こちら宇宙警察地球派出所 前編

前編

 広大な大宇宙、その片隅にある太陽系と呼ばれる星系に向かう一隻の宇宙船(セクシャル・ピーチ号)。

「何で私がこんな辺境の惑星に‥‥」

 不満気に独り言をつぶやいている彼女の名は「御蓮寺 桃華」(ごれんじ ももか)宇宙警察に所属する宇宙刑事である。
 容姿端麗、頭脳明晰を誇る才媛で、宇宙警察内でも順調に出世していた。
 そんな彼女が突然辺境への異動を命じられたのだ、不満に思うのも無理も無い話であった。

 事の発端は邪(よこしま)帝国による地球への違法侵略を現地で阻止している、宇宙警察地球派出所の司令官「男打 ダン」(だんだ だん)が帝国の侵攻を盾に宇宙警察本部へ「副官を寄越せ!綺麗で美人で美しい副官を寄越せ!今すぐたちどころに寄越しやがれ!ハリー、ハリー、ハリィィィーーー」と矢の様に催促し続けるので、正直ウザくなった上層部が容姿端麗で通っている彼女をスケープゴートに選んだのである。
 
 不機嫌そうな顔でコクピットに座る彼女にAIからの報告が入る。

「レーダーニ感有リ、11時ノ方向、対象スキャン中‥‥」
「こんな辺境に宇宙船?どこの物好きかしら」
 
 彼女は少し不審に思いながらAIの報告を待った。

「スキャン完了、対象ハ青猫運輸ノ輸送船デス」
「はぁ?青猫運輸ってこんな所まで来てるの!?」

 青猫運輸とは「宇宙・スペース・ナンバーワン」をキャッチコピーに、宇宙を東へ西へ飛び回る、運送業界第1位の企業である。

「とりあえず衝突しないように航路を再設定して」
「了解シマシタ」

 しばらくして輸送船を通り過ぎた直後に、コクピットのアラームが一斉に鳴り響く。

「ど‥‥どうしたの!!」
「後方ノ輸送船カラ、ロックサレマシタ、輸送船ミサイル発射、数1」

 あまりに突然の事に思考がフリーズしている彼女を他所にAIの報告は続く。

「危険度判定レベルA、ECM起動、デコイ放出」

 ここまで報告が終わった所で轟音と共に船体が激しく揺れる。

「エンジン部ニ被弾、エンジン停止、消火装置作動」
「イタタ‥すぐに緊急信号を出して」
「了解シマシタ‥‥‥ダメデス、通信妨害サレテマス」
「‥‥‥‥!?」
「輸送船接近」
「クソッ!一体何が目的なの」
 
 彼女のパトシップ(セクシャル・ピーチ号)に接近した輸送船はコンテナを開けてその中にパトシップを収容してしまった。

 このままパトシップに残っていても状況は好転しない‥‥そう悟った彼女は銃を片手に船外へ出る決意をする。
 船外に出るハッチを開け、注意深く外を確認する、するとハッチの前に一つの人影が立っているのが見えた。

 人影は緑色のローブで身を包み、頭は深くフードを被っていた。
 顔はよく見えないが、緑色に光る二つの目だけははっきりと確認できる。
 彼女はこの不気味な人影に銃を突き付け声をかけた。

「動かないで!あなた‥‥何者なの?」

 彼女は銃を突き付けられているのに全く動じない目の前の人影に、違和感に似た恐怖を覚えた。
 その人影の方から声が響く。

「始めまして御蓮寺さん、私の名はゲドー、今は邪皇帝様にお仕えしております、私の招待はお気に召していただけましたか?グフフ、いやそれにしても評判通り美しいお方だ、グフフフフフ」
「邪帝国の刺客かっ!」

「パンパンッ」相手の正体が分かると同時に、ためらい無く彼女は発砲した。
 弾はゲドーを貫通し後ろの壁に当たる、だが撃たれたはずのゲドーは平然とした様子で彼女に近付いていった。

「私に銃は効きませんよ御蓮寺さん‥」

「パンパンパンパンッ」ゆっくり近づいてくるゲドーに彼女は尚も発砲する。

「だから効かないと言ってるのに‥」

 そう言いつつゲドーは驚愕の表情を浮かべている彼女の顔に赤紫色の息を吹き掛ける。

「‥‥うっ‥‥‥くっ‥‥‥」
「良く効くでしょう、私はどんな薬品も体内で精製する事が出来るのですよ」

 眼鏡の奥に理知的な光を湛えていた彼女の目が曇りだし、ついには昏倒してしまった。

「グフフ、随分と気持ち良く眠っておられるようだ、それでは失礼しますよ‥‥」

 ゲドーはおもむろに彼女が着ている宇宙警察の制服を脱がしはじめる。
 綺麗に整った顔立ち、光沢のある白くて長い髪、薄く桃色がかった健康的な肌、宇宙刑事として鍛え抜かれた無駄な肉の無いスレンダーな身体、ゲドーの前にとても美しい裸体が横たわっていた。

「本当に美味しそうな身体ですねぇ、グフ」

 ゲドーはサメの様な口を大きく開くと彼女の頭にかぶりついた。
「ガリッ‥ベキッ‥ボキッ‥」ゲドーが鋭い牙を立てる度に彼女の身体がビクンビクンと痙攣する、そしてついに全てを喰らい終わった時、ゲドーの身体に異変が起きる。
 緑色のローブがボコボコと内側から突き上がる、「ギリッゴリリッ」奇妙な音を立てながら膨らんだローブが元に戻ってゆく。

「はあんっ‥‥‥ふぅ‥‥‥」

 ローブの中から洩れた声はゲドーの物では無かった。
 ゲドーの着ているはずだった緑色のローブからたおやかな白い手が伸びて頭のフードを外す、そこから出てきたのはゲドーに食べ殺されたはずの御蓮寺桃華の顔であった。
 ゲドーは自分の手を胸にあて揉みしだく。

「フフ‥‥期待通りの良い身体ね、パトシップの修理が終わるまでじっくり楽しむとしましょう‥‥」

 満足気な表情で御蓮寺桃華になったゲドーがパトシップの中に消えていった。

「バンザーイ!ついに‥ついにぃぃぃぃぃ、念願だった美人副官がやってくるぞぉーー」

 年甲斐も無く喜び回る司令官を、三人の少女は呆れ顔で見ていた。

「あの‥男打司令、新しい副司令ってどんな人なんですか?」

 正義戦隊サンバーン(命名:男打)のメンバー、バーン・レッドこと「暁 火煉」(あかつき かれん)が質問する。

「ハッハッハ、美人という事以外は知らん!」

 ポンポンと火煉の肩が叩かれる、振り向くと、バーン・グリーンこと「リーフ=ホーリーウッド」が、こいつには何を聞いても無駄といった顔で首を振る。
 バーン・ブルーこと「アービス=レイクフスカ」は欠伸をしながら部屋を出てしまった。
 その時、司令室にAIからの報告が入る。

