other plane後編・「シオンの帰還」と「悪魔」と「悪夢」
あらすじ・・・明日香の安楽死を以て、シオンの初任務が終了した。シオンは年老いた美佳を独りにすることに不本意ながらも、強制的に天界に連れ戻された・・・。一方、魔界では今まで不在だった女王が帰還した・・・
≪「見よ!Aパートは赤く燃えている!」byシオン≫
――――――――――魔界――――――――――
プロパールはディライブの部屋をノックした。
「・・・どなた?」
「私よ。あなたのお母さんよ」
「!!ママ!?」
ドアがゆっくりと開き、そしてディライブが満面の笑みで女王に抱きついた。
「ママ!!帰ってきたのね?」
「はいはい。甘えんぼさんね」
ディライブは少女のように目を輝かせると、プロパールの胸の谷間に顔をスリスリ擦り付けた。
「ママのおっぱいフカフカ~。懐かしいわ~」
「こらこら、もういい年頃でしょう?今年で130歳だったかしら?人間で言うところの30歳でしょう?」
「もう!私はまだ125歳!・・・パパが怒ってるわ。ママが勝手に出て言ったって」
「そう・・・私はもう夫婦じゃないのよ?」
「パパのこと嫌いになったの?」
「今から120年ほど前・・・ある若い女天使が居たわ。その天使は友達を助けようと魔界に乗り込んできた。凄く必死に、他人の為に。そんな女天使を見てママは思ったの。ひょっとしたら悪魔達は物凄く間違った価値観を持っているんじゃないかって。ママはね、本当の幸せ、本当の家族を探す旅をしていたの。ママは下界に行って下界人として暮らし始めた。そして恋をして・・・家族が出来た。夫は病死しちゃってね、それに夫の連れ子は下界人だったから80年しか一緒に居られなかった・・・」
女王はふと下界での生活を思い返していた。
「・・・これ以上の家族は無かった。だから戻ってきたの。今度はディライブに幸せになってもらうためにね」
「え?」
「・・・天界へ行きなさい。そして会って愛を学びなさい・・・ハーフ天使のシオンに」
「ママ?」
「欲望と愛は違うわ。だから貴女はそれを知らなきゃダメ・・・相手を思いやる愛を知らなければダメなの。分かった?」
「・・・はい!」
「いい子ね。私はいろいろとやることがあるから・・・」
王は王女が帰還したと言う話を知った。
「プロパール・・・今更何をしに帰ってきたと言うのだ・・・」
王は側近達に命じた。
「プロパールを牢にぶち込んでおけ!監視は要らん。放っておけ。決して近づくなよ、魅力に惑わされるぞ。あいつの魔力は魔界最大だからな」
プロパールは抵抗することなく、牢へと入った。
「バカな人・・・何も見えていないのね。悪魔は変わらなければいけないのよ。シオンは天界と魔界両者にとって必須な存在よ」
プロパールの牢が重く音を立てて閉じた。
「・・・滅ぶまで理解しないのね・・・いいわ、予言してあげる。貴方はシオンに殺されるわ・・・」
プロパールは暗くなったその部屋で、不敵に笑った。
――――――――――天界――――――――――
シオンが任務を成功させて帰ってきた。
少し大人びたリファイスが待っていた。
「シオンっ!!会いたかった・・・長すぎたわ・・・70年も・・・ずっと待ってたのよ」
「ありがとう・・・俺もずっと会いたかった・・・」
シオンとリファイスはお互いを見つめる。
「ん・・・む・・・」
「んふ・・・んあ・・・」
熱い熱いキスを交わし、2人は再開を祝福した・・・
シオンはさっそく宮殿に呼ばれていた。
「シオン・・・お前にはリファイスと同じ天使第6階級をやろうと思っておったが・・・どうもそうはいかんようじゃ・・・」
「・・・・どういうことだ?俺は70年間も任務に費やした・・・いくらなんでもまともな理由が無ければ・・・」
シオンが殺意の目を向ける。
「ま、待て待て・・・その前に問題があるんじゃ。悪魔の王女ディライブ・・・こういえば分かるじゃろ?」
「!!・・・お、俺を狙って?・・・」
「このままでは戦争になると宣戦布告してきた・・・それを解決すれば最高位の第9階級を授けようぞ」
「で、俺はどうすればいいんだ?俺が悪魔になって敵になればいいのか?」
「い、いや・・・さすがにお前が敵になったら困る・・・」
王女側の目的はシオンを魔界へと取り入れることである。だが天界としてはシオンが敵になればかなり不利になる。
困った天界はシオンに何とかさせると言う無理難題を押し付けることにしたのだった。
シオンは静かに承諾した。
「・・・全ては俺の交渉と言うわけか・・・わかった・・・早速魔界に行って―――」
その時、天使が慌しく部屋に飛び込んできた。
「た、大変ですっ!!悪魔軍隊が攻めてきました!!甚大な被害が出ております!!」
「っ!!さ、早速来たか!!」
「お、俺に力を見せ付けて降伏させる気か!!」
シオンは急いで飛び出していった。
シオンが現場に着いたとき・・・多くの天使が傷つき倒れていた・・・
「・・・こ、これは・・・」
その中には・・・
「し、シオン・・・ダメよ・・・行っちゃダメ・・・」
傷ついたリファイスが倒れていた。
「リファイスっ!!」
シオンが抱きかかえる。傷が深い・・・
恐らく何度も何度も抵抗したのだろう・・・
ぜぇぜぇ言いながらもその目はまっすぐにシオンを見つめている。
そこに姿を現したのは王女ディライブだった。
「シオン・・・迎えに来ました・・・長期任務お疲れ様です」
「ディライブ!貴様ぁ・・・」
ディライブがニヤリと笑う。
「まあ。一段とカッコ良くなられて・・・さあ、私と一緒に来てください」
シオンは拳をぐっと握った。
「お、俺を迎えるためだけに・・・これほどの被害を・・・」
「別に我々が仕掛けたのではありません。それはそちら側が襲ってきたので反撃しただけです。私はお話しに来ただけだというのに困ったものです。私達は悪魔です。このぐらいは当たり前ですが何か?」
「く・・・これだけの軍勢を率いれば誰だって牽制ぐらいするだろうに!!」
レオンの顔が怒りに満ちる・・・
わなわなと拳が震える・・・
「ぐ・・・許さんぞ・・・よくも・・・よくも・・・」
久々に悪魔化が始まる・・・
そんなシオンの心の中に声が響いた。
-レオン・・・あなたの力は傷つけるだけではない・・・相手を想う力・・・守る力・・・見せて、あなたの可能性を・・・天使、悪魔、下界人全てを知ったあなたの力を・・・-
「っ!!!?」
シオンの悪魔化が止まる。
(誰の声だ?この声・・・・・・傷つける力ではなく・・・想う力・・・守る力?)
