優嘉編
男の名は結城龍正。
その男と寄り添いながら歩く女・・・
学校中がベストカップルと認める2人。
そしてその様子を怒りと悲しみを込めて見つめる女の名は、黒田優嘉・・・
これは龍正と優嘉のみが知るお話・・・
高校1年・・・
一人になった龍正の机に、一人の女子がやってきた。
身長は163。髪は赤髪で痛んでおり、肌も荒れている。体はスレンダーという方か。
出るところも出ていない・・・だが、大きな瞳は綺麗だ。
「ねえ結城君。結構体格よさそうだけど何かスポーツでもやってたの?」
龍正は瞬時に警戒しながらも、普通のように接する。
「特に何もしてないぜ。主なのは喧嘩と筋トレだ」
「へえ~喧嘩の強い人って素敵ね。私のタイプよ。あ、私黒田優嘉。よろしく」
堂々と龍正がタイプだと言い放ったこの女・・・握手を求めてくる。
「・・・よろしく」
龍正は表向きは照れているように握手に応じた。
放課後・・・
龍正が校門を出たところで、ぜえぜえ言いながら優嘉が走ってきた。
「どうしたんだ?そんなに急いで」
「はあっはあっ・・・一緒に・・・帰ろうと思って・・・」
龍正は驚いた振りをする。
「いいけど・・・黒田さん、方向どっち?」
「え?え~っと・・・結城君はどっち?」
優嘉は先には答えない。その魂胆は分かっている。
「俺は右」
「あ、奇遇だねぇ・・・私も右なんだ」
絶対嘘だ。それも能力で分かっている。
優嘉は龍正の手を握り締める。優嘉の手はちょっと汗ばんでいる。
「あの、黒田さん?俺ここなんだけど・・・」
「・・・え?あっ!そ、そうなんだ。じゃあまた明日ね」
龍正の言葉ではっとした優嘉は、龍正が部屋の中に入ったのを確認すると、こそこそと逆方向へ帰った。
龍正はその様子をこっそりと見ていた。
「ふむ。今日一日で大分恋に落ちたようだな・・・さて、奴の性病について調べてくるか・・・治してやらないと感染するからな」
龍正は部屋を出て本屋へと向かった・・・
-ドンッ-
下り坂の途中で龍正は突然後ろから衝撃を受けた。
「きゃあっ!」
女性の声が聞こえ、女性が倒れる。
「ん?・・・何だお前・・・」
「あ、あなたは・・・結城龍正さまですね・・・これは失礼しました。私お隣のクラスの生徒ですの」
妙に派手な髪型とバカ丁寧な喋り方だ。
「ふぅん・・・」
龍正は構わず立ち去ろうとする。
「あ、ちょっと!手を差し伸べてくださいませんの?」
座ったままの女性が龍正を引き止める。
「何でお前が勝手にぶつかったのに俺が助けるんだよ」
龍正は面倒くさそうに向き直った。
「当たり前でしょう?私はお嬢様ですもの」
「・・・で?」
「で?・・・と言われましても・・・」
「お前が金持ちだろうが俺に何の関係があるんだ?俺だって金ぐらい持ってるぞ」
「大有りです!私は理事長とも仲良しなのですわ!」
自信満々にそう言われ、龍正は諦めて立ち去ろうとする。
「あっそ・・・俺はあんたみたいな女は気に入らないな~。はっきり言って嫌いだね」
「な、何ですって!!」
龍正は無視してスタスタとその場を後にした。
そんな様子を歯を食いしばりながら睨みつけていた。
(わ、私に屈しない男が居るなんて・・・認めません!絶対に認めませんわ!!)
数週間後・・・
龍正の側には優嘉がべったりと引っ付いている。
2人はクラス中が公認するカップルとなった。
あの自己中な優嘉が恋によって友好的な性格に変わったのだ。
優嘉には友達はあまり居なかったので、その変化を批判するものは少ない。
むしろ優嘉のクラスでの印象は良くなった。
相変わらず龍正はクラスの人気者に変わりはなかった。
「次っ!結城!」
体育教師に名前を呼ばれ、龍正は走り出す。
そして高くジャンプする。
1m80に設置されたバーを、背中を下にして華麗に跳び越した。
背面跳びが太陽の光で輝いて見える。
それを側で見ていた女子から歓声が上がる。
「すっごいね~結城君って・・・」
「大会とか出れるんじゃない?」
「いいな~。スポーツの出来る人って~」
「それに頭も良いなんて反則よね~」
「顔だって悪くないしね~」
龍正の事をチヤホヤされて、優嘉は複雑な気持ちになる。
「ちょっとちょっと!!りゅ~せ~君はアタシの彼氏なんだからね!!」
優嘉が立ち上がって慌てる。
「はいはい・・・いいな~黒田さんは。自慢の彼氏でしょ?」
「あ、結城君と付き合ってからおっぱい大きくなったんじゃない?」
「それに肌もつやつやしてる~。2人で何してるのかな~?」
「あ、何何~。それって夜の営みってやつ~?」
優嘉はもてはやされて真っ赤になる。
教室の窓からそんな龍正を見つめる影があった。
龍正と優嘉が並んで帰っている。というより優嘉は龍正の家に入り浸るようになった。
「うふふふっ」
「何だよ。気持ち悪いな・・・」
「今日はぬいぐるみ持ってきたんだ~」
「それを俺の部屋に飾る気なのか?」
「もちろん!いいじゃない。りゅ~せ~君の部屋広いんだしさ」
龍正の部屋にも優嘉の私物が次々に増えていく。
そんな2人の前に車が止まって女性が現れる。
「お久しぶりですわね・・・結城さま。ついでに黒田さん」
「「・・・・・・」」
龍正と優嘉は怪訝な顔をする。
そして龍正は強烈な一言を放った。
「いや・・・あんた誰?」
「く!・・・こ、この屈辱・・・一度ならずに二度も・・・」
「りゅ~せ~君。誰?この・・・見てるだけで目がチカチカする女は」
「・・・俺の一番嫌いな権力を振りかざすタイプ。しかも自分じゃ何も出来ない」
「な~んだ。ちょっとあんた!そこどきなさいよ!!」
優嘉は途端に強気に出る。
「あなたに私の力・・・思い知らせてやりますわ!!私に不可能な事はありませんのよ!!」