「セクシャル・ピーチ号ガ到着シマシタ、コレヨリ所定ノ作業ヲ始メマス」

 桃華の乗るセクシャル・ピーチ号がゆっくりと格納庫内に着陸する。
 すぐに格納庫のゲートが閉まり、船体のスキャンが始まる。

「船体スキャン開始、船内生命反応1、御蓮寺桃華ノパーソナルデータト照合、本人ト確認、ソノ他船内ニ地球外生命反応無シ、地球外細菌反応ナシ、危険物反応無シ、全テノ項目チェック完了、異常ナシ、御蓮寺桃華ノ下船ヲ許可シマス」

 セクシャル・ピーチ号のハッチが開き、中から艶やかな白い髪をなびかせて美しい女がコツコツとヒールを鳴らせながら降りてきた。
 眼鏡の奥に光る瞳には高い知性と氷のような冷たさが宿り、その表情には蠱惑的な魅力が湛えられていた。

「ここが宇宙警察地球派出所か‥‥本番はこれからね、フフフ」

 司令室に着いた桃華は、男打の前で敬礼をして着任の報告をする。

「本日08:00時を以ちまして第7852星区12級惑星地球派出所への転属を命ぜられました御蓮寺桃華1等警尉です」

 桃華はもう一度敬礼をして報告を終わらせる。
 敬礼から直立の姿勢に戻った時、唐突に今まで感じた事の無いような悪寒が背中に走った。

「いやぁー君のような若さでもう1等警尉だなんて、随分優秀なんだね、こんな美人で綺麗で美しくて優秀で知的で頭の良い人が僕の副官だなんて、嬉しいなぁ~」

 ここまで粘りつき絡みつくような視線を、しかも男に向けられた事など無い桃華は、顔から血の気が引き思考が麻痺した。

「あ‥‥ありがとうゴザイマス‥‥‥」

 何とかそれだけ言って、この場から逃げようとする桃華の手を男打がつかむ。

「ひぃぃっっっ」

 またもや桃華に悪寒走る。

「まぁ待ちたまえ、そんなに生き急ぐなかれだよ、彼女達の紹介がまだ済んでない」

 司令室の壁際に三人の少女が立っていた、今の桃華にとってそれは良く知っている人物、邪帝国の野望をことごとく砕いてきた強大なゴッドアルファーを持つ乙女達。
 桃華がこの派出所に来た目的は、彼女達を自分の物にするためであった。

「あ‥‥あの、始めまして、地球派出所所属サンバーンチームのリーダーをやってますバーン・レッド、暁火煉です、階級は1等警巡です、よろよろしくおねがいします!」

 挨拶が終わった後、火煉は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
 そんな火煉の様子を見て、桃華はとても優しそうな声で火煉に話しかけた。

「そんなに緊張しなくても良いのよ、もう私達は仲間なんだから、地球や貴方達の事もっとよく知りたいし、私に聞きたい事があったら何でも聞いてほしいの、お互い協力し合って地球の平和を守りましょう」

 そう言って桃華は、包みこむような温かい笑顔で火煉に握手を求めた。

「はぅ‥‥はぅ‥‥はぅぅぅぅぅ~~」

 火煉は赤面した顔から湯気を立ち昇らせつつゆっくりと手を伸ばす、そして最後にはしっかりと握手を交わした。

「‥‥‥バーン・ブルー‥‥‥アービス=レイクフスカ‥‥‥‥よろしく‥‥」
「こ‥‥こちらこそよろしくね、これからは一緒に頑張りましょう」

 桃華は凄まじく無愛想で無表情のアービスと引きつった笑顔で握手を交わす。
 こういう何を考えてるか分からない奴が一番やりづらい、桃華は心の中で舌打ちした。

「あの‥彼女はいつもあの調子なので、どうか気になさらないで下さい、私はサンバーンチーム所属バーン・グリーン、リーフ=ホーリーウッドです、階級は1等警巡、貴女のような素敵な方を上官に迎えられて本当に嬉しく思います、今後ともよろしくお願いします」

 挨拶の終わったリーフは微笑みながら敬礼する。
 
「私の方こそ貴女達のような優秀な戦士と共に戦える事を誇りに思います、よろしくね」

 どうやら気に入ってもらえたようだ、そう思いながら桃華はリーフと握手を交わした。

 宛がわれた自室で備え付けの端末を使い、彼女達の個人データを徹底的に調べ上げた桃華は考えに耽っていた。
 三人の中で一番狙い易いのは、やはり私に好意を抱いている暁火煉ね、火煉を堕とせば他の二人を攻略する足掛かりに使えるし。
 そして三人を手に入れたら今度は男打を始末する、最初は洗脳するつもりだったけど私の精神衛生上の理由で殺す事にした。
 奴が死ねば地球派出所は思いのまま、男打の死さえ隠し通せば宇宙警察本部に知られる事無く邪帝国の地球征服を完了させる事が出来るわ。
 もし男打の死がばれたとしても、慢性的な人材不足に喘ぐ宇宙警察がこんな辺境の惑星に、彼女達を抑えるほどの部隊を送るとも思えない。 

 ここまで考えをまとめた所で、ふと桃華は彼女達の階級が気になった。
 今までの功績に対して低すぎるのである、邪皇帝の配下は宇宙指名手配犯の宝庫、だが今はそのほとんどが逮捕されるか処分されている、それは全て彼女達の仕事であった。
 極々少数の地球人女性しか持たないゴッドアルファーを身に宿した彼女達の戦闘能力は非常に高い、これだけの戦闘能力を個人で持つ者は宇宙警察でもごく稀だ。
 高い実力を持ち功績もある、それなのに階級は上がらない、それは彼女達が現地採用者だからである。
 桃華は宇宙警察の現地採用者に対する蔑視や偏見を思い知るのであった。

 広大な宇宙をカバーしなければならない宇宙警察は深刻な人手不足問題を抱えていた、その解決策の一環として打ち出されたのが派出所制度と言う名の現地人採用システムである。
 要するに辺境の未開惑星が星間犯罪者に狙われた場合は、現地人に簡単な装備だけ渡して対応させようという物だ。
 指揮をする宇宙警察から見れば彼らは消耗品で、便利な鉄砲玉位にしか思っていない、自分の星を守るために命を懸けて戦っている人々に対してあまりに失礼であった。
 
 そんな宇宙警察にとって、辺境の蛮族が自分達より優秀などと言う事は絶対に認められない話である、彼女達の階級が上がらないのもそのためであった。

「何て狭量な連中‥‥反吐が出るわ」

 桃華はそう独り言を呟いた。
 

「あ~ん、どうしよう、新しい副司令があんなに素敵な人だなんて、自立してて格好良くて綺麗で優しくて、今度会ったら素敵な女性になる方法でも聞いてみようかな」

 パジャマ姿の火煉は恋する乙女の表情で独り言を呟きながら、ヌイグルミを抱きかかえてゴロンゴロンとベッドの上で転がっていた。
 その時「コンコン」と部屋のドアをノックする音が響く。

「火煉ちゃん、いるかしら?」
「ハッ‥‥ハイッ!」

 憧れてる女性の突然の来訪に、火煉の思考は驚きと緊張が混ざり超高速で空回りする。

「少し聞きたい事があるのですけど、入って良いかしら?」
「も、も、もちろんですとも!ど、どうぞ」
「フフ‥‥じゃあ失礼するわね」

 ゆっくりと部屋のドアが開き、いつもの優しい笑みを浮かべた桃華が顔をのぞかせた。
 服装はシャツにパンツズボンとラフな物に変わっている。
 桃華は迷いの無い足取りで、真っ直ぐに火煉の座るベッドへ向かい、火煉のすぐ横に腰を掛けた。