そして・・・
(俺はリファイスを想う・・・リファイスを護る・・・)
天使化が始まった・・・
肌と羽根が白く変化していく。
「こ、これが・・・想う力・・・守る力・・・」
シオンはディライブを睨みつける。
「よし!何とかなりそうだ!」
「っ!!?な、な・・・(こ、この威圧感・・・恐怖・・・ま、負ける・・・わ、私が・・・王女の私が・・・ま、負ける?な、何でこんなに怯えているの・・・だ、ダメ・・・勝てない・・・勝てる気がしない!)」
ディライブの額から汗が吹き出る・・・身体が震えている。
「く、き、今日は帰ります!!」
ディライブは自分1人だけ急いで姿を消した。
天使化したシオンは残りの軍隊を片付けようと力を発動した。
両手を地面に向けて魔力を放出する。
『マスターオブスペース!!ユグドラシル!!』
まずは倒れた天使たちの傷が癒える・・・
そして・・・
「天使の誰かの為に何かをするという奉仕の心・・・悪魔の誰にも負けたくないと言う貪欲な心・・・そして下界人の幸せを望む心・・・・・・これが俺流の!!次元移動だ!!」
上空に巨大な穴が開く。真っ黒な渦。その穴はどこかへと繋がっている。
リファイスはその次元移動の穴を見て驚愕させていた。
「ほ、本来は人に対して使用する次元移動を・・・空間自体に発動させた?しかもあの大きさで維持し続けている・・・シオン、あなたはいったいどれだけの魔力を秘めているの・・・」
シオンが叫ぶ。
『悪魔よ、魔界へ還れ!!エンジェル・ハイロゥ(天使の輪)!!』
悪魔の軍勢たちが天使の輪に吸い込まれていく・・・
全て吸い込むと、天使の輪は徐々に小さくなって姿を消した。
そして、静かな時が戻ってきた。
ついに天使化を得たシオン・・・
しかし・・・意外な形でシオンの想いは崩壊することになる・・・
「ちくしょう!!お前が居るから奴らが攻めて来るんだ!!」
「とっとと出て行けよ!!疫病神!!」
「お前なんか帰ってこないほうが良かったのに・・・」
「っ!!!!」
シオンは皆に責められた。シオンのせいだと。
シオンは元の姿に戻る・・・
リファイスがその言葉に腹を立てた。
「ち、ちょっと!!なんてことを言うのよ!!今助けてくれたのはシオンでしょっ!?感謝ぐらいしても・・・」
「じゃあ悪魔が来ないと保障できるか?誰も怪我をしないと言えるか?」
「そ、それは・・・」
リファイスもまた言い返す言葉が見つからなかった・・・
「っ!!!」
シオンはその場を逃げるように去った。
彼の耳には最後まで罵声が聞こえた。
――――――――――――――――――――
その夜、シオンは人気の無いところでぼんやりと立っていた。
顔を見上げて満月を眺めていた・・・
あの日と同じとっても綺麗な満月・・・
私は遠くからその様子を見ていた。
「ぐ・・・うおおおおぉぉあああぁぁぁっっ!!!!」
シオンは大きな叫び声を上げた。
そして悪魔化した。月明かりに怪しく輝く身体・・・
「うおおおおぉぉっっ!!!!があああぁぁぁぁっ!!!!」
「・・・シオン・・・可哀想・・・ううっ・・・」
あの時と同じように・・・聞いていた私の中にシオンの悲しみが流れ込んできた・・・
今度はもっと悲しい・・・私も悲しいから余計に悲しい・・・
シオンがゆっくりとこっちに振り返った。
金色の瞳が・・・殺意に満ちていた・・・
本気で私は殺される・・・そう感じた・・・
そしてそこから流れる涙が更に私の悲しみを煽った・・・
あの時のように・・・私は言いようの無い不安を覚えた・・・
「・・・シ、シオン・・・もしかして・・・」
シオンの目・・・殺意・・・とても嫌な予感がするけど・・・
70年も任務を頑張って・・・明日香を幸せにして・・・
天使階級がもらえなくて・・・それでも天使化できて・・・
なのに・・・やっぱり悪魔の血が邪魔をする・・・
シオンは悪魔なんかじゃない・・・立派な天使・・・
罵声を浴びせる人なんかよりずっと天使らしいのよっ!!
そして・・・あの日と同じように・・・遠くからシオンを悲しそうに見つめる人がいた・・・
とっても美しい人なんだけど・・・名前は知らない。
その人物が私を見て・・・何かを言っている・・・
お・ね・が・い・・・ま・も・っ・て・・・
そこまで言ってその人は消えてしまった・・・
その翌日・・・
私は悪魔が来ないように見張ろうと思った・・・
そこには既にシオンが居た・・・
だけど・・・シオンの身体は・・・悪魔化していて・・・
私は咄嗟に木の陰に隠れた・・・
来た!ディライブ!
「・・・シオン・・・愛してます・・・」
あ、ディライブがシオンにキスをして・・・
しかも・・・シオンは抵抗しない・・・
「まさか・・・シオンのほうから魔界に来たいと願うとは思いませんでしたわ・・・」
シオンが・・・魔界に行くと願った?
「・・・その代わりに条件が1つ有る・・・」
「いいですわよ。愛するあなたのためですもの・・・そして悪魔の繁栄のため・・・」
ディライブが嬉しそうに笑っている・・・恋してる顔・・・ズルイ・・・
「俺は・・・いくら天使であっても天使ではない・・・だから・・・俺の母親、エンカーブレイスを生き返らせて欲しい・・・」
「ふふっ・・・何をおっしゃるかと思えば・・・死者を生き返らせるなんて出来るわけが・・・」
「俺はフィリシーンの命と引き換えに生き返ったが?」
「っ!!ど、どうしてそれを・・・」
え?フィリシーンが・・・シオンの代わりに?
ひょっとして私のせい?・・・私が責めたから・・・
「それに・・・元はといえば悪魔側の責任だ・・・俺が生まれたのは悪魔のおかげ・・・それを欲しいのなら、悪魔のせいで死んだエンカーブレイスを生き返らせろ!!」
「・・・ま、まあ・・・筋は通っていますわね・・・分かりました・・・話してきます。少しお待ちを・・・」
ディライブが姿を消した・・・
まさか・・・シオンは自分の代わりに天界を守るものとして母親を?
それとも・・・自分は産まれなかった事にしたいの?そんなのどっちも間違ってる!!
あ、ディライブが帰ってきた。
「よろしいでしょう。エンカーブレイスを生き返らせます・・・今、この場で」
そして手を地面に向ける。
「・・・んんっ!!」
-ジジッ、ジジジジッ、ジジッ-
女性の姿が現れる・・・あれは・・・シオンを見ていた女の人・・・
そっか・・・あの人がエンカーブレイス様だったんだ・・・マナの力のあるカーラーンの地で、シオンのこと見守ってたんだ。
「こ、これが・・・俺の母親・・・」
シオンはその女性を近くでじっくりと見る。
そして涙を流し、指を伸ばして触れようとして・・・
はっと気がついて止めた・・・きっと今の自分が悪魔だから・・・
「今は肉体だけです・・・次は魂を再生します・・・大丈夫ですよ。生命エネルギーは補給してきました」
ディライブがエンカーブレイス様の左胸に手を置いて・・・
「んんっ!!生き返れっ!!『レイズデッド!!』」
そして手を放した・・・
「も、もういいのか?」
「ええ。良かったら会いますか?」
「い、いや・・・さあ・・・俺を連れて行ってくれ・・・」
シオンが・・・行っちゃう!!
