後編
レオノーレと亮司が誘拐されてから、一週間後。
自宅で半ば放心状態だった蓮華の元に、レオノーレが見つかったという連絡がきた。
「……!」
蓮華は焦る心そのままに、レオノーレを保護した警察署へと向かう。
そして、やつれ、汚れてはいるものの、紛れもない姉の姿を見つけた。
「蓮華……」
レオノーレは蓮華の姿を認めると立ち上がり、蓮華に近づく。
「亮司さんが……」
そう言って、泣き崩れた。
泣きじゃくるレオノーレの話を聞く。レオノーレ達は誘拐された後、敵の施設へと連れ去られたらしい。そこで話すこともおぞましい人体実験を行われ続けたという。最初はそれなりの人数の捕虜が居たのだが、一人、また一人と精神や肉体に異常をきたしていった。壊れた人間はどこかへ連れ去られ、二度と戻ってくることはなかったという。
そこで、亮司が一計を案じ、実験へ連れて行かれる一瞬の隙をついて、亮司やレオノーレを含めた体力に自信がある数人が脱走を企んだ。しかし、当然のごとく激しい妨害に遭う。段々と数が減っていく中で亮司はレオノーレを守り続け、ようやく出口といったところで追ってきた敵を足止めするためあえてレオノーレと別れたのだという。それからもレオノーレは夢中で走り続け、気がついたら一人で警察署の近くの公園に佇んでいたらしい。
亮司が自分を助けてくれたことは嬉しかったが、それよりも脱走して捕まったとなればどんな酷いことをされるか分からない。しかし、施設の場所はおろか手がかりすら持って帰ることが出来ず、このままでは亮司を始めとした人達は助けられない。そんな自分があまりにふがいなく、また亮司が心配で堪らない。
そう言って泣き続けるレオノーレを見て、蓮華の中に怒りの炎が燃え上がった。
医師の診断の結果健康状態にも異常がないということがわかり、施設などについて記憶している限りの調査を受けた後、レオノーレは自宅へと帰ることを許可された。
「姉さん……。まだ、諦めちゃ駄目だよ。それに、亮司さんも姉さんを助ける為に頑張ってくれたんでしょう? 亮司さんを助ける為にも、頑張ろう?」
蓮華は、落ち込むレオノーレに寄り添い、なんとか励まそうとする。
「ありがとう、蓮華……」
しかし、レオノーレの涙は止まらない。そんな日が、二、三日続いた。
何の改善策もなく途方に暮れる蓮華に、ある日、レオノーレはぽつりと言った。
「……ねぇ、蓮華」
「! どうしたの、姉さん?」
その声にいつもとは違う真剣なものが含まれていることに蓮華は気付いた。
「……実は、署の人達にも言っていないことがあるの」
「……!」
「蓮華には、話すわ……。だから、リビングに行きましょう」
場所をリビングに移し、二人は向かい合って座る。レオノーレがいつものように茶を淹れる。蓮華がやろうとしたが、「仕事をした方が気が休まるから……」というレオノーレに何も言えず、甘んじて任せることにする。
茶を飲みながら、レオノーレの独白が始まった。
「実はね……施設に入れられてから、私も実験に使われたの」
「……! でも、お医者様は何もなかったって……」
「そうね、数値の上では……。でも、紛れもなく、私は改造されてしまったの」
「っ! い、一体、どこが……!」
蓮華は感情の昂りに任せて立ち上がろうとした。
途端、身体を襲う浮遊感。
手足の感覚が急速に遠ざかり、蓮華は自分の意志とは関係なく床に倒れ臥した。全身を痺れが支配する。
「な……! なに、これ……!?」
「……ようやく効いてきたみたいね。やっぱり、ライガーロードだけあって効きにくいのかしら」
蓮華は、レオノーレの口から出た言葉に目を見開く。
「姉さん……!? なにを、言って……」
「私に黙ってヒロインをやってたなんて……。姉妹そろって似た者同士、ということなのかしら」
気を抜けば遠ざかりそうな意識を奮い起こし、蓮華は口を無理矢理動かす。
「な……んで……」
「言ったでしょう? 改造されたって。私がされたのはね、脳改造。イグバロッハ様に忠誠を誓う肉人形に改造されたのよ」
「……!!」
レオノーレの言葉が信じられない。しかし、姉に毒を盛られたという現状が、蓮華に『姉は敵だ』とこれ以上なく示している。
