洗脳薬 前編

~前編~

「んひっ、あ、あっ、あっ、んお゛お゛ぉぉぉぉぉぉおおっ」

 部屋の中に下品な叫び声が断続的に響き渡っていた。
 声だけを聞くと、苦しんでいるようにもそして喜んでいるようにも取れる。

 だが、顔を見ればどう感じているか一目瞭然である。

 目を剥き、薄いピンクの唇を大きく横に歪ませている。
 明らかに喜悦を感じているそれだった。

 しかも驚くべきことに、声を上げているのはまだ幼く見える少女である。
 普通にしていれば顔も年さながらに可愛らしく、また両側で髪を縛る為につけたゴムのマスコットも少女によく似合って愛くるしい。

 しかし、彼女は残念ながら普通ではなかった。

「んいぃぃぃぃ、ひゃうううっ、あ、あううっ」

 お風呂に入るわけでもないのに、少女は衣服を一枚も身に付けていない。
 まだ、守るには早いとも理解していないであろう部分さえ隠さずに男の目に晒して、興奮により小梅の種ほどの乳首も硬くしこっていた。

 だが何より驚くべきことは、少女が男の指に弄られて喜んでいるのは大事な部分ではなく、排泄用の穴である事だ。
 どうやらすでに男のものを咥えこんだ事もあるのだろう。
 異様なほどに拡張された尻穴からは絶えず腸液が漏れ、男の指が侵入するのを容易なものとしていた。

 一本、二本と数を増やして男の指が少女の腸壁を擦り付ける。

 ただそれだけの事に開発された彼女の体は過剰なまでに快楽に反応し、小さな体をガクガクと震わせる。

 あどけない少女の顔は終始悦楽に蕩け、突き出した舌から垂れ落ちる唾液がぽとぽとと絨毯に黒い染みを付けていく。

 時折瞳孔が開いて、気をやるのが見て取れたが、それでも少女は絨毯を強く握り締め男の言う通りに四つん這いの姿勢を崩す事は無かった。
 いくら達しようが、気を失おうが姿勢を崩すのは男がイク時だけと幼い体に教え込まれているのだ。

「あ、あっ、ぢ、ぢんごっ、ぢんご下さいっ、お願いしますっ」

 肛門を弄くられていた少女が、とうとう耐え切れなくなったようで到底少女が出すとは思えない下品な言葉でおねだりを始めた。

 男を見るその目は少女とは思えないほどに輝きが無く、真っ黒に沈んで、傍から見れば精神を病んでいるようにも見える。

「お薬とちんちん、どっちが先に欲しい?」

 男が発した薬、という単語を聞いて少女は一瞬体を振るわせた。
 プシュ、と音を立てて小さなワレメから透明な飛沫が上がる。

 イってしまったのだ。

「あ、あぁぁぁ、あ゛あああああっ。・・・・・・おぐすりっ、おぐすり下さいっ、おぐずり、なんでもしますからぁっ」

 豹変と呼ぶのに相応しい変化だった。
 自分の手でお尻を開いて肉棒をねだっていた時とはまるで反応が違う。

 まるで命に関わる事のように、少女はすぐに身を翻すと男の足にしがみついた。
 そして涎を垂らして、抱きついた足にしゃぶりつく。

 それは少女が男に教えられた、媚びという行為の一つだった。
 もし男が喜び、薬が貰えるなら少女は目の前で糞をひり出す事も、男の全身隅々お尻の皺の一本一本にまで舌を這わす事をも厭わない。

 それほどまでに男が言う薬は魅力的なものだった。

「はは、仕様の無い糞豚だなぁ。いいよ、腕を出しな」
「あ゛あああ、はいぃっ、出します、出しますっ」

 狂ったほどまでの笑顔を浮かべ、少女はすぐに腕を突き出した。
 溢れんばかりの笑顔を顔いっぱいに湛えて、犬のように荒い息を吐いて注射器を待つ少女には人間としての尊厳は無かった。

