天使のチカラ 第三話

第三話

「…ん?」

 ボクが綾姉ちゃんに切ってもらったスイカを頬張っていると、携帯の着信音が鳴った。

「誰から?」

「…宗佑だ。…はい、もしもし?」

 電話を取ると、宗佑の声が聞こえる。

「おう、修。体調はどうだ?」

「うん、休んだら大分良くなったよ。そろそろ戻ろうかと思ったところ」

「お、そうか。良かった良かった。楓も心配してたぜ」

 楓が…ボクを心配、か。
 宗佑の事を考えると嬉しいのか悲しいのか複雑な心境だけど…悪い気がしないのは確かだ。

「そろそろ日も暮れてきたし、俺らは民宿の方に戻ってみるよ。修はまだ綾姉ちゃんのトコにいるか?」

「いや、ボクも民宿に行ってみるよ。もう大丈夫そうだし」

「ん、そうだな。夕食も民宿で出るみたいだし…」

 ボクが電話越しにそんな会話を宗佑としていると、綾姉ちゃんが肘でグリグリとボクの肩を押す。

「おやおや~?修ちゃんはアタシとココであつ~い夜を過ごすんじゃなかったの~?」

「…うっさい、馬鹿姉」

「ひどいなー。さっきまで倒れてたんだから、ちょっとは心配してくれてもいい気がするんですけど~?」

 …さっきまで倒れてた、か。しかしまぁ、心配する事が何もないのは知っているし…ボクしか知らない事実なのだから。

 …もし。もしこのままボクが綾姉ちゃんの部屋に泊まったら…。
 姉ちゃんは…ボクを…その…。襲ったり、するのだろうか…。
 だってさっきの自慰行為は紛れもなくボクに向けたものだったワケだし…最近は特に多く…ボクを思ってシている事が多いって、言ってたし…。
 …姉ちゃんは恋愛感情かどうか分からない、って言っていたけど…ボクを性の対象としている目はあるって事、だよな…。

 … … …。
 なんだか、少し照れたような、嬉しいような気持ちだ。

「…お~い、修~?」

「…はっ!ご、ごめん、宗佑。なに?」

 考え事をしていたら、電話の向こうの宗佑をすっかり忘れてしまっていた。

「とにかく俺らは民宿行ってるからな。俺らの方が先に着いてると思うけど」

「あ、うん、分かった…。ボクも後から行く」

 電話を切るとボクは立ち上がり、荷物を肩に背負った。

「じゃあ民宿に帰るよ。有難うね、姉ちゃん」

「おー、気をつけて行きなよ。アタシも多分後で行くと思うけど。夕食の片付け手伝わなくちゃだし」

「夕食の準備は手伝わなくていいの?」

「難しい料理とか出来ないからさ。配膳だけなら女将だけで出来るし、皿洗いくらいしかする事ないのよ」

「なんだ…姉ちゃんの事だからサボりかと思った」

「なんだと~!この~!」

 姉ちゃんはボクを脇でヘッドロックして、頭を拳でグリグリと責める。

「いたいっ!いたいってばっ!やめ、ごめ、悪かったって!」

「相変わらず生意気なんだからこの貧弱弟が~っ!」

 そう言う姉ちゃんの声はとても楽しそうだった。
 昔…小さい頃は、こんな風にじゃれあったものだ。
 かくいう僕も…久しぶりに姉にプロレス技をかけられて、懐かしいような嬉しい気分になっていた。