女性が龍正をビシッと指差す。
「・・・そもそも名前知らないし・・・」
龍正がそういうと優嘉がげらげらと笑い始めた。
「う・・・そういえば名乗ってませんでしたけど・・・まさか私を知らない殿方がいらっしゃるとは・・・私の名は・・・鳳綾乃(おおとりあやの)と申します」
そういって綾乃は車に乗って去って行った。
「何アレ・・・」
「・・・アレが変態だ」
「そっか・・・アレが変態か~」
クリスマスイブ・・・
龍正は優嘉と自宅に居た。
食卓にはお互いが料理して作ったものが沢山並んでいる。
「乾杯!!」
「未成年だけどね!!」
龍正と優嘉がシャンパン片手に料理を食べる。
「りゅ~せ~君と一緒に居られるなんてね~」
「ふっ。俺にはわかってたよ」
(何たって俺がお前を作り上げたんだからな)
「やだ~」
「お、顔赤いぞ」
「酔っちゃったのかな~。今夜は帰りたくな~い」
「今夜は?今夜もだろ?」
「うふふふふふっ。意地悪なんだから~」
龍正はベッドに優嘉を横たえる。
「はあ・・・はあ・・・」
すでに優嘉は息が荒い。
イブだから気合が入ってるのだろうか。それともアルコールか。
「お前の感じてる顔・・・むちゃくちゃ綺麗だ・・・写真でもとりたいくらいだ」
(うむ。さすがに身体を綺麗にしただけはあるぜ・・・)
「もう・・・早くきて・・・」
「ふっ・・・この淫乱め」
「いやん。淫乱でもいいから・・・早く・・・」
龍正は優嘉に重なる・・・
「さて、お姫様はどこがお好きかな?」
「ん・・・ここ・・・」
優嘉は自分の乳首を指差す。
「違うだろ~」
龍正は優嘉のおま○こに手を這わした。
「ひゃん!!い、いきなりそんな・・・」
「ウルサイ」
「むぐっ!?」
優嘉の口がキスで塞がれ、沈黙が訪れる。
「・・・ん・・・む・・・あ・・・」
優嘉は貪るように龍正の唇を求め、蕩けていった。
「はあっ・・・はあっ・・・」
優嘉はもう何も言わない。ただ龍正を待っている。
「次は・・・」
優嘉が龍正の腕をつかむ。
「・・・もうダメ・・・我慢・・・できない・・・」
「・・・そっか」
龍正は優嘉の意思を汲み取り、優嘉の脚を持った。
優嘉はベッドに寝ている。龍正はベッドの脇に立っている。
そして脚を広げ、大きなペニスで貫いていった。
体位を変えて何度も何度も・・・
2月14日・・・
教室に入った龍正と優嘉は驚いた。
龍正の机の中から机の上までいろんな箱が山積みになっていたのだ。
「な・・・なななな!?なんじゃこりゃ・・・」
「な・・・なななな!?なによこれぇっ!!」
龍正と優嘉がぽけ~っと立ち尽くす。
「あ、あの・・・結城君!!こ、これ・・・」
龍正が声をかけられて振り返ると、女子がモジモジと立っていた。
「う、受け取ってください!!!・・・し、失礼しますぅっ!!」
龍正の手を強引にとって箱を強引に受け取らせると、ものすごい速さで消えていった。
「な、何が起きたんだ?・・・」
(そ、そういえば周りの視線が怪しい・・・皆俺を見ている・・・それにこんなになっても男子はいやみ1つ言わずに親しく接してくる・・・)
考え込む龍正だが、優嘉の心は怒りで満ちていた。
「くぅ~っ!!何よ!!りゅ~せ~君にはアタシが居るのよ!!!!」
優嘉は箱を1つ破り、手作りのハート型チョコレートをバリバリと食べ始めた。
「うえええぇぇぇん!!一所懸命作ったのにぃっ!!!」
女子の1人が泣き崩れ、数人が宥めている。
みんなの鋭い視線が優嘉に突き刺さる。
「あ・・・あの・・・ごめん・・・」
(な、何でアタシが咎められるのよ~。悪いのは彼女が居るのにチョコ渡す方じゃない・・・でも謝っちゃうアタシって・・・)
龍正もその異様な空気を感じ取った。
(な、何だこの空気は・・・俺には誰も批判しないのか?・・・それに、これを見て彼女が怒るのは当たり前だろ・・・)
龍正はとっさに優嘉の食べかけのチョコレートを奪い取り、その泣き崩れた女子の目の前に立った。
ひっくひっくと泣きながら龍正の行動に注目している。
龍正は意を決したように、チョコレートを優嘉とは反対側から食べ始めた。
「うん。とっても美味いよ。有難う」
龍正はぎこちない笑顔を見せる。
そしてチョコレートを口に咥えたまま、優嘉が食べかけた側を女子が食べるように口を近づける。
すると女子の顔がぱあっと笑顔になり、チョコレートを照れながらかじった。
周りから龍正に暖かい拍手が送られた。
どうすれば丸く納まるかを良く心得ている龍正。
「何を騒いでるの!!もう授業始まってるわよ!!」
女性教師が入ってくる。
「せ、せんせ~・・・これ~」
優嘉が龍正の机を指差す。
「あら。皆積極的なのね~。朝一番で渡しちゃうなんて・・・」
先生は自分の指を咥えて龍正を潤んだ目で見つめると、鞄から箱を取り出した。
「ハイ。先生からのプレゼント。手作りする自信が無くてデパートで買ってきたんだけど・・・味は値段が保証するわ。結城君、取りに来て」
龍正は戸惑いながらも素直に教卓に向かい、チョコを受け取った。
テレビの特集でやっていた、人気の高級チョコだ。
「先生独身だから・・・いつでも来ていいのよ」
龍正はそんな誘惑に礼だけすると自分の席に戻った。
優嘉が先生を睨みつける。
女子は先生へ批判の声をあげ、男子は龍正に声援を送る。
(な、なんなんだ今日は・・・)
結局授業時間は、龍正がチョコレートを食べる時間に当てられた。
龍正はチョコレ-トをつぎつぎに食べながら、贈り手に作り笑いを見せる。
そのたびに女子から歓喜の悲鳴が沸きあがる。
逆に笑わなかったら贈り手は泣きじゃくるのだ。
体育の時間・・・
この季節はこの高校はバスケットが主体だ。
