○○なあたし02 第2話のご

2のご(2日目・昼) プレゼント

※エロはありませんのでご注意ください。

「……何で?」
 そう言って、あたしは涼を疑いの眼で見る。
「いや、その」
 そう涼は言いよどんだ。

 9月半ばの日曜日は、やっぱり暑いけれど、空気が少し乾燥していて過ごしやすい。過ごしやすい日曜日ということもあって、駅前はものすごい人の数だった。
 そんな中、ハンバーガーショップで昼食を済ませたあと、そのまま居座ってダベっているあたし達二人。
 今は、このあとどこに行こうかを考えている最中なんだけど、そこで涼がリクエストしたのが……

「……何で、ペットショップ?」

「いや、ちょっと欲しいものがあるんだけど……」
「……涼、何かペット飼ってたっけ?」
 あたしは、涼の家には何回か行ったことがあるけど、ペットらしきものを見たことはない。まさかデート中にペットを買うわけもないだろうし……と思っていると、涼が何かを決心したように口を開いた。
「ペットは、これから飼いたいんだよね……」
 そう言って、私を見る。
「へー、そうなんだ。何を?」
「……わかんない?」
 涼が、あたしを見つめる。
「……? …………!」
 うっ……まさか、それって……
「涼、まさか……」
「……その、まさかの、つもりなんだけど」
 そう言って、涼はあたしを遠慮がちに指さす。
 マジかよっ!
「だって、都ちゃん、昨日『ペットって言われてもいい』って言ってくれたし、そういうこともできたらいいかなあ、って……いやもちろん、都ちゃんが良ければだけど」
「ちょっと待て。その前に、何を買う気?」
「……都ちゃん用の、首輪」
「待てコラぁっ!」
 思わず叫んでしまって、周りの人に聞かれるとまずいと思ってすぐ声を落とす。
「く、首輪って!」
「だ、だって……やっぱりその、都ちゃんが僕のものだっていう証拠……みたいなのが欲しいかなって思って」
「まだなるって決めたわけじゃないやいっ」
「いや、だから体験してもらうのが一番じゃないかと……」
 涼が、目を泳がせながらそう弁解する。
「ダメ……?」
「う……」
 そう聞かれて、あたしは考え込む。
 あたしの理性の半分は、そんなことできるか、と言っている。けど、もう半分は、「涼の言うことなら聞いてやってもいいんじゃないか」なんて思っている。
 ちょっと考えたら、そりゃあ確かに恥ずかしいけど、だからといって、そんなにムキになって嫌がるものでもないような気がする。正直、想像した限りでは、昨日の夜とかに催眠でやらされたことよりはよっぽどマシなんじゃないだろうか、と思う。
 でも……
 もう片方の理性が言う。
「ね、ねぇ、涼」
「ん?」
「首輪って、ことは……あたしは、ペット扱いって、こと?」
「……ええっと……」
 そうなのだ。
 首輪といっても、単純にあたしが首輪をつけて終わりではないはずだ。多分、今までの涼の行動を考えると……
「……そういうことも、してみたい」
 やっぱり。もちろん、催眠で、だろう。
 ……本音を言うと、そういうのに全く興味がないか、といえば、それはウソになる。多少、何をされるのかという興味はある。そもそも催眠は好きだし、今回のデートでやられたことも……まあその、キライじゃない。
 ただ、今回の内容はちょっと得体が知れない。だから、少し怖いのだ。
 たっぷり30秒ほど考えて、あたしは答える。
「条件」
「え?」
「とりあえず、その催眠は今回のデート限定にすること。あと、呼び捨てのやつと同じように反抗できるようにして。正直、どうなるかわかんないし、怖いから。約束してくれたら、やってもいいよ」
「わかった」
 即答だった。
「ありがとう」
 涼が笑う。
 その笑いは、いやらしいこととか、そういうこととは全然関係なくて、「僕の気持ちが通じて嬉しい」という、純粋な喜びの顔だった。
 ──とりあえず、よかった、かな。

