それを止める余裕など、彼女にはなかった。
 身体に加えられる快感はもはや彼女にとって受け入れられる限界に達しており、それをなんとか乗り切ろうと、意味のない声を上げ、背をくねらせているしか、加奈子にはできなかった。

 そして少年が、彼女に覆い被さりながら短くうめき声を上げたかと思うと、それまでで一番力強く、彼女の一番奥にまで侵入してきた。

「くっ、出る……っ!」

 ズンっという一突きのあと、加奈子は体内に、熱い衝撃が放たれるのを感じた。男が、女の胎内に、己の欲望を注ぎ込んだことを、少女は本能で察知した。

「はあ、イク…いっちゃ……あああぁぁ!!」

 同時に少女の口から絶頂の悲鳴が上がり、そして加奈子の意識は、深く白い霧の中に落ち込んでいった。

 ドクッドクッ――と少女の最奥に精液を放出し、その快感を味わいながら、章司は疑問を感じていた。
 既に、何度射精したことか。年上の女性に二度。一度目は入れた瞬間に達してしまったが、そのまま抜きもしないでもう一度射精した。これが、彼にとって初めてのセックスだった。その後に、少女の口に。そして、今度は膣の中に。続けて四回目の射精であるにもかかわらず、自分でも呆れるほどの量の精液を少女の中に注いでいる。
 しかも、それだけではなかった。
 精液を吐き出しているにも関わらず、その間、彼は同じ肉棒を伝わって、何か温かくて心地よいものが、女体から自分に向けて流れ込む快感を知覚していたのだ。

「なんだ、これ?」

 思わず、呟く。

『それも、わたしが貴方にあげた力のひとつよ』

 例の“声”が、彼に囁いた。

『他人を操る――特に相手の性欲を操る力については、もうこれ以上説明はいらないようね。十分に、活用できてるみたいだし』

 そう。彼は新しく得た人外の力を用いて、姉妹を操作し、ここまで彼を運ばせたのだ。

『そして貴方が感じていたのは、性行為を通して、相手から生命力を吸い取る力よ』

“エサ”……餌か、あるいは贄か。声は、理沙と加奈子の姉妹を、そう呼んでいた。

『性行為を繰り返すことで、貴方はますます力を増すわ。もちろん、精力も。自慰行為で浪費し尽くさない限り、底なしの絶倫って事ね』

 随分と、便利な力だ。

『もちろん、貴方が吸い込んだ生命力は、わたしも分けてもらっているわよ。そういう契約だったでしょう?』

 声の、言う通り。おかげでまだ生きているのだから、章司に文句など無い。ましてや、どうにも怪しい状況の上とはいえ、女の子二人を相手に童貞を喪失するという、アダルトビデオか妄想の中でしか有り得ないだろう、幸福な体験をしているのだから。
 その分、なにか後になって酷い目を見ないか、心配な気もしてくるのだが。

『何を言っているの。まだ、全然足りていないのに』

 足りないって、何が?

『生命力よ。貴方、本当ならとっくに死んでいるはずなの。この程度の量では、まだ完全な回復には、ほど遠いわ。数日も活動すれば、見せかけだけの治癒を保てなくなって、あっというまにまた死体よ?』

 それは困る。

『じゃあ、頑張らないと。貴方だけでなく、わたしが十分に回復する分も、ね』

「わかったよ」

 呟きで答えた章司の下半身に、ぬらりと新たな快感が触れる。目を向ければ、二人のうち姉であるらしい綺麗な女性が、少年のペニスに舌を這わせていた。精液と、妹の出した愛液、そして破瓜の証明である赤い液体がまとわりついたソレを、恭しいとも言える仕草で口に含む。

「ん…っぁあ、まだこんなに元気だなんて。お願いします。私にも、もう一度……」

 顔にかかる長い髪を手でかき上げながら、淫らな奉仕を見せつけるようにして行う、彼女。前髪の合間からのぞく媚びを含んだ彼女の視線と、少年の視線が、絡み合う。章司は、視線を触手のように彼女の瞳の中に伸ばし、かるく意志を伝えた。

「はあ……あああっ」

 それだけで、彼女は全身に沸き起こった官能の疼きに、身を震わせる。
 章司は、いくつか年上と思われるこの美女を、再び組み敷く。欲望のままに、貪るように――そして実際に、彼女の魂を貪る為に――彼は荒々しく、腰を使い始めた。

< 続く >

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