誰が為に銃声は鳴る エピソード3「炎の戦姫」(後編)

エピソード 3 「炎の戦姫」(後編)

第2章

 響いた銃声は一発だけだった。
 レックスは銃を抜きもしていない。そしてレミィの弾はどこか見当違いの方向へ飛んでいった。
 レミィはがくりと膝をつく。そしてその口から堪えきれない慟哭が噴き出す。
「・・・・・どうしてよぉっ!なんで撃てないのよぉっ!!・・・憎いハズなのに・・・・殺したいハズなのにっ!・・・・・」
 抑えきれない涙が溢れ出す。そんなレミィを見下ろすレックスは冷ややかな笑いを浮かべながら言った。
「ちょっとヒヤヒヤしたぜ。当たった場所が右手だったんで、まず大丈夫って確信はあったんだが」
「・・・どういうことよ!」
 レックスの言葉の意味不明さのお陰で少し冷静になったレミィが詰問する。
「だから昨日お前に撃ち込んでやった弾のせいだって言ってんだよ。魔弾(デビル・ブリット)№.1<恋慕>の力だってな。・・・・・もう気づいてんだろ?自分が俺の事愛してるって事によ」
 そう、銃を抜いた瞬間、確かにレミィは気づいた。
 両親に向けていた敬愛やクリスに抱いている友愛とは、別の感情・・・レックスに対する情愛を。
 この人を失いたくない!そう強く思ったのだ。
「確かに私はあなたの事が好きよ!変な弾で撃たれてそうなったんだとしても、この気持ちはどうしようもない!・・・でも私は両親を殺したあなたを赦す事もできない。私は一体どうすればいいの!?」
「あー、待て待て」
 レミィの魂からの告白をレックスは両手を振って軽く受け流す。
「お前のくだらねー泣き言なんて聞きたかねぇんだ、黙ってろ。・・・それにしても憎悪が余りに強いと<恋慕>の効きもこの程度って事だな、なるほど勉強になる」
 一人呟くと腰のホルスターから拳銃を引き抜く。レミィは商売柄、銃器にはかなり詳しい方だが全く見た事も無い型だった。
 見た目は普通の6連発式のリボルバーだが、何故か禍々しい気配がする。たとえて言うなら人の手で作られたものではないような・・・そこまで考えてレミィはゾッとして思わず立ち上がった。
 レックスが左手で思い切りシリンダーを回す。シャーッと小気味よい音をたててシリンダーは回転する。その回転は一定の速度でいつまでも続く。いつまでも、いつまでも、いつまでも・・・・・・・。
(マズい!逃げるか反撃するかしなきゃ)
 レミィの勘が危機を告げていた。しかし、レックスを傷つけたくないと考える心が判断を遅らせた。

「魔弾№.2<遮断>」
 レックスがそう言うとシリンダーの回転はピタリと止まった。まるでそれ自体に意思があるかのように。
 パァン!と乾いた音が響きレミィは自分が撃たれた事を知った。それは昨日撃たれた時と同じ感覚だった。腹から入った弾丸が微粒子になって体の隅々まで行き渡っていく感覚がある。
 ただ一つだけ昨日と違う点があるとすれば、その瞬間からレミィの体は硬直し自分の意思で指一本動かせなくなっていた事だ。
「指一本どかろか、声すらだせねぇだろ?俺が〝許可〟するまで心臓の鼓動と呼吸する事以外はできねぇんだ。ま、ぶっちゃけそれだけの効果なんだが」
 レックスは大股で歩み寄り、シャツの上から柔らかくレミィの胸を撫で回す。
 もちろんレミィは抵抗どころか身じろぎもできない。
 それでも胸を触られている感覚は感じるので、顔に赤みは射し息づかいはやや荒くなっていた。
「まぁ全く反応がねぇのもつまんねぇよな。・・・声を出す事を〝許可〟する。ただし大声は〝禁止〟だ」
 その途端レミィの口から、ごく小さな喘ぎ声が漏れ出す。柔らかくとはいえ好きな人に胸を揉まれレミィは感じ始めていた。
「ん・・・あ・・あぁん・・ダメ・・・よ・・レックス・・・こんな・・・やり方・・・ぁあ・・・無理矢理・・・なんて・・ダメェ・・」
「なんだ、無理矢理じゃなきゃいいのかよ?」
 嘲るように聞き返す。
「クリスから聞いてるぜ、お前俺を殺すために賞金稼ぎになったんだってな。そんな奴が憎い仇にいいように体を弄ばれながら、気持ちいいって言ってんのか?」
「ち、違う!」
 反射的にレミィは言葉を返す。
(そうだ、あたしはレックスを殺さなきゃならないんだ。・・・・なんでれっくすをころさなきゃいけないんだっけ。それはレックスがあたしの大事な人達を殺した憎い仇だから!・・・・れっくすはだいじなひとじゃないの?レックスも大事だけど皆の無念を晴らす事も大事よ!・・・・すきなひとをころしてへいきなの?それってだいじなひとをじぶんでころすってことじゃないの?)
 レックスを否定しようとすればするほど、もう一人の自分がその考えに異を唱える。レミィの心は激しく乱れていた。