女子は龍正がボールを持つだけで歓喜の声を上げる。
男子は龍正を気遣ってボールを渡す。
優嘉はそれが面白くない。けど龍正は応援したいので複雑だ。
(甘いもの食いすぎたから動かないと・・・少し本気でやるか・・・)
先生の命令もあって他の授業中も龍正はチョコを食べる事が優先された。
しかし、まだ半分以上残っている。
「きゃあああっ!!結城く~ん!!!!」
龍正がレイアップシュートを決めると、コンサート会場のように盛り上がった。
体育の女の先生も龍正を熱のこもった目で見ている。
もちろん授業の始めにはみんなの目の前でチョコを手渡しした。
昼食の時間・・・
「結城く~ん!!私のお弁当食べて~!!」
「あ、ずる~い!!私のも食べて~!!」
クラス中の女子が龍正のもとに群がる。
「わ、わかってると思うけど・・・俺優嘉と付き合ってるんだよ!!悪い!!」
龍正がその場を逃げ出す。
「え~残念~」
「でも一途なのね~。奪うのは難しいかも・・・」
「バカね~。愛は障害があるほど燃えるのよ・・・それに簡単に心変わりしちゃう人だったら拍子抜けするわ」
「問題は黒田さんよね~・・・どうする?」
「そうだ!黒田さんから結城くんを振るようにすれば?」
「あ、それ良いかも~。で、失恋の傷を私たちが癒すのよね~」
「でも結城くんの悪いうわさを振りまくのって気が退けちゃう~」
「だったら~。こんなのどうかな~」
・・・・・・・・・・
屋上で龍正は優嘉に膝枕してもらって寝そべっていた。
「はい。あ~ん」
優嘉が龍正に弁当を食べさせる。
「う~ん。やっぱり美味いな~」
「そうでしょ?りゅ~せ~君のために練習してるのよ」
「とくに今日はチョコレートばっかり食ってたからな~」
「アタシが手伝って食べようとすると睨まれるのよね・・・」
龍正は雲を眺めながら、今日の異変について考えていた。
「なあ。何でお前と俺だけ何も変化が無いんだろうな~」
「さあ・・・でもりゅ~せ~君がアタシを信じてくれて嬉しい」
「・・・これから大変だぞ・・・特にお前は・・・」
「そうみたいね~・・・アタシ睨まれてばかりだったから・・・」
「・・・お前は変わらないよな?」
「当たり前じゃない!」
龍正と優嘉は硬く指切りをした。
放課後・・・
龍正は校門の所で優嘉を待っていた。
(優嘉の奴・・・遅いな・・・今日は一緒に帰るんだって言ってたのに・・・)
「あれ~。結城くん。どうしたの?黒田さんなら、先生に呼び出されて遅くなるから帰って良いよって伝言受けたきたわ」
龍正の周りに女子が群がる。
「・・・別に優嘉を待ってるわけじゃないぞ?男友達と約束してるんだ」
「あ、そうなんだ~」
女子達はなんとか帰っていった。
数時間後・・・周りはすっかり暗くなった。
校舎からふらふらと誰かが歩いてきた。
近づいてくると、それが優嘉だと分かった。
「りゅ・・・りゅ~せ~君?今まで待っててくれたの?」
髪はビショビショになっており、制服には切り刻まれた跡があった。
龍正は優嘉を抱きしめた。
「ぬ、濡れちゃうよ?・・・」
「・・・いいんだ」
「・・・う、りゅ~せ~君・・・アタシ・・・アタシ・・・ぐすっ」
優嘉は龍正の胸に顔をうずめて泣き崩れた。
「しばらく別れよう・・・それが優嘉の為だ」
「い、嫌っ!!アタシ・・・負けたくない!!こんなので諦めたくないよ!!」
優嘉はしばらく龍正から離れずに泣き続けた。
「結城さま。いかがでしたか?私のバレンタインプレゼントは・・・」
優嘉の後ろからゆっくりと歩いてくる。綾乃だ。
「バレンタイン?お前からは何も・・・・・・ま、まさか今日の異変は!!?」
「そう・・・私ですわ・・・言ったでしょう?私に不可能は無い・・・私は『リガード』の能力で簡単に好感度を変える事が出来るのです・・・」
「・・・くだらん・・・実に幼稚だ・・・」
龍正は綾乃を睨みつける。
優嘉は綾乃に怯えるように震えている。
「よ、幼稚?私が・・・幼稚!?・・・今に後悔しますわよ・・・」
「・・・その言葉・・・お前に10倍にして返してやる・・・」
お互いの視線が交錯し、綾乃は去っていった。
翌日・・・
龍正はトイレに入る。
横の女子トイレの前にはクラスメートが2人立って龍正をちらちらと見ていた。
「・・・おい・・・」
龍正は女子トイレに入ろうとする。
「え?ええ?ちょ、ちょっと結城くん!!だ、ダメだって!!」
「・・・お前らの行動、怪しすぎるんだよ」
龍正はとおせんぼをする2人を押しのけて中に入った。
「ちょ、ちょっと結城くん!!ここは女子トイレよ!!」
中には数人の女子がたむろしていた。
龍正は1人が後ろに持っているバケツに目をやった。
「・・・優嘉!!居るんだろ?」
龍正は水の漏れている部屋の前でノックした。
かすかに泣き声が聞こえる。
「・・・りゅ・・・りゅ~せ~?・・・」
「おい!ここを開けろ!!」
「や、やだ・・・見ないで・・・」
龍正は隣の部屋からよじ登って優嘉の様子を見る。
びしょ濡れで身体を丸めて震えていた。
「おい、この場で俺と別れるって言え!少しの辛抱だ」
「!!?や、やだ・・・ぜったいにやなのぉっ!!」
「俺は黒田優嘉と別れる!!だからもう・・・」
「やだあっっ!!アタシは負けないって言ったじゃん!!!信じてよぉっ!!!」
優嘉の叫び声を聞いて、龍正は下りた。
「・・・貴様ら・・・」
龍正は射るような視線をぶつける。
「・・・次にやったらぶっ殺してやる・・・覚悟しておけ・・・」
龍正が低いトーンで言うと、女子達は逃げるようにその場を去っていった。
その日から優嘉への虐めが巧妙化した。
偶然を装って怪我をさせたり、こっそりと私物に嫌がらせをしたり・・・