「……! ライ……!」
「あら、私が死んでもいいの?」
変身しようと虎獅子を呼ぼうとした蓮華の声が、レオノーレの言葉により止まる。
レオノーレは満足そうに頷くと、蓮華の傍に近づき、スカートをめくった。そして、躊躇うことなくパンティーを下ろし、秘所を開いて見せつける。
ピンク色の粘膜の奥に、何か筒状の機械が見えた。
「ほぉら、爆弾。蓮華が変身したらこれで自爆するように、イグバロッハ様に命令されているの」
「……そん……な……!」
蓮華の顔が絶望に染まる。
「ねえ、蓮華。私が大事よね? たった一人の家族だもんね? もう、失いたくないわよね?」
「……ねえ……さ……」
「大丈夫よ、蓮華。一緒に、イグバロッハ様の肉人形になりましょう? 自分で何も考えなくていいのって、とても素晴らしいわよ?」
「……ぐ……あ……」
楽しげに語りかけるレオノーレを見て、蓮華の目に涙が浮かぶ。どうすることも出来ず、ただ変わってしまった姉を見つめるしかない。
絶望とともに、意識が遠のいていく。
「ねえ、さん……だ、め……」
「心配しないで、蓮華。肉人形になっても、あなたは私の大切な妹よ?」
最も、イグバロッハ様が命じれば簡単に殺すけれど。
そう言うレオノーレの言葉を最後に、蓮華の意識は暗転した。
Λ
軽い頭痛を覚えながら、蓮華は目を開く。
飛び込んでくる光量に目を細めながら、蓮華は未だはっきりしないまま周囲を見回した。
「……な……!」
拘束されている。その事実が分かった途端、蓮華の意識は急激に覚醒する。
どうやら台のようなものの上に拘束されているようだ。
そこまで認識したところで、目覚める前にあった出来事が瞬時に思い出されてきた。
そうだ、自分は、姉さんに。
蓮華は歯噛みした。姉を助けることもできず、おめおめと捕まってしまった。
(とにかく、今は脱出を考えないと……)
そう思い、周りを注意深く見回す。
立方体の部屋だ。その中心に備え付けられた台に、蓮華は拘束されていた。正面には扉が一つ、窓はない。通気口のようなものがあればとも思うが、それも見当たらない。小さい穴は所々見つかるため、おそらくはそれが換気を担っているのだろう。人は通れそうもない。
どうしようかと思案していると、目の前の扉が開いた。
入ってきたのは、白衣を着て、顔半分を機械に覆われた男。ドクトル・イグバロッハだった。
「目が覚めたようですね。気分はどうですか?」
「……最悪ね」
「それは残念」
イグバロッハは殺意を込めた蓮華の言葉にも、軽く肩をすくめるだけだ。
「まあ、大方想像がついているかとは思いますが。これからあなたを改造します」
「……姉さんを」
蓮華は絞り出すように言った。
「姉さんをあんな風にしたのは、あなたなのね」
「はい、そうです」
イグバロッハが答えた途端、蓮華の殺気が膨れ上がった。
「おおっと。わかっているとは思いますが、変身すると貴方の姉が死ぬことになるので、気をつけてくださいね。まあ、それでも良いというのなら別に止めはしませんが」
「この……外道が!」
「良く言われますよ」
イグバロッハは蓮華の罵倒を気にもとめず、懐から取り出したタッチパネルを操作する。
「では、早速始めて行きましょう」
イグバロッハの声に反応するように、天井の一部が開き、そこから先端に針を持ったいくつもの機械の触手が降りてきた。
触手は、その先端についた針を、次から次へと蓮華の肉体に打ち込む。
耳朶、首筋、胸、二の腕、背、脇腹、臍、尻、陰部、陰核、太腿、足裏。
余すところなく、触手の先端が食い込んでいく。
「ぐぅっ!!」
「ああ、痛かったですか? それは申し訳ない。でも、大丈夫。すぐに良くなりますよ」
「何を……っ!?」
イグバロッハの言葉と同時に、触手が大きく脈動する。二度、三度と。
それにより蓮華の体内に流れ込んだ液体が、蓮華の体中に染み渡る。
「この……! 一体、何を打ち込んで――――」
一瞬。
蓮華の、時が止まった。
「――――ああああああああああああああっ!!??」
次いで、絶叫が喉から迸った。
熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!