 慣れた様子で左手でシャツのボタンを外し、右手は未だレミィの胸を揉んでいたレックスは馬鹿にしたように言う。
「なにが違うんだよ、こんなに乳首カチカチにしやがって。全くとんでもない淫乱女だな」
 言いながら色気もなにもない、実用本位のブラを引き下ろす。
 プルンと音を立てそうな勢いで出てきた乳房は柔らかかったが、レックスの言う通り乳首だけは硬く、更なる愛撫を求めるように尖っている。体全体は朱に染まり、じっとりと汗ばんだ体は太陽の光を受けてキラキラと輝いているように見えた。
 レミィは恥ずかしさのあまり叫ぼうとしたが、魔弾の力に囚われた口は弱々しい抗議の言葉を吐き出すだけだった。
「・・・もう止めて、レックス。これ以上なにかしたら、あなたを殺して私も死んでやるから」
 この状態で出来る精一杯の虚勢を張る。
 しかしレミィ本人も意識していない事だったが、その言葉はレックスの居ない世界で生きていてもしょうがないと言っているのと同義だった。
 彼女自身もそれでレックスがこの凌辱を止めると思ってはいなかったが、信じられない事にレックスはレミィの胸から手を離した。

「いや、実は俺も無理矢理ってのは好きじゃないんだよ。やっぱり男はスマートにいかねぇとな。だろ?」
 レミィは答えられなかった。屈辱感、安心感、そして・・・残念な気持ち。様々な感情が渦巻いて混乱したからだ。
 別に答えは期待していなかったらしく、レックスは普通に続ける。
「やっぱり、昔の憎悪がお前を縛ってると思うんだよ」
 そう言いながら右手のリボルバーのシリンダーを回す。
「お前程の美人がいつまでも復讐なんかに縛られてるのはよくねぇよ。・・・そこで親切な俺様がお前を解放してやろう」
 そしてゾッとするような、酷薄な笑みを浮かべる。
 レミィは恐怖した。その銃の力は充分身を持って体験している。もし人の心を自由に操る能力があったら?復讐に生きてきた自分が作り変えられてしまったら?あたしがあたしでなくなってしまったら・・・?
「心配すんな、性格や人格を変えたりはしねぇよ。つーかそこまでの力はねぇって言った方が正しいな。お前の思想や信条って奴にちょっとした味付けをするだけだ」
 どこをどうとったら心配せずにすむのか理解不能な理屈をぶち上げながら、レックスは自慢げに語る。
「感謝しろよ、この魔弾はめったに使わねぇんだ。美人で強い俺の奴隷に相応しい女にしか使わねぇ。お前で三人目ってところだ・・・魔弾№.6<洗脳>」
 レミィの脳裏に一瞬クリスの事がよぎったが、次の瞬間にはシリンダーが止まったリボルバーから発射された弾丸が彼女の眉間を貫いていた。