龍正の知らない場所でも精神的な虐めが行われていた。
7月・・・
龍正はいつものように屋上で寝そべっていた。
相変わらずモテモテ効果は続いている・・・
「あ、いたいた!りゅ~せ~君!!」
優嘉が弁当を持って現れる。
その顔には未だに虐めが続いている事が表れている。
「ん?・・・」
龍正は怪訝な顔をして優嘉を見る。
「ど、どうしたの?りゅ~せ~君・・・」
「お前・・・・・・いや、なんでもない。すまなかったな。優嘉」
龍正は横になった。優嘉が膝枕をする。
龍正に弁当を食べさせながら、優嘉が尋ねた。
「りゅ~せ~君・・・最近おかしいよ?アタシを見てもぼ~っとしてるし・・・本当にアタシの事・・・好き?」
「・・・分かってる・・・分かってるんだ・・・俺が一番自分の異変を感じてる・・・お前の事も好きなんだ・・・それも分かってる・・・だが・・・良くないことが起こる・・・絶対に良くない事だ・・・別れよう・・・俺たち・・・」
「な、何で!?きっと暑さでぼ~っとしてるだけだよ・・・心配しないで・・・」
優嘉はそういうと龍正にキスをして、弁当を口移しした。
龍正は嫌な顔も嬉しい顔もしなかった・・・
9月・・・
龍正と優嘉は微妙な関係が続いていた・・・
「ねえ・・・ねえってば・・・りゅ~せ~君・・・ほんとにどうしちゃったの?・・・あんなに真剣になってアタシに語ってくれたじゃない・・・」
龍正はほとんど返事をしなくなった・・・
家に行っても追い返された。
龍正についていくように優嘉は歩いていた。
そして・・・車が止まってあの女性が出てきた。綾乃だ。
「どうですか?結城さま・・・今から私とお食事でも?」
「・・・ん。そうだな・・・」
龍正は綾乃の車に乗ってしまった。
「ちょ、ちょっと・・・りゅ~せ~君・・・」
綾乃はちらりと優嘉を見た。
優嘉は泣き出しそうな顔でその車を見ていた。
そして車内では綾乃が恐ろしい程の笑みを浮かべていた。
その日を境に、綾乃は龍正によく会いに来るようになった。
そしてそのたびに龍正は綾乃を受け入れた。
「ねえねえ。結城君と鳳さんってお似合いだと思わない?」
「そうそう。何かいい感じよね~」
「彼女だったら負けても仕方ないって感じ?」
「でも何か許せちゃうな~」
「あの黒田さんに取られるよりマシよね~」
何故かクラス中が2人を応援する。
ますます優嘉は龍正に会い辛くなった。
「・・・りゅ~せ~君・・・」
優嘉はお弁当を持って屋上に居た。
だが・・・あの日から、龍正が来る事は無かった。
近くのレストランで昼食を取る2人。
「結城さま?いかがですか?お味は」
「うん。美味いよとっても」
「そうですか。良かったですわ。今日は私のお家にいらっしゃいませんか?」
「綾乃の家に?いいのか?」
「ええ。もちろん歓迎します」
綾乃と龍正はにこやかに食事をしていた。
放課後・・・
「りゅ~せ~君・・・」
優嘉は校門の前で待っていた。あの日の龍正のように。
校舎から龍正が出てくる。
「あ、りゅ・・・・!!?え?・・・綾乃・・・」
龍正の側には綾乃が寄り添って歩いていた。
周りからはベストカップルとはやされる2人だ。
優嘉に気付かずに通り過ぎる。
「りゅ、りゅ~せ~君!!ど、どうしちゃったのよ!!?」
龍正の足が止まって優嘉に振り向く。
優嘉は意を決して龍正に話しかける。
「あ、あのね・・・アタシはりゅ・・・」
「・・・誰だ?綾乃の知り合いか?」
「いえ。こんな小汚いお嬢さんは存じません」
龍正と綾乃は車に乗って行ってしまった・・・
優嘉はその場に膝から崩れ落ちた。
「あ・・・アタシの事・・・分からないの?・・・」
優嘉は龍正に何度も電話をかけ、メールを送った。
だが帰ってきたメールは・・・
「俺はお前など知らない。迷惑だ。2度と俺の前に現れないで欲しい」
という内容だった。
綾乃は龍正の携帯を持ちながらニヤリと笑うと、着信履歴から優嘉のデータを消した。
そして龍正には自分の携帯を持たせていた。
実を言うと勘の良い優嘉は分かっていた。
これが龍正が書いたメールでは無いという事を・・・
何より、携帯を綾乃に預けている事がショックだった・・・
12月24日・・・
優嘉の家・・・
優嘉はベッドに仰向けになっていた。
龍正と別れた後も、嫌がらせは続いていた。
「もう・・・りゅ~せ~君は戻ってこないのかな・・・」
優嘉はしきりに自分の目を拭いた。
「でも・・・アタシは好きだよ・・・好きで好きで狂いそうなの・・・諦めたくても諦められないよ・・・どうすればいいの?もうアタシのことはわかってくれないの?・・・」
優嘉は写真立てにある自分と龍正の写真を眺めた。
「今日はクリスマスイブ・・・きっと去年の事を思い出してくれるかもしれない・・・」
優嘉は支度をして家を飛び出した。
夜・・・
優嘉は龍正の家の前で寒空の下待っていた。
「寒いな~・・・あ、雪だ・・・」
優嘉は手袋をした手を差し出し、雪が手袋について融けてゆくのを見つめていた。
「あ、あれ?・・・まだ・・・泣いちゃだめだよ・・・」
手袋を外し、目をゴシゴシと擦る。
「待ってよう・・・ずっと・・・あの時りゅ~せ~君が待っててくれたみたいに・・・」
夜も更け・・・優嘉がウトウトし始めた頃・・・
「ハハハハハ・・・」
龍正の笑い声が聞こえる。優嘉が下を見ると、龍正と綾乃が手を繋いで歩いてきた。
(わ、笑ってる・・・楽しそう・・・)
優嘉の胸がぎゅうっと締め付けられる。
「今日は楽しかったですわ」
「俺もだよ。ありがとう」
「結城さま?」
綾乃が目を閉じる・・・
-ドクン、ドクン、ドクン-
(だ、だめ・・・りゅ~せ~君!!アタシを思い出して!!)