 薬が貰える。そう思うだけで男を知らないあそこは掻き毟りたくなるほどにむず痒くなる。

 男はゆっくりとした手つきで、突き出された少女の細い腕に付いた絆創膏を剥がす。

 絆創膏で隠されていた部分には、無残に膨れた幾数もの注射の跡があった。
 紫に腫れたそれは、度重なって少女の体内に薬が打ち込まれたことを如実に物語る。

 そして、薬によって少女の体と心が壊された事をも理解させる。

 男は少女の細い腕を持つと、中指ほどの大きさの、小さな注射器の先を柔らかな皮膚へと刺した。
 少女はその様子を薄ら笑いを浮かべたまま、どんよりと曇った瞳で見つめている。

「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー」

 注射器のピストンに男の指がかかるだけで、小さな体にマグマにも勝る熱い熱情が溢れそうだった。
 事実、期待と喜びで少女の股から流れ出した愛液が太ももを伝い、絨毯に別の染みを作っている。

「ほら、今日も打ってやるよ。・・・・・・気持ち良いかい?」
「はぁぁぁぁ、入ってくるぅ・・・・・・お薬、えへへ、はは・・・・・・あはっ、きたぁ、きたぁっ、お薬、おぐずりっ・・・・・・へひゃ、あっ、あはっ」

 毛細血管を通り、液体が体に入り込む様子を恍惚とした顔で見つめ、身体を駆け巡る薬の効果に少女の顔がだらしなく歪む。

 完全に打ち終わっても、少女は床に膝をついたままの格好でそのまま動こうとしなかった。

 いや動けないと言った方が正しいだろうか。少女はただ焦点の合わない瞳で虚空を見つめ、口元を緩ませたまま意識がないみたいに呆然としていた。

 しかし反応らしい反応が見えない上半身とは対照的に、うら若い恥部からはまるで子供が手に持った水鉄砲のようにブシュブシュと何度も潮が噴き上がっていた。

 そんな変わり果てた義妹の様子を見て、男が口元に笑いを浮かべた。

 もう用済みだと、投げ捨てた注射器の中身はただのブドウ糖だった。
 それは本来ならほんの少し血糖値に関係するだけで、人体には何の影響も無いものだ。

 しかし、見て分かるようにこの子は注射器の中身がまるで危険な薬であるかのように受け止めているし、体もその通りに反応している。
 これは思い込みなんかじゃなく紛れもない事実だ。

 ならばどうして今の現状があるのかというと、それには俺の父について話さなければならなくなる。

 戸島浩一郎。

 それが俺の父の名前で、彼がこの世から居なくなってしまってからもう半年ほど経つだろうか。
 原因は心臓麻痺で、仕事場で倒れてから、彼は驚くほどあっさりとこの世を去ってしまった。

 しかし”彼”と他人行儀な呼び方で息子である俺が呼ぶように、俺は父の事についてはほとんど何も知らなかった。
 どこかの研究所に勤めているとだけは聞いていたが、平日はおろか休日さえもロクに家にいたことがないので親子らしい会話などは何もない。

 印象らしい印象と言えば、世間一般の科学者のイメージに違わないひょろりとした痩躯で、銀縁の眼鏡をかけていた事でそれ以外は語るものがなかった。

 ただ唯一とも言える親らしい話は、俺が小学生の時、俺を産んだと同時にこの世を去ってしまった母について話してくれた時だけだったように思える。

 相変わらず愛想はなかったが、それでもぼそぼそと、切れ切れになる言葉の端から母への深い思慕を感じ取る事が出来たあの時だけ、俺は目の前にいる彼を父とぼんやりとだが思うことが出来た。

 そんなものが初めての会話だったものだから、父が亡くなったと聞いても俺はあまり動じてはいなかった。

 ああ、そうなのか。
 薄情とも言えるそんな考えを一つ浮かべただけで、頭の中では次々と冷静に葬儀の準備はどうするのか、誰に連絡をすれば良いのか、お墓は母と同じ所で良いのだろうかという現実的な考えが浮かんでいた。

