インタビューその1 溝口誠一
「では、鈴谷さん。女性誌の記者のあなたが私にインタビューを申し込まれた理由は何でしょう」
鈴谷真理子が溝口誠一にインタビューを申し込んだきっかけは、アイドルと恋愛についての記事を準備していたことから始まる。
昨年はアイドルグループ最大手のTKY 42で2件の恋愛スキャンダルがあった。それぞれ問題を起こしたアイドルが引退や地方グループへの移籍を強いられている。他方で、主要メンバーの恋愛スキャンダルにより解散した別の小規模なアイドルグループでは、運営会社が当該メンバーに損害賠償請求を求めて訴訟を起こしたが退けられた。アイドルと恋愛について論じる機運が整った、と鈴谷は考えたのだ。
「電話口でも少しお話ししましたが、溝口さんについては、宮越まるるさんに教えてもらいました。彼女が去年出産した沙羅羅ちゃんのお父さん――認知はされていませんが、溝口さんだとお聞きしています」
******
男性芸人との飲み会や男性と二人きりの食事といった行動でも非難の目で見られるTKYのアイドルたち。去年の恋愛スキャンダルをファンの噂レベルを含めて総ざらいしようと調べていたときに、一つの疑念が生まれた。
なぜ、宮越まるるは、妊娠を発表してもスキャンダルにならず、引退の話も出なかったのか。妊娠発表時には19才であり、しかも父親不明となれば、TKYの他の恋愛スキャンダルよりもよほど大事になってもおかしくはないはずである。それなのに、アイドルを支障なく続けている。大きくなったお腹に合わせた衣装の作り替えや、つわりに耐えながらの練習といったイベントが「宮越まるるの頑張っている姿」として運営によって演出され、ファンたちも肯定的に消費した。人気が減ることもなく、むしろ新曲で初めてセンター役を振られさえした。
鈴谷がこれに気づいた後も、すぐ何が問題なのか分からなくなって忘れかけることを繰り返したが、記事を書くために資料を整理し直すたびに、どうしても引っかかる。この差異について何も確認しないのであれば、記事は書けない。
また忘れてしまわないうちに、と思ってTKYの事務所に電話すると、あっさりと宮越まるると会うことができた。まるるは、父親が「溝口誠一さん」であること、会った日から同棲を始め、2ヶ月半後に妊娠が分かるまで、夫婦同然の生活を送っていたこと、望まれたらまた「誠一さん」の子どもを産むつもりであることなどを嬉しそうに話してくれた。
鈴谷は聞き取ったこれらの経緯について特に不審とは感じなかった。しかし、記事にするか否かの判断をする前に父親側の話も聞かなければならないと考え、溝口とのインタビューを設定した。
******
「はい、まるるとは、2ヶ月半ほぼ、このマンションで一緒に生活してまして、沙羅羅はそのときにできた子です」
ふむふむ、とメモをする鈴谷に溝口が要望を告げる。
「鈴谷さん、できればでいいのですが、ジャケットは脱いでいただいて、ブラが少し見えるくらいまで、ブラウスのボタンを外してもらえますか」
「もちろんです」
溝口の要望、それも性的なものであればすぐに応えるべきだろう、と鈴谷は判断した。メモ取りを中断すると溝口の要望通りジャケットを脱ぎ、ブラウスのボタンを外していく。ほどよいサイズでキレイな胸の谷間と桃色の3/4カップブラの色とレース模様が見てとれるようになったところで止める。
「溝口さん、まるるちゃんとはどういう経緯でお知り合いになったのですか?」
「アイドルとかは詳しくなかったんですよ。さすがにTKYの名前は知ってますし、宮越まるるという名前も何回かは聞いたことはあったのですが、特に彼女に興味はありませんでした。でも、ある日銀座のデパートに行ったときに、化粧品の広告でまるるがバッと大きく使われていたんですね。アイドルの時とは違う大人っぽい化粧で広告に写っていたのですが、それがびっくりするくらいキレイだったんですよ」
「ふむふむ」
「広告の端の方に『TKY 42 宮越まるる』と書かれていて、TKYにこんな綺麗な子がいたんだと思って。これはぜひエッチせねばと、その場でスマホでTKY事務所の代表番号を調べて電話をかけて、宮越まるると会いたいとお願いしたんです」
「なるほど、それでまるるちゃんに会うのにはどれくらいかかったのですか?」
「結構すぐでしたよ。TKY専用ステージっていう箱があるんですが、そこでやるライブに出演するために待機中だったそうです。僕が単に会いたいというだけじゃなくて、エッチもしたいということを伝えていたので、すぐ指定の場所に連れてきてくれるといってくれました。デパートの前のライオンのとこに来てくれといったら、リムジンがデパートの前に乗り付けて、まるるが飛び出してきましたね。普段は監督の移動用に使ってるらしいようですよ、リムジン」
「それは大胆ですね」