-ドクンッッ・・・-
そんな願いも空しく、龍正は傘を投げ捨てて綾乃を抱きしめた。
長い・・・長い抱擁だった。
優嘉は歯を食いしばって耐えていた。
「・・・今日は・・・帰りたくありませんの・・・」
「綾乃・・・」
龍正が綾乃に何か話しかける。
2人が階段を上ってくる。
「・・・入りなよ」
龍正が自分の部屋の鍵を開ける。
綾乃は顔を赤らめて中へと入っていった。
優嘉は気付かれないように隠れていた。
「結城さま・・・わ、私・・・初めてなんですが・・・よろしいですか?」
「いいよ。今暖房を入れるから・・・シャワーでも浴びてこい」
「は、はい・・・失礼します・・・」
中から聞こえる声に、優嘉は唇を震わせて涙を流していた。
そして喘ぎ声が聞こえ始めると、耐えられずに逃げ出した。
1月・・・
相変わらず2人はベストカップルとして周囲の応援を受けている。
次の授業は移動教室なので、2人は移動していた。
「結城さま・・・私を・・・お嫁にしていただけますか?」
「え?綾乃を?バカな・・・俺が婿に行くの間違いだろ?」
「いいえ。お嫁です・・・私、夢だったんです・・・結城さまにはその・・・ご両親はいらっしゃいませんけど・・・1から2人で・・・」
「1からねえ・・・分かった。卒業したら結婚するよ」
-ドンッ-
階段を下りかけた龍正は突き飛ばされた。
「ゆ、結城さまっ!?」
皆が驚いた顔で龍正を見ている。
その中に殺気を込めた恐ろしい目で龍正を睨みつける者が居た。
(ゆ・・・う・・・・・か?・・・)
-ドガッ-
「結城くん!!」
周りが騒然とする。
騒ぎに乗じて優嘉は姿を消した。
床には血がドクドクと流れ出ており、女子達が悲鳴を上げた。
翌日・・・
(ふん!!あんなりゅ~せ~君なんて知らない!!裏切り者!!約束したのに・・・沢山後悔すればいいんだわ!!)
優嘉は普段どおり時間ギリギリに登校する。
昨日の転落は誰のせいかはわかっていないようだ。
「ねえ・・・聞いた?結城くん・・・まだ昏睡状態で危ないらしいよ・・・」
「え?そうなの?・・・かわいそう・・・」
「間違いないよ・・・今日先生たちがひそひそ話してたもん・・・」
「まさか・・・死んじゃうなんてことないよね・・・」
「ちょっと!!縁起でもないわよ!!」
「嫌だ・・・ぐすん・・・ぐすん・・・」
クラス中が龍正の話題でしんみりする。
(し、死んじゃう?・・・そ、そんな・・・アタシそんなつもりじゃ・・・)
優嘉の顔がさあっと青ざめる。
-ドクッドクッドクッ・・・-
(ま、まさか・・・こんなことになるなんて・・・)
優嘉は授業中も自分の鼓動しか聞こえていなかった。
数日後・・・病院・・・
龍正は奇跡的に一命を取り留めた。
龍正は目を開けて周囲を見渡した。
「あ、綾乃?」
「ゆ、結城さま!!よかった・・・ほんとによかった・・・」
綾乃が龍正の手を握って涙を流していた。
「結城さま・・・お疲れでしょうからしばらく休んでてください。私夜までここに居ますから・・・」
「あ、ありがとう・・・」
夜・・・廊下にこつこつと足音が響いている・・・
ゆっくりとその足音は龍正に近づき、扉を静かに開けた。
そして龍正のベッドに近づき、龍正の側に立って龍正を見下ろしている。
「!!?」
龍正は目を開けて足元を見た。
誰かが龍正の手を握り締めて眠っている。
「・・・だ、誰だ?・・・」
「!!!?」
その人物は驚いたように目を開けた。
そして龍正の顔を確認すると抱きついた。
「りゅ、りゅ~せ~君!!!ご、ごめんなさい!アタシ、約束守れなかった・・・ごめんんなさい・・・」
「・・・・・・ゆう・・・か?」
優嘉は龍正にただただ「ごめんなさい」と繰り返していた。
おそらく綾乃と会うのが嫌だったので夜にお忍びで来ているのだろう。
「ま、毎日・・・来てくれたんだな・・・ありがとう・・・」
「え?」
「・・・あの花・・・日に当たってないから・・・夜に来てるから日光の入る位置が分からなかったんだろ?・・・でも枯れてない・・・毎日換えてくれてる証拠だ・・・」
「う、うえええぇぇぇん!!」
龍正は優嘉をそっと抱きしめた。
4月・・・
優嘉はまた龍正の家で夜まで待っていた。
龍正と綾乃が来るが、優嘉は逃げなかった。
「りゅ、りゅ~せ~君っ!!」
「ゆ、優嘉?・・・どうしてここが?」
「あ、あなた・・・あなたは負けたのよ!!帰りなさい!!」
綾乃は優嘉に怒鳴るが、優嘉は綾乃の目を見据えたまま動かない。
綾乃は優嘉の表情に一瞬しり込みした。
「あ、アタシは・・・りゅ~せ~君を信じる!!こんな女の不思議な力なんか簡単に打ち勝って、アタシの彼氏に戻るって信じてるっ!!」
優嘉は顔を真っ赤にして叫ぶ。
「な、何をバカな事を・・・私たちは婚約まで・・・」
「りゅ~せ~君・・・好・・・き・・・・・・」
優嘉はその場に倒れこんだ。
龍正は優嘉を慌てて抱きかかえてベッドに寝かせる。
「ゆ、結城さま・・・」
「か、帰ってくれ!!今日は・・・頼む・・・」
「く!・・・黒田・・・優嘉あぁっ!!」
綾乃は優嘉を睨みつけて帰っていった。
翌日・・・
優嘉はまだ少しぼうっとする頭で目を覚ました。
(あ・・・あれ・・・ここどこ?・・・)
優嘉は起き上がって周りを見渡す。
(りゅ、りゅ~せ~君の部屋!?)