「うああああああああああああっ!! あああああああっ!!!」
まるで全身を焼き焦がされたかのような、圧倒的な。
快感だった。
「やはり、思った通りでしたね。強化していなければ、その肉体は普通の人間と変わらない。これで、心配なく改造ができますね」
イグバロッハが何かを言っているが、全く耳に入らない。
蓮華は、自分の身体を襲う初めての快感に抗おうとするのに必死だった。
「その液体は、あなたの性感帯を増やし、極限まで高めます。また、滋養に優れているので、それさえあれば何も飲まなくても大丈夫ですからね。そして、これが……」
イグバロッハはタッチパネルを操作すると、天井から降りてきたヘッドギアが、蓮華の頭にかぶさる。目まで覆うデザインのそれにより、蓮華の視界が閉ざされる。
更なる操作により、ヘッドギアに内蔵されたいくつもの電極針が蓮華の脳に打ち込まれた。
そして、改造が始まる。
「ぐああああああっ!」
「最初は痛いでしょうが、少し我慢してくださいね。なにせ、今までの貴方を文字通り消すんですから」
「なに、を……ああああああ!」
電極から、情報が直接蓮華の脳へと流し込まれていく。
「まずは、私に対する絶対的な忠誠」
『イグバロッハ様は蓮華のご主人様』
『蓮華はイグバロッハ様のペット』
『イグバロッハ様のお言葉は絶対』
『イグバロッハ様の幸せが蓮華の幸せ』
『蓮華に人権はない』
『蓮華はイグバロッハ様に遊ばれるだけの存在』
「そして、私好みの雌になるように」
『蓮華はイグバロッハ様に弄ばれると快感を感じる』
『蓮華はマゾ』
『蓮華はみっともないことが大好き』
『蓮華はちんぽが大好き』
『蓮華は淫乱な雌』
『蓮華はいつも発情ばかりしている』
『ちんぽを突っ込んでもらうことが生き甲斐』
『ちんぽの匂いを嗅ぐだけで絶頂する』
『蓮華はちんぽの為ならなんだってする最低の雌』
「こういった情報を、手を変え品を変え、バリエーション豊富によーく刷り込みますからね。楽しみにしていてください」
「ぎ、さまぁ……! ぐああ、ち、ちんぽ……違う、そうじゃ……私はペット……ああああ!」
「抵抗してもいいですよ。それだけ、改造が深まりますからね」
イグバロッハは目の前で身体を痙攣させる蓮華を楽しげに見て、嗤う。
ぷしゃっ! という音とともに蓮華が潮を吹いた。ヘッドギアが情報とともに絶対的な快感を叩き込んでいるのだ。
薬剤の投与によって極限まで高められた身体は、面白いように快感を増幅し、蓮華の脳を壊していく。
「うあああああ! ちんぽ大好き、違う、好きじゃない、めす、ちんぽ、ちが、私、ぺっと、うああああ!」
「ま、頑張ってください。それじゃ、完了したらまた来ますから」
「ま、までぇ! 殺す、ご主人様は殺す、違う、ご主人じゃ、ペット、私はペット……じゃない、ちんぽが大好き、コロスゥゥ!!」
痙攣し、股間から噴水のように潮を吹き続ける蓮華を尻目に、イグバロッハはその場を去っていった。
Λ
一週間後。
イグバロッハは再び蓮華を拘束している部屋へとやってきた。
扉を開けた瞬間むわっと香る淫臭に、イグバロッハの口角が上がった。
蓮華を拘束している台は、蓮華から出た汗や愛液、そして尿で凄いことになっている。そして、その上で蓮華は荒い息を繰り返していた。
イグバロッハがタッチパネルを操作すると、蓮華の頭に被さっていたヘッドギアの信号が止まる。次いでヘッドギアが外れ、また体中に打ち込まれていた針も天井へと戻っていく。最後に拘束が外れ、蓮華は自由になった。
「蓮華」
イグバロッハが声をかけると、蓮華は閉じていた目をゆっくりと開いた。そしてその視線がイグバロッハを捉えると、途端に顔が笑みの形に崩れた。
「蓮華、私のことがわかりますか?」
「……はい」
蓮華は台にから起き上がり、イグバロッハを熱の籠った目で見つめる。そこには、かつてあった憎悪も、正義の輝きもない。
「では、自分が一体なんなのか、説明しなさい」
「はい、わかりました」
蓮華はそう言うと台から降り、両手両足を曲げて仰向けに寝転び服従のポーズを示すと、宣言した。
「私、蓮華・ブルムハルトは、イグバロッハ様の肉人形であり、ペットです。イグバロッハ様に喜んでもらうためだけに存在し、その為ならどんなことでもする、惨めな雌です」
