6話・~得手に帆を揚げる~
0:10・・・龍正の部屋
-バンッ-
勢いよく扉が開けられ、優嘉が入ってきた。
「ほら、来たじゃないですか」
「ウソ。だって寝る前は・・・」
「こいつは勘が異常に鋭いんですよ」
そう言いながらも樹莉はフェラチオを止めない。
「あ~っ!やっぱり!なんだかんだ言って樹莉さん!りゅ~せ~の事食べてるじゃない!」
「あ、あなたよっぽど勘がいいのね」
(・・・俺って食べられてたのか?・・・)
「そこどいてよ!」
優嘉はパジャマや下着をその辺に脱ぎ捨てた。
(ってもう全裸かよ!)
「大丈夫よお嬢ちゃん。お姉さん一人の物にはしないから」
「共有も嫌よ!これ以上私のエッチを減らされてたまるもんですか!」
「じゃあ・・・どうしたいのかしら?」
樹莉は優嘉の目を見つめる・・・
「な、何?・・・」
「・・・お嬢ちゃんは3Pがやってみたいんですって!龍正君」
「な!?・・・こ、心を読まないでよ!!」
(2人同時~?優嘉と麻衣ではあり得ない行為だ・・・新鮮かも・・・)
「・・・龍正君もいいって思ってるわよ。決定ね」
(たまにはりゅ~せ~を一方的に攻めたいかも・・・)
「じゃあ私は十分濡れてるから本番をいただくわよ。お嬢ちゃんは口でやってもらうといいわ」
「ちょ、ちょっと!何で彼女のアタシが本番を譲らないといけないのよ!」
「・・・それもそうね。じゃあ龍正君。ちょっと待っててね」
樹莉は優嘉にじわじわ歩み寄り、顔を両手で挟む。そしてそのままディープキス・・・
「ん・・・む・・・ふぁ・・・・」
(何これ・・・すっごい手馴れてる・・・)
「ふ・・・いい声ね・・・」
裸で唇をむさぼり合う女二人・・・それをじ~っと見つめる、今まで襲われていた男、そして彼氏でもある龍正。
(・・・いつまで待たせるんだ?・・・もうほっといて今日はもう寝るとするか・・・)
なんとこんな光景を見ても平然と眠りについた龍正。
別にしてもしなくてもどっちでもいいようだ。
1:00・・・同場所
(ん・・・この下半身に何かまとわり付く感じ・・・これは・・・)
「って寝てんのにジャマすんじゃねえよ!!この淫乱どもが!」
「ふえ?」
何が?という顔でフェラをする優嘉についに完全に怒った龍正。
(まだ昨日の疲れが残ってるんだよ!元はといえば貴様のせいだろうが!)
怒った顔の龍正にもお構いなしの優嘉。
「りゅ~せ~。もうたまらないのぉ。樹莉さんったらすごいテクニシャンなのよぉ?それにあのおっぱい・・・反則級よねぇ・・・」
甘ったる~い声でペニスに吐息をかける優嘉。
(く・・・相変わらずこいつは・・・)
すると、樹莉がうなだれてきて龍正の上半身を撫で回す。
「どお?龍正君。あなたが一番だと認める技を持った彼女と・・・その彼女が認める技を持ったお姉さん・・・同時にされたらどうなのかなあ?」
「それはマズい・・・そうだ。料理対決とかにしたらどうだ?」
「それじゃあ龍正君の思う壺じゃない。『リード』があればそんな手は通用しないわよ。的確に龍正君の弱点を突いてあげるから・・・」
(最大のピンチだ~。こういうときに麻衣が来てくれれば・・・)
「あら?4Pがいいの?呼んで来ようかしら」
「そうじゃないっつーの!!」
「りゅ~せ~ウルサイよっ」
-ヌプッ-
龍正の尻の穴に指を入れる優嘉。
「ぐあ・・・貴様どこでそんな技を!」
「どこって・・・その樹莉さんよ」
「じゃあお姉さんも始めるわよ・・・ここがいいのかなぁ?龍正君」
樹莉は龍正の乳首を重点的に攻める。
(そこは人類共通だ!・・・恐らく)
1:20・・・同場所
「りゅ~せ~。もう快感に身をゆだねなよぉ・・・えいっ!」
-グリグリ-
「!うおぉぉぉっ!」
(ぐう・・・やばい・・・何かが爆発しそうだ・・・・お、俺が俺で無くなる・・・この感じは・・・)
-オマエハアイカワラズアマイヤツダナ・・・オレガカワリニヤッテヤルヨ-
「っ!!た、頼む・・・もうやめ・・・・」
「りゅ~せ~の感じた顔!そそるわね~」
-グッ-
「!!うあっ!」
-プツン・・・-
龍正の理性が吹っ飛んだ・・・優嘉が龍正のペニスに目をやる。
「・・・お望みどおり相手してやるぜ・・・」
「う、うそ・・・さっきより大きくなってる・・・」
優嘉は指を抜き、震える手でそれに触ろうとしている。
(これを入れたら・・・どうなっちゃうだろう・・・)
龍正の目はすわっていて、笑みがこぼれている。その顔は邪悪なものだった。
龍正は樹莉に言い放つ。今、樹莉は龍正の腹の上に座っている。
「どけ・・・」
「え?」
1:22:00・・・・・
龍正は両手で樹利の身体を持ち上げ、体を起こして座った。
「どうしたの龍正く・・・ん?・・・」
(こ、心が読み取れない!なんで!?)