 レミィの眉間に命中した弾は一瞬で拡散する。しかし今までとは違い全身には広がらず、脳全体を包み込み深く侵食してくるようだった。
 そんな状況を認識できたのは数瞬の事で、たちまちレミィの瞳は焦点を失い虚ろになる。
(・・・あれ?なんだろ?ここってどこだっけ?・・・)
 ぼんやりとした頭で考えをまとめようとするレミィにレックスの声がかけられる。
「何も考えなくていい、レミィ。俺の言葉だけを聞け。そしたらとても幸せな気持ちになれるぞ」
(しあわせ・・・な・・きもち・・・)
「そうだ、俺の声を聞くだけでお前は今まで味わった事が無い位、幸せな気分になる」
(レックスの声を・・聞くだけで・・・しあわせ・・・)
「俺の言ったことを繰り返すんだ、そうすればとても気持ちがよくて幸せだ。もう俺の言葉以外は耳に入らない」
「・・・あたしはレックスの・・言葉を聞くだけで・・幸せ・・・レックスの言葉以外は・・聞こえない・・・」
(・・・ああ・・なんて幸せな気分なの・・・レックスの言葉を聞いてるととても気持ちいい・・・)
「俺の言う事は全て正しい、逆らう事など考えられない。そう思うと今感じている気持ちよさが二倍になる。・・・大声〝許可〟」
「ああっ!レックスのっ!言うっことはっ!んあっ!全て正しいっ!逆らおうなんてっ思わないっ!・・はぁあ・・・」
「レミィ、お前は俺の事を愛している」
「・・・あたしは・・・レックスの事を・・・愛している」
(そうよ・・・それは間違いの無い事実・・・でも・・・)
「その大きく深い愛の前では、両親や他の皆の死など大した問題ではない」
「・・え・・・でも・・・」
 ここで初めてレミィは言いよどむ。心の中の何かが警鐘を鳴らしている気がする。
 しかしレックスはたたみかける。
「いいかレミィ、繰り返せ。この世は弱肉強食だ。・・・これを繰り返すとさっきの三倍の幸福感と快感を味わう事ができる。そしてその快楽は俺の言葉を繰り返す度に倍々に積み重なっていく」
 賞金稼ぎのレミィにとってその言葉はなんとか納得できるものだったので、繰り返す事が出来た。そしてその瞬間、全身を電気に打たれたような快楽がレミィを包む。
「この世は弱肉強食ぅぅぅうぁああああぁぁぁん!!」
 男性経験の全く無いレミィにとって初めての絶頂だった。魔弾の力で座り込む事こそできないが、反射で体ががくがくと震える。女芯からはとろりとした蜜が溢れ出し、お気に入りのジーンズに染みを作る。
 レックスは構わず続ける。
「強いものが勝つ、只それだけの事だ。弱者は強者に喰われる餌にしかすぎない」
「強いものが勝つぅっ。それだけぇぇ!じゃくしゃはきょうしゃのえさなのぉぉぉっっ!!」
 さっきより更に強い快感がレミィの意識を白く染め上げていく。
(あぁ・・なんて幸せで気持ちいいんだろう・・・こんなに気持ちよくしてくれるレックスの言う事が間違ってるはずないよ・・・)
 その様子を眺め、レックスはいよいよ本題に入る。
「弱いという事は罪だ。お前の両親は弱いから死んだ。・・・・・つまり悪いのはお前の両親だ」
「・・・ああぁぁあん!よわいのはつみぃぃっっ!!あたしの・・・あたしのパパとママがわるいのぉっ!あああああぁぁっ!」
 最早、深く考えることもせずレックスの言葉を復唱する。
(・・・そうだ、あたしは何を悩んでたんだろう。弱いのが、殺されるのが悪いに決まってる。・・・あたしの親がバカだったのよ・・・)
 途端に頭の中がスパークする。まるで頭の中でたくさんの花火が鳴っているようだ。体の震えは収まる気配もない。ジーンズを伝う愛液は土踏まずまで達し、ウエスタンブーツの中に溜まりかけていた。
「ああぁぁん・・・んあはあぁぁ・・・くひぃぃん・・・」
 レミィは絶頂を繰り返していた。イっても後から後から快楽の波が押し寄せてきてレミィを更なる高みへ押し上げていく。

(そろそろ限界だな)
 レミィには三人にしか使ってないような事を言ったが、慎重なレックスは攫ってきた女などを利用して実験を繰り返していた。
 <洗脳>は確かに強力だが、際限なく与えられる精神的な快楽は全ての人間を廃人にしてしまう事をレックスは知っていた。
「復唱から得られる快楽は最初に戻る。だがさっきまでの言葉とこれから俺が口にする言葉はお前にとって絶対になる」
「んぅ・・・はぁい・・・」
 レミィは極限の快楽からなんとか復帰し、答える。真っ白になったレミィの心をレックスの言葉が上書きしていく。
「俺はお前の絶対的な支配者だ。お前は俺に身も心も全て捧げる事に至福の喜びを感じる」
「・・・はい、あたしはレックス様に全てを捧げる事が喜びです」
「お前の命はお前のものじゃない、俺の物だ。俺の為に生き、俺の為に死ね」
「・・・はい、あたしは生涯レックス様の道具として生きます」
「お前は俺の性処理用の便所だ。俺の精を受ける為なら喜んでなんでもする、卑しくて淫乱な牝奴隷だ」
「・・・はい、あたしは卑しくて淫乱な牝奴隷です。レックス様の精を頂くためなら喜んでなんでもします」
「お前は弱くて大嫌いだった愚かな両親を殺してくれた俺を愛している」
「・・・はい、あたしは大嫌いだった両親を殺してくださったレックス様を心の底から愛しています」
「お前は思考を書き換えて貰った事を感謝している」
「・・・はい、あたしは考え方を変えて頂いた事を心から感謝しています」