「え?‥‥あ?」

 まさかすぐ横に座ってくるとは思わなかった火煉が、またもや緊張する。
 火煉の様子を見ていた桃華の表情が淫猥な物へと変わってゆく。

「あの‥聞きたい事って何でしょうか?」

 緊張に堪え切れず、火煉が不安気に口を開く。

「ねぇ‥火煉ちゃん‥‥私の事どう思う?」
「え?‥‥あの‥と、とても素敵だと思います‥‥」

 何だか挨拶の時と感じの違う桃華に戸惑いながらも、火煉は質問に答える。

「ありがとう‥‥じゃあ私の事‥‥好き?」
「はぇ?‥あ、あ、あぅぅぅぅ~~」
 
 桃華の突拍子も無い質問に、火煉はただただ混乱するばかり。
 顔はダルマの様に真っ赤になって湯気が出ていた。

「‥‥好き‥‥‥です‥‥‥」

 桃華の妖しい気にほだされ、ついつい本音を漏らしてしまう。
 それを聞いた桃華は、桃色の息を火煉に吹き掛けた。
 これこそは桃華の新必殺技「桃色吐息」(ももいろといき)である。
 桃華が全身全霊を込めて練り上げ調合した、高い催淫効果を持つ高性能洗脳薬なのだ。

「‥‥あっ‥‥‥‥‥」

 桃色吐息を吸い込んだ火煉の瞳から光が消え、半開きの口からは涎が零れた。
 そんな火煉を桃華はまじまじと見つめる。
 綺麗な黒い髪はショートカットで切り揃えられており、クリンとした丸い目に蕾のように可愛くて小さい鼻と口を持つ顔はとても愛らしかった。
 胸は控えめだが、ほど良い肉付きの身体はとても健康的な印象を与える。

「本当に可愛い娘‥‥」

 うっとりと火煉を見ながら、桃華は予定された行動を開始する。

「火煉‥‥私の事‥好き?‥」
「‥はい‥‥好き‥‥‥です‥」

 桃華は火煉が言葉を受け入れ易いように、ゆっくりと優しく語り掛ける。

「世界で一番‥‥好き?」
「‥‥‥いいえ‥‥‥」

 それは桃華にとって予想された反応だった。
 火煉は7歳の時に両親と死別しており、その後は叔父夫婦に引き取られる事になった、叔父夫婦との仲は良好だったのだが、叔父の実子に気を使って甘えたり依存したりする事はしなかった。
 そんな火煉にとって、ずっと母親代わりであり心の支えであった姉は去年他界していたのだ。

「じゃあ‥‥一番は‥‥誰?‥」
「霊火(れいか)姉さん‥‥です‥‥」

 実の姉の名前を口にした時、火煉は少し辛そうな顔をした。

「じゃあ‥‥一番好きな姉さんがいるから‥‥私は要らないのね‥」
「ち、ちがう‥‥霊火姉さん‥‥‥もう居ない‥‥話す事も‥甘える事も‥‥‥もう出来ないの‥‥‥うっ‥ひっぐ‥‥えぐっ‥‥うえ゛ぇぇぇぇぇぇぇぇっ」

 火煉の顔が涙でぐちゃぐちゃになる、姉の死はもうとっくに受け入れていたが、かつての身を裂くような悲しみと自分の半分を失ったような喪失感が甦り、火煉は激しく嗚咽を漏らした。
 そんな火煉に桃華は桃色吐息を吹き掛け、少し落ち着くのを待った。

「火煉‥‥私に‥‥甘えたい?‥」
「はい‥‥甘えたい‥‥です‥‥」

 桃色吐息を嗅いだ者は嘘を吐けなくなる、火煉は本心からの欲求を答えた。

「私を一番‥‥好きになってくれたら‥‥‥ずっと甘えさせてあげる‥‥どう?‥」
「‥‥えぅ‥‥‥‥う‥‥‥」

 火煉は苦しそうに呻きながら、桃華の甘言に抵抗する。

「もう二度と甘えられない姉と‥‥‥‥これからずっと甘えられる私‥‥‥‥どっちが大切?‥‥」
「‥あぅ‥‥でも‥‥それって‥‥‥嫌‥‥駄目‥‥‥もう‥‥許して‥‥」

 火煉の表情が歪む、心の葛藤がそのまま顔に表れていた。
 それでも桃華は攻撃の手を緩めない。

「私は‥‥お姉さんよりも‥‥もっともっと火煉の事を‥‥愛して‥優しくして‥甘えさせてあげる‥‥‥でも‥‥私を拒否すれば‥‥‥あなたはずっと‥‥独りぼっち‥‥‥永遠に孤独‥‥‥」
「イヤ‥‥そんなの嫌‥‥‥嫌ァァァァ」

 大粒の涙を流しながら、火煉は恐怖と悲しみが入り混じった顔を大きく左右に振る。
 火煉はきっと喪失感や寂しさから逃れる道を選ぶ、桃華はそう確信していた。

「また独りぼっちになりたいの‥‥」
「ひぐっ!‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥私が‥‥一番‥‥好きなのは‥‥‥‥‥桃華さん‥‥です‥‥‥だから‥‥私の側にずっといて‥‥私を置いて行かないで‥‥私を独りにしないで‥‥‥お願いします‥‥お願い‥‥」
 
 何か自分の中で一番大切だった太い糸がプチッと切れたような感じで火煉は放心する、だがすぐに桃華を媚びた目で見ながら、捻じ曲げられた本心を口にした。
 ついに堕ちた、そう思った桃華は徹底的に自分を刷り込む。

「そう‥‥私は火煉にとって全てだったお姉さんよりも‥‥‥もっと大切な‥‥‥世界で一番大好きで‥‥‥世界で一番大切な人‥‥」
「‥世界で一番大好きで‥‥世界で一番大切な人‥‥」
「世界で一番好きなのは‥‥‥誰?」
「はい‥一番好きなのは‥‥桃華さん‥です‥‥」
「お姉さんよりも‥‥‥好き?」
「霊火姉さんよりも‥‥桃華さんの方が‥‥好き‥」

 一段落して一息ついた桃華に、今度は火煉が話し掛ける。

「あの‥‥桃華姉さんって呼んでいいですか?‥‥‥私‥‥桃華さんの妹になりたいの‥‥」
 
 そう言って火煉はうつむきながら頬を染める、その可愛さに身震いした桃華は微笑みながら囁く。

「火煉はお姉さんの事‥‥尊敬してる?」
「はい、尊敬してます‥‥」
「妹が姉を尊敬するのは当然の事なの‥‥私は火煉にとって世界で一番大好きな姉になるのだから‥‥私の事は最大限の敬意を持って『桃華姉様』と呼びなさい‥‥いいわね?」
「はい、分かりました桃華姉様‥」