 冷静に頭が働いてくれた理由のもう一つには、俺がしっかりしなければならないというのもあったと思う。

 何せ俺の隣には父と再婚したばかりの義母が突然の報告を受けて、泣き崩れていたのだから。

 吉野 香苗さんというその女性は、一年ほど前のある日突然父に連れられてこの家へやって来た。
 しかも俺より10近く歳の離れた小さな娘を連れて、だ。

 その時に父がたった一言だけ漏らした「今日から新しい母と娘が出来た」というぶっきらぼうな言葉はおかしなほどに強く頭に残っている。

 もちろん軽いパニック症状に陥った俺は、どういう事かと父に問いかけようとしたが彼は玄関先まで新しい家族を連れてきただけで、すぐに仕事へと向かって行きやがった。

 残されたのは口を開けたままあっけに取られた男と、柔らかな笑みを浮かべる美しい女性と、緊張を隠せない様子で母親の服にしがみ付いている小さな女の子。
 会話もなく、三人でいつまでも玄関で立ち尽くしているその光景は今思い出しても何かの悪い冗談であったかのように思える。

 まさか追い出すわけにも行かず、その日から、意図せずいきなり出来た新しい家族との奇妙な生活が始まる事となる。

 

 相手側も同じ思いだったのだろうが、全くの他人との共同生活に戸惑い、最初は挨拶一つもぎこちなかったが次第に俺は香苗さんの柔和な人柄に毒を抜かれていった。

 実の娘がいるにもかかわらず俺にも同じように接してくれたし、家政婦なんかじゃない安心できる誰かが家にいる、そんな俺の知らなかった母親の姿を教えてくれたのは正直に言って嬉しかった。

 しかも、目が覚めるような美人で、包容力があって、ぼんやりしてそうに見えてよく機転が利く、俺の理想の女性と言うのだから日に日に心の壁が崩されていくのも無理はないと察して欲しい。

 香苗さんなら引き手数多だっただろうに、よりにもよってよくあんな無愛想な父と一緒になる決意をしてくれたと何度お礼を言っても足りないくらいだ。

 それから新しく出来た義妹の歩ちゃんも、なかなかどうして、出来てみれば可愛い存在だった。

 人見知りする性格らしく、それは緊張して挨拶も出来なかったし、廊下ですれ違うのも物怖じするくらい酷かったのだが、一週間、一ヶ月と生活を共にするにつれて関係がほぐれていくのが嬉しい。

 気がつけばソファーでくつろぐ俺の隣に座り、小さな体を俺に預けたまま寝息を立てるほどになっていた。

 転校したてで友達もおらず、俺が大学から帰るとそれは嬉しそうにして毎日のように俺の部屋に遊びに来たりと、そんな歩ちゃんが可愛くてお土産にお菓子を買ってきては香苗さんを困らせたものである。

 流石に父が他界してしばらくはまたぎこちない関係に戻ってしまったが、それもほんの束の間の事だ。

 数日間は塞ぎこんでいた香苗さんも、母親の強さというべきか、俺や歩ちゃんの前では気丈な態度を見せていた。

 気の優しい歩ちゃんも父の話は出さないようにと心がけていたみたいで、一ヶ月も経てば俺たちの生活はすっかり以前と同じようになっていた。

 父の死を乗り越えた香苗さんは以前よりも強く、歩ちゃんは優しく。

 しかし、いつまでも続けば良いと思うそんな微笑ましい生活も長くは続こうとしなかった。

 父が亡くなって三ヶ月目の事だ。

 父の葬儀や、俺には難しくて何だかよく分からなかった財産分与やたくさんの複雑な手続きがようやく終わり、新しい生活も軌道に乗り始めた頃。

 俺は身辺整理の為、いつも鍵が掛かっていて入れなかった父の部屋を整理しようと思い立った。

 父の遺品を見て悲しむ二人の姿を見たくなかったので、整理のことは言わず二人には無理矢理家を空けてもらい、たった一人で全て片付ける。

 その日まで一応鍵を探してみたものの父が持っていたキーケースの中にも、父の服の中にも見当たらなかった為に俺は結局ドライバーで鍵を外して半ば強引に父の部屋に入ることにした。