 涼に連れてこられたペットショップは、とある百貨店の中にあった。
 エレベーターから降りると、目の前の道が二手に分かれている。左はペット用品で、右では犬とかのペット自体を売っているようだ。
 いうまでもなく、あたし達は左側に進む。
「えぇっと……」
 涼があたしの手を握りつつ、お目当てのコーナーを探す。きょろきょろと見回したあと、「首輪」と書かれたコーナー案内を発見して、あたしをそこに引っ張っていく。
 たどり着いたのは、犬用と猫用の首輪コーナーだった。

「……」
「……都ちゃん、何か緊張してる?」
「……ん」
 そうか、あたし緊張してるんだ、って涼に言われて初めて気がついた。
 確かに、どういうことになるのか全く見当がつかなくて、緊張しているというのは確かだと思う。
 首輪をつけるというのがどういうことなのか、首輪をつけるとどんな気持ちになるのか、期待と不安が入り交じっている。
「んーっと……わぁ、結構高いなあ」
 涼が首輪を見ながら言う。
 涼が持っている値札をのぞき込むと、「3480円」って書いてあった。
 ……確かに、ちょっと高いような気がする。
「……都ちゃん、首周り何センチかわかる?」
「知るかっ!」
「……だよねえ」
 そう言って、涼はきょろきょろと周りを見回す。手には、さっきの3480円のやつよりシンプルな首輪。
「動かないでね」
 そう言って、涼が
「よっ」
 さっと、あたしの首に首輪を巻き付ける。
「…………!」
 当然のように、あたしの顔は一瞬にして真っ赤になった。
 恥っずかしい!!!
 ……と言おうとしたけど、口がぱくぱくするだけで声が出ない。
 それを見て、涼がニヤリと笑う。
「恥ずかしい?」
 こくこく。
 あたしの真っ赤な顔をしばらく観賞して、涼は……
「もうちょっと大きい方がいいな」
 何事もなかったかのように首輪探しに戻る。
 サド。
「動かないでよね」
 といわれて涼の手を見ると、さっきより少し大きい首輪を持っていた。
 ……ちょっと待て、それ……
 さっ
 と、考え事をしている間に、涼はあたしに首輪を「試着」させる。
 ……やっぱり、恥ずかしい……!
「うん、こんくらいでよし」
「あのさ、涼……」
「ん?」
「何で、ピンク?」
 とりあえず、涼に突っ込む。
 「恥ずかしい」なんて文句を言ってもサドな涼は多分喜ぶだけなので、そっちは言わないでおく。
 もう一つの問題は……涼の持っている首輪が、ピンク色だということ。
「だって、かわいいじゃん」
 と、涼のあっさりした答え。
「ちょっと迷ったけど、これが似合うかなと思って」
「え……」
 涼にそう言われて、あたしは戸惑ってしまった。
 あたしは普段、夏だと黄色とかの明るい色や、青系の涼しい色を着ることが多い。冬はそれより濃い色にはなるけど、何にしろピンクは着たことがない。
 むしろ、ピンクが似合うのは流の方で……
「都ちゃん、ピンク似合うと思うよ?」
「似合わないもん……」
「そんなことないよ、都ちゃんはこういう女の子っぽい色も似合うって。
 都ちゃん、自分がどれだけかわいいかわかってないでしょ」
「なっ……!!」
 何だよその口説き文句っ!
「よくそういうこと言えるなおまえっ」
 店の中だから声を抑えるけど、あたしは真っ赤になりながら涼に力一杯突っ込む。
「だって、本当のことじゃん」
 にこっと笑って、何の臆面もなく答える涼。
 わかる。涼は本気だ。お世辞のかけらもなく本気で言っている。本気だからタチが悪い。
 ……で、あたしは反論できなくなって、結局ピンクの首輪で押し切られてしまった。
 くそ。上手い奴だ……あたしの扱いが。
 悔しい。

