エロいと楽しい 第六話

第六話

トモコ、アキ

 ピンポーン。「入るよ~」

 先日貰った合鍵でアキのマンションに入る。今晩はトモコちゃんが来てるはずなので、彼女の二回目をおいしく頂くすることにするのだ。

「ケンさんこんばんは」

 独り暮し用には広いLDKに入ると一人で紅茶を飲んでいたトモコちゃんが立ち上がって軽くお辞儀をしてくれた。礼儀に正しいのはいいことだし、今日は制服着てるのも素晴しい。

「あれ、アキは?」
「スーパーに買い出しに行ってきてくれてます。ケンさん来るかもしれないから、お留守番してなさいって」
「そっか~。じゃあ、先にトモコちゃんだけ頂いちゃおうか」
「えっ」

 こんなことを言われるくらいで顔を真っ赤にしちゃうのがかわいいね。とりあえず、ズボン脱いどくか。

「エッチする前にさ、その制服よく見せてよ。俺の前でクルッと回ってくれる?」
「あっ、はい」

 スカートと髪をふわっふくらまさせて回る様の優雅なこと。

「いいね~」パチパチ「優雅な仕草と清楚な制服が本当に合うね。しかも中身が可愛いから、文句のつけようが無い」
「あっ、ありがとうございます」
「スカートの前持ち上げてショーツ見せてくれる?」
「…」

 両手でサッと素直に上げてくれるのと、恥かしがっている表情の対比がいいね。慣れたらノリノリで上げちゃうようになるんだろうけど、恥かしがっている時期があったことも重要なのだ。

「これまた白くて清楚なショーツ。ルー記ではみんなこんなショーツなの?」
「…華美な下着は校則でダメだし…ショーツが違反とか恥ずかしいし」
「ふーん。あっ、スカートはそのまま上げといて」

 俺はトモコちゃんの前に膝立ちになると、ショーツを足首まで引きずり下ろし、ヴァギナに口づけをする。

「ひっ」
「最初は、くすぐったいかもしれないけど」ちょっと舐めてあげる。「ペニスよりも舌の方が気持ちいいって人も多いよ」
「あ、その…」
「嫌?」
「…嫌じゃないです…けど…汚いですし」
「あまり、自分のを汚いと思わない方が良いよ」何回かキスしてあげる。「美人のヴァギナには男はみんな興味津々なんだから」
「なっ」
「気軽に見せるもんじゃないけど、見せるときはもっと自信もって良いよ」クリちゃんを吸ってあげましょうか。
「あっ…んっ…いやっ…」
「気持ちいいときは素直に気持ちよがった方が男の子は喜ぶよ」今度は舌を奥まで入れて舐めあげてみる。
「ダメっ…なんか…腰が…動いちゃうから…」
「そう?じゃあ、テーブルの上に身体預けて。ショーツも脱いじゃおか」
「はい…」

「あん…いいのぉ…あっ…だめぇ…ああぁ…」

 クンニを続けていたら、足や手をバタバタさせてだいぶ気持ち良さそうになってきてくれた。

「いやぁ…もうちょっと…すご…イィイイイイイ!」

 クリちゃん噛んだらイってしまったらしい。

「良かった?」
「あ…は…は…はい…」
「こないだは痛くさせちゃったからね。1回ほぐしておこうと思って」

 立ち上がると、自分のトランクスも脱ぐ。

「まだちょっと違和感あるかもしれないけど、ゴメンね」

 トモコちゃんの様子を見ながらゆっくりと挿入していく。

「うんっっ」
「大丈夫?痛くない」
「だいじょぶ…です…」
「良かった。あのさ、トモコちゃんの中、すごく気持ちいいよ。ペニス突っ込ませてくれてありがとね」

 カーっとなって顔をそらせてしまうのがかわいい。

「じゃっ、トモコちゃんの中もっと味わわせてもらうね」

 トモコちゃんの腰を掴み、ゆっくりと抽送をはじめる。

 ピンポーン。「ただいまー」

「アキお帰りー」
「あれっ、ケンさん来てたんですか」
「うん。トモコちゃん先に頂いてるよ」
「ハイハイ。そのつもりで留守番してもらったんで。ってテーブルの上ですか?ベッド使ってもらっても良かったのに」