 火煉は言われた通りに、桃華を尊敬の眼差しで見つめる、口調もはっきりしており、強い意志が感じられた。
 これは桃色吐息の効果が切れたからでは無く、桃華を世界で一番大切な人と認識し心から信頼しているので、桃華の暗示を抵抗無く、むしろ積極的に受け入れている為である。
 最愛の姉である桃華に依存したい火煉にとって、姉が自分に嘘を吐いたり裏切ったりする事はありえない、あってはならない事なのだ。

 もうここまでで十分であった、後は約束通り優しく接し、姉としての気遣いを見せれば依存心はもっと上がるだろう、そうなれば桃華が捨てると脅せば火煉は何でもするようになる、たとえ仲間を裏切り人間と戦えと命じられたとしても‥‥。
 だがそれではつまらない、もっと火煉で楽しみたい、そう思った桃華は趣味丸出しで調教を続ける事にした。

「火煉‥私にあなたの綺麗な裸を見せて」
「はい‥‥‥」

 火煉は少し恥ずかしそうに微笑み、ベッドから立つとパジャマを脱ぎ始めた。
 衣類を脱ぎ終えた火煉が桃華の前に立つ、体型はスリムだが華奢という訳では無い、少し赤みがかった肌は生命力に溢れており、昇る朝日のような温かさを感じさせる。
 桃華は熱っぽい瞳で最愛の姉を見つめる火煉をベッドに押し倒した。
 その瞬間、むせ返るような桃華の体臭が火煉の鼻に吸い込まれる。

「どう火煉、私の匂いは好き?」
「え?‥‥ん‥‥‥」

 火煉は正直分からないといった顔をする。

「世界で一番大好きな私の匂いなんだから、世界で一番大好きな匂いなの、そうでしょう?」
「はい、一番大好きな‥‥匂い‥」

 そう言いながら火煉は桃華の胸に顔を埋めすーはーすーはーと鼻で大きく息をする。
 そんな火煉の胸に桃華は手を伸ばし、掌全体で捏ねながら人差し指と親指で乳首を摘みコリコリと刺激した。

「私の匂いを嗅いでると、気持ち良いでしょう?」
「はぅん‥‥‥はい‥あっ‥匂い嗅いでると‥‥気持ち良い‥‥あんっ‥桃華姉様の匂い‥気持ち良い‥‥」

 幸せそうに桃華の匂いを嗅いでいた火煉の顔が快楽に蕩け出す。
 桃華は快楽と共に歪んだ感覚を捻じ込んでゆく。

「火煉‥よく聞くのよ、良い匂いのする物は美味しい、良い匂いのする私は美味しい」
「‥桃華姉様は‥美味しい‥」
「さあ‥‥私を味わいなさい」

 そう言って桃華は自分の首へ火煉の頭を誘導する、火煉はおずおずと舌を伸ばし汗の浮いた桃華の首筋に舌を這わせた。

「レロ‥‥レロ‥‥‥ピチャ‥‥‥ペロッ‥‥ピチュ‥」

 肌触りの良い火煉の舌が桃華の首筋を這い回り、桃華に心地良い快感を与えていた。

「どう?私の汗は美味しい?」
「はい、美味しいです‥」
「汗だけでは無いのよ、私の全て、私の全ての体液が美味しいの、汗も、涙も、唾も、オシッコも‥‥全部」
「‥桃華姉様の全てが美味しい‥体液が美味しい‥」
「世界一大好きな私の味はどうかしら?」
「‥世界一美味しいです‥‥」

 嬉しそうにそして楽しそうに火煉は桃華の言葉を受け入れ、自分の真実に変える、最愛の姉を信じ依存する快楽に心と身体を委ねきっていた。
 桃華はもう夜も遅くなったので、今日の調教の仕上げにかかる。
 だが別に大事な事が残っている、桃華は真剣な表情で火煉に語り掛けた。

「とても大事な話があるの、しっかり聞いてね、私が火煉のお姉さんになった事は他の人には絶対に秘密にして欲しいの、もし他の人に知られてしまったら、私は火煉と永遠にお別れをしなければいけなくなるわ」
「そ、そんなの絶対嫌です」
「私も火煉と別れるなんて嫌、だからお願い、二人きり以外の時は今まで通り上官と部下として接してほしいの、分かった?」
「はい、分かりました‥‥桃華姉様‥」

 そう言いながらも、火煉は少し悲しそうな顔をする。

「ありがとう火煉‥‥でもその代わり二人きりの時はたっぷり甘えさせてあげる、辛いのを我慢した火煉をたっぷり可愛がってあげる」
「ああ‥‥うれしい!桃華姉様ぁぁぁ」

 火煉は明るい太陽の様な笑みで勢い良く抱きつき、桃華の顔に熱い息をかけながら頬を子犬の様にペロペロと舐めた。

「私のお願いを聞いてくれた火煉に、ご褒美をあげる」

 桃華は火煉の顔にそっと手を添えて口付けをする、そして口内に舌を突き入れ掻き回しながら唾を流し込んだ。
 至福の表情で唾を飲み込んだ火煉は、尚も唾を掻き取るように舌を動かす、お互いの口内でお互いの舌が激しく絡み合う。

「ぷはぁ‥‥‥どう?火煉、私のご褒美は‥」
「はぁ‥‥凄く美味しい‥凄く気持ち良い‥‥です」

 火煉は蕩けきった表情で答える、あまりの多幸感に目の焦点が合っていなかった。

「フフ‥‥火煉が大好きな私のお願いを聞くのは、凄く気持ち良くて凄く幸せな事なのよ」
「‥凄く幸せ‥‥私、幸せ‥‥大好きな桃華姉様の願い‥私の幸せ‥‥」

 火煉は桃華の言葉を理解し受け入れる、今の火煉はそれが楽しくてしょうがない。

「私の願いを叶えたい?」
「はい、私は桃華姉様の願いを叶えたいです‥‥何でも言って下さい、大好きな桃華姉様の為だったら何でもします」

 火煉の返答に満足した桃華は、火煉を寝かし付け枕元で囁きかける。

「夜も遅いし今日はもう寝なさい、眠たくなって来たでしょう‥」
「ふぁぁ‥‥はい‥‥もう寝ます‥‥」

 火煉は大きく欠伸をし、眠たそうに目をこする。

「火煉はこれから寝るけど、寝てる間はずっと私が来てからこの部屋であった事を頭の中で思い出すの、火煉にとって全てとも言える最愛の姉が誕生した至福の場面を思い出すのは凄く楽しい、朝に目覚めるまで自分の人生で一番大切なシーンを再生し続けるのよ、さぁ分かったら眠りなさい‥‥」
「‥‥すぅ‥‥すぅ‥‥」
「これで目が覚めたら、火煉は私の物‥」

 桃華は幸せそうに微笑みながら寝息を立てる火煉の額にキスをして、ゆっくりと身体に布団をかぶせた。

「ハァ‥‥明日はまた一日中あのセクハラ親父に付き合うのか‥‥」

 そうつぶやき自室へと帰る桃華の足取りは重かった。

 宇宙警察のマスコットキャラ「突撃一番くん」がプリントされたジャージに身を包んだ桃華は、いつになく厳しい表情で同じジャージを着た三人組を見つめる。

「これより宇宙警察逮捕術の教練を始めます、みんなは初心者だから、まずは正しいストレッチから覚えてもらいます、これを疎かにすると怪我をするので真剣にやる事、それではまず‥‥」