躊躇うことなくそう言い切る蓮華、その顔は自分を卑下することにより発情していた。
「おや。これでは、勇敢な虎獅子というよりも、もはや発情したメス猫ですねぇ」
「にゃ、にゃあーん……」
イグバロッハの言葉に媚びるように鳴き声をあげる蓮華を見て、イグバロッハは満足そうに頷く。
「ふむ。では、改造の具合を確かめてみましょう。蓮華、ここに来て土下座をしなさい」
イグバロッハの言葉を受け、蓮華は辛抱堪らないといった風に急いで起き上がると、イグバロッハの眼前に土下座をした。
「これでよろしいでしょうか?」
「ふむ……」
イグバロッハは考える振りをしながら、蓮華の頭を靴で踏みつける。蓮華は甘い声を上げた。イグバロッハの行い全てが快感に繋がっているのだ。
「では、私の靴の裏を舐めなさい」
「わかりました。では、失礼致します」
蓮華はそう言うとイグバロッハの足を恭しく両手で持ち、その裏に舌を這わせる。
何のためらいもなく行動する蓮華の姿に、イグバロッハは己の勝利を確信した。もはや、目の前に居るのは恐るべきライガーロード・ラムダではない。ただの発情したメス猫である蓮華だ。
イグバロッハは得意げに嗤うと、ズボンのチャックを開け、性器を露出した。それを目にした蓮華の目の色が変わる。『蓮華はちんぽが大好き』から始まる一連の刷り込みが、蓮華を猛烈な発情状態へと移行させたのだ。
「ご奉仕ですか!? イグバロッハ様が望むのなら、どうぞこの私をお使いください!」
「それも魅力的な案ではありますがね。それより、少し催してきてしまいましてね」
イグバロッハがそう言うと、蓮華の顔が喜びで輝く。
「でしたらどうぞ、この便器をお使いください! ありがたく飲ませていただきます!」
「おや、いいんですか?」
「はい、喜んで! あ~ん……」
自分の口内に放尿してもらうのを今か今かと待ち構える蓮華に向け、イグバロッハは躊躇なく放尿する。アーチを描いて飛んだ小水は蓮華の口の中へと注ぎ込まれ、じょぼじょぼという下品な音が響く。
「んぐっ、んぐっ、んぐっ……」
注ぎ込まれる小水を嬉々として飲み込む蓮華だが、いかんせん嚥下の速度に比べて量が多い、完全には飲みきれずいくらかを零してしまう。
イグバロッハが放尿を終えると、後始末とばかりに蓮華はイグバロッハの性器に口をつけ、尿道に残っているものを吸い取るようにして掃除をして、性器をズボンの中に丁寧に仕舞った。そして、自分が床に尿を零してしまったことに気がつくと、即座にその場で床に舌を伸ばし、尿を舐めとっていく。
その惨めな姿に満足し、イグバロッハは指を鳴らす。すると扉が開き、首輪を手に持ったレオノーレが入ってきた。
「あらあら、蓮華もイグバロッハ様のペットになれたのね」
そう言って嬉しそうに笑うレオノーレは、その首にはめられた首輪と両乳首のピアス以外何も身につけていない。下腹部には「便器」とマジックで書きなぐられており、人間の尊厳など何処にもない格好をしている。
「ほら、蓮華。イグバロッハ様からプレゼントよ」
レオノーレは手に持っていた首輪を蓮華に着ける。そして掃除が終わった蓮華と一緒にイグバロッハに向けて土下座をした。
「私たち姉妹は、イグバロッハ様に永遠の忠誠を誓います」
「どうかイグバロッハ様のお気の済むまで、お好きなようにお使いください」
「よろしい。では、行きますか」
イグバロッハは姉妹の服従宣言に満足そうに頷くと、取り出した二本の鎖をそれぞれ二人の首輪に着け、それを引っ張って歩き出した。
二人はイグバロッハの意図を汲み取り、四つん這いでその後を追う。
連れられて行った先は、収容施設のような所だった。個別に区切られた檻の中に、それぞれ人間が入れられている。中には二人の顔見知りの姿も何人か見えた。全裸で首輪を曳かれ四つん這いで歩く二人の姿を見た人々は驚いたように声を上げ、中には必死で話しかける人間も居るが、二人は全く居に介すことなくイグバロッハに引っ張られて進んでいく。
イグバロッハは、一つの檻の前で立ち止まる。その檻の中には、亮司が収容されていた。髪の毛も乱れ髭も伸び、元のさわやかな姿とはかけ離れてしまっている。