「シオンっ!!行っちゃダメ!!」
「・・・あなたは・・・リファイス・・・」
ディライブが私に向かって手をかざす・・・
怖い・・・ブルータラスのときよりよっぽど・・・心臓が破裂しそうなぐらいに激しく脈打ってる・・・
勝てるわけは無いけど・・・黙って見てられない・・・
「リファイス・・・俺はもう天界には居られない・・・俺はもうお前を信じられない・・・お前は言った・・・『血など関係ない』と・・・だが結果は違った・・・もう俺は・・・天界をぶち壊したい・・・天使など皆殺してしまいたい・・・負の感情で一杯なんだよ・・・」
シオンが私に近づく・・・
ディライブがその話を聞いてクスクス笑ってる・・・
「今度こそ・・・さようならだ・・・」
-ドッ-
「っ!!・・・あ・・・あ・・・」
私のお腹が悲鳴を上げる・・・視界がかすむ・・・
そして・・・意識が・・・遠の・い・・て・・・
――――――――――――――――――――
「う・・・」
エンカーブレイスが目を覚ました。
「??わ、私は・・・どうして現世に?」
横になったままあたりを見渡す。
泣き崩れている女性が目に入る。
「あ、貴女は・・・」
「!!あ・・・エンカーブレイス様・・・いえ、お母様・・・」
リファイスの瞳からはとめどなく涙がこぼれていた。
「・・・私を生き返らせたのは・・・誰なの?」
「・・・悪魔の王女ディライブ・・・そして頼んだのはシオン・・・自分が魔界に行くことと交換条件で・・・」
「!!な、何故そのようなことを・・・」
「皆がシオンを認めないから・・・天界など嫌いだと・・・天界を潰すって言って・・・」
「天界を・・・潰すですって?」
「はい・・・きっと自分のせいで死んだお母様を生き返らせれば・・・自分の存在は消えると・・・そう思ってるんじゃないでしょうか・・・」
「そ、そう・・・あの子・・・」
エンカーブレイスは起き上がって宮殿のほうへ飛んでいった。
リファイスはまだ放心状態で座り込んだままだった。
――――――――――――――――――――
――――――――――魔界――――――――――
シオンはディライブと共に王と謁見していた。
「ぶははは!よくやったぞ我が娘よ!こいつの血を受け取るのだ!そしてシオンよ!女達に種子を植え付けるのだ!」
「分かりました・・・仰せのままに。父上・・・」
「行きましょう。シオン」
ディライブに連れられ、シオンは奥へと進んだ。
「さ、入って・・・そこのベッドに腰掛けて」
ディライブの部屋は骨董品のようなものが多く置かれていた。
恐らくは下界から持ち帰ったものだろう。
ベッドもかなり大きい・・・まさに王女。
「・・・」
シオンがベッドに座ると、軋む音がした。
ディライブも横に座る。
「・・・」
長い沈黙・・・
「あ、私お風呂に入ってきます・・・くれぐれも、逃げようなどと思わないでください」
ディライブが部屋を出る。
シオンは前のめりになって考え事をしていた・・・
シオンもお風呂に入った。
ディライブは黙ってベッドに腰掛け、シオンの帰りを待った。
(・・・ホントに・・・悪魔の本能は厄介ですわね・・・)
待ち遠しいのかそわそわしている。
シオンが部屋に戻ってくる。
ディライブは全裸で待っていた。
そしてシオンの身体を見る・・・
(ダメ・・・抑えられません・・・私は王女なのに・・・あんなハーフが好きで好きでたまらない・・・)
「ふ・・・悪魔とは強ければ強いほど本能的に愛してしまうものなのだろ?・・・そして俺は誰よりも強い・・・どうだ?俺が欲しいか?」
「あ・・・あ・・・そんな・・・」
ディライブがせわしなく目を泳がせる。
-ドクン、ドクン、ドクン・・・-
(か、身体が熱い・・・心臓が熱い・・・血液が沸騰してる・・・熱い・・・)
ディライブの身体が見る見る赤みを帯びていく。汗が滲み出る。
「(本能が・・・シオンの子を産めと急かす)・・・っ!!」
ディライブが慌ててベッドから退いた。
愛液がシミを作っている。
そしてそれは、シオンに近づくことにもなる。
「あ・・・」
シオンの目に釘付けになる。
自分の赤い瞳とシオンの黄金の瞳・・・
「どうだ?やるか?やって欲しいなら懇願してみろよ」
「あ・・・あ・・・」
さっきから上手く声が出せていない。王族のプライドが声をせき止めているのだろうか。
シオンがズボンを脱ぐ・・・全裸になる。
「あ・・・」
ディライブの指がぷるぷると震えながらゆっくりと持ち上がる。
そして、もう一方の手でそれを止める。
(わ、私は王女・・・それなのに自分から行くだなんて・・・何で・・・何でこんなに苦しいのよ・・・これが愛?苦しいのが愛?)
「ほ・・・欲しいです・・・シオンの子が・・・」
子が・・・せめてもの言い訳かもしれない。
そしてディライブははあはあ言いながらシオンにしなだれかかる。
少しきつめに抱きしめる。
「う・・・(な、何・・・この感じは・・・)」
ディライブの激しい鼓動と、シオンのゆっくりとした強い鼓動が対称的に伝わる。
(うあ・・・だ、ダメ・・・欲しいっ!!)