「まあ、僕が頼んだことですから。そのとき面白かったのは、『なぜまるるなのか』と電話で聞かれたんですよね。そこで化粧品の広告の写真の話をしたら、車にマネージャーさんだけじゃなくてメイクさんものりこんで、広告に撮られたときのイメージに合わせて化粧し直してくれたようです。おかげで、思ってたとおりの印象の美女が来てくれて、僕は大満足でした。顔が良ければ、馬鹿げたアイドル衣装もかわいく見えますし」
「リムジンからアイドル衣装の女の子が飛び出してくれて、騒然となったりはしなかったのですか?」
「そこが今、僕が面白いと思っている所なんですよ、なかなかキレイなおっぱいをお持ちな鈴谷さん。ピンクのブラ、お似合いですよ」
「ありがとうございます。さっきから結構私の胸をみて話されていますけど、ブラもお脱ぎしましょうか?」
「いやいや、僕の趣味というか趣味の変動というか。女性には下着姿で真面目な顔してやりとりして欲しいときとか、外見は真面目でも実はノーパンノーブラであることを耳打ちしてきて欲しいときとか、全裸がいいときとか、自分の気分で結構変わるんですよ。今は、服を着崩して下着をあえてチラ見せするようにしてもらいたい気分というだけです」
「よく分かりました、それなら、ショーツの方もチラ見せした方がいいでしょうか?」
「ええ、その方が今日のチンコにキそうですね。よろしくお願いします」
溝口がうなずいたので、鈴谷はスカートを半分ほどめくり上げてから、足を組む。
「なかなかいいですね。ブラと合わせたピンクなショーツがチラ見できるけど、股間は足に隠れててはっきり見えない。なかなかいい案配です」
「お褒め頂いて恐縮です」
「まるるも、僕に選んでもらったことについて『恐縮』という言葉を使っていましたね。セックスの経験がないので上手く楽しませることができるか自信がないが精一杯頑張ります、よろしくお願いしますって、往来で元気よく頭下げられちゃったときは、ちょっと恥ずかしかったですよ。まあ、そういうまっすぐな性格がかわいいと思っちゃったのも事実ですが。アイドルというのはやはり凄いですね」
「ええ、オーラの見せ方を知っているというか」
「そうそう。『溝口さんが選んでくれて嬉しいです』『はじめてを誠一さんがもらってくれて幸せです』、みたいなことを感情込めて全力でぶつけてくるわけです。まあ、ちょっと芝居がかってるところもあるんですが、それも良くて。こういう子と暮らすのもいいな、ということでホテルで一発やった後に子作り前提の同棲を提案してみたわけです。ちょうど、家に使用人以外はいない時期でしたし」
「まるるちゃんも喜んだでしょうね」
「感動で涙ぐまれて、『誠一さん、愛してます』とか言われて抱きしめられると悪い気はしないですよね。そのままキスして、ホテルで一晩中イチャラブガチハメセックスしちゃいました。その後もまるるちゃんは僕を飽きさせないように持ち込んだステージ衣装やマネージャーさんに手配を頼んだコスプレ衣装とかも使って明るく誘惑してきたので、セックスがはかどりましたね。レッスンやステージがある日でも、家を出る前は3発、家に戻った後は5発は注ぎ込みましたよ。休日はだいたい一日中セックス漬けで、20発は注ぎ込んで、イキまくったまるるがよく気を失ってましたね。起きたあと神妙な顔して謝るのがまたかわいくて」
「遠征とかはどうしたんでしょうか?」
「期間が長いのは休んでもらいました。1日2日ならともかく、3日以上セックスを休むなんて、子作り前提で同棲までしている者として、ふさわしくないでしょう」
「すると、他のメンバーが遠征を頑張っているときに、まるるちゃんは子作りを頑張っていたのですね。さきほども1日で20発といってましたけど、精力もお強いんですね」
「まあね。今朝もメイドに二発やっているのですが、鈴谷さんのブラチラ・パンチラのおかげで、もうチンコがムラムラしてしまってるくらいです。鈴谷さんのエロい姿を見ながら抜かせてもらってもいいですかね?」
「もちろんどうぞ。抜かれるんならもう少しお見せしましょうか」鈴谷は脚を広げて股間が垣間見れるようにし、ブラウスのボタンはもう二つ外すと、胸を両腕で挟んで強調する。
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
溝口が立ち上がってズボンとパンツを脱ぐと、晒されたペニスを見た鈴谷が「まぁ」と声をあげる。
「立派な物をお持ちですのね」
「まあ、日本人基準だと大きい方ですかね。AV男優の平均これくらいのようです。鈴谷さんは大きいのはお好きですか?」
自分のペニスを遠慮なくさすって勃起させる溝口に、鈴谷は少し考えて答える。
「そうですね、エッチするってなった人のが大きいと、ちょっとラッキー、得した、という感じはありますね」
「ははぁ。男性がエッチする女性の胸が大きいとちょっと嬉しいのと同じですね。鈴谷さんのおっぱい結構大きいから、もっと良く見せて欲しいな」
「では、ブラを外ししょうか――どうです? 一応これでもDはあるんですけど 」