足音に気付いた亮司は外へと顔を向ける。と、二人の姿を確認し、駆け寄って柵に手をかけた。
「二人とも! 俺だ、亮司だ!」
亮司は、必死に自らの存在を二人に向けて主張する。そして二人が全裸で四つん這いになったまま鎖につながれ、その鎖を持っているのがイグバロッハであることに気付くと、半狂乱になって叫びだした。
「どうしたんだ二人とも!? そいつは敵だろう!? 何をやっているんだ!」
「二人は私のペットになったんですよ。どうです、婚約者とその妹の新しい姿は?」
「ふざけるな! お前が二人に何かしたんだろう! 早くその手を……」
「黙りなさい」
「うるさい」
二人を解放しろと迫る亮司の言葉は、その二人によって遮られた。
「え……」
「イグバロッハ様に向かって、そんな口を聞かないで! いくら婚約者といえども怒るわよ! ……あ、そう言えば『元』、だったわね」
「そうね、姉さんの言う通りよ。キャンキャン怒鳴らずに、少しは黙ってください」
「そん、な……」
呆然となる亮司を馬鹿にしたように眺め、二人はイグバロッハに向けてチンチンのポーズを取る。
「イグバロッハ様、この馬鹿な元婚約者に現実を教える為にも、どうかこのメスにご奉仕をお命じください」
「私からもお願いします、イグバロッハ様」
「ふむ、いいでしょう。では、しゃぶってもらいましょうか」
イグバロッハはそう言って腰を突き出す。二人は嬉しそうに笑い、口だけを使って器用にチャックを開け、イグバロッハの一物を取り出す。
勃起したその肉棒に二人で舌を這わせながら、二人は目を蕩けさせる。
「ああ、凄い……イグバロッハ様のおちんぽ様、最高……。あの男とは、比べ物にならないわ……」
「え、そうなの、姉さん?」
「そうよ。あいつったら小さいし、すぐに出しちゃうし、一回出したらそれでおしまいだから、全然満足できなかったのよ」
「へぇ、そうだったんだ。言ってあげればよかったのに」
亮司を馬鹿にする言葉を口にしながらも口の動きは休めず、イグバロッハの肉棒を刺激していく。姉妹ならではのコンビネーションか、息の合った奉仕だ。
「ふむ、なかなか良いですよ」
「ありがとうございます! ……では、こういうのはどうですか?」
蓮華がそう言うと、二人はその豊満な胸を肉棒へ押し付けた。合計四つの膨らみがイグバロッハの肉棒を包み込む。イグバロッハは思わず呻いた。
「これは……素晴らしいですね」
「ありがとうございます。では、続けますね」
イグバロッハの言葉に顔を上気させ、二人は胸と口を使い肉棒へ快感を与え続ける。美人姉妹によるパイズリフェラという行為に興奮したのか、いつもより早くイグバロッハに限界が訪れた。もとより我慢するつもりもないのだろう、躊躇なく射精することを告げる。
「……! 出ますよっ!」
「はい、どうぞ私たちの顔に掛けてください!」
「思う存分、私たちを染めてください!」
「……うおおっ!」
肉棒が脈動し、先から大量の精液が飛び出して二人の顔中に降り注ぐ。イグバロッハの精液を浴び、二人は身体を痙攣させた。絶頂したのだ。
二人は顔にかかった精液を指ですくって口に運び、またお互いに顔を舐め合って全て嚥下する。
「ふう……よかったですよ、二人とも」
「ありがとうございます!」
「お役に立てて、なによりです!」
満面の笑みで喜ぶ二人を眺めながら、一人亮司は涙を流す。少し前まで在ったはず、そしてこれからも続いていく筈だった幸せが、跡形もなく崩れていく音を聞いた。
「さて、ではそろそろ戻りますか。最後に、そこの男に何か言っておきますか?」
「いえ、問題ないです、イグバロッハ様」
「それより、早く戻りましょう。私……もう、我慢できなくなってきちゃいました」
「……レオノーレ……蓮華ちゃん……」
無慈悲に切って捨てられた亮司は、もはや届かない二人の名前を呟いた。しかしその呟きは次なる期待へ興奮している二人の耳には届かず、ただ虚空に消えるだけだった。
イグバロッハの自室へと戻った三人は、一直線へベッドへと向かった。
「さて……これから、蓮華を犯そうと思いますが、どうですか?」
「……! ありがとうございます! 光栄です!」
蓮華は驚喜する。もはやその顔に、かつて在った誇りはない。浅ましく主人の肉棒をねだるメスに成り果てた蓮華を見て、イグバロッハは笑う。