「…修」

「…ん?」

 途端に綾姉ちゃんの声のトーンが落ちて、優しい声に変わる。
 脇で頭を固める、というよりはボクを抱いているような力になって…。

「…逢いにきてくれて、アリガトね。…嬉しかった」

「…うん」

 姉ちゃんは…優しくボクの頭を撫でてくれた。
 少し罪悪感を感じたけど…まぁ…いいよね。姉ちゃんに直接ボクが触れたワケじゃないんだし…。

 水平線に夕日が半分沈んでいる。
 辺りは僅かに暗く、静かになっていた。さっきまでは賑やかだった砂浜の人達も、ほとんどが帰路についたらしい。

 姉ちゃんのアパートから民宿まで、歩いて10分程。
 静かになった海岸沿いの道をのんびりと一人で歩きながら、ボクはこれからの計画を練っていた。

 さて…いよいよ、楓達にアイテムを使う時がきた。
 実験は十分にした。【空間変化の板】に【支配の糸】。それぞれ、期待以上の効果を発揮してくれた。
 そして…まだ使っていないアイテムが、5つ。前に使った2つの道具の効果を見て、まだ見ぬ道具にも期待が出来る。
 人を操る道具…想像するだけで、ワクワクする。
 想像するだけではなく…想像が現実になる、という快感。日常では味わえない、人を支配するという喜び。

「…くっくっく…」

 思わず笑みがこぼれる。こんなところ、もし楓達に見られたら、なんて言われ…。

「な~に気持ち悪い笑い方してるのよ、修」

「!!! どわぁあああああっ!!??」

 後ろから唐突にかけられた声に驚き、ボクは垂直に飛び上がる。
 慌てて手にしていたポーチを後ろに隠すと、その声の主の方へとボクは振り返った。

「か、かかかかか、楓!?それに…宗佑…恭子ちゃん…」

「よう。その様子だと体調も戻ったみたいだな、修」

 宗佑はからかうようにそう言って、笑った。恭子ちゃんも楓と宗佑の後ろに隠れて、ボクの様子を見ている。

「だ、だ、大丈夫だけど…どうしたのさ?みんな…。さ、先に戻ってるって…」

「ちょっと美味しそうなカキ氷のお店見つけたから、3人で寄ってたのよ。だから今から民宿戻るトコロ。そしたら1人でニヤニヤしてる修を見かけた、ってワケ」

「あ~…そ、そうなの…あはははは…」

 ジーッ、と怪しいモノを見るような眼で、楓がボクを睨んでいる。ま、まずい…。

「なんかイイ事でもあったの?修。そういえば、さっき後ろに何か隠してたような…」

 う、す、鋭い…。でも、このポーチの事だけはバラすわけにはいかないし…隠し通さなければ…。

「うっ…げ、ゲホゲホッ。ま、また体調が悪くなってきたみたい…は、早く民宿に戻ろうよ…」

「…な~んか怪しいのよね~。何か隠してない?修」

「げ、ゲホゲホゲホゲホ!!」

 ボクが大げさに咳き込むと、恭子ちゃんが楓に向けて心配そうに言った。

「ほ、ほら、楓ちゃん…修くん具合悪いって言ってるし…早く民宿に戻ろ?ね?」

「…む~…」

 な、ナイスフォロー、恭子ちゃん…。おかげで楓の疑いの眼差しが少し和らいだ。

「とにかく民宿戻ろうぜ。カキ氷食ったら余計腹減っちまったよ、俺」

 それに便乗して、宗佑も楓を帰らせようと誘導してくれる。
 …どうにか誤魔化せたみたいだ。

「どういう体質してるのよアンタは…。ま、いいや。修、歩ける?」

「う、うん…大丈夫。気にしないで先行ってよ」

 …一応は心配してくれてるんだね、楓…。

 民宿の玄関を開けると、美味しそうな匂いが漂ってくる。
 既に夕食の準備が出来ているらしく、女将さんが荷物を部屋に置いたら食堂で夕食を取ってくださいと声をかけてくれた。
 女将さんは、50代くらいの優しそうなオバサンだ。既に綾姉ちゃんからボク達の事は聞いているらしい。
 ボク達は部屋へ荷物を置きに戻ろうとした。

