グノーグレイヴ2 第三話 後編

―制裁戦士ジャッジメンテス 後半―

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「えっ……」

 勝敗は決した。握出を裁くための多数決。手を挙げたのは少数しかいなかった。つまり、無罪になった。

「ど、どうして?」

 ジャッジメンテスは唖然とする。手をあげる者はいなく、また、横に座るヒルキュアとポリスリオンと顔を見合わせる。

「ヒルキュア!ポリスリオン!!」

 ジャッジメンテスが叫ぶ。二人もまた手をあげていなかったのだ。

「えっと……」

「私たちもその……やっぱり、怖かったけど、愉しかったかも、なんて」

 二人の表情が歪んで嗤う。

「あなたたち!!」

 二人は既にヒルキュアでもポリスリオンでもなかった。ツキヒメ、カンナビであった。

「清き一票……」

「握出紋に……」

 観衆さえも握出に賛成するようにつぶやく。そこでジャッジメンテスは気付く。

 握出は、力を使っている。

 握出の喋る言葉は全て嘘になる。『亡き営業部長の座―ウソ・エイト・オー・オー―』嘘こそ信じやすいものはない。快楽へ導く、嘘を真実にする力。

 ジャッジメンテスがハンマーを叩く。

「こんな不投票、違法だわ!」

「やめなさい。判決は言い渡されました。もう変えることの出来ないことです。ディティアレンスは私のものです。私の言うことは絶対です」

 握出は既に勝ち誇るように口元を緩めながら佇む。

「みんな!これは嘘よ。正義は私にあります」

「多数派が正義なら私が正義なんですよ。ですよね?皆さん?」

 握出の声に観衆が沸いた。ジャッジメンテスは信じられないと言わんばかりに驚愕していた。後ろ付いた百人の観衆が握出を慕う。

「さて、これから私に備わった『清き大多数の票―ディティアレンス―』を存分に使わしてもらいましょうか」

 はっ、とジャッジメンテスが顔をあげると、なんと握出と自分の立場が逆転されていた。ジャッジメンテスが被告人席に立ち、握出が審判席に座って見下ろしている。ジャッジメンテスは恐怖を感じた。

 握出がハンマーを叩く。

「判決を言い渡します。『被告人、ジャッジメンテスはこれから皆さんに犯される』」

「いやあ!」

『イエス!イエス!』

 ジャッジメンテスの叫びもその場の空気にかき消されてしまう。

「『被告人が犯されるのは無罪?それとも有罪?』」

『無罪!!無罪!!』

「『では、被告人が犯されても皆さんは目をつぶっていても問題ないですよね?』」

 観衆は返事もせずにただ悦んだ。それが返事と言わんばかりに握出もニヤリと綻んだ。

「いやあ!!」

「満場一致。これにて閉廷します。――『処刑実行―ゴルディオン・ハンマー―』!!」

 裁判が終わったと同時に観衆はジャッジメンテスに押し寄せる。十人が押し倒し、十人が鎧から下着まで全て剥ぎ取り、十人が白い肌を撫で回し、十人が舐めまわし、周りがジャッジメンテスの目の前でオナニーを始め――――

「やめ――ぃゃ……」

 抵抗していたジャッジメンテスも段々と抵抗をなくしてきた。元々、力を持たない正義の使者だ。数で打ち負かすことに一番長けていたのだから、百人もの相手を一人で対抗しても勝てるわけないと誰よりも知っているはずだ。

 やがてジャッジメンテスは愚民のいいなりになり、好き放題に自身の身体を差し出した。

「ふん――」

 おまんことアナル、さらに小さい唇にもちんぽを突っ込まれる。もちろん、その他にも光景を見ながらオナニーする者、ジャッジメンテスの手をちんこに宛がい、手こきする者。その時、ジャッジメンテスの周りを囲む者は五十名を超えていた。

「――うおおおおおおおお!!!!!」

 息の合う愚民たちのストローク。一本も抜けることなく、ジャッジメンテスの身体が起こす快感だけが増幅していく。そして――

「光になあれええ!!!!.」

 声に合わせて一斉に吐き出される液。白い肌にベットリと付着する精子は今後ジャッジメンテスを逃がさない拘束具の様に見えた。

「ハァ……ハァ……」

 嗅ぎたくない悪臭と熱い精液。ジャッジメンテスの正義が汚されたことに虚ろな目から涙を流した。

 だが、これで終わりじゃない。次から次へとジャッジメンテスに群がる愚民たち。彼らが満足するまで処刑は終わらない。決して一度だけじゃない、二度出す者もいれば、少し休んでまた処刑に参加する者もいる。ジャッジメンテスはその度に身体を預けるのだ。

 ――処刑が終わるまでジャッジメンテスは生きることができるだろうか、
 間違いなく、正義は死ぬだろう。

 目を向けられないほどの強姦。語られることのない乱交。阿鼻叫喚。地獄絵図。

 これほど凄い光景を見たことがあるだろうか。ツキヒメもカンナビも参加しているにしても、単純計算で一人に三十三人。

 握出は上から眺めながら興奮していた。

「根底の渦―アカシックレコード―。人が無意識に願うものなんて、本当は汚いものだったんじゃないんですか?この世に神はいないんですから、浄化させる必要などまったくないのです。理想を叶えるということは、一番汚い行為そのものです。全員の理想郷を叶えられる?そんなこと、天地がひっくりかえっても無理なのです
!――千村くん!!貴方の行為を全否定してやりますよ!!それでも私を処刑したいのなら、法すら塗り変えてやりますよ。んー、『亡き営業部長の座―ウソ・エイト・オー・オー―』と『清き大多数の票―ディティアレンスー』は非常に相性がいい。新世界がどうなろうと知ったことか。絶対なる正義は我にある。フハハハハハ…
…、キャキャキャキャキャキャ!!!!!!」

 握出の笑い声が会場を包み込むが、誰も気にも留めなかった。

 自然と扉は閉まり、その後いつまで処刑が続いたのか、知る者は誰もいない。

< 続く >

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