「お願いしまーす」
「はぁいいらっしゃいませー」
 涼がレジに首輪を持って行くと、売り物を並べていた店員さんがレジに駆け寄ってきた。大学生くらいのお姉さんだと思う。
「これ」
「はぁい」
 ぴ。
「ピンクの首輪ですかぁ」
「はい」
「そちらは彼女さんですかぁ」
「えぇ……」
 何だこの人。ちょっとなれなれしい。
「さっき、彼女さんにこの首輪巻いてましたねぇ、彼女さん用ですかぁ?」
 ぎくぎくぅっ!!!
 お姉さんが意地悪そうに笑って言った一言に、あたし達の心臓は跳ね上がった。
「い、いえっ、うちの犬が、みや、いえ彼女と大体同じくらいの首の大きさなんですよ」
「あ、そうなんですかぁ」
 涼が何とか言い訳する。お姉さんは、納得したような言葉を言ったけど、ニヤッと笑っている。
 ……バレたぞちくしょうっ!!
 お姉さんが渡してくれた首輪を涼がひったくるようにして、あたし達は店から逃げ出した。

「バレてたじゃないかぁっ!」
「ごめ、見られてるとは思わなかったっ」
 エレベーターがすぐ来る感じではなかったので、あたし達はとりあえず階段に逃げ込んだ。
 言うまでもないけど、あたしの顔は真っ赤っか。本当に火を噴きそうだ。
「ごめん! ほんとにごめん!」
「ううぅぅうぅぅぅうう」
 ひたすら頭を下げる涼を睨んで、あたしはうなりを上げる。
「ごめんなさいいぃぃっ」
 完全に縮こまる涼。
 でも、あたしの怒りはまだ収まらない。
「涼、顔上げて」
 あたしの命令に、涼は素直に従う。
 ぎゅうううぅぅぅぅぅ
「い……っ!」
 あたしは涼の頬を、力一杯つねり上げる。
 声を上げそうになるけど、耐える涼。
「ぬぬぬぬぬぬっ」
「ぐっ……!」
 手が疲れた。
 手を放す。
 まだ、じっと黙っている涼。
「これで、おあいこ」
「……ありがと」
 ……まあ、涼も気づいてなかったわけだし。これ以上責めても八つ当たりにしかならない。
 ……元から八つ当たりだっていう説は却下。

「えらい目に遭った……」
 疲れた声で言う涼と、
「本当」
 同じく疲れた声で、というか疲れたあたし。
 とりあえず一階だけ降りて、あたし達は再びエレベーターに向かっていた。
 でも、とりあえず買い物は終わったわけで、一安心……じゃないじゃない。首輪なんか買っちまって問題はこれからだ。
 そう思いながら涼が持ってる紙袋を睨んでいると、
「あっ」
 涼が声を上げた。
「ん?」
「あのさあ都ちゃん、僕もう一か所行きたいところができたんだけど、いい?」
「何、突然」
 さっきのこともあったから、あたしは疑惑のまなざしで涼を見る。
「ここ」
 そう言って百貨店の案内を指さす。
 そこに書いてあったのは……