ディライブは感情のままシオンを押し倒そうとする。
が、シオンの強い力がそれを許さない。
(うう・・・あ、頭に血が上って・・・シオン以外考えられない・・・)
ディライブの瞳がどんよりと濁る。
顔の表情がぬける。だらしなく口を開けている。
「はやく・・・ほしい・・・」
「勿論。約束だからくれてやるぜ」
シオンがディライブの恥部に指をあてがう。
既にとろとろになっている。すっとなぞる。
「んんっ・・・(や・・・これだけで・・・声が・・・)」
シオンが唾液をたらすと、ディライブが舌を突き出してそれを受け取って飲み込む。
-くちゅっ-
シオンの指が入る。
「あっ!」
一瞬ディライブの膝ががくっと折れそうになる。
指はどんどん増えていく。
そして3本・・・
-ぐちゅっ、ぐちゅっ-
「んあっ!はっ、あっ、ううんっ!!あっ、あっ、ひゃうっ!!」
ディライブの膝ががくがくと震える。
ディライブの鼓動がどんどん速さを増していく。
シオンの指がどんどん激しくなる。
「はんっ!!!」
ついにディライブが膝から崩れた。
シオンはディライブを持ち上げる。
「うあ・・・」
シオンのペニスの上にディライブが舞い降りる。
-ズンッ-
「んぎぃっ!!?」
一気に貫いた。
「んああっ!!ひゃあ!!んんんっ!!(な、何か・・・何か来るぅっ!!!)」
ディライブが絶頂に達する。
「出すぞ!!受け取れ!!」
ディライブは半分意識が飛んでいる。
「んああっ!!ち、ちょうだひっ!!つよいの!!ちょうだひっ!!」
シオンがニヤリと笑みを浮かべた。
そして・・・シオンは・・・
「・・・ふはははっ!!受け取れよ!!育てろよ!!」
その意味をディライブが理解することは出来ない。
シオンが天使化する。
「はあっ!!」
-ドクンッ!ドクンッ!-
「んあああぁぁぁぁっ!!!」
ディライブの胎内にシオンの種子が流れ込む。
「っ!!?ひぐっ!!?うああっ!!にゃ、にゃにっ!!?」
ディライブの身体がびくびくと痙攣する。
「か、身体がっ!!拒絶してるうぅっ!!にゃんでぇっ!!?」
「ふ・・・何故ならそれは天使化した状態の精子だからな」
「っ!!だ、出してっ!!取って!!くるしいぃぃっ!!!!」
ディライブが悶える。
指でかき出そうとしている。
「心配するな。天使の種子は望まなければ孕まない・・・」
「はあっはあっ!!こ、こんなものっ!!」
「・・・だから・・・望ませるのさ!」
シオンは右手を突き出し、初めて悪魔術を使った。
『マイティラスト!!』
「っ!!?わ、わたしに・・・ちから・を?・・・」
ディライブの動きが止まり、瞳から光が消える。
相変わらず拒絶反応で痙攣している。
「よく聞け・・・お前は力が欲しい・・・天使化した俺には癒しの力がある・・・それがとても貴重なのは分かるな?だからお前は俺の子を産みたい・・・産みたい・・・復唱しろ」
「わたしは・・・しおんの・・・こを・・・うみ、たい・・・」
「そうだ。今から心の中で繰り返して強く願え」
(わたしは・・・しおんのこを・・・うみたい・・・わたしは・・・)
次第にディライブの身体の痙攣が静まっていった・・・
『リリース!!』
「んはっ!!な、なんてことを・・・」
ディライブが記憶の糸を手繰り、シオンの子を産みたいと思わされたことを知る。
「そ、そんな・・・私が・・・天使の子を孕むなんて・・・」
悔しそうな顔をするが、何故か心の中はざわついていた。嫌ではない、気がする。
「・・・本当に嫌なのか?」
シオンがディライブの顎をくいっと持ち上げて目を覗き込む。
-とくん・・・-
(な、なに?・・・ダメ・・・シオン・・・私に顔を見せないで・・・私はあなたが好きなの・・・だから・・・・・・・・・産み・・・たい・・・)
ディライブの顔から怒りの表情が消え、蕩けた顔になる。
「嬉しいよ・・・愛してるぜ」
シオンが強めにキスをする。
「んん~~っ!!」
それだけで再び絶頂を迎えた。
「じゃ、俺は父上殿の言いつけどおり色んな悪魔を孕ませてくるぜ」
シオンが部屋を出ようとズボンを穿く。
-とくん・・・-
(な、なに?今度は何?・・・シオン・・・)
ディライブがシオンの後ろから抱きついた。
「・・・い、行かないで・・・ずっと私の側に居て・・・あなたは私のものなの・・・そして私はあなたのもの・・・あ、愛してる・・・愛してるのおっ!!」
「心配するな。すぐに帰ってくる・・・そしてずっとお前の側に居てやるさ・・・だから、な?今は行かせてくれ」
「し、シオン・・・ホント?帰ってくる?一緒に居る?」
「ああ・・・約束しただろ?」
ディライブはしぶしぶシオンから離れ、シオンは軽く王に挨拶すると外に出て行った。
シオンは外に出た。
そして・・・
『悪魔よ、我に集え!!デビルズ・テイル!!』
先ほどのエンジェル・ハイロゥを悪魔の状態で作り出した。
シオンの強烈な魔力が辺りに広がる。
その意図は・・・女性の心を鷲掴みにすること。
シオンは次々に力を見せ付ける。
「あら、誰かしらあの人・・・素敵・・・」
「まあ、あれほどの魔力を秘めているなんて・・・是非欲しいわ、あの人のペニス・・・」
案の定1人、また1人とシオンに心奪われていった・・・
「俺の力が欲しい奴は来い。快感を与えてやるぞ!」
――――――――――――――――――――
――――――――――天界――――――――――
エンカーブレイスが皆を集めて叫んでいた。
「見て!私を生き返らせた!これがどういうことか分かる!?シオンは今でも天界のことを思っているのよ!!」
エンカーブレイスが想いを伝える。
「あなた達は!!1人の天使を悪魔に変えようとしているのよ!!」
涙が粒になってこぼれる・・・
それを聞いていたリファイスは、ようやく瞳に光が戻った。
(そうだ・・・私にだって出来ることがある・・・それをやらなくちゃ・・・)
「お願いしますっ!!シオンを!!シオンを認めてあげてください!!」
リファイスも一緒になって皆に訴える。
演説を終え・・・
シオンがたびたび吼えていた場所・・・聖地カーラーン。
そこにリファイスとエンカーブレイスが座っていた。
「お母様・・・シオンは戻ってくるでしょうか・・・」
リファイスが心配そうに尋ねた。
「・・・リファイス・・・あなたは1つ勘違いしていることがある・・・シオンがあなたに助けられたように・・・あなただってシオンに助けられてるんじゃないの?」
「・・・それは・・・」
「『私がシオンを助ける』・・・そればかり気にしているように見えるわ・・・もっとシオンを信じなさい・・・私にはシオンの考えが手に取るようにわかるわ・・・」
「・・・強いですね・・・お母様は・・・」
「今はその考えについては言えないし・・・恋人であるあなたには酷な方法かもしれないけど・・・それでもこれだけは言えるわ・・・シオンはあなたを愛してる。これまでもこれからも」
「う・・・お母様・・・うわあぁぁぁぁっ!!」
リファイスはエンカーブレイスの胸に顔をうずめた。
そして・・・1年の月日が流れた・・・
≪「びっ、Bパートだからって!かっ、勘違いしないでよねっ!」byディライブ≫
――――――――――魔界――――――――――
「うふふ・・・いい子でちゅね~」
ディライブは嬉しそうに赤ちゃんをあやしていた。ハーフの特徴を示した赤ん坊だ。
-とくん・・・-
(この子を見てると・・・心が癒される・・・愛おしい・・・)
「だ~~。あう~」
「ん~?ミルクでちゅか~?た~んとお飲みなさいね~」
安らかにディライブの母乳を飲む赤ちゃん・・・
そして、それを幸せそうにみつめるディライブ。
(ああ、なんて可愛いのかしら・・・これが母性?これが母親なの?)