 レックスは冷笑を浮かべるとレミィに告げる。
「それじゃあ、元のレミィに戻っていいぞ。・・・<遮断><洗脳>〝解除〟」
 レミィはピクンと反応し、その瞳にゆっくり虹彩が戻る。
「気分はどうだ?」
 レミィは大きく伸びをし、答える。
「ん~~~っ、・・・なんか頭が凄くすっきりして生まれ変わった感じ。ありがとう、レックス様」
「レックス様じゃねぇ、ご主人様だ」
 わざと不機嫌そうな顔で言う。
 途端にレミィは蒼白な顔になり地面に跪いて非礼を詫びる。
「も、申し訳ございませんご主人様っ。あたしみたいな卑しい牝奴隷が生意気な口きいちゃって」
「まぁ、今回だけは許してやる。今までの俺に対する態度も含めてな」
「ああっ、ご主人様の崇高な考えも理解できず、バカな考えに縛られていたあたしを解き放ってくれて本当にありがとうございます」
「もう俺の事は恨んでねぇな?」
「恨む?どうして?」
 レミィの顔に浮かぶのは心底不思議そうな表情だ。
「ご主人様を追ったりしてたのはあたしが愚かだったからだし、バカな両親が死んだのも弱かったから当然のことだし・・・。なんでそんなくだらない事にあんなにムキになっていたんだろうって今思うととても恥ずかしいです」
 眉を寄せ申し訳なさそうに言うレミィの答えを聞いてレックスは満足そうに言う。
「ようやく分かってくれたようで嬉しいぜ。んじゃま、晴れて俺の牝奴隷になったお前に奴隷の証を刻んでやる。・・・意味は分かるな?」
「あ、ああっ!抱いて頂けるんですか?」
 レミィの顔にパァッと喜色が広がる。
「早く脱いだ方がいいぜ?おれの気が変わらねぇうちにな」
「は、はいっ!」
 レックスの言葉に慌ててレミィは腰のガンベルトに手を伸ばす。

 ガチャン。
 長年の相棒だったバントラインがガンベルトごと地面に無雑作に投げ出される。
 レミィは愛液で濡れたジーンズをもどかしげに脱ぎ捨て、パンツに手を掛け一気に引き下ろす。
(ああ、ご主人様に見て頂いてる)
 生まれたままの姿でレックスの前に立ちながら、それだけでレミィは天にも昇る気持ちになる。既に秘所はぐっしょり濡れている。
 レックスはジーンズのジッパーを下げ、中から自分の分身を取り出す。
「咥えろ」
 簡潔な命令だったがそれだけでレミィはぺたりと膝を突き、美しい唇を勃起した男根に近づけていく。
 話には聞いていたが、実際見るのは初めてだった。
(ああ、凄く大きくて逞しい)
 全く躊躇わずレックスの陰茎を口に含む。
 ちゅぱ、くちゅ、ちゅ、ちゅく、んぱぁ・・・丹念に丁寧に舐め回す。最愛のご主人様に奉仕する喜びにレミィは打ち震えていた。
「どうだ、俺のチンポはうまいか?」
「んあ・・・はい・・・ご主人様のチンポとても美味しいです・・・んぱぁっ」
「お前初めてだろ?それにしちゃあ、なかなか上手いぜ」
「あ、ありがとうございます!」
(ご主人様に褒められた。嬉しい、凄く嬉しい!)
「そろそろいいぜ。立ってそこの干草に手を突いてケツをこっちに向けな」
「・・・はい・・・」
 名残惜しそうに口からレックスのモノを離し、言われた通りにする。
 レックスは前戯もなくいきなり挿入してきたが、既に充分濡れていた秘所はたやすく剛直を受け入れた。荒々しいストロークを繰り返し、その度に接合部分からぐちゃぐちゃと淫靡な音が漏れ出す。
 どちらかと言えば華奢なレミィにはきついであろう刺激だったが、今のレミィには天上の快楽としか捉えられなかった。
「んううっ、あっ、ああっ、はぁっ、あっ、あっ、あぁん・・・ああっ、はぁっ!」
「気持ちいいか?レミィ」
「ああっ、あっ、きっ、気持ちいい、気持ちいいですぅぅぅっっ!!」
「どこだ?どこが気持ちいい?」
「あ、あそこっ、アソコが気持ちいいですっ、ああっ!」
「アソコじゃねぇオマンコだ、そう言え。言わねぇと止めちまうぞ!」
「ああっ、ご免なさい!オマンコですっ!レミィのオマンコ気持ちいいのぉぉぉっ!」
「レミィお前は俺のなんだ?言え!」
「めすっ、牝奴隷っ、あっ、ご主人様の為に生き、ご主人様の為なら、あっ、なんでもするっ、あぁん、あっ、淫らで卑しい、はあっ、牝奴隷ですぅっ!んぁっ、ああっ!」
 レミィの体は大量の汗で、てらてらと光っている。
 財産目当てだったとはいえ、まがりなりにも昔仕え、賞金稼ぎになってまで自分を追っていたお嬢様が今完全に自分に屈服し自分のチンポに嬌声をあげている。
 その事に少なからず興奮していたレックスにも限界が近づいていた。
「そろそろ出すぞっ!中に出してやるっ!」
「あっ、出してぇっ!レミィのオマンコ、ご主人様の精液で一杯にしてぇぇっ!」
「俺が中に出すのと一緒にイケよ!イクときはイクって叫べっ!」
 どぴゅっ、どぴゅうぅぅっっっ、びゅるっ、どくぅっ。
「ひゃああああぁぁっっ!!イクっ!レミィ、イっちゃいますぅぅっっっ!!」
 大量の精液を子宮に注ぎ込まれると同時にレミィは激しい絶頂を迎える。考えられないほどの幸福感と快感の中、レミィの意識はゆっくり闇に呑まれていった。
(あぁ・・・ご主人様・・・・あたしは幸せです・・・・・・・・・・)