「あ・・・アタシの私物・・・捨ててなかったんだ・・・」
-ガチャッ-
「起きたか?まだ寝てなきゃだめだぞ?」
龍正の右手には買い物袋が握られている。
「お前の好きなパインだぞ~」
そう言ってパイナップルを取り出し、キッチンでトントンと手際よく小さくカットした。
皿に乗せられて大盛りのカットパインが優嘉に差し出される。
「こ、これ・・・」
「だってお前・・・既に切られたものは口にしないだろ?俺が切ったものが良いって食わなかったじゃないか。で、俺が頭に来てまるまる一個切ったら全部食っただろ。最高に美味しいって言ってたから今回も」
優嘉は龍正から差し出されたフォークを受け取り、カットパインを口に入れた。
「しっかり氷も貰って冷やしたんだぞ。美味いだろ」
優嘉の目からぶわっと涙が溢れ出した。
「う・・・う・・・アタシ・・・もう戻れないかと思ってた・・・嬉しくて・・・」
優嘉はカットパインをパクパクと頬張っていく。
「おいおい・・・後で何か作ってやるから無理しなくても・・・」
「う、うわああぁぁぁん!!」
龍正は雑炊を作った。鮭や卵、野菜が細かく刻まれて入っている。
横にはさっき食べきれなかったパインがミックスジュースにされて置いてある。
「熱いから気をつけろよ」
「うん!!・・・」
優嘉は何かをねだるように龍正を見つめる。
「・・・これでいいか?」
龍正はレンゲでふうふうすると、優嘉の口に差し出した。
「うん!!美味しい!!りゅ~せ~君の料理大好き!!」
「料理だけか?」
「勿論りゅ~せ~君も大好き!!ごほっごほっ・・・」
優嘉が苦しそうに咳き込むと、龍正が背中をさすった。
「・・・手つきがいやらしい・・・」
「じゃあもうしてやらない」
「・・・ケチ!!」
優嘉は龍正が用意した料理を平らげ、横になった。
強がって入るものの、まだ苦しそうだ。
「・・・悪かったな。まさか俺まで綾乃に取り込まれてしまったとは・・・」
「りゅ~せ~君・・・綾乃をやっつけて!」
「・・・最後に・・・1発頼む」
龍正は優嘉を抱き起こした。
「な、なな!?病人相手に・・・」
龍正は顔を突き出して頬をちょんちょんと指差す。
「あ、こっちね・・・」
-パシィン-
「痛・・・よし!!これで綾乃を倒しに行けるぜ!!・・・今度こそ信じてくれよな!!」
「うん・・・気をつけてね・・・」
龍正が部屋を出ると、優嘉は眠りについた。
翌日・・・
クラスメートは以前のように戻っていた。
「ど、どうしてですの!?」
綾乃が信じられない顔で周囲を見る。
「能力を持っているのはお前だけだとは思わないことだ・・・」
龍正が綾乃の後ろから歩いてくる。
「ゆ、結城さま・・・」
「お前の能力はトリックが分かればたいしたことは無い・・・時間をかけて好感度を操作する・・・それは一気に大人数を操作できるし融通も利くが、時間がかかりすぎ、俺のように能力が切れてしまうときもある・・・」
「能力が切れた?そ、そんなこと今まで・・・」
(「ライブラリー」発動!4人!)
「フハハハハ!昼休みに相手をしてやる・・・」
龍正は笑いながら去っていった。
昼休み・・・
綾乃は、外食の為に外へと出るところで、がくんとその場にしゃがみこんだ。
(か、身体が痺れて・・・力が入らない・・・)
「おやおや・・・どうしましたかな?お嬢様」
龍正がニヤニヤしながら現れる。
綾乃は身体を震わせながら口をパクパクさせた。
(こ、声も出ないなんて・・・)
「ふむ。ほうほう・・・屋上に連れて行って欲しい・・・わかりました」
龍正は綾乃を抱きかかえて屋上へと向かった。
屋上・・・
龍正は綾乃をドスンと降ろすと、不敵に笑って顔を近づけた。
「お嬢さん・・・分かってるでしょうね?自分が何をしたか・・・俺は自分がやられる分についてはたいていの事は我慢してやる・・・だがな!俺は俺の女を傷つける奴は許さない!!」
綾乃は悔しそうに顔を歪める。
「クックック・・・こんな情けない顔もするんだな?」
龍正は指で綾乃の唇を触る。
艶のある唇が形を変え、唾液が糸を引く。
-かぷっ-
綾乃は力いっぱい龍正の指を噛んだ。龍正の指に歯型が付く。
龍正はその指をじっと見つめると、綾乃に向かって怪しく笑った。
綾乃の背筋がぞくっと震える。
「元気が良いな・・・寝込んでるあいつにも分けてやってくれよ」
龍正は綾乃の顎をぐっとつかむ。
「じゃあ・・・始めますか・・・辱めを」
綾乃が首をぶんぶんと振る。
龍正はそんな綾乃を見て今にも殺しそうな視線を向けた。
再び綾乃は恐怖を覚える。
龍正は綾乃の服を剥ぎ取っていく。
綾乃は身をよじって防ごうとするが、力が入らない。
「ぃ・・・ゃ・・・」
かすれた声を捻り出す。
龍正は綾乃の腹に拳を打ちつけた。
綾乃がごふっと唾液を吐き出した。
龍正は綾乃を全裸にして、脚を広げる。
綾乃は今まで以上に身体を激しく動かす。
「なんだよ・・・抱いてやったじゃないか・・・この汚いま○こをな!!」
龍正はカメラを取り出してパシャッと撮った。
綾乃は口をぱくぱくと動かすが、声は出ない。
顔を真っ赤にして、精一杯背ける。
しばらくしていると、クリが顔を出し、ま○こがひくついてきた。
「ふん!見られて感じるとはな!!ド変態め!!」
龍正は靴のまま恥部をぐりぐりする。
綾乃の口からかすかに喘ぎ声が聞こえる。
「乳首が勃ってるぞ!!」
龍正は写真でパシャパシャと裸体を収めていった。
綾乃はわけもわからず、ただ思うようにされていた。
数日後・・・
-ドンッ-
廊下で綾乃と優嘉がぶつかる。
その拍子にお互いの荷物が散らかる。
「ちょっと!!どこを見て歩いてるんです!!」
「あ、ご、ごめんなさい・・・」
優嘉はおどおどしながら四つん這いになって荷物を片付ける。
綾乃はそんな優嘉を立ったまま見下ろす。
「全く・・・えっ!!?」
綾乃は床に散らばった写真にようやく気がついた。
自分が裸になってよがっている写真だ。
「い、いやあぁっ!!」
綾乃はそれをかき集めて寝転び、身体で覆い隠した。
優嘉が立ち上がってクスクス笑いながら見下ろす。
さっきのおどおどした表情からは想像できないほど恐ろしい。
「あの~すみません・・・その写真アタシのなんですけど~?」
優嘉が這いつくばっている綾乃に顔を近づける。
「う・・・ち、違います!!この写真は私のです!」
すると優嘉はぷっと噴出し、笑い転げた。
「プハハハハ!!おっかし~!!この変態は私です~だって!!ハハハハハ!!」
(は、はめられた!!)
