第五話:笑み
シュン…
「! 明日香!美香!どうしたの!」
「た… たいちょう…」
「う… 美香… …ありが… とう…」
明日香と美香はそのまま気を失った。
「ん…」
「明日香さん!気がついたんですね! よかった~… 今隊長を呼んできますね!」
そう言い美香は部屋を出ていった。
(ん… あたし達… 助かったんだ…)
明日香は安心し、ホッとため息をついた。
そして部屋のドアが開き、緑が入ってきた。
「明日香… 目が覚めたのね! よかった…」
「隊長…」
明日香は目に涙をうかべた。
「辛かったわね… もう大丈夫だから…」
緑はそう言い、明日香を抱きしめた。
「隊長… ゆ… 唯が!」
「えー… 美香から聞いたわ… でも大丈夫。きっと元通りになるわ…」
「隊長~!」
明日香は大粒の涙を流した。
「隊長… 私はどのぐらい寝ていたんですか?」
少し落ち着きをとり戻した明日香が訪ねた。
「丸二日間よ…」
「そうですか…」
その時、再びドアが開き、美香が入ってきた。
「明日香さん。おなかはすいていませんか? クッキーを焼いてきましたわ」
「美香! 病み上がりにクッキーは良くないわ」
「そうですね… すいませんでした…」
「大丈夫ですよ!もう元気ですし、おなかもすいてるし!」
「…もう …仕方ないわね~」
緑が怒りながらも笑顔で言った。
「やったー!」
明日香が喜び、美香のクッキーをほおばった。
「……… おいし~!」
「よかったですわ… 上手くできたか心配してましたの」
美香が微笑んで応えた。
「あいかわらず料理がうまいね!」
「そんなことありませんわ。隊長もいかがですか? たくさん作りましたからどうぞ」
「いただくわ」
そして緑もクッキーに手を伸ばした。
「……… おいしい! 腕をあげたわね~… 甘いのにしつこくないわ。癖になりそうだわ」
「うふふ… 言い過ぎですわ。 ではおかわりのクッキーも持ってきますね」
そう言い、美香は部屋を出ていった。
そして二人から姿が見えなくなると美香は妖艶な笑みを浮かべた…
「ふぅ… おいしかった~!」
「美香、ごちそうさま。おいしかったわ」
「うふふ… たくさん食べましたね…」
「食べ過ぎちゃったよ~! ダイエットしなきゃ」
「そんなことしなくても明日香さんはお綺麗ですわ。もちろん緑隊長も。それに、カロリーは低くしてありますから」
「さすがだね!」
「明日香さんが元気になってよかったですわ」
美香は笑顔で返した。
「さ… 私はそろそろ仕事に戻るわ」
「あ… 私も…」
「あなたはいいわ。明日までゆっくり休んでいなさい」
「で… でも…」
「大丈夫ですわ。私が隊長のお手伝いをしますから。明日香さんはゆっくり休んでいてください」
「……… わかったわ! じゃあお言葉に甘えて…」
「うふふ… それではまた。 何かあったら呼んでくださいね」
そう言い、緑と明日香は部屋を出ていった。
(あれから二日間か~… 唯は……どうしてるんだろう…
デスメテオになんか弄ばれて…
デスメテオ…… 許さない!
でも… 美香が無事でよかった…
…美香は大丈夫だったのかな?
あたしに気を使って元気に振る舞っているだけ…?
……そうよね。美香は芯が強い娘だから私に心配かけさしたくないのね…
…あれ? 眠くなってきちゃった…
昨日もおとといもいっぱい寝たはずなのに……?
まぁいっか!今日だけは休ませてもらおうかな!
明日からまたがん… ばろ… 美香のためにも… 唯のた… め… に… も………)
一方、
「本部、こちらKUNOICHI・A部隊部隊長・緑です」
「こちら本部です」
スピーカーからそう聴こえてくると、モニターに再び例の女性が写った。
「本部! 明日香が目を覚ましました!」
「そうですか… ひとまず安心ですね。容態はどうですか?」
「まだ少し疲れているようですが、他に別状はありません」
「そうですか… 美香の様子はどうですか?」
「私は大丈夫です」
美香がモニターの前に出て言った。
「そうですか。明日香が助かったのはあなたのおかげだと聞きました… 私からも感謝を申しあげます」
「いえ… そんな…」
美香が照れながら言った。
「…話を変えますが、サクリファーについてですが、基地は移動したようです… 以前の基地があった場所に偵察部隊を出したのですが蛻の殻でした… 今、総力をあげて探しています。分かり次第、連絡します」
「「了解」」
「では」
そしてモニターが消えた。
「ふぅー… さ! 本部への報告書書かなきゃ」
「手伝いますわ」
美香が再び笑顔で言った。
「あら! ありがとう!」
そう言い、緑と美香は隣の部屋に移り、緑が座り、その隣に美香が座った。
数十分後…
「……ちょう! たいちょう! 隊長!」
緑はハッとして目を覚ました。
「隊長… お疲れになっているようですね」
「え!? えー…」
緑は確かに疲れていた。しかし今までに勤務中に居眠りなど一度もしたことがなかったのだ。
(どうしちゃったのかしら… 私…)
「隊長… お休みになってください。あとは私がやっておきますから」
「で…でも…」
「いいですから!」
「……やっぱり悪いわ… もうあと少しだから終わら!」
緑が言葉を言い切らないうちに美香が人指し指を額におさえつけた。
「み! …か …な」
すると緑の目の焦点が定まらなくなり、虚空を見つめた。
「緑、聞きなさい… あなたはとっても疲れているの… だから今日は部下に仕事を任せて自室でゆっくり休みたいの… わかった?」
美香がそう言うと緑はその表情のまま、ゆっくり頷いた。
そして、美香が人指し指を離した。
「…… …あら? 私は…」
「隊長~… やっぱりお疲れになっていますわ… 立ったまま寝ちゃって… やっぱり今日は私が仕事を片付けますわ」
「……そうね。 ごめんなさい… お願いするわ…」
「はい」
美香がそういうと緑は夢遊病患者のように自室へと帰っていった。
更に数十分後…
(美香よ… 様子はどうだ)
デスメテオが美香の心に話しかけてきた。
(はい。デスメテオ様。全てが順調です)
(そうかよくやった… しかし、闇の魔法はそっちの世界では極力使うなよ。KUNOICHIの本部に気付かれる危険性があるからな…)
(はい… 気付いておられましたか…)
(無論だ…)
(も… 申し訳ございません…)
(まぁよい… 次の作戦へ移れ)
(はい…)
(俺のエキスの効果で二人ともすでに淫らな体になっているはずだ… たやすく作戦を成功させることができるだろう…)
(はい… かしこまりました)
(うむ…)
「フッフッフッ… 唯よ… 明日香と緑が仲間になればうれしいか?」
「はひ、ふへひいへふ」
唯がデスメテオの肉棒を加えたまま言った。
「フッフッフッ… そうか… もうすぐにそうなるぞ… それにその二人だけではない… KUNOICHI全員、いや、地球人全員の雌が俺のモノになるのだ… クックックッ… さぁ… 出すぞ! こぼすなよ!」
「はひ!」
「よし! 俺と共に… ……逝けー!!!」
「ん~!!!」
< 続く >