龍正は強引に唇を奪い、舌を絡める。
「っ!!!あ・・・ふ・・・・ふあ・・・・」
(何これ!すごい力・・・だけど全身を包まれるような優しさ・・・)
1:22:30・・・・・
「っはっ・・・はっ・・・んっ・・・」
樹利がとろけた瞬間、龍正は頚動脈を締め上げる
「・・・・っ・・・っ・・・く・・・」
(ぁ・・・力が抜けてく・・・)
1:22:45・・・・・
龍正は頃合を見計らって首から手を放し、背後に回り、手をついて四つんばいになっている樹利の乳首に刺激を与える。
「はぁっ、はぁっ、はああぁっ!!?」
(な、なにこれ・・・さっきよりかんじる・・・)
1:22:55・・・・・
四つんばいの樹莉の後ろから一突き・・・・
-ズンッ-
1:23:00・・・・・
「っっ!!!??・・・・うああぁぁぁああぁぁぁっっっ!!!!」
樹莉は身体を限界まで弓なりにそらし、恥部からは潮を吹き、暫く硬直していた・・・
樹莉はベッドに愛液をだらだらと流しながら、ときおりビクンと痙攣している。
「あ・・・あ・・・・・」
優嘉はわずか1分のその光景を口を開けてポカンと見ていた・・・
(こんな凶暴なりゅ~せ~見たこと無いよ・・・でも樹莉さんのイった顔・・・すごく幸せそう・・・)
龍正は優嘉に歩み寄る・・・
「りゅ・・・りゅ~せ~?・・・・」
静寂に優嘉の心臓の鼓動と吐息が響き渡る・・・・・
1:26・・・・・
「ああっ!!いっっ・・・くうううぅぅっっっ!!!」
優嘉も潮を吹いて身体をそらしたまま硬直している・・・
「っ・・・・はあっはあっはあっ!!」
犬が伏せをするような格好で幸せそうに崩れた。
「ああ・・・りゅ~・・・せぇ~・・・」
(ああ・・・気持ちイイ・・・)
「ふん!まだだぞ!」
龍正は優嘉の頭をつかみ、優嘉を無理やり立ち上がらせる。
「い、痛いよりゅ~せ~!」
「ふんっ!」
お互い立ったまま、優嘉のま○こにペニスを突き刺す
「!んあっ!」
1:30・・・・・
優嘉はもう声も出せずに、5回目の絶頂を迎えた。
「はあっはあっもうっ!勘弁っ!してえっ!壊れちゃううっ!・・・」
「嫌だね。お望みどおりとことんやってやるよ!」
(りゅ・・・りゅ~せ~がキレるとこんな事になるなんて・・・)
1:50・・・・・
「あがあぁっ・・・・ぐぅぅっ・・・」
25回目の絶頂・・・目は完全に白目を向いて、涙が絶え間なく流れている。
乳首やクリはパンパンに腫れ上がり、真っ赤に充血している。イった後の呼吸も不規則だ。
しかも全身汗だくだ。だが龍正は、ビクンビクンと痙攣している優嘉を無理やり起こし、最後に精を放った。
最後の絶頂はあまりの衝撃に声も出ず、優嘉の記憶にも無かった。
1:55・・・・・
「起きろ樹莉!」
-パアン-
龍正は樹莉の頬を叩く。幸せそうな顔は苦痛にゆがむ。
「ん~・・・あ!」
(私・・・こんな子供にわずか1分でイかされたの!?でも気持ちよかったわぁ・・・)
樹莉は真っ赤になって倒れている優嘉を見てゾッとした。
(この子・・・キレさせるとヤバイ・・・)
「お前には地獄のような天国を味わわせてやるよ!」
2:00・・・・・
龍正は樹莉の中にたっぷりと2発目を出した。
「!!!!」(何!?ああ!!)