 部屋に入って呆れた声を上げたアキは冷蔵庫に手際良く食材をしまいながら、トモコちゃんの事情聴取をしていく。

「トモちゃん具合はどお?ケンさん優しくしてくれてる?」
「あっ、うん、」
「エッチ痛くな~い?」
「だ、大丈夫っ、です」
「一回口でイカせてあげたら、結構平気になったみたい」
「それは良かったですね~。トモちゃん、やっぱりいける口じゃない。気持ちいい?」
「うん…だんだん良くなってるような…」

食材をしまい終えると、アキも参戦してくる。

「乱されているトモちゃんもかわいい」なんて言いながら、ほっぺにキスをしていく。「でも、下だけなんて可哀想ですよ」

 そのまま上着を手際よく脱がしてゆく。「うわっ、清楚でかわいいブラ。私こういうかわいいの似合わないから羨ましいな」形の整った乳房もあらわになる。

「ほらっ、きれいでしょ?」
「確かに」
「なっ」
「先もこんなに固くなってるし」
「きゃっ」
「じゃあ、一つ頂く事にするわ」

 俺がトモコちゃんの右胸に吸い付くと「じゃあ、私はこっち」とアキが左胸を食べ始めた。

「なっ、なんでアキ先生までっ」
「先生興奮しちゃったし、トモちゃんキレイなんだもん☆」
「ひっ」
「キスもしちゃう☆」
「んっ」
「あっ、ズルい。俺も俺も」
「んんっ」

 二人して責めて見ると、いい具合によがってくれて、中に出し終えるころにはトモコちゃんはもう息も絶え絶えだった。

 アキが簡単に作った夕食を皆で食べながら、今後の方針を相談する。

「2回目でだいぶ良くなってくれてるみたいなんで、このまま開発していきましょう!」
「異存はないけど…」
「やっぱり女の子としては、気持ちいいエッチを楽しめるべきですよ。ええ」
「ぁのー」
「トモちゃん、乱れててもキレイだから、病み付きになるくらいエッチして女子力アップさせるのがグーです」

 アキ先生はものすごい乗り気である。

「トモちゃんもそれが良いよね?」
「あ…はい…」
「女子力アップ(?)も良いんだが、俺としては二人一緒にフェラしてもらいたいかな」
「いいですねー。そうしましょう。トモちゃん頑張ろうね★」
「ぁ、はい…」

 ベッドに座って脚を広げた俺の前で、トモコちゃんがアキの話を聞きながら俺のペニスを真剣に見つめている。なんかいつもはお母さんのサユリさんに教わっているアキがベテランぶってトモコちゃんに指導しているのが微笑ましい。

「ケンさんはすぐペニス興奮させちゃう人だから、私達が服脱いだだけでこうなっちゃうけど、人によってはこういう風に触ったりしないと勃たないらしいよ~そういうことがあってもトモちゃんの魅力が足らないとか思わないように。相手の勃ちが悪いだけだから」

 そういう話はいいいから。

「まずはねぇ。先っちょとか、竿のほうとかを優しくキスしてあげてね」
「…」
「それから…せっかく二人でやるんだから、タマタマの方を、一個づつくわえてあげましょうか」
「…」

 うぉ。

「やしゃしく、こりょがしぇてあぎぇて」
「…」

 凄くいいぞ。二人の頭を撫でてあげる。

「よりょこんでるでしょ」
「…」

 実はトモコちゃんの方が若干丁寧に玉を転がしてくれてるのは秘密だ。

「竿を下からゆっくり舐め上げてあげて」
「…」

「上まで来たら、…」
「ちょっと待って」
「?」「?」
「俺のにほおずりしながら、こっち見てくれない?」
「こうですか?」「…」
「で、いかにもこのペニス欲しいって感じで笑って」