 宇宙警察逮捕術とは、犯罪者をことごとく殴殺する目的で作られた究極の総合格闘技である、桃華はその教員免許を持っていた。

 桃華は三人の経歴を調べた時、全員に格闘技の経験が無い事に驚いていた、しかもリーフはとても華奢で身体能力の低い、いわゆる運痴であった、こんな連中に邪帝国が負け続けたのはゴッドアルファの強大さ故である。
 ゴッドアルファが無ければ本当にただの小娘‥‥桃華はそう思った。
 邪帝国相手ではそれでも良かったのだが、宇宙警察が相手となると話は違ってくる。

 宇宙警察の誇る重犯罪者駆逐大隊「大鳳」(たいほう)内には、自分の身体を極限まで鍛え抜いた人間凶器といえる輩がゴロゴロしている、こんな奴等に一斉に掛かられたらいくら彼女達でも危険だ、しかもそれだけでは無い、同部隊大隊長で炎を操るイフリータ星人の「邪馬 火魅虎」(やま ひみこ)を筆頭に、ゴッドアルファを持つ彼女達には及ばないが、火や水を操る能力者が多数在籍していた。
 彼らは宇宙警察本部の命令があれば、宇宙のどこにでも飛んで行く、ゴッドアルファの力を得た邪帝国が勢力を拡大すれば、必ず彼らと戦う事になる。

 三人娘が高度な戦闘技術や連携を身に付ければ正に無敵、宇宙に敵う者は居なくなる。
 まだ全員を手に入れた訳では無いが、鍛えるなら早い方がいい、桃華は自分の持っている全てを彼女達に叩き込む決意をした。

 本日の訓練が終わり、自室に戻った桃華は異変に気付く、タンスの引き出しが少し開いていたのだ、中を確認するとお気に入りのショーツが一枚無くなっていた。

「まったく‥‥しょうのない娘‥」

 あのセクハラ親父が盗んだ可能性もあるのだが、桃華は別の犯人を確信していた。

 火煉は自室のベッドでピンク色のショーツを鼻に擦り付けながら自分の股間を弄っていた。

「すぅ‥はぁ‥‥んっ‥桃華姉様の‥‥匂いで‥‥オナニーすると‥‥あんっ‥気持ち良い‥‥ふっ‥こんな気持ちの良い‥‥オナニー‥‥はぁ‥初めて‥‥‥」

 快楽に顔のふやけた火煉は、鼻で大きく息を吸い、性器の形をなぞるように指を動かす。
 その時、そっと部屋のドアが開き誰かが入ってきた、だがオナニーに夢中の火煉はその事に気付かない。

「あぅんっ‥‥‥すぅ‥はぁ‥‥桃華姉様ぁぁ‥‥はんっ‥大好きいっ‥‥ああんっ‥」

 火煉の呼吸が激しくなり、指の動きも速く大きく大胆になっていく。

「あ゛っ‥イク‥イキそう‥‥あっあっあ゛っ‥ああ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん‥」

 絶叫の瞬間背筋がピンと張り、丸まった足の指がベッドのシーツを掻いた。
 快楽の余韻に浸りつつふと横を見ると、そこにはいつも一緒にいたいけど、今は会いたくない人物が立っていた。

「‥‥え?‥あ‥‥桃華‥姉様‥‥何時からそこに‥‥」

 桃華は今まで火煉が見た事も無いような冷たい目をして言い放つ。

「火煉‥その手に持っているピンクのショーツは何?まさか私の部屋から盗んだ物じゃないでしょうね」
「はうっ‥‥あの‥あのこれは‥‥その‥あの‥‥だから‥その‥‥桃華姉様‥‥ごめんなさい‥私‥‥姉様の物盗んで‥‥悪い事なのに‥‥‥ごめんなさい‥‥ごめん‥ひっぐ‥なさい‥えぐっ‥‥お願いします‥怒らないで‥‥ぐすっ‥‥私の事‥ひっく‥‥嫌いにならないでぇぇ‥うえ゛っうえ゛っ‥うえ゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~ん」

 罪悪感に苛まれた火煉は、暗く沈んだ表情で俯く、悪事を一番知られたくない人に知られ、悲しさのあまり遂には泣き出してしまった。
 桃華はしたり顔でニヤリと笑い、火煉に桃色吐息を吹き掛けてから強く抱きしめて耳元で囁く。

「‥ぐすっ‥‥‥‥はあんっ‥姉様‥」
「いいのよ、私が好きだから盗んだんでしょう?」
「はい、桃華姉様が大好きだから盗みました‥」
「私が好きだからやってしまう事は、何をしても許されるの、何をしてもいいのよ」
「好きだからする事は、何をしてもいい‥」

 桃華は自分に都合の良い方向に罪悪感の逃げ道を用意する、そして火煉は進んでその逃げ道に堕ちていった。

「火煉が私のお願いを叶えてくれるのは、私が大好きだから?」
「そうです、桃華姉様の願いを叶えるのは、大好きだからです‥」

 昨日深層意識に固定された暗示は、火煉にとって絶対の物である。

「私が大好きだから私の願いを叶えるのなら、私の願いを叶えるためだったら、何をしてもいい‥‥いや、むしろそれは正しくて、素晴らしい事なのよ」
「桃華姉様の願いを叶えるためなら、何をしてもいい‥正しくて、素晴らしい‥」

 桃華は嬉しそうに目を細めると、窓の外を指差して火煉に命令する。

「あそこの木に止まっている小鳥を殺しなさい」
「はい、桃華姉様」

 火煉は窓を開け人差し指を小鳥に向ける、そして何の躊躇いも無く能力を発動した。

「ゴッドアルファ・プロミネンスショット」

 指から放たれた火柱が、ジュッという音と共に枝ごと小鳥を蒸発させてしまった。
 これは火煉の持つ技の中では最小の物であったが、それですら凄まじい殺傷力を持っていた。

「私の願いを叶えた気分はどう?」
「正しくて、素晴らしい事が出来てとても幸せです、桃華姉様‥他に願いは有りませんか?」

 桃華の願いを叶えたくてしょうがない火煉は、次の命令をせがんだ。
 自分が命じれば何でもする忠実な下僕になった火煉を、桃華は満足気に見つめていた。

「フフ‥もういいわ火煉‥‥これからは楽しみましょう‥」

 実は先程のオナニーシーンを見て、密かに興奮していた桃華は火煉をベッドに誘う。

「もう私の部屋から下着を盗む必要は無いのよ、火煉がお願いすれば私が朝から穿いていた下着をあげる、私の匂いと味がたっぷり詰まっているの、そっちの方が良いでしょう?」
「はぁぁ‥お、お願いします、桃華姉様の下着‥下さい‥‥私‥とても欲しいです‥」

 火煉は熱い息を吐きながらおねだりする、それを見た桃華は妖艶に微笑むと、ゆっくり焦らすように赤紫色のショーツを脱いだ。

「‥‥これを何に使うの?教えて頂戴‥‥」
「‥匂いを嗅ぎます‥」
「それだけ?‥違うでしょう‥」
「‥匂いを嗅ぎながら‥‥オナニーします‥」
「もぅ‥私の体液が染み込んでいるのよ‥」
「あぁ‥‥舐めて‥しゃぶって‥匂いを嗅いで‥オナニーしますぅ‥」
「良く言えたわね、さあ存分に使いなさい‥」
「有り難うございます、桃華姉様‥はぁ‥嬉しい‥‥良い匂い‥」