「しかし、ただ犯すというのも趣がありませんねぇ……」
イグバロッハはしばし思案した後、思いついたように顔を上げた。
「そうだ。蓮華、変身しなさい。変身後の姿でハメてあげましょう」
「はいっ! わかりました!」
蓮華は従順に答え、虎獅子を召還する。そして虎獅子を手に持つと、その牙をあえて自分の秘所に突き立てた。
「あああんっ!」
秘所を中心として、縞模様が蓮華の体中に浮かび上がる。それを確認すると蓮華は虎獅子を腰に当て、バックルを回す。
「変身!」
『紫紅色の』雷と共に、蓮華の身体がラムダへと変身を遂げる。しかし以前とは違い、その胸と股間の部分にあたる装甲が存在しない。また装甲も、以前は輝かしい金色だったのに対し、今は禍々しさを感じさせる紫と紅の入り交じった色をしている。ラムダの精神の汚染が、装甲にも反映されているかのようだ。ともすれば下品とも取れる配色だが、それは現在のラムダの姿の卑猥さを際立たせていた。
ラムダはベッドの上に横たわると足をV字に広げ、自らの秘所を指で目一杯広げる。奥から溢れ出た愛液が尻を伝い、ペッドに染みを作る。
「ライガーロード・ラムダ、イグバロッハ様のオチンポをはめられる為に参上っ! さあイグバロッハ様、このラムダの新品マンコに思う存分突っ込んでください!」
かつての宿敵の惨めな姿を眺め、イグバロッハは更に注文を下す。
「中々に良い眺めですねぇ。しかし、もう少しスパイスが欲しい」
そこでイグバロッハは、机に置いてあったビデオカメラを手に取り、レオノーレへと渡した。
「イグバロッハ様、これは……?」
「それで撮った映像は、放送局の電波をジャックして、地上に放送される仕組みになっています。レオノーレには、これを使ってラムダの処女消失シーンを撮ってもらいましょう」
「わかりました。蓮華の処女が散る瞬間を撮影できるなんて、姉冥利に尽きますね」
ビデオカメラを手に嬉しそうに笑うレオノーレを尻目に、イグバロッハはラムダへと問いかける。
「さて、聞いての通り、今からあなたの処女喪失シーンを全世界に放送します。いいですか?」
問われたラムダは、躊躇うどころか更に顔を輝かせた。
「勿論です! 是非、皆に私がイグバロッハ様の肉人形になったことを知らしめてください! お願いします!」
「……よろしい。では、撮影を始めなさい。ラムダ、なるべく下品に実況するように」
イグバロッハの号令で撮影が始まる。レオノーレの構えるカメラへ向けて、ラムダは自分の秘所を開いて見せつけつつ口を開いた。
「皆さん、こんにちは。ライガーロード・ラムダこと蓮華・ブルムハルトです。これから、私の新品マンコをイグバロッハ様のオチンポでぶち破ってもらい、中古マンコになります」
ラムダは期待と興奮に頬を上気させながら、自分を卑下する言葉を紡ぐ。
「ライガーロード・ラムダはイグバロッハ様に敗れ、イグバロッハ様の忠実な肉人形、便器、ペットへと成り下がりました。以前までは人々を守ろうと考えていたりもしましたが、今はどうやったらイグバロッハ様にオチンポを突っ込んでもらえるかということばっかり考えています。今もこの通り、変態マンコはびしょぬれになってまーす」
ラムダは秘所を閉じたり開いたりを繰り返してアピールする。映像を見ている人間達は、かつてのヒロインの変わり果てた姿に絶望しているだろう。
イグバロッハは満足げに笑うと、ラムダを後ろから持ち上げ、カメラに自分の肉棒とラムダの秘所が良く映るようにする。
「あ、ほら、見てください! これが私が忠誠を誓うオチンポ様、この便器のご主人様です! このオチンポ様にハメられる為に私は今まで生きてきました! 皆さんどうぞラムダがオチンポ様に貫かれてみっともなくアヘ顔晒すところを見てください! 人間とか怪人とかどうでも良くなって、オチンポ様のことしか考えられなくなっちゃう人間終了の瞬間をご覧ください!」
そこまでラムダが言ったところで、イグバロッハはラムダの秘所に己の肉棒を突き刺した。軽い抵抗と共にラムダの処女膜が破れた。人間達をこれまで守ってきたヒロインの処女は、あっけなく破られた。
「あ、あああああああ~~~~っ!!!」