樹莉は身体中が快感に包まれ、衝撃に包まれた。
「イくうううぅぅぅっっっ!!!」
しかし、快感は樹莉の想像以上に溜まり続け、爆発した。
「あっ!ああっ!!あああああぁぁっっ!!!」
樹莉の身体にはいつまでも心地よい余韻が走っていた・・・
2:05・・・・・
「ふ・・・俺を相手に主導権を取ろうなど100年早いぜ・・・」
龍正は全裸の二人をわき目に、もう二人の愛液や汗でぐっちょりのベッドに転がった。
再び眠りに入っ・・・・
-ガチャッ-
「ちょっと何してるんですか!?うるさくて眠れな・・・・」
龍正の目が再びすわる。
「あ・・・お、お邪魔しました~」
(あんな龍正さんは始めて見た・・・)
麻衣が帰ろうとしたそのとき・・・
-スッ--グイッ--グッ--モミッ--クチュッ--ズッ--ドピュッ-
「!?ん!あああぁぁぁっっ!!!」
麻衣が理解できないほどの速技でその夜の3発目が放たれた・・・
グショグショのシーツでぐっすりと眠る龍正。
パジャマをはだけて、ドアにもたれかかる様に気絶した麻衣。
龍正の足元に身を丸めるようにして気絶している樹莉。
床に伏せるようにして、ときおりうめき声を上げながら気絶している優嘉。
10:00・・・龍正が起きる・・・
「ふあ~。よく寝た。あんまり昨日の記憶が無いんだが・・・え~っと・・・何だか思い出さないほうがいいかも・・・」
とりあえず皆気持ちよさそうだったので、今朝は龍正が食事(ブランチ)を作る。
ご飯に味噌汁、焼き魚、和え物・・・龍正の料理はやっぱり和食だ。
龍正なりに考えた健康的で上手い食事だ。
料理の音が聴こえ、麻衣が目を覚ます。
「ん・・・あれ、なんでこんなところでこんな格好で・・・寒い・・・」
着替えて軽くシャワーを浴びた麻衣が、食卓に座った。
「起きたか。昨日はなんかとばっちり与えたみたいで悪かったな」
「酷いですよ龍正さん!たった1分程だったんですよ?今日はちゃんと丁寧にお相手してくださいね!」
「まああいつらは今日は動けんだろ。風邪引いてないだろうか・・・」
約30分後
食べ終わった麻衣がお茶を飲んでくつろいでいる。
麻衣の後にシャワーを浴びた樹莉が食卓に座る。
「やってくれたわね龍正君・・・今日は無理そうだけど、明日は負けないから」
「すみませんね・・・でも何かウキウキしてません?」
「だって・・・あんな凄いの初めてなんだもの。でもあれは一番最後にしてね。最初は私が主導権とりたいのよ」
「・・・まあ、そういうのが好みなら」
約1時間後
食べ終わった樹莉は、麻衣と一緒にリビングでテレビを観ている。
つらそうな顔の優嘉がやってきて、そ~っと席につく。
薄い上着を軽く羽織っているだけだ。
「ぅっ・・・りゅ~せ~・・・おかげでしばらく収まりつかないじゃない・・・どうしてくれんのよっ!!はうぅん!怒鳴るだけで・・・刺激が・・・明後日には仕返ししてやるんだから・・・覚悟してなさいっ!!ふあぁん!」
(やっぱどっか抜けてるんだよなあ・・・)
きっとシャワ-中にも何回も刺激でイったに違いない。
今は歩くのにも微妙な刺激が伝わるようだ。
午後・・・一同は会議室に集まった。
「まあ座ってくれ。おっと、優嘉は座らなくていいぞ」
「はぁ?なんでよ」
優嘉は無視して座る。
「ひいぃん!!・・・刺激が・・・」
『やっぱりどこか抜けてますね』
(同感)by樹莉。
優嘉は何とか座り、落ち着いた。
「新たな仲間も加わり、これから本格的に商売しようと思う・・・我がグループの名前は!」
龍正はホワイトボードの上のほうに書いていく。
「「「DEPRIVE OF PUPPETS?」」」
「そのまんまじゃん!」「そのままじゃない!」
優嘉と樹莉がつっこむ。
(??どういう意味なんだろ?あれ?知らないの私だけ?)「で、ですよね~」
不審に思った樹莉が心を読み、麻衣にそっと教える。
「簡単に言うと操り人形を奪うってことよ」