 幼い頃から目にしていても入ることが出来なかった、俺にとってはある意味神聖な領域に初めて入るというのだから、あまり感情を表に見せない俺だったがその時だけは鼓動が高まるのを感じていた。

 だが童心に返って、見知らぬ土地を自分の勘便りに駆け巡るような胸打つ冒険は俺の思わぬ形で終わる。

 古びた机の中身を上の引き出しから順に外に出し、雑巾で空っぽになった引き出しを拭いていた時、底に妙な感触を感じた。

 何かが板の間に入り込んでいる。

 と、いうよりは底に同じ木目の薄い板を重ねている。二重底だ。

 引き出しをひっくり返し、ぴったりのサイズで蓋された板の隙間にカッターの歯をこじ入れて剥がすと、案の定中からは一枚の封筒が見つかった。

 茶色い封筒を開けると、一枚のメモ書きと小さな鍵が中に入っていた。

 父の小さな字で貸しロッカーの場所とナンバー、それから俺一人で取りに行くように書いた指示。

 死んだ後まで他人の都合を考えない人だと呆れながら、次の日遺言通り彼の残した”遺品”を手にして、そして真実を知って言葉を失った。

 ロッカーから見つかった一冊のファイルの中にはフィルムに包まれた白い粉末剤と共に、彼が裏社会とでも言うべき団体と接してきた確かな証拠があったのだ。

 人目に付かないように家に帰り、部屋に閉じこもった俺はファイルに目を通し、父の仕事がどういうものだったのかを初めて知る事となる。

 彼が一生をかけて従事していた仕事は、他人の精神を作り変える悪魔のような薬”洗脳薬”を作ることだった。

 見つけたファイルの中には研究者としての彼の綴り書きと共に、その薬の効果や被験者達の事、そしてその薬を作るように命令していたのが日本政府であるということが事細かにはっきりと書かれていた。

 少量の薬を多額の金で売り渡し、私腹に収めようという計画。
 他国の情報を奪い取り、もう一度世界に手を伸ばそうという無謀な計画。

 父と直接接触した人間、そしてその裏にいる人物、さらには薬の取引国といった公開されればどうなるか想像も出来ない事実が赤裸々に記されたそれを俺は時間も忘れて夢中で読みふけっていた。

 SF小説にも負けない内容が続き、そして俺にとっては、禁断の裏事情なんかよりももっと衝撃的な内容が最後のページに書き記されていた。

 日付は死の数日前で、そのページだけは彼が研究者としてではなく、一人の父親として息子に宛てた告白が書かれていたのだ。

 内容は簡単なものだった。

 俺の母親は政府から連れてこられた薬の試作品の被験者で、不幸にもそれまでの記憶を一切失ってしまったのだと。
 行き場を無くした母を引き取った父はそんな母に対して少しばかりの同情心もあったが、それでも共に生活する中で一人の女性として真剣に愛していたと。

 最後に、感情を出せなかったがその母が産んだ俺を同じように愛していたと。

 それらは本当に短い文だった。

 自分のしてきた事を懺悔するわけではなく、ただありのままの気持ちを綴っただけの不器用な独白。

 だが、俺が父との繋がりを感じるには十分だったと言える。
 わずか三行ほどの短さでも、あの寡黙な父がそれだけ書いたんだ。上出来すぎるくらいだ。

 俺はそっとファイルを閉じ、それをこの家で俺だけが知っている秘密の隠し場所へと静かに封印する事にした。

 これはこのまま眠らせていた方が良い。
 そう思ったからだ。

 わざわざ世間に公表すれば父も安心して眠れないだろうし、俺はともかく何も知らない香苗さんと歩ちゃんに危険が及びかねない。
 だから俺だけが何も知らない振りを通し続ければ良い。