「… … …」

 先頭を歩いている楓が、ピタッと止まる。そして後ろを振り返り、宗佑を見た。
 …あ、そうか。

「…?なんだよ?」

 宗佑は気付かないらしく、首を傾げる。その様子に楓は少し怒ったように溜息をついて。

「…だーかーらー…さっきも言ったでしょ?あたし、今日スカートなの。先行って、宗佑、修」

「…別に覗きゃしないっつーの…」

「なんか言った!?」

 宗佑がやれやれ、と呆れた溜息をつくと、それはそれで楓は怒る。

 …ボクはその間に…ポーチの中身に手をかける。
 幸い、ボクは4人の中で一番後ろにいる。誰もボクを見ていない…宗佑と楓は覗く覗かないの言い争いをしていて、恭子ちゃんはその様子を見てオロオロしているだけ…。

 …少しだけ、ここでイタズラをしてみたい。楓を…少し操ってみたい。
 そんな衝動に駆られたのだ。

 ポーチの中の道具に手が触れ、ボクはそれを引き出した。
 …これは…?

「…はぁ…だから女心の分からない男ってのは嫌なのよねー、恭子ちゃん」

「え?あ…う…」

「…知るかよ。あー、もー、俺が先に行けばいいんだろ?ったく…こんなトコロで時間かけるなってんだよ。ほら、修、何やってるんだよ、男は先に…」

 …キィィィィィン…。

「…!?」

「…えっ…?」

「…あ…」

 … … …。

 一瞬、三人の瞳が澱んだのがボクにも見て取れた。
 …人の心を操る瞬間。ボクの手の中に…確かに三人が落ちたのだ。

「…えっ…と?…あれ…?…あ、そうだそうだ!」

 何かを思い出したように、楓はポン、と手を叩く。そして…。

 楓は、一歩前に出て階段を昇り始めたのだ。

 …自分のスカートを右手で捲くり、ボクと宗佑に見せ付けるようにしながら…。

「ほらっ!ちゃんと見てる!?修も、宗佑も!あたしのパンツ!」

「あ…あ、ああ…」

 宗佑は動揺しつつも、しっかりと楓のパンツを見ていた。
 …なにせ、ボクと宗佑は『そうしなくちゃいけない』んだから…。

 楓の黒のミニスカートの中は…青の縞パン。ボクの期待通りだった。
 秘所にしっかりと密着していて…目を凝らせば、割れ目の形もしっかりと…。

「う、ぶ…っ!」

 …い、いかん…興奮しすぎた。顔が熱くなりすぎて、少しよろけてしまう。
 無理もないよな…この中身を、学校で何人の男子が想像していたコトか…。

「さ、恭子ちゃんも行くよ?『女の子が先に階段を上る』のが普通でしょ?」

「あ、う、うん…そう…だよね」

 心のどこかで納得が出来ていないのか、恭子ちゃんはどこか躊躇いがちに階段を上り始める。

「…うぅ…」

 恥ずかしい行為は、恥ずかしい行為なのだろう。顔を真っ赤にしながら、恭子ちゃんはクリーム色のロングスカートに手をかける。

「ほーら!何躊躇ってるの!ダメだよっ、『女の子は階段を上る時、スカートの中身を見せなくちゃ』なんだからっ!」

 …楓は、そういうルールとか規律を重んじる性格だ。顔は少し赤いけれど、恭子ちゃんにもビシッとソレを伝えた。

「わ、分かったよ…見せる、から…っ」

 震える手で、恭子ちゃんは自分のスカートをたくし上げた。
 …純白。右手は震え、左手で赤くなった顔を隠しながらも、自分の下着はしっかりとボク達に見せ付けている。

「み、見てる…?ち、ちゃんと…見て…?」

 顔を真っ赤にしながら、声を震わせながら…恭子ちゃんは呟くようにボク達にそう言った。
 …ええ、見てます。見てますとも。見えすぎて恥ずかしいくらいに…ね。

 時間がゆっくり流れればいいのに、あっという間にその時間は過ぎてしまった。
 二人の美少女がスカートをたくし上げながら階段を上る姿は実に滑稽だったが、二人とも疑問とは思わないらしい。
 階段を上りきれば、楓はふぅ、と溜息をついてスカートにかけた手を離す。恭子ちゃんもようやく上った、という様子で安堵の溜息を漏らす。