「ディライブ!!さっさと下界で人間の魂を喰って来い!!」
王が怒りの声を上げる。
「・・・うるさいおじいちゃまでちゅね~。はやくおばあちゃまとあわせてほしいでちゅよね~?お~よしよし・・・」
ディライブは迷惑そうにするだけで一切聞く耳を持たない。
「もうじきパパが帰ってきまちゅよ~。嬉しいでちゅね~」
そして赤ちゃんとシオンとの生活にこの上ない幸せを感じていた。
「お、おのれぇっ!!女共がシオンの子供を産んだおかげで!!皆が腑抜けたようになってしまったではないか!!」
王が怒りを側近にぶつけていた。
シオンがゆっくりと歩み寄る。
「いかがされたかな?王よ」
「く・・・まさか天使の血の濃い子供を孕ませ・・・癒しの力で母親の心を浄化するとは・・・計ったな貴様ぁっ!!まさかこんな長期計画だったとは思ってもみなかったぞ!!天界が憎いのではなかったのか!?」
「俺が恨むのは天界じゃあない・・・悪魔だよ・・・だからこうやって魔界の悪魔の血を薄める手段を選んだ・・・どうだ?あの様子じゃもうディライブは悪事を働けないぜ?あとはわが子達が悪魔を浄化する」
「ぬ・・・ぬぬ・・・そして貴様を殺せばわしは女共の反感を買って総攻撃を喰らうと言うわけか・・・」
「まあ70年も任務に費やしたことを考えたら容易いことだぜ・・・そして俺にはまだやるべきことがある・・・」
シオンはじりじりと王に歩み寄る・・・
シオンからざわざわと殺気が漏れ出す・・・
「返してもらわないとな。友の命を・・・」
「く・・・ま、まさかこのわしに戦いを挑む気か!!」
「・・・さらばだ・・・そして魔界は生まれ変わる・・・」
・・・・・・・・・・
-レオン、こっちよ・・・地下に牢屋があるわ。私はそこに居る・・・来て。-
ボロボロになったシオンは、地下牢へと来ていた。
「・・・あんたが女王様か。俺をここに導いたのはあんただな?」
この一年間、水も与えられずにやつれかけたプロパール、はシオンを見て微笑んだ。
「ふふ。よくあの王を倒せたわね。でも分かってたわ、全て私の予想通り・・・」
「・・・大丈夫か?水、飲んでないんだろう?ここ1年・・・」
「正直辛いわね・・・私をここから出してくれないかしら?お礼はするわよ」
「お礼?お礼とは?」
「・・・天界との停戦、そして調停、さらには友好的外交・・・天使と悪魔が争わないように私が統治するわ。女王としての責任」
「・・・信じて良いんだな?」
「もちろん、転生術も使ってあげる。あなたの大事な人を生き返らせたいんでしょ?」
「・・・分かった。宜しく頼む」
シオンは傷だらけで立っていた。そこは2つの墓の前・・・
「・・・長いこと待たせた・・・」
プロパールがさっそく転生術を行う。
「・・・んんっ!!はああぁぁぁっ!!!!」
-ジジッ、ジジジジッ、ジジッ・・・-
2人の女性が現れる。
1人は男のために命を散らした堕天使・・・
もう1人は男と同じ境遇の妹・・・
「生き返れっ!!レイズデッド!!」
・・・・・・・・・・
「う・・・わ、私は・・・どうしてここに・・・」
フィリシーンがシオンを見る。
「シオン?・・・少し変わった・・・前よりもっともっと素敵・・・」
「ああ。あれから70年経った・・・」
「私は・・・生き返ったの?」
「ああ。お前にはやることが一杯あるからな」
「・・・シオン・・・」
「う・・・お、俺は・・・」
ハーシブリィも目を覚ます。
「あ、あに・・・き?」
大人っぽくなったシオンに少し顔を赤らめる。
「お前は俺の妹だからな。生きて欲しい」
「う・・・どこまでお人よしなんだよっ・・・うわああぁぁん!好きだぁぁっ!!」
天界にシオンが帰ってきた・・・
「シオン!!」
「待ってたぞシオン!!」
天界の人たちがシオンを暖かく迎え入れた。
シオンが今まで受けたことの無い対応に戸惑う。
「ほらっ!!自信持ってくださいよ!!」
リファイスの声が聞こえる。
リファイスに押されてその人物が照れながら現れた。
「・・・お、お帰り・・・し、シオン・・・」
「・・・!!・・・か、母さん・・・」
「・・・シオン・・・会いたかったわ・・・ずっと」
「母さんっ!!!」
それまで隔てられた時間を取り戻すように、シオンはエンカーブレイスと抱き合った。
周りから暖かい拍手が送られた・・・
その後、リファイスとシオンは結婚し、娘が生まれ、リオンと名づけられた。
シオンは最高位である第9階級・・・ではなく、歴史上に残るほどのシオンのために、新たに第10階級が設けられ、シオンは全ての現役天使で最高の地位を授けられた。周囲からは『大天使様』や『ユグドラシル様』、そして『シオン様』と呼ばれ、今も忙しく飛び回っている。
エンカーブレイスもわが子に負けじと第9階級になった。
シオンのレクチャーで癒しの力も覚え、『マーテル』の称号も得た。
失われた親子の愛は着々と取り戻されている。
そしてフィリシーンは、天界と地獄との架け橋となって働いている。
そのお腹には念願だったシオンの子を宿している。
しかしそれはもう血を望んだからではない。ただシオンが好きだから。
悪魔を統べるのは女王の座に復帰したプロパールである。彼女は元々友好的だったため、シオンの子は宿していない。
そして側近は王女のディライブ。そしてシオンの妹のハーシブリィ。
2人は嫉妬からお互いに衝突しながらも、上手いことやっている。
そしてシオンの子供達によって悪魔の母親達は癒され、争いごとが徐々に少なくなった。悪魔と天使が手を取り合う・・・そんな時代が来るのかもしれない。
――――――――――魔界――――――――――
「よっ。そっちはなんともないか?」
シオンとフィリシーンが魔界を訪れた。
「あ、兄貴っ!!」
「シオンっ!!」
こうしてハーシブリィやディライブとたびたび会っていた。
「シオン・・・もう一人欲しくない?」
ディライブはすっかり普通の女性になってシオンを想い続けている。
「お前ばかりずるいぞ!!俺だって兄貴のことが好きなんだからな!!」
ハーシブリィも負けじとシオンに甘える。
「あら。仮にも私はハーシブリィのお義姉さんなのよ?」
「くう・・・あ、兄貴!!俺にも兄貴をくれよ!!」
「だめ。この前法律改正で近親相姦はダメだって決めたでしょ?」
「あ、あれはお前が俺への嫌がらせで決めたんだろ!!ううっ・・・うわあああん!!」
「ち、ちょっと・・・泣かないでよ~・・・でも泣いてもダメだからね」
「うわあぁぁぁぁん!!」
そこにプロパールがやってきた。