 と、あたかも世界を危機から救った戦士のような誇らしい気分になっていた矢先の事。

 大学から帰ってきたある日、俺は家の中に異変を感じた。

 まるで慎重な空き巣に入られたように部屋のあちこちの配置が微妙に変化している。

 しかし家には香苗さんが一日中いるはずだし、買い物の隙を狙われたにしても、そんな慎重な奴が俺の部屋みたいに明らかに金品が置いてなさそうな部屋も探っているなんて変だ。

 仮に香苗さんが模様替えや整理をしたにしたって、俺の部屋にまで入ろうとはしないはずだ。
 まして歩ちゃんがそんな事をする理由はどこにもない。

 不思議な出来事に疑念を抱きながらも、その時はそれで終わった。

 俺の杞憂であれば良いと願っていたが、その疑問が確信に変わったのは、香苗さんの何気ない行動を見た時だった。

 夕食の時に流していた、歩ちゃんが気にいっている推理アニメの後半で、歩ちゃんがまだ見ているにも関わらず香苗さんが急にチャンネルを変えてしまった事があった。

 まるで、見られるとまずい事があるみたいに。

 その出来事がやけに胸に残り、言いようのない不安感を覚えた俺は何となく放送されたアニメの内容を調べた。

 調べるのは簡単だった。

 熱心なファンサイトにアクセスすれば内容はその日の内にアップロードされ、その回のあらすじ、出てきた犯人の名前からトリックの道具、感想まで書かれている。

 大体にして推理番組の後半というのは犯人を暴き、とぼける犯人に証拠とトリックの謎解きを突きつけて自白といったシーンが通常だ。

 だから俺は文の最後辺りに注目して眺めていたのだが、その中でつい最近聞いた覚えのある単語を見つけた。

 被害者の死亡原因は心臓麻痺であった、と。

 そしてその偽装に使われた薬の名前は酢酸バリウム。

 詳しく調べて見ると、酢酸バリウムはほんの少量摂取するだけで筋収縮といった悪影響を及ぼしてしまう劇薬で、その症状は心臓発作に酷似しているらしい。

 ふっと、頭の中であの日、父が亡くなった日台所でお弁当を作っていた香苗さんの姿が思い浮かぶ。

 あれは、誰に作っていたものだ?

 学校で給食が出る歩ちゃんじゃない、学食を利用する俺でもない、まして香苗さん本人のものでもない。

 考えてみれば、簡単なことだった。

 香苗さんが何者か。
 そう考えると危険なくらいに”正解”が頭の中に広がっていった。

 ただ、考えないようにと自分を押さえつけていただけ。

 だが気付いてしまった以上、もう止められなかった。

 まず、香苗さんは一体何者なのか。
 それは政府か政府に深く関わる人間、もしくは取引国の人間かどちらかだ。

 ではわざわざ父と結婚してまでこの家に来た理由は何か。
 もし政府の人間ならば父が証拠を残していないか調べる為、取引国ならそれと薬のデータが欲しいのだろう。

 父を殺害した理由は何か。
 ファイルを持ち出してしまうことから、父は政府に従順とは見れない。
 よって薬の完成を目処に口封じを図ったのだろう。

 では父は何故そんな人をわざわざ家に連れ込んだのだろうか。
 おそらくだが、相手が香苗さんに監視させることを父に強要したと俺は推理する。

 これは少々都合の良い推測にしか過ぎないが、そうすることで父の仕事の事を俺が何も知らないと教えるためだったのかもしれない。
 仮に相手に何の情報も無かった場合、危険防止の為に俺も父と同じように殺されていてもおかしくは無かった話だ。

 本当に何も知らない、無害な人間だから生かされている。

 思い返せば、父の残したメッセージが俺の推理を裏付ける。
 あれほど母や俺には情を示した父が、再婚までした香苗さんに対しては何も書いていないのは不自然極まりない話だ。