 パシャ。

「すげー可愛い。感動するわ」

 ケータイで撮られた二人の笑顔はただの淫乱にしかみえない。

「フェラはもういいや。中に入れたい」

 アキをベッドの上に仰向けにさせ、トモコちゃんをうつぶせにしてその上に載せる。まずはアキの腰を掴むと、一番奥まで入れる。

「ああぁんぅ」
「俺のが待ち遠しかった?ア・キ・先・生?」
「うぅん」
「先生気持ち良さそう…」
「だって、ぁん、気持ちいいんだもん、っん」ズリュッ。

次はトモコちゃん。

ズンッ。「きゃっ!」
「二人ともおいしく頂くからね~」
「あっ、先生っちくび…舐めな…あんっ」
「アキがしてくれてるみたいに」ズンッ「俺がアキに入ってるときは」ズンッ「アキを愛撫してあげてね」ズンッ「要領分かったきたでしょ」
「はひぃ」ズリュッ。
ズンッ。「あぁん。もっとぉ!」ズンッ。「あんっ。トモちゃんくすぐったい」ズンッ。「そうそう、そんな感じ。自分がされたみたいに乳首をかわいがってあげればいいんだよ」

 トモコちゃんは門限があるので、裸のままの俺とアキが、玄関で制服姿のトモコちゃんを送り出す。

「では、また金曜日にお願いします。来週は生理に入ってしまうんですけど、金曜ならまだ大丈夫と思うんで」
「おうっ、楽しみにしてるよ」
「では、またアキ先生、金曜も来週もまたお世話になります」

 トモコちゃんはペコっと頭を下げると、さわやかに去っていった。ドアアイで通行人がいないことを確認するのも忘れない。

「ケンさん?」
「ん?」
「なんでトモちゃんの後ろ姿見てまた勃ってるんですか?やっぱり制服フェチ?さっきも着せたままシてたし」

 あのちっちゃなケツに2回も注ぎ込んだんだなぁ、と思ったら勃ったんだが、正直に言うこともあるまい。

「いや、これからアキのおっぱいで遊ぶことを考えてたら、勃ってきたのよ」

 アキのやたら大きくて素敵なおっぱいをツンツンとつついてあげる。

「本当ですか~?」
「本当、本当」

 両手を使って、アキの胸をグニュグニュと揉んであげる。この手に全然収まらないメロンのような乳が好きだ。

「おっぱいだけじゃ、ダメですよ?」
「分かってるって。今晩は泊まっていくから、隅から隅まで食べちゃうよ」
「ウフフ。どーぞ」

アカネ

「今日、学校来たりしないよね?」

 朝、ダイニングでアキの作ってくれた朝食を頂いていると、ユミからメールが来た。

「今日行っても明日行ってもいい感じかな。どうした?」

 返信がユミにしては早かった。

「お昼の後くらいの時間に会える?」
「あれ?もう東京戻ってるの?」
「うん。で、どお?」
「まあ、会えるよ」
「じゃあ、ちょっと時間頂戴~話しとくことがある~」

 つーわけで、大学に出てきた訳だが、ユミはまだ研究室に出てきてないようだった。

「いつ頃学校来る?」とメールを送ると、「2時くらい?」と返事が返ってきた。

 呼び出したのはそっちなのに、余裕だな。まだ2時間近くあるじゃないか。仕方ないから、かわりに奥の部屋のアカネ先生でもイジめるか。

 コンコン。

「どうぞ~、あらケン君じゃない。何か御用?またユミちゃんと喧嘩した?」

 アカネ先生はユミの指導教授だ。ふわっとした優しい美人と評判で、人の目を見ながら真剣に話してくれる先生として男女問わず人気の教員だ。今も前触れもなく訪れた一学生に対して、仕事の手を休めてこっちに顔を向けて話してくれている。