「あらあら、またこの子達はケンカしちゃって・・・こんにちは、大天使シオン」
「ああ。プロパール・・・・・・前から思ってたんだが、お前、俺とどこかで会ったこと無いか?」
「やだ、それって新手のナンパ?」
周囲の女の嫉妬の視線がシオンに集中する。
「い、いや、そう言うわけではなくてだな・・・」
プロパールはクスクスと笑った。
「大天使シオン・・・私はあなたのことをよく知っているけどあなたは私のことをほとんど知らない・・・それだけの話よ」
「??そ、そうか・・・その『大天使シオン』って呼び方、止めてくれないか?」
「じゃあ・・・レオンって呼べば良いかしら?」
「!!や、やはりお前は―――」
――――――――――天界――――――――――
「パパー!!私、弟が欲しいー!」
リオンが最近シオンにこの台詞ばかり言うようになった。
「・・・そうか。じゃあもうじき会えるかもな。リオンはちゃんとお姉さんになれるか?」
「うん。私いっぱいいっぱい大事にするよ!」
「・・・来て・・・シオン・・・」
リファイスがタイミングよくシオンを誘った。
「おい、リオンに入れ知恵したのはお前だろ?」
「・・・さあ。何のことかしら?」
「ふっ・・・力を使って無理やり言わせてもいいんだぞ?」
「う・・・そ、そうよ・・・だから何?シオンは私が嫌いなの?」
リファイスはとびっきり媚びた顔を見せた。
「う・・・その顔はやめろ・・・」
「ふふっ。ねえ。私が嫌いなのぉ?」
「う・・・や、やめろって言ってるだろ!このぉ!」
「いやぁ~ん。えっちぃ~」
「シオン・・・お母さんとしましょうか?」
エンカーブレイスはふとシオンにそう持ちかけた。
「そうだな・・・・・・・・・はああぁっ!!?」
「だって100年死んでたんだからシオンより身体は若いわよ?」
確かに。リファイスよりもぴちぴちしているはずだ。
「だ、だからって俺は兄弟を息子として産んで・・・それはつまりリファイスにとったら息子で甥で不倫相手の子で????」
「ほら、リファイスよりいい身体だと思うんだけどなぁ」
「じ、冗談にも程があるぞ!!」
「シオンだって私が他の男に抱かれてたら嫌でしょ?」
「う・・・ま、まあ」
「でも私は年頃の女よ?したくてしたくてたまんないのよ・・・で、シオンって恋愛対象なのよね~。うふっ。力使っちゃうかもね?」
「か、勘弁してくれ・・・」
そして、天使と悪魔の歴史を変えたシオンの名は永遠に語り継がれていく・・・
天使ではシオンを命に代えて産んだエンカーブレイスと、シオンに愛を注いだリファイス。
そして悪魔では新たな女王、プロパールが。
そしてその2つの種族を結ぶフィリシーンの名が・・・
――――――――――――――――――――
後日談・・・
相変わらずの平和な日々が続いていた。
ある夜。エンカーブレイスはシオンの家に遊びに来ていた。
「わーい。おばあちゃんだ~」
リオンはすぐにエンカーブレイスに飛びついた。
「あらあら。元気のいいこと。ママより若くて美しいおばあちゃんですよ~」
エンカーブレイスはリオンを抱っこしてあやした。
リファイスは少し苦手に思いながらも、シオンの母と言うことで気を使う。
「もう。お母さんったら」
エンカーブレイスはリオンを抱っこしながら話しかけた。
「ところで。パパはどこ?」
「パパはもう寝ちゃってるの。なんか疲れたんだって」
それを聞いたエンカーブレイスはシオンの寝室に様子を見に行った・・・
シオンの寝室・・・
シオンはよく寝てよく動くタイプだ。
「お邪魔するわよ~・・・」
エンカーブレイスはベッド横に膝立ちしてシオンの寝顔を覗き込んだ。
(ふふっ。こうしてみるとやっぱりわが子ね。かわいいっ)
シオンの頬を細い指でつんつんと突っつく。
(それにしても・・・やっぱり男の子よね~。っていうか私より年上って言うのが変な感じよね~)
しばらく頬をつんつんして楽しんでいたエンカーブレイスだったが、シオンの胸板を手で触り始めた。
(やぁん。完全に男の身体じゃない。これが私の胎内に入ってたのよねぇ。生命って不思議よね~)
-とくん、とくん、とくん、とくん・・・-
じっとシオンの顔を見つめる・・・顔が赤くなる。
(・・・やだ。男として見ちゃってた・・・ダメダメ・・・最近の私はおかしいわ。シオンは私の息子なのよ・・・)
困惑の表情でシオンを見つめる。
(・・・あぁん。ちょっとカッコよくなりすぎよぉ。ダメダメ!私達は親子なのよ!・・・それにシオンにはリファイスが・・・でも私はシオンの母親なんだし・・・ま、いいか。逆に考えたら息子だからこそ良いのよね?うんうん)
と、どうやら意志を固めたようだ。
シオンの乳首を指で細かく刺激していく。
シオンがその刺激で起きた。
「ん・・・か、母さん・・・何をやってるんだ?」
「ん~。前戯」
エンカーブレイスはにこっと笑ってシオンの乳首を口に含む。
「うぐっ・・・ち、ちょっと・・・やめてくれ・・・」
次第にシオンの息が荒くなる。
「やっぱりシオンちゃんもここが弱いのね~。だって私が乳首がすんごく弱いんだもの。似てくれて嬉しいわ」
「う・・・ど、どういうつもりだよ・・・」
エンカーブレイスは真顔でシオンを見つめた。
「ねえシオンちゃん。お母さんとセックスしましょ?」
そう言って再びにこっと笑う。
「・・・何言ってんだ?俺の耳がおかしかったか?大体親子でそんな・・・」
「シオン!!あなたの身体は私のここに入ってたのよ!!」
エンカーブレイスはシオンの手を取ってお腹に当てた。
「~~~っ!!どうしたんだよ一体!だから親子で―――――」
エンカーブレイスはシオンの体を抱きしめて自分の胸にうずめた。
「聞こえる?シオン・・・あなたは私の中でずっとこの音を聞いてたのよ・・・」
シオンの耳に母親の心音がとくんとくんと伝わってくる。
少しリラックスしたシオンを見て、エンカーブレイラスは優しく語りかけた。
「シオン。あなたは知らないかもしれないけど・・・男の子は初めてを母親で経験するのよ。それが天使の親子の掟なの・・・(大嘘)」
「・・・んなバカな・・・そんな話一度も聞いたこと―――」
「だって・・・『母親とセックスした』なんて照れるから言わないじゃない。それにリファイスは女の子だったから知らないのよ。ね?(適当)」
「・・・た、確かにそうだが・・・」
・・・では何故あんたは知っているんだ。と疑わないのは相手が母だからか。
「シオン・・・お母さんの目を見て・・・じっと・・・じっと見つめるのよ・・・」
エンカーブレイスに言われてシオンは顔を上げた。