 だけど、書く必要がない存在だと考えるなら自然と父と香苗さんの本当の関係が浮き上がって見える。

 答えに達した時、俺の前で変わらない柔らかな笑顔を浮かべる義母を俺はもう以前の様には見れなくなっていた。

 優しくて、虫も殺せない顔の裏には一人の人間を殺して平然としていられる邪悪な本性が隠されている。

 いつ何時彼女の持った凶暴な牙が俺に向けられるか分からない。

 だから父はあのファイルと共に粉末剤、いや洗脳薬を残してくれたのだろう。

 自分自身で身を守る武器を与えてくれたのだ。

 これは父の復讐じゃない。ただの正当防衛だ。

 だけど、自分がした報いは受けてもらう。
 大事な自分の娘と共に。

「ほら。いつまでも放心してないで、俺のものを舐めろよ。お前の大好物だろ?」

 俺は一点を見つめたまま涎を垂らしている歩の髪の毛を掴むと、頭をペニスの前に引きずり倒した。

「ふぁぁ・・・おちんちんっ、あはっ、だいしゅきぃ・・・・・・」

 まだ薬の余韻に浸っている歩は顔に喜色を湛えて、自分から鼻の先が触れそうなくらいに勃起したペニスに顔を寄せる。

 鼻をひく付かせて臭気漂うペニスの臭いを嗅いで、羨望の息を吐く歩は幼いながらも妖しい魅力を持っていた。

 マシュマロのような頬っぺたを先走り汁が垂れたペニスに擦り付け、感触を味わい、微笑み、また鼻を近づけてむせ返るような臭気に酔う。

「あゆ、おちんちんの臭い好きぃ・・・・・・嗅いでると、はぁぁぁ、あっ、おちんちんぺろぺろしたくなるのぉ」

 汗ばんだ玉袋に鼻を突っ込んだり、雁に付着したカスの臭いを十分吸い込むと、我慢できないと言った表情で歩は亀頭の先に赤い小さな舌を伸ばした。

「ちゅぱ・・・ぺろ、ぺろ、ちゅうっちゅうっ・・・ん、んっ・・・ふぁ、おちんちんっ、いつもより苦くて美味しいですぅ」

 まるで飴でも舐めるようにぺろぺろと亀頭に舌を這わして、歩は純真無垢のあどけない顔でいやらしい言葉を吐く。

 太くなったペニスをしっかりと掴み、汚いカスを丁寧にピンクの舌が舐め清めていく。
 鼻息を荒くし、愛しい肉棒にキスをして、もう歩の目にはペニスしか映っていない。

 自分の行為がどれほど卑猥か理解もしていないだろう少女が、奉仕に夢中になっているギャップが俺を興奮させる。

「咥えて良いぞ」
「はぁい・・・・・・んぐっ・・・んちゅ、んっ、んっ」

 小さな口いっぱいに広がる巨大なペニスを咥え込み、歩は口をもごもごと動かしている。

 まずはたっぷりと味わうようにと言いつけてあるので、歩はその通りに口の中で舌を這わしてろくに洗っていないペニスを美味しそうにしゃぶっている。

 窄めた舌先が鈴口を擽り、膣内のように狭い口に肉棒を締め付けられて、腰の辺りがじんわりと熱を持った。

 歩も口内を犯す男を感じて興奮しているのだろう。
 高く掲げた菊の蕾がひくひくと蠢いて、涎のように腸液を垂れ流している。

 まだ純潔を保ったままの秘部の方も物欲しげな涎を垂らしているに違いない。

「いいぞ、動け」
「ぷぁい・・・ぢゅるぢゅる、ん、ぢゅっ・・・れろ、れろ、んぢゅ、うう」

 俺の指示がでると歩は両手を竿に添えて、喉の奥までペニスを飲み込んだ。

 口を膨らませて無理矢理頬張っている為に、顔を動かすたびにじゅぽじゅぽと淫猥な音を立てるのがいやらしい。

 小さな歩ではペニスを根元まで飲み込むことは出来なかったが、手の平を肉棒に擦り付ける事で足りない点を補わせている。

 喉の奥を突くほどにペニスを飲み込んでも、歩はむせ返ったりはしない。

 呼吸が困難になり霞がかった頭で、むしろそれを快感として積極的に咥え込む貪欲さには呆れるばかりだった。