「基本は樹莉さんのようなMC専門の寝取りだ。しか~し!復讐したいという依頼も大歓迎だ。だが!MC専門の寝取り!これは表向きには公表しない。何故なら、MCする側がこういう団体があったら警戒するからだ」
「なるほどね・・・私たちのつながりは復讐ってわけよね」
樹莉が妙に納得する。
「MC専門の寝取りにするにあたって、信条とするものがあったな!『一度壊れてしまった心をどうしようが我々の勝手』・・・だ」
「え~ダサいじゃん~・・・それにその台詞ってが・・・」
優嘉が椅子にもたれる。
「くうぅっ・・・しまった・・・こらりゅ~せ~!小さくバカって言うなあ・・・」
(よくわかったな。きっと勘だろう)
「で、隠す為にこのグループ名を縮めようと思う。DEOPETでデオペットとする。聴いただけなら、なんとなく寝取ってペットにするっぽいだろう?」
麻衣が不満を漏らす。
「普通にDOPでも・・・」
「ええい!俺に言うな!・・・麻衣!ホームページ頼むぞ!」
「あ、それアタシがやっといたって」
「アプレットとかサイト内のシステムとかの事だよ・・・で?なんでふんぞり返って言うんだ?」
「動けないの・・・もう身体中が敏感で・・・」
(ちょっとは学習してるな)
その夜・・・
「ふう。今日はここまでかな」
龍正は何かの設計図を紙に書いた。
その設計図を机にしまったあと、食卓に向かった。
その頃・・・樹莉は電話をしていた。
「あ、私。樹莉よ・・・え?そうそう、実はね・・・うん。うん・・・それでさ・・・私退社することにしたわ・・・え?だから・・・そう・・・そうよ・・・はい・・・」
翌朝・・・
「ねえ龍正君。今夜、私の同僚がお別れ会を開いてくれるの。一緒に来てくれない?」
「何で俺が?」
「実は言っちゃったのよ。彼氏が出来たって」
「・・・はあ?」
「いずれ結婚するために同棲してるってね」
「・・・はあ」
龍正の言葉はため息に似ていた。
「彼女はアタシだからね」
優嘉がむっとしながら呟く。
「さすがにそんなことばかり言ってると重たい女だって嫌がられるわよ」
樹莉がそれに答えるように呟く。
-バンッ-
優嘉が机を叩く。
「ふんっ!りゅ~せ~とアタシの愛の物語も知らないでよく言うわよ!!」
「・・・だって事実でしょ?」
「く・・・りゅ~せ~はアタシのこと邪魔だなんて思わないわよ!!」
「・・・さあ?あ~『リード』って残酷なことを教えるわね~」
「っ!!・・・りゅ~せ~っ!?」
優嘉が龍正に目線を送る。
その龍正はずっと下を向いたままの麻衣を見ていた。
「・・・おい、麻衣・・・どこか悪いのか?」
「・・・あ、いえ。なんでもないですよ」
麻衣は笑みを浮かべて部屋に戻っていった。
「おい、待てよ・・・」
龍正が麻衣の腕をつかむ。麻衣はゆっくりと振り返り・・・
「んっ!?・・・」
龍正にキスをした。
「・・・いいんです。私は龍正さんがいればそれで・・・」
麻衣は照れたように笑うと部屋に入っていった。
(・・・悪いな・・・まだ俺にはやることがある・・・)
その夜、とある飲み屋で数人のOLが集まっていた。
「いや~。樹莉が結婚するなんてね~」
龍正は樹莉にせがまれてしぶしぶ芝居をすることにした。
「さて、龍正君に紹介するわね。こっちが朝野柚恵(あさのゆえ)」
「よっろしっくね~!」
明るい感じの女性だ。
「西岡琉璃」
「・・・よろしく」
おとなしい感じの女性だ。
「慶田美咲」
「よろしく~」
おしとやかな感じの女性だ。
「そしてボスの蟹沢朱里(かにさわあかり)」
「誰がボスだコラ!よろしくな!青年!」
強気な女性だ。
「さあ、今日は樹莉のために飲み明かすわよ!!結城君もじゃんじゃん飲んでじゃんじゃん食べてね!お姉さんたちの前祝よ!」
「・・・ども」
龍正は言われるままにぐびぐびとジョッキのビールを飲む。
皆の酔いが回ってきたのか、トークがよく弾む。
「樹莉ってば初めてのとき緊張しちゃって挨拶すら噛んでたのよ」
「ち、ちょっと柚恵!!喋りすぎだって!!」
「そう言えば言い寄ってきたおっさんを蹴り飛ばしたこともあったな」