エピローグ

 ―――――それから数ヶ月後。
 レミィはある賞金首を追い詰めていた。男は病気の妹に薬を買うため自分の働いていた商店から売り上げを盗んだのだ。
「た、頼む、命だけは助けてくれ。お、俺が死んだら病気の妹が・・・」
 男の命乞いにレミィは微笑んで言う。
「・・・ダメよ。あんたがお金を盗んだ店はあたしのご主人様にみかじめ料を払ってるの。それを見逃したら示しがつかないでしょ?」
 悪戯っぽく笑うと涙と鼻水でぐちゃぐちゃな男の額に押し付けていたバントラインの引き金を引く。

 レミィは『山猫(リンクス)』の他にもう一つの二つ名を持っていた。
 一度見たら忘れられない燃えるような赤毛とその強さ、さらに必要以上に人の命を奪おうとはしない優しく凛々しい戦いぶりから、『炎の戦姫(ヴァルキリー)』と。
 レミィ自身はそんな大層なニックネームは恥ずかしいと『リンクス』の方を好んでいたが。
 しかしレミィが気にするまでも無く、今レミィをそのあだ名で呼ぶ者はいなくなっていた。
 人が変わったように喜々として賞金首を殺していくレミィにつけられた新しいあだ名は『業火の死神』という。
 だがレミィは全く気にしなかった。二つの道を問う事ももうしない。
 『邪魔者は全て始末しろ』それが最愛のご主人様から下された命令であり、レミィにとって絶対の真理だったからだ。
 レックスの趣味で服装も変わっていた。黒の革ジャンに革パン、ウエスタンブーツまで黒に変わっていた。革ジャンの下には扇情的な黒のブラ一枚しかつけていない。
 黒の革製品は燃えるような赤毛によく映え、『業火の死神』という二つ名には相応しいものだったといえる。

「さてと、今日は馬車強盗するんだったよね、ちょっと眠っておこうかな」
 今レミィは二つの顔を持っていた。昼は賞金稼ぎとしてレックスにとって邪魔な賞金首を消し、夜はレックスを首領とした強盗団の一員として様々な悪事に手を染めていた。
(今日の仕事が上手くいったらまたいっぱい可愛がってもらえるかなぁ)
 そう考えただけで頬は上気し、秘所からはとろりと蜜が溢れ出す。
「んぁ・・・あぁ・・・」
 思わずその場でオナニーしたくなる衝動をなんとか我慢してレミィは誓う。
「よーし今日もご主人様の為にいっぱいがんばろー!」

 復讐心を綺麗さっぱり取り除かれた事によってレミィは本来の明るく天真爛漫な性格を取り戻していた。
 もう自分の事を私と呼んだり、語尾に「だわ」などをつけて背伸びして大人の女を演じる事もない。
 御主人様への愛の為に生きる自分はもう一人じゃないのだから。
 レミィはこぼれんばかりの笑顔を浮かべると夕闇の迫る町へ駆け出して行くのだった。

< 完 >

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