「ふぐ、ん、んぐ・・・んぢゅぢゅ、んっ、じゅるじゅるっ」

 可愛がっていた義妹を、まるで性処理人形のように扱っている現状を見ても俺の心は全く動じなかった。

 復讐などしない、父の敵を討つつもりはないと思っていてもやはり心のどこかで痛みを感じていたのだろうか。

 それとも香苗を初めて出来た母親として信じていたからこそ、裏切られたのが辛かったのかもしれない。

 あるいは、女性を道具のように扱う性癖が元から俺にあったのかもしれない。

「もういいぞ、歩」

 俺は歩の髪の毛を掴んで、無理矢理ペニスを引き抜いた。

 そんな乱暴な扱いを受けても歩はうすら笑いを浮かべていて、性交の後のようにぐぽっと音を立てて抜け落ちた、自分の唾液でてらてらと濡れるペニスを見てもやはりそれは変わらなかった。

「どこに欲しい?」

 髪の毛を掴んだまま尋ねると、歩の目にどろどろとした熱で妖しい光が灯ったのを俺は見逃さなかった。

「あ、あ、お尻・・・・・・お尻の穴に下さいぃ」
「お尻の穴なんて言い方俺は教えたか?」
「あ、ケツ穴ですっ、歩のいやらしいケツの穴にでっかいおちんちんを捻じ込んでくださいぃっ、も、もう我慢できないんですぅ」
「我慢できないって、どんな風に?」

 俺は答えを知っていながら、あえて歩に問いかけた。

 すると歩は腰を突き出して、自ら尻を押し分けて開いたアナルの穴をさらに広げた。
 オークションに出された奴隷が少しでも良い値段をつけて貰える様に、自分の魅力をアピールする。

「歩のエッチなケツ穴、寂しいのぉ・・・あ、はぁ、はぁ・・・おちんちん欲しい、ごつごつしたおちんちん下さいっ」
「良し。よく言えたな」
「あ、はぁぁ・・・ご褒美下さいぃぃぃ」

 餓鬼のように足元にすがりつく歩の頭を撫でると、俺は身を屈めて歩の足に手を伸ばした。

 伸ばした手で歩の太ももを広げると、手を当てたまま一気に体を持ち上げた。

 見た目以上に軽い。

 落ちないように胸に腕を巻きつかさせ、何が起こるのかと期待に満ちた歩の顔を見ると、俺はそのまま手を離した―――――。

「あ、え・・・・・・?」

 いくら手を回しているからとは言え、自分の体重を支えるほどの力がない歩の体が重力に負け、落下する。

 そして落下した先に待っているのは、雁首を広げてそそりたった肉棒である。

 開いたアナルにずぶっと亀頭が入り込み、ぬめった腸液が潤滑油となって勢いを殺さず、激しく腸壁を抉られながらペニスを咥え込んだ歩が喘ぐ暇なく、まず先に潮を噴いた。

 不意打ちにしてはあまりに強烈過ぎた。
 甘く、凶暴的な快楽が脳を突き抜け、足の先から指の先まで全身を貫く。
 尾骨を俺の腰に打ちつけた歩は、声にならない悲鳴を喉の奥から搾り出して、ぐるんと目を剥いて気を失わせた。

 体よりも先に、感覚がイってしまったのだ。

 俺は忘我している歩の太ももをもう一度持ち上げて、収縮するアナルから肉棒を抜くと、同じようにその手を離した。

 再び歩の体は落下して、腰にずん、と重い衝撃が響く。

 そして。

「あ、おっあ゛あ゛ぁあああああああああああっ、い゛い゛ぃぃぃっ」

 その衝撃で目を覚ました歩が、遅れて取り戻した体の感覚に狂人のような叫び声を上げた。

 ぷしっ、ぷしっ、ぷしっと三度股から飛沫が上がる。

「気持ち良いか?」
「あー、あー・・・いいぃぃ・・・しゅごいぃ・・・あへ、へっへ・・・これしゅきぃぃ」
「じゃあもう一度だ」
「はひゃああ、あ、ああ・・・またくる・・・あらまおかひくらっちゃいます・・・・・・あ、あ゛ああああああああああああああああああ゛っ」