「朱里まで!!皆飲みすぎよ!!」
「へぇ~。そうだったんですか・・・」
龍正にしてみれば全て既知の事実なのだが。芝居で意外な顔をする。
「・・・そろそろ頃合ね」
「いよっ!待ってました~!」
琉璃が喋る。あまり飲んでいないようだ。本人曰く酒は弱いらしい。
「・・・え?何何?」
樹莉が興味を示す。
「結城君。いいもの見せてあげる」
琉璃が指を突き立てる。
「樹莉・・・『ジュリア嬢の真実は私の中に・・・』」
「あ・・・」
樹莉の目が虚ろになる。
「さ、催眠っ!?」
龍正が驚く。
「へえ。よく知ってるわね・・・樹莉、あなたのご主人様は誰?」
「・・・飛騨雄介と・・・西岡琉璃様です・・・」
樹莉が淡々と答える。
「・・・どう?ちなみに飛騨雄介ってのは樹莉を支配してた奴なんだけど・・・何であなたに乗り換えたのかしら?どうやったの?」
「ば、バカな・・・樹莉さんは・・・飛騨とあんたと2人の催眠にかかっていたのか!?」
「そうよ。飛騨ですら私が樹莉に催眠をかけたことは知らなかった・・・」
「きっかけはちょっとしたことなのよね~。樹莉が酷く疲れた様子だったから琉璃が催眠をかけたの。やけにあっさりかかるな~と思ったらこういうことだったわけ」
柚恵が虚ろな樹莉を見ながら思い返す。
「でも安心してね。虐めたりしてないから。ただ飛騨にどう遊ばれてるのか聞いたり、ときどきエッチなお遊びをしてただけ」
美咲が満足そうに眺めている。
「ひ、卑怯な・・・樹莉さんはお前らを親友だと信じてるんだぞ!」
龍正が怒りの声を上げる。
琉璃が四つんばいになって龍正に迫る。
「そう?催眠で信頼を得て何が悪いの?だってそうでしょ?整形だって・・・はたまた胸のパット・・・もっと言えば化粧をすることですら・・・それで自分を良く見せるのとどこが違うの?」
琉璃が指を突き立てる。
龍正が自然とその指に目を向ける。
「ほら・・・力を抜いて・・・悪いようにはしないから・・・とびきりの快感をあげる・・・私たち無しではいられないように・・・」
龍正の瞬きが増える。
「そう・・・楽に・・・」
「どうだ?気持ち良いだろ?飛騨なんかよりずっとか上手だと思うぜ」
朱里が龍正に話しかけるが、龍正は答えるのも辛そうだ。
「ほら、すっと目が閉じてリラックスする・・・」
龍正の全身から力が抜ける。
それを見て琉璃がすぐさま龍正を支える。
「さあ、君の本音を聞かせて?樹莉をどう思ってる?」
「・・・残念だ・・・」
「残念か・・・樹莉には悪いことをしたかな?」
龍正が琉璃の目を手で覆い、床に倒す。
「!!?な、何で!?」
「残念だよ・・・お前らを落とすことになるなんてな・・・知ってるんだぜ?樹莉さんがお前らに操られていたことぐらい!」
「あ、私。樹莉よ」
「ああ、樹莉。今日は連絡無かったけどどうしたの?」
「え?そうそう、実はね、私彼氏が出来たの」
「彼氏?・・・飛騨じゃなくて?」
「な、何でそれを・・・」
「聞きなさい樹莉・・・『真実が口から漏れる』」
「・・・うん。飛騨じゃない・・・結城龍正君・・・」
「誰それ。飛騨の支配から解放されたの?」
「うん・・・」
「それでその子と同棲するの?」
「それでさ・・・私退社することにしたわ・・・」
「退社?どうして?」
「え?だから・・・」
「結婚するの?」
「そう・・・」
「本気で好きなの?」
「そうよ・・・」
「じゃあ明日お別れ会を開くから、連れてきて。いつもの時間、いつもの場所で」
「はい・・・」
「くっくっく・・・どういうかけ方をするか大体分かっていたら簡単に避けられたぜ。それにお前はどうも自信過剰すぎるな」
「き、君は・・・何者なの・・・」
「確かに・・・催眠で信頼を得ることは悪くない。むしろ俺は推奨するぜ?・・・人の心ほど曖昧で脆いものは無いな。俺も力を持ってるとそう思うぜ」
琉璃は龍正の強い力に抵抗できない。
「ふん。樹莉さんの記憶なら全て調査済みだよ!お前のことも、今までのいきさつもな」
(「ライブラリー」発動!4人!)