ラムダは白目を剥いて絶叫し、股間から大量に潮を吹いた。処女だというのに、挿入されただけで絶頂に達したのだ。しばらく痙攣した後、ラムダは意識を取り戻す。そして絶頂に身体を震わせながら、カメラに向かって両手でピースをする。そこに、やや寡黙ながらも人々を助けていた正義のヒロインの姿はない。
「み、みなさん、見ましたか? ラムダの、みっともない処女喪失の瞬間を! だらしないアヘ顔晒して痙攣絶頂したの見ていただけましたか? 見てください、ラムダの人生終了させたオチンポ様がズッポリ入っているところを! このオチンポ様の為なら、私はなんだってするんです! おしっこだって飲むし、靴だって舐めます! 人間だっていくらでも殺します! 今日この瞬間から、私ラムダは皆さんの敵になりました!」
今まで自分達を守ってくれた存在からの最低な宣戦布告を、人々はどんな思いで見つめるのだろうか。
そのことを考えたイグバロッハは興奮を高め、腰を激しく動かし始める。
「ああああっ! みっ、見てっ! 見てくださいっ! ラムダの便所マンコっ! ずっぽずっぽされてますっ! あっ! だめっ!! 我慢っ! あっあっ、我慢しなきゃ駄目なのにっ! 勝手に気持ちよくなっちゃううぅっ!!」
ばちゅん、ばちゅんと腰と腰が叩き付けられる音がリズムよく響き、じゅぽじゅぽという音と共に泡立った愛液が結合部から飛び散る。ラムダは肉棒が一往復するごとに脳に響くような嬌声を上げ、自分の主人へ媚を売りながら快感を貪る。
「あっ、これが私っ! エロバカマンコ女ラムダのっ、ああっ、セックスですっ! ああ、私ご主人様のオチンポに完全屈服しちゃってるぅっ! 皆さぁん、見てますかぁっ!? この便器女の、だらだらと涎垂らしちゃうっ! 躾のなってないっ! バカマンコ見てくださぁいっ!!」
その痴態を見せびらかすように、ラムダはわざと下品な言葉を使って自分の存在を卑下し続ける。イグバロッハの改造により、ラムダはもはや理性ではなく本能で淫らな言葉を紡ぐ。最初は無理矢理脳に刻まれたはずの情報は、今や完全にラムダに定着していた。
「全く、本当に躾のなってないペットですねっ! まるで牝豚だ! 豚なら豚らしく惨めに鳴いてみせなさい!」
「ああっ、わかりましたぁっ! ぶ、ぶひっ! ぶひぃ! ぶごおお、ぶひいぃぃっ!!」
イグバロッハに豚と蔑まれ、満面の笑みでラムダは豚の真似をする。ご丁寧に自分で自分の鼻を押し上げる徹底ぶりだ。恥などない、そうすることが心底嬉しそうな顔とともに、ラムダは鳴き続ける。
「はっは、本当にやりますか! もう完全に女として終わっていますね、蓮華はっ!」
「ぶひぃぃっ!! そうです、私もう豚ですぶひいぃっ!! どうかこのマゾブタをもっといじめてくださいぃぃっ!! ぶひぃぃっ!!」
女として、どころか自尊心のある人間なら絶対にやらないようなことさえ、今のラムダは率先して行う。ラムダの全てはイグバロッハが喜ぶか否かで決められ、自分の尊厳など全く考慮に入れられない。いや、むしろ自ら積極的に踏みにじる方向に動くだろう。そのように改造されたのだから。
「それに、なんですかこの乳はっ! こんなものを抱えて戦ってたなんて、元から変態だったんですね蓮華は! このド変態めっ!」
イグバロッハはラムダの身体を片手で支え、もう片方の手でラムダの胸に手を這わせ、尖った乳首を抓る。痛いほど勃起した乳首をつままれ、ラムダは仰け反って白い喉を晒しながら喘ぐ。
「ああ、おっぱいつねられてるぅっ! もっと、もっとラムダの勃起乳首いじめてください! 乳牛みたいにめちゃくちゃに搾ってくださいっ! もおお、もおおおぉっ!! ぶもおおぉぉっっ!!」
ラムダの言葉に合わせ、ラムダの膣内が一段と肉棒を締め上げる。ラムダの痴態に興奮が高まっていたイグバロッハとってそれが最後の刺激となり、急速に射精感が立ち上ってくる。
「ラムダ、出しますよ……!」
「あはっ、出してくださいイグバロッハ様ぁっ!! 皆さん、よく見てくださいねっ! ラムダはぁ、これから膣出しされちゃいますぅっ!! ラムダが白いおしっこ出されて、精液便所らしくイッちゃうところ、見てくださいいぃぃっ!!!」
「……くぅっ!!」
ずどんっ!