そして母親の顔を見つめる・・・
「シオン・・・どう?私を女として見てくれる?」
「い、いや・・・無理だ・・・」
「・・・だったら他の男に抱かれようかしら・・・」
その言葉でシオンの表情が変わった。さすがに母親がどこの馬の骨とも分からない男に抱かれたら嫌なのだろう。
「ふふっ。シオンが抱かなきゃ私はどこの誰だか分からない男に抱かれちゃうわよ?私だって女なの。身体はリファイスより盛ってるのよ?」
「う・・・い、嫌だ・・・」
「・・・なら、抱いて?」
「う・・・うう・・・」
「ね?いいじゃない。私が産んであげたんだから・・・ダメ?」
エンカーブレイスはここぞとばかりにとびっきりの媚びた顔を見せる。
しばらくしてシオンは抵抗をやめた。
「分かった。俺が抱くよ・・・」
シオンはエンカーブレイスを押し倒した。
そして服を剥いで胸を揉み始める。
「ん・・・シオン・・・あん・・・(ああ・・・私・・・息子相手になんてことを・・・)」
エンカーブレイスは背徳感でどんどんと高まっていく。
シオンは右の乳首を甘噛みする。そしてこりこりと刺激を与える。
「あっ!やっ、そ、それは・・・だめぇっ!弱いのっ!うあんっ!!」
身体がびくんと跳ね上がった。
それを見たシオンは左にターゲットを変更する。
「あっ!ま、またそこなのっ?ひゃっ・・・んんっ!!」
シオンもまた背徳感と女の反応を見て気分を高めていた。
エンカーブレイスは弱点を徹底的に攻められてくたくたになっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、し、シオン、凄すぎ・・・」
シオンはそんな獲物を満足げに見ると、舌でへそ周りやわき腹を舐めていく。
「うんっ!!・・・あぁ・・・」
そして恥部に向かっていく・・・が、焦らして太ももを舐めていく。
そこは既に愛液で濡れていた。
「あぁ・・・い、意地悪しないで・・・お、お願い・・・ねえ・・・」
シオンの舌が太ももを上がって恥部に近づく。
「ん・・・」
が、寸前でまた退いていく。
「し、シオン!い、いい加減にしないと怒るわよ!!」
シオンはそんなエンカーブレイスをオスの顔で見つめた。
「ふっ。今は俺の女だ・・・そしてこれからも俺だけの女だ・・・」
その言葉にお互いの心臓がドクンと跳ねる。
特にエンカーブレイスの方は忘れかけた背徳感がぞくぞくと背中を走っていた。
シオンはエンカーブレイスのおま○こを指で広げると、クリトリスの皮を剥いた。
そして舌で刺激していく。
「ひぐっ!!うああっ!!ま、まって!!ひゃあああっ!!あっ!!うああっ!!」
抵抗の隙すら与えずに愛撫は続く。
「ら、らめぇっ!!す、凄すぎてっ!!い、イッちゃう~~っ!!あ、ああっ!!わ、私っ!!息子に犯されてイッちゃう~~~っ!!うあああぁぁぁああぁぁぁぁっっ!!」
-ビクンッ!!ビクンッ!!-
エンカーブレイラスはシーツをぐしゃぐしゃに握り締めて震えていた。
思いっきり絶頂に達したエンカーブレイスを、シオンは休むことなく愛撫していく。
「ま、待って!!そんなすぐには!!ひぐぅぅっ!!あっ!あぁぁっ!!」
そこへ・・・怒りに燃えるあの人が・・・
「ちょっと!!!!何やってるのよ!!!!」
リファイスだ。シオンはびっくりしてリファイスを見上げている。
中断されてしまったエンカーブレイスもリファイスを見つめる。
リファイスは発情したエンカーブレイスに少し戸惑いながらも責め立てる。
「お、お義母様!!何てことを!!彼はあなたの息子でしょう!?」
「あら・・・私が産んだんだからこのぐらい問題ないわ・・・この状況、どうみてもシオンが私を犯してるんだけど?」
確かに。股間に顔をうずめているのはシオンだ。
リファイスはシオンを責め立てる。
「シオン!!あなたもあなたよ!!どういうつもりなの!?」
シオンはリファイスと顔が引っ付くほどに近づいた。
「リファイス・・・お前もしたいのか?だから来たんじゃないだろうな?これは俺達親子の問題だ」
「だ、だからって・・・シオンが他の女を抱くなんて・・・嫌・・・」
「力で行為を認めさせることだって出来るんだ。それにお前が力を使っても母さんがより強い力でお前を縛るだろう。お前にはどうすることも出来ない。大人しく寝てろ」
リファイスは明らかに追い込まれていた。
そしてリファイスは勝負に出た。
-ぱさっ-
服を脱いでシオンの前に裸体をさらけ出す。
「ねえ・・・私の身体の方が気持ちいいわよ?ほら、シオンにとって一番の身体・・・私を抱いて?」
案の定シオンは揺れ動く。
どうせなら妻を抱いた方が気も楽だ。
エンカーブレイスはそんなシオンをぎゅっと抱きしめる。
「ねえ・・・私が他の男に抱かれてもいいの?それに身体なら私のほうが若いわよ?それにあなたの居た身体・・・安心できるはずよ」
「そんな!若い若いって、たった数十年しか違いません!!」
「その数十年が問題なのよ。ねえ?シオンちゃん」
シオンはエンカーブレイスの顔を見つめた。
そして決めたようにエンカーブレイスの恥部を指で広げる。
「・・・挿れるよ。母さん・・・」
「うん。おもいっきり突いて・・・」
「くぅ~~っ!!悔しいっ!!このマザコン!!」
リファイスがギリギリと歯を食いしばって見つめていた。
エンカーブレイスの恥部にペニスが入っていく。が、先端しか入らない。
「うっ・・・き、きつい・・・」
「し、シオン!!い、一気に突いて!!」
シオンは両脚を持って一気に押し込んだ。
「ひぐうぅぅぅっっっ!!!!ああぁぁぁっ!!」
エンカーブレイスが苦痛で顔を歪める。
「だ、大丈夫っ!!いいから!動いて!!」
シオンは腰を動かしていく。
「んあっ!!あっ!あっ!あっ!あっ!」
エンカーブレイスが快感に浸っていた。
シオンはぎゅっと押し込む。
「ふああぁぁっ!!だ、だめっ!も、もう・・・」
「・・・出すぞ。いいな?」
「お、お願い!出して!いっぱい出してぇっ!!!!」
-ドクンッッ!!ドクンッッ!!-
「くあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
エンカーブレイスの身体が折れると思うほどに仰け反った。
大きく眼を見開いて涙を流している。
そして口からは涎が垂れていた。
「はぁ・・・はぁ・・・シオンのがいっぱい入ってるぅ・・・気持ちぃぃ・・・はふぅ・・・」
エンカーブレイスが余韻に浸っている一方で、リファイスはカンカンに怒っていた。