「さあ、催眠術師らしく俺の催眠術に抵抗してみな・・・お前はもう俺の催眠にかかっている・・・眠い・・・とても眠い・・・だから眠れ・・・眠れ・・・」
「う・・・あ・・・ど、どうして・・・」
琉璃の抵抗する力が弱まる。
そしてすうすうと寝息を立てて眠り始めた。
(ふ・・・これで他の3人は俺の催眠が強力だと思い込む・・・)
「い、いや・・・来ないで・・・」
龍正はじりじりと柚恵に近づく。
「くっそーっ!!」
朱里が龍正の後ろから飛び掛る。
龍正はちらっと後ろを見てバックキックで朱里のみぞおちを狙う。
「がっ!!!・・・っ!!!」
朱里が気絶してどさっと倒れた。
「さ、お前の番だぞ・・・」
「ひ、ひぃっ・・・」
龍正が柚恵のこめかみを押さえつける。
「う・・・」
「力が抜ける・・・すっと抜ける・・・」
押さえる手に力をこめる。
「うあ・・・」
柚恵は極度の恐怖とこの状況に混乱していた。
なぜなら、催眠の威力は樹莉で証明されているから。
「さあ、少し緊張して疲れたな。気持ちよく眠ろう・・・」
「うあ・・・ぁ・・・はっ・・・ぁ・・・」
壁にもたれていた柚恵がずるりと滑り落ちる。
「さ、最後はお前だな・・・」
「い、いや・・・やめて・・・」
龍正が美咲の目の前に立つ。
「ほら、大丈夫・・・悪いことはしないから安心して・・・」
「え?えっ?え?」
龍正は先ほどまでと一転して温かみのある態度で美咲を抱きしめた。
「力が抜けるよ・・・安心して身を任せて・・・」
「え?・・・・・・ぁ・・・」
美咲が身体を龍正に預ける。
「ふ・・・ちょろいもんだ」
龍正は不適に笑みを浮かべると1人ずつ深化させた。
「さあ樹莉、結城君の目の前で服を脱ぎなさい!」
樹莉が言われるがままに服を脱いでいく。
4人は笑いながら見ている。
「あの~・・・何で皆『全裸』なんですか?」
龍正がそう言って指を鳴らす。
4人は自分の身体を見下ろし・・・
「あ、皆さん『大声は出せない』んでしたね。そして『許可無くこの場から出られない』んでしたっけ?」
4人が口をパクパクさせる。
どうして良いかわからずパニックになってしゃがみこむ。
「な、何で?・・・琉璃!あんたがしたんでしょ!」
3人が催眠の出来る琉璃に詰め寄る・・・全裸で。
「ち、違うって!私だって全裸じゃない!」
「そうだ、『喧嘩は怪我をするからダメ』ですよ。やるんなら『キス』しかないですよね」
「そ、そうね!この!」
「んむっ・・・んっ・・・」
4人がキスをしあう。
「さて・・・樹莉さん・・・『遠く想い焦がれて』」
下着を脱ごうと手をかけた樹莉が正気に返る。
「あ・・・龍正君・・・」
龍正はこれまでにいきさつを話した。
「すみませんね。琉璃の催眠までは手をつけて無くて。かかっているのは知っていたんですけど」
「・・・いいのよ。こいつらにはちょっとムカついたけどね!」
4人は龍正の誘導でキスからプレイに発展している。
「・・・さて、どうしましょうか?」
「・・・そうねえ・・・デオペットで売っちゃう?」
「その理由は?」
「だって知りながらも助けてくれなかったのよ。友達としては最低じゃない。だから・・・私との友達関係はそのままで、誰かの奴隷になるっていうのがいいわ」
「・・・じゃ、復讐として受理しますよ」
「私も手伝うわ。電話だからリードが使えなかったのよね」
数日後・・・
「さあ樹莉!『ジュリア嬢の真実は私の中に・・・』」
「あ・・・琉璃さま・・・『シーソーゲーム』」
「え!!?」
「逆なのよ琉璃・・・あなたが催眠にかかってるのよ・・・今から言うことをよく聞いてね・・・友達のお願いよ・・・」
「・・・はい・・・樹莉さま・・・」
うふふ。また樹莉で遊んでやったわ。
樹莉ったら人前でよがっちゃって大変だったんだから・・・
「おい、琉璃。寝るぞ」
あ、大好きなご主人様だ!