 火煉は温もりの残る桃華のショーツを鼻に当て、すーはーすーはーと大きく鼻で深呼吸する、先程の洗濯済みショーツとは比べ物にならない濃厚な香りが、火煉の脳髄を直撃した。
 匂いで完全に脳が蕩けた火煉は、舌全体でショーツを舐めながら、股間の手を激しく動かす。

「あ゛っ‥はふんっ‥‥すぅ‥はぁ‥‥レロ‥ぺチャ‥はぁ‥んっ‥‥気持ち良い‥あんっ‥桃華姉様ぁ‥ふぁっ‥‥」

 火煉の痴態を楽しそうに眺めていた桃華が、おもむろに火煉の股間に手を伸ばし、人差し指でクリトリスを押しながら転がす。

「はい゛っ‥ぐあっ‥や‥やめ゛っ‥‥ね゛えさま゛っ‥やめ゛でっ‥‥あ゛っあ゛あ゛ア゛ァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん」

 火煉は突然襲ってきた強烈な刺激に耐えられず、獣の様な絶叫を上げて達してしまった。
 口からだらしなく涎を垂らし、焦点の合わない目で天井を見つめる火煉に桃華は声を掛ける。

「火煉‥大丈夫?‥‥‥しっかりしなさい、そしたらとっても良い事を教えてあげる‥」
「‥‥とっても‥‥‥良い事?‥‥」

 呆けていた火煉は、桃華の言葉を聞いて急速に覚醒する。

「そう、とっても良い事‥‥‥聞きたい?」
「はい‥聞きたいです‥教えて下さい‥」
「じゃあ教えてあげる、私の体液にはね、今まで味わった汗や唾よりももっともっと美味しい体液があるの‥‥それはここから出る液よ」

 そう言って桃華は、大きく股を開き指で綺麗なサーモンピンクの性器を広げる、火煉がオナニーをしてる間にしっかりと準備されたそこは、十分に潤っておりテラテラと濡れ光っていた。
 そんな桃華の股間を見ながら火煉は、物欲しそうな顔でゴクリと生唾を飲み込んだ。

「ほら美味しそうな良い匂いがするでしょう、私のお願いを聞いてくれる可愛い火煉にだけ特別に飲ませてあげる、どう?嬉しい?」
「私‥私だけ特別‥‥嬉しいです、桃華姉様‥‥凄く嬉しい‥」

 桃華の許しが出て、火煉はエサを与えられた犬の様に猛烈な勢いで、桃華の股間に顔を埋めむしゃぶりつく。
 甘露水の味と、湿気を含んだ濃度の濃い体臭と性臭の合わさった芳香が、火煉の脳に麻薬に似た禁断の魔悦を流し込む。

「チュッ‥クチャ‥フッ‥ピチャ‥‥レロ‥ジュルッ‥ジュルルッ‥ピチャ‥レロ‥ハフッ‥チュクッ‥‥ハァ‥ピチョ‥ジュルジュルルッ」

 火煉は愛液を音を立てて吸いながら、熱のこもった舌で桃華の秘部を蹂躙する。
 どうやったらより多くの愛液が出るか、火煉は奉仕の中で急速に学習していく、舌をすぼめて突き入れ花びらを丹念になぞる、舌を蠢かせながらさっき自分がやられたように指で豆を転がす、もう片方の手では自分の秘所を激しく愛撫していた。
 桃華は悦楽に染まった顔で喘ぎながら、自分の胸を弄る。
 
「ああんっ‥火煉‥‥本当に‥初めてなの?‥‥はんっ‥信じられない‥‥ひんっ‥すごい‥上手‥‥はひぃ‥んっ‥最高‥火煉最高よっ‥はぁぁんっ」
 
 火煉は恍惚の表情でご馳走を味わい、そして桃華もまた今まで受けた事が無い重厚な奉仕に我を忘れていた。

「あふっ‥‥いい‥もういいわ‥火煉‥もう終わりよ‥止めなさい」
「‥‥え?‥‥そんな‥‥‥はい、桃華姉様‥」

 桃華が行為の終了を望んでいる事を悟り、火煉は素直に従う。
 目には一杯の涙を溜め、今にも泣き出しそうになりながらも、必死に媚びた視線を送る。
 だが辛抱が出来なくなっていたのは、桃華の方であった。

「ごめんね‥辛かったでしょう火煉‥‥でも止めてもらったのにはちゃんとした理由があるの‥」
「理由?‥」
「それは火煉に私の身体で一番美味しい所を味わって貰いたいからなのよ」

 桃華の言葉を聞いた瞬間、火煉の泣きそうだった顔が朝日のように明るい笑顔に変わっていった。

「これから出すから、ちゃんと見るのよ‥‥‥はぁ‥はぁ‥‥ふんっ」

 桃華の気合いと共に、クリトリスがビキビキと音を立てながら肥大し、大きさも形も立派な男性器に姿を変えた。
 これはゲドーの持っていた性器と同一の物である。

「ふぅぅ‥‥どう?火煉‥‥素敵でしょう‥」
「えぇっ!どうして‥‥これって男の人の‥‥」

 火煉は目の前で起きた事が信じられず呆然とする。
 だが何があっても火煉が自分を拒否する事は無い、その事を知っている桃華は取って付けた様な理由を説明する。

「火煉を愛したい、火煉を気持ち良くさせたい、火煉と一つになりたい、と心から願っていたら生えてきたの、きっと神様からの贈り物ね、火煉も嬉しいでしょう?」
「ああ‥はい、嬉しいです‥‥私も桃華姉様を愛して気持ち良くして一つになりたい‥‥私にもおチ○ポ生えてこないかな‥」
「火煉にならきっと生えてくるわ、それよりも匂いはどう?私の身体で一番良い匂いなのよ」

 火煉はクンクンと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ、独特の性臭が鼻孔を直撃し、とたんに幸福感で顔がふやける。

「ふぁ‥‥凄い‥蕩けそう‥です‥‥すぅぅぅ‥‥はぁぁぁぁ‥すぅ‥」
「匂いも最高なら味も最高よ、さあ舐めてみなさい、きっと一生忘れられない味、魂に響く味よ」

 期待の籠もった眼差しで桃華の分身を見つめていた火煉は、ねっとりと根元から亀頭にかけて舌全体を這わせた後、ペロペロと亀頭を舐め始めた。

「はぁぁぁぁ‥‥クチャ‥ピチャ‥美味しい‥‥レロッ‥ペロッ‥美味しくて‥チュクッ‥堪りません‥ピチョッ‥クチュ‥桃華姉様ぁ‥‥」
「愛しい火煉‥これから私と火煉は一つになるの、そして本当の姉妹になるのよ、私と一つになるのは究極の快楽にして最大の幸福、私の可愛い火煉‥今こそ最愛の人に全てを差し出し全てを受け入れなさい」