「わぁ、きれい」
 ショーウインドウに釘付けになるあたしと、
「うん、そうだね」
 あたしの後ろで微笑む涼。
 涼が指さしたのは、同じ百貨店の中に入っていた「アクセサリーショップ」だった。
 正直疲れていたあたしだけど、ショーウインドウに飾られている指輪を見た瞬間、思わず飛びついてしまった。
 ……あたしとしたことが。
 あたしはアクセサリーは普段つけないんだけど、女の子だから、やっぱり興味はある。かわいいものはかわいいと思うし、いいなあ、と思うこともある。
 でも、今回は……「いいなあ」とは言わない。そう言う前に、値札があたしの目に入ってしまった。この値段では、あたしや涼では絶対に手が出ない。おねだりしているように受け止められるようなことを、言っちゃ駄目だろう。
「こういうの、都ちゃんにプレゼントしてみたいなあ」
 と思ったら、涼が先にそう言ってきた。
「あはは、高校生が無理しちゃだめさ」
 あたしはそう返す。
「でもさあ、やっぱ、彼女にこういうのを贈るっていうのは男の夢なのよ」
 ……ああ、何かわかるような気がする。男って見栄張りたがるらしいし。
 それに、女の子であるあたしも、そういうのを彼氏からもらうのは「夢」だ。
 いや、指輪が欲しいってんじゃなくて、そういうのがもらえる関係になりたいってことで……
 ……これ以上言わすな。
「ん、なんだこれ」
 涼がそう言うと、ショーウインドウの向こう側にいた店員さんが「これで指の大きさを測るんですよ」と説明してくれた。見たら、いろいろな大きさのリングがじゃらじゃらとくっついていた。
「へぇ、都ちゃん、ちょっと指出して」
 そう言われて、何も考えずに涼に右手を出す。
「どれどれ」
 と、涼は適当に選んだと思われるリングをあたしの指に嵌める。
「もうちょっと小さいか……」
 といいつつ、いろいろ試す涼。
 ……待て、その指は……
「ん、こんくらいか」
 と、満足したような顔の涼。
 だけど、その横ですっかり真っ赤なあたし。
 というのも、涼がリングを嵌めたのは……あたしの薬指だったのだ。
 あたしが出したのは右手だったけど……もし、左手を出してたら。
 ……かああぁぁぁぁっ
「どうしたの?」
 涼が聞いて、
「な、んでもない」
 あたしが答える。
 にこっと笑う涼。
 ……わかっててやってんのか?

 とりあえず指輪売り場を離れると、ネックレス・ペンダント売り場があった。
「これもきれいだな」
「うん」
「あ、これ安い」
 涼が値札を見て言う。
 ネックレスはやっぱりちょっと高かったけど、ペンダントはあたし達のような高校生でも買える値段のものだった。
 せっかくなので、あたしも手にとってみる。
 へぇーこれかわいー。
 あ、でもちょっと高すぎるか。ちぇっ。……いや、似合うかどうかは別として、こういうのもやっぱ欲しいとは思う。勇気がなくて買えないけど。
 と、
「都ちゃん、これ、どう?」
 あたしが顔を上げると、涼が手に持っているネックレスを見せる。
 それは、星のペンダントだった。ペンダントがゆらゆら揺れるのに合わせて、ペンダントがきらきらと青く光る。
「かわいいね、それ」
 何も考えずに答えると、
「じゃあ、これ都ちゃんにプレゼント」
「えっ」
 思いっきり不意を突かれるあたし。
「……えーと、大丈夫なの?」
「いや、大丈夫だよ?……安いしこれ」
 そう言うので、あたしは値札を……見るのはどうかと思ってやめた。
 似合わないんじゃ……と言おうとも思ったけど、涼の答えはわかってるし、あたしがまた真っ赤になるだけだろうから黙っておく。
 ……一瞬、もう一回その「答え」を言ってもらおうかと思ってしまったのは内緒だ。
「え、じゃ、ちょっと待ってよ」
 あたしもペンダントを探す。
「……これなんかどう?」
 あたしが選んだのは、三日月のペンダントだった。銀色に輝く、きれいなペンダント。
「いいの?」
「もちろん」
 プレゼント、もらいっぱなしじゃ悪いし。それに……
 星と、三日月。
 いいじゃん。

「うーん、まだ2時だな」
 涼が時計を見ながらつぶやく。ホテルのチェックインは3時だから、あと1時間ある。
 あたし達は、買い物を終えて、百貨店を出てきたところだった。
 でも、入ったときとは変わっているところが三か所。
 涼の右手の紙袋と……二人の胸元のペンダントだ。
 えへへ。恋人同士みたいだ。……って待て、あたし達は最初から恋人同士だっての!
 恋人同士……
「都ちゃん、どうしたの?」
「なななんでもないなんでもない」
「ふ~ん?」
 危ない……涼に一人でもだえているところを見られるところだった。
「ちょっと疲れたなあ」
 ……あ、そうだった。
 涼にそう言われた途端、あたしは疲れていたのを思い出して、身体が少しだるくなる。
「どうする、ちょっと休む?」
「そだね」
「えーと、じゃ」
 きょろきょろ見回しつつ、涼が言う。
「確かこっちに公園があったから、そこ行こうか」