「全く、嫌なルールだよね。階段上る時だけ修と宗佑にパンツ見せなくちゃなんて…」

「う…うん…」

 羞恥と嫌悪はありながらも、二人はそれに従わなければいけない。
 なにせ、それが二人の『ルール』なのだから。

 …【ルールノート】

 ・このノートに書かれた事は、自分の周囲の人間にとって『従って当然のルール』となる。
 ・ノートに書かれたルールは、消せば消失する。その際、そのルールに従った記憶は全ての人間から抹消される。

 これが、今回使ったアイテムだ。
 ボクはその道具を取り出してすぐに説明書を読み、急いでルールを書いた。
 幸い、ボクはボールペンを持ち歩いていて、すぐにノートにルールを書き出す事が出来た。

 【女子は階段を上がる時、男子にスカートの中身を見せながら上がる】

 …結果は大成功。いいものを拝ませていただきました。

 女子だけではなく、男子である宗佑にもしっかりその効果は働く。
 宗佑にとっても、女子のその行動は当然のルールであるわけだから何の疑問も持たない。
 全員が物事を誤認してしまうわけだ。…このうえなくイタズラに使える、便利な代物。

 【空間変化の板】に似ているけど、あれは部屋とかの空間限定だし、『~~をする部屋』という設定での誤認だから…これとはちょっと違うのかな。
 自分の周囲、っていうのがどこまで働くのか分からないけど…少なくとも、追加されたルールに疑問を抱く人がいないわけだから問題ないだろう。
 不都合ならボールペンで黒く塗りつぶせば記憶から消えるらしいし…うん、使い方が分かってきたぞ。

「?修ー?何ボーッとしてるの?」

「え?あ…!」

 そんな事を考えながらニヤニヤしていると、楓がボクの顔を覗き込んできた。
 ボクは慌ててルールノートを自分の背中に隠す。

「…なんかニヤニヤしてるし…あやしーなー、なんか」

「あ、怪しくなんて…ない、よ…」

「えー、なんか隠してるでしょー。ほら、後ろに何か隠してるっぽいし」

 う…す、鋭い…。
 楓とボクがそんなやり取りをしていると、宗佑と恭子ちゃんも気になったようでボクに近づいてくる。

 … … …。

 そうだ、このピンチ…イタズラに変えてやろう。

「あーっ!窓の外にUFOっぽいモノがーっ!!」

 ボクは普段あげないような大声を出して、窓を指差す。
 その気迫に驚いてか、ボク以外の三人は一斉にボクの指差した窓の方向へ振り返る。

 …いまだっ!ボクはルールノートにルールを素早く追加した!

 【ルール・女子が男子を怪しむ時は、気の済むまで自分の胸を揉ませる】

「…なにもいないじゃ…」

 …キィィィィィィン…。楓が振り返ってそう言うと同時に、ルールが適用されたようだった。
 一瞬、三人の眼が濁ったように見えた。
 ボクはその間にルールノートを背中側のズボンの間に挟んで、両手を空けておく。

「…?何もいないじゃん。…余計怪しい。絶対何か隠してるでしょ?修」

 そう言いながら楓はボクの前に立ちはだかり、ボクの両手をとって…

 自分の胸に押し当てた。

 小ぶりながらも、形の良い楓の胸。Tシャツと、その下に着けているであろうブラの下…微かにその弾力を感じる。

「ほら…早く…あたしのおっぱい、揉みなさいよ…。こんなにあたしが…修のコト、怪しんでるんだから…っ」

 楓の顔は紅潮し、声も恥ずかしさで途切れ途切れになってしまっている。
 それでも、そのルールに自分は従わなければならない。楓は少し震える手でボクの手を自分の胸に押し当てている。
 ボクは自分の指をゆっくりと動かしはじめて…。