私は彼のメイド。今からご奉仕するの。それは素敵なこと。
それは何にもおかしいことじゃない。
デオペット・・・
「龍正君。辞表出して来たから。年休もあるし、今日で終わりよ」
「そうですか・・・」
龍正は4人を売った金を数えている。
「あと、私のお給料と貯金」
「そうですか・・・・・・ってちょっと待った!!なんスかこれは!!」
「どうせ私は龍正君と共に生きるんだから。それに私の部屋もちゃんと作って欲しいし」
「・・・じゃあありがたく受け取っておきます」
「で・・・」
「分かりましたよ。その代わりにセックスして欲しいんでしょ?」
「そうよ。さすがライブラリーね」
「ふん。リードには負けますよ」
「・・・頑張りましょ!」
「ええ」
2人はがっちりと握手を交わした。
最後にこの章のおさらい・・・
龍正・・・分身は最大4人。「ライブラリー」に本の貸し出し機能が追加。催眠を会得。
樹莉・・・飛騨の支配から解放され仲間になる。特定の範囲内の心の声を聞く「リード」が発現。
デオペット・・・模擬任務終了。一部商品の販売が終了。隣の部屋の購入予定。本格スタートの準備が整う。依頼はネットより。
1章~能力VS催眠術~ END
「・・・何のようだ」
とあるアパートの前に一台の車が止まっていた。
一室の扉が開いている。
スーツ姿の女性が扉に寄りかかって中の女性と話をしている。
「・・・いい加減にしなさいよ。いつまでこんな生活を続けるつもり?」
「・・・またその話かよ・・・私のことはほっとけと言っているだろう」
「いいえ。今の貴女の行為は認められないわね!」
「やれやれ・・・だから私は辞めたんだろ・・・こんな私が続けられるわけ無いだろう」
「・・・昔の貴女はそうではなかった・・・もし・・・もしあのときのことが原因なら・・・私が悪かったわ・・・」
「・・・お前のせいじゃない・・・あれは私がドジっただけだ・・・」
「・・・何があったのよ。あの後・・・何かされたんでしょ?」
「・・・・・・」
中に居た女性が出てきた。
かなりラフな格好をしている。そしてかなり身体が鍛えられている。
「これ以上話しても無駄だな・・・」
「・・・今日のところは帰る・・・だけど私は信じてるから。貴女が帰ってくるのを・・・」
「生憎だな。私は絶対に戻らない・・・私はもう疲れた・・・」
-パシィン-
スーツ姿の女性がビンタをした。
「・・・どうしたって言うのよ!!しっかりしなさいよ!!剣崎っ!!」
剣崎と呼ばれたその女性はそのまま顔を背けていた。
「・・・もう私に構うな・・・只野・・・私のことはよく知っているだろう。今の私は・・・最低のクズだ・・・」
「・・・・・・だめよ。あなたがそうなったのは私に責任がある・・・何度だって来るから・・・」
只野と呼ばれた女性は車に乗ってその場を去った・・・
剣崎はそれを見て部屋へと戻っていった・・・
「羅奈さん・・・」
「・・・黙って抱け」
中にいた男が羅奈と交わっていた・・・
< 続く >