 火煉は嬉しそうな幸せそうな笑顔でゆっくり頷くと、股を大きく広げて指で花弁を開き腰を浮かせた。
 桃華は鎮痛作用をブレンドした桃色吐息を優しく吹き掛けると、火煉の涎液で濡れ光った薄いピンク色の肉棒を、愛液でふやけてぷっくりと膨らんだ、鮮やかな深紅のヴァギナに突き入れた。

「あ゛ひっ‥あ゛あ゛っ‥‥桃華‥姉様‥う゛あっ‥好き‥大好きぃ‥‥あお゛っ‥心の底から‥ひい゛っ‥‥魂から‥愛してますぅぅ‥ひぎぃ‥私の‥私だけの‥あぐぅ‥桃華ねえざま゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ハッ‥ハッ‥これで‥‥火煉は‥‥心も身体も‥フゥ‥‥私の物‥よっ‥ハァ‥ハァ‥イキそう‥アァン‥イク‥私も‥火煉と一緒に‥‥ハアアァァァァァァァァァァァァァァンン」

 桃華はうねうねと凄まじい軌道で腰を振り、火煉の腰を激しく突き上げる。
 火煉の膣内は熱く膣圧は高い、桃華は肉を掻き分け肉に包まれる感覚に酔いしれた。
 涙と鼻水と涎でぐちゃぐちゃに濡れた顔を狂ったように振り回して、桃華への愛を誓いながら火煉は圧倒的な快感と幸せの中で絶頂に達する。
 桃華もまた火煉の肉体がもたらす至高の快楽に耐えられず、火煉とほぼ同時に達してしまった。

「ビュクッ‥ビュククッ‥ドクン‥ドクン‥」

 桃華は火煉の膣内に大量の液を放出する、だがこれは精液では無く、ある特殊な薬液であった。

「はぁ‥はぁ‥‥桃華姉様‥‥私‥‥幸せです‥」

 快楽の余韻に浸りつつ、火煉は至福の表情で桃華を見つめる。
 そんな火煉に対し桃華もまた熱の込もった視線で見つめ返すのであった。

「どう?私と一つになった気分は‥最高だったでしょう‥‥心と身体が繋がって、私達は本当の姉妹になったの‥‥もう私と火煉は一心同体、私の喜びは火煉の喜び、私の悲しみは火煉の悲しみ、そして私が仕える主は火煉の仕える主よ‥‥私が全てを捧げて忠誠を誓う御方に火煉も全てを捧げて忠誠を誓うの‥‥いいわね?」
「はい、桃華姉様の仕える主は私の仕える主‥私はその御方に全てを捧げ忠誠を誓います‥‥」
「これで私と火煉は本当の姉妹になったのだから、今からあなたは『御蓮寺 火煉』よ、昔の名前は捨てちゃいなさい」
「あぁ‥桃華姉様と同じ名前‥嬉しい‥‥暁なんて名前もう要りません、私は今日から『御蓮寺 火煉』です」

 実の姉が聞いたらどう思うかしら?桃華はふとそんな事を考えた。

「これから私はアービスとリーフを洗脳して奴隷に作り変えるわ、それを火煉にも手伝ってほしいの‥‥やってくれる?」
「はい、もちろんです桃華姉様」
「それは仲間を裏切る事になるけど、それでもいいの?」
「はい、桃華姉様の願いは全て正しくて、素晴らしい事‥‥桃華姉様の願いを叶えるのは私の幸せ‥‥桃華姉様の喜びは私の喜びです‥」
「ありがとう火煉‥嬉しいわ‥」

 桃華は前と同じ要領で火煉を寝かし付け、耳元で囁く。

「さあ火煉‥もう寝なさい‥そして寝てる間は‥‥‥‥‥‥‥‥」

 その日の訓練プログラムも全て終了し、桃華は自室の端末で三人の連携攻撃に関するシミュレーションを行っていた。
 そういえばもうそろそろあの薬が効いてくる頃かな?と思っていると、コンコンと部屋のドアがノックされた。
 こんな時間に桃華の部屋に来るのは一人しかいない。

「火煉でしょう?いいわよ、入りなさい」
「はい、桃華姉様‥‥失礼します」

 そう言って、少し変な足取りでパジャマを着た女性が部屋に入って来る。

「桃華姉様見て下さい、私にも‥私にもおチ○ポ生えてきたの‥‥‥これで桃華姉様と一緒、これで桃華姉様を愛する事が出来る‥‥」

 陶然とした笑みで桃華を見つめる女性の股間には大きなテントが張られていた。

「あなた‥‥‥誰?」
「え?そんな‥私です‥火煉です‥‥‥桃華姉様‥意地悪言わないで‥」

 涙目になりながら懇願する彼女の姿は、火煉の物とは大分違っていた。
 大人びた顔に腰まで伸びた赤い髪、スラっと伸びた手足にパジャマに押さえられて窮屈そうな胸、そして身体全体に漂う熱気を帯びたオーラ。

「ちょっとこっちに来なさい‥」

 桃華は火煉の手を引いてバスルームに連れて行く、そこで鏡の前に火煉を立たせた。

「嘘‥これが‥‥私?‥‥」

 火煉はまるで別人になった自分の姿に驚きながら、頬を赤らめてまじまじと鏡を見つめる。

「綺麗‥‥」

 そうつぶやきうっとりとした火煉は、自分の姿をもっと良く見るためにパジャマを脱ぎ始める、すると上衣を脱いだ途端押さえられていた胸が飛び出した。
 輝くような光沢を放つ真紅の長い髪、流麗な切れ長の目にルビーのように美しい瞳、細く伸びた鼻と口は刀身の様な鋭利な美貌を印象付ける。
 形が良く豊満で柔らかい胸、くびれた腰に肉感あふれるヒップ、その艶めかしいボディから伸びる長くて肉付きの良い手足。
 それは燃える炎のような美しさを持つ裸身であった。

「一体‥‥どうして‥」

 自分の美貌に感動している火煉を他所に、桃華は考えに耽る。
 たしかに昨日桃華は、自分の遺伝情報が入った肉体改造薬を火煉の膣内に打ち込んだ。
 だがそれは桃華の持つ男性器と老化抑止器官のコピーを火煉の体内に生成する機能しか持っていない。
 男性器は自分が楽しむのと調教の助手となる火煉に武器を与える為、老化抑止器官は邪皇帝に永遠の忠誠を誓えるようにする為の物である。
 桃華の精製する肉体改造薬にあそこまでの変化をもたらす力は無い、そもそも肉体改造薬には桃華の遺伝情報を元に器官のコピーを作り出す以外の能力は無いのだ。

「まずいわね‥‥‥どうしましょう」

 今の状況は桃華にとって非常に不味い物であった。
 外観の大きく変わった火煉を男打が見れば必ず原因を調べるはず、そうなれば少なくとも男性器からは桃華の遺伝情報が入った肉体改造薬が検出されるだろう。
 それを防ぐには火煉を今すぐ邪皇帝の下へ送り、行方不明者として扱うしかない。
 着任早々のメンバー失踪、桃華に疑いの目が向けられるのは避けられない事であった。