綾乃は自分の言った言葉を後悔した。
「その写真・・・まだまだストックあるから・・・欲しかったら放課後に公園に来てね・・・アタシもりゅ~せ~君も待ってるから・・・クスクスクス・・・それが嫌なら顔出しOKのAV女優にでもなることね!!アハハハハ!!」
綾乃は去っていく優嘉を歯を食いしばって睨んでいた。
放課後・・・公園・・・
「き、来ました・・・」
綾乃は龍正と優嘉の前に立っている。
その顔は羞恥で真っ赤に染まっている。
「少しでも逆らったら・・・分かってるな?」
「は、はい・・・」
「じゃあ・・・ここでオナニーしてくれない?」
優嘉が怪しい笑みを浮かべて命令する。
「えっ!!?そ、そんな・・・写真より酷い・・・」
「だったら今から写真をばら撒こう・・・」
龍正は懐から写真を取り出す。
「ま、待って・・・ど、どうすればいいのよおおぉっ!!うえええぇぇぇん!!!」
綾乃は子供のように泣き出してしまった。
「あ~あ~。泣けば済むと思ってんのかね~。りゅ~せ~君。早く撒いちゃおうよ~」
龍正達は公園を出ようとする。
「ま、待っで・・・ぐださい・・・んぐっ・・・ひぐっ・・・」
綾乃は服の中に手を入れ、しきりに動かしている。
「・・・どうやらようやく立場が分かったらしい・・・」
「イクまでやってよね!」
「ひっく・・・・ひっく・・・・んぐっ!!」
「お、乳首が勃ってきたぞ」
龍正の言葉で綾乃の身体がビクンと震えた。
「へぇ~。超マゾなんだね~。お嬢様は~」
優嘉が綾乃の顔を覗き込むと、再びビクンと震えた。
「逃げたかったら顔出しOKのAV女優にでもなるんだな・・・」
「あ、その台詞アタシも言ったのに~」
翌日の朝・・・
綾乃は龍正達に呼び出され、まだ誰も居ない教室に来ていた。
「お早いお着きだこと」
龍正と優嘉がクスクス笑いながら入ってくる。
それだけで綾乃の身体が恐怖にビクンと震える。
そして龍正は手に持っていたものを綾乃に差し出した。
液体の入った2?のペットボトルだ。
「こ・・・これは?」
「ただの水」
「これを全部飲むのよ」
優嘉が机に座りながらクスクスと笑う。
「ま、まさか・・・」
「早く飲めよ。時間が無いんだ」
「う・・・うう・・・」
綾乃は言われるままにペットボトルに口をつける。
「うぷっ・・・も、もう無理です・・・」
綾乃は半分ほどで限界を告げた。
「お前、なめるなよ?俺は甘くは無いぞ・・・飲!!め!!」
龍正は写真を取り出して綾乃の頬を叩く。
「う・・・」
綾乃はちびちびと水を飲み続け、ようやく飲み干した。
「こ、これで・・・よろしい・・・ですか?」
「いいだろう・・・だが絶対にトイレには行くな・・・わかったな?」
「そ・・・そんな・・・」
綾乃は仕方なく自分の席に座る。
歩くたびにお腹がたぷたぷと音を立てているのが分かる。
1時間目・・・綾乃は数分と経たずに異変を感じていた。
(だ、ダメ・・・こんなに早く・・・も、もつわけがありません・・・)
綾乃はもじもじと脚を動かす。
(あ、乳首が勃って・・・いやですわ・・・)
数分後、綾乃は汗をびっしょりかきながら、手を上げた。
「す、すみません・・・体調が優れないので・・・保健室に・・・」
そう言うと刺激しないようにゆっくりと廊下に出た。
さっきから心臓がバクバクと鳴り止まない。
(あ、あと少し・・・あと少し我慢すれば・・・)
「すみませ~ん!保健室行ってきてもいいですか~?」
綾乃の心臓がドクンと大きく鳴ってペースを乱す。
優嘉の声だ。
「では俺が連れて行きます」
再び心臓がドクンと大きく鳴る。
龍正の声だ。
綾乃の脚がガクガクと震え、その場から動けなくなった。
「おい、まさかトイレに行くつもりだったのか?」
龍正が綾乃の肩に手を置く。
綾乃がビクッとして龍正のほうを振り返り、ぶんぶんと顔を横に振った。
もう限界という意味か、違うから許してという意味か・・・
「・・・いいだろう。トイレに連れて行ってやる」
龍正は綾乃を後ろから持ち上げた。
龍正の腕が綾乃のお腹を圧迫し、綾乃が苦悶の表情を見せる。
「ちょ・・・そっちは・・・」
龍正はトイレを素通りし、屋上へと上っていった。
綾乃は声も出せないようにはあはあと荒い息をしている。
龍正は屋上に着くと、綾乃をフェンスの側に近づけた。
下に見えるグラウンドでは、体育の授業をしている。
綾乃は絶望に満ちた真っ青な顔で龍正を見た。
龍正は綾乃の脚を強引に広げた。
足の付け根がひくひくと痙攣している。
「ほら、思いっきり飛ばして良いんだよ」
優嘉が綾乃のパンツをハサミで切り取った。
淡い毛の生えた恥部が見える。
綾乃は相変わらず呼吸だけで精一杯だ。
「お、愛液がじわりと出てるぜ」
「うっそ~。パンツも濡れてるし~。感じてたの~?」
龍正と優嘉の声で綾乃がビクンと震える。
「ほら、ここからオシッコしたら皆の注目の的だ・・・友達中に知れ渡って・・・先生の間でも問題になって、親に知られるかも・・・もう学校にもこれないかも・・・」
龍正の言葉の一つ一つがドクンドクンと綾乃の心臓に作用し、綾乃の心を壊していく。
そして優嘉が綾乃のお腹をぎゅっと押した。
「はあっはあっはあっああああっ!!!」
綾乃が歯を食いしばって勢い良く尿を出した。
「ああああっ!!み、見られてるっ!!いやあああっ!!止まらないぃっっ!!!」
龍正が支えていた綾乃の身体がビクビクと震える。