「……か……は……っ!」
最後に膣の奥深く突き込まれた肉棒は、とうとうその最奥である筈の子宮口を貫いた。亀頭が子宮の中に侵入し、ラムダの喉の奥から声に鳴らない音が漏れた。そのまま射精。
「――あああぁあぁぁあぁっっっ! 出てますぅぅっっ!! 熱いのがいっぱい出てますぅぅうぅっっ! ああ、だめ、すごいのキタぁああぁああぁぁっっっっ!!!」
赤子を育てる筈の神聖な場所に大量の精液を流し込まれ、ラムダの全身が跳ねる。白目を剥き、口はだらしなく開き、涙と汗とよだれを垂らしながらラムダは絶頂し続ける。
イグバロッハの射精もなかなか終わらない。自らも改造したイグバロッハの肉棒は、実に三分以上も精液を出し続けることができた。亀頭が栓の役割も果たしており、その精液は一滴も漏れることがない。新たに打ち出される精液が子宮を叩くたび、ラムダの身体が面白いように跳ねる。常人では絶対に味わえない快楽、むしろ暴力とも言っていいそれを浴びせられたラムダの理性は、綺麗に消し飛んでいた。
三分後。最後に一際大きく肉棒が脈動し、全ての精液がラムダの子宮内に叩き込まれた。少し経ってから、ラムダが気絶から目を覚ます。妊婦のように大きくなった腹を見て、ラムダは蕩けそうな笑みを浮かべた。
「皆さん……見ていただけましたでしょうか……? これにて、ラムダの処女喪失セックス放送を終わります……。これからは人類の敵として、皆さんを殺して行きたいと思うので、よろしくお願いしますね……おぉんっ!」
息も絶え絶えと言ったラムダが荒い息を吐きつつカメラに向け最後の台詞を言った直後、ずぽん、という音と共に肉棒がラムダの中から引き抜かれる。一瞬遅れて、ラムダの膣内から大量の精液がまるで射精のように飛び出した。
「んあああああああっ!!!」
その衝撃で再三絶頂し、ラムダは潮を吹いた。イグバロッハは、未だ股間から大量に精液と潮を吹き続けるラムダを床に放り投げる。ラムダは受け身も取れず床に倒れるが、もはや痛みも感じていないのだろう、だらしなく開いた口からはよだれが、そして股間からは大量の白濁液が垂れ落ちている。
「……さて、ご覧の通りだ諸君。君達のヒロインであるところのライガーロード・ラムダは、今日を持って私のモノになった。これからは、私の忠実なペットとして私の命令を実行していくだろう。せいぜい恐怖したまえ。では」
イグバロッハの言葉、そして変わり果てた、本当に変わり果てたラムダの姿を最後に、ビデオは止まった。全てを見終えた地上では、今頃数々の絶叫が上がっていることだろう。
これから、ラムダはイグバロッハの指令のもと、どんな残虐な命令にも、どんな屈辱的な仕打ちにも、喜んで従っていくだろう。
道具のように使われ、自分の希望など何も許されず、何一つ与えられず、ひたすら利用されるだけ利用されるのだろう。
しかし、そういった末路を辿ることを分かっている筈のラムダの顔は――汗や涙、乱れた髪で到底直視に耐えないような惨状を晒していたが――まるでそういった扱いを受けることが何よりも素晴らしいことのように、笑みの形に歪んでいたのだった。
< 終 >