「結構涼しいな」
「本当だね」
 公園に来たあたし達は、日陰にあったベンチに腰掛ける。
 9月も中旬だからだろうか、日が当たらないところでは、真夏の時より結構涼しい。
 この公園は、さっきの百貨店から道を一本入ったところにあって、表通りとは違ってとっても静かだった。で、このベンチは大きな木の陰になっている。
 二人、隣り合って座る。
 ふぅ。
 一息ついて横を見ると、涼があたしを見つめていた。
「な、なにさ」
「……やっぱり、よく似合ってるね、よかった」
 そう言って、ネックレスを見る。
「あ……ありがと」
 あたしは、頬を赤くして答える。
 と、涼が肩に手を回してきた。
 あ……
 あたしは顔を上げる。
 涼の顔が近づく。
 ……ちゅっ。
 涼のキスに、当然のように応えるあたし。
「ん……」
 涼が舌を入れてきて、あたしはそれを受け容れる。
「ん……ふ……」
 き、もち、いぃ……
「ふ……」
 涼が唇を離す。
「…………ちょっと待て」
「ん?」
「こんなところでするかぁっ!」
「いいじゃん、人いないし」
「さっきの反省はないんかおまえっ!」
「別に、キスシーンは見られてもいいじゃん」
「ちょ、まっ!」
「都ちゃんは、僕が彼氏だって思われるの、嫌?」
「な、イヤじゃないけどぉっ……!?」
 ぎゅぅっ
 涼に抱きつかれた。
「僕は、みんなにアツアツなとこ見せつけてやりたいけど?」
 ふふ、と笑いながら涼が耳元で囁く。
「ば、ばかっぷる……」
「バカップルでいいじゃん」
「むぅ……」
 文句を言いながらも、やっぱり、涼に抱きつかれるのはきもちいい。
 見られたらどうしよう……とは思うけど、抱き合う快感には抗えなかった。
「へぅ……」
 その快感に身を任せていると、段々眠くなってくる。
「えうぅ、眠くなってきちゃった……」
「ん、じゃあ、ちょっと寝な……あ、そだ」
「ん?」
「ちょっとやってみたいことがあるんだけど、いい?」
「なぁに?」
「ほら、こういうところだと、ベッドと違って寝づらいでしょ?」
 ……まあ、そうだね、確かに。
「だからさ、……催眠で寝かせてみたいんだけど、いい?」
「……」
 何言い出すこいつ。
「ほら、だって、その方がすぐ眠れるだろうし、都ちゃんも気持ちよくなるんじゃないかなー、って」
「………………別に、いいけど」
 特に、イヤってわけじゃないし。
「じゃあ、都ちゃん、こっち向いて」
 ちょっと重くなった(眠気で、だよ。念のため)身体を動かして、涼を見つめる。
「『夢の家にようこそ』」
 あー……
 あたしの意識が、ひゅぅっ、とおちていく。
 おちるのって、きもちいぃなぁ……
 くて。
 あ、涼のひざだ、これ。
「どう、都ちゃん、気持ちいい?」
「……ん……」
 涼に聞こえたかわからないけど、そうこたえる。
 なでなで
 涼が、あたしの頭をなでる。
「おやすみ、都ちゃん」
「ん……」
 あたまをゆっくりなでながら、涼がいう。
 あぁ、いぃなぁ、これ。ほんとに、きもち、いぃ。
 夏なのに、涼のぬくもりをあたたかく感じながら、あたしは夢のセカイに沈んでいった……。

< つづく >

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