どうやら軽くイッたようだ。
キラキラと透明な液体が放物線を描いてグラウンドに飛び散る。
グラウンドの生徒達がざわざわと上を見る。
(ああ・・・もう私は終わった・・・もう普通の生活は出来ない・・・)
綾乃は激しいオルガスムスと共に気を失った。
昼に龍正と優嘉が来るまで、綾乃は狂ったようにオナニーをしていた・・・
更に翌日・・・
綾乃は再び朝早く呼び出されていた。
「ふ・・・どうやらようやく立場を理解したようだな?」
龍正と優嘉がクスクス笑いながら入ってくる。
それだけで綾乃の脚が恐怖にガクガクと震える。
「今日は・・・これといこうか?」
龍正は再び2?のペットボトルを見せる。
「わ、わかりました・・・」
綾乃がそれに手を伸ばす。
「おっと!」
龍正はペットボトルを遠ざけた。
「え?」
「・・・そんな酷い事するわけ無いだろ?」
綾乃はその言葉に疑問の念を抱く。
まさか龍正が・・・自分を許すわけが無い・・・
「そこに伏せろ」
「っ!!?」
「早くしろ!」
綾乃は伏せる。
龍正は綾乃のお尻を上に向けさせる。
優嘉が龍正からペットボトルを受け取る。
「へっへ~~。これってただの水じゃないんだよ~。強力な浣腸液・・・うふっ♪」
綾乃の顔がさあっと青ざめる。
「ま、待って!!それだけは・・・許して・・・」
「・・・ダメ!!はいっ執行~!」
「うあっ!ああっ!!やめてぇっ!!」
ペットボトルの注ぎ口が差し込まれ、中に注ぎ込まれる。
「ああっ!!つ、冷たいっ!!やあっ!!」
「うるせえっ!!」
-バチイィン!-
龍正は綾乃のお尻を叩く。
綾乃の恥部から液が垂れる。
(ふん。やっぱり極度のマゾか・・・なら遠慮は要らんな)
「はーい。少ししか入らなかったね~」
優嘉はペットボトルを抜く。
「・・・まあいいや。じゃあ体育館に行こうか。こんなところで漏らしたくないだろ?」
「うっ・・・ひ、酷い・・・」
綾乃は涙を堪えながらゆっくりと龍正の後をついていった。
体育館・・・
「ううっ・・・んっ・・・」
綾乃は即座に蹲った。
顔からは汗がだらだらと流れている。
「さっすが~。強力ね~」
龍正がバケツを持ってやってくる。
「ほら、お前にはこれで十分だろ?」
「そ、そんな・・・」
龍正は綾乃を抱きかかえてバケツの上に持ってくる。
(ば、バケツに・・・黒田が見ているのに・・・)
綾乃の心臓がバクバクと鳴り響く。
龍正の手が綾乃の下腹部に優しく置かれる。
「や、やめて!!一生のお願い!!」
そしてゆっくりと力を込める。
「ううっ!あ、ああっ!!ひぐぅっ!!!」
(だ、ダメ・・・もう無理・・・)
「ああああっっっ!!み、みないでぇぇぇっっ!!」
綾乃は排泄の音を叫び声で精一杯消そうとしていた。
「うっわあ~。くっさ~いっ!!」
優嘉が鼻をつまむ。
「さて・・・バケツはこの隅の所において置こう。きっと大騒ぎになるぞ」
龍正は綾乃の排泄物が入ったバケツを体育館の隅に置く。
綾乃は歯をガチガチと震わせて見ていた。
「うっ・・・ひ、ひどいっっ!!ううううっっ・・・」
綾乃は顔をくしゃくしゃにして大粒の涙をこぼした。
「そうかそうか。もう一回やり直すか」
龍正はどこからかチューブを取り出した。
「これはなあ・・・ここにポンプがついていて強制的に液体を注ぎ込めるんだ」
龍正はさっきのペットボトルの液体をチューブに注ぎ込む。
「い、いやあぁっ・・・」
龍正が綾乃を支え、優嘉が液体を注ぎ込む。
「ううっ・・・お、お腹が・・・裂けます・・・」
「ふ、勝手に裂けてろ」
龍正は次第に膨れていく綾乃の腹を満足そうに見ていた。
「ん!ん!・・・りゅ~せ~君、もう限界みたいよ」
「そうかそうか。じゃあここにおいて置こう」
龍正は綾乃を床に下ろす。
「んぐううっっっ!!」
綾乃が苦悶に満ちた顔で堪えている。
(だ、ダメ・・・少しでも気を抜いたら・・・出ちゃう・・・)
「ま、まってえええぇぇっっ!!!せ、せめてバケツだけでもぉっっ!!」
綾乃は遠ざかる龍正と優嘉を精一杯呼び止めた。
龍正が足を止めて戻ってくる。
「ふ・・・お望み通り叶えてやろう」
龍正は綾乃の上に跨ぎ、綾乃の顎をクイッと持ち上げる。
「はあっはあっ、ま、まさか・・・い、今はダメ、やめて・・・」
龍正は綾乃にキスをした。
「んっ!?」
綾乃は鼻で荒い呼吸をする。
しかしそれも限界だった。
「んんんんんんっっ!!!!」
綾乃は思いっきり排泄物をぶちまけて気絶した。
目を覚ましたときには綾乃は体育館の外に放り出されていた。
皆が綾乃は排泄物を見に集まっていた。
綾乃は屈辱と同時に言いようの無い快感を覚えた。
(ああ、みんなが私の汚物を見てる・・・)
こうして鳳綾乃は卒業まで龍正達のおもちゃになった。
卒業後、彼女はAV女優になって世の男性を喜ばせている。
尤も、AV業界のスカウトマンに綾乃を紹介したのは龍正なのだが。
「どうですか?こいつは根っからのマゾでド変態ですよ。絶対売れますって」
「う、ほ、本当にこんな可愛い娘がAVに出てくれるのかい?」
「勿論です!俺が保証します!」
「わ、わかった。さっそく出演依頼してみるよ・・・」
完全に綾乃のマゾが開花したのだった。
お尻をカメラに向けて両手で穴をくぱあっと広げる。
「ウフフフフ・・・厭らしい綾乃を奥まで見て~っ」
好感度操作で家族の了承とスタッフの好感を得るのは忘れていない・・・
< 優嘉編END >