 ふにゅん。

 そんな擬音が頭の中によぎる。

 …ああ…これが、女の子の…胸の感触…。
 クラクラするくらい気持ちよくて…ずっと触っていたい…。もう…死んでもいい…。
 憧れの女の子の胸を…揉めるだなんて…。

「ちょっと…修…っ」

「…え?」

「そんなに弱くじゃなくて…もっと、触ってよ…。修、絶対怪しいんだからぁ…」

 …楓の中では、【怪しさが増すほど強く揉ませる】という解釈をしているんだろうか。
 赤い顔をしながらも、やはり楓はそういうルールに従いやすいらしく、自分の中で拡大解釈をするようだ。
 …うーん、便利。

 と、楓はボクの手を取って…自分のTシャツの中に、ボクの手を突っ込ませる。

「!!!!」

 あまりの驚きに、ボクは思わず手を引っ込めようとするが楓の腕がぎゅっとそれを止める。

「ダメ。…直接触ってくれないと…ダメなんだから…っ」

 …そ、そんな積極的な…。
 …でも、それで楓が納得するっていうなら…仕方ない、よね。

 ボクはブラの中にも手を入れて…素肌の、楓の胸に触れる。

「…っ、ん…」

 Tシャツの中に手を入れてるだけだから、楓の胸は見えない。
 でも…ボクの手は、確かに楓の胸を触っている。小さな胸。そして…小さな突起物。柔らかな弾力。

 …ボクは何かが弾けた気がした。

 ふにふにふにふに。
 ボクは楓の胸を細かく、強く揉みまくる。

「…っ、あっ…!あ、ぅ…っ!し、修っ…やぁ…っ!ん…っ!」

 楓の、初めて見る表情。
 敏感なのか、胸を揉んでいるだけでも少し性感が高まるようだ。

 …楓が…ボクの手で、気持ちよくなってくれている…。
 それが嬉しくて、ボクは胸を揉み続ける。

「んっ…んんっ…!もっと…もっと揉まないと…っ!修、まだ怪しい、からぁ…っ!」

 …そうか。そんなに揉んで欲しいのか…。

 …確か、ボクと楓の横には宗佑と恭子ちゃんがいたな…。
 でも、今のボクにはその二人がどんな顔をしているのか全く分からなかった。
 楓の息遣い、言葉、表情…その全てを堪能したかったから…。

 もう恥じらいはない。
 ボクは楓と身体を密着させ…乳首を人差し指と親指で摘みながら、残りの指の手のひらで胸を揉む。

「っっ!そ、それ…っ!あンっ…!くぅぅぅ…っン!」

 楓の身体がビクン、と震えてボクに寄りかかる。
 耳に、楓の熱く、甘い吐息がかかる。
 顔が熱い。心臓がバクバクいっている。自分がまた死んでしまうのではないかと思うほどだ。
 それでも、ボクの手は勝手に動いて…。

「だ、だめっ…!も、もういいからっ…!もう、あたし…っ!イ…っ!」

 …イ?

 …その瞬間。

 ドクン。

 心臓が大きく鳴った気がすると、世界が揺れた。

 顔が熱い。熱すぎる。

 …ダメだ、ボク…興奮しすぎたみたいだ…。

「あ…あう…?」

 ふらーっ、とボクは仰け反ると…

 バターーーン!!!

 ボクは勢いよく床に倒れこんだ。

「…?あれ…?…修!?…ち、ちょっと、修!?大丈夫!?修ー!!!」

 楓が…ボクのコトを、心配してくれている。

 嗚呼…ボクは…なんて…幸せ者なんだ…。

 …残りの時間、ボクは、楓を…楓の身体を…もっと…。

 そんなコトを考えながら、ボクは恍惚の表情で鼻血を垂らしながら気絶した。

< つづく >

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