「俺とユミは喧嘩するほど仲良くないですよ。たまたま寄っただけなんですけど、アカネ先生の方が僕に用ができるかも、と思いまして」

 しかもいつも着ている白衣の下で隠れがちなものの,アカネ先生はなかなか胸もデカいのだ。アオイは巨乳というほどでもないし、ユミは微妙だから、巨乳要員として、ユミの次にイジった。アキの方が大きいし、相性も良いんで、最近ちょっとごぶさたしてしまっていたけれど。

 俺はアカネ先生の机に近づくと、“あらあらどういうことかしら”みたいな反応をしているアカネ先生の間で、ズボンのチャックを開いてペニスを取り出し、ちょうどいい高さの机の上に置く。

「俺に用ないっすか?」

 アカネ先生としては「はぁ…」と溜息をつくしかない。「これ出されると弱いのよねぇ」と言いつつ、俺のペニスの伸びるスペースを確保するため机の上を片付けはじめる。本当はとてもそこまで大きくならないのだが。

「女性としてはしょうがないわよね。だってあんなに大きくなるんだもんね…」

 と誰かに言い訳しつつ,俺のモノの上を「つー…」と指でなぞりはじめる。

 さきほど俺がチャックに手を伸ばしてから目があっちに集中しっぱなしなアカネ先生は巨根マニアである。

 最初にいじったときに聞き出してちょっと驚いたのだが、こんな人当たりの良い美人なのに、20代後半にアメリカに留学に行ったときまで処女だったらしい。そこで処女を捧げた初彼がナニの大きい黒人で、なぜかそれ以来でかいナニじゃないとダメなタチになってしまったとのこと。そいつからナニのもっと大きい白人、更に大きい黒人と乗り換えたが、日本に帰ってからは満足できる大きさを持つ男を見つけられなくてフリーだったらしい。

 せっかく変態だったので、それを活かすいじり方をしようと決めて、大きければ大きいほどいいという刷り込みを強化した。その上で、俺のペニスの大きさを最後の彼より二回りほど長く、太いものと誤認してもらった。具体的なサイズは…聞くと自信を無くしそうなので、聞いてない。

「先生、本当に俺の好きですよね」
「仕方ないじゃない。大きいんですもの」

 ちょっと、顔を逸らすのがかわいい。手はガッチリ俺のを掴んでいるが。

「先生の場合、大きけりゃいいんですよね?」
「うん?まあ、エッチに関しては大きさが一番大事かしら」
「なら先生、俺とつきあってくださいよ。俺のデカいので、いつでも満足させてあげますよ」
「だめよ。つきあうならペニスだけじゃなくて、人間的にも尊敬できる人じゃないと。あなたまだまだ子供だもの」
「…今の言い方だと、先生俺のペニス尊敬してるんすか?」
「あなたのはもの凄く立派よ。自分の性器については安心して自信持っていいわ」

 アカネ先生はそのまま上半身を屈めると、俺のに舌を這わせはじめる。

「ぅん…素敵…」
「先生、俺のおいしいですか?」
「おいしくはないけど…」と苦笑しつつ、先生は唾を飲み込む。「凄く興奮するわ…」

 そう言いながらこっちの目を見てくれれば嬉しいのに、視線が下ばっかり向いてる。

「先生、俺に用はできました?」
「そうね。先生興奮してきちゃったから、ちょっとエッチしていかない?」
「ちょうど時間あるんでいいっすよ。俺、服を脱いだら先生の席に座るんで、白衣の下を脱いでから、俺の上に乗ってくださいよ」

「どう?」

と白衣をはだけて見せてくれたアカネ先生の身体は、30歳を越えたとはとても思えないくらい

「きれいっすよ」
「うふふ」
「こんなにスタイルいいとモテるっしょ」
「まあね。でも釣り合う男がいないのよねぇ」
「コレがですか?」

 下半身を晒した俺のソコは絶好調である。

「ソレと知性と品格?一個だけ備える人はいても全部はなかなかねぇ」

 などと喋りながら、椅子ににじりよって来て、俺の上に乗る。

「本当、久しぶりだから楽しみだわぁ」
「すぐイっちゃってもいいですよ」
「そうさせてもらうかも…あぁん…そう…いいわぁ…ああっ!!!」

 俺のモノを全部取り込むと同時にイってしまう。

「先生、イきやすくてかわいいっすよ」
「もぅ…大人をからかうんじゃないわよ」
「本気ですって。こういうかわいいところもっと見たいんで、つきあいましょうよ。知性と品格はおいおい身につけるんで」
「知性と品格と財力を実際に身につけてから申し込みなさい」
「増えてるっすよ」
「うるさいわよ。黙って私にあなたのペニスを楽しませなさい」

 まあ、先生が勝手に動いてくれて気持ちいいからいいか。先生は快楽を求めて腰を振り、俺は先生の巨乳を吸う。

「あんっ、いいのっ、やっぱり本物がいいっっっっっ!!!」

 俺が出し終るまでに先生は四度ほどイっていたが、全然疲れた様子は見せずに、陽気にお掃除フェラをしてくれた。

「先生、さっき『本物がいい』っていってましたけど、何との比較ですか?」
「バイブよ。自分でやるとき使うんだけど、あんたくらいのサイズのを使うと、痛くてだめなのよね。前彼くらいのなら平気なんだけど」
「そうっすか」

 自分で聞いておいてなんだけど、どう反応すればいいか分からない。

ユミ

ユミには、3時近くになってやっと、屋上に呼び出された。淡いブルーのミニスカートのから伸びる細い脚が眩しい。なぜかヒール高いし。笑顔はなぜか自信満々。

「これ、おみやげ~」
「お、ありがとう」

 なんか、地元のお菓子っぽい包みを渡される。

「どういたしまして」

 むにゅっ、と抱きつかれる。女の子ってユミみたいに細くてもなぜか柔らかいんだよね。

「もう一個おみやげあるんだ。分かる?」
「分からん」分かる訳ないだろ。
「本当に?」

 上目使いで聞きなおされても、分かる訳がない。

「ノーヒントじゃ分からないよ」
「う~ん。じゃあね」

 手を掴まれるとユミと俺の間に導かれた。

「分かる?」
「分からん」
「ケンの手、何を触ってる?」
「ユミの…腹?」
「おみやげ持ってきたの」

 上目使いでまた見られたら、少し分かった気がする。

「…まじで?」
「うん」
「…本当に?」
「ソナー写真見る?」
「できてからそんなに経ってるの?」
「卵黄嚢(らんおうのう)は結構早く写るみたいだよ?」
「そうなの?じゃなくって、あれだ。え~っと」

 深呼吸してから、ユミをそっと抱きしめる。

「でかした。ありがとう。超嬉しい」
「どういたしまして。喜んでくれてよかった」

 抱きしめているユミが自分の子を孕んでいると思うと、愛おしくて仕方がない。

「ユミ?」
「ん?」

 キスを奪い、舌を絡める。ユミの後ろに回した手で背中を、締まった尻を、細い脚、小さい肩、栗色の髪を撫ぜる。

 この細い身体が俺の子を宿しているのだ。そう実感することがこんなに嬉しいとは。

 こりゃ最高だわ。他の女の子達にもどんどん孕んでもらおう。

「ユミ、ありがとうね」

 いきなりの愛撫から解放して、そう言う。

「どういたしまして。 で?」

「で?って?」

「ありがとうだけ?」

「?」

「言いたいことあるんじゃないの?」

「えっと…」

 ユミを孕ませたら言うことがあるんだっけ?

「『ありがとう』で終わりなの?」

「えっと…」

 ああ、孕ませて終わりじゃないよな。ちゃんと子どもに父親がいないといかんよね。

「そうだった。結婚する男決めないとな。誰がいい?もう候補はあるの?できればユミの趣味だけじゃなくて、いい親父になれそうな相手だとありがたいんだけど…ってどうした?」

 …ユミの表情が物凄く険しいんだけど。

   バシッッ!!!

 右の頬を思いっきり、はたかれた。

 「なっ」 バシッッ!!!

 次は左の頬。かなり痛い。

 ガシッ!!!

 今度は思いっきり踏まれた。

 「サイテー!!!なにそれ!!!!信じてたのに!!!!!」

 なんでこんな仕打ちを受けなきゃならないのも分からない内に、逃げだされた。

 追うべきか?
 追うべきだろう。

 でも、なんであんな反応になるんだ?分からないと行動できない。
 子どもができたのは嬉しそうだったから、孕ませたのが悪い訳じゃないよな。そこはいじって納得してもらってるし。
 シングルマザーになるんじゃなくて、結婚して子ども育ててもらうってのも悪くないよな。

 誰でもあてがえるのは分かってもらってるし、そのときユミの希望を尊重するのもまっとうだよな。俺の子どもの父親がどんな人物になるか心配をするのも口を出し過ぎとはいえまい。すくなくとも、はたかれたり、踏まれるほどのことじゃない。

 あの反応はまるで、しかし、そんなことは無い訳で。
 でも、確認したか?いじった頃はまだユミ相手の失恋から立ち直ってなかったし、ユミがどう思っていたのかは聞いてないよな。聞くまでもないし、聞いても傷つくだけだと思ったし。

 でも、ユミは俺がずっと惚れてると思ってたし、そのことはユミの勝手な思い込みとはいえユミは嫌がって無かったし、俺も否定したとはいえないし。

 そもそも、自分はどうなのか。ユミを必死にデートに連れていった頃、勝手にウエディングドレス姿を想像してなかったか?そのうちプロポーズする、きっと受けてもらえると根拠なく考えてなかったか?こんなにガードが固いのはもしかして処女だからかも、それなら初夜で初めてエッチも悪くないとか、変なこと考えてなかったか?

 俺がまだ惚れてるとユミが思ってるのは、本当にユミの勘違いなのか?

 ユミの笑顔が卑怯なくらいかわいいのは、自分がまだ惚れているからじゃないか?

 それでね、ユミはきっと階段を3階分駆け降りて、そのまま正面玄関から走りだしていく気がしたのよ。なぜか。

 で、足が痛いのを我慢して、屋上の反対側まで行ったのさ。

 そしたら、ちょうどユミが走り出てくるところだった。

 「ユミ!待ってくれ!!」

 待ってくれた。

 「愛してる!!!」

 本当か?でも言うなら今だし、今言うのにはなぜか迷いがない。

 ユミも振り返って、こちらを見上げてくれてる。

 「結婚してくれ!!!!」

 言ってしまったぞ、俺の馬鹿野郎。

 ユミが叫びかえす。

 「良く言えました!!!!!」

 どういう返しだそれは。

 ユミには2階の踊り場で会えたのだが、最終的にOKを貰えるまでは、さらに1時間くらいかかった。

 でも、ユミが口説かれたがっているのは分かっていたので、恥ずかしい言葉を並べるのも、ユミも子どもも絶対に一生幸せにする等々の空手形を切りまくるのも、苦ではなかった。

 「まあ、そこまで言うなら、結婚しようか」

 今日はもう、ユミの発言に心の中でつっこむのもやめておこう。

 「ケン、よろしくね」

 ユミに手を伸ばされたのは初めてな気がする。

 「よろしく」

 俺がユミの手を握り返すと、周りに集まっていたギャラリーから拍手が湧く。

 人前でエッチするのに慣れてなければ、人前で1時間以上かけてプロポーズなんてできなかっただろうな。

< つづく >

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