「シ~オ~ン~!!あなたねぇっ!!もう―――」
シオンはキスをしてその言葉を遮った。
「許せよ・・・俺って母さんと居る日数が浅いから・・・どうしても・・・な?」
リファイスはシオンの身体をぎゅっと抱き寄せた。
「・・・ぷはっ・・・わ、わかったわ・・・でも・・・私を嫌いにならないで・・・私への愛を薄れないで・・・お願い・・・」
「勿論だ。愛してるよ・・・」
「シオン~。後ろにもお願い~」
エンカーブレイスが四つん這いになっていた。
「ダメ!今度こそ私に頂戴!シオン!!」
リファイスも負けじと四つん這いになった。
「「ねぇ~シオン~。こっちの方が絶対気持ちいいわよぉ~?」」
2人がお尻を振ってシオンを誘っている。
シオンはしばらく悩む・・・
そして・・・
「・・・俺は・・・」
シオンはリファイスのお尻に手を置いた。
「シオン・・・嬉しい・・・」
既にリファイスの恥部からは期待で愛液が垂れていた。
シオンはリファイスのアナルに指を置いてほぐす。
「もっと力を抜け・・・」
「うん。もうやってるわよぉ・・・」
「・・・じゃあこっちにしようか」
シオンはリファイスのま○こを指でなぞった。
「あん・・・ど、どうしたの?後ろは・・・」
「2人目・・・欲しいんだろ?」
「シオン・・・」
シオンはリファイスに後ろから挿入した。
「ん・・・あ・・・あぁ・・・」
一方のエンカーブレイスは、四つん這いのまま震えていた。
(惨めで・・・情けなくて・・・悔しい・・・何で私なんか生き返らせたの・・・シオンはもう私なんて居なくても大丈夫なのに・・・私・・・もうこんな苦しい日々は嫌・・・見守るだけがよかった・・・もう・・・死にたい・・・)
横ではリファイスが絶頂に達していた。
「ああぁぁぁっっっ!!!!」
エンカーブレイスはただただ涙を堪えていた。
(母親でもなく・・・女でもなく・・・シオン・・・私は・・・)
すると、シオンがエンカーブレイスのお尻に手を触れた。
「母さん。リファイスは眠ってるから」
「!!だ、ダメよ・・・あなたには彼女が・・・」
「母さんは俺のために死んだんだ・・・今度は母さんの望む人生を送って欲しい・・・命がけでサポートする・・・そのぐらいの親孝行、してもいいだろ?」
「っ!!ば、バカね・・・私は何もしてあげられなかったのに・・・名前をつけることすら・・・」
「命を捨ててまで産んでくれたじゃないか。それ以上の何があるんだ」
「・・・いいの?・・・私・・・望んでもいいの?シオン・・・」
「勿論だ・・・」
シオンはエンカーブレイスのアナルに挿入した。
「ああっ!いいっ!お尻いいっ!!凄いわっ!!」
「・・・綺麗だ。エンカーブレイス・・・」
「ああんっ!!もっと!!もっと呼んでぇ!!あ、ああっ!!」
「こうして・・・女として抱くならいいだろ?会う機会はたくさんある。それにリファイスはしばらく産休だ」
「うんっ!!ああぁっ、も、もう・・・もうイッちゃう!!ああっ!!シオン!!イクッ!!」
-ビクンッ!!ビクンッ!!-
エンカーブレイスとシオンは抱き合うように眠った。
翌日・・・シオンはリファイスの耳元で呟いた。
「リファイス・・・ありゃあそうとうのやり手だな。だが男の気配はしなかった・・・レズだな・・・人気の理由はそこにもあるんじゃないか?」
「えっ?さ、さあ?私にはちょっと・・・」
「次は・・・お前が狙われるかもよ・・・『昔の血が騒いだのぉ』とか『親睦を深めましょ』とか言いながら・・・な?」
「や、やだぁっ、脅かさないでよぉ」
その頃エンカーブレイスは天界を飛んでいた。
「・・くしゅん!やだぁ、誰か私の噂してるのかしら・・・案外リファイスが私のこと好きだと思ってたりして?うふっ、今度は3Pね」
リファイスの背筋をぞくぞくと悪寒が走った。
(い、嫌な予感・・・)
「エンカーブレイス様?何をにやけてらっしゃるんですか?」
「はっ、べっ、別ににやけてなどいません!それより早く持ち場につきなさい!生半可な気分では成功しませんよ?」
「は、はいっ」
決して他人の前では理想像を崩さないエンカーブレイス・・・
部下が去った後、再び微笑む母であった・・・
終わり
おまけ
リファイス(以下リフィ):はい。おしまい。
フィリシーン(以下フィル):皆が幸せでよかった良かった。ハッピーエンドね!
ハーシブリィ(以下ハーシ):俺は結局悪魔のままか。
ディライブ(以下ディラ):向こうではどうやって私の猛追を切り抜けるのかしら。
エンカーブレイス(以下ブレイ):向こうでも生き返れないかしら。
シオン:・・・む、向こうって何だよ?
ディラ:それにしても子供は凄いわよ。じっと見つめられると悪いことは出来ないって思っちゃうの。そしてとっても愛しいのよ。
リファ:そう言えば・・・シオン!いったい何人の女を孕ませたのよ!!
ブレイ:だから言ったでしょ?リファイス。あなたには酷な方法だって。
リファ:きぃぃっ!!この身体を数多の女が抱いたと思うと!!ムカつく~っ!!
シオン:や、やめろ!!落ち着け!!
リファ:こ、この浮気者!!
ディラ:そうよそうよ!!この浮気者!!
シオン:な、なんで俺が怒られるんだよ!!ディライブが言うのは筋違いだろ!
リファ:そう言えば何なのよあんたは。さりげなく便乗して。
ディラ:仕方ないじゃない。悪魔の血がそうさせたのよ。事故よ事故!
フィル:じゃあ何で本能が収まった今でもシオンが好きなの?
ディラ:う・・・は、ハーシブリィはどうなのよ!?
ハーシ:ん?何が?兄貴のことか?好きだよ・・・い、異性としても・・・
リファ:く・・・女を狂わせるのはこの顔か!?この顔かっ!!?
シオン:い、痛いっ、やめろ!
リオン:ママ!!パパをいじめちゃダメ!!
シオン:おお~リオン。お前は救世主だ~。
リファ:う・・・こ、これはスキンシップなのよ?
シオン:そんなスキンシップがあってたまるかぁっ!!
リオン:私は将来パパのお嫁さんになるんだから!!だからダメ!!
リファ:・・・いっぺん死ねっ!
シオン:ぐふっ・・・も、もう既に一回死んでる・・・
全員 :シオン~。愛してるわよ~。
シオン:き、貴様ら・・・煽るなよ・・・
リファ:ええいっ!!もういっぺん死ね!!あと100回は死ね!!いっそのこと私が殺してやる!!
シオン:ぐ、ぐえ・・・ゆ、許せ・・・ま、マジで死ぬ・・・
リオン:では皆さん。ここまで読んでいただいてありがとうございました。また会う日まで。さようなら~。
全員 :お前がしめるな!!
< 終わり >