 フリーフォールのように自由落下を繰り返しては歩が涎を撒き散らして首を振る。

 太い杭を肛門に向けてハンマーで打ちつけられる様な衝撃が何度も身体を走り、歩はすっかりその世にも淫靡な遊具に病み付きの様子だった。

「しっかり掴まっていろよ」
「ひゃぁい・・・ふぁぁ・・・あ、はっ・・・・・・」

 何度も体を落とされ、呂律の回らなくなった口調で何とか返事を返すと、歩は細い腕を俺の体に再び巻き付けて体を固定する。

 太ももから小さなお尻に手の位置を変えて、落さないようにすると今度は俺が突き上げた。

 ぐちゅっ、ぎゅ、ぐちゅうっ。

「へひゃっ、はぎっ・・・ぁああっ、はぁっ、こ、これもしゅごいぃぃぃぃっ」

 駅弁スタイルでのアナルファックも気に入ったようで、ずんずんとお尻の中を掻き混ぜられて狂ったように喘ぎ続ける。

 強すぎる快楽は頭を溶かし、歩の体液がぽたぽたと絨毯に雫を垂らしていた。

 きゅうぅぅと腸壁の奥も痛いくらいに俺のものを締め付け、まるで生きたオナホールのような心地よさに押し寄せる射精感を堪えて、ガンガンと腰を振りたくる。

 使えば使うほど締まりの良くなる優秀なアナルだ。

「歩、気持ち良いかっ」
「ああっ、あっ、あああっ、気持ち、ひいぃぃっ・・・あひゃあっ、ま、またイグっ」
「もっとだ。もっと狂わせてやるぞっ」

 これでもか、とばかりに突き上げ、アナルを責め立ててやると歩は爪を立てて俺の背中にしがみ付いた。

 イキっぱなしで何も見えていない。

 ただ本能と性への執念によって必死に離れないように体をくっ付けているだけだ。

「歩、俺の言うことは何でも聞けるな?」
「あ・・・は・・・・・・」

 快楽で頭が麻痺して、喋る事もままならなくなった歩は頭をコクコクと振って頷いた。
 逆らうと言う考えすらないようである。完全な服従だ。

「良し。絶対に忘れるなよっ」

 もうわけも分からず首を振る歩の体を強く抱き締め、ラストスパートをかける。

 突き上げては落ちてくる歩の中を掻き混ぜ、抉り、中身を引きずり出すように擦り出す。

 どこが弱いとか考える余裕もなく、ただ本能のままに動く野性的なセックス。

 相手を喜ばせるためじゃなく、自分が気持ちよくなるために腰を振り、ペニスを奥まで挿し込む。

 ずんっ、と押し込み、次の動きでさらに深いところを犯す。

 すると最奥までペニスが達した時ぎゅうぅぅと肛内が収縮し、その淫壁の締め付けに、出ると感じたときにはもう先端から精液が噴き上がっていた。

「くぅっ・・・・・・出るっ」

 ドック、ドック、ドクッと熱い迸りが容赦なく歩の直腸へと注ぎ込まれていく。

「ひひゃあああああああっ、お、お尻っ、ケツ穴っ、あづいぃぃぃっ、あがっ、い、ぐぅぅぅぅっ」

 直腸の奥に精液の噴射を受け、盛大によがりきった所で、幼い歩の体力に限界が来た。

 酸欠で顔を青ざめて、糸が切れたように身体から力を抜いて気絶した。
 額から流れ落ちた汗と、零れた涙と、垂れ流れた鼻水と涎。
 ぐちゃぐちゃになった顔は夢心地と言ったように、忘却の世界へトリップしている。

 こうなってしまったらもうしばらくは目を覚まさない。

 まぁいいか。

 あと少し。

 もう少しで極上の獲物が手に入る。

 俺は彼女の優美な顔を思い浮かべながら、気絶する歩の体を道具代わりに再び硬くなったペニスを弛緩する肛内で扱き始めた。

< 続く >

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