「火煉‥‥元の姿に戻れる?‥‥」
「はい、たぶん‥‥やり方はゴッドアルファ・コアが教えてくれます‥」
「ゴッドアルファ・コアが‥‥何で‥‥」

 何でここでゴッドアルファ・コアが出てくるのか?疑問に思った桃華の頭にある仮説が浮かぶ。
 もしかしたらゴッドアルファ・コアが火煉の体内に入った肉体改造薬の遺伝情報を書き換え働きを強化したのではないか。
 目的は火煉の身体をゴッドアルファ・コアにとって都合の良い物に作り変える為。
 つまりゴッドアルファの力を100%引き出せる身体、ゴッドアルファを使いこなすのに有利な身体に。
 確認の方法が無く憶測の域を出ないが、火煉の変化にゴッドアルファ・コアが関係しているのであれば、十分にありえる話である。
 ゴッドアルファにはまだ謎の部分が多い、桃華はもう安易に肉体改造薬は使えないなと思った。

 火煉は目を瞑り胸に手を当てて気を練る、暫くして胸部の中心にあるゴッドアルファ・コアが輝き出し、火煉の身体が変化してゆく。
 豊満だった胸が縮み、長く伸びた手足が縮み、長く紅かった髪が短く黒くなり、大人びた美しい顔が愛らしい顔に変わり、瞳の色も紅から黒に変わった。

「ふぅ‥‥桃華姉様、終わりました」

 そう言って微笑む火煉は、以前の火煉と全く変わらない姿をしていた。

「良かった‥‥‥火煉、さっきの姿には私が良いと言うまで絶対になっては駄目よ、分かった?」
「はい、分かりました、桃華姉様が良いと言うまで私は『変身』をしません‥」
「変身?‥‥フフ‥そうね、変身ね‥」

 恐らく火煉が毎週欠かさず見ている「スター☆リン」とか言うアニメの影響だろう、桃華はそう思った。

「さて‥火煉は何をしに私の部屋に来たのでしたっけ?」
「あれ?‥‥‥‥‥あっ!桃華姉様に私のおチ○ポ見て貰いたくって‥その‥」 
「あら‥‥見て貰うだけで良いの?‥」
「‥いや‥‥あの‥その‥」

 火煉は赤い顔で俯きながら、オシッコを我慢するような仕草でもじもじする。

「じゃあたっぷり見てあげる‥私のベッドへ行きましょう」
「あ、はいっ‥‥‥‥」

 部屋の隅にあるピンクのシーツが掛かったベッドに、桃華は腰を降ろしスレンダーな足を淫猥に絡ませるようにして組んだ。
 桃華の体臭が染み込んだベッドの匂いと、色香溢れる桃華の仕草にすっかり参ってしまった火煉は、先程と同じ仕草のままで立っていた。

「さぁ‥火煉‥‥見せてみて‥」

 桃華は甘く優しい声で火煉に行動を促す。

「‥はい‥‥‥‥ふぅぅ‥‥‥んっ‥」

 股間に気を集中させながら気合いを入れていた火煉の赤い淫核が急速に肥大する、直ぐにそれは大きなカリ首をもつ巨棒に形を変えた。

「まぁ‥‥素敵よ‥火煉‥」

 うっすらと火照った顔をした桃華が優しい笑みで火煉に近付く、膝を突きビクビクと脈打つ分身に熱い息を掛けながら、白くしなやかな指でそっと肉棒を握ると、ゆっくりと上下させる。
 今まで感じた事の無い強くて不思議な快感に、火煉は腰を引きながら苦悶の表情で激しく喘ぐ、だがその声は小鳥が囀る様な可愛らしい物だった。

「フフ‥‥火煉の分身はとても強くてとても可愛いわ‥主と同じね‥‥私がこの可愛い分身に名前を付けてあげる‥今からこれは『火煉棒』(かれんぼう)よ‥‥これからたっぷり可愛がってあげる、愛しい火煉の分身『火煉棒』‥」 
「はっ‥はいっ‥火煉棒‥はぁ‥気持ち良い‥‥あっ‥桃華‥姉様‥あんっ‥‥私‥分身‥はぁ‥名前付け‥‥ありがと‥はんっ‥‥ござい‥ます‥あぁんっ」
 
 桃華は火煉棒を握った手をリズミカルに動かしながら、舌を別の生き物のように蠢かせ変形させて亀頭部分を丹念に舐め回す、もう片方の手は火煉の花弁を円を描く様に刺激していた。
 そして遂に火煉棒が膨張して脈動が止まった瞬間、大噴火が起こった、大量に出た白濁液は、予兆を察知して受け止めようとした桃華の口には入り切らず顔と胸元を汚す、桃華は蕩けた顔で嬉しそうに笑うと口の周りにある残りを指ですくい舐め取った。
 火煉は小刻みに腰を痙攣させた後、魂を抜かれたような開放感と脱力感に腰が抜けてしまい、力無く床に座り込んでしまう。

「今日は昨日と全く逆、今度は私が火煉棒に奉仕をして、火煉が火煉棒を使って私を貫くの、これからは愛して愛されるのよ、さぁまた一つになりましょう」

 まだ立てないでいる火煉に回復作用をブレンドした桃色吐息を吹き掛けると、抱き抱えてベッドまで連れて行き、そっと上に乗せた。
 少し回復したのか火煉が桃華に抱きつき首筋に熱い息を掛ける、そんな火煉に桃華は触れるだけの軽いキスをすると、顔を股間の方へ持って行き、力を失って半起ち状態の火煉棒を根元まで口に含み口内全体で圧迫しながら頭を前後に揺らした、火煉棒はすぐに硬さと力強さを取り戻し反り返る。
 それから桃華と火煉は朝日が昇るまで激しく愛し合った。

 訓練終了後、リビングで寛ぎながらテレビを見ているアービスとリーフに火煉が上機嫌を装い話し掛ける。

「ねぇみんな、私最近トレーニングが終わったら桃華さんにマッサージして貰ってるんだ、凄く気持ち良くてリラックス出来るの、次の日の朝もスッキリして疲れが残らないんだ、みんなもやってみない?」
「‥‥‥オルガスムス並に‥‥‥気持ち良いのか?‥‥‥‥」

 また訳の分からない事を言っているアービスを放置して火煉は話を続けた。

「訓練後の身体のケアはとても重要なんだって、最近ずっと私が絶好調なのもマッサージのおかげだよ」

 たしかにここ数日の火煉の集中力と上達速度は異常だった、桃華の教えを乾いたスポンジの様に急速に吸収していくのである。

「副指令にそんな事をさせる訳にはいきません、やっぱりそういうケジメは大事だと思うの」
「そんな上下関係を気にするような人じゃ無いよ」
「副指令が気にしなくても、私が気にするんです」

 リーフの完全な拒否、取り付く島も無いといった感じだった。
 もうこうなっては説得は不可能である、しょうがないので火煉はアービスに目を向ける。

「‥‥‥性感マッサージか?‥‥‥」
「そ‥そんな訳無いでしょう、普通のマッサージだよ‥」

 アービスの一言にギクリとした火煉が慌てて否定する。

「‥‥‥‥残念‥‥‥」

 結局アービスにも断られた火煉は作戦の遂行を断念し、リビングのテレビに映るアニメ番組「正義の赤魔法少女スター☆リン」を見ながら二人と談笑するのであった。

< 続く >

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