「なかなかいいですね。丁度、彼女とはじめてエッチするときにこのくらいの胸と分かって男が内心ガッツポーズするくらいの大きさですね」
「まあ、お上手ですね」
溝口はゆったりとしたペースで竿をしごきながら、鈴谷の胸に近づけていく。
「このまま、胸に出してしまっても構いませんか?」
「その質問、断られることって想定されてますか?」
「いいや。女性にエッチなお願いを断られたことはないですからね」
「私も断りませんよ。胸を使っていただけて、光栄です」
「じゃあ、遠慮なく」
受け止めやすいように鈴谷が持ち上げて支えている乳房に、溝口は精を吐き出して汚す。
「ご協力ありがとうございました」
「いえいえ、お粗末様でした…… あれ、まだ勃起されてますね」
「ええ、今日は朝に2発出したきりですから。この調子だと、あと1回は出さないと勃起は収まらないと思います」
「なるほど、それでしたら……」
鈴谷はショーツをずらしてヴァギナを晒しながら提案する。
「こちらも使われますか?」
「そうですね。鈴谷さんの方で動いてくれるならお願いしたいかな」
「まかせてください!」
ソファに座りなおした溝口の勃起したペニスを鈴谷は「では、失礼して…」といいながら濡れたヴァギナで咥えこむ。
「ん…… やっぱり大きい☆」
「やはり大きいのがお好きなんですね」
「そこまでのつもりもないですけど、ぎっちり入っている感は興奮しますね。動かすスピードはこれくらいでいいですか」
「僕はもうちょっと早いのが好みです。お願いできますか」
「これでどうでしょう?」
「もう少し早く」
「頑張りますっ……」
「うん、そのペースいいですね、続けてください」
「はいっ!」
「そういえば、鈴谷さんは避妊されてます?」
「いえっ…… いつもは……ゴムっ…なので…」
「このまま中で出して孕ませてしまっても大丈夫ですか? ちゃんと産めます?」
「産めますっ…… 溝口さんがしたがったっ…からっ…責任もって産みます…」
「なら、安心して中に出せますね。丁度、出そうな感じです」
「はい、中に全部…… 出してぇ!」
エッチの後のお掃除フェラは「また勃ってしまいますから」と溝口は断わった。
「鈴谷さん、それで今回のインタビューは記事にされるんですか」
「うーん、デスクと相談しますけど、多分記事にはできないと思います。溝口さんに会って、まるるの妊娠をファンが問題視しないのも理解できましたし」
「普通は、会う前に分かるんですねどね。鈴谷さんは少し特別かもしれない」
「溝口さんほどではないと思いますが。あなたみたいにセックスの希望が尊重されるのが当然という方は他にはいないでしょう?」
「そうでもないんですけどね……」
「そうなんですか!?」
「僕とは違うんですけど、例えば僕よりずっと巨根でね、どんな女の子も喜んでペニスを受け入れるし、入れたらどんな処女でもイカせまくっちゃう男がいますよ」
「いやいや、溝口さんよりずっと大きいって…… それは大きすぎて普通は痛いし、一部の特殊の趣味の女性にしかモテませんよ」
「こういう顔の男なんですが……」溝口はスマホで写真を見せる「写真見てもそう思います?」
「うーん、なんかセックス強そうなオーラはありますけど、溝口さんよりずっと大きいとなると、引きますね」
「まあまあ、一回会ってみると面白いんじゃないですか、記者さん。実例を増やせば記事にできるかもしれませんよ」
<続く>
読ませていただきましたでよ~。
なんかみゃふの中で大ヒットでぅ!
あまりに淡々としてる語りなのにやっている事のエロさと相まって妙にいい。
鈴谷さんだけでなく、まるるの方もすごくいい感じでぅ。
であ、次回も楽しみにしていますでよ~。
インタビュー集ということなので次回は溝口さんじゃなくて別の人になるからもしかするとヒットしたのは今回だけかもしれないでぅけどw
いつも感想ありがとうございます。
みゃふさんにヒットして良かったです。視点を操り側より操られる側寄りに置いた作品ははじめてなのですが、これまでとは違う味があるなぁ、と我ながら思っています。今後をもし書いた場合は、おそらく他の支配者たちの話になるのですが、そっちもヒットするといいなぁ。
読ませていただきました。
すごくいいですね。
これは世界の常識まで変換されてるのかな。
それでも違和感を感じるあたりが、すごく面白かった。
インタビューをしながら……というのも個人的に大好きなシチュなのでとてもよかったです!
ヤラナイカーさん、ご感想ありがとうございます!
常識改変が広く適応されているのが示されていますが、それがどのような具合で機能しているのかは、もし続編があれば少しずつ明らかになるかも、という感じですね。
術師視点の一人称(エロいと楽しい)や術師視点の三人称(種蒔きは男の本能)とは違う文体を試してみたくてインタビューにしてみましたが、今作には上